JP2009100148A - コンデンサマイクロホンユニットおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユニット構成部材相互間の音波漏洩を確実に阻止して音響管への組み込みにも適するコンデンサマイクロホンユニットおよびその製造方法の提供。
【解決手段】コンデンサマイクロホンユニットの製造方法において、封口前の空気室カップ28の背側周縁部29bと絶縁スリーブ27の内周面27aとが出会う周領域31には、室温硬化性の導電性シーリング材Sを塗布し、該導電性シーリング材Sを介して空気室カップ28側に導電スリーブ32を当接支持させ、該導電スリーブ32上にプリント基板33を載置させた後、ユニットケース12の開口面15を仕切る開放縁部14を内側にかしめた際に生成される内部圧力を導電性シーリング材Sに付与して空気室カップ28の背側周縁部29bと絶縁スリーブ27の内周面27aとの間を密閉封止させつつプリント基板33を封口配置した。
【選択図】図1

Description

本発明は、部材相互間の音波漏洩を阻止することで、安定し、かつ、優れた性能のもとで音響管にも好適に組み込むことができるコンデンサマイクロホンユニットおよびその製造方法に関する技術である。
一方に開口面を有して有底円筒状を呈するユニットケースの前記開口面を仕切る開放縁部をかしめて、前記ユニットケース内にユニット構成部材を収納して形成されるコンデンサマイクロホンユニットは、小型・軽量に形成することができることから、単一指向性を付与してピンマイクロホンなどに用いられる例が多い。
また、ユニットケースの前記開口面側には、下記特許文献1に開示されているようにコンデンサ部の静電容量の変化を電気インピーダンスに変換するインピーダンス変換器が収納されている。この場合、インピーダンス変換器は、コンデンサ部を構成する背極板との電気的導通を確保した状態のもと、前記開口面側を封口するプリント基板に実装されてユニットケース内に組み込まれている。
登録第3017118号実用新案公報
図3は、特許文献1を含む従来からあるコンデンサマイクロホンユニットの構造例を示す説明図である。同図によれば、コンデンサマイクロホンユニットは、一方に前部音響端子孔1aを有し、他方に開口面1bを有して有底円筒状を呈するユニットケース1と、該ユニットケース1内の所定の位置に配置される複数のユニット構成部材とで少なくとも構成されている。
このうち、ユニット構成部材は、前部音響端子孔1a側に対面配置される支持リング2aの内側に振動板1bを張設してなる振動板ユニット2と、スペーサ3を介して振動板1bと対向配置される背極板4と、該背極板4の周端面4aとユニットケース1の内周面との間に配置される絶縁スリーブ5と、振動板1bとは対向しない背極板4の背面側に第1空気室Aを確保すべく配置される空気室カップ6と、該空気室カップ6の背面側に当接支持させて配置される導電スリーブ7と、インピーダンス変換器9を導電スリーブ7側の面に実装してユニットケース1の開口部2b内に配置されるプリント基板8とで少なくとも構成されている。
また、これらユニット構成部材は、ユニットケース1内に所定の手順で配置された後、開口面1bを仕切る開放端部1cを内側に向けてかしめ加工してプリント基板8側を押圧することで、開口面1bを封口しつつ、所定の内部圧力を受けてユニットケース1内に安定的に収納保持されることになる。
この場合、空気室カップ6は、円板部6aと円筒部bとを一体化した断面略コ字形を呈して形成されているほか、円板部6aの略中央部位に適宜の音響抵抗材Rで遮蔽された通孔6cを備えて形成されている。
このため、図3に示すコンデンサマイクロホンユニットは、プリント基板8に設けられた後部音響端子孔8aを経て侵入する音波を、第1空気室Aへと導入し、背極板5に設けられた透孔4bを介して振動板2bの背面に到達させることで、単一指向性が付与されることになる。
ところで、図3に示すコンデンサマイクロホンユニットにおいては、相互に接触し合う関係にあるユニット構成部材同士を密着させた状態にしておくことが望ましいにも拘わらず、微視的にみると隙間を介して非接触部位が形成される例が多い。
これは、個々のユニット構成部材の表面に微小な凹凸が不可避的に形成されることに由来する。特に、空気室カップ6とこれを支持する背極板4との間には、隙間tが、空気室カップ6の円筒部6bと絶縁スリーブ5との間には、隙間tが、空気室カップ6の円板部6aと導電スリーブ7との間には、隙間tがそれぞれ形成されがちである。
このため、プリント板8と空気室カップ6の円板部6aとの間に形成される第2空気室Aは、隙間t〜tを介して第1空気室A側と連通する結果、ユニットケース1の前部音響端子孔1aから取り込まれる音波が第2空気室Aへと漏洩してしまうので、第1空気室Aと第2空気室Aとを音響的に接続したことと等価になる。図3は、このような漏洩状況を誇張して示したものである。
このような隙間t〜tを有するコンデンサマイクロホンユニットは、通常、単一指向性のピンマイクロホン等として使用する状況のもとでは無視し得る程度の音波漏洩であることから特に大きな問題が発生することはない。
しかし、音響管を用いる狭指向性マイクロホンに図3に示すコンデンサマイクロホンユニットを使用する場合には、音響管自体の音響インピーダンスが大きいことから、隙間t〜tの音波漏洩が大きな性能不良を生じさせたり、音波漏洩が均一でないことから性能に大きなバラツキを発生させるなどの不都合があった。
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、ユニット構成部材相互間の音波漏洩を確実に阻止して音響管への組み込みにも適するコンデンサマイクロホンユニットおよびその製造方法を提供することに目的がある。
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、そのうちの第1の発明(製造方法)は、ユニットケース内の前部音響端子孔側に配置される振動板を支持リングに張設してなる振動板ユニットと、スペーサを介して前記振動板と対向配置される透孔付きの背極板と、該背極板の周端面と前記ユニットケースの内周面との間に周回配置される絶縁スリーブと、前記振動板とは対向しない前記背極板の背面側に第1空気室を確保すべく前記絶縁スリーブの内周面側に配置される通孔付きの空気室カップと、該空気室カップの背面側に当接支持させて周回配置される導電スリーブと、前記空気室カップ側との間に第2空気室を確保して前記ユニットケースの開口部内に封口配置される後部音響端子孔付きのプリント基板とを少なくとも備えてなる単一指向性コンデンサマイクロホンユニットの製造方法において、封口前の前記空気室カップの背側周縁部と絶縁スリーブの前記内周面とが出会う周領域には、室温硬化性の導電性シーリング材を塗布し、塗布後の前記導電性シーリング材を介して前記空気室カップ側に前記導電スリーブを当接支持させ、該導電スリーブ上に前記プリント基板を載置させた後、前記ユニットケースの開口面を仕切る開放縁部を内側にかしめた際に生成される内部圧力を前記導電性シーリング材に付与して空気室カップの前記背側周縁部と絶縁スリーブの前記内周面との間を密閉封止させつつ前記プリント基板を封口配置することを最も主要な特徴とする。
また、第2の発明(コンデンサマイクロホンユニット)は、請求項1の製造方法により製造したことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、かしめた際に生成される内部圧力を導電性シーリング材に付与して空気室カップの背側周縁部と絶縁スリーブの内周面との間を密閉封止することができるので、ユニットケースの前部音響端子孔から取り込まれる音波を第1空気室を経て第2空気室へと無用に漏洩させずに遮断できるので、従来のものと変わらない部材構成のもとで、性能的に優れ、かつ、安定したコンデンサマイクロホンユニットを提供することができ、音響管用の狭指向性マイクロホンユニットとしても好適に組み込むことができる。
しかも、本発明によれば、空気室カップと導電スリーブとは、相互間に導電性シーリング材を介在させることで電気的な接続状態をより確実なもとにしてユニットケース内に配置することができる。
図1は、第1の発明(製造方法)における製造工程中のプリント基板配置前の部材相互の関係を例示する説明図であり、図2は、第1の発明を適用して製造された第2の発明(コンデンサマイクロホンユニット)の構造例を示す説明図である。
これらの図によれば、第1の発明は、一方に前部音響端子孔13を有し、他方に開口面15を有して有底円筒状を呈するユニットケース12と、該ユニットケース12内の所定の位置に配置される複数のユニット構成部材とで構成されるコンデンサマイクロホンユニットに適用して実施される。
このうち、ユニット構成部材は、ユニットケース12内の前部音響端子孔13側に配置される振動板22aを支持リング22bに張設してなる振動板ユニット22と、スペーサ24を介して振動板22aと対向配置される透孔26付きの背極板25と、該背極板25の周端面25aとユニットケー12スの内周面12aとの間に周回配置される絶縁スリーブ27と、振動板22aとは対向しない背極板25の背面25b側に第1空気室Aを確保すべく絶縁スリーブ27の内周面27a側に配置される空気室カップ28と、該空気室カップ28の背面29a側に当接支持させて周回配置される導電スリーブ32と、空気室カップ28側との間に第2空気室Aを確保してユニットケース12の開口面15内に封口配置される後部音響端子孔34付きのプリント基板33とで少なくとも構成されている。
この場合、振動板ユニット22における振動板22aと背極板25との間には、コンデンサ部が形成されることになる。
また、空気室カップ28は、円板部29と円筒部29とを一体化した断面略コ字形を呈して形成されているほか、円板部29の略中央部位に適宜の音響抵抗材Rで遮蔽された通孔28aを備えて形成されている。
ている。
さらに、プリント基板33は、空気室カップ28の背面29aと対面する内側面33aに前記コンデンサ部の静電容量の変化を電気インピーダンスに変換するインピーダンス変換器35が実装されている。
しかも、封口前、つまり、ユニットケース12内に振動板ユニット22と背極板25と絶縁スリーブ27と空気室カップ28とが収納配置された段階にある空気室カップ28の背側周縁部29bと絶縁スリーブ27の内周面26aとが出会う周領域31には、例えば、信越化学工業株式会社製の導電性接着シール用の「KE3492」などのような導電型一液室温硬化性ゴムからなる導電性シーリング材Sがその全周に亘り適量塗布される。
導電性シーリング材Sの塗布を終えた後には、該導電性シーリング材Sを介して空気室カップ28における円板部29の背面29a側に導電スリーブ32を当接支持させるようにして載置する。
導電スリーブ32を空気室カップ28側に載置した後は、ユニットケース12の開口面15内に配置されている導電スリーブ32上に、インピーダンス変換器35を空気室カップ28の円板部29側に向けた状態のもとでプリント基板33を載置する。
しかる後、ユニットケース12の開口面15を仕切る開放縁部14は、プリント基板33側を押圧するように内側にかしめられ、その際に生成される内部圧力が導電スリーブ32を介して導電性シーリング材Sに伝達され、該導電性シーリング材Sが押し込まれながら展延するに至る。
このため、空気室カップ28の背側周縁部29bと絶縁スリーブ27の内周面27aとの間の周領域31に形成される隙間tは、展延された導電性シーリング材Sにより密閉封止されるとともに、空気室カップ28側と導電スリーブ32との電気的な接続関係もより確実なものとすることで、コンデンサ部を構成している背極板25とインピーダンス変換器35側との電気的な導通状態を安定化させることができる。
かくして、コンデンサマイクロホンユニット11は、ユニットケース12の開口面15がプリント基板33により封口された状態のもとで一体的に形成されることになる。
次に、第1の発明を適用して製造された第2の発明の作用・効果を説明すれば、コンデンサマイクロホンユニット11は、背極板25と空気室カップ28との間に確保される第1空気室Aと、導電スリーブ32を介して空気室カップ28とプリント基板33との間に確保される第2空気室Aとを備えて形成されている。
この場合、第1空気室Aと第2空気室Aとは、音響抵抗材Rで塞がれた空気室カップ28の通孔28aを介して連通している。
しかし、空気室カップ28の背側周縁部29bと絶縁スリーブ27の内周面27aとの間の周領域31に形成される隙間tは、予め導電性シーリング材Sにより密閉封止されているので、第1空気室Aと第2空気室Aとの間の音波の漏洩は確実に阻止されることになる。
したがって、コンデンサマイクロホンユニット11は、後部音響端子34→第2空気室A→通孔28a→第1空気室A→透孔26→振動板22aからなる音通路の音響抵抗を、通孔28aに覆設される音響抵抗材Rのもとで一義的に規制することができるので、音響抵抗のバラツキをなくして指向周波数応答の安定化を図ることができる。
このため、指向周波数応答が安定しているマイクロホンユニット11は、大きな音響抵抗を有する音響管に組み込んでも、性能不良や性能のバラツキを発生させることがないことから、音響管に好適な狭指向性マイクロホンユニットとして組み込むことによりラインマイクロホンを形成することができる。
しかも、室温硬化した後の導電性シーリング材Sは、空気室カップ28と導電スリーブ32とを安定的に密着させることになり、これら相互間の電気的な導通関係を強固なものとすることもできる。
第1の発明(製造方法)における製造工程中のプリント基板配置前の部材相互の関係を例示する説明図。 第1の発明を適用して製造された第2の発明(コンデンサマイクロホンユニット)の構造例を示す説明図。 従来からあるコンデンサマイクロホンユニットの構造例を示す説明図。
符号の説明
11 コンデンサマイクロホンユニット
12 ユニットケース
12a 内周面
13 前部音響端子孔
14 開放縁部
15 開口面
22 振動板ユニット
22a 振動板
22b 支持リング
24 スペーサ
25 背極板
25a 周端面
25b 背面
26 透孔
27 絶縁スリーブ
27a 内周面
28 空気室カップ
28a 通孔
29 円板部
29a 背側周縁部
29b 背面
30 円筒部
31 周領域
32 導電スリーブ
33プリント基板
33a 内側面
34 後部音響端子孔
35 インピーダンス変換器
第1空気室
第2空気室
R 音響抵抗材
S 導電性シーリング材
t 隙間

Claims (2)

  1. ユニットケース内の前部音響端子孔側に配置される振動板を支持リングに張設してなる振動板ユニットと、スペーサを介して前記振動板と対向配置される透孔付きの背極板と、該背極板の周端面と前記ユニットケースの内周面との間に周回配置される絶縁スリーブと、前記振動板とは対向しない前記背極板の背面側に第1空気室を確保すべく前記絶縁スリーブの内周面側に配置される通孔付きの空気室カップと、該空気室カップの背面側に当接支持させて周回配置される導電スリーブと、前記空気室カップ側との間に第2空気室を確保して前記ユニットケースの開口部内に封口配置される後部音響端子孔付きのプリント基板とを少なくとも備えてなるコンデンサマイクロホンユニットの製造方法において、
    封口前の前記空気室カップの背側周縁部と絶縁スリーブの前記内周面とが出会う周領域には、室温硬化性の導電性シーリング材を塗布し、
    塗布後の前記導電性シーリング材を介して前記空気室カップ側に前記導電スリーブを当接支持させ、
    該導電スリーブ上に前記プリント基板を載置させた後、前記ユニットケースの開口面を仕切る開放縁部を内側にかしめた際に生成される内部圧力を前記導電性シーリング材に付与して空気室カップの前記背側周縁部と絶縁スリーブの前記内周面との間を密閉封止させつつ前記プリント基板を封口配置することを特徴とするコンデンサマイクロホンユニットの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により製造したことを特徴とするコンデンサマイクロホンユニット。
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