JP2009100383A - 表面実装用の水晶振動子 - Google Patents

Abstract

【課題】衝撃に対する振動特性を良好に維持した表面実装振動子を提供する。
【解決手段】励振電極から引出電極の延出した水晶片２の一端部両側をベース内底面の水晶端子３に導電性接着剤によって固着し、水晶片２の他端部をベースの内底面に設けた枕部８上に位置した構成において、枕部８はベースの幅方向の両端側に独立した２個を形成する。これにより、振動特性に与える影響を最も小さくして、等価定数（Ｌ1、Ｃ1、Ｒ1）も変化も少なく、周波数変化を抑制する等の振動特性を良好に維持する事ができる。更に励振電極は矩形状とし、励振電極の他端部の両角部を切除して励振電極の先端側を２個の枕部間に突出した構成とすれば、接触による励振電極の損傷を防止する事ができる。
【選択図】図１

Description

本発明は表面実装用の水晶振動子（以下、表面実装振動子とする）を技術分野とし、特に衝撃に対する振動特性を良好に維持した表面実装振動子に関する。

（発明の背景）
表面実装振動子は小型・軽量であることから、携帯電話に代表される携帯型の電子機器に周波数や時間の基準源として発振回路とともに内蔵される。近年では、例えば平面外形が3.2×2.5ｍｍ以下とした小型化が進行し、衝撃による振動特性特に周波数変動を防止することが求められている。

（従来技術の一例）
第３図は一従来例を説明する図で、同図（ａ）は表面実装振動子の断面図、同図（ｂ）は平面図、同図（ｃ）は水晶片の平面図である。

表面実装振動子は積層セラミックからなる凹状とした平面視で矩形状の容器本体１に水晶片２を収容する。容器本体１の内底面には長さ方向の一端部両側に図示しない水晶端子３を有し、積層面を経て例えば一組の対角部に外部端子４として延出する。そして、容器本体１の開口端面には例えばシーム溶接による金属カバー５を接合して水晶片２を密閉封入する。

容器本体１の他組の対角部には金属カバー５と電気的に接続したアース端子としての外部端子４を有する。水晶片２は両主面に励振電極６ａを有し、一端部両側に引出電極６ｂを延出する。そして、引出電極６ｂの延出した水晶片２の外周部は導電性接着剤７によって水晶端子３に固着する。

一般には、水晶片２の他端部となる容器本体１の内底面には枕部８が設けられる。枕部８は例えば水晶端子３の下地電極としての印刷によるＷ（タングステン）やＭｏ（モリブデン）、あるいはセラミックが容器本体１とともに一体的に焼成されてなる。これにより、水晶片２の長手方向の主面をベベル「第４図（ａ）」やコンベックス「同図（ｂ）」とした場合の、特に励振電極６ａが形成された振動領域が容器本体１の内底面に接触することを防止する。

なお、ベベルやコンベックスは例えば低周波帯（２４ＭＨｚ以下）とした場合に形成される。そして、水晶片２を平板状として３０ＭＨｚ以上とした高周波帯であっても「第４図（ｃ）」、容器本体１の反りによって水晶片２の振動領域が内底面に接触するので、この場合にも枕部８は有効となる。

さらに、枕部８は、衝撃時に生ずる水晶片２の他端部の揺れ幅を小さくして振動特性を良好に維持する。すなわち、水晶片２の他端部の揺れ幅が小さいことから、一端部両側を保持する導電性接着剤７への影響も小さい。したがって、導電性接着剤７を含む振動系も衝撃による変化が少なくなるので、振動特性を良好に維持する。

これに対し、例えば水晶片２の他端部の揺れ幅が大きい場合は、水晶片２の一端部両側を保持する導電性接着剤７の状態に変化を来たし、即ち振動系に影響を及ぼして振動特性を悪化する。これらのことから、水晶片２の他端部に設けた枕部８は、振動領域の接触防止及び衝撃に対する振動系の維持の点で有意義となる。
特許第３７９２９７９号公報

（従来技術の問題点）
しかしながら、上記構成の表面実装振動子では、表面実装振動子の小型化が進行するにつれ、衝撃によって振動周波数の周波数変化を生じる問題があった。すなわち、表面実装振動子の小型化に伴って水晶片２の平面外形が小さくなると、振動特性特にクリスタルインピーダンス（ＣＩ）が悪化するので、通常では、励振電極６ａの面積を大きくする。

例えば水晶片２の平面外形を２．１×１．４５ｍｍとした場合は、蒸着やスパッタにて励振電極６ａを形成する際のメッキ枠の枠幅（０．１〜０．１５ｍｍ）を残し、水晶片２のほぼ全面に形成する。但し、引出電極６ｂの延出した一端部は導電性接着剤７による保持を考慮して形成されるので、一端部の辺を除く３辺にて０．１〜０．１５ｍｍの無電極部を残して励振電極６ａが形成される。ちなみに、励振電極６ａの外形は１．６×１．２ｍｍとし、水晶片２の面積に対して約６３％になる。

このことから、水晶片２の他端部が衝撃によって枕部８に接触した場合は、他端部の先端側となる無電極部のみならず励振電極６ａも接触する。そして、枕部８に接触した部分の励振電極６ａを観察したところ、励振電極６ａには傷を生じていることが判明し、この傷が原因で振動周波数が変化すると推察された。

（発明の目的）
本発明は衝撃に対する振動特性を良好に維持した表面実装振動子を提供することを目的とする。

本発明は、特許請求の範囲（請求項１）に示したように、励振電極から引出電極の延出した水晶片の一端部両側をベース内底面の水晶端子に導電性接着剤によって固着し、前記水晶片の他端部を前記ベースの内底面に設けた枕部上に位置してなる表面実装用の水晶振動子において、前記枕部は前記ベースの幅方向の両端側に独立した２個が形成された構成とする。

このような構成であれば、励振電極を含む水晶片の他端部が衝撃によって枕部に接触しても、励振電極の幅方向の両側に接触する。したがって、衝撃時の接触によって励振電極の幅方向の両側に傷が生じても、幅方向の両側は振動の中心から最も離間した位置となるので、振動特性に与える影響は最も小さくなる。例えば励振電極の損傷によって等価定数（Ｌ1、Ｃ1、Ｒ1）も変化も少なく、振動特性を維持する。

（実施態様項）
本発明の請求項２では、請求項１において、前記励振電極は矩形状として、前記励振電極における他端部の両角部は切除され、前記励振電極の先端側を前記２個の枕部間に突出する。これにより、励振電極の他端部と両端側の枕部との接触を防止して励振電極面積を大きくする。

第１図は本発明の実施形態を説明する金属カバーを除いた表面実装振動子の平面図である。なお、前従来例と同一部分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。

表面実装振動子は、前述したように凹状とした容器本体１の内底面に設けた水晶端子３に、励振電極６ａから引出電極６ｂの延出した水晶片２の一端部両側を導電性接着剤７によって固着し、他端部は内底面に設けられた枕部８に当接してあるいは上方に位置して収容される。容器本体１の開口端面は金属カバー５によって封止され、外底面には外部端子４を有する。

そして、この実施形態では容器本体１における内底面の枕部８はそれぞれ独立した２個として、他端部における幅方向の両端側に設けられる。ここでは、印刷及び焼成によるセラミックコートとする。なお、水晶端子３及び枕部（セラミックコート）８は二層として厚みを大きくする。

水晶片２は前述のように２．１×１．４５ｍｍとし、励振電極６ａは１．６×１．２ｍｍとして、引出電極６ｂの延出した一端部を除いて各辺からメッキ枠幅の０．１〜０．１５ｍｍを余して全領域に形成される。励振電極６ａの水晶片２に対する面積比は約６３％になる。

このような構成であれば、水晶片２の他端部が衝撃によって上下に遥動すると、枕部８に対向した水晶片２の主面における励振電極６ａの幅方向の両端側のみが枕部８に接触する。したがって、水晶片２の他端部の遥動による励振電極６ａの損傷は、振動の中心（励振電極の中心）から最も離間した幅方向の両端側となる。

これにより、振動特性に与える影響を最も小さくして、等価定数（Ｌ1、Ｃ1、Ｒ1）も変化も少なく、周波数変化を抑制する等の振動特性を良好に維持する。この場合、励振電極６ａの大きさを従来同様に維持するので、クリスタルインピーダンス（ＣＩ）を小さく維持できる。

上記実施形態では励振電極６ａは従来同様に４角部を直角とする矩形状としたが、第２図（ａ）に示したように、励振電極６ａの他端部の両角部を切除する。ここでは例えば先端側を円弧状に突出する。そして、励振電極６ａの両角部を切除した無電極部と各枕部８は対向して位置し、励振電極６ａの先端側を各枕部８間に突出させる。

このようにすれば、衝撃時の遥動があっても両側の枕部８は、角部を切除された無電極部に接触して、励振電極６ａへの損傷を防止する。そして、各枕部８間に励振電極６ａの先端側を突出するので、励振電極６ａの面積を大きく維持できる。したがって、衝撃に対する振動特性をさらに良好にする。

この場合、第２図（ｂ）に示したように枕部８を励振電極６ａの角部を切除した傾斜面と平行にした三角形状の枕部８とすることによって、衝撃時の接触面積を大きくして小型化を維持するようにしてもよい。なお、先端側は円弧状としたが角部が直線状に切除されていてもよく、要は枕部８に当接することなく水晶片２の先端側が枕部８間に突出する形状であればよい。

本発明の実施形態を説明する金属カバーを除いた表面実装振動子の平面図である。 本発明の他の例を説明する特に水晶片の平面図である。 従来例を説明する図で、同図（ａ）は表面実装振動子の断面図、同図（ｂ）は平面図、同図（ｃ）は水晶片の平面図である。 従来例を説明する図で、同図（ａ）はベベル、同図（ｂ）はコンベックス、同図（ｃ）は平板状とした水晶片の断面図である。

符号の説明

１ 容器本体、２ 水晶片、３ 水晶端子、４ 外部端子、５ 金属カバー、６ａ 励振電極、６ｂ 引出電極、７ 導電性接着剤。

Claims (2)

1. 励振電極から引出電極の延出した水晶片の一端部両側をベース内底面の水晶端子に導電性接着剤によって固着し、前記水晶片の他端部を前記ベースの内底面に設けた枕部上に位置してなる表面実装用の水晶振動子において、前記枕部は前記ベースの幅方向の両端側に独立した２個が形成されたことを特徴とする表面実装用の水晶振動子。
2. 請求項１において、前記励振電極は矩形状として、前記励振電極における他端部の両角部は切除され、前記励振電極の先端側を前記２個の枕部間に突出した表面実装用の水晶振動子。