JP2009099601A - 窒化物半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】自己発熱による素子の温度上昇を抑制できる窒化物半導体素子を提供すること。
【解決手段】窒化物半導体素子は、基板1と、n+型GaN層3、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6が順に積層されてなる窒化物半導体積層構造部2とを備えている。窒化物半導体積層構造部2には、トレンチ8が形成されている。トレンチ8の壁面9には、ゲート絶縁膜10を介してゲート電極11が形成されている。n+型GaN層6には、ソース電極17がオーミック接触している。また、基板1の他方表面には、ドレイン電極18がオーミック接触している。n−型GaN層4とp型GaN層5との間には、窒化物半導体積層構造部2の側面から露出する第1熱伝導体7が形成されている。窒化物半導体積層構造部2に形成された貫通孔14には、第2熱伝導体15が埋め込まれ、この第2熱伝導体15は、p型GaN層5、n+型GaN層6と接触している
【選択図】図1
【解決手段】窒化物半導体素子は、基板1と、n+型GaN層3、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6が順に積層されてなる窒化物半導体積層構造部2とを備えている。窒化物半導体積層構造部2には、トレンチ8が形成されている。トレンチ8の壁面9には、ゲート絶縁膜10を介してゲート電極11が形成されている。n+型GaN層6には、ソース電極17がオーミック接触している。また、基板1の他方表面には、ドレイン電極18がオーミック接触している。n−型GaN層4とp型GaN層5との間には、窒化物半導体積層構造部2の側面から露出する第1熱伝導体7が形成されている。窒化物半導体積層構造部2に形成された貫通孔14には、第2熱伝導体15が埋め込まれ、この第2熱伝導体15は、p型GaN層5、n+型GaN層6と接触している
【選択図】図1
Description
この発明は、III族窒化物半導体を用いた窒化物半導体素子に関する。
従来、パワーアンプ回路、電源回路、モータ駆動回路などには、シリコン半導体を用いたパワーデバイスが用いられている。
しかし、シリコン半導体の理論限界から、シリコンデバイスの高耐圧化、低抵抗化および高速化は限界に達しつつあり、市場の要求に応えることが困難になりつつある。
そこで、高耐圧、高温動作、大電流密度、高速スイッチングおよび低オン抵抗といった特徴を有する、窒化物半導体素子の開発が検討されている。
しかし、シリコン半導体の理論限界から、シリコンデバイスの高耐圧化、低抵抗化および高速化は限界に達しつつあり、市場の要求に応えることが困難になりつつある。
そこで、高耐圧、高温動作、大電流密度、高速スイッチングおよび低オン抵抗といった特徴を有する、窒化物半導体素子の開発が検討されている。
図6は、従来の窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。
この窒化物半導体素子は、サファイア基板81と、サファイア基板81の側から順に積層された、アンドープGaN層82、n型GaN層83、p型GaN層84およびn型GaN層85からなる、npn構造の積層構造部93と、を備えている。積層構造部93には、n型GaN層85の表面からn型GaN層83の途中までドライエッチングされることにより、メサ形状のメサ積層部92が形成されている。このメサ積層部92の両側面は、積層構造部93の積層界面に対して傾斜した傾斜面91となっている。積層構造部93の表面(傾斜面91を含む)には、SiO2(酸化シリコン)からなるゲート絶縁膜86が形成されている。ゲート絶縁膜86には、n型GaN層85およびn型GaN層83をそれぞれ部分的に露出させるコンタクト開口が形成されている。このコンタクト開口から露出したn型GaN層85には、n型GaN層85にオーミック接触するようにソース電極88が形成されている。一方、コンタクト開口から露出したn型GaN層83には、n型GaN層83にオーミック接触するようにドレイン電極89が形成されている。また、ゲート絶縁膜86上における傾斜面91との対向部分には、ゲート電極87が形成されている。そして、ソース電極88、ドレイン電極89およびゲート電極87は、隣接する各電極との間にポリイミドからなる層間絶縁膜90が介在されることにより、互いに絶縁されている。
この窒化物半導体素子は、サファイア基板81と、サファイア基板81の側から順に積層された、アンドープGaN層82、n型GaN層83、p型GaN層84およびn型GaN層85からなる、npn構造の積層構造部93と、を備えている。積層構造部93には、n型GaN層85の表面からn型GaN層83の途中までドライエッチングされることにより、メサ形状のメサ積層部92が形成されている。このメサ積層部92の両側面は、積層構造部93の積層界面に対して傾斜した傾斜面91となっている。積層構造部93の表面(傾斜面91を含む)には、SiO2(酸化シリコン)からなるゲート絶縁膜86が形成されている。ゲート絶縁膜86には、n型GaN層85およびn型GaN層83をそれぞれ部分的に露出させるコンタクト開口が形成されている。このコンタクト開口から露出したn型GaN層85には、n型GaN層85にオーミック接触するようにソース電極88が形成されている。一方、コンタクト開口から露出したn型GaN層83には、n型GaN層83にオーミック接触するようにドレイン電極89が形成されている。また、ゲート絶縁膜86上における傾斜面91との対向部分には、ゲート電極87が形成されている。そして、ソース電極88、ドレイン電極89およびゲート電極87は、隣接する各電極との間にポリイミドからなる層間絶縁膜90が介在されることにより、互いに絶縁されている。
次に、この窒化物半導体素子の動作について説明する。たとえば、まず、ソース電極88とドレイン電極89との間(ソース−ドレイン間)に、ドレイン電極89側が正となるバイアス(逆バイアス)が与えられる。これにより、n型GaN層83とp型GaN層84との界面(pn接合部)には、逆方向電圧が与えられ、その結果、n型GaN層85とn型GaN層83との間、すなわち、ソース−ドレイン間は、遮断状態(逆バイアス状態)となる。この状態から、ゲート電極87に対して、ソース電極88を基準電位として正となるゲート閾値電圧以上のバイアスが印加されると、p型GaN層84における傾斜面91とゲート絶縁膜86との界面近傍(チャネル領域80)に電子が誘起されて、反転層(チャネル)が形成される。そして、この反転層を介して、ソース−ドレイン間が導通することにより、窒化物半導体素子の動作が実現される。
特開2003−163354号公報
半導体素子が動作すると、たとえば、電流が流れるチャネル部分などから熱が放出される。このような素子の自己発熱は、素子の温度上昇やこの温度上昇によるチャネル移動度の低下の原因となる。そのため、上記の窒化物半導体素子では、自己発熱による熱を、アンドープGaN層82、n型GaN層83およびサファイア基板81を介して外部(たとえば、配線基板など)に放散させている。
一方、素子の自己発熱による熱を、n型GaN層83などのGaN層やサファイア基板81などの基板を介して放散する方策に加えて、素子の自己発熱対策のさらなる向上が要求されている。
そこで、この発明の目的は、自己発熱による素子の温度上昇を抑制することができる窒化物半導体素子を提供することにある。
そこで、この発明の目的は、自己発熱による素子の温度上昇を抑制することができる窒化物半導体素子を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、III族窒化物半導体からなる、n型の第1層、この第1層に積層されたp型不純物を含む第2層およびこの第2層に積層されたn型の第3層を備え、前記第1、第2および第3層に跨る壁面を有する窒化物半導体積層構造部と、前記壁面に、前記第1、第2および第3層に跨って形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第2層に対向するように形成されたゲート電極と、前記第3層に電気的に接続するように形成されたソース電極と、前記第1層に電気的に接続するように形成されたドレイン電極と、素子外表面から前記第1、第2および第3層の少なくとも1つの層に達するように前記窒化物半導体内に埋設され、前記III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い熱伝導体と、を含む、窒化物半導体素子である。
この構成によれば、III族窒化物半導体からなる、n型の第1層、p型不純物を含む第2層およびn型の第3層を積層することによって、npn構造の窒化物半導体積層構造部が形成されている。第1、第2および第3層に跨って形成された壁面には、ゲート絶縁膜が配置されている。このゲート絶縁膜を挟んで、第2層の壁面を形成する部分がチャネル領域を形成し、このチャネル領域にゲート電極が対向している。さらに、第3層に電気的に接続するようにソース電極が形成され、第1層に電気的に接続するようにドレイン電極が形成されている。ソース電極およびドレイン電極は、第3層および第1層にそれぞれ電気的に接続していればよく、これらの電極と半導体層との間に組成や不純物の異なる半導体層が2層以上積層されてあってもよい。
なお、III族窒化物半導体とは、III族元素と窒素とを化合させた半導体であり、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)が代表例である。一般には、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表すことができる。
次に、この窒化物半導体素子の動作について説明する。
次に、この窒化物半導体素子の動作について説明する。
ソース電極とドレイン電極との間には、ドレイン側が正となるバイアスが与えられる。これにより、第1層と第2層との界面のpn接合部には逆方向電圧が与えられ、その結果、第3層と第1層との間、すなわち、ソース電極とドレイン電極との間(ソース−ドレイン間)は、遮断状態(逆バイアス状態)となる。この状態から、ゲート電極に対して、ソース電極を基準電位として正となるゲート閾値電圧以上のバイアスを印加すると、第2層においてゲート電極に対向する壁面付近の領域(チャネル領域)には、電子が誘起されて、反転層(チャネル)が形成される。そして、この反転層を介して、第1層と第3層との間が導通する。こうして、ソース−ドレイン間が導通することになる。すなわち、ゲート電極に所定のバイアスを与えたときにソース−ドレイン間が導通し、ゲート電極にバイアスを与えないときにはソース−ドレイン間が遮断状態となる。このようにして、ノーマリオフ動作が実現される。
請求項1記載の発明では、窒化物半導体素子の素子外表面から第1、第2および第3層の少なくとも1つの層に達するように、窒化物半導体積層構造部内に熱伝導体が埋設されている。そのため、たとえば、素子の動作時にチャネル領域などが発熱する素子の自己発熱が生じても、この熱伝導体を介して、第1、第2および/または第3層の熱を素子外部に放散(放熱)させることができる。さらに、この熱伝導体は、その熱伝導率が前記III族窒化物半導体の熱伝導率よりも高いので、III族窒化物半導体からなる第1、第2および第3層を介して放熱するよりも、効率よく放熱することができる。むろん、熱伝導体を介する放熱と並行して、第1、第2および第3層を介する放熱も行なわれる。したがって、この発明の窒化物半導体素子は、従来の窒化物半導体素子に比べて、素子の自己発熱による熱を効率よく放散することができるので、素子の温度上昇を一層抑制することができる。その結果、素子の温度上昇によるチャネル移動度の低下および素子の劣化などを抑制し、良好な電気特性と高い信頼性とを有する素子を実現することができる。なお、窒化物半導体素子は、前記熱伝導体が1つだけ設けられている構成でもよいし、複数設けられている構成でもよい。
また、前記熱伝導体は、請求項2に記載されているように、前記第3層を貫通して、前記第2層に達するように設けられていることが好ましく、請求項3に記載されているように、前記第1層を貫通して、前記第2層に達するように設けられていることも好ましい。
また、前記熱伝導体は、請求項2に記載されているように、前記第3層を貫通して、前記第2層に達するように設けられていることが好ましく、請求項3に記載されているように、前記第1層を貫通して、前記第2層に達するように設けられていることも好ましい。
熱伝導体が、第2層に達するように設けられている構成により、熱伝導体をチャネル領域の近くに配置させることができる。そのため、自己発熱の主因である、チャネル領域で発生した熱を、効率よく放散させることができるので、素子の温度上昇をより一層抑制することができる。
また、前記熱伝導体は、請求項4に記載されているように、前記窒化物半導体積層構造部の積層方向に対して所定の角度を有する方向に延在していてもよい。たとえば、前記熱半導体が、前記窒化物半導体積層構造部の積層方向に対して所定の角度を有する方向に延在した第1の熱伝導体と、前記第3層(前記第1層)を貫通して、前記第2層に達するように設けられた第2の熱伝導体とを備える構成であれば、いずれか一方の熱伝導体が設けられる構成に比べて、より一層の放熱効果を得ることができる。なお、積層方向に対して所定の角度を有する方向としては、たとえば、積層方向に直交する方向などが挙げられる。
また、前記熱伝導体は、請求項4に記載されているように、前記窒化物半導体積層構造部の積層方向に対して所定の角度を有する方向に延在していてもよい。たとえば、前記熱半導体が、前記窒化物半導体積層構造部の積層方向に対して所定の角度を有する方向に延在した第1の熱伝導体と、前記第3層(前記第1層)を貫通して、前記第2層に達するように設けられた第2の熱伝導体とを備える構成であれば、いずれか一方の熱伝導体が設けられる構成に比べて、より一層の放熱効果を得ることができる。なお、積層方向に対して所定の角度を有する方向としては、たとえば、積層方向に直交する方向などが挙げられる。
前記窒化物半導体積層構造部は、請求項5に記載されているように、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板、SiC基板およびSi基板からなる群より選択される1種の基板上に形成されていることが好ましい。
AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板、SiC基板およびSi基板は、サファイア基板よりも熱伝導率が高い。そのため、窒化物半導体積層構造部が上記基板上に形成されている構成により、窒化物半導体積層構造部および基板を介しても、効率よく放熱することができる。なお、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板としては、たとえば、GaN基板、AlN基板などが挙げられる。
AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板、SiC基板およびSi基板は、サファイア基板よりも熱伝導率が高い。そのため、窒化物半導体積層構造部が上記基板上に形成されている構成により、窒化物半導体積層構造部および基板を介しても、効率よく放熱することができる。なお、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板としては、たとえば、GaN基板、AlN基板などが挙げられる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。この窒化物半導体素子は、基板1と、基板1の一方表面(上面)に形成された窒化物半導体積層構造部2とを備えている。
基板1としては、たとえば、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板(たとえば、GaN基板、AlN基板など)、SiC基板およびSi基板など、熱伝導性の良好な導電性基板を適用することが好ましい。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。この窒化物半導体素子は、基板1と、基板1の一方表面(上面)に形成された窒化物半導体積層構造部2とを備えている。
基板1としては、たとえば、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板(たとえば、GaN基板、AlN基板など)、SiC基板およびSi基板など、熱伝導性の良好な導電性基板を適用することが好ましい。
窒化物半導体積層構造部2は、n+型GaN層3と、n+型GaN層3上に積層されたn−型GaN層4と、n−型GaN層4上に積層されたp型GaN層5(第2層)と、p型GaN層5上に積層されたn+型GaN層6(第3層)とを備えている。n+型GaN層3およびn+型GaN層6は、n−型GaN層4よりもn型不純物濃度が高く、その濃度は、たとえば、3×1018cm−3である。一方、n−型GaN層4のn型不純物濃度は、たとえば、5×1016cm−3である。
窒化物半導体積層構造部2の積層界面に沿う横方向(以下、この方向を「幅方向」という。)中間付近には、n+型GaN層6からp型GaN層5を貫通してn−型GaN層4の途中部に至る深さのトレンチ8が形成されている。この実施形態では、トレンチ8は、断面略V字形に形成されており、幅方向に一定の間隔を空けて複数形成され、それぞれ図1の紙面と直交する方向(トレンチ8の長手方向)に延びている。また、トレンチ8の傾斜した側面は、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6に跨がる壁面9を形成している。この壁面9の全域を覆い、さらに、n+型GaN層6の上面には、ゲート絶縁膜10が形成されている。
n+型GaN層3、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6は、基板1の上に、たとえば、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)によってエピタキシャル成長されている。
たとえば、主面がc面(0001)の基板1を用いると、この基板1の上にエピタキシャル成長によって成長させられるn+型GaN層3、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6は、やはりc面(0001)を主面として積層されることになる。また、窒化物半導体積層構造部2の壁面9の面方位は、たとえば、c面(0001)に対して15°〜90°の範囲で傾斜した面(c面以外の面)である。より具体的には、たとえば、m面(10-10)またはa面(11-20)などの非極性面や、(10-13)、(10-11)、(11-22)などのセミポーラ面となる。
たとえば、主面がc面(0001)の基板1を用いると、この基板1の上にエピタキシャル成長によって成長させられるn+型GaN層3、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6は、やはりc面(0001)を主面として積層されることになる。また、窒化物半導体積層構造部2の壁面9の面方位は、たとえば、c面(0001)に対して15°〜90°の範囲で傾斜した面(c面以外の面)である。より具体的には、たとえば、m面(10-10)またはa面(11-20)などの非極性面や、(10-13)、(10-11)、(11-22)などのセミポーラ面となる。
ゲート絶縁膜10は、たとえば、窒化物または酸化物で構成することができる。より具体的には、ゲート絶縁膜10をSiN(窒化シリコン)またはSiO2(酸化シリコン)で構成すれば、p型GaN層5との界面の電荷を低減することができ、チャネル領域12(後述)におけるキャリア移動度を向上することができる。すなわち、チャネル抵抗を低減することができる。ゲート絶縁膜10上には、ゲート電極11が形成されている。
ゲート電極11は、ゲート絶縁膜10を介して壁面9、すなわちn−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6に対向しており、さらに、n+型GaN層6の上面においてトレンチ8の縁部付近にまで延びて形成されている。また、ゲート電極11は、たとえば、Niと、このNi上に積層されたAuとからなるNi/Au合金、Pd/Au合金、Pd/Ti/Au合金およびPd/Pt/Au合金、Pt、Al、ポリシリコンなどの導電性材料で構成することができる。
p型GaN層5において壁面9付近の領域は、ゲート電極11に対向したチャネル領域12である。このチャネル領域12には、ゲート電極11に適切なバイアスが与えられることにより、n−型GaN層4とn+型GaN層6との間を電気的に導通させる反転チャネルが形成される。
窒化物半導体積層構造部2において、n−型GaN層4とp型GaN層5との間には、トレンチ8の長手方向に沿うストライプ状の第1熱伝導体7が部分的に形成されている。第1熱伝導体7は、III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い材料、たとえば、AlN(窒化アルミニウム)などを用いて形成することができ、この実施形態では、AlNを用いて形成されている。第1熱伝導体7は、トレンチ8の両側において、窒化物半導体積層構造部2の側面(素子外表面)から露出するように、たとえば、窒化物半導体積層構造部2の積層方向に直交する方向に延在しており、n−型GaN層4およびp型GaN層5に接触している。
窒化物半導体積層構造部2において、n−型GaN層4とp型GaN層5との間には、トレンチ8の長手方向に沿うストライプ状の第1熱伝導体7が部分的に形成されている。第1熱伝導体7は、III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い材料、たとえば、AlN(窒化アルミニウム)などを用いて形成することができ、この実施形態では、AlNを用いて形成されている。第1熱伝導体7は、トレンチ8の両側において、窒化物半導体積層構造部2の側面(素子外表面)から露出するように、たとえば、窒化物半導体積層構造部2の積層方向に直交する方向に延在しており、n−型GaN層4およびp型GaN層5に接触している。
ゲート絶縁膜10には、トレンチ8の両側において、n+型GaN層6の上面を露出させる一対のコンタクト開口16が形成されている。コンタクト開口16から露出するn+型GaN層6上には、ソース電極17が形成されている。
ソース電極17は、n+型GaN層6に対してオーミック接触(電気的に接続)しており、たとえば、Tiと、このTi上に積層されたAlからなるTi/Al合金などの金属を用いて構成することができる。ソース電極17を、Alを含む金属で構成しておくことにより、ソース電極17をn+型GaN層6に対して良好にオーミック接触させることができる。ソース電極17は、その他、MoもしくはMo化合物(たとえば、モリブデンシリサイド)、TiもしくはTi化合物(たとえば、チタンシリサイド)、またはWもしくはW化合物(たとえば、タングステンシリサイド)で構成してもよい。
ソース電極17は、n+型GaN層6に対してオーミック接触(電気的に接続)しており、たとえば、Tiと、このTi上に積層されたAlからなるTi/Al合金などの金属を用いて構成することができる。ソース電極17を、Alを含む金属で構成しておくことにより、ソース電極17をn+型GaN層6に対して良好にオーミック接触させることができる。ソース電極17は、その他、MoもしくはMo化合物(たとえば、モリブデンシリサイド)、TiもしくはTi化合物(たとえば、チタンシリサイド)、またはWもしくはW化合物(たとえば、タングステンシリサイド)で構成してもよい。
窒化物半導体積層構造部2には、貫通孔14が形成されている。この実施形態では、ソース電極17よりも幅方向外側に、一対の貫通孔14が形成されている。貫通孔14は、窒化物半導体積層構造部2の積層方向に第1熱伝導体7と対向するn+型GaN層6の上面(素子外表面)から、n+型GaN層6およびp型GaN層5を貫通し、第1熱伝導体7の上面に至る深さにまで形成されている。なお、貫通孔14は、トレンチ8の長手方向に沿って、複数個が整列して形成されていてもよいし、トレンチ8の長手方向に沿うストライプ状に形成されていてもよい。この貫通孔14には、第2熱伝導体15が埋め込まれている。
第2熱伝導体15は、その側面においてp型GaN層5およびn+型GaN層6と接触しており、その下面において第1熱伝導体7と接触している。また、第2熱伝導体15は、III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い材料、たとえば、AlN(窒化アルミニウム)などを用いて形成することができ、この実施形態では、AlNを用いて形成されている。そして、第2熱伝導体15は、ゲート絶縁膜10に形成された開口27から露出しており、たとえば、開口27から露出した部分(第2熱伝導体15の上面)において、窒化物半導体素子に取り付けられたヒートシンクなどの放熱機構に接続される。これによって、第1熱伝導体7および第2熱伝導体15に伝えられる熱を、ヒートシンクを介して外部に放散させることができる。
基板1の他方表面(下面)には、ドレイン電極18が接触形成されている。ドレイン電極18は、基板1に対してオーミック接触(電気的に接続)しており、たとえば、ソース電極17と同種の金属、すなわち、Ti/Al合金などの金属を用いて構成することができる。ドレイン電極18は、その他、MoもしくはMo化合物(たとえば、モリブデンシリサイド)、TiもしくはTi化合物(たとえば、チタンシリサイド)、またはWもしくはW化合物(たとえば、タングステンシリサイド)で構成してもよい。
次に、上記の窒化物半導体素子の動作について説明する。
ソース電極17とドレイン電極18との間には、ドレイン電極18側が正となるバイアスが与えられる。これにより、n−型GaN層4とp型GaN層5との界面のpn接合には逆方向電圧が与えられ、その結果、n+型GaN層6とn+型GaN層3との間、すなわち、ソース電極17とドレイン電極18との間(ソース−ドレイン間)は、遮断状態(逆バイアス状態)となる。この状態から、ゲート電極11に対して、ソース電極17を基準電位として正となるゲート閾値電圧以上のバイアスを印加すると、チャネル領域12におけるゲート絶縁膜10との界面近傍には、電子が誘起されて、反転層(チャネル)が形成される。そして、この反転層を介して、n+型GaN層3とn+型GaN層6との間が導通する。こうして、ソース−ドレイン間が導通することになる。すなわち、ゲート電極11に所定のバイアスを与えたときにソース−ドレイン間が導通し、ゲート電極11にバイアスを与えないときにはソース−ドレイン間が遮断状態となる。このようにして、ノーマリオフ動作が実現される。
ソース電極17とドレイン電極18との間には、ドレイン電極18側が正となるバイアスが与えられる。これにより、n−型GaN層4とp型GaN層5との界面のpn接合には逆方向電圧が与えられ、その結果、n+型GaN層6とn+型GaN層3との間、すなわち、ソース電極17とドレイン電極18との間(ソース−ドレイン間)は、遮断状態(逆バイアス状態)となる。この状態から、ゲート電極11に対して、ソース電極17を基準電位として正となるゲート閾値電圧以上のバイアスを印加すると、チャネル領域12におけるゲート絶縁膜10との界面近傍には、電子が誘起されて、反転層(チャネル)が形成される。そして、この反転層を介して、n+型GaN層3とn+型GaN層6との間が導通する。こうして、ソース−ドレイン間が導通することになる。すなわち、ゲート電極11に所定のバイアスを与えたときにソース−ドレイン間が導通し、ゲート電極11にバイアスを与えないときにはソース−ドレイン間が遮断状態となる。このようにして、ノーマリオフ動作が実現される。
図2A〜2Iは、図1の窒化物半導体素子の第1の製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
この窒化物半導体素子の製造に際しては、まず、図2Aに示すように、基板1が用意され、この基板1の上に、たとえば、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)により、n+型GaN層3およびn−型GaN層4が形成される。なお、n+型GaN層3を成長させるときのn型不純物としては、たとえば、Siを用いればよい。
この窒化物半導体素子の製造に際しては、まず、図2Aに示すように、基板1が用意され、この基板1の上に、たとえば、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)により、n+型GaN層3およびn−型GaN層4が形成される。なお、n+型GaN層3を成長させるときのn型不純物としては、たとえば、Siを用いればよい。
次いで、公知のフォトリソグラフィ技術により、第1熱伝導体7を形成すべき領域に開口部を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、AlNが、たとえば、ECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)スパッタ法によりスパッタされる。こうして、図2Bに示すように、n−型GaN層4上に、n−型GaN層4の上面を部分的に露出させる第1熱伝導体7が形成される。
続いて、第1熱伝導体7から露出するn−型GaN層4の上面から、たとえば、MOCVD法により、p型のGaNが成長させられる。より具体的には、p型のGaNは、まず、縦方向に成長しやすい条件(成長温度およびチャンバ内圧力など)で成長させられ、その後、横方向に成長しやすい条件(成長温度およびチャンバ内圧力など)で成長させられる。p型のGaNが、このような条件で成長させられることにより、図2Cに示すように、n−型GaN層4上において、第1熱伝導体7を被覆するp型GaN層5が形成される。なお、p型GaN層5を成長させるときのp型不純物としては、たとえば、MgまたはCを用いればよい。
p型GaN層5が形成された後には、図2Dに示すように、たとえば、MOCVD法により、n+型GaN層6が形成される。なお、n+型GaN層6を成長させるときのn型不純物としては、たとえば、Siを用いればよい。こうして、基板1の一方表面(上面)に、n+型GaN層3、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6からなる窒化物半導体積層構造部2が形成される。
窒化物半導体積層構造部2が形成された後には、公知のフォトリソグラフィ技術により、貫通孔14を形成すべき領域に開口部を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、n+型GaN層6およびp型GaN層5がドライエッチングされる。これにより、図2Eに示すように、n+型GaN層6およびp型GaN層5を貫通する貫通孔14が形成されて、第1熱伝導体7の上面が部分的に露出する。
続いて、公知のフォトリソグラフィ技術により、貫通孔14の開口形状に対応する開口部を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、第2熱伝導体15の材料として用いられる熱伝導材料(この実施形態では、AlN)が、たとえば、ECRスパッタ法により、堆積される。その後は、フォトレジストが除去されることにより、熱伝導材料の不要部分(第2熱伝導体15以外の部分)がフォトレジストとともにリフトオフされる。これらの工程により、図2Fに示すように、貫通孔14内に第2熱伝導体15が埋設される。
次いで、図2Gに示すように、窒化物半導体積層構造部2の幅方向中間部付近に、断面略V字形のトレンチ8が、窒化物半導体積層構造部2の長手方向に沿ってストライプ状に形成される。トレンチ8の形成は、塩素系ガスを用いたドライエッチング(異方性エッチング)によって行なうことができる。なお、ドライエッチングの後、必要に応じて、ドライエッチングによってダメージを受けたトレンチ8の壁面9を改善するためのウェットエッチング処理を行なってもよい。ウェットエッチングには、HF(フッ酸)やHCl(塩酸)などを用いることが好ましい。これにより、Si系の酸化物やGaの酸化物などが除去され、壁面9を均すことができるので、ダメージの少ない壁面9を得ることができる。壁面9のダメージを低減しておくことにより、チャネル領域12(図1参照)の結晶状態を良好に保つことができ、また、壁面9とゲート絶縁膜10との界面を良好な界面とすることができるので、界面準位を低減することができる。これにより、チャネル抵抗を低減することができるとともに、リーク電流を抑制することができる。なお、ウェットエッチング処理に代えて、低ダメージのドライエッチング処理を適用することもできる。
次に、図2Hに示すように、断面略V字形のトレンチ8の壁面9を覆うとともに、n+型GaN層6の上面を覆うゲート絶縁膜10が形成される。ゲート絶縁膜10の形成には、ECRスパッタ法を適用することが好ましい。
その後、公知のフォトリソグラフィ技術により、コンタクト開口16を形成すべき領域に開口部を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ゲート絶縁膜10がストライプ状にドライエッチングされる。これにより、コンタクト開口16が形成されて、n+型GaN層6が部分的に露出する。次いで、公知のフォトリソグラフィ技術により、ソース電極17を形成すべき領域に開口部を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ソース電極17の材料として用いられるメタル(たとえば、TiおよびAl)が、スパッタ法により、Ti/Alの順にスパッタされる。その後は、フォトレジストが除去されることにより、メタルの不要部分(ソース電極17以外の部分)がフォトレジストとともにリフトオフされる。これらの工程により、図2Iに示すように、ソース電極17が形成される。ソース電極17が形成された後には、熱アロイ(アニール処理)が行なわれることにより、ソース電極17とn+型GaN層6とが電気的に接続される。
その後、公知のフォトリソグラフィ技術により、コンタクト開口16を形成すべき領域に開口部を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ゲート絶縁膜10がストライプ状にドライエッチングされる。これにより、コンタクト開口16が形成されて、n+型GaN層6が部分的に露出する。次いで、公知のフォトリソグラフィ技術により、ソース電極17を形成すべき領域に開口部を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ソース電極17の材料として用いられるメタル(たとえば、TiおよびAl)が、スパッタ法により、Ti/Alの順にスパッタされる。その後は、フォトレジストが除去されることにより、メタルの不要部分(ソース電極17以外の部分)がフォトレジストとともにリフトオフされる。これらの工程により、図2Iに示すように、ソース電極17が形成される。ソース電極17が形成された後には、熱アロイ(アニール処理)が行なわれることにより、ソース電極17とn+型GaN層6とが電気的に接続される。
その後は、たとえば、ソース電極17の形成方法と同様の方法により、図2Iに示すように、ゲート絶縁膜10を挟んで壁面9およびn+型GaN層6の上面においてトレンチ8の縁部に対向する、ゲート電極11が形成される。
また、たとえば、ソース電極17の形成方法と同様の方法により、図2Iに示すように、基板1の他方表面(下面)に、ドレイン電極18が形成される。
また、たとえば、ソース電極17の形成方法と同様の方法により、図2Iに示すように、基板1の他方表面(下面)に、ドレイン電極18が形成される。
そして、コンタクト開口16の形成方法と同様の方法により、図2Iに示すように、ゲート絶縁膜10における第2熱伝導体15の上方に位置する部分がドライエッチングされる。これにより、ゲート絶縁膜10に開口27が形成され、第2熱伝導体15の上面は、開口27から露出する。こうして、図1に示す窒化物半導体素子を得ることができる。
以上のように、この窒化物半導体素子では、AlNからなる第1熱伝導体7が、窒化物半導体積層構造部2の側面から露出するように、トレンチ8の長手方向に沿ってストライプ状に延在しており、n−型GaN層4およびp型GaN層5に接触している。また、AlNからなる第2熱伝導体15が、貫通孔14に埋設されており、その側面においてp型GaN層5およびn+型GaN層6に接触している。そのため、たとえば、窒化物半導体素子の動作時にチャネル領域12などから自己発熱が生じ、p型GaN層5、およびこのp型GaN層5に接触しているn−型GaN層4およびn+型GaN層6が加熱されても、第1熱伝導体7および第2熱伝導体15を介して、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6の熱を素子外部に放散(放熱)させることができる。
以上のように、この窒化物半導体素子では、AlNからなる第1熱伝導体7が、窒化物半導体積層構造部2の側面から露出するように、トレンチ8の長手方向に沿ってストライプ状に延在しており、n−型GaN層4およびp型GaN層5に接触している。また、AlNからなる第2熱伝導体15が、貫通孔14に埋設されており、その側面においてp型GaN層5およびn+型GaN層6に接触している。そのため、たとえば、窒化物半導体素子の動作時にチャネル領域12などから自己発熱が生じ、p型GaN層5、およびこのp型GaN層5に接触しているn−型GaN層4およびn+型GaN層6が加熱されても、第1熱伝導体7および第2熱伝導体15を介して、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6の熱を素子外部に放散(放熱)させることができる。
さらに、第1熱伝導体7および第2熱伝導体15は、それぞれAlNからなり、AlNは、その熱伝導率がIII族窒化物半導体の熱伝導率よりも高い。そのため、III族窒化物半導体からなるn−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6を介して放熱するよりも、効率よく放熱することができる。むろん、第1熱伝導体7および第2熱伝導体15を介しての放熱と並行して、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6を介しての放熱も行なわれる。したがって、この実施形態における窒化物半導体素子は、従来の窒化物半導体素子(たとえば、図6に示す素子)に比べて、素子の自己発熱による熱を効率よく放散することができるので、素子の温度上昇を一層抑制することができる。その結果、温度上昇によるチャネル移動度の低下および素子の劣化などを抑制し、良好な電気特性と高い信頼性とを有する素子を実現することができる。
とりわけ、この実施形態では、第1熱伝導体7および第2熱伝導体15が、ともにp型GaN層5に接触するように窒化物半導体積層構造部2内に埋設されているので、第1熱伝導体7および第2熱伝導体15をチャネル領域12の近くに配置させることができる。そのため、自己発熱の主因である、チャネル領域12で発生した熱を、効率よく放散させることができるので、素子の温度上昇をより一層抑制することができる。また、第1熱伝導体7および第2熱伝導体15というように、複数の放熱体が設けられているので、より一層の放熱効果を得ることができる。
さらに、基板1として、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板、SiC基板およびSi基板など、熱伝導性の良好な導電性基板を適用すれば、基板1を介しても、効率よく放熱することができる。
図3は、この発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。図3において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図3は、この発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。図3において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
この実施形態では、窒化物半導体積層構造部2において、n+型GaN層3とn−型GaN層4との間には、トレンチ8の長手方向に沿うストライプ状の第3熱伝導体13が部分的に形成されている。第3熱伝導体13は、III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い材料、たとえば、AlN(窒化アルミニウム)などを用いて形成することができ、この実施形態では、AlNを用いて形成されている。第3熱伝導体13は、トレンチ8の両側下方において、窒化物半導体積層構造部2の側面(素子外表面)から露出するように、たとえば、窒化物半導体積層構造部2の積層方向に直交する方向に延在しており、n+型GaN層3およびn−型GaN層4に接触している。
また、基板1および窒化物半導体積層構造部2において、ドレイン電極18よりも幅方向外側に、一対の貫通孔19が形成されている。貫通孔19は、窒化物半導体積層構造部2の積層方向に第3熱伝導体13と対向する基板1の下面(素子外表面)から、基板1およびn+型GaN層3を貫通し、第3熱伝導体13の下面に至る深さにまで形成されている。なお、貫通孔19は、トレンチ8の長手方向に沿って、複数個が整列して形成されていてもよいし、トレンチ8の長手方向に沿うストライプ状に形成されていてもよい。この貫通孔19には、第4熱伝導体20が埋め込まれている。
第4熱伝導体20は、その側面においてn+型GaN層3および基板1と接触しており、その上面において第3熱伝導体13と接触している。また、第4熱伝導体20は、III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い材料、たとえば、AlN(窒化アルミニウム)などを用いて形成することができ、この実施形態では、AlNを用いて形成されている。そして、第4熱伝導体20は、たとえば、基板1の下面から露出した部分(第4熱伝導体20の下面)において、窒化物半導体素子に取り付けられたヒートシンクなどの放熱機構に接続される。これによって、第3熱伝導体13および第4熱伝導体20に伝えられる熱を、ヒートシンクを介して外部に放散させることができるとともに、基板1部分において発生した熱も効率よく放散させることができる。その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、動作もまた、同様である。
図4は、この発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。図4において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図4は、この発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。図4において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
この実施形態では、基板1および窒化物半導体積層構造部2において、ドレイン電極18よりも幅方向外側に、1つの貫通孔21が形成されている。貫通孔21は、窒化物半導体積層構造部2の積層方向にソース電極17と対向する基板1の下面(素子外表面)から、基板1、n+型GaN層3、n−型GaN層4を貫通し、p型GaN層5の層厚中間部に至る深さにまで形成されている。なお、貫通孔21は、トレンチ8の長手方向に沿って、複数個が整列して形成されていてもよいし、トレンチ8の長手方向に沿うストライプ状に形成されていてもよい。この貫通孔21には、第5熱伝導体22が埋め込まれている。
第5熱伝導体22は、その側面においてp型GaN層5、n−型GaN層4、n+型GaN層3および基板1と接触しており、その上面においてp型GaN層5と接触している。また、第5熱伝導体22は、III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い材料、たとえば、AlN(窒化アルミニウム)などを用いて形成することができ、この実施形態では、AlNを用いて形成されている。そして、第5熱伝導体22は、たとえば、基板1の下面から露出した部分(第5熱伝導体22の下面)において、窒化物半導体素子に取り付けられたヒートシンクなどの放熱機構に接続される。これによって、第5熱伝導体22に伝えられる熱を、ヒートシンクを介して外部に放散させることができるとともに、基板1部分において発生した熱も効率よく放散させることができる。その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、動作もまた、同様である。
図5は、この発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。図5において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図5は、この発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。図5において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
この実施形態では、ゲート絶縁膜10および窒化物半導体積層構造部2において、ソース電極17よりも幅方向外側に、1つの貫通孔23が形成されている。貫通孔23は、n+型GaN層6の上面(素子外表面)から、n+型GaN層6を貫通し、p型GaN層5の層厚中間部に至る深さにまで形成されている。なお、貫通孔23は、トレンチ8の長手方向に沿って、複数個が整列して形成されていてもよいし、トレンチ8の長手方向に沿うストライプ状に形成されていてもよい。この貫通孔23には、第6熱伝導体24が埋め込まれている。
第6熱伝導体24は、その側面においてp型GaN層5、n+型GaN層6およびゲート絶縁膜10と接触しており、その下面においてp型GaN層5と接触している。また、第6熱伝導体24は、III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い材料、たとえば、AlN(窒化アルミニウム)などを用いて形成することができ、この実施形態では、AlNを用いて形成されている。そして、第6熱伝導体24は、ゲート絶縁膜10に形成された開口28から露出しており、たとえば、開口28から露出した部分(第6熱伝導体24の上面)において、窒化物半導体素子に取り付けられたヒートシンクなどの放熱機構に接続される。これによって、第6熱伝導体24に伝えられる熱を、ヒートシンクを介して外部に放散させることができる。その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、動作もまた、同様である。
第6熱伝導体24は、その側面においてp型GaN層5、n+型GaN層6およびゲート絶縁膜10と接触しており、その下面においてp型GaN層5と接触している。また、第6熱伝導体24は、III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い材料、たとえば、AlN(窒化アルミニウム)などを用いて形成することができ、この実施形態では、AlNを用いて形成されている。そして、第6熱伝導体24は、ゲート絶縁膜10に形成された開口28から露出しており、たとえば、開口28から露出した部分(第6熱伝導体24の上面)において、窒化物半導体素子に取り付けられたヒートシンクなどの放熱機構に接続される。これによって、第6熱伝導体24に伝えられる熱を、ヒートシンクを介して外部に放散させることができる。その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、動作もまた、同様である。
以上、この発明の複数の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、窒化物半導体素子の放熱を行うための熱伝導体は、窒化物半導体素子の素子外表面からn+型GaN層3、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6の少なくとも1つの層に達するトレンチを形成し、このトレンチに埋設される構成でもよい。また、熱伝導体は、窒化物半導体素子におけるn+型GaN層6側および基板1側の両方に形成される構成、たとえば、窒化物半導体素子に第1熱伝導体7、第2熱伝導体15、第3熱伝導体13および第4熱伝導体20の全てが形成される構成でもよい。
たとえば、窒化物半導体素子の放熱を行うための熱伝導体は、窒化物半導体素子の素子外表面からn+型GaN層3、n−型GaN層4、p型GaN層5およびn+型GaN層6の少なくとも1つの層に達するトレンチを形成し、このトレンチに埋設される構成でもよい。また、熱伝導体は、窒化物半導体素子におけるn+型GaN層6側および基板1側の両方に形成される構成、たとえば、窒化物半導体素子に第1熱伝導体7、第2熱伝導体15、第3熱伝導体13および第4熱伝導体20の全てが形成される構成でもよい。
たとえば、前述の実施形態では、窒化物半導体積層構造部2に断面略V字形のトレンチ8が形成される例について説明したが、トレンチ8の形状は、逆台形、U形、矩形、台形等の他の形状であってもよい。
また、前述の実施形態では、壁面9は、基板1に対して傾斜した平面であるとしたが、傾斜している必要はなく、また、平面である必要もない。すなわち、壁面9は、基板1に垂直な平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。
また、前述の実施形態では、壁面9は、基板1に対して傾斜した平面であるとしたが、傾斜している必要はなく、また、平面である必要もない。すなわち、壁面9は、基板1に垂直な平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。
さらに、前述の実施形態では、第1熱伝導体7および第3熱伝導体13は、窒化物半導体積層構造部2の積層方向に直交する方向に延在しているとしたが、これら熱伝導体は、窒化物半導体積層構造部2の側面(素子外表面)から露出していればよく、窒化物半導体積層構造部2の積層方向に直交する方向に延在していなくてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 基板
2 窒化物半導体積層構造部
3 n+型GaN層
4 n−型GaN層
5 p型GaN層
6 n+型GaN層
7 第1熱伝導体
8 トレンチ
9 壁面
10 ゲート絶縁膜
11 ゲート電極
13 第3熱伝導体
14 貫通孔
15 第2熱伝導体
17 ソース電極
18 ドレイン電極
19 貫通孔
20 第4熱伝導体
21 貫通孔
22 第5熱伝導体
23 貫通孔
24 第6熱伝導体
27 開口
28 開口
2 窒化物半導体積層構造部
3 n+型GaN層
4 n−型GaN層
5 p型GaN層
6 n+型GaN層
7 第1熱伝導体
8 トレンチ
9 壁面
10 ゲート絶縁膜
11 ゲート電極
13 第3熱伝導体
14 貫通孔
15 第2熱伝導体
17 ソース電極
18 ドレイン電極
19 貫通孔
20 第4熱伝導体
21 貫通孔
22 第5熱伝導体
23 貫通孔
24 第6熱伝導体
27 開口
28 開口
Claims (5)
- III族窒化物半導体からなる、n型の第1層、この第1層に積層されたp型不純物を含む第2層およびこの第2層に積層されたn型の第3層を備え、前記第1、第2および第3層に跨る壁面を有する窒化物半導体積層構造部と、
前記壁面に、前記第1、第2および第3層に跨って形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第2層に対向するように形成されたゲート電極と、
前記第3層に電気的に接続するように形成されたソース電極と、
前記第1層に電気的に接続するように形成されたドレイン電極と、
素子外表面から前記第1、第2および第3層の少なくとも1つの層に達するように前記窒化物半導体内に埋設され、前記III族窒化物半導体よりも熱伝導率の高い熱伝導体と、を含む、窒化物半導体素子。 - 前記熱伝導体が、前記第3層を貫通して、前記第2層に達するように設けられた熱伝導体を含む、請求項1に記載の窒化物半導体素子。
- 前記熱伝導体が、前記第1層を貫通して、前記第2層に達するように設けられた熱伝導体を含む、請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
- 前記熱伝導体が、前記窒化物半導体積層構造部の積層方向に対して所定の角度を有する方向に延在した熱伝導体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記窒化物半導体積層構造部が、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体基板、SiC基板およびSi基板からなる群より選択される1種の基板上に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
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