図1は、本発明の1つの実施形態のネットワーク監視システムとして機能する警備システムの構成の例を示すブロック図である。図1を参照し、警備システム1は、インターネット3を介して接続された警備センタ装置4と警備端末装置2−1,2−2,2−3,・・・(以下、「警備端末装置2」と総称する場合もある)とから構成される。
警備端末装置2は、一般に、警備対象である個々の建物内に設置される。警備センタ装置4は、通常、管制員が駐在する警備会社に設置される。
警備センタ装置4は、警備端末装置2をグループ分けして管理しており、個々の警備端末装置2はいずれかのグループ(端末グループ)に属している。図1の例では、警備端末装置2−1,2−3,2−6は端末グループ5−1に所属し、警備端末装置2−2,2−4,2−5は端末グループ5−2に所属する。
警備センタ装置4は、端末グループ5−1,5−2,・・・(以下、「端末グループ5」と総称する場合もある)のそれぞれについて、マルチキャストアドレスと呼ばれるグループアドレスを付与する。
マルチキャストアドレスは、各端末グループ5内で共通のアドレスであり、マルチキャストのために用いられる。マルチキャストとは、同一内容のパケットをネットワーク内で複数の端末装置に対して送信する通信方式であり、同報通信と呼ばれることもある。ネットワークに含まれる各端末装置は、IP(Internet Protocol)アドレスの他にマルチキャストアドレスを持つことができる。各端末装置は、このマルチキャストアドレスをネットワークに登録することによって、そのマルチキャストアドレス宛のパケットを受け取ることができるようになる。マルチキャストは、IPv6(Internet Protocol Version 6)にて標準的にサポートされている。
インターネット3は、ルーティング機能を持つ中継機器(ルータなど)が互いに接続されて構成されている。各中継機器は、端末装置からマルチキャストアドレスの登録要求を受け取ると、以後、そのマルチキャストアドレス宛のパケットをその端末装置へ向けて中継するように、自己の設定を行うとともに、登録要求を他の中継装置へ伝達する。このようにして、マルチキャストアドレス宛のパケットは、当該マルチキャストアドレスの登録を要求した複数の端末装置のそれぞれに到達するようになる。
なお、以下の説明において、図1において中括弧の中に示す記号は、マルチキャストアドレスを表す。図1を参照し、端末グループ5−1に属する警備端末装置2−1,2−3,2−6のマルチキャストアドレスはGA1であり、端末グループ5−2に属する警備端末装置2−2,2−4,2−5のマルチキャストアドレスはGA2である。
また、警備端末装置2には、それぞれを固有に識別する識別番号(以下、端末番号と称する)が予め付与される。端末番号は、例えば、製造順や出荷順に付与されたシリアル番号であってよい。以下の説明において、図1において大括弧で示す記号は、各警備端末装置2に付与された端末番号を表す。図1を参照し、警備端末装置2−1,2−2,2−3,2−4,2−5,2−6の端末番号は、それぞれ、1,2,3,4,5,6である。
なお、実際の警備システム1は、図1に例示するよりも多くの警備端末装置2から構成されていてよく、1つの端末グループ5は、図1に例示するよりも多くの警備端末装置2を含んでいてよい。例えば、警備システム1は、数千台から数万台の警備端末装置2を含む場合がある。この場合、1つの端末グループ5は数十台から数百台の警備端末装置2を含み、端末グループ数は数百に及ぶ。
図2は、警備端末装置2の構成の例を示すブロック図である。
図2を参照し、警備端末装置2は、センサLAN(Local Area Network)7を介して各種のセンサ6と接続される。センサ6は、警備端末装置2が設置される警備対象の建物内、又は建物の出入口などに設けられる。センサ6は、例えば、赤外線センサ、マグネットセンサ、及びガラスセンサなど、警備対象の建物への侵入行為を検知すると検知信号を出力する防犯センサであってよい。また例えば、センサ6は、熱センサ、煙センサ、及びガスセンサなどの、火災及びガス漏れなどを検知すると検知信号を出力する防災センサであってもよい。
警備端末装置2は、制御部21、記憶部22、センサLANインターフェース23、及び端末通信部であるLANインターフェース24を備える。
制御部21は、記憶部22、センサLANインターフェース23、及びLANインターフェース24と接続される。制御部21は、登録申請手段211、本発明の生存確認手段である生存通知処理手段212、センタ通知端末決定手段213、センタ通知手段214、及び警報送信手段215として機能する。制御部21は、MCU(Micro Control Unit)、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などの演算装置によって実現できる。制御部21の各手段で行われる処理の手順を記述したプログラムを記憶部22に記憶させておき、上述のような演算装置に当該プログラムを読み出しさせて実行させることで、制御部21を実現できる。
記憶部22は、警備端末装置2で行われる処理に必要な情報や、制御部21で行われる処理の手順を記述したプログラムなどを記憶する。記憶部22に記憶される情報の例として、その警備端末装置2に付与された端末番号(以下、「自端末番号」とも呼ぶ)、その警備端末装置2のIPアドレス、警備センタ装置4のIPアドレス(以下、「センタアドレス」とも呼ぶ)、その警備端末装置2に付与されたマルチキャストアドレス(以下、「自グループアドレス」とも呼ぶ)、及び後に詳述する生存端末リスト、基準番号、動作状態などが挙げられる。記憶部22は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)及びフラッシュメモリなどの記憶装置によって実現される。
センサLANインターフェース23は、警備端末装置2とセンサLAN7とを接続するインターフェース回路である。制御部21は、センサLANインターフェース23を用いてセンサ6からの検知信号を受信する。警備端末装置2の動作状態には、センサ6から検知信号を受信したときに警備センタ装置4へ警報を送信する警備セット状態と、警報を送信しない警備解除状態と、の2つの状態がある。動作状態は、図示しないモード切替部をユーザが操作することにより切り替わり、モード切替部と接続された制御部21が切り替え後の動作状態を記憶部22に記憶させる。
LANインターフェース24は、警備端末装置2とインターネット3とを接続するインターフェース回路である。警備端末装置2は、LANインターフェース24を用いて、警備センタ装置4とのインターネット3を介した通信を行う。LANインターフェース24は、バッファリング機能を有し、少なくとも所定時間前(例えば、1秒前)までに受信した信号を格納しておくことができる。
登録申請手段211は、警備センタ装置4に対する自装置の登録を申請して自グループアドレスを取得するとともに、インターネット3に対する自グループアドレスの登録を要求して同報通信を利用可能に設定させる。
そのために、登録申請手段211は、まず、記憶部22からセンタアドレス及び自端末番号を読み出して、センタアドレスを宛先として自端末番号を含ませた登録申請信号を生成し、LANインターフェース24を用いて登録申請信号を送信する。
登録申請手段211は、次に、登録申請信号に応じ警備センタ装置4から送信されたマルチキャストアドレスを自グループアドレスとして記憶部22に記憶させる。
続いて登録申請手段211は、自グループアドレスを含ませた所定形式の登録要求信号を生成して、LANインターフェース24を用いて登録要求信号をインターネット3へ送出する。
生存通知処理手段212は、生存通知信号の送信及び受信を行う。すなわち記憶部22から自グループアドレス及び自端末番号を読み出して、自グループアドレスを宛先とし自端末番号を含む生存通知信号を、LANインターフェース24を用いて同報送信するとともに、自端末と同じ端末グループ5に所属する警備端末装置2の生存通知処理手段212が同報送信した生存通知信号を、LANインターフェース24を用いて受信して該生存通知信号から端末番号を抽出し、抽出した端末番号を記憶部22の生存端末リストに追加記憶させる。
警備端末装置2のそれぞれの生存端末リストには、自端末と同じ端末グループ5に所属する警備端末装置2のうち、通信可能な状態にある警備端末装置2の端末番号が列挙される。生存端末リストの情報は、警備センタ装置4にて警備端末装置2のそれぞれが通信可能な状態であるか否かを判断するための基礎情報として用いられる。
生存通知処理手段212による処理は、警備センタ装置4から応答要求信号を受信した場合に行われる。
なお、応答要求信号には基準番号が含まれており、応答要求信号を受信した場合、制御部21は応答要求信号から基準番号を抽出し、基準番号を記憶部22に記憶させる。
センタ通知端末決定手段213は、自装置がセンタ通知端末であるか否かを決定する。センタ通知端末とは、自装置が所属する端末グループ5の生存端末リストをとりまとめて警備センタ装置4へ通知する警備端末装置2である。
そのために、センタ通知端末決定手段213は、記憶部22から自端末番号、生存端末リスト、及び基準番号を読み出し、「生存端末リストに含まれる端末番号のうち基準番号に最も近い端末番号をセンタ通知端末の端末番号として選択する」という規則に従って生存端末リストの中から1つの端末番号を選択し、選択した端末番号が自端末番号に一致する場合に自装置をセンタ通知端末に決定し、一致しない場合は、自装置はセンタ通知端末でないと決定する。上記決定によれば、少なくとも生存端末リストに自装置の識別番号が含まれている場合は自装置が通知端末に決定され得る。
上記規則はセンタ通知端末決定手段213のプログラムの一部として各警備端末装置2に共通して予め記憶させておく。センタ通知端末決定手段213による処理は生存通知処理手段212による処理の後に各警備端末装置2において自律的に行われる。
センタ通知手段214は、生存端末リストを警備センタ装置4へ送信する。そのために、センタ通知手段214は、記憶部22からセンタアドレス及び生存端末リストを読み出し、センタアドレスを宛先とし、LANインターフェース24を用いて生存端末リストを送信する。
センタ通知手段214による処理は、センタ通知端末決定手段213により自装置がセンタ通知端末であると決定された場合に行われる。
警報送信手段215は、警備対象に異常が発生したことを表す警報信号を警備センタ装置4へ送信する。そのために、警報送信手段215は、記憶部22からセンタアドレス及び自端末番号を読み出し、センタアドレスを宛先とし、自端末番号を含めた警報信号を生成し、LANインターフェース24を用いて警報信号を送信する。
警報送信手段215による処理は、センサ6から検知信号を受信し、かつ記憶部22に記憶されている動作状態が警備セット状態の時に行われる。
さらに、警備端末装置2は、図示しない時計手段及びタイマ手段を備える。警備端末装置2は、時計手段によって現在時刻を取得でき、タイマ手段によって所定間隔の時間を計時できる。
図3は、警備センタ装置4の構成の例を示すブロック図である。警備センタ装置4は、一般的なサーバ・コンピュータによって実現される。警備センタ装置4は、制御部41、記憶部42、入力部43、センタ通信部であるLANインターフェース44、及び表示部45を備える。
制御部41は、記憶部42、入力部43、LANインターフェース44、及び表示部45と接続される。制御部41は、端末登録手段411、基準番号決定手段412、応答要求送信手段413、障害端末検出手段414、及び警報処理手段415として機能する。制御部41は、コンピュータのCPUなどの演算装置で実現される。制御部41の各手段で行われる処理の手順を記述したプログラムを記憶部42に記憶させておき、コンピュータのCPUに当該プログラムを読み出しさせて実行させることで、制御部41を実現できる。
記憶部42は、制御部41で行われる処理に必要な情報や、制御部41で行われる処理の手順を記述したプログラムなどを記憶する。記憶部42は、半導体メモリ及びHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置によって実現される。
図3を参照すると、記憶部42は、端末情報データベース421を備える。端末情報データベース421は、警備端末装置2、端末グループ5、及びマルチキャストアドレスの対応関係を記憶するデータベースである。端末情報データベース421は、例えば、警備端末装置2の端末番号及びマルチキャストアドレスの組を含むレコードからなる。マルチキャストアドレスは、端末グループ5の識別記号としても用いることができる。
図4は、警備システム1において各警備端末装置2が図1に例示するようにグループ分けされている場合に、端末情報データベース421に記憶されるデータ内容の例を示す。図4に示す表では、各警備端末装置2に対応するレコードは、端末番号及びマルチキャストアドレスの項目に加えて、その警備端末装置2と警備センタ装置4との間の通信が可能であるか否かを示す情報である「死活状態」の項目を含む。死活状態とは、警備端末装置2と警備センタ装置4との間の通信状態が正常であるか否かを表す情報である。図4の例では、各端末番号のレコードの「死活状態」の項目の値が「1」であれば、その警備端末装置2と警備センタ装置4との間の通信状態が正常であることを示し、「死活状態」の項目の値が「0」であれば、通信状態が異常であることを示すものとする。「死活状態」の項目の値の設定に関する処理については後述する。
再び図3を参照し、記憶部42には、さらに、図示しない警備対象データベースが記憶される。警備対象データベースは、各警備端末装置2の端末番号に対応づけて、その警備端末装置2が設置された建物の住所や、その建物の所有者の連絡先など、その警備端末装置2の警備対象に関連する情報を記憶するデータベースである。
入力部43は、キーボード及びマウスなどの入力装置によって実現される。例えば、管制員は、入力部43に対して、警備センタ装置4に対する指示を入力できる。
LANインターフェース44は、警備センタ装置4とインターネット3とを接続するインターフェース回路である。警備センタ装置4は、LANインターフェース44を用いて、警備端末装置2とのインターネット3を介した通信を行う。
表示部45は、警備端末装置2から受信された警報、及び、検出された通信異常に関する情報などを表示する。表示部45は、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどによって実現される。
端末登録手段411は、警備端末装置2から登録申請信号を受信すると、登録申請信号を送信した警備端末装置2を端末グループ5に属させる登録を行う。
すなわち、登録申請信号を送信した警備端末装置2に付与するマルチキャストアドレスを決定し、登録申請信号から抽出した端末番号と決定したマルチキャストアドレスとを対応づけて記憶部42の端末情報データベース421に記憶させるとともに、決定したマルチキャストアドレスを含む登録許可信号を生成し、LANインターフェース44を用いて登録申請信号を送信した警備端末装置2へ登録許可信号を送信する。
基準番号決定手段412は、警備端末装置2がセンタ通知端末を決定する際に基準とする基準番号を決定し、応答要求送信手段413へ出力する。
基準番号は、端末情報データベース421に記憶されている識別番号の最小値から最大値までの範囲内で、前回の基準番号に所定値を加算して決定されたり、あるいはランダムに決定されたりして、前回と異なる値として決定される。
応答要求送信手段413は、すべての警備端末装置2へ応答を要求する応答要求信号を送信する。応答要求信号には基準番号を含める。すなわち、応答要求送信手段413は基準番号送信手段を兼ねている。
そのために、応答要求送信手段413は、基準番号決定手段412から入力される基準番号を含めた応答要求信号を生成するとともに、記憶部42の端末情報データベース421を参照して登録されているすべてのマルチキャストアドレスを読み出し、読み出したマルチキャストアドレスを宛先とし生成した応答要求信号を、LANインターフェース44を用いて送信する。応答要求送信手段413による処理は、定期的に行われる。
障害端末検出手段414は、生存端末リストを端末情報データベースと照合して警備端末装置2のそれぞれが通信可能な状態であるか否かを確認し、確認した状態を表示部45に表示させる。
生存端末リストをセンタ通知端末から受信すると、障害端末検出手段414は、生存端末リストから端末番号を抽出し、端末情報データベースを参照して端末情報データベースに登録されているにもかかわらず生存端末リストから抽出されなかった端末番号を、通信不能な状態である警備端末装置2(障害端末)を特定する端末番号として検出し、検出した障害端末に係る情報を表示部45に表示させる。
警報処理手段415は、警備端末装置2からの警報信号を受信した場合に、その警報信号から端末番号を抽出し、警備対象データベースを参照して警報信号から抽出された端末番号と対応付けられた警備対象の情報を取得し、取得した警備対象の情報を表示部45に表示させる。
さらに、警備センタ装置4は、図示しない時計手段及びタイマ手段をも備え、時計手段からの現在時刻の取得及びタイマ手段による所定時間の計時ができる。
以下、警備システム1におけるネットワーク監視処理について説明する。
図5は、警備端末装置2において行われる処理の手順の例を示すフローチャートである。警備端末装置2をインターネット3及びセンサLAN7と接続し、電源を投入すると、警備端末装置2の各部及び各手段が動作を開始し、初期化処理が行われ、図5に例示するフローチャートの処理が開始される。
図5を参照し、ステップS20で、制御部21は、記憶部22を参照し、グループアドレスがすでに記憶部22に記憶されているか否かを確認する。自グループアドレスが記憶されていない場合(ステップS20にてNO)、登録申請手段211による登録申請処理(ステップS21〜S24)に進み、自グループアドレスが記憶されている場合(ステップS20にてYES)は、処理はステップS25に進む。例えば、警備端末装置2が新規に設置されたときなど、当該警備端末装置2の所属端末グループが未だ決定されていない場合は、記憶部22にマルチキャストアドレスは記憶されていない。一方、例えば、警備端末装置2のメンテナンスなどが行われる場合など、すでに所属端末グループが決定している警備端末装置2が再起動された場合は、記憶部22に自グループアドレスが記憶されている。
ステップS21で、登録申請手段211は、登録申請である旨を表す情報及び自端末番号を含む登録申請信号を生成し、生成した登録申請信号を警備センタ装置4へ送信する。
その後、登録申請手段211は、登録申請信号に対して警備センタ装置4から返信される登録許可信号を受信し(ステップS22)、この登録許可信号に含まれるマルチキャストアドレスを抽出し、自グループアドレスとして記憶部22に記憶させる(ステップS23)。
次に、ステップS24で、登録申請手段211は、インターネット3へ自グループアドレスを含めた登録要求信号を送出することにより、自グループアドレスを宛先とするパケットが自装置に配送されるように登録する。
マルチキャスト通信設定処理(ステップS24)の後、警報送信に関する処理(ステップS25,S26)及び通信監視に関する処理(ステップS27,S28)が繰り返し行われる。
ステップS25では、制御部21は、警備対象における侵入行為又は火災などの異常の発生を警備センタ装置4へ通知するための警報を送信するか否かを判定する。この判定のため、制御部21は、センサ6から検知信号が入力されているか否かを判定する。検知信号が入力されている場合、制御部21は、記憶部22を参照して警備端末装置2の動作状態を確認し、動作状態が警備セットモードであれば、警報送信手段215により警備センタ装置4へ警報信号を送信する警報送信処理(ステップS26)を行う。センサ6から検知信号が入力されていない場合、又は動作状態が警備解除モードである場合、ステップS25の判定の結果NOに進み、警報送信処理を行わずに処理はステップS27へ進む。
ステップS27では、制御部21は、警備センタ装置4からの応答要求信号を受信しているか否かを確認する。応答要求信号を受信していれば(ステップS27にてYES)、ステップS28の通信監視処理が実行され、応答要求信号を受信していなければ(ステップS27にてNO)、処理はステップS25に戻る。
図6を参照し、図5のステップS28の通信監視処理の手順の例について説明する。図5のステップS28の通信監視処理が開始されると、図6に例示するフローチャートの処理が開始される。
図6を参照し、警備センタ装置4からの応答要求信号を受信した警備端末装置2の制御部21は、まず、ステップS290で、応答要求信号の中から基準番号を抽出し、抽出した基準番号を記憶部22に記憶させる。次に制御部21は、生存通知処理手段212により、生存通知信号の送受信を行って生存端末リストを生成する(ステップS291〜S296)。
ステップS291で、記憶部22に記憶された生存端末リストを空にする初期化を行う。
ステップS292で、生存通知処理手段212は、生存通知である旨を表す情報及び自端末番号を含む生存通知信号を生成し、自グループアドレスを宛先として、生成した生存通知信号を送信する。この生存通知信号は、自装置と同じ端末グループ5に所属するすべての警備端末装置2へ同報送信される。
ほぼ同時刻に、警備センタ装置4から応答要求信号を受信した他の警備端末装置2も同様に、生存通知信号を同報送信する。
なお、例えば、警備センタ装置4と警備端末装置2との間の通信に障害が発生している場合など、警備センタ装置4が応答要求信号を送信したにも関わらず、その応答要求信号を警備端末装置2が受信できない場合がある。この場合、その警備端末装置2における処理では、図5のステップS27でNOと判定され、通信監視処理(図5のステップS28,図6)は行われないので、その警備端末装置2が生存通知信号を同報送信することはない。
続くステップS293で、生存通知処理手段212は、タイマ手段により予め定めたタイムアウト時間(例えば、2秒)の計時を開始させる。
次に、ステップS294で、生存通知処理手段212は、生存通知信号を受信したか否かを判定する。ここでは、自装置の生存通知処理手段212によってステップS292で送信された生存通知信号、又は、自装置と同じ端末グループ5に所属する他の警備端末装置2の生存通知処理手段212によって送信された生存通知信号が受信される。生存通知信号を受信したと判定されると、処理はステップS295に進み、受信しなかったと判定されると、ステップS295を行わずにステップS296に進む。
ステップS295では、生存通知処理手段212は、受信した生存通知信号から端末番号を抽出し、抽出した端末番号を、記憶部22に記憶された生存端末リストに追加登録する。
このとき、タイマ手段により計時を開始する前の1秒以内にすでに受信され、LANインターフェース24によりバッファリングされている生存通知信号も生存端末リストに追加する処理の対象とする。つまり、各警備端末装置2において警備センタ装置4からの応答要求信号の受信と前後する3秒間に受信した生存通知信号が処理の対象となる。このようにすることで、警備端末装置2の間で警備センタ装置4からの応答要求信号の到達時間に誤差があってもこれを吸収することができる。
ステップS296では、生存通知処理手段212は、タイムアウトか否か、すなわちタイムアウト時間が経過したか否かを判定する。タイムアウトでない場合、処理はステップS294に戻り、ステップS294以降の処理を繰り返す。タイムアウトの場合、処理はステップS297に進む。
タイムアウトになった時点(ステップS296でYES)で、記憶部22に記憶された生存端末リストには、自装置が所属する端末グループ5において、警備センタ装置4からの応答要求信号の受信及びそれに伴う生存通知信号の送信を行った警備端末装置2の端末番号が登録されていることになる。よって、生存端末リストに登録された端末番号の警備端末装置2については、通信可能な状態である、さらには、警備センタ装置4との間の通信状態が正常である、つまり、センタ通知端末として好適であるといえる。
ステップS297にて、制御部21はセンタ通知端末決定手段213により、予め設定された規則に従って、自装置がセンタ通知端末であるか否かを決定する。センタ通知端末決定手段213は、まず、記憶部22を参照し、ステップS291で警備センタ装置4から受信した基準番号及び生存端末リストに登録された端末番号を読み出す。
センタ通知端末決定手段213は、例えば、以下の(条件1)又は(条件2)が満たされれば自装置はセンタ通知端末であると決定し、(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされなければ自装置はセンタ通知端末でないと決定する。
・(条件1)自端末番号が基準番号以上であり、かつ、生存端末リスト中の端末番号がいずれも自端末番号以上又は基準番号未満である。
・(条件2)自端末番号が基準番号未満であり、かつ、生存端末リスト中の端末番号がいずれも基準番号未満かつ自端末番号以上である。
上記(条件1)及び(条件2)に従ってセンタ通知端末を決定することは、生存端末リストに含まれる端末番号と基準番号とを小さい順に並べて循環リストとした場合に、その循環リストにおいて、基準番号からリストの順方向(端末番号が増加する方向)に最も近い端末番号をセンタ通知端末の端末番号として選択し、選択した端末番号が自端末番号と一致すれば自装置をセンタ通知端末として決定することとして捉えることができる。
例えば、図7を参照し、上述のような循環リストを用いたセンタ通知端末の選択について説明する。図7は、Li(i=1,2,3,…,k,…,N)を生存端末リストに含まれる端末番号とし、STを基準番号とした場合に生成される循環リストの例を示す。
図7(a)は、各端末番号と基準番号との間に、L1<L2<…<ST<Lk<…<LNで表される大小関係がある場合の循環リストの例を示す。図7(a)に示す例の場合、基準番号STから循環リストの順方向に最も近い端末番号はLkであるため、端末番号Lkがセンタ通知端末の端末番号として選択される。図7(a)に示す例の場合、端末番号Lkの警備端末装置2において、上記(条件1)が満たされ、端末番号Lk以外の警備端末装置2においては、上記(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされない。
図7(b)は、各端末番号と基準番号との間に、L1<L2<L3<…<LN<STで表される大小関係がある場合の循環リストの例を示す。図7(b)の例は、生存端末リスト内の端末番号の最大値LNよりも基準番号STが大きい場合の例である。図7(b)の例の場合、基準番号STから循環リストの順方向に最も近い端末番号はL1(すなわち、生存端末リスト内の端末番号の最小値)であり、端末番号L1がセンタ通知端末の端末番号として選択される。図7(b)に示す例の場合、端末番号L1の警備端末装置2において、上記(条件2)が満たされ、端末番号L1以外の警備端末装置2においては、上記(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされない。
なお、生存端末リスト内に、基準番号と等しい端末番号が存在すれば、その端末番号がセンタ通知端末の端末番号として選択される。この場合、選択された端末番号の警備端末装置2において、上記(条件1)が満たされ、選択された端末番号以外の警備端末装置2においては、上記(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされない。
再び図6を参照し、ステップS298で、制御部21はセンタ通知端末決定処理(ステップS297)において自装置をセンタ通知端末として決定したか否かの判定を行う。自装置をセンタ通知端末として決定した場合、処理はステップS299の応答信号送信処理へ進み、自装置をセンタ通知端末として決定しなかった場合、ステップS299を行わずに、通信監視処理(図5のステップS28)は終了し、処理は図5のステップS25へ戻る。
ステップS299では、センタ通知手段214は、記憶部22に記憶された生存端末リストに登録された端末番号を警備センタ装置4へ送信する。ステップS299の後、処理は図5のステップS25へ戻る。
以上のように、端末グループ5の中で同報送信をしあった結果、通信できた警備端末装置2の中から動的にセンタ通知端末を決定するので、一部の警備端末装置2に通信障害が生じていても確実に警備センタ装置4への通知ができる。
また、警備センタ装置4からの応答要求信号を受信した警備端末装置2すなわち警備センタ装置4との通信が可能であることを確認できた警備端末装置2の中からセンタ通知端末を決定するので、さらに確実に警備センタ装置4への通知ができる。
また、センタ通知端末(後述する例外的な場合を除き1つの端末グループ5の中で1台)のみが通知するので警備センタ装置4の通信負荷が低減できる。
なお、図5を参照した上述の説明では、警報送信に関する処理(ステップS25,S26)は、ステップS24の後に行われるループ処理(ステップS25〜S28)の一部として説明した。しかしながら、ステップS25,S26の処理は、センサ6からの検知信号の入力をトリガとして行われる割り込み処理であってよい。つまり、ステップS25,S26の処理は、ステップS24の後のループ処理のいずれの時点であっても、検知信号を受信した時点で実行されるものであってよい。
以下、図8及び図9を参照し、警備センタ装置4において行われる処理の手順の例について説明する。以下の説明において、警備センタ装置4の記憶部42に記憶された端末情報データベース421には、図4に例示する内容のデータが登録されているものとする。また、以下の説明において、記憶部42には、インターネット3において各プロバイダに割り当てられたアドレス、及び、各プロバイダのサブネットワーク内でパケットが転送される経路情報(通常、パケットが通る中継機器の列で表される)など、インターネット3を構成する各サブネットワークを運営するプロバイダについての情報が予め記憶されているものとする。
警備センタ装置4をインターネット3と接続し、電源を投入すると、所定の初期化処理が行われ、警備センタ装置4の各部及び各手段が動作を開始し、図8に例示するフローチャートの処理が開始される。この初期化処理の一部として、制御部41は、図示しない時計手段から現在時刻を取得し、監視時刻の初期値として現在時刻を記憶部42に記憶させる。
図8を参照し、まず、ステップS40で、制御部41は、警備端末装置2から警報信号を受信しているか否か確認する。警報信号を受信している場合(ステップS40にてYES)、処理はステップS41に進み、受信していない場合(ステップS40にてNO)、ステップS41の処理を行わずにステップS42に進む。
ステップS41では、警報処理手段415は、受信した警報信号に関連する情報を表示部45に表示させる処理を行う。警報処理手段415は、例えば、ステップS40で受信した警報信号から端末番号を抽出し、抽出した端末番号を基に警備対象データベースを検索して、当該端末番号に関連付けられた警備対象の情報を取得する。そして、取得された警備対象の情報、及び警報信号を受信した旨を表す情報を含む警報情報を表示部45に表示させる。管制員は、表示部45に表示された警報情報を確認することで、警備対象への警備員の派遣などの対処を行うことができる。
ステップS42では、端末登録手段411は、警備端末装置2から登録申請信号を受信しているか否かを判定する。この登録申請信号は、図5を参照して説明した警備端末装置2の処理において、未だ所属グループが決定されていない警備端末装置2が警備センタ装置4に対して送信する(図5のステップS21)信号である。登録申請信号を受信している場合は、処理はステップS43に進み、端末登録手段411はステップS43〜S45の登録処理を行う。登録申請信号を受信していない場合は、登録処理(ステップS43〜S45)を行わずに、ステップS46に進む。
ステップS43で、端末登録手段411は、まず、ステップS42で受信した登録申請信号から送信元アドレスを抽出する。そして、記憶部42を参照し、抽出した送信元アドレスが属するプロバイダ及びそのプロバイダ内での経路情報などを読み出す。次に、記憶部42から読み出したプロバイダに関する情報に基づいて、同じ端末グループ5に所属する警備端末装置2同士がネットワーク的に近くなるように、送信元の警備端末装置2を所属させる端末グループ5、すなわち、その警備端末装置2に付与するマルチキャストアドレスを決定する。ここで、「警備端末装置2同士がネットワーク的に近くなる」ことは、例えば、警備端末装置2同士の間の通信において、ホップ数(パケットが経由する中継機器の数)又はパケット転送時間が少なくなることを意味する。
次に、ステップS44で、端末登録手段411は、登録許可を表す情報及びその警備端末装置2に付与したマルチキャストアドレスを含む登録許可信号を生成する。そして、登録申請信号を送信してきた警備端末装置2に対して、生成した登録許可信号を返信する。
その後、ステップS45で、端末登録手段411は、記憶部42の端末情報データベース421において、ステップS42で受信した登録申請番号に含まれる端末番号と、ステップS43で付与したマルチキャストアドレスと、を含むレコードを新たに生成し、生成したレコードを登録する。
次に、ステップS46で、制御部41は、時計手段から取得した現在時刻と、記憶部42に記憶された監視時刻と、を比較して監視時刻が到来しているか否かを確認する。監視時刻が到来していれば(ステップS46にてYES)、ステップS47の通信監視処理が実行される。
図9に、通信監視処理(図8のステップS47)の詳細手順の例を示す。
ステップS470で、基準番号決定手段412は、警備端末装置2におけるセンタ通知端末決定処理(図6のステップS297)において用いられる基準番号を決定する。ステップS470で、基準番号決定手段412は、前回行われた基準番号決定処理(ステップS470)において決定された基準番号と異なる値を、今回の基準番号として決定する。例えば、基準番号決定手段412は、記憶部42から前回の基準番号決定処理における基準番号を読み出し、読み出した基準番号に所定値を加えた値を今回の基準番号として決定する。この所定値は、正負いずれの値でもよい。読み出した基準番号に所定値を加えた値が、警備端末装置2の端末番号の値の範囲を超えた場合は、警備端末装置2の端末番号の値の範囲内となるように修正する。基準番号決定手段412は、次回の基準番号決定処理で参照するため、決定した基準番号を記憶部42に記憶させておく。
基準番号を決定する方法の他の例として、警備端末装置2の端末番号の最小値から最大値の間で毎回ランダムに選択した値を基準番号としてもよい。
基準番号決定手段412により、偏りなく基準番号の値を変更することで、警備端末装置2のセンタ通知端末決定手段213においてセンタ通知端末として選択される警備端末装置2の偏りを軽減できるので、警備センタ装置4への通信を偏りなく監視でき、また、ユーザの不公平感を軽減できる。
基準番号を決定した後、ステップS471で、応答要求送信手段413は、すべての警備端末装置2に対して応答要求信号を送信する。ステップS471で、応答要求送信手段413は、まず、記憶部42の端末情報データベース421に記憶されたすべてのマルチキャストアドレスを抽出する(同一のマルチキャストアドレスは1つとして抽出する)。次に、応答要求である旨を表す情報及びステップS470で決定した基準番号を含む応答要求信号を生成する。そして、端末情報データベース421から抽出したマルチキャストアドレスを宛先として、生成した応答要求信号をインターネット3へ送出する。応答要求信号はインターネット3を介し、すべての警備端末装置2へ同報送信される。
その後、ステップS472で、障害端末検出手段414は、端末情報データベース421において、すべての端末番号のレコードに含まれる死活状態の項目(図4参照)の値を「0」に設定して初期化する。
次に、ステップS473で、障害端末検出手段414は、タイマ手段により、予め定めたタイムアウト時間(例えば、10秒)の計時を開始させる。
タイマの開始後、ステップS474で、障害端末検出手段414は、センタ通知端末から生存端末リストを受信したか否かを判定する。生存端末リストを受信したと判定されると、処理はステップS475に進み、受信しなかったと判定されると、ステップS475を行わずにステップS476に進む。
ステップS475では、障害端末検出手段414は、ステップS474で受信した生存端末リストに含まれる端末番号を抽出し、抽出した端末番号に対応する端末情報データベース421のレコードに含まれる死活状態の項目の値を「1」に設定する。1つの生存端末リストについてステップS475の処理が行われることで、端末情報データベース421において、その生存端末リストの送信元であるセンタ通知端末が所属する1つの端末グループ5に含まれる複数の警備端末装置2の死活状態が更新される。
ステップS476では、障害端末検出手段414は、タイムアウトか否か、すなわちタイムアウト時間が経過したか否かを判定する。タイムアウトでない場合は、処理はステップS474に戻り、ステップS474以降の処理を繰り返す。タイムアウトの場合、処理はステップS477に進む。
なお、ステップS476におけるタイムアウト時間は、警備端末装置2の通信監視処理において生存通知信号の受信を待機する時間(図6のステップS296)よりも大きな値に設定される。
ステップS477では、障害端末検出手段414は、記憶部42の端末情報データベース421を参照し、死活状態の項目の値が「0」であるレコードの端末番号を抽出する。死活状態の項目の値が「0」であるレコードの端末番号は、ステップS474において受信された生存端末リストの中に含まれていなかった端末番号、あるいは、生存端末リストを所定時間内にセンタ通知できなかった端末グループ5に所属する警備端末装置2の端末番号である。つまり、障害端末の端末番号である。よって、これらの端末番号に対応する警備端末装置2と警備センタ装置4との間の通信において、障害が発生している可能性がある。
ステップS478では、ステップS477において障害端末の端末番号が抽出されたか否かを判定する。障害端末の端末番号が抽出された場合、障害端末検出手段414は、ステップS479の障害情報表示処理を行う。障害端末の端末番号が抽出されなかった場合、障害情報表示処理を行わずに、通信監視処理は終了する。通信監視処理が終了すると、制御部41は、記憶部42に記憶されている監視時刻から予め設定された時間(例えば、10秒)だけ経過した後の時刻を新たな監視時刻として記憶部42に記憶させ、処理は図8のステップS40に戻る。
ステップS479では、障害端末検出手段414は、障害端末に関する情報を表示部45に表示させる処理を行う。例えば、障害端末検出手段414は、障害端末の端末番号、障害端末のIPアドレス、及び、障害端末の端末番号に関して警備対象データベースから取得される情報(警備端末装置2が設置された建物の住所や、その建物の所有者の連絡先など)などを表示部45に表示させる。警備センタに駐在する管制員は、ステップS479において表示部45に表示された情報を確認することで、通信障害に対処することができる。
例えば、管制員は、表示部45に表示された各障害端末のIPアドレスを宛先として、入力部43を介して、UNIX(登録商標) OS(Operating System)又はWindows(登録商標)OSなどの各種のOSにおいて一般的に用いられるpingコマンドを実行することで、各障害端末と警備センタ装置4との間の通信状態を確認できる。pingコマンドの実行により、宛先アドレスの装置に対して応答要求信号(Echo Requestパケット)が送信され、宛先アドレスの装置から応答信号(Echo Replyパケット)が返信されたか否かを確認できる。また、例えば、各障害端末と警備センタ装置4との間の通信経路の情報が得られる場合、その通信経路に含まれる中継機器のそれぞれに対して上述のpingコマンドを実行することで、通信障害が発生している中継機器を特定することもできる。また、必要に応じて、管制員は、障害端末が設置された警備対象の建物の所有者や、障害端末のインターネット3への接続を提供しているプロバイダに、通信障害の発生について連絡するなどの対処を行うこともできる。
障害情報表示処理(ステップS479)の後、制御部41は、記憶部42に記憶されている監視時刻から予め設定された時間(例えば、10秒)だけ経過した後の時刻を新たな監視時刻として記憶部42に記憶させ、処理は図8のステップS40に戻る。
以上、図8及び図9を参照して説明した処理に加えて、警備センタ装置4では、警備契約の解除などにより警備端末装置2が警備システム1から撤去される場合に、端末情報データベース421の更新処理が行われる。この更新処理では、例えば、管制員が、入力部43を操作し、撤去される警備端末装置2の端末番号及び削除指示を入力する。そして、削除指示を受けた制御部41は、記憶部42の端末情報データベース421から、入力された端末番号のレコードを削除することで、端末情報データベース421のデータ内容を更新する。
以下、以上で説明した実施形態において行われる通信監視処理の具体例について、警備端末装置2におけるセンタ通知端末決定処理(図6のステップS297)を中心に説明する。以下の具体例では、図1に例示する警備システム1において、図4に例示する内容のデータが警備センタ装置4の端末情報データベース421に登録されている場合について説明する。
まず、図10を参照し、基準番号が「1」であり、警備端末装置2−4と警備センタ装置4との間に通信障害が発生していて警備端末装置2−4において警備センタ装置4からの応答要求信号を受信できなかった場合について説明する。図10に示す例では、警備端末装置2−4以外の警備端末装置2と警備センタ装置4との間の通信状態は正常であるとする。
図10(a)は、端末グループ5−1における通信の様子及び各警備端末装置2−1,2−3,2−6において生成される生存端末リストの内容を示す。
図10(a)を参照し、端末グループ5−1に含まれる各警備端末装置2−1,2−3,2−6は、警備センタ装置4からの応答要求信号を受信する(図5のステップS27)。次に、端末グループ5−1内の各警備端末装置2の間で、生存通知信号の交換が行われる(図6のステップS292〜S296)。
警備端末装置2−1,2−3,2−6は、それぞれ、自端末番号「1」,「3」,「6」を含む生存通知信号を生成し、マルチキャストアドレスGA1を宛先として、生成した生存通知信号を同報送信する(図6のステップS292)。
警備端末装置2−1は、自装置及び警備端末装置2−3,2−6からの生存通知信号を受信し、警備端末装置2−1の生存端末リスト2231には端末番号「1」,「3」,「6」が記憶される(図6のステップS293〜S296)。同様に、警備端末装置2−3の生存端末リスト2233及び警備端末装置2−6の生存端末リスト2236にも、それぞれ、端末番号「1」,「3」,「6」が記憶される。
次に、端末グループ5−1に含まれる各警備端末装置2において、自律的にセンタ通知端末の決定が行われる(図6のステップS297)。警備端末装置2−1においては、自端末番号「1」は基準番号「1」以上であり、かつ、生存端末リスト2231内の端末番号「1」,「3」,「6」はいずれも自端末番号「1」以上なので、上述の(条件1)が満たされる。したがって、警備端末装置2−1は、自装置をセンタ通知端末に決定する。警備端末装置2−3においては、自端末番号「3」が基準番号「1」以上であり、生存端末リスト2233内に、自端末番号「3」より小さく、基準番号「1」以上である「1」を含むため、上述の(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされない。よって、警備端末装置2−3は、自装置をセンタ通知端末としない。警備端末装置2−6においては、自端末番号「6」が基準番号「1」以上であり、生存端末リスト2236内に、自端末番号「6」より小さく、基準番号「1」以上である「1」を含むため、上述の(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされない。よって、警備端末装置2−6は、自装置をセンタ通知端末としない。以上のように、端末グループ5−1のセンタ通知端末は、警備端末装置2−1の1台に決定される。
センタ通知端末として決定された警備端末装置2−1は、自己の生存端末リスト2231を警備センタ装置4へ送信する(図6のステップS299)。警備センタ装置4は、端末情報データベース421において、受信した生存端末リストに含まれる端末番号「1」,「3」,「6」にそれぞれ対応するレコード4211,4213,4216の「死活状態」の項目の値を「1」に書き換える(図9のステップS475)。
図10(b)は、端末グループ5−2における通信の様子及び各警備端末装置2−2,2−4,2−5において生成される生存端末リストの内容を示す。
図10(b)を参照し、端末グループ5−2に含まれる警備端末装置2のうち、警備端末装置2−2,2−5は、それぞれ、警備センタ装置4からの応答要求信号を受信するが、警備端末装置2−4は、通信障害により応答要求信号を受信できない。次に、端末グループ5−2内で応答要求信号を受信した警備端末装置2−2,2−5間で、生存通知信号の交換が行われる。
応答要求信号を受信した警備端末装置2−2,2−5は、それぞれ、自端末番号「2」,「5」を含む生存通知信号を生成し、マルチキャストアドレスGA2を宛先として、生成した生存通知信号を同報送信する。応答要求信号を受信しなかった警備端末装置2−4では、生存通知信号の同報送信処理は行われない。
警備端末装置2−2,2−5は、それぞれ、警備端末装置2−2,2−5が同報送信した生存通知信号を受信する。警備端末装置2−2の生存端末リスト2232及び警備端末装置2−5の生存端末リスト2235には、それぞれ、端末番号「2」「5」が記憶される。警備端末装置2−4は、警備端末装置2−2,2−5が同報送信した生存通知信号を受信する可能性もあるが、図6の通信監視処理を行わないため、生存端末リスト2234への書き込みを行わない。
次に、端末グループ5−2に含まれる各警備端末装置2−2,2−5において、自律的にセンタ通知端末の決定が行われる。警備端末装置2−2においては、自端末番号「2」は基準番号「1」以上であり、かつ、生存端末リスト2232内の端末番号「2」,「5」はいずれも自端末番号「2」以上なので、上述の(条件1)が満たされる。したがって、警備端末装置2−2は、自装置をセンタ通知端末に決定する。警備端末装置2−5においては、自端末番号「5」が基準番号「1」以上であり、生存端末リスト2235内に、自端末番号「5」より小さく、基準番号「1」以上である「2」を含むため、上述の(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされない。よって、警備端末装置2−5は、自装置をセンタ通知端末としない。警備端末装置2−4では、センタ通知端末決定処理は行われない。以上のように、端末グループ5−2のセンタ通知端末は、警備端末装置2−2の1台に決定される。
センタ通知端末として決定された警備端末装置2−2は、自己の生存端末リスト2232内の端末番号を警備センタ装置4へ送信する。警備センタ装置4は、端末情報データベース421において、受信した生存端末リストに含まれる端末番号「2」,「5」にそれぞれ対応するレコード4212,4225の「死活状態」の項目の値を「1」に書き換える。なお、端末情報データベース421の警備端末装置2−4に対応するレコード4214の「死活状態」の項目の値は初期値の「0」のまま変更されない。
以上の処理を経て、警備センタ装置4では生存端末リスト受信のタイムアウトを迎え(図9のステップS476にてYES)、端末情報データベース421を検索することにより、死活状態の項目の値が「0」であるレコード4214の端末番号「4」が検出され、警備端末装置2−4が障害端末である旨が表示部45に表示される(図9のステップS477〜S479)。
図10を参照して以上で説明した例では、端末グループ5−2内に、警備センタ装置4との間の通信において障害の発生していない警備端末装置2−2,2−5と、通信障害の発生している警備端末装置2−4と、が含まれる。仮に、1つの端末グループ5に含まれるすべての警備端末装置2において通信障害が発生しているとすると、当該端末グループ5のセンタ通知端末は0台となる。この場合、警備センタ装置4の端末情報データベース421において、当該端末グループ5に含まれるすべての警備端末装置2それぞれに対応するレコードの死活状態の項目の値がすべて「0」となる。よって、警備センタ装置4の障害端末検出処理(図9のステップS477)において、当該端末グループ5に含まれるすべての警備端末装置2が障害端末として検出される。
次に、図11を参照し、端末グループ5に含まれるすべての警備端末装置2それぞれと警備センタ装置4との間の通信状態は正常であるが、端末グループ5内の警備端末装置2同士の通信において一部障害が発生している場合の通信監視処理の具体例について説明する。
図11は、図10を参照して説明した具体例と同様の端末グループ5−1において、各警備端末装置2−1,2−3,2−6が警備センタ装置4からの応答要求信号を受信して自端末番号を含む生存通知信号を同報送信したにも関わらず、警備端末装置2−3が警備端末装置2−1からの生存通知信号を受信できなかった場合に、各警備端末装置2で生成される生存端末リストの内容を示す。
図11の例において、警備端末装置2−3は、自装置及び警備端末装置2−6からの生存通知信号を受信し、端末番号「3」,「6」のみを含む生存端末リスト2233を生成したとする。この場合、警備端末装置2−3におけるセンタ通知端末決定処理では、自端末番号「3」が基準番号「1」以上であり、かつ、生存端末リスト2233内の端末番号「3」,「6」がいずれも自端末番号「3」以上なので、上記の(条件1)が満たされる。よって警備端末装置2−3は、自装置をセンタ通知端末に決定する。警備端末装置2−1,2−6については、図10(a)を参照して説明した上述の例と同様、警備端末装置2−1は自装置をセンタ通知端末とし、警備端末装置2−6は自装置をセンタ通知端末としない。こうして、端末グループ5−1において、警備端末装置2−1,2−3の2台がセンタ通知端末となり、それぞれ、生存端末リスト2233,2231に含まれる端末番号を警備センタ装置4に送信する。警備端末装置2−3が送信する生存端末リストは、端末番号「3」,「6」しか含まないため、警備センタ装置4は、警備端末装置2−3からの生存端末リストによっては、警備端末装置2−1が警備センタ装置4からの応答要求信号を正常に受信していることを把握できない。しかしながら、警備センタ装置4は、警備端末装置2−1からも、生存端末リスト(端末番号「1」,「3」,「6」を含む)を受信するため、端末グループ5−1に含まれるすべての警備端末装置2−1,2−3,2−6のそれぞれとの間の通信が正常であることを把握できる。
さらに、再び図10を参照し、警備センタ装置4から各警備端末装置2に送信される基準番号が「1」から「4」に変更された場合について説明する。以下、図10を参照して上記で説明した処理と同様の処理によって各警備端末装置2における生存端末リストの生成(図6のステップS290〜S296まで)が終了した後に、各警備端末装置2で行われるセンタ通知端末決定処理について説明する。
端末グループ5−1において、警備端末装置2−1では、自端末番号「1」が基準番号「4」未満であり、生存端末リスト2231に基準番号「4」以上である「6」を含むので、上記の(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされず、警備端末装置2−1はセンタ通知端末とはならない。警備端末装置2−3では、自端末番号「3」が基準番号「4」未満であり、生存端末リスト2233の端末番号に基準番号「4」以上の端末番号「6」を含むので、上記の(条件1)及び(条件2)のいずれも満たされず、警備端末装置2−3は、センタ通知端末とはならない。警備端末装置2−6では、自端末番号「6」が基準番号「4」以上であり、かつ、生存端末リスト2236の端末番号に含まれる「1」,「3」,「6」のうち「1」,「3」は基準番号「4」未満であり、「6」は自端末番号「6」以上であるため、上記の(条件1)が満たされる。よって、警備端末装置2−6は、自装置をセンタ通知端末として決定する。以上より、基準番号が「4」である場合、基準番号が「1」のときに端末グループ5−1のセンタ通知端末となった警備端末装置2−1とは異なる警備端末装置2−6が端末グループ5−1のセンタ通知端末となる。
端末グループ5−2についても同様に、基準番号が「4」である場合、基準番号が「1」のときのセンタ通知端末であった警備端末装置2−2と異なる警備端末装置2−5がセンタ通知端末となる。
以上で説明した実施形態の処理では、センタ通知端末決定手段213は、生存端末リストの端末番号が増加する方向に基準番号に最も近い端末番号をセンタ通知端末の端末番号として選択する規則を用いた(図6のステップS297)。他の実施形態では、図7に例示する循環リストにおいて、すべての矢印の方向を逆向きとした上で、基準番号からリストの順方向(つまり、端末番号が減少する方向)に最も近い端末番号をセンタ通知端末の端末番号として選択してもよい。この場合、上記(条件1)及び(条件2)を用いる代わりに、以下の(条件3)又は(条件4)が満たされれば自装置はセンタ通知端末であると決定し、(条件3)及び(条件4)のいずれも満たされなければ自装置はセンタ通知端末でないと決定するものとすればよい。
・(条件3)自端末番号が基準番号以下であり、かつ、生存端末リスト中の端末番号がいずれも自端末番号以下または基準番号より大きい。
・(条件4)自端末番号が基準番号より大きく、かつ、生存端末リスト中の端末番号がいずれも基準番号より大きいかつ自端末番号以下である。
センタ通知端末を決定する規則のさらに他の例では、生存端末リストに含まれる端末番号のそれぞれと基準番号との間の差の絶対値を求め、求めた絶対値が最小である端末番号(つまり、生存端末リストに含まれる端末番号のうち基準番号に最も近い端末番号)をセンタ通知端末の端末番号として選択してもよい。
また、以上の実施形態では、警備端末装置2は、警備センタ装置4が設定した基準番号と生存端末リストに含まれる端末番号それぞれとの間の大小関係に基づいてセンタ通知端末を決定する。しかしながら、センタ通知端末を決定する規則は、以上で説明した実施形態の規則に限られない。端末グループ5内で各警備端末装置2が平均的にセンタ通知端末として選択されるような規則であればよい。
例えば、警備センタ装置4は、生存端末リストにおける端末番号の順位(何番目に大きい又は小さい)を指定する値を基準番号として警備端末装置2に対して送信し、警備端末装置2のセンタ通知端末決定手段213は、生存端末リストにおいて、基準番号によって表される順位の端末番号をセンタ通知端末の端末番号として選択するものとしてよい。なお、この際に生存端末リストを図7の例のごとく、小さい順に並べ循環させた循環リストとして順番づけることで、リスト中の識別番号の数によらず順番をつけられる。
さらに他の例では、警備端末装置2において、警備センタ装置4から受信した基準番号を生存端末リストに含まれる端末番号の個数で除算した余りを求め、生存端末リストにおいて、求めた余りの順位に該当する端末番号の警備端末装置2をセンタ通知端末としてもよい。除算の余りを用いる本例の場合、警備センタ装置4は、例えば、毎回1ずつ増加(又は減少)させた数を基準番号としてもよいし、又は、毎回ランダムに選択した数を基準番号としてもよい。
また、以上で説明した実施形態では、警備センタ装置4の応答要求送信手段413は、すべての警備端末装置2に一斉に応答要求信号を送信する。他の実施形態では、例えば、端末グループ5単位で循環的に応答要求信号を送信しても良いし、任意の端末グループの組み合わせで循環的に応答要求信号を送信しても良い。
以上で説明した実施形態では、警備端末装置2の生存通知処理手段212は、警備センタ装置4からの応答要求信号を受信すると通信監視処理(図5のステップS28,図6)を行う。他の実施形態では、警備端末装置2において、予め定められた時間間隔で定期的に通信監視処理を行っても良い。この実施形態において、例えば、警備端末装置2それぞれの記憶部22に、通信監視処理を開始する時刻を記憶させておき、各警備端末装置2において時計手段から取得される現在時刻が記憶部22に記憶された時刻になった場合に通信監視処理を行うように設定しておけば、同じ端末グループ5に所属するすべての警備端末装置2において、ほぼ同時刻に通信監視処理における生存通知信号の同報送信処理(図6のステップS292)が行われる。
以上で説明した実施形態によると、各警備端末装置2がセンタ通知端末として選択される頻度を端末グループ5内で平均化することで、特定の警備端末装置2における通信監視処理の負荷の偏りを軽減できる。また、センタ通知端末は、警備センタ装置4と直接通信を行うため、各警備端末装置2がセンタ通知端末として選択される頻度を平均化すると、各警備端末装置2と警備センタ装置4との間の通信の状態を直接監視できる。例えば、すべての警備端末装置2のそれぞれが順にセンタ通知端末として選択された場合、すべての警備端末装置2それぞれと警備センタ装置4との間の通信状態を順に監視することができる。
また、以上で説明した実施形態では、生存通知信号はグループアドレスを用いる同報送信によって送信される。したがって、以上で説明した実施形態によると、各警備端末装置2には、自グループアドレスを記憶させておけばよいので、同じ端末グループ5の他の警備端末装置2のIPアドレスを記憶させて、これらのIPアドレス宛に生存通知信号を送信するようなシステムと比較して、各警備端末装置2の初期設定が容易である。また、以上で説明した実施形態によると、端末グループ5において警備端末装置2の追加又は削除があった場合でも、他の警備端末装置2の記憶部22に、追加された警備端末装置2のIPアドレスを記憶させたり、削除された警備端末装置2のIPアドレスを記憶部22から削除したりする処理は必要ない。
また、各警備端末装置2において同じ端末グループ5に含まれる他の警備端末装置2のIPアドレスを記憶しておく上述のようなシステムでは、例えば、警備端末装置2の追加又は削除が行われる場合に、同じ端末グループ5に含まれる警備端末装置2の間で互いのIPアドレスを送受信して交換することで、各警備端末装置2に記憶された他の警備端末装置2のIPアドレスを更新することが考えられる。この場合、IPアドレスの更新のために互いのIPアドレスを交換する際に、いずれかの警備端末装置2に通信障害が発生していたとすると、通信障害が発生していた警備端末装置2は、自己が記憶しているIPアドレスを更新できず、他の警備端末装置2においては、通信障害が発生していた警備端末装置2のIPアドレスを取得できない。このような場合、その後の生存通知処理において不整合が生じると考えられる。しかしながら、以上で説明した実施形態によると、警備端末装置2の追加又は削除が行われる場合に警備端末装置2同士でIPアドレスを交換する必要がないため、このような不整合は生じない。
1 警備システム、2 警備端末装置、3 インターネット、4 警備センタ装置、5 端末グループ、6 センサ、21,41 制御部、22,42 記憶部、23 センサLANインターフェース、24,44 LANインターフェース、43 入力部、45 表示部、211 登録申請手段、212 生存通知処理手段、213 センタ通知端末決定手段、214 センタ通知手段、215 警報送信手段、411 端末登録手段、412 基準番号決定手段、413 応答要求送信手段、414 障害端末検出手段、415 警報処理手段、421 端末情報データベース。