JP5200616B2 - 流体積層装置および流体積層方法ならびに積層フィルムの製造装置および製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の好ましい形態によれば、前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記スリット部および前記合流部に属する流路の壁面に、前記スリット部から前記合流部にかけての前記積層方向の両方の端部のそれぞれにおいて、壁面と前記中心軸とが成す角度αが前記流動方向の上流から下流に見て増大を開始する拡幅開始点であって、かつ前記各拡幅開始点における前記壁面の接線よりも前記積層方向の外側に存在する流路拡幅部内において、前記開始点から前記接線の方向に前記拡幅開始点よりも端部スリットピッチだけ下流の位置までの範囲に存在する流路拡幅上流部の面積が前記各端部における端部スリットピッチの2乗の0.04倍以上である拡幅開始点が存在することを特徴とするを特徴とする流体積層装置が提供される。
(物性値の評価法)
(1)積層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。なお、拡大倍率10000倍で撮影し、コントラストを高く得るために、公知のRuO4を使用した染色方法を用いた。
(2)溶融粘度の測定
回転式粘度計 MR−300ソリキッドメーター(レオロジ製)を用いて動的粘弾性測定を行った。測定には、平行円板(直径18mm)を用い、N2雰囲気下、270℃、振幅1°、せん断速度0.6〜31s−1の条件で測定を行った。得られたデータのうち、せん断速度15s−1での複素粘性率をせん断粘度とした。なお、実施例にて乾燥して製膜に用いた樹脂については、本測定においても同様の条件にて乾燥を行った。
(3)フィルムの厚みムラの測定
フィルムシックネステスタ「KG601A」および電子マイクロメータ「K306C」(共にアンリツ製)を用い、フィルム移動速度1.5m/minの速度にてフィルムを巻き取る際のフィルムの厚みを10Hz周期にて1分間測定した。得られたフィルムの全ての箇所でのフィルム厚みについて、その最大厚みをdmax、最小厚みをdmin、平均厚みをdavとし、厚みムラを(dmax−dmin)/davとした。測定はフィルムの長手方向に対して行い、測定箇所は幅方向に対して等間隔に5箇所について測定して得られたフィルム厚みのムラの中で最も大きな値をフィルムの厚みムラとする。表1には、フィルム厚みのムラが0.05未満のものを◎、0.05以上0.1未満のものを○、0.1以上0.2未満のものを△、0.2以上のものを×として記す。
(4)積層厚みのムラの定義 (3)の測定にてフィルム厚みムラの値が最も大きくなる幅方向での位置について、最もフィルム厚みが厚い箇所と最も薄い箇所のフィルムの流動方向への断面をそれぞれ作成し、(1)に記載の手法にて断面の層厚みプロファイルを作成した。得られた層厚みプロファイルを元に、積層されている各層について、フィルム厚みの大きい箇所での層の厚みをWmax、小さい箇所でのフィルム厚みをWminとし、その層の積層厚みのムラは(Wmax−Wmin)/(Wmax+Wmin)とする。積層ムラはすべての層について算出し、その中で最も大きな値をフィルムの積層厚みのムラとする。表1には、フィルム厚みのムラが0.1未満のものを◎、0.1以上0.2未満のものを○、0.2以上0.5未満のものを△、0.5以上のものを×として記す。
(実施例1)
流体として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。樹脂Aとして、熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)を真空下・180℃の条件で乾燥した後に用いた。上記PET樹脂は、以下に記す方法にて重合されたものである。まず、ジメチルテレフタレート100重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、エステル交換反応触媒として酢酸カルシウムを添加し、加熱昇温してメタノールを留出させてエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、重合触媒として三酸化アンチモン、熱安定剤としてリン酸を加え重縮合反応槽に移行した。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧し、290℃減圧下で内部を攪拌しメタノールを留出させながら重合し、PET樹脂を得た。また樹脂Bとして、ポリカーボネート(PC)[出光興産製タフロンA2200]を空気中、120℃の条件で乾燥して用いた。これらの樹脂を別々の押出機に供給した。
(実施例2)
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、フィルムの厚みムラ、積層ムラともに非常に良好なものであった。結果について、表1に示す。
(実施例3)
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、フィルムの厚みムラ、積層ムラともに良好なものであった。結果について、表1に示す。
(実施例4)
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、若干のフィルムの厚みムラを有するものの積層ムラは良好なものであった。結果について、表1に示す。
(比較例1)
表1に示す特徴を有する流体積層装置1を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜し、未延伸フィルムとした。得られたフィルムは、幅600mm、厚み200μmで、PETとPCが交互に51層積層されたものであり、顕著なフィルムの厚みムラ、積層ムラを有するものであった。結果について、表1に示す。
2:流体導入路
3:流体導入路
4:マニホールド
5:マニホールド
6:スリット
7:スリット
8:合流部
11:流体導入板
12:側板
13:スリット板
14:側板
15:流体導入板
16:流体導入路
17:流体導入路
18:流体導入口
19:流体導入口
20:マニホールド
21:マニホールド
22:スリット
23:スリット隔壁
24:合流部
25:奥行方向拡幅部入口
31:スリットの間隔
32:スリットの長さ
33:スリットの幅
34:スリット隔壁の厚み
35:流路の中心軸
36:流路の中心軸の始点
37:流路の中心軸の終点
38:合流中心面
39:壁面
40:導管
41:Tダイ
42:キャストドラム
43:未延伸フィルム
44:流体積層装置1について、積層方向に垂直で、かつ積層方向の長さの中点を通る断面
Claims (12)
- 複数の流体を前記流体の数よりも多い層数の層を形成するように積層する流体積層装置であって、前記各流体をそれぞれ供給する複数のマニホールドと、前記各マニホールドのいずれかひとつと連通し、前記各マニホールド内に供給された前記各流体を前記各マニホールドから前記各層に対応して流動方向に通過させる複数のスリットを有するスリット部と、該複数のスリットを通過した前記各流体を前記流動方向に直交する積層方向に重ね合わせながら合流させる合流部とを備え、前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記スリット部および前記合流部に属する流路の壁面に、前記スリット部から前記合流部にかけての前記積層方向の少なくとも一方の端部の壁面と前記中心軸とが成す角度αが前記流動方向の上流から下流に見て増大を開始する拡幅開始点であって、かつ前記拡幅開始点における前記壁面の接線よりも前記積層方向の外側に存在する流路拡幅部内において、前記拡幅開始点から前記接線の方向に前記拡幅開始点よりも端部スリットピッチだけ下流の位置までの範囲に存在する流路拡幅上流部の面積が前記端部における端部スリットピッチの2乗の0.04倍以上である拡幅開始点が存在し、かつ前記スリット部の前記流動方向の末端から前記流動方向上流側に端部スリットの長さの0.25倍の距離にある壁面から、前記末端から前記流動方向下流側に前記端部スリットピッチの10倍の距離にある壁面までの間の壁面において、前記拡幅開始点が存在し、かつ前記拡幅開始点における前記壁面の接線と前記流路拡幅部の壁面との距離の最大値が、前記端部スリットピッチの0.05倍以上であることを特徴とする流体積層装置。
- 前記流路拡幅上流部の面積が前記端部における端部スリットピッチの2乗の10倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の流体積層装置。
- 前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記少なくとも一方の端部の、前記合流部における端部スリット隔壁の内壁に接する接線と前記流路拡幅部の壁面との距離の最大値が、前記端部スリット隔壁の内壁に接する接線と前記端部スリット隔壁に隣接するスリット隔壁の内壁に接する接線との距離の1.05倍以上10倍以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の流体合流装置。
- 前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記少なくとも一方の端部における前記拡幅開始点における前記壁面の接線と前記流路拡幅部の壁面との距離の最大値が、前記端部スリットピッチの9倍以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流体積層装置。
- 前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記流路拡幅部の各部における前記角度αが−85°以上90°以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の流体積層装置。
- 前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記流路拡幅部の各部のいずれかが前記角度αが−85°以上0°以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流体積層装置。
- 前記スリット部の前記流動方向末端における前記積層方向に向かい合う壁面の間隔は、奥行方向拡幅部入口における前記積層方向に向かい合う壁面の間隔より大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の流体積層装置。
- 前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記スリット部および前記合流部に属する流路の壁面に、前記スリット部から前記合流部にかけての前記積層方向の両方の端部のそれぞれにおいて、壁面と前記中心軸とが成す角度αが前記流動方向の上流から下流に見て増大を開始する拡幅開始点であって、かつ前記各拡幅開始点における前記壁面の接線よりも前記積層方向の外側に存在する流路拡幅部内において、前記開始点から前記接線の方向に前記拡幅開始点よりも端部スリットピッチだけ下流の位置までの範囲に存在する流路拡幅上流部の面積が前記各端部における端部スリットピッチの2乗の0.04倍以上である拡幅開始点が存在することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の流体積層装置。
- 前記スリット部に含まれるスリットの数が5個以上300個未満である請求項1〜8のいずれかに記載の流体積層装置。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の流体積層装置を含むことを特徴とする積層フィルムの製造装置。
- 複数の流体を前記流体の数よりも多い層数の層を形成するように積層する流体の合流方法であって、前記各流体をそれぞれ供給する複数のマニホールドを経由して、前記各マニホールドのいずれかひとつと連通し前記各層に対応して流動方向に通過させる複数のスリットを有するスリット部に供給し、該スリット部に連通する合流部において前記流動方向に直交する積層方向に重ね合わせながら合流させるに際し、前記流体の流路の中心軸を含み前記積層方向に平行な断面において、前記スリット部および前記合流部に属する流路の壁面に、前記スリット部から前記合流部にかけての前記積層方向の少なくとも一方の端部の壁面と前記中心軸とが成す角度αが前記流動方向の上流から下流に見て増大を開始する拡幅開始点であって、かつ前記拡幅開始点における前記壁面の接線よりも前記積層方向の外側に存在する流路拡幅部内において、前記開始点から前記接線の方向に前記拡幅開始点よりも端部スリットピッチだけ下流の位置までの範囲に存在する流路拡幅上流部の面積が前記端部における端部スリットピッチの2乗の0.04倍以上である拡幅開始点を有し、かつ前記スリット部の前記流動方向の末端から前記流動方向上流側に端部スリットの長さの0.25倍の距離にある壁面から、前記末端から前記流動方向下流側に前記端部スリットピッチの10倍の距離にある壁面までの間の壁面において、前記拡幅開始点が存在し、かつ前記拡幅開始点における前記壁面の接線と前記流路拡幅部の壁面との距離の最大値が、前記端部スリットピッチの0.05倍以上であるスリット部および合流部を用いることを特徴とする流体の積層方法。
- 請求項11に記載の流体の積層方法で流体を積層し、前記流体をシート状に形成させることを特徴とする積層フィルムの製造方法。
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