JP2009096190A - 流体積層装置および流体の積層方法 - Google Patents

流体積層装置および流体の積層方法 Download PDF

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孝行 宇都
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Abstract

【課題】多孔板から流出した流体と他の流体とを合流させるに際し合流部での流動を安定化させるとともに、流路の変形による積層構造の乱れを抑制され、精度よく積層された多層積層フィルムを製膜することができる流体積層装置および流体積層方法を提供する。
【解決手段】複数のマニホールド5と、マニホールドのうち少なくとも1つと連通し複数の孔が設けられた多孔板6と、多孔板と連通し複数の流体を合流せしめる合流部7と、合流部より流動方向下流でかつ吐出部8より上流において流路の奥行方向の壁面の縮流角度αが15°以上90°以下である縮流部とを備えた流体積層装置。
【選択図】図1a

Description

本発明は、流体積層装置および流体の積層方法に関するものである。
性質の異なる樹脂がフィルムの厚み方向に積層された多数の層に積層された多層積層フィルムは、耐引裂性の向上や光の干渉反射性の向上などの特異な性質を示すことから、ガラスの破損・飛散防止用フィルムやダイクロイックミラー、金属調の外観を持つフィルムなどとして応用されている(たとえば特許文献1、2)。多層積層フィルムの製膜には異なる経路を経て供給された流体を合流させ、多界面を形成することができる流体積層装置が、製膜に要するコストの面で有利であるため広く用いられている。これらの中に多層共押出フィードブロックを含む流体積層装置があり、本装置を用いることにより非常に高い積層精度で多層積層フィルムの製膜を行うことが可能となる(たとえば特許文献3)。フィードブロック45ならびに直管46、口金47含む流体積層装置の概略図を図8a、図8bに示す。図8aは流体積層装置の奥行方向の中央における積層方向−流動方向の断面図であり、図8bは流体積層装置の積層方向の中央における奥行方向−流動方向の断面図である。フィードブロック45は、その内部に、流体A、流体Bを導入する導入路48、49と、導入路48、49により導入された流体A、流体Bを積層方向に拡げるマニホールド50、51と、各マニホールド50、51からの各流体を下流側に導くスリット52の列とを有しており、さらにスリット52の出口側には合流部53が設けられていて、スリット52からの流体A、流体Bが交互に多層に積層されて積層流を形成できるようになっている。上記の方法で作製された積層流はフィルム厚み方向に積層された多層積層フィルムへと成型するのに適さない形状であるため、合流部53以後のフィードブロック45、直管46、口金47内の流路において、積層方向への流路の縮小ならびに奥行方向への拡幅を行い、フィルムを成型するのに適した形状へと変形させるものである。
本発明者らの知見によれば、このような流体積層装置に設けられた合流部53では、あらかじめスリット52内で積層構造に類似した流路形状を作製し、スリット52から交互に流出する流体Aと流体Bの流動の向きや流速もほぼ同一とすることから、合流点における層の界面での流動の乱れはあまり考慮する必要は無い。
一方、積層方向をフィルム厚み方向からフィルム幅方向へと変更した多層積層フィルムも、多数のコアを有する光導波路フィルムとして注目されている。光導波路フィルムの製膜においても上記の多層共押出フィードブロックを用いることは可能である(たとえば特許文献4)。
しかし、この場合、フィルムの幅方向中央部では設計した層構造を積層精度高く実現することが可能となるものの、例えば特許文献4に示される装置においては、多層積層フィルムの層厚みが小さくなる場合にスリットの加工精度に制約があるため、スリットの間隙を小さく出来ず、積層後に積層方向ならびに奥行方向に流路の変形により所望するフィルムの形状へと変化させる必要がある。そのため、前述の流体積層装置と同様合流部での積層構造の乱れは生じないものの、特に流路の積層方向への変形によりフィルムの幅方向端部では積層後の流動において層構造が変形し、望む形状の層を得ることができない場合がある。
多層共押出フィードブロック以外にフィルム幅方向に積層された多層積層フィルムの製膜方法として、多数の微細な孔を有する流体積層装置を用いる方法がある(たとえば特許文献5)。その1例である流体積層装置1は、図1a、bに示すように構成されている。図1aは、2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置の概略図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図を示したものである。図1bは、2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置の概略図であり、装置奥行方向の中央部における合流部での積層方向−流動方向の断面図を示したものである。流体積層装置1は、その内部に流体A、流体Bを装置内に導入する導入口2、3、導入口に導入された流体をフィルム幅方向に均等に拡げるためのマニホールド4、5、マニホールド4に連通し多数の孔が設けられた多孔板6、多孔板6から流出する流体とマニホールド5に導入された流体を合流し積層する合流部7、合流部7で積層された積層流を流体積層装置1の外部へ吐出する吐出部8からなる。本流体積層装置を用いることにより、フィルム幅方向のいずれの位置においても設計を満たす多層積層フィルムを製膜することが可能となると記載されている。
本発明者らの知見によれば、流体の流量が多くなるに従い得られる多層積層フィルムの構造に乱れが生じ、たとえば、フィルムの長手方向の箇所により断面形状が変化するという経時的な変化が生じたり、ひどい場合には層構造をなさなくなるという問題があった。
本発明者らの知見によれば、上記の多層積層フィルムの構造の乱れは、合流時の流体Aと流体Bの流速の増加による合流時の流動の安定性の低下に起因するものである。つまり、前述のスリットを含む流体積層装置とは異なり、合流時に多孔板6の孔から流出した糸状の流体の周囲をマニホールド5から供給される流体が回り込むことにより積層流となるものであるが、その時に多孔板6から流出した流体とマニホールド5から供給される流体の流動の向きや流速が異なることから、合流部7での界面の乱れが生じやすくなるものである。特に、マニホールド5から供給される流体の流速が速くなるに従い、合流時に多孔板6から流出した流体に対するマニホールド5から供給された流体の影響により流動の乱れが悪化する。
また、本発明者らの知見によれば、多孔板6上の隣り合う孔の間隔によっては、合流時にマニホールド5から供給される流体の流量に対して多孔板6の孔から供給される流量が多いときに、多孔板の隣り合う孔から流出した流体が合流することにより所望する数の層を形成することができないという問題もあった。そのため、孔の間隔や積層される流体の流量比が制約され、所望する多層積層フィルムを得ることができない場合もあった。
特開平10−76620号公報(第2頁) 特開2005−288784号公報(第2頁) 特開2006−130912号公報(第2頁) 特開2006−221145号公報(第2頁) 特公平5−70571号公報(第2頁)
本発明における流体積層装置では、合流部における奥行方向の流路の幅を十分設けることにより合流部での流動を安定化させるとともに、流路の変形による積層構造の乱れを抑制され、精度よく積層された多層積層フィルムを製膜することができる流体積層装置および流体積層方法を提供することを目的とする。
また、積層される流体の流量比に制約されることなく流体を所望する数の層に形成することができる流体積層装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によれば、複数の流体を前記流体の数よりも多い層数の層を形成するように積層する流体積層装置であって、前記流体を供給する複数のマニホールドと、前記マニホールドのうち少なくとも1つと連通する積層方向に複数の孔が設けられた多孔板と、前記多孔板と連通し前記複数の流体を合流せしめる合流部と、前記積層方向に延びる吐出部と、前記合流部より前記流体の流動方向下流側でかつ前記吐出部よりも上流側において前記積層方向と前記流動方向とに直交する流路の奥行方向の壁面の縮流角度αが15°以上90°以下である縮流部とを備えた流体積層装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記複数のマニホールドのうち、前記流体の流動方向下流側に前記多孔板を有しない前記マニホールドと前記合流部との間に設けられた流路のうち、少なくとも一つの流路(流路A)において奥行方向の長さが積層方向に変動するストライプ状の凹凸が設けられている流体積層装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記流路Aに設けられたストライプ状の凹凸の凹部の前記合流部側末端が、前記多孔板の隣り合う孔と孔の間に相対するように配置されてなる流体積層装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記流路Aの合流部入口において、前記合流部の流路の中心軸と前記流路Aの流路の中心軸とがなす角度γが60°以上120°以下である流体積層装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記多孔板に設けられた孔が複数の小孔からなる小孔群を形成してなる流体積層装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記縮流部における流路の奥行方向の壁面の縮流角度αが30°以上60°以下である流体積層装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記合流部以降における流路の積層方向の長さの最大値が、流路の積層方向の長さの最小値の2倍以下である流体積層装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、複数の流体を前記流体の数よりも多い層数の層を形成するように積層させる流体の積層方法であって、前記流体のうち少なくとも一つの流体をマニホールドを経由して積層方向に複数の孔が設けられた多孔板に供給し、前記多孔板から流出した流体と前記流体とは異なる流体とを前記合流部にて合流させて積層流とし、前記積層流を縮流角度αが15°以上90°以下の縮流部にて前記積層方向と前記流動方向とに直交する奥行方向に圧縮して所望の流路幅とする流体の積層方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記多孔板に設けられた複数の小孔からなる小孔群より流体を流出させ、合流部において一つの小孔群から流出した各流体を合流させることにより一つの層を形成させる流体の積層方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記合流部において複数の流体を合流させ積層流とするに際し、全ての多孔板から流出される流体の温度の差が10℃以内である流体の積層方法が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、上記の流体の積層方法で複数の流体を積層し、前記流体積層装置から流出した流体をシート状に成型する積層フィルムの製造方法が提供される。
本発明の流体積層装置によれば、多層積層フィルムの層の形状の乱れの原因となる合流時の流動の乱れを抑制することが可能となる。
また、積層される流体の流量比に制約されることなく流体を所望する数の層に形成することが可能となる。
以下に本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。
本実施形態においては、流体積層装置において同一の導入口から流体積層装置に供給された流体を同一の流体として取扱う。すなわち、化学的な組成が全く同一の流体であっても、異なる導入口に供給されたものであれば異なる流体として取扱い、化学的に異なる組成の流体を混合して作られた混合流体であっても、同一の導入口に供給されたものであれば同一の流体として取り扱う。
本発明における流体積層装置の一実施形態例として、2種類の流体を積層する流体積層装置11の概略図を図2に示す。なお、図2aは2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置11の概略図であり、図2b、cにおけるX−X断面矢視図である。図2bは2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置11の概略図であり、図2aにおけるY−Y断面矢視図である。図2cは2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置11の概略図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図である。図2dは2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置11の図2a、b、cとは異なる実施形態についての概略図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図である。以後、積層方向とは、多孔板中の孔の配列している方向とし、流動方向とは各構成要素において積層方向と流路の中心軸とがなす面上で積層方向に垂直である方向とし、奥行方向は積層方向、流動方向に垂直な方向とする。たとえば、図2aにおいて合流部を基準として方向を示すと、紙面左右方向がフィルムの幅方向に相当する積層方向、上下方向がフィルムの厚み方向に相当する奥行方向、紙面に垂直な方向が流体の流動方向に相当する流動方向である。
なお、ここでは、2種類の流体を積層する流体積層装置について例示しているが、装置に供給される流体は3種類以上であってもよく、その流体が別々の供給源から供給された流体であっても、同一の供給源から分割した流体であってもよい。重要なことは、流体積層装置内に設けられる合流部に供給される経路が2つ以上あることである。
図2a,図2b,図2c、図2dに示す流体積層装置11には、装置上面に流体Aを導入するための開口部が設けられており、開口部から導入口12が設けられマニホールド14へと連通している。一方、装置の積層方向側面に流体Bを導入するための開口部が設けられており、開口部から導入口13が設けられている。導入口13は途中で2つの流路へと分岐した構造となっており、異なるマニホールド15、16へと連通している。
本実施形態における流体積層装置においては、マニホールドが設けられることが好ましい。マニホールドを設けることで、供給された流体の流動の乱れや圧力損失を緩和し、マニホールド以後で特に流体積層装置の積層方向に均等に安定して流体を供給することができることから、合流部の積層方向のいずれの箇所においても同様に精度良く流体を合流させることが可能となる。より好ましくは、各々の流路に対して1つ以上のマニホールドを設けることである。各々の流路に対してマニホールドを設けることにより、合流させる全ての流体に対して供給された流体の流動の乱れや圧力損失を緩和し、合流部の供給されるすべての流体を均等に安定して流体を供給することができることから、より精度良く流体を合流させることが可能となる。
マニホールド14の流動方向下流側に直結する形で、多孔板17が設けられている。多孔板17の概略図を図3a、bに示す。図3aは、積層方向に直列な孔の列が一列配置してなる多孔板17の流動方向上部から見た概略図である。図3bは、積層方向に直列な孔の列が二列配置してなる多孔板17の流動方向上部から見た概略図である。多孔板17には、複数の孔21が設けられている。多孔板に複数の孔21を設けることで、共押出法以外の方法で複数個以上の層をもつ多層積層フィルムを作製する際と比較して、簡便さ、低コストの面で優位となる。また、孔の数の上限については特に限定されるものではないが、100個以上の孔を設けることにより、実質的に他の手法ではコスト面や精度面から実現が難しい数の層をもつフィルム幅方向に積層された多層積層フィルムを精度良く作製することが可能となる。
また、本実施形態における多孔板17においては、孔21の配置については特に限定されるものではなく任意に設定できるものである。特に、光導波路フィルムとして用いる場合には、フィルムのフレキシビリティーの観点から厚みを薄くすることや他のデバイスとの接続の容易さが求められ、層は直線状に配置されることが望まれるため、図3aに示すように孔21は積層方向に対して実質的に直線状に配置されることが好ましい。また、図3bに示すとおり、積層方向に対して実質的に直線状に配置されてなる孔の列が奥行方向に数列並ぶように孔21を設けることにより、より光導波路のチャンネル数を効率的に増やすことが可能であり、好ましい。
多孔板17の孔21の形状について、以下に詳しく説明する。図3dは、多孔板17の積層方向の端部の様子を示した概略図である。
本実施形態における流体積層装置11の孔21の形状は、特に限定されるものではなく、正方形でも長方形でも円形でもよい。また、所望する多層積層フィルム中の層の形状によっては、複数の小孔からなる小孔群を形成せしめることも好ましい。ここでいう小孔とは、多孔板中の隣接する孔と孔の間隔の平均と比較して短い間隔で隣接する孔の集合体であるとする。図3cは、奥行方向に並んだ4つの小孔からなる小孔群が積層方向に直列に配置してなる多孔板17の流動方向上部から見た概略図である。本発明者らの知見によれば、孔から流出した流体は、以後の流動の過程、特に孔から流出した直後の流動において形状が若干変形し、結果として得られる積層フィルムの層の形状は所望するものとは異なってしまう場合があるが、複数の小孔から流出する流体を合流させることにより、得られる層の形状を制御することが可能となる。例えば、所望する層の形状がアスペクト比の大きい長方形のように扁平な形状の層を得ようとする場合には、扁平度の大きな形状の孔を用いても孔から流出する際に扁平な流路からは短辺方向に大きく層が拡幅し、層の所望する形状の層を得ることができなかったり隣接する層と合流する場合がある。しかし、図3cに示すように複数個の円または正方形などのアスペクトの小さい形状の小孔を積層方向の小孔の間隔よりも小さい間隔で直列に配置することにより、扁平な形状の孔を用いたときと比較して積層方向への大きな層の拡幅を抑えて積層方向に隣接した小孔から流出した流体が合流部以後の流動過程で合流することを抑制することができ、かつ奥行方向に隣接した小孔から流出した流体同士を合流部で合流させることにより所望する扁平な層の形状を得ることが可能となる。また、三角形や四角形、星型などの多角形状の層を得ようとする場合には、孔の形状を三角形や四角形などの多角形としても、流動させる流体の流動特性や合流部の形状によっては層の形状が変形し、所望する形状を得ることができない場合がある。しかし、そのような場合においても多角形の頂点をなすように小孔を配置した小孔群を形成させることにより孔の形状を多角形とする場合と比較して所望する層の形状を得やすくなる。
また、小孔群が積層方向に配列してなることも好ましく、この場合、得られた多層積層フィルムにおいては小孔群から流出した流体が合流して一つの層を形成することにより、幅方向に所望する形状の層が配列した多層積層フィルムを得ることが可能となる。当然、孔の配列のときと同様に積層方向に配列した小孔群が奥行方向に複数列存在してもよく、所望する形状の層が複数列配列してフィルムを得ることができ、光導波路のチャンネル数を効率的に増やすことが可能となるが、この場合、奥行方向に隣接する小孔群の間隔よりも小孔群を構成する小孔間の孔の間隔を短くする必要がある。
また、多孔板は容易に取替えが可能なものであることが好ましい。この場合、孔21の形状が異なるフィルムや、孔の数、配置が異なるフィルムを作製する際に、流体積層装置全体を別の装置に取り替えるのではなく多孔板のみを取り替えることにより対応可能であるため、装置の制作コストという面で好ましい。
本実施形態における流体積層装置11の孔21の積層方向の長さ22ならびに奥行方向の長さ23は、100μm以上であることが好ましい。ここでいう孔21の積層方向の長さ22とは、孔21の積層方向の長さの最大値であり、孔21の奥行方向の長さ23とは、孔21の奥行方向の長さの最大値である。100μm以下である場合には、加工精度が低下し、作製された多層積層フィルムの積層精度が低下する可能性がある。100μm以上とすることにより、高い加工精度を実現することができ、高い積層精度の多層積層フィルムを得られるものである。
本実施形態における流体積層装置11の孔21の間隔24は、100μm以上であることが好ましい。ここでいう孔21の間隔24とは、孔21の間隔24の最小値である。孔21の間隔24が100μm未満となることにより、多孔板17の耐圧性が低下し、変形・破損の原因となる可能性がある。孔21の間隔24が100μm以上であることにより、多孔板17の変形・破損なく精度よく流体を積層することが可能となる。
本実施形態における流体積層装置11の多孔板17の厚み25(流動方向の長さ)は、500μm以上であることが好ましい。ここでいう多孔板17の厚み25とは、多孔板17中の厚みの最小値である。多孔板17の厚み25が500μm未満である場合、孔にかかる圧損のため、変形・破損の原因となる可能性がある。多孔板17の厚み25が500μm以上であることにより、多孔板17の変形・破損なく精度よく流体を積層することが可能となる。
本実施形態における流体積層装置11の孔21の形状は、上述のとおり任意に設定できるものである。
しかし、本発明者の知見によれば、ある所望のフィルム幅や各層の厚みの多層積層フィルムを得るときに、積層方向において所望する層の厚みとは異なる間隔で孔が設けられた多孔板を用い、合流部で作製された積層流を積層方向に圧縮または拡大させると、積層方向の端部に設けられた層の形状に変形が起こり望まれる多層積層フィルムを得ることができない場合がある。このため、所望のフィルム幅や各層の厚みの多層積層フィルムと同等の積層方向の間隔で孔が設けられた多孔板を設けることが好ましい。
しかし、一方で孔が微小となるに従い多孔板で生じる圧損が上昇し、多孔板の変形・破損の原因となる。そのため、孔21のうち積層方向の層の長さが1000μm以下となる孔については、孔21の積層方向の長さ22に対して孔の奥行方向の長さ23が2倍以上であることが好ましい。この場合、孔の形状にアスペクトを設けることにより、積層方向の長さを変更することなく圧損を低下させ、多孔板の変形・破損を防ぐものである。孔21の積層方向の長さ22に対して孔の奥行方向の長さ23が2倍以上である多孔板を用いて合流部にて作製された積層流は、合流部以後にて奥行方向に圧縮することにより望まれる形状に変形することが可能であるが、この際に奥行方向に圧縮する場合には、積層方向に圧縮する場合と比較して流動の変形はほとんど生じないため、多層積層フィルムの層の形状の乱れはもたらさない。また、孔21うち積層方向の長さが400μm以下となる孔においては、孔21の積層方向の長さ22に対して孔の奥行方向の長さ23が5倍以上であることが好ましい。孔21の積層方向の長さ22が小さくなるに従い、孔の奥行方向の長さ23の長さを長く設定することで圧損を低下させることが好ましいためである。
本実施形態における流体積層装置11の多孔板17は、積層方向端部に設けられた孔から多孔板の端部までの距離26が多孔板の積層方向の長さの1%以上であることが好ましい。ここでいう多孔板の積層方向の長さとは、多孔板の積層方向の長さの最大値のことである。多孔板の積層方向の端部には、多孔板にかかる圧損のため非常に大きな力がかかっているが、最も積層方向端部に設けられた孔から多孔板の端部までの距離26が多孔板の積層方向の長さの1%以上とすることにより、端部にかかる力による多孔板の変形を抑制することが可能となる。より好ましくは、最も積層方向端部に設けられた孔から多孔板の端部までの距離26が多孔板の積層方向の長さの3%以上であることであり、この場合、多孔板の変形のリスクはほぼ抑制できるものである。
本実施形態における流体積層装置11の多孔板17は、すべての孔において多孔板の奥行方向の端部から孔までの距離27が100μm以上であることが好ましい。多孔板の奥行方向の端部から孔までの距離27が100μm未満である場合、多孔板17の耐圧性が低下し、変形・破損の原因となる可能性がある。多孔板の奥行方向の端部から孔までの距離27が100μm以上であることにより、多孔板17の変形・破損なく精度よく流体を積層することが可能となる。また、すべての孔において、多孔板17の奥行方向の端部から孔までの距離27が多孔板17の奥行方向の長さ28の10%以上であることが好ましい。ここでいう多孔板17の奥行方向の長さ28とは、多孔板17の奥行方向の長さの最大値である。多孔板17の奥行方向の端部から孔までの距離27が多孔板17の奥行方向の長さ28の10%以上であることにより、多孔板の変形・破損をほぼ抑制することができるものである。
多孔板17は合流部18へと直結しており、多孔板を経由した流体は合流部18へと孔の形状を保った状態で流出する。一方、合流部18は扁平流路を経てマニホールド15、16へとも連通しており、マニホールド15、16へ供給された流体は前記の扁平流路34、35を経て合流部18へ供給される。合流部18より流動方向下流側に位置する流路において、流路の奥行方向の長さが減少する縮流部19をもち、装置の出口に相当する吐出部20が設けられる。
以下、合流部以後の形状の詳細について、さらに詳しく説明する。なお、以後流路等の形状について説明するときは、特記しない限り、流体の流路の中心軸29を含み奥行方向に平行な断面における形状等を議論する。
ここでいう流路の中心軸29は、以下のとおりに定義されるものであり、図4a、図4b、図5を用いて説明する。図4a、図4bは合流部以後の流路の説明図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図である。図5は中心軸を定義する説明図であり、装置の積層方向の中央部における奥行方向−流動方向の断面図である。流路の中心軸29とは、流体の流れの代表的な経路を表すものである。この中心軸29は、積層方向を含む面であって、かつ合流部以後の流路の体積を2分する平面30内の点であって、合流部以後の流路の奥行方向での両末端の壁面で最も流動方向の上流に位置する点を結んだ直線の中点で31を始点とし、装置の出口に相当する吐出部20における積層方向および奥行方向の中心に位置する点32を終点とする、一般には曲線となる線である。流路の中心軸29は、流路の奥行方向の中心点Gを起点とする。流路の中心軸上の次の点は、合流中心面内方向であって積層方向に直交する方向で下流の方向に微小長さΔだけ進んだ点G における上記下流の方向に垂直な平面Pと流路の交線に囲まれた平面図形(流路断面)の重心点Gである。流路の中心軸上のさらに次の点は、上記重心点Gを新たな起点とし先の中心点GからGに向かう流路方向Dに微小長さΔだけ進んだ点G における上記流路方向Dに垂直な平面Pと流路の交線に囲まれた平面図形の重心点Gである。以下同様に下流に向かう流路断面の重心点をつないだ曲線が流路の中心軸29となる。この様子を示したのが図5である。
次に、流路の中心軸29と壁面のなす角度である縮流角度αについて詳細に定義する。図4a、図4bにおいて、中心軸29と縮流角度αを成す壁面の部位は、中心軸29の各点xからその点における流路断面内に積層方向に伸ばした直線と壁面とが交わる点wxとする。縮流角度αは、この点における、上記直線と点xにおける流路の中心軸29の向いている方向とを含む平面内での壁面上の点wxで壁面と接する直線と流路の中心軸上の点xを通り点x上での流路の中心軸の向きに伸ばした直線とがなす角度をもって定義する。この様子を図4a、図4bに示す。ただし、ここでいう壁面は、流体が接する面であって、壁面の傷、凹み、壁表面の面粗度による凹凸、また温度などを測定するための穴などの加工および面取加工等は含まない。また、縮流角度αは、流体の流れ方向に対して中心軸29と成す角度を表し、樹脂の流れが拡幅する方向をマイナス、縮流する方向をプラス、中心軸29と平行な方向を0°として定義する。
図2c、図4a、図4bに示すように、本実施形態における流体積層装置11の合流部18とは、多孔板17の流動方向下流側の面よりも下流の流路であり、かつマニホールド15、16と合流部18の間に設けられた流路A34、35の合流部入口40より下流側の流路であり、かつ流路の奥行方向の壁面の縮流角度αは−15°より大きく15°未満である箇所のことである。ここでいうマニホールド15、16と合流部18の間に設けられた流路34、35の合流部入口とは、流路の奥行方向−流動方向の断面における流路下部壁面上の点zにおける壁面に接する接線と、点zから流路上部壁面へ下ろした垂線とのなす角度βが85°以下となる箇所であり、かつもっとも流路の中心軸との距離が短い点であるとする。また、ここでいう縮流角度αとは、流路の奥行方向の両壁面と流路の中心軸29がなす縮流角度αの平均値である。多孔板17の直後に流路の奥行方向の壁面の縮流角度αが−15°より大きく15°未満である箇所を備えていない流体積層装置であっても、流体の種類や流量に最適な装置を設計することにより、所望する形状の多層積層フィルムを得ることが可能である。しかし、多孔板17の直後に流路の奥行方向の壁面の縮流角度αが−15°より大きく15°未満である箇所を有することにより、マニホールド15、16から供給された流体の流速を効果的に緩和することができ、合流時の流動を安定化させることが可能となり、単一の装置で種々の流体を異なる流量で供給して多層積層フィルムを作製する際にも、同様に所望する形状の多層積層フィルムを得ることが出来る。
本実施形態における流体積層装置11においては、流体の流動方向下流側に多孔板を有しないマニホールド15、16と合流部18との間に設けられた流路34、35のうち、少なくとも一つの流路(流路A)において奥行方向の長さが積層方向に変動するストライプ状の凹凸が設けられていることが好ましい。ここでいう奥行方向の長さが積層方向に変動するストライプ状の凹凸とは、流路Aの奥行方向から見た場合に流路Aの流動方向を長手方向とし、積層方向において流路Aの奥行方向の長さが変動する凹凸であり、その様子を図4c、dに示す。図4cは、積層方向に変動するストライプ状の凹凸の説明図であり、流路Aを奥行方向から見た概略図である。図4dはストライプ状の凹凸の断面形状についての説明図であり、マニホールド15、16と合流部18との間に設けられた流路Aの合流部入口における奥行方向−積層方向の断面図である。本発明者らの知見によれば、マニホールドと合流部の間の流路Aの形状が四角形である場合、流路Aから合流部に供給される流量に対し多孔板17を経て合流部に供給される流量の比率が大きいときに、多孔板中の隣り合う孔21から流出した流体同士が合流し、所望する層数を形成することができない場合があった。しかし、奥行方向の長さが積層方向に変動するストライプ状の凹凸が設けられることにより、流路A内の凹部での流量が増加、凸部での流量が減少し、合流部に供給される流体の流量に積層方向で分布を設けることが出来ることから、積層方向に分布する孔から流出した流体の流動を制御することで所望する層数の多層積層フィルムを得ることが可能となる。
より好ましくは、流路Aに設けられたストライプ状の凹凸の凹部の合流部側末端が、多孔板の隣り合う孔と孔の間に相対するように配置されてなることである。ここでいうストライプ状の凹凸の凹部の合流部側末端が、多孔板の隣り合う孔と孔の間に相対するように配置されてなるとは、ストライプ状の凹凸の凹部の一部が、積層方向において多孔板の隣り合う孔と孔の間に位置するように配置されることである。ストライプ状の凹凸の凹部の合流部側末端が、多孔板の隣り合う孔と孔の間に相対するように配置されることにより、隣り合う孔の間の流路Aから供給される流体の流量を多くでき、隣り合う孔から流出した流体同士が合流することを抑制する効果が顕著となる。
また、ストライプ状の凹凸の凹部の数は特に限定されるものではなく、たとえば、多孔板17の隣り合う孔と孔の間隔が短い箇所や孔の大きさが他の孔よりも大きくなっている箇所など特に隣り合う孔から流出した流体が合流しやすい箇所のみに設けてあれば十分に効果はある。より好ましくは、全ての孔と孔の間にストライプ状の凹凸の凹部があれば、全ての多孔板の隣り合う孔と孔から流出した流体が合流することを抑制できるようになり、孔の間隔や供給される流体の流量比によらず所望する多層積層フィルムを得ることが可能となる。図4a、図4bに示すようにマニホールドと合流部の間に設けられた流路を2つ以上備える流体積層装置においては、少なくとも1つの流路においてストライプ状の凹凸を備えることで十分に効果はあるが、全ての流路においてストライプ状の凹凸を備えることにより、顕著な効果を得ることができる。
また、隣り合うストライプ状の凹凸の凹部の流路幅36が凸部の流路幅37の1.5倍以上であることが好ましい。ここでいう凸部の流路幅とは、一つの凸部における奥行方向の長さの最大値であり、凹部の流路幅とは、一つの凹部における奥行方向の長さの最大値である。隣り合うストライプ状の凹凸の凹部の流路幅が凸部の流路幅の1.5倍以上であることにより、凹部から供給される流量と凸部から供給される流量の差が大きくなり、多孔板の隣り合う孔から流出した流体が合流することを抑制できるようになる。より好ましくは、全ての隣り合うストライプ状の凹凸の凹部の流路幅36が凸部の流路幅37の1.5倍以上であることであり、この場合、多孔板中の全ての孔から流出した流体が合流することを抑制することができる。また、多孔板に設けられた孔の配置や所望する多層積層フィルムによっては、ストライプ状の凹凸が積層方向に周期的で均一な形状である必要はなく、積層方向の位置により凹部の流路幅や凸部の流路幅が変動してもよい。
また、ストライプ状の凹凸は、流路Aの多孔板側の壁面に設けられても、吐出部側壁面に設けられても良く、もしくは両方の壁面に設けられても良い。また、ストライプ状の凹凸の形状は、四角形状の溝が積層方向に連続して設けられた形状でも、プリズム状の溝が積層方向に連続して設けられた形状でも、もしくは波型に積層方向に流路の奥行方向の長さが変動するように設けられた溝でもよい。重要なことは、流路Aの奥行方向の長さが積層方向で変動する箇所が設けられていることである。
また、ストライプ状の凹凸は、合流部入口40まで設けられていることが好ましい。ストライプ状の凹凸がマニホールドから合流部入口までの流路の途中までしか設けられていない場合は、ストライプ状の凹凸で生じた積層方向の流量分布の差が緩和され、多孔板の隣り合う孔から流出した層が合流することを抑制する効果が減少する。ストライプ状の凹凸の合流部側末端が合流部入口まで設けられていることにより、流路Aから合流部に供給される流体の積層方向における流量について十分な分布を設けることができ、積層方向に分布する孔から流出した流体の流動を制御することで所望する層数の多層積層フィルムを得ることが可能となる。
一方、ストライプ状の凹凸の流動方向の長さは特に制限されるものではなく、流体が流動するときに生じる圧力損失により変形や破損しない範囲であれば流動方向の長さが短くとも、流路Aから合流部に供給される流体の積層方向における流量について十分な分布を設けることができ、積層方向に分布する孔から流出した流体の流動を制御することで所望する層数の多層積層フィルムを得ることが可能となる。
なお、多孔板に複数の小孔からなる小孔群が形成されてなる場合においては、小孔群と小孔群の間にストライプ状の凹凸の凹部の合流部側末端が、多孔板の隣り合う孔と孔の間に相対するように配置されることで十分な効果を示す。すなわち、所望する多層積層フィルムの層となる流体を流出する孔と隣接する層となる流体を流出する孔との間にストライプ状の凹凸の凹部が存在することが重要である。
本実施形態における流体積層装置11においては、流路Aの合流部入口において合流部の流路の中心軸と流路Aの流路の中心軸38がなす角度γが60°以上120°以下であることが好ましい。ここでいう角度γは、流動方向上流側から下流側へと角度が大きくなるものであり、流路Aが上流側から合流部へと連通する場合には90°未満、下流側から合流部へと連通する場合には90°より大きい値をとるものである。本発明者らの知見によれば、多孔板17の隣り合う孔から流出した流体同士が合流することを抑制するためには、多孔板の下部における孔から流出した流体の流速と流路Aから供給される流体の流速の差を低減することが重要であることを見出した。角度γが60°未満の場合、流路Aから供給された流体は多孔板の下部には流れ込みにくく、孔から流出した流体との流速に比べて小さな流速となってしまい、隣り合う孔から流出した流体同士が合流しやすくなってしまう傾向がある。一方、角度γが120°よりも大きい場合、流路Aと孔から流出した流体の流動の方向が大きく異なるため、合流部における流動が不安定化しやすくなり、精度よく流路Aから供給される流体と孔から流出される流体とを合流させることが難しくなる場合がある。角度γが60°以上120°以下である場合、多孔板17の下部に流路Aからの流体を大きな流速で供給することができるようになり、隣り合う孔から流出した流体同士が合流することを抑制する効果が大きくなる。より好ましくは60°以上90°以下であり、この場合、孔から流出した流体の流動と流路Aから供給される流体の流動とが対向して合流することが無いため、より高い積層精度で流体を合流させることが可能となる。
本実施形態における流体積層装置11の合流部18の奥行方向の長さ33は、合流前総流路幅の0.5倍以上10倍以下であることが好ましい。ここでいう合流部18の奥行方向の長さとは、装置の積層方向の中央部での奥行方向−流動方向の合流部の断面において、流路の中心軸に垂直な直線の奥行方向の両壁面間の長さの最大値であり、合流前総流路幅とは、マニホールド15から合流部18に連通する流路の間隔と、マニホールド16から合流部18に連通する流路の間隔と、多孔板17中のすべての孔21の奥行方向の長さ23の最大値との和である。また、マニホールド15から合流部18に連通する流路ならびにマニホールド16から合流部18に連通する流路の間隔とは、各々の流路における流路の間隔の最小値であるとする。合流部18の奥行方向の長さ33が、合流前総流路幅の0.5倍未満の場合には、マニホールド15、16から供給される流体が十分に緩和することなく多孔板17から流出する流体と合流するため、合流点での流速が上昇して合流時の流動の乱れの原因となる可能性がある。一方、合流部18の奥行方向の長さ18が合流前総流路幅の10倍よりも大きい場合には、安定に合流させることは可能であるが、その後の流路において製膜するために適当な吐出部の間隔まで流路を大幅に縮流する必要があり、縮流角度の上昇や縮流長の増大による積層流の形状の乱れの原因となる可能性がある。合流部18の奥行方向の長さ33が合流前総流路幅の1倍以上10倍以下である場合、マニホールド15、16から供給された流体の流速を効果的に緩和することができ、合流時の流動を安定化させつつも、吐出部まで望む形状の積層流を保ったまま流動させることが可能となる。
本実施形態における流体積層装置11は、合流部より流動方向下流の流路において、流路の奥行方向の壁面の縮流角度αが15°以上90°以下である縮流部19を有する必要がある。前述のとおり、多孔板の変形・破損を抑制することができる孔の形状を実現するためには、孔の積層方向の長さに対して奥行方向の長さを2倍以上に設定することが好ましく、合流部での合流を安定化させるためには、合流部の流路幅を合流前総流路幅の1倍以上に設定することが好ましい。しかし、この結果、流路の合流部での流路幅はフィルム上に製膜するために望ましい吐出部20の間隔よりも大きくなり、流体積層装置から流出した積層流を安定に精度良くフィルム化することが難しくなる。そこで、流路の幅をフィルムを作製するのに適した幅まで縮小するために、縮流部19が必要とされるものである。また、縮流部の奥行方向の壁面の縮流角度αが30°以上60°以下であることが好ましい。縮流部の奥行方向の壁面の縮流角度αが30°以上60°以下であることにより、急激な縮流や縮流長の増大による積層流に乱れのリスクを回避でき、フィルムへの成型に適した吐出部の間隔まで積層流の奥行方向の厚みを減少させることが可能となる。
本実施形態における流体積層装置11は、合流部18以降における流路の積層方向の最大値が、流路の積層方向の長さの最小値の2倍以下であることが好ましい。合流部18で積層流が形成された後に積層方向の長さに変化が生じると、特に積層方向端部における積層流の形状が変形し、設計した形状の多層積層フィルムが得られなくなる可能性がある。そこで、合流部18以降における流路の積層方向の最大値が、流路の積層方向の長さの2倍以下とすることにより、積層方向の長さの変化に伴う積層流の形状の変形を抑制することが可能となり、設計した形状の多層積層フィルムを得ることが可能となる。好ましくは、合流部18以降における流路の積層方向の最大値が、流路の積層方向の長さの最小値の1.5倍以下であり、より好ましくは、合流部18以降における流路の積層方向の最大値が、流路の積層方向の長さの最小値の1.1倍以下である。合流部18以降における流路の積層方向の最大値が、流路の積層方向の長さの最小値の1.1倍以下である場合、ほとんど流路の積層方向の長さの変化が無いため、合流部以後の流動中における積層流の形状の変化をほぼ抑制することが出来る。
本実施形態における流体積層装置を用いて複数の流体を積層させる際には、多孔板の全ての孔から流出する流体についても、10℃以内の温度範囲で流出させることが好ましい。多孔板中の孔から流出する流体の温度に10℃よりも高い温度差がある場合、温度差による流体の流動特性の差により合流時の安定性に差が生じ、結果としてたとえ同一の形状の孔から流体を流出させたとしても、得られた多層積層フィルムの層の形状が層によって異なった形状となり、所望する形状の層が積層された多層積層フィルムを得られない可能性がある。好ましくは、多孔板の全ての孔から流出する流体についても、1℃以内の温度範囲で流出させることであり、この場合、温度差がほとんど存在しないため、所望する形状の層の形状を持つ多層積層フィルムが得られる。
本実施形態における流体積層装置を用いて複数の流体を積層させる際には、多孔板17を経て合流部18へと流出させる流体の粘度よりも、マニホールド15、16を経て合流部へと流出させる流体の粘度のほうが低いことが好ましい。ここでいう流体の粘度とは、回転式レオメーターを用いて動的粘弾の測定を行った際のせん断速度10s−1での複素粘性率の値である。多孔板を経て合流部へと流出させる流体の粘度よりも多孔板を経ないで合流部へと流出させる流体の粘度のほうが高い場合には、多孔板から流出させた流体が合流時に不安定化し積層流に乱れが生じる可能性がある。多孔板を経て合流部へと流出させる流体の粘度よりも多孔板を経ないで合流部へと流出させる流体の粘度のほうが低い場合、多孔板から流出させた流体を流動に乱れが生じること無く多孔板を経ないで合流部に流出させた流体と合流させることができ、乱れの無い積層流を得ることが可能となるため、所望する形状の層の形状を持つ多層積層フィルムを安定して連続的に作製することが可能となる。
以下、図2〜4に記載の流体積層装置を用い、流体として2種類の熱可塑性樹脂を用いて多層積層フィルムを製膜した際の断面形状を測定し、本実施形態における流体積層装置の効果を検証した結果について、さらに説明する。下記に本実施形態に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)断面形状の観察方法
得られた多層積層フィルムからミクロトームを用いて断面(幅方向−厚み方向断面)を切り出したサンプルについて、光学顕微鏡 OPTPHOT−2((株)ニコン製)により、その断面を反射法にて観察した。観察倍率は、100倍程度で観察し、その画像をパソコン内部へ取り込んだ。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このファイルを開き、必要であれば、画像処理を行った。画像処理は、層の形状を鮮明にするために行うものであり、例えば、ソフト付属の2値化およびローパスフィルタ処理などを行った。得られた結果から層構造を確認でき、層数と層の形状について、設けた孔の数をNである場合に層数が2N+1層でありかつ全ての層の形状がほぼ同一であるものは○、層数は2N+1層であるものの層の形状に違いがあるものを△、それ以外のものについては×とした。また、1つの層を形成せしめることができる小孔群を含んだ多孔板を使用した場合には、小孔群を一つの孔として数え、同様に評価をおこなった。
(2)層厚みの幅方向の経時変化の解析
基準となる箇所(基準サンプル)と、基準となる箇所から10cmフィルム長手方向に移動した箇所(比較サンプル)の2箇所についてサンプルを作成し、(1)の方法を用いて断面形状の観察を行った。
得られた両サンプルの断面観察の結果について、画像解析ソフトにて、平行シックプロファイルモードで、フィルム幅方向の2本の平行ライン間に全ての層が挟まれるよう配置し、位置とライン間の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。平衡ラインの設定の様子については、図6aに模式的に示す。表計算ソフト(Excel2003)を用いて、位置(μm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ4(間引き4)でデータ採用した後に、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた明るさが変化するデータを微分しVBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出し、この結果を幅方向の層厚みとした。
両サンプルより得られた幅方向の層厚み結果について、対応する層の層厚みの差を算出し、得られた差の最大となる層Mについて、下記式1により得られた値を層厚みの幅方向の経時変化DWとした。得られた層厚みの幅方向の経時変化の値が、5%未満であるものを○、5%以上10%未満であるものを△、10%以上であるものを×とした。
DW=(T(M)−T’(M))×100/T(M) (1)
T(M) :基準サンプルの層Mの幅方向の厚み
T’(M) :比較サンプルの層Mの幅方向の厚み
(3)層厚みの厚み方向の経時変化の解析
基準となる箇所(基準サンプル)と、基準となる箇所から10cmフィルム長手方向に移動した箇所(比較サンプル)の2箇所についてサンプルを作成し、(1)の方法を用いて断面形状の観察を行った。
得られた両サンプルの幅方向に積層された全ての層について、画像解析ソフトにて、平行シックプロファイルモードで、フィルム厚み方向の2本の平行ライン間にフィルム厚み方向での層の両端が挟まれるよう配置し、位置とライン間の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。平衡ラインの設定の様子については、図6bに模式的に示す。表計算ソフト(マイクロソフト社のExcel2003)を用いて、位置(μm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ4(間引き4)でデータ採用した後に、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた明るさが変化するデータを微分しVBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出し、この結果を厚み方向の層厚みとした。
両サンプルより得られた厚み方向の層厚み結果について、対応する層の厚み方向の層厚みの差を算出し、得られた差の最大となる層M’について、下記式2により得られた値を層厚みの幅方向の経時変化DTとした。得られた層厚みの幅方向の経時変化の値が、5%未満であるものを○、5%以上10%未満であるものを△、10%以上であるものを×とした。
DT=(T(M’)−T’(M’))×100/T(M) (2)
T(M’) :基準サンプルの層M’の幅方向の厚み
T’(M’) :比較サンプルの層M’の幅方向の厚み
(4)断面積の算出と形状の経時変化について
基準となる箇所(基準サンプル)と、基準となる箇所から10cmフィルム長手方向に移動した箇所(比較サンプル)の2箇所についてサンプルを作成した。
得られた断面形状について、画像解析ソフトにて、多孔板から流出した樹脂に相当する各層の面積を求める。すわなち、Count/Sizeダイアログボックスの測定メニューから、測定項目のうち、“Area(面積)”を選択し、Countボタンを押し、自動測定を行った。こうして各層の断面積を求め、得られた基準サンプルと比較サンプルの対応する層の断面積の差を算出し、得られた差の最大となる層M’’について、下記式3により得られた値をDSとした。得られた断面積の経時変化DSの値が、1%未満であるものを○、1%以上5%未満のものを△、5%以上であるものを×とした。
DS=(S(M’’)−S’(M’’))×100/T(M) (3)
S(M’’) :基準サンプルの層M’’の幅方向の厚み
S’(M’’) :比較サンプルの層M’’の幅方向の厚み
(5)溶融粘度の測定
回転式レオメーター MR−300ソリキッドメーター(レオロジ製)を用いて動的粘弾性測定を行った。測定には、平行円板(直径18mm)を用い、N雰囲気下、押出温度で、振幅1°、せん断速度0.6〜31s−1の条件で測定を行った。得られたデータのうち、せん断速度10s−1での複素粘性率をせん断粘度とした。なお、実施例にて乾燥して製膜に用いた樹脂については、本測定においても同様の条件にて乾燥を行った。
[実施例1]
流体A、Bとして、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとしてはポリメチルメタクリレート(PMMA)を空気中、80℃の条件で乾燥した後に用いた。また熱可塑性樹脂Bとしては、テトラフルオロエチレン20mol%、フッ化ビニリデン80mol%の4フッ化エチレン・エチレン共重合体(共重合PVDF)を空気中、80℃の条件で乾燥して用いた。これらの樹脂を別々の押出機に供給した。
図7は、本実施形態に係る流体積層装置を用いる多層積層フィルムの製膜装置の概略図を示したものである。熱可塑性樹脂Aは、それぞれ、押出機にて250℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターを介した後、図7に示す導入路41を経て図2に示す導入口12と導入された。同様に、熱可塑性樹脂Aは、それぞれ、押出機にて250℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターを介した後、図7に示す導入路42を経て図2に示す導入口13と導入された。なお、ギアポンプから吐出される樹脂の量の比は、熱可塑性樹脂A:熱可塑性樹脂B=4:1とする。用いた流体積層装置11の構造の詳細については表1に示す。なお、本実施例の流体積層装置の多孔板に設けられた孔の形状は全て同一であり長辺を奥行方向と平行とする長方形である。また、流路Aの形状は、積層方向を長辺とする400mm×2mmの扁平な長方形であり、該流路Aの積層方向−流動方向断面において流動方向の高さが変動する箇所は設けられていない。また、縮流部の形状は、図2cや図4に示すとおり、合流部から一様の縮流角度で縮流した後に吐出部の間隔になる形状である。
上記流体積層装置11を用いて作製された積層流動は、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャストドラム43上で急冷固化して、未延伸フィルム44とした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、フィルムの厚み方向中央部に共重合PVDFとPMMAが交互に3001層積層され、厚み方向の上下に共重合PVDF層が積層された多層積層フィルムである。また、その断面は幅方向の全ての層についてほぼ同様の形状をしており、フィルム長手方向の異なる箇所での層の形状にも変化が無かった。結果について、表1に示す。
Figure 2009096190
[実施例2]
表1に示す特徴を有し流路Aの形状が積層方向に400mm、奥行方向に2mmの扁平な長方形である流体積層装置11を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、フィルムの厚み方向中央部に共重合PVDFとPMMAが交互に3001層積層され、厚み方向の上下に共重合PVDF層が積層された多層積層フィルムである。また、その断面は幅方向の箇所により若干の層の形状に違いはあるものの、フィルム長手方向の異なる箇所での層の形状にも変化が無かった。結果について、表1に示す。
[実施例3]
表1に示す特徴を有し流路Aの形状が積層方向に400mm、奥行方向に2mmの扁平な長方形である流体積層装置11を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、フィルムの厚み方向中央部に共重合PVDFとPMMAが交互に3001層積層され、厚み方向の上下に共重合PVDF層が積層された多層積層フィルムである。また、その断面は幅方向の箇所により若干の層の形状に違いはあるものの、フィルム長手方向の異なる箇所での層の形状にも変化が無かった。結果について、表1に示す。
[実施例4]
表1に示す特徴を有し流路Aの形状が積層方向に400mm、奥行方向に2mmの扁平な長方形である流体積層装置11を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、フィルムの厚み方向中央部に共重合PVDFとPMMAが交互に3001層積層され、厚み方向の上下に共重合PVDF層が積層された多層積層フィルムである。また、その断面は幅方向の箇所により若干の層の形状に違いがあり、フィルム長手方向の異なる箇所での層の形状にも若干に違いがあるものであった。結果について、表1に示す。
〔実施例5〕
表1に示す特徴を有し、流路Aの形状が合流部入口において凹部の流路幅2mm、凸部の流路幅0.5mmで凹部が1499個設けられたストライプ状の流路が合流部入口まで設けられ、かつその全ての凹部が全ての孔と孔との間に相対するように配置された流体積層装置11を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、フィルムの厚み方向中央部に共重合PVDFとPMMAが交互に3001層積層され、厚み方向の上下に共重合PVDF層が積層された多層積層フィルムである。また、その断面は幅方向の全ての層についてほぼ同様の形状をしており、フィルム長手方向の異なる箇所での層の形状にも変化が無かった。また、実施例1に示す流体積層装置と比較して、より様々な積層される流体の流量比率の範囲で精度良く積層できるものであった。結果について、表1に示す。
〔実施例6〕
表1に示す特徴を有し、流路Aの形状が合流部入口において凹部の流路幅2mm、凸部の流路幅0.5mmで凹部が1499個設けられたストライプ状の流路が合流部入口まで設けられ、かつその全ての凹部が全ての孔と孔との間に相対するように配置された流体積層装置11を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、フィルムの厚み方向中央部に共重合PVDFとPMMAが交互に3001層積層され、厚み方向の上下に共重合PVDF層が積層された多層積層フィルムである。また、その断面は幅方向の全ての層についてほぼ同様の形状をしており、フィルム長手方向の異なる箇所での層の形状にも変化が無かった。また、実施例1に示す流体積層装置と比較して、より様々な積層される流体の流量比率の範囲で精度良く積層できるものであったが、実施例5と比較すると層と層の間隔が狭くなっており、精度良く積層できる流体の流量比率の範囲も若干狭いものであった。結果について、表1に示す。
〔実施例7〕
表1に示す特徴を有し流路Aの形状が積層方向を長辺とする400mm×2mmの扁平な長方形であり、奥行方向に間隔150μmで4つの孔が配置されて孔群を形成し、積層方向に間隔400μmで孔群が配置してなる多孔板を備えた流体積層装置11を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、フィルムの厚み方向中央部に共重合PVDFとPMMAが交互に1501層積層され、厚み方向の上下に共重合PVDF層が積層された多層積層フィルムである。また、その断面は幅方向の箇所により若干の層の形状に違いがあるものの、フィルム長手方向の異なる箇所での層の形状にも変化が無かった。また、実施例1に示す流体積層装置と比較すると、各層の形状が幅方向の長さと厚み方向の長さの比率が多きくなり扁平の度合いが高い層形状であった。結果について、表1に示す。
[比較例1]
表1に示す特徴を有する流体積層装置11を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、フィルムの厚み方向中央部に共重合PVDFとPMMAが交互に3001層積層され、厚み方向の上下に共重合PVDF層が積層された多層積層フィルムである。また、その断面は幅方向の箇所により若干の層の形状に違いはあり、かつフィルム長手方向の異なる箇所での層の形状には大きなばらつきがあるフィルムであった。結果について、表1に示す。
[比較例2]
表1に示す特徴を有する流体積層装置11を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅400mm、厚み200μmで、すでに層構造を確認できないほどの形状の変化が生じているものであった。結果について、表1に示す。
本実施形態は、フィルム幅方向に積層された多層積層フィルムの製膜に応用されるものであるが、流動の乱れを生ずることなく合流させることが要求される用途に関しては、いかなる用途においても利用可能なものである。
2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置の概略図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図である。 2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置の概略図であり、装置の奥行方向の中央部における合流部での積層方向−流動方向の断面図である。 2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置の概略図であり、図2b、cにおけるX−X断面矢視図である。 2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置の概略図であり、図2a、cにおけるY−Y断面矢視図である 2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置の概略図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図である。 2つの流体をフィルム幅方向に層をなすように積層状に合流させるための流体積層装置11の図2a、b、cとは異なる実施形態についての概略図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図である。 積層方向に直列な孔の列が一列配置してなる多孔板17の流動方向上部から見た概略図である。 積層方向に直列な孔の列が二列配置してなる多孔板17の流動方向上部から見た概略図である。 奥行方向に並んだ4つの小孔からなる小孔群が積層方向に直列に配置してなる多孔板17の流動方向上部から見た概略図である。 多孔板17の積層方向の端部の様子を示した概略図である。 合流部以後の流路の説明図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図である。 合流部以後の流路の説明図であり、装置の積層方向の中央部における合流部での奥行方向−流動方向の断面図である。 図4cは、積層方向に変動するストライプ状の凹凸の説明図であり、流路Aを奥行方向から見た概略図である。 ストライプ状の凹凸の断面形状についての説明図であり、マニホールド15、16と合流部18との間に設けられた流路Aの合流部入口における奥行方向−積層方向の断面図である。 中心軸を定義する説明図であり、装置の積層方向の中央部における奥行方向−流動方向の断面図である。 得られた多層積層フィルムの幅方向−厚み方向の断面図であり、フィルム幅方向の積層厚みの算出の様子を示したものである。 得られた多層積層フィルムの幅方向−厚み方向の断面図であり、フィルム厚み方向の積層厚みの算出の様子を示したものである。 流体積層装置を用いる多層積層フィルムの製膜装置の概略図である。 流体積層装置の奥行方向の中央における積層方向−流動方向の断面図である。 流体積層装置の積層方向の中央における奥行方向−流動方向の断面図である
符号の説明
1:流体積層装置
2:導入口
3:導入口
4:マニホールド
5:マニホールド
6:多孔板
7:合流部
8:吐出部
11:流体積層装置
12:導入口
13:導入口
14:マニホールド
15:マニホールド
16:マニホールド
17:多孔板
18:合流部
19:縮流部
20:吐出部
21:孔
21a:小孔
22:孔の積層方向の長さ
23:孔の奥行方向の長さ
24:孔の間隔
25:多孔板の厚み
26:最も積層方向端部に設けられた孔から多孔板の端部までの距離
27:多孔板の奥行方向の端部から孔までの距離
28:多孔板の奥行方向の長さ
29:流路の中心軸
30:流体積層装置の流動方向、奥行方向に平行な面であって、かつ合流部以後の流路の体積を2分する平面
31:合流部以後の流路の奥行方向での両末端の壁面で最も流動方向の上流に位置する点を結んだ直線の中点
32:吐出部における奥行方向の中心に位置する点
33:合流部の奥行方向の長さ
34:流路A
35:流路A
36:ストライプ状の凹凸の凹部の流路幅
37:ストライプ状の凹凸の凸部の流路幅
38:流路Aの中心軸
39:ストライプ状の凹凸
40:合流部入口
41:流体Aを流体積層装置11に導入する導入管
42:流体Bを流体積層装置11に導入する導入管
43:キャストドラム
44:未延伸フィルム
45:フィードブロック
46:直管
47:口金
48:導入路
49:導入路
50:マニホールド
51:マニホールド
52:スリット
53:合流部

Claims (11)

  1. 複数の流体を前記流体の数よりも多い層数の層を形成するように積層する流体積層装置であって、前記流体を供給する複数のマニホールドと、前記マニホールドのうち少なくとも1つと連通する積層方向に複数の孔が設けられた多孔板と、前記多孔板と連通し前記複数の流体を合流せしめる合流部と、前記積層方向に延びる吐出部と、前記合流部より前記流体の流動方向下流側でかつ前記吐出部よりも上流側において前記積層方向と前記流動方向とに直交する流路の奥行方向の壁面の縮流角度αが15°以上90°以下である縮流部とを備えたことを特徴とする流体積層装置。
  2. 前記複数のマニホールドのうち、前記流体の流動方向下流側に前記多孔板を有しない前記マニホールドと前記合流部との間に設けられた流路のうち、少なくとも一つの流路(流路A)において奥行方向の長さが積層方向に変動するストライプ状の凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体積層装置。
  3. 前記流路Aに設けられたストライプ状の凹凸の凹部の前記合流部側末端が、前記多孔板の隣り合う孔と孔の間に相対するように配置されてなることを特徴とする請求項2に記載の流体積層装置。
  4. 前記流路Aの合流部入口において、前記合流部の流路の中心軸と前記流路Aの流路の中心軸とがなす角度γが60°以上120°以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の流体積層装置。
  5. 前記多孔板に設けられた孔が複数の小孔からなる小孔群を形成してなる請求項1〜4のいずれかに記載の流体積層装置。
  6. 前記縮流部における流路の奥行方向の壁面の縮流角度αが30°以上60°以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流体積層装置。
  7. 前記合流部以降における流路の積層方向の長さの最大値が、流路の積層方向の長さの最小値の2倍以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の流体積層装置。
  8. 複数の流体を前記流体の数よりも多い層数の層を形成するように積層させる流体の積層方法であって、前記流体のうち少なくとも一つの流体をマニホールドを経由して積層方向に複数の孔が設けられた多孔板に供給し、前記多孔板から流出した流体と前記流体とは異なる流体とを前記合流部にて合流させて積層流とし、前記積層流を縮流角度αが15°以上90°以下の縮流部にて前記積層方向と前記流動方向とに直交する奥行方向に圧縮して所望の流路幅とすることを特徴とする流体の積層方法。
  9. 前記多孔板に設けられた複数の小孔からなる小孔群より流体を流出させ、合流部において一つの小孔群から流出した各流体を合流させることにより一つの層を形成させることを特徴とする請求項8に記載の流体の積層方法。
  10. 前記合流部において複数の流体を合流させ積層流とするに際し、全ての多孔板から流出される流体の温度の差が10℃以内であることを特徴とする請求項8または9に記載の流体の積層方法。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の流体の積層方法で複数の流体を積層し、前記流体積層装置から流出した流体をシート状に成型することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
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