JP2009177110A - 窒化物半導体素子および窒化物半導体素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体素子および窒化物半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】素子破壊を抑制することができる、III族窒化物半導体からなる窒化物半導体素子およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】窒化物半導体素子は、n-型層3およびp型層4を有する窒化物半導体積層構造部2を備えている。窒化物半導体積層構造部2には、トレンチ5が形成されている。トレンチ5の壁面8の上部から幅方向に広がるトレンチ5の周辺領域は、n+型領域6である。一方、p型層4においてn+型領域6以外の領域は、ボディ領域7である。また、壁面8の全域を覆い、さらにp型層4の最表面21には、ゲート絶縁膜9が形成されている。ゲート絶縁膜9の開口13から露出するボディ領域7には、ボディ用電極15が形成されている。また、ゲート絶縁膜9の開口12から露出するn+型領域6には、ソース電極14が形成されている。ドレイン電極16は、基板1の他方面に接触形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物半導体からなる窒化物半導体素子およびその製造方法に関する。
従来、パワーアンプ回路、電源回路、モータ駆動回路などには、シリコン半導体を用いたパワーデバイスが用いられている。
しかし、シリコン半導体の理論限界から、シリコンデバイスの高耐圧化、低抵抗化および高速化は限界に達しつつあり、市場の要求に応えることが困難になりつつある。
そこで、高耐圧、高温動作、大電流密度、高速スイッチングおよび低オン抵抗といった特徴を有する、窒化物半導体素子の開発が検討されている。
図5は、従来の窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。
この窒化物半導体素子は、基板81と、この基板81に積層された積層構造部93とを備えている。
積層構造部93は、基板81の側から順に積層された、アンドープGaN層82、n型GaN層83、p型GaN層84およびn型GaN層85を備えている。積層構造部93には、n型GaN層83、p型GaN層84およびn型GaN層85に跨る壁面91が形成されている。積層構造部93の表面には、壁面91全域を覆うゲート絶縁膜86が形成されている。
ゲート絶縁膜86には、n型GaN層85およびn型GaN層83をそれぞれ部分的に露出させる開口94および開口92が形成されている。
開口94から露出するn型GaN層85には、ソース電極88が電気的に接続されている。一方、開口92から露出するn型GaN層83には、ドレイン電極89が電気的に接続されている。また、ゲート絶縁膜86上における壁面91との対向部分には、ゲート電極87が形成されている。
そして、ソース電極88、ドレイン電極89およびゲート電極87は、隣接する各電極との間に層間絶縁膜90が介在されることにより、互いに絶縁されている。
次に、窒化物半導体素子の動作について説明する。たとえば、まず、ソース電極88とドレイン電極89との間(ソース−ドレイン間)に、ドレイン電極89側が正となるバイアス(逆バイアス)が与えられる。これにより、n型GaN層83とp型GaN層84との界面(pn接合部)には、逆方向電圧が与えられ、その結果、n型GaN層85とn型GaN層83との間、すなわち、ソース−ドレイン間は、遮断状態(逆バイアス状態)となる。
この状態から、ゲート電極87に対して、ソース電極88を基準電位として正となるゲート閾値電圧以上のバイアスが印加されると、p型GaN層84における壁面91とゲート絶縁膜86との界面近傍(チャネル領域)に電子が誘起されて、反転層(チャネル)が形成される。そして、この反転層を介して、ソース−ドレイン間が導通する。
特開2003−163354号公報
ところが、上記した窒化物半導体素子では、ドレイン電極89に対してソース電極88側が正となるバイアスが与えられると(ソース電極88の電位がドレイン電極89の電位より高い状態になると)、n型GaN層85とp型GaN層84との間に電界が集中し、素子破壊を生じるおそれがある。
そこで、本発明の目的は、素子破壊を抑制することができる、III族窒化物半導体からなる窒化物半導体素子およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、n型のIII族窒化物半導体からなる第1層、この第1層上に設けられたp型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第2層、およびこの第2層の一部に形成されたn型領域を備え、前記第1層、前記第2層における前記n型領域以外のボディ領域、および前記n型領域に跨る壁面を有する窒化物半導体構造部と、前記壁面における前記ボディ領域に対向するように形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記ボディ領域に対向するように形成されたゲート電極と、前記n型領域に電気的に接続されるように形成されたソース電極と、前記第1層に電気的に接続されるように形成されたドレイン電極と、前記ボディ領域に電気的に接続されるように形成されたボディ用電極とを含む、窒化物半導体素子である。
この構成によれば、第1層上に、p型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第2層を設けることによって、窒化物半導体構造部が形成されている。第2層には、ボディ領域およびn型領域が形成されている。したがって、窒化物半導体構造部には、第1層、ボディ領域およびn型領域からなるnpn構造が形成されている。
窒化物半導体構造部において、ゲート絶縁膜は、第1層、ボディ領域およびn型領域に跨る壁面におけるボディ領域に対向するように配置されている。そして、このゲート絶縁膜を挟んで、ゲート電極がボディ領域に対向している。
また、n型領域に電気的に接続されるようにソース電極が形成され、第1層に電気的に接続されるようにドレイン電極が形成されている。ソース電極およびドレイン電極は、n型領域および第1層にそれぞれオーミック接触していればよく、これらの電極と半導体層(半導体領域)との間に組成や不純物の異なる1層以上の半導体層が介装されてあってもよい。
一方、第2層のボディ領域には、ボディ用電極が電気的に接続されている。したがって、窒化物半導体素子には、ボディ用電極、p型不純物を含むボディ領域、n型の第1層およびドレイン電極によって、pnダイオードが形成されている。
そのため、ボディ用電極とソース電極とを接続しておくことにより、ドレイン電極に対してソース電極側が正となるバイアスが印加され、ソース電極の電位がドレイン電極の電位よりも高い状態になっても、上記pnダイオードに優先的に電流を流すことができる。
その結果、ボディ領域とn型領域との境界(pn接合部)への電界集中を抑制することができるので、窒化物半導体素子の素子破壊を抑制することができる。
また、npn構造を有する電界効果トランジスタでは、その動作中にチャネルを流れる電子がp型の半導体層を構成する原子に衝突する衝突電離によって、チャネル直下(p型の半導体層におけるチャネル近傍部分)に、正孔(ホール)が滞留する場合がある。そして、この滞留する正孔による電子誘引により、チャネルに過電流が流れてアバランシェブレークダウンが発生するおそれがある。
しかしながら、上記の構成では、動作時にチャネルが形成される第2層のボディ領域とボディ用電極とが電気的に接続されているため、チャネル直下に正孔が押しやられても、ボディ用電極の電位を適切な値に定めることにより、その正孔をボディ用電極から回収することができる。そのため、正孔の滞留に起因する電子誘引を抑制することができ、アバランシェブレークダウンの発生を抑制することができる。
なお、III族窒化物半導体とは、III族元素と窒素とを化合させた半導体であり、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)が代表例である。一般には、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表すことができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記第2層は、前記第1層上に設けられ、p型不純物濃度が相対的に高い高濃度層と、前記高濃度層上に設けられ、p型不純物濃度が相対的に低い低濃度層とを含み、前記n型領域が前記低濃度層に形成されている、請求項1に記載の窒化物半導体素子である。
p型不純物は、その不純物準位(アクセプタ準位)が深いので、III族窒化物半導体にp型不純物をドーピングしてIII族窒化物半導体をp型にするには、p型不純物を高濃度(たとえば、1×1019cm3)でドーピングする必要がある。そのため、高濃度にp型不純物がドーピングされたIII族窒化物半導体の一部に、n型不純物がドーピングされることによって形成されるn型の領域では、p型不純物が不純物散乱するため、n型領域の抵抗が増大するおそれがある。
一方、請求項2の構成では、p型不純物が含まれる第2層において、n型領域は、p型不純物濃度が相対的に低い低濃度層に形成されているため、p型不純物による不純物散乱を抑制することができる。その結果、n型領域の抵抗の増加を抑制することができる。
また、請求項3に記載の発明は、前記壁面における前記ボディ領域の半導体表面部に形成され、前記ボディ領域とは異なる導電特性を有する第3層をさらに含み、前記ゲート絶縁膜は、前記第3層と前記ゲート電極との間に介装されている、請求項1または2に記載の窒化物半導体素子である。
この構成によれば、反転層(チャネル)が形成される領域が第3層であり、ボディ領域とは導電特性の異なる領域である。そのため、第3層のアクセプタ濃度が、ボディ領域のアクセプタ濃度よりも低ければ、ボディ領域に反転層(チャネル)が形成される場合と比較して、ゲート閾値電圧を低減するとともに、電子移動度を向上させることができる。その結果、オン抵抗を低減することができ、良好なパワーデバイスを実現することができる。
また、第3層は、請求項4に記載されているように、前記第2層を変質させることにより形成されていてもよいし、請求項5に記載されているように、前記2層からIII族窒化物半導体を再成長させることにより形成されていてもよい。なお、変質とは、たとえば、前記第2層にプラズマを照射することによって前記第2層に窒素空孔子を形成したり、前記第2層にSiなどのイオンを注入したりすることを示している。
また、前記ボディ用電極は、請求項6に記載されているように、前記窒化物半導体積層構造部の成長主面に平行な最表面において前記ボディ領域に接触していることが好ましい。
一般的に、p型不純物を含むIII族窒化物半導体をエッチングすると、たとえば、半導体表面からの窒素抜けなどによって、エッチングされた部分のn型不純物の濃度が増加する。たとえば、前記窒化物半導体素子では、ボディ領域の一部がエッチングされると、ボディ領域において、エッチングされた部分のn型不純物濃度は、当該部分以外の部分の不純物濃度よりも大きくなる。
n型不純物濃度の大きい部分に対してボディ用電極を接触させても、ボディ領域とボディ用電極との間で良好なオーミック特性を得ることが困難である。
一方、請求項6の構成では、ボディ用電極は、窒化物半導体構造部の成長主面に平行な最表面において、ボディ領域に接触している。成長主面に平行な最表面とは、たとえば、窒化物半導体構造部がエピタキシャル成長により形成される場合、成長後にドライエッチングなどの処理を施されていない面である。
すなわち、請求項6の構成では、処理の施されていない面にボディ用電極を接触させることができるので、ボディ領域とボディ用電極との間の接合部で、良好なオーミック特性を得ることができる。そのため、ボディ用電極、ボディ領域、第1層およびドレイン電極からなるpnダイオードに電流が流れるときの抵抗を低減することができる。
また、前記n型領域は、請求項7に記載されているように、n型不純物のイオン注入により形成されていることが好ましい。
III族窒化物半導体に対しては、p型不純物よりもn型不純物の方が、より容易にイオン注入することができる。そこで、請求項7の構成は、イオン注入とは異なる方法でp型不純物を含む第2層を形成し、この第2層にn型不純物をイオン注入することにより、n型領域を形成して作製できる。そのため、容易に製造できる窒化物半導体素子とすることができる。
また、請求項8に記載の発明は、n型のIII族窒化物半導体からなる第1層を形成する第1層形成工程と、この第1層上に、p型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第2層を形成する第2層形成工程と、この第2層の一部に、n型領域を形成するn型領域形成工程と、前記第1層、前記第2層および前記n型領域を備える窒化物半導体構造部に、前記第1層、前記第2層における前記n型領域以外のボディ領域、および前記n型領域に跨る壁面を形成する壁面形成工程と、前記壁面における前記ボディ領域に対向するようにゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記ボディ領域に対向するようにゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、前記n型領域に電気的に接続するようにソース電極を形成するソース電極形成工程と、前記第1層に電気的に接続するようにドレイン電極を形成するドレイン電極形成工程と、前記ボディ領域に電気的に接続するようにボディ用電極を形成するボディ用電極形成工程とを含む、窒化物半導体素子の製造方法である。
この方法により、請求項1に記載の窒化物半導体素子を製造することができる。
また、請求項9に記載の発明は、前記第2層形成工程は、前記第1層上に、p型不純物濃度が相対的に高い高濃度層を形成する高濃度層形成工程と、前記高濃度層上に、p型不純物濃度が相対的に低い低濃度層を形成する低濃度層形成工程とを含み、前記n型領域形成工程が、前記低濃度層に前記n型領域を形成する工程を含む、請求項8に記載の窒化物半導体素子の製造方法である。
この方法により、請求項2に記載の窒化物半導体素子を製造することができる。
また、請求項10に記載の発明は、前記壁面形成工程によって露出した前記ボディ領域の半導体表面部に、前記ボディ領域とは導電特性の異なる第3層を形成する第3層形成工程をさらに含み、前記ゲート絶縁膜形成工程が、前記第3層に対向するように前記ゲート絶縁膜を形成する工程であり、前記ゲート電極形成工程が、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記第3層に対向するように前記ゲート電極を形成する工程である、請求項8または9に記載の窒化物半導体素子の製造方法である。
この方法により、請求項3に記載の窒化物半導体素子を製造することができる。
また、前記第3層形成工程は、請求項11に記載されているように、前記第2層を変質させることにより、前記第3層を形成する工程を含んでいてもよいし、請求項12に記載されているように、前記ボディ領域からIII族窒化物半導体を再成長させることにより、前記第3層を形成する工程を含んでいてもよい。
また、請求項13に記載の発明は、前記壁面形成工程が、前記n型領域の一部を露出させるように、前記ボディ領域および前記n型領域を覆うマスクを形成する工程と、このマスクを介して前記窒化物半導体構造部をエッチングすることにより前記壁面を形成する工程とを含み、前記ボディ用電極形成工程が、前記ボディ領域における前記マスクで覆われる部分に前記ボディ用電極を形成する工程を含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造方法である。この方法によれば、窒化物半導体積層構造部をエッチングして壁面を形成するときにおいて、ボディ領域がマスクで覆われている。そして、壁面の形成後、このマスクで覆われていた部分にボディ用電極が形成される。
上述したように、エッチングされる部分以外の部分、すなわち、この請求項13の製造方法では、マスクで覆われる部分にボディ用電極を形成するので、ボディ領域とボディ用電極との間の接合部で、良好なオーミック特性を得ることができる。
そのため、請求項13の製造方法により製造される窒化物半導体素子では、ボディ用電極、ボディ領域、第1層およびドレイン電極からなるpnダイオードに電流が流れるときの抵抗を低減することができる。
なお、前記マスクを形成する工程は、たとえば、SiO2を用いて、スピンオングラス(SOG)法により前記マスクを形成する工程、SiO2を用いて、プラズマCVD(Chemical vapor deposition)により前記マスクを形成する工程、および、SiO2を用いて、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法により前記マスクを形成する工程を含んでいることが好ましい。上記した方法によれば、前記n型領域および前記ボディ領域に対して、少ないダメージで前記マスクを形成することができる。
さらに、前記n型領域形成工程は、請求項14に記載されているように、前記第2層にn型不純物をイオン注入する工程を含んでいることが好ましい。
上述したように、III族窒化物半導体に対しては、p型不純物よりもn型不純物の方が、より容易にイオン注入することができる。そのため、たとえば、イオン注入とは異なる方法でp型不純物を含む第2層を形成し、この第2層にn型不純物をイオン注入することにより、ボディ領域およびn型領域を有する第2層を容易に形成することができる。その結果、窒化物半導体素子を容易に製造することができる。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。
この窒化物半導体素子は、基板1と、基板1の一方面に形成された窒化物半導体積層構造部2とを備えている。
基板1としては、たとえば、サファイア基板などの絶縁性基板や、GaN基板、ZnO基板、Si基板およびSiC基板などの導電性基板を適用することができる。この実施形態では、導電性基板が適用される。
窒化物半導体積層構造部2は、基板1に積層されたn-型のGaN(窒化ガリウム)からなるn-型層3(第1層)と、n-型層3に積層されたp型不純物を含むGaNからなるp型層4(第2層)とを備えている。
窒化物半導体積層構造部2には、p型層4における窒化物半導体積層構造部2の積層界面(以下、この界面を単に「積層界面」ということがある。)に平行な最表面21から、p型層4を貫通して、n-型層3における窒化物半導体積層構造部2の積層方向(以下、この方向を単に「積層方向」ということがある。)途中に至る深さのトレンチ5が形成されている。
トレンチ5は、断面略V字形に形成されており、積層方向に直交する方向に延びるストライプ状に形成されている。また、トレンチ5は、図1では図示されていないが、そのストライプ方向と直交する幅方向(以下、この方向を単に「幅方向」ということがある。)に一定の間隔を空けて複数形成されている。
p型層4において、トレンチ5の傾斜した側面(後述する壁面8)の上部から、幅方向に広がるトレンチ5の周辺領域は、p型不純物よりもn型不純物が高濃度に含有されるn+型領域6(n型領域)である。一方、p型層4において、n+型領域6以外の領域は、n型不純物よりもp型不純物が高濃度に含有されるボディ領域7である。
+型領域6は、n-型層3よりも高い不純物濃度でn型不純物がイオン注入された領域であり、その濃度は、たとえば、1×1018〜1×1020cm-3である。一方、n-型層3のn型不純物濃度は、たとえば、1×1016〜1×1017cm-3である。
また、トレンチ5の傾斜した側面は、n-型層3、ボディ領域7およびn+型領域6に跨がる壁面8を形成している。
壁面8におけるボディ領域7の半導体表面部には、チャネル層11(第3層)が形成されている。チャネル層11は、ボディ領域7とは異なる導電特性を有する半導体、たとえば、ボディ領域7よりもアクセプタ濃度の低いp-型半導体からなる。また、チャネル層11の、壁面8と直交する方向における厚みは、たとえば、数nm〜100nmである。なお、チャネル層11は、ボディ領域7とは異なる導電特性を有する半導体であれば、p-型半導体に限られず、たとえば、n型不純物を含むn型半導体、不純物をほとんど含まないi型半導体、およびn型およびp型の不純物を含む半導体などであってもよい。このチャネル層11の表面近傍には、ゲート電極10(後述)に適切なバイアス電圧が与えられることにより、n-型層3とn+型領域6との間を導通させる反転層が形成される。
-型層3およびp型層4は、基板1の上に、たとえば、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)によってエピタキシャル成長されている。
たとえば、主面がc面(0001)の基板1を用いると、この基板1の上にエピタキシャル成長によって成長させられるn-型層3およびp型層4は、やはりc面(0001)を主面(積層界面)として積層されることになる。また、窒化物半導体積層構造部2の壁面8の面方位は、たとえば、c面(0001)に対して15°〜90°の範囲で傾斜した面(c面以外の面)である。より具体的には、たとえば、m面(10-10)またはa面(11-20)などの非極性面(ノンポーラ面)や、(10-13)、(10-11)、(11-22)などの半極性面(セミポーラ面)となる。
また、壁面8の全域を覆い、さらに、p型層4の最表面21素子領域には、ゲート絶縁膜9が形成されている。
ゲート絶縁膜9は、たとえば、窒化物または酸化物を用いて形成することができる。より具体的には、酸化シリコン(SiO2)、酸化ガリウム(Ga23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化スカンジウム(Sc23)、窒化シリコン(SiN)などを用いて形成することができる。この実施形態では、窒化物半導体積層構造部2に接する主としてSiNを含む部分と、この部分の上側に形成され、主としてSiO2を含む部分との2層構造(SiN/SiO2)で形成されている。ゲート絶縁膜9上には、ゲート電極10が形成されている。
ゲート電極10は、ゲート絶縁膜9を挟んで、壁面8、すなわち、n-型層3、チャネル層11およびn+型領域6に対向しており、さらに、p型層4の最表面21においてトレンチ5の縁部付近にまで延びて形成されている。ゲート電極10は、たとえば、Niと、このNiに積層されたAuとからなるNi/Au合金、Pd/Au合金、Pd/Ti/Au合金およびPd/Pt/Au合金、Pt、Al、ポリシリコンなどの導電性材料を用いて形成することができる。
ゲート絶縁膜9には、p型層4の最表面21を露出させる開口12および開口13が形成されている。具体的には、開口12は、n+型領域6の、積層界面に平行な最表面22を露出させる開口である。一方、開口13は、ボディ領域7の、積層界面に平行な最表面23を露出させる開口である。
そして、開口12から露出するn+型領域6には、開口12を介して、ソース電極14が形成されている。ソース電極14は、たとえば、Tiと、このTiに積層されたAlからなるTi/Al合金などの金属を用いて形成することができ、n+型領域6に電気的に接続されている。ソース電極14を、Alを含む金属で形成しておくことにより、ソース電極14とn+型領域6との間の接合部で良好なオーミック特性を得ることができる。ソース電極14は、その他、MoもしくはMo化合物(たとえば、モリブデンシリサイド)、TiもしくはTi化合物(たとえば、チタンシリサイド)、またはWもしくはW化合物(たとえば、タングステンシリサイド)を用いて形成してもよい。
一方、開口13から露出するボディ領域7には、開口13を介して、ボディ用電極15が形成されている。ボディ用電極15は、たとえば、Niと、このNiに積層されたAuとからなるNi/Au合金、Pd/Au合金、Pd/Ti/Au合金、Pd/Pt/Au合金およびPtなどの金属を用いて形成することができ、ボディ領域7に電気的に接続されている。上記した金属は、主としてp型不純物を含むIII族窒化物半導体に対するコンタクト抵抗が低い。そのため、ボディ用電極15を、上記した金属で形成しておくことにより、ボディ用電極15とボディ領域7との間で良好なオーミック特性を得ることができる。また、ボディ用電極15は、配線(図示せず)を介してソース電極14と電気的に接続されている。
基板1の他方面には、ドレイン電極16が接触形成されている。ドレイン電極16は、たとえば、Alなどの金属を用いて形成することができ、基板1を介して、n-型層3に電気的に接続されている。ドレイン電極16は、その他、MoもしくはMo化合物(たとえば、モリブデンシリサイド)、TiもしくはTi化合物(たとえば、チタンシリサイド)、またはWもしくはW化合物(たとえば、タングステンシリサイド)を用いて形成してもよい。
次に、上記の窒化物半導体素子の動作について説明する。
ソース電極14とドレイン電極16との間には、ドレイン電極16側が正となるバイアスが与えられる。これにより、n-型層3とボディ領域7との界面のpn接合には逆方向電圧が与えられる。その結果、n+型領域6とn-型層3との間、すなわち、ソース電極14とドレイン電極16との間(ソース−ドレイン間)は、遮断状態(逆バイアス状態)となる。
この状態から、ゲート電極10に対して、ソース電極14を基準電位として正となるゲート閾値電圧以上のバイアスを印加すると、チャネル層11におけるゲート絶縁膜9との界面近傍には、電子が誘起されて、反転層(チャネル)が形成される。
そして、この反転層を介して、n-型層3とn+型領域6との間が導通する。こうして、ソース−ドレイン間が導通することになる。すなわち、ゲート電極10に所定のバイアスを与えたときにソース−ドレイン間が導通し、ゲート電極10にバイアスを与えないときにはソース−ドレイン間が遮断状態となる。このようにして、トランジスタ動作が実現される。
図2A〜図2Eは、図1の窒化物半導体素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
この窒化物半導体素子を製造するには、まず、基板1の一方面から、たとえば、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)により、n型不純物がドープされながらGaNが成長させられる。GaNは、基板1の一方面に直交する方向に成長し、これによって、n-型層3が形成される(第1層形成工程)。なお、成長するGaNにドープするn型不純物としては、たとえば、Siを用いればよい。
次いで、n-型層3上に、たとえば、MOCVD法により、p型不純物がドープされながらGaNが成長させられて、p型層4が形成される(第2層形成工程)。なお、成長するGaNにドープするp型不純物としては、たとえば、MgまたはCを用いればよい。こうして、図2Aに示すように、基板1の一方面に、基板1の成長主面(一方面)に平行な積層界面を有する、n-型層3およびp型層4からなる窒化物半導体積層構造部2が形成される。
続いて、p型層4の、積層界面に平行な最表面21に、後述するトレンチ5のストライプ方向に直交する幅W1(たとえば、3〜10μm)を有する開口18が複数形成された第1のマスク17が形成される。
第1のマスク17が形成された後には、この第1のマスク17の開口から露出するp型層4に向けてn型不純物(たとえば、Si)のイオンが放射されて、p型層4の最表面21付近の部分にn型不純物が注入される(イオン注入をする工程)。n型不純物を注入するときの加速エネルギーは、たとえば、60keVであり、この加速エネルギーによって注入されるn型不純物のドーズ量は、たとえば、8×1014cm-2である。
その後、焼き鈍し処理(アニール処理)が、たとえば、1000℃で10分間行われる。この焼き鈍し処理により、p型層4に注入されたn型不純物が、GaN結晶構造の各サイトに配位する。
こうして、図2Bに示すように、p型層4において、開口18から露出する部分から、幅方向に広がる開口18の周辺領域にn+型領域6が形成されるとともに、当該領域以外の部分に、主としてp型不純物を含有するボディ領域7が形成される(n型領域形成工程)。
次いで、第1のマスク17が除去され、その後、p型層4の最表面21に、開口18の幅W1よりも小さい幅W2(たとえば、0.5〜5μm)を有する開口20が形成された第2のマスク19が形成される。第2のマスク19は、たとえば、開口20の幅方向中央が、n+型領域6の幅方向中央にほぼ位置するように形成される。すなわち、第2のマスク19が形成された状態では、n+型領域6の、積層界面に平行な最表面22の一部、および、ボディ領域7の、積層界面に平行な最表面23は、第2のマスク19で覆われている。
そして、この第2のマスク19を介して、窒化物半導体積層構造部2がストライプ状にエッチングされる。すなわち、n+型領域6の最表面22から、n+型領域6およびボディ領域7を貫通して、n-型層3の積層方向途中に至る深さのストライプ状のトレンチ5がエッチングによって形成される。これにより、図2Cに示すように、複数本の窒化物半導体積層構造部2がストライプ状に整形されるとともに、n-型層3、ボディ領域7およびn+型領域6に跨る壁面8が同時に形成される(壁面形成工程)。
トレンチ5の形成は、たとえば、塩素系ガスを用いたドライエッチング(異方性エッチング)によって行なうことができる。なお、ドライエッチングの後、必要に応じて、ドライエッチングによってダメージを受けたトレンチ5の壁面8を改善するためのウェットエッチング処理を行なってもよい。
ウェットエッチングには、KOH(水酸化カリウム)やNaOH(水酸化ナトリウム)などを用いることが好ましい。これにより、ダメージを受けた壁面8を改善することができ、ダメージの少ない壁面8を得ることができる。また、HF(フッ酸)やHCl(塩酸)などによるウェットエッチングによっても、Si系の酸化物やGaの酸化物などを除去することができるので、壁面8を均すことができ、ダメージの少ない壁面8を得ることができる。壁面8のダメージを低減しておくことにより、チャネル層11(図1参照)の結晶状態を良好に保つことができる。また、壁面8とゲート絶縁膜9との界面を良好な界面とすることができる。これらの結果、界面準位を低減することができる。これにより、チャネル抵抗を低減することができるとともに、リーク電流を抑制することができる。なお、ウェットエッチング処理に代えて、低ダメージのドライエッチング処理を適用することもできる。
トレンチ5の形成後、第2のマスク19が除去されて、第2のマスク19で覆われていたn+型領域6およびボディ領域7が露出する。
次いで、窒化物半導体積層構造部2が形成された基板1が、ECRスパッタ(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)スパッタ装置に入れられる。そして、ECRスパッタ装置内に、たとえば、30eV程度のエネルギーを有するAr+プラズマが発生させられるとともに、窒素ガス(N2ガス)が導入されて、装置内が窒素雰囲気にされる。なお、窒素雰囲気とは、たとえば、高温窒素ガス中や窒素プラズマ中など、窒素分子、窒素原子、窒素ラジカルおよび窒素との化合物などが照射される環境などのことを指す。装置内が窒素雰囲気にされることにより、窒化物半導体積層構造部2の表面付近が窒化される。次いで、Ar+プラズマが窒化物半導体積層構造部2の表面に数秒間照射される。このAr+プラズマが照射されることにより、図2Dに示すように、壁面8の形成により露出したボディ領域7の半導体表面部が変質してボディ領域7とは異なる導電特性を有する、チャネル層11が形成される(第3層形成工程)。
チャネル層11の形成は、ボディ領域7にSiをイオン注入することによって、ボディ領域7の半導体表面部を変質させることもできる。また、ボディ領域7の半導体表面部を変質させる方法のほか、露出した壁面8からIII族窒化物半導体を再成長させることによって行なうこともできる。この場合には、チャネル層11の形成も、MOCVD法によって行なうことができる。導電特性の制御は、不純物の添加を制御することによって行なえる。
その後、窒化物半導体積層構造部2の全面を覆う絶縁膜が形成されることにより、図2Dに示すように、ゲート絶縁膜9が形成される(ゲート絶縁膜形成工程)。
次いで、公知のフォトリソグラフィ技術により、開口12および開口13を形成すべき領域に開口を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ゲート絶縁膜9がストライプ状にドライエッチングされる。
これにより、開口12および開口13が形成されて、n+型領域6およびボディ領域7が部分的に露出する。
続いて、公知のフォトリソグラフィ技術により、ソース電極14を形成すべき領域に開口を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ソース電極14の材料として用いられるメタル(この実施形態では、TiおよびAl)が、スパッタ法によりスパッタされる。その後は、フォトレジストが除去されることにより、メタルの不要部分(ソース電極14以外の部分)がフォトレジストとともにリフトオフされる。これらの工程により、n+型領域6の最表面22に、ソース電極14が形成される(ソース電極形成工程)。
ソース電極14が形成された後には、熱アロイ(アニール処理)が、たとえば、650℃で1分間行なわれる。
次いで、公知のフォトリソグラフィ技術により、ボディ用電極15を形成すべき領域に開口を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ボディ用電極15の材料として用いられるメタル(この実施形態では、NiおよびAu)が、スパッタ法によりスパッタされる。その後は、フォトレジストが除去されることにより、メタルの不要部分(ボディ用電極15以外の部分)がフォトレジストとともにリフトオフされる。これらの工程により、ボディ領域7の最表面23に、ボディ用電極15が形成される(ボディ用電極形成工程)。すなわち、ボディ用電極15は、トレンチ5の形成時に第2のマスク19で覆われていたボディ領域7の最表面23に形成されることとなる。
その後は、ソース電極14およびボディ用電極15の場合と同様の方法により、ゲート絶縁膜9を挟んで、壁面8に対向する、ゲート電極10が形成される(ゲート電極形成工程)。
そして、ソース電極14およびボディ用電極15の場合と同様の方法により、基板1の他方面に、ドレイン電極16が形成される(ドレイン電極形成工程)。
こうして、図2Eに示すように、図1の窒化物半導体素子を得ることができる。
複数の窒化物半導体積層構造部2は、それぞれ単位セルを形成している。窒化物半導体積層構造部2のゲート電極10およびソース電極14は、それぞれ、図示しない位置で共通接続されている。ドレイン電極16は、基板1に接触して形成されており、すべてのセルに対して共通の電極となっている。
以上のように、この窒化物半導体素子では、n-型のGaN(窒化ガリウム)からなるn-型層3と、p型不純物を含むGaNからなるp型層4のうち主としてp型不純物を含有するボディ領域7とは、pn接合を形成している。また、n-型層3は、基板1の他方面にドレイン電極16が接触形成されることにより、ドレイン電極16と電気的に接続されている。一方、ボディ領域7には、ゲート絶縁膜9の開口13を介して、ボディ用電極15が形成されている。したがって、この窒化物半導体素子には、ボディ用電極15、ボディ領域7、n-型層3およびドレイン電極16によって、pnダイオードが形成されている。そして、上記pnダイオードのボディ用電極15は、図示しない位置において、ソース電極14と電気的に接続されている。
そのため、窒化物半導体素子を動作させる際に、ドレイン電極16に対してソース電極14側が正となるバイアスが印加され、ソース電極14の電位がドレイン電極16の電位よりも高い状態になっても、当該バイアスにより発生する高電流を、上記pnダイオードに優先的に電流を流すことができる。
その結果、ボディ領域7とn+型領域6との境界(pn接合部)への電界集中を抑制することができるので、窒化物半導体素子の素子破壊を抑制することができる。
さらに、上記素子破壊を抑制するためのボディ用電極15は、窒化物半導体素子におけるトレンチ5の形成時に、第2のマスク19で覆われていたボディ領域7の最表面23に接触して形成されている。そのため、ボディ領域7とボディ用電極15との間の接合部で良好なオーミック特性を得ることができる。
一般的に、p型不純物を含むIII族窒化物半導体をエッチングすると、たとえば、半導体表面からの窒素抜けなどによって、エッチングされた部分のn型不純物の濃度が増加する。たとえば、窒化物半導体積層構造部2の壁面8におけるボディ領域7など、ドライエッチングにより表われた部分のn型不純物濃度は、ボディ領域7における当該部分以外の部分の不純物濃度よりも大きくなる。n型不純物濃度が大きい部分に対してボディ用電極15を接触形成しても、ボディ領域7とボディ用電極15との間で良好なオーミック特性を得ることが困難である。
一方、この実施形態では、ボディ用電極15が、第2のマスク19で覆われていたボディ領域7の最表面23に接触形成されている。そのため、ボディ領域7とボディ用電極15との間の接合部で良好なオーミック特性を得ることができる。その結果、ボディ用電極15、ボディ領域7、n-型層3およびドレイン電極16からなるpnダイオードに電流が流れるときの抵抗を低減することができる。
また、この実施形態では、壁面8におけるボディ領域7の半導体表面部にチャネル層11が形成されており、このチャネル層11には、ゲート絶縁膜9を挟んでゲート電極10が対向している。そのため、窒化物半導体素子の動作時において、反転層(チャネル)は、チャネル層11におけるゲート絶縁膜9との界面近傍に形成される。さらに、このチャネル層11は、たとえば、p-型半導体、n型半導体、i型半導体、n型およびp型の不純物を含む半導体である。そのため、反転層(チャネル)の形成に必要なゲート電圧値を小さくすることができる。その結果、リーチスルーブレークダウンが起こらないようにボディ領域7のアクセプタ濃度を高くしたまま、ゲート閾値電圧を低減するとともに、電子移動度を向上させることができる。その結果、オン抵抗を低減することができ、良好なパワーデバイスを実現することができる。
また、窒化物半導体素子の製造工程においては、p型不純物を含むp型層4をエピタキシャル成長により形成し、その後、このp型層4に対して、n型不純物をイオン注入することにより、n+型領域6が形成されている。
III族窒化物半導体に対しては、p型不純物よりもn型不純物の方が、より容易にイオン注入することができる。そのため、上記の工程により、ボディ領域7およびn+型領域6を有するp型層4を容易に形成することができ、トランジスタ構造を容易に製造することができる。
また、npn構造を有する電界効果トランジスタでは、その動作中にチャネルを流れる電子がp型の半導体層を構成する原子に衝突する衝突電離によって、チャネル直下(p型の半導体層におけるチャネル近傍部分)に、正孔(ホール)が滞留する場合がある。そして、この滞留する正孔による電子誘引により、チャネルに過電流が流れてアバランシェブレークダウンが発生するおそれがある。
これに対して、この実施形態に係る窒化物半導体素子では、チャネル層11が形成されるボディ領域7が、ソース電極14と電気的に接続されたボディ用電極15と電気的に接続されている。
そのため、素子の動作時に、チャネル層11を流れる電子がp型層4(ボディ領域7)を構成する原子に衝突し、その衝突電離により生じる正孔が、ソース電極14よりも高電位のゲート電極10とのクーロン力により、チャネル層11の幅方向外側(ゲート電極10から離れる方向)に移動してボディ領域7におけるチャネル層11直下の部分(チャネル直下)に押しやられても、ボディ用電極15の電位がソース電極14と同じ基準電位に定められるので、その正孔をボディ用電極15へ流すことができる。そのため、正孔の滞留に起因する電子誘引を抑制することができ、アバランシェブレークダウンの発生を抑制することができる。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。図3において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図3において、窒化物半導体積層構造部2は、n-型層3と、n-型層3上に設けられたp型不純物を含むGaNからなるp型層24(第2層)とを備えている。
p型層24は、n-型層3に積層されたp+型層25と、このp+型層25に積層されたp-型層26とを備えている。
+型層25は、そのp型不純物濃度がp-型層26に対して相対的に高く、たとえば、1×1018〜4×1019cm-3である。
一方、p-型層26は、そのp型不純物濃度がp+型層25に対して相対的に低く、たとえば、1×1018〜1×1019cm-3である。
また、図3において、トレンチ5は、p型層24における窒化物半導体積層構造部2の積層界面(以下、この界面を単に「積層界面」ということがある。)に平行な最表面33から、p型層24を貫通して、n-型層3における窒化物半導体積層構造部2の積層方向(以下、この方向を単に「積層方向」ということがある。)途中に至る深さで形成されている。
p型層24において、p-型層26におけるトレンチ5の壁面8の下部から、幅方向に広がるトレンチ5の周辺領域は、p型不純物よりもn型不純物が高濃度に含有されるn+型領域38(n型領域)である。一方、p型層24において、n+型領域38以外の領域、すなわち、p-型層26におけるn+型領域38以外の領域およびp+型層25の全域は、n型不純物よりもp型不純物が高濃度に含有されるボディ領域31である。
壁面8におけるボディ領域31の半導体表面部には、p+型層25およびp-型層26に跨るように、チャネル層11が形成されている。また、壁面8には、その全域を覆うように、ゲート絶縁膜28が形成されている。
ゲート絶縁膜28は、たとえば、ゲート絶縁膜9と同様の絶縁材料を用いて形成することができる。ゲート絶縁膜28上には、ゲート電極30が、ゲート絶縁膜28を挟んで、壁面8、すなわち、n-型層3、チャネル層11およびn+型領域38に対向するように形成されている。
ゲート電極30は、その積層界面に平行な最表面32が、p型層24の最表面33よりも下方(基板1側の方)に位置するようにトレンチ5内に形成されている。これにより、トレンチ5には、ゲート電極30よりも上方の領域において、最表面32と最表面33との高低差分のギャップが形成されている。また、ゲート電極30は、たとえば、ゲート電極10と同様の導電性材料を用いて形成することができる。
そして、ゲート電極30の最表面32上には、上記したギャップを埋めるように、絶縁膜29が形成されている。
絶縁膜29は、その積層界面に平行な最表面36が、p型層24の最表面33に対して、積層界面に平行な方向に面一になるように形成されている。また、絶縁膜29は、たとえば、ゲート絶縁膜28と同様の絶縁性材料を用いて形成することができる。
そして、積層界面に平行な方向に面一に形成された絶縁膜29およびp型層24上には、ソース電極27(ソース電極、ボディ用電極)が形成されている。
ソース電極27は、p型層24の最表面33におけるn+型領域38の最表面35およびp-型層26の最表面34に跨って形成されており、n+型領域38に接触形成される部分とp-型層26に接触形成される部分とが一体的に形成されている。これにより、図1に示すソース電極14を、ソース電極27のn+型領域38に接触する部分で代替することができ、かつ、図1に示すボディ用電極15を、ソース電極27のp-型層26に接触する部分で代替することができる。すなわち、図1に示す2つの電極(ソース電極14およびボディ用電極15)を、1つのソース電極27で代替することができ、この実施形態では、第1の実施形態のソース電極14およびボディ用電極15を兼用する電極の名称として、ソース電極27と記述する。
また、ソース電極27は、たとえば、図1に示すソース電極14と同様の金属材料を用いて形成することができる。ソース電極27を、ソース電極14と同様の金属材料で形成することにより、ソース電極27とn+型領域38との間の接合部で良好なオーミック特性を得ることができるとともに、ソース電極27を、p-型層26に対してショットキー接触させることができる。また、ソース電極27は、絶縁膜29により、ゲート電極30と絶縁されている。
その他の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、上記の窒化物半導体素子の動作について説明する。
ソース電極27とドレイン電極16との間には、ドレイン電極16側が正となるバイアスが与えられる。これにより、n-型層3とボディ領域31との界面のpn接合には逆方向電圧が与えられる。その結果、n+型領域38とn-型層3との間、すなわち、ソース電極27とドレイン電極16との間(ソース−ドレイン間)は、遮断状態(逆バイアス状態)となる。
この状態から、ゲート電極30に対して、ソース電極27を基準電位として正となるゲート閾値電圧以上のバイアスを印加すると、チャネル層11におけるゲート絶縁膜28との界面近傍には、電子が誘起されて、反転層(チャネル)が形成される。
そして、この反転層を介して、n-型層3とn+型領域38との間が導通する。こうして、ソース−ドレイン間が導通することになる。すなわち、ゲート電極30に所定のバイアスを与えたときにソース−ドレイン間が導通し、ゲート電極30にバイアスを与えないときにはソース−ドレイン間が遮断状態となる。このようにして、トランジスタ動作が実現される。
図4A〜図4Fは、図3の窒化物半導体素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
この窒化物半導体素子を製造するには、まず、基板1の一方面に、n-型層3が形成される(第1層形成工程)。
次いで、n-型層3上に、たとえば、MOCVD法により、p型不純物がドープされながらGaNが成長させられて、p+型層25が形成される(高濃度層形成工程)。p+型層25の形成後、ドープされるp型不純物の濃度が下げられ、そして、p+型層25よりも相対的にp型不純物濃度の低いp-型層26が形成される(低濃度層形成工程)。こうして、n-型層3の上に、p+型層25およびp-型層26からなるp型層24が形成される(第2層形成工程)。なお、成長するGaNにドープするp型不純物としては、たとえば、MgまたはCを用いればよい。こうして、図4Aに示すように、基板1の一方面に、基板1の成長主面(一方面)に平行な積層界面を有する、n-型層3およびp型層24からなる窒化物半導体積層構造部2が形成される。
続いて、p型層24の、積層界面に平行な最表面33に、後述するトレンチ5のストライプ方向に直交する幅W1(たとえば、3〜10μm)を有する開口18が複数形成された第1のマスク17が形成される。
第1のマスク17が形成された後には、この第1のマスク17の開口から露出するp-型層26に向けてn型不純物(たとえば、Si)のイオンが放射されて、p-型層26にn型不純物が注入される(イオン注入をする工程)。n型不純物を注入するときの加速エネルギーは、たとえば、60keVであり、この加速エネルギーによって注入されるn型不純物のドーズ量は、たとえば、8×1014cm-2である。
その後、焼き鈍し処理(アニール処理)が、たとえば、1000℃で10分間行われる。この焼き鈍し処理により、p-型層26に注入されたn型不純物が、GaN結晶構造の各サイトに配位する。
こうして、図4Bに示すように、p-型層26において、開口18から露出する部分から、幅方向に広がる開口18の周辺領域にn+型領域38が形成されるとともに、p-型層26の当該領域以外の部分およびp+型層25の全域に、主としてp型不純物を含有するボディ領域31が形成される(n型領域形成工程)。
次いで、第1のマスク17が除去され、その後、p型層4の最表面33に、開口18の幅W1よりも小さい幅W2(たとえば、0.5〜5μm)を有する開口20が形成された第2のマスク19が形成される。第2のマスク19は、たとえば、開口20の幅方向中央が、n+型領域38の幅方向中央にほぼ位置するように形成される。すなわち、第2のマスク19が形成された状態では、n+型領域38の、積層界面に平行な最表面35の一部、および、p-型層26の、積層界面に平行な最表面34は、第2のマスク19で覆われている。
そして、この第2のマスク19を介して、窒化物半導体積層構造部2がストライプ状にエッチングされる。すなわち、n+型領域38の最表面35から、n+型領域38およびボディ領域31を貫通して、n-型層3の積層方向途中に至る深さのストライプ状のトレンチ5がエッチングによって形成される。これにより、図4Cに示すように、複数本の窒化物半導体積層構造部2がストライプ状に整形されるとともに、n-型層3、ボディ領域31およびn+型領域38に跨る壁面8が同時に形成される(壁面形成工程)。
トレンチ5の形成後、第2のマスク19が除去されて、第2のマスク19で覆われていたn+型領域38およびボディ領域31が露出する。
次いで、窒化物半導体積層構造部2が形成された基板1が、ECRスパッタ(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)スパッタ装置に入れられる。そして、ECRスパッタ装置内に、たとえば、30eV程度のエネルギーを有するAr+プラズマが発生させられるとともに、窒素ガス(N2ガス)が導入されて、装置内が窒素雰囲気にされる。次いで、Ar+プラズマが窒化物半導体積層構造部2の表面に数秒間照射される。このAr+プラズマが照射されることにより、図4Dに示すように、壁面8の形成により露出したボディ領域31(p+型層25およびp-型層26)の半導体表面部が変質してボディ領域31とは異なる導電特性を有する、チャネル層11が形成される(第3層形成工程)。
その後、図4Dに示すように、窒化物半導体積層構造部2の全面を覆う絶縁膜37が形成される。
次いで、公知のフォトリソグラフィ技術により、ゲート電極30を形成すべき領域に開口を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ゲート電極30の材料として用いられるメタルが、スパッタ法によりスパッタされる。その後は、フォトレジストが除去されることにより、メタルの不要部分(ゲート電極30以外の部分)がフォトレジストとともにリフトオフされる。これらの工程により、絶縁膜37におけるトレンチ5内の部分上に、ゲート電極30が形成される(ゲート電極形成工程)。
次いで、図4Eに示すように、絶縁膜37の表面および絶縁膜37から露出するゲート電極30の最表面32に、絶縁膜29が、たとえば、ECRスパッタ法により形成される。
絶縁膜29が形成された後には、公知のフォトリソグラフィ技術により、窒化物半導体積層構造部2におけるトレンチ5以外の領域に対応する開口を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、絶縁膜29および絶縁膜37がドライエッチングされる。これにより、図4Fに示すように、p型層24の最表面33(n+型領域38の最表面35およびp-型層26の最表面34)が露出し、絶縁膜37のトレンチ5内の残余部分がゲート絶縁膜28となる(ゲート絶縁膜形成工程)。
続いて、公知のフォトリソグラフィ技術により、ソース電極27を形成すべき領域に開口を有するフォトレジスト(図示せず)を介して、ソース電極27の材料として用いられるメタルが、スパッタ法によりスパッタされる。その後は、フォトレジストが除去されることにより、メタルの不要部分(ソース電極27以外の部分)がフォトレジストとともにリフトオフされる。これらの工程により、n+型領域38の最表面35およびp-型層26の最表面34に跨るソース電極27が形成される(ソース電極形成工程)。
ソース電極27が形成された後には、熱アロイ(アニール処理)が、たとえば、650℃で1分間行なわれる。
その後は、ソース電極27の場合と同様の方法により、基板1の他方面に、ドレイン電極16が形成される(ドレイン電極形成工程)。
こうして、図4Fに示すように、図3の窒化物半導体素子を得ることができる。
複数の窒化物半導体積層構造部2は、それぞれ単位セルを形成している。窒化物半導体積層構造部2のゲート電極30およびソース電極27は、それぞれ、図示しない位置で共通接続されている。ドレイン電極16は、基板1に接触して形成されており、すべてのセルに対して共通の電極となっている。
以上のように、この実施形態に係る窒化物半導体素子によっても、前述の第1の実施形態に係る窒化物半導体素子と同様の作用および効果を発現することができる。すなわち、この窒化物半導体素子では、ソース電極27、ボディ領域31、n-型層3およびドレイン電極16によって、pnダイオードが形成されているため、窒化物半導体素子を動作させる際に、ドレイン電極16に対してソース電極27側が正となるバイアスが印加され、ソース電極27の電位がドレイン電極16の電位よりも高い状態になっても、当該バイアスにより発生する高電流を、上記pnダイオードに優先的に電流を流すことができる。
その結果、ボディ領域31とn+型領域38との境界(pn接合部)への電界集中を抑制することができるので、窒化物半導体素子の素子破壊を抑制することができる。
また、p型不純物は、その不純物準位(アクセプタ準位)が深いので、III族窒化物半導体にp型不純物をドーピングしてIII族窒化物半導体をp型にするには、p型不純物を高濃度(たとえば、1×1019cm3)でドーピングする必要がある。そのため、高濃度にp型不純物がドーピングされたIII族窒化物半導体の一部に、n型不純物がドーピングされることによって形成されるn型の領域では、p型不純物が不純物散乱するため、n型領域の抵抗が増大するおそれがある。
一方、この実施形態の窒化物半導体素子では、n+型領域38が、p型層24において、p型不純物濃度が相対的に低いp-型層26に形成されているため、n+型領域38におけるp型不純物の不純物散乱を抑制することができる。その結果、n+型領域38の抵抗の増加を抑制することができるので、窒化物半導体素子のトランジスタ特性を向上させることができる。
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、n-型層3およびp型層4,24を、GaNを用いて形成したが、これらの層は、GaN以外のIII族窒化物半導体、たとえば、窒化アルミニウム(AlN)窒化インジウム(InN)など、一般にAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表すことができる材料を用いて形成することもできる。
また、前述の実施形態では、壁面8は、基板1の主面に対して傾斜した面であるとしたが、傾斜している必要はなく、また、平面である必要もない。すなわち、壁面8は、基板1に垂直な平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。
また、前述の実施形態では、窒化物半導体積層構造部2に断面略V字形のトレンチ5が形成される例について説明したが、トレンチ5の形状は、逆台形、U字形、矩形、台形などの他の形状であってもよい。
また、前述の実施形態では、ボディ用電極15は、図示しない位置において、ソース電極14と電気的に接続されているとしたが、たとえば、リードフレームなど、基板1の外部の部材を用いて接続されていてもよい。
また、前述の実施形態では、ボディ領域7,31の半導体表面部にチャネル層11が形成されているが、このチャネル層11を省いた構成としてもよい。この場合には、ゲート電極10に適切な電圧を与えることにより、ボディ領域7,31の壁面8付近に反転層(チャネル)を形成して、ソース−ドレイン間を導通させることができる。
さらに、前述の第2の実施形態では、第1の実施形態におけるソース電極14およびボディ用電極15を、1つのソース電極27で代替したが、この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、n+型領域38に接触形成されるソース電極およびp-型層26に接触形成されるボディ用電極を設けてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。 図1の窒化物半導体素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図2Aの次の工程を示す模式的な断面図である。 図2Bの次の工程を示す模式的な断面図である。 図2Cの次の工程を示す模式的な断面図である。 図2Dの次の工程を示す模式的な断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。 図3の窒化物半導体素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図4Aの次の工程を示す模式的な断面図である。 図4Bの次の工程を示す模式的な断面図である。 図4Cの次の工程を示す模式的な断面図である。 図4Dの次の工程を示す模式的な断面図である。 図4Eの次の工程を示す模式的な断面図である。 従来の窒化物半導体素子の構造を説明するための模式的な断面図である。
符号の説明
1 基板
2 窒化物半導体積層構造部
3 n-型層
4 p型層
5 トレンチ
6 n+型領域
7 ボディ領域
8 壁面
9 ゲート絶縁膜
10 ゲート電極
11 チャネル層
12 開口
13 開口
14 ソース電極
15 ボディ用電極
16 ドレイン電極
17 第1のマスク
18 開口
19 第2のマスク
20 開口
21 最表面
22 最表面
23 最表面
24 p型層
25 p+型層
26 p-型層
27 ソース電極
28 ゲート絶縁膜
29 絶縁膜
30 ゲート電極
31 ボディ領域
32 最表面
33 最表面
34 最表面
35 最表面
36 最表面
37 絶縁膜
38 n+型領域

Claims (14)

  1. n型のIII族窒化物半導体からなる第1層、この第1層上に設けられたp型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第2層、およびこの第2層の一部に形成されたn型領域を備え、前記第1層、前記第2層における前記n型領域以外のボディ領域、および前記n型領域に跨る壁面を有する窒化物半導体構造部と、
    前記壁面における前記ボディ領域に対向するように形成されたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記ボディ領域に対向するように形成されたゲート電極と、
    前記n型領域に電気的に接続されるように形成されたソース電極と、
    前記第1層に電気的に接続されるように形成されたドレイン電極と、
    前記ボディ領域に電気的に接続されるように形成されたボディ用電極と
    を含む、窒化物半導体素子。
  2. 前記第2層は、前記第1層上に設けられ、p型不純物濃度が相対的に高い高濃度層と、前記高濃度層上に設けられ、p型不純物濃度が相対的に低い低濃度層とを含み、
    前記n型領域が前記低濃度層に形成されている、請求項1に記載の窒化物半導体素子。
  3. 前記壁面における前記ボディ領域の半導体表面部に形成され、前記ボディ領域とは異なる導電特性を有する第3層をさらに含み、
    前記ゲート絶縁膜は、前記第3層と前記ゲート電極との間に介装されている、請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
  4. 前記第3層は、前記第2層を変質させることにより形成されている、請求項3に記載の窒化物半導体素子。
  5. 前記第3層は、前記2層からIII族窒化物半導体を再成長させることにより形成されている、請求項3に記載の窒化物半導体素子。
  6. 前記ボディ用電極が、前記窒化物半導体構造部の成長主面に平行な最表面において前記ボディ領域に接触している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
  7. 前記n型領域が、n型不純物のイオン注入により形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
  8. n型のIII族窒化物半導体からなる第1層を形成する第1層形成工程と、
    この第1層上に、p型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第2層を形成する第2層形成工程と、
    この第2層の一部に、n型領域を形成するn型領域形成工程と、
    前記第1層、前記第2層および前記n型領域を備える窒化物半導体構造部に、前記第1層、前記第2層における前記n型領域以外のボディ領域、および前記n型領域に跨る壁面を形成する壁面形成工程と、
    前記壁面における前記ボディ領域に対向するようにゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、
    前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記ボディ領域に対向するようにゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
    前記n型領域に電気的に接続するようにソース電極を形成するソース電極形成工程と、
    前記第1層に電気的に接続するようにドレイン電極を形成するドレイン電極形成工程と、
    前記ボディ領域に電気的に接続するようにボディ用電極を形成するボディ用電極形成工程と
    を含む、窒化物半導体素子の製造方法。
  9. 前記第2層形成工程は、前記第1層上に、p型不純物濃度が相対的に高い高濃度層を形成する高濃度層形成工程と、前記高濃度層上に、p型不純物濃度が相対的に低い低濃度層を形成する低濃度層形成工程とを含み、
    前記n型領域形成工程が、前記低濃度層に前記n型領域を形成する工程を含む、請求項8に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  10. 前記壁面形成工程によって露出した前記ボディ領域の半導体表面部に、前記ボディ領域とは導電特性の異なる第3層を形成する第3層形成工程をさらに含み、
    前記ゲート絶縁膜形成工程が、前記第3層に対向するように前記ゲート絶縁膜を形成する工程であり、
    前記ゲート電極形成工程が、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記第3層に対向するように前記ゲート電極を形成する工程である、請求項8または9に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  11. 前記第3層形成工程は、前記第2層を変質させることにより、前記第3層を形成する工程を含む、請求項10に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  12. 前記第3層形成工程は、前記ボディ領域からIII族窒化物半導体を再成長させることにより、前記第3層を形成する工程を含む、請求項10に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  13. 前記壁面形成工程が、前記n型領域の一部を露出させるように、前記ボディ領域および前記n型領域を覆うマスクを形成する工程と、このマスクを介して前記窒化物半導体構造部をエッチングすることにより前記壁面を形成する工程とを含み、
    前記ボディ用電極形成工程が、前記ボディ領域における前記マスクで覆われる部分に前記ボディ用電極を形成する工程を含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  14. 前記n型領域形成工程が、前記第2層にn型不純物をイオン注入する工程を含む、請求項8〜13のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
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