JP2009092006A - 内燃機関の潤滑油希釈抑制装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の潤滑油希釈抑制装置において、内燃機関の潤滑不良の発生防止等を図る。
【解決手段】内燃機関の潤滑油希釈抑制装置は、ピストンと、ピストンに向けて潤滑油を噴射するオイルジェットと、オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を制御する潤滑油噴射量制御手段と、燃料により希釈された潤滑油の希釈度を検知する潤滑油希釈度検知手段とを備え、潤滑油噴射量制御手段は、検知された潤滑油の希釈度に応じて、オイルジェットからの潤滑油の噴射量を調整する。これにより、潤滑油がピストンにより加熱され易くなり、潤滑油に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発し、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油の占める割合を増やすことができる。その結果、燃料の混入量が少なくなった潤滑油が内燃機関の潤滑に供されることになり、内燃機関の潤滑不良の発生防止等を図ることができる。
【選択図】図2
【解決手段】内燃機関の潤滑油希釈抑制装置は、ピストンと、ピストンに向けて潤滑油を噴射するオイルジェットと、オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を制御する潤滑油噴射量制御手段と、燃料により希釈された潤滑油の希釈度を検知する潤滑油希釈度検知手段とを備え、潤滑油噴射量制御手段は、検知された潤滑油の希釈度に応じて、オイルジェットからの潤滑油の噴射量を調整する。これにより、潤滑油がピストンにより加熱され易くなり、潤滑油に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発し、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油の占める割合を増やすことができる。その結果、燃料の混入量が少なくなった潤滑油が内燃機関の潤滑に供されることになり、内燃機関の潤滑不良の発生防止等を図ることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、潤滑油中に混入される燃料の量を抑制する内燃機関の潤滑油希釈抑制装置に関する。
内燃機関の冷間時等にあっては、気筒内における燃料の気化が促進され難いために、気筒内に向けて噴射された燃料の一部が燃焼されずに気筒内周面(シリンダの内周面)に付着したままの状態になる。このように気筒内周面に付着した燃料は、ピストンの潤滑のために気筒内周面に付着している潤滑油(エンジンオイル)と混合される。その結果、燃料により潤滑油が希釈される。
このように、燃料により希釈された気筒内周面の潤滑油は、ピストンが気筒内に沿って往復運動することによってクランクケース側へ掻き落され、さらにオイルパンに戻された後、再び内燃機関の各部の潤滑に供されることになる。従って、こうした燃料による潤滑油の希釈が頻繁に発生すると、内燃機関の潤滑に供される潤滑油の全体に混入する燃料の割合が徐々に増大することになって潤滑油の潤滑性能の低下を招き、内燃機関の潤滑不良が引き起され易くなる。
また、潤滑油中の燃料の割合が増大することにより、潤滑油から多量の燃料が蒸発するようになる。特に、内燃機関の低負荷時のように燃料噴射量が相対的に少なくなっているときに、こうした燃料の蒸発成分が多量に吸気系に導入されると、これに起因して空燃比フィードバック制御の空燃比補正量を過度に増大させてしまうなど、空燃比の適切な制御が困難になる虞がある。
なお、特許文献1には、潤滑油温度に応じて、オイルジェットの噴射油量を補正する、筒内噴射式内燃機関のピストン頂面温度制御方法が記載されている。この方法によれば、
ピストン頂面から燃料に伝達される熱量が最大となり、燃料がピストン頂面に付着してから蒸発するまでの時間をほぼ最短とすることができ、その結果、混合気の燃焼性を向上させることができるとされている。また、特許文献2には、空燃比をリッチ化してもスモークの悪化を招くことなく、排気温度を十分に上昇させることが可能な内燃機関の燃焼制御装置が記載されている。
ピストン頂面から燃料に伝達される熱量が最大となり、燃料がピストン頂面に付着してから蒸発するまでの時間をほぼ最短とすることができ、その結果、混合気の燃焼性を向上させることができるとされている。また、特許文献2には、空燃比をリッチ化してもスモークの悪化を招くことなく、排気温度を十分に上昇させることが可能な内燃機関の燃焼制御装置が記載されている。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の潤滑不良の発生防止、及び空燃比の制御性の低下防止などを図ることが可能な内燃機関の潤滑油希釈抑制装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの観点では、内燃機関の潤滑油希釈抑制装置は、ピストンと、前記ピストンに向けて潤滑油を噴射するオイルジェットと、前記オイルジェットから噴射される前記潤滑油の噴射量を制御する潤滑油噴射量制御手段と、燃料により希釈された潤滑油の希釈度を検知する潤滑油希釈度検知手段と、を備え、前記潤滑油噴射量制御手段は、前記潤滑油希釈度検知手段により検知された潤滑油の希釈度に応じて、前記オイルジェットから噴射される潤滑油の前記噴射量を調整する。
上記の内燃機関の潤滑油希釈抑制装置は、ピストンと、ピストンに向けて潤滑油を噴射するオイルジェットと、オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を制御する潤滑油噴射量制御手段と、燃料により希釈された潤滑油の希釈度を検知する潤滑油希釈度検知手段と、を備える。そして、潤滑油噴射量制御手段は、潤滑油希釈度検知手段により検知された潤滑油の希釈度に応じて、オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を調整する。
好適な例では、潤滑油噴射量制御手段は、潤滑油の希釈度が許容希釈度より大きい場合には、オイルジェットからピストンに向けて潤滑油の噴射量を増加させ、ピストンに付着させる潤滑油の量を増加させる。これにより、潤滑油はピストンによって加熱されるので、潤滑油に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発し、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油の占める割合を増やすことができる、言い換えれば、潤滑油中に混入される燃料の量を抑制することができる。そして、濃度の高い潤滑油、言い換えれば希釈度の小さくなった潤滑油は内燃機関の各部への潤滑に供されることになる。よって、潤滑油の潤滑性能が悪化することを防止できる結果、内燃機関の潤滑不良が引き起されることを防止できる。
また、かかる内燃機関の潤滑油希釈抑制装置では、潤滑油を加熱するにあたりヒーターを使用しないので、その分だけ、消費電力が大きくなることを防止でき、その結果、燃費の悪化を防止できる。なお、オイルジェットは高出力型の内燃機関には、標準装備されていることが多いので、オイルジェット機構の構成を少し改良するだけで、上記の内燃機関の潤滑油希釈抑制装置を構成することができる。よって、上記したヒーター方式を適用する場合と比較して、その装置構成を簡素化できる。
また、かかる内燃機関の潤滑油希釈抑制装置では、オイルパン内に保持されている多量の潤滑油を加熱するのではなく、オイルジェットから噴射される適量の潤滑油がピストンによって短時間に加熱されるので、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油の占める割合を増やすまでの時間を短縮することができる。
また、かかる内燃機関の潤滑油希釈抑制装置では、オイルジェットから噴射される潤滑油の量に応じて、潤滑油に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発するので、燃焼室に対し導入される燃料蒸発成分の量が急激に増えることはなく、空燃比等の適切な制御が行い易くなる。
上記の内燃機関の潤滑油希釈抑制装置の一つの態様では、前記内燃機関を冷却する冷却水の温度を検知する冷却水温度検知手段と、潤滑油の温度を検知する潤滑油温度検知手段と、を更に備え、前記潤滑油噴射量制御手段は、前記冷却水温度検知手段によって検知された冷却水の温度、及び前記潤滑油温度検知手段によって検知された潤滑油の温度のうち、少なくとも一方の温度に応じて、前記オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を調整する。
この態様では、内燃機関を冷却する冷却水の温度を検知する冷却水温度検知手段と、潤滑油の温度を検知する潤滑油温度検知手段と、を更に備える。そして、潤滑油噴射量制御手段は、冷却水温度検知手段によって検知された冷却水の温度、及び潤滑油温度検知手段によって検知された潤滑油の温度のうち、少なくとも一方の温度に応じて、オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を調整する。
これにより、内燃機関の冷間時など、オイルジェットからピストンに向けて潤滑油が過度に噴射されることを防止することができる。例えば、冷却水の温度が低い場合には、潤滑油の温度も低いので、潤滑油の粘性はそれ程低下していない。よって、かかる潤滑油を内燃機関の各部への潤滑に供しても内燃機関の潤滑不良は生じない。このことから、内燃機関の冷間時などにおいて、潤滑油の希釈度が大きい場合でも潤滑不良が発生しない場合には、オイルジェットからピストンに向けて潤滑油が過度に噴射されることを防止する。これにより、内燃機関の冷間時などにおいて、未燃焼成分の排出がされ難くなり、燃焼悪化及び燃費悪化が引き起されることを防止できる。
上記の内燃機関の潤滑油希釈抑制装置の他の態様では、前記ピストンから滴下する前記潤滑油の温度を検知する他の潤滑油温度検知手段を更に備え、前記潤滑油噴射量制御手段は、前記他の潤滑油温度検知手段によって検知された当該潤滑油の温度に応じて、前記オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を調整する。
この態様では、ピストンから滴下する潤滑油の温度を検知する他の潤滑油温度検知手段を更に備える。そして、潤滑油噴射量制御手段は、他の潤滑油温度検知手段によって検知された、ピストンから滴下する潤滑油の温度に応じて、オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を調整する。これにより、内燃機関の冷間時などにおいて、オイルジェットからピストンに向けて噴射された潤滑油の温度を、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油の割合を増加させる温度にまで確実に上昇させることができる。
即ち、内燃機関の冷間時などにおいては、ピストンの温度が低く、オイルジェットからピストンに向けて噴射された潤滑油がピストンから得られる熱量は小さい。このような場合は、オイルジェットからピストンに向けて噴射する潤滑油の噴射量を小さくする。これにより、ピストンに向けて噴射された潤滑油の温度を、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油の割合を増加させる温度にまで確実に上昇させることができる。よって、燃料による潤滑油の希釈度が大きくなってしまうことを防止できる。
上記の内燃機関の潤滑油希釈抑制装置の他の態様では、前記内燃機関を制御する内燃機関制御手段を更に備え、前記内燃機関制御手段は、前記潤滑油噴射量制御手段によって前記オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量が調整される場合に、前記ピストンの温度が上昇するように前記内燃機関を制御する。
この態様では、内燃機関を制御する内燃機関制御手段を更に備える。そして、内燃機関制御手段は、潤滑油噴射量制御手段によってオイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量が調整される場合に、ピストンの温度が上昇するように内燃機関を制御する。
ここで、かかる内燃機関の制御方法としては、例えば、内燃機関がディーゼルエンジンである場合には噴射時期を進角制御すること、内燃機関がガソリンエンジンである場合には点火時期を進角制御すること、排気ガス再循装置(EGR装置)を備えた内燃機関であれば、排気ガス再循環量(EGRガス量)を少なくすること、空燃比をストイキに近づけること、スワール流やタンブル流などの気流を強化すること、インパルスチャージを行うこと、実圧縮比を増大させること、などの方法が挙げられる。この内燃機関制御手段は、上述した内燃機関の複数の制御方法のうち、少なくとも1つの制御方法を実行すること、或いは複数の制御を組み合わせて実行することが望ましい。
これにより、燃焼室内において混合気の燃焼が促進されて、燃焼されたガスからピストンに対しての熱流が増し、さらにピストンから潤滑油に対する熱の伝達が効果的に行われるようになる。その結果、燃料と潤滑油の混合物に対する燃料蒸発成分の蒸発がより促進され、その混合物に対する潤滑油の占める割合を増やすまでの時間を短縮することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[全体構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制装置が適用された内燃機関の構成について説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制装置が適用された内燃機関の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制装置が適用された内燃機関の構成を概略的に示す断面図である。なお、図1では、実線矢印がガスの流れを示し、破線矢印が信号の入出力を示している。
内燃機関(エンジン)100は、主に、シリンダブロック1と、シリンダヘッド2と、オイルパン3と、潤滑油供給装置4と、ECU(Engine Control Unit)5と、を備える。内燃機関100は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジンとして構成される。
シリンダブロック1は、シリンダヘッド2とオイルパン3の間に配置されている。シリンダブロック1は、シリンダヘッド2側に設けられた気筒(シリンダ)1aと、オイルパン3側に設けられたクランクケース1bと、を有する。気筒1aの内部などには、内燃機関100の各部を冷却するための冷却水が流通するウォータージャケット6が設けられている。気筒1aの内側には、ピストン7が当該気筒1a内に沿って往復運動可能な状態で配置されている。ピストン7とシリンダブロック1aとシリンダヘッド2の間には燃焼室8が形成されている。
シリンダヘッド2には、主に、吸気通路9、吸気弁10、排気通路11、排気弁12、燃料噴射弁13及び点火プラグ14が設けられている。吸気通路9には外部から導入された空気(吸気)が通過し、その通過した空気は燃焼室8へ供給される。吸気弁10は、吸気通路9側から燃焼室8側にかけて設けられ、ECU5によって開閉制御されることにより、吸気通路9と燃焼室8との連通/遮断を行う。燃焼室8には、燃料噴射弁13によって噴射された燃料が供給される。燃料噴射弁13は、ECU5から供給される制御信号(図示略)によって、燃料噴射量や燃料噴射時期などの制御が行われる。燃焼室8内では、点火プラグ14の点火によって、供給された空気と燃料との混合気が燃焼される。この場合、燃焼によってピストン7が気筒1a内に沿って往復運動し、この往復運動がコンロッド7aを介してクランク軸(図示略)に伝達され、クランク軸が回転する。また、燃焼室8内の混合気の燃焼によって生じた排気は排気通路11へ排出される。排気弁12は、排気通路11側から燃焼室8側にかけて設けられ、ECU5によって開閉制御されることにより、排気通路11と燃焼室8の連通/遮断を行う。
オイルパン3には、適量の潤滑油(エンジンオイル)15が保持されている。オイルパン3に保持された潤滑油15は、潤滑油供給装置4によって内燃機関100の各部へ供給され、これにより内燃機関100の各部の潤滑に供される。
潤滑油供給装置4は、潤滑油15中の異物を除去するフィルタ4aと、潤滑油15を吸引するオイルポンプ4bと、潤滑油15を噴射するオイルジェット4cと、潤滑油15の流量を制御するオイルジェット制御弁4dと、潤滑油15が流通するオイル通路4eと、を有する。オイルパン3内の潤滑油15は、フィルタ4aを介してオイルポンプ4bにより吸引され、吸引された潤滑油15はオイル通路4e及びオイルジェット制御弁4dを通じてオイルジェット4cへ供給される。オイルジェット4cへ供給された潤滑油15は、オイルジェット4cから、燃焼室8側と逆側のピストン7の裏面7bに向けて噴射される。オイルジェット4cによる潤滑油15の噴射量及び噴射時期は、ECU5によって制御される。特に、オイルジェット4cによる潤滑油15の噴射量の制御は、ECU5から供給される制御信号s1によって、オイルジェット制御弁4dの開閉状態が制御されることにより行われる。ピストン7の裏面7bに向けて噴射された潤滑油15は、ピストン7の裏面7bに付着することによってピストン7によって加熱され、さらにピストン7の裏面7bからオイルパン3に向けて滴下し、オイルパン3へと戻される。
ECU5は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備える。ECU5は、内燃機関100に設けられた各種センサから検出信号を取得し、これに基づいて内燃機関100に対する制御を行う。各種センサには、内燃機関100の各部を冷却するための冷却水の温度を検知する水温センサ(冷却水温度検知手段)16、オイルパン3内などに設けられ、潤滑油15の温度を検知するための第1の油温センサ(潤滑油温度検知手段)17、クランクケース1bやオイルパン3内などに設けられ、ピストン7の裏面7bから滴下する潤滑油15の温度を検知する第2の油温センサ(他の潤滑油温度検知手段)18、及びオイルパン3内などに設けられ、燃料により希釈された潤滑油15の希釈度ep1を検知するための潤滑油希釈度センサ(潤滑油希釈度検知手段)19などが含まれる。潤滑油希釈度センサ19は、一般的な方法、例えば潤滑油15の粘度などに基づき燃料により希釈された潤滑油15の希釈度ep1を検知する。ここで、潤滑油15の希釈度ep1は、燃料と潤滑油15の混合物に対する燃料の占める割合をいう。よって、潤滑油15の希釈度ep1が大きい場合は、混合物に対する燃料の割合が大きく、潤滑油15の希釈度ep1が小さい場合は、混合物に対する燃料の割合が小さいといえる。例えば、潤滑油15の希釈度ep1は、以下の式1で表わされる。
潤滑油15の希釈度ep1={潤滑油15に混入される燃料の量/(潤滑油15に混入される燃料の量+燃料により希釈された潤滑油15の量)} (式1)
特に、本実施形態では、ECU5は、オイルジェット4cからピストン7に向けて噴射される潤滑油15の噴射量を制御信号s2に基づき制御する潤滑油噴射量制御手段、及びピストン7の温度が上昇するように内燃機関100を制御する内燃機関制御手段として機能する。
特に、本実施形態では、ECU5は、オイルジェット4cからピストン7に向けて噴射される潤滑油15の噴射量を制御信号s2に基づき制御する潤滑油噴射量制御手段、及びピストン7の温度が上昇するように内燃機関100を制御する内燃機関制御手段として機能する。
[内燃機関の潤滑油希釈抑制装置]
まず、燃料による潤滑油の希釈の問題について考察する。上述したように内燃機関の潤滑に供される潤滑油の全体に混入する燃料の割合が徐々に増大すると、これに伴って燃料による潤滑油の希釈度が大きくなって潤滑油の潤滑性能の低下を招き、内燃機関の潤滑不良等が引き起されることになる。
まず、燃料による潤滑油の希釈の問題について考察する。上述したように内燃機関の潤滑に供される潤滑油の全体に混入する燃料の割合が徐々に増大すると、これに伴って燃料による潤滑油の希釈度が大きくなって潤滑油の潤滑性能の低下を招き、内燃機関の潤滑不良等が引き起されることになる。
そこで、このような課題を解決する方法としては、例えば、ヒーター方式により、燃料により希釈された潤滑油の希釈度を大きくする方法が考えられる。ここで、ヒーター方式とは、ヒーターを利用してオイルパン内に保持された潤滑油を加熱して潤滑油の温度を上昇させることで、その潤滑油に混入された燃料中に含まれる沸点の低い成分(以下、「燃料蒸発成分」と呼ぶ)を蒸発させて、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油の占める割合を増やす方法である。
しかしながら、このようなヒーター方式を採用した場合、次のような種々の課題がある。
まず、かかるヒーター方式では、ヒーターを使用する分だけ、消費電力が大きくなり、これに起因して燃費が悪化してしまうといった課題がある。また、ヒーター方式では、オイルパン内に保持された多量の潤滑油を加熱する必要があるため、潤滑油の全体を加熱するまでに相当の時間を要し、従って、混合物に対する潤滑油の占める割合を増やすまでに長時間がかかってしまうといった課題がある。また、ヒーター方式では、潤滑油を加熱してゆき、燃料による潤滑油の希釈が問題とならない温度に到達した場合、潤滑油に含まれる燃料蒸発成分が急激に蒸発し始めるが、このような燃料蒸発成分は、クランクケースと吸気系を繋ぐ通路を通じて吸気系に戻されて、さらに燃焼室へ導入されることで燃焼される。しかし、このとき、ヒーター方式では、燃料蒸発成分が急激に蒸発し始めることによって、燃焼室に対し導入される燃料蒸発成分の量が急激に増えてしまい、空燃比等の適切な制御が困難になってしまうといった課題がある。また、ヒーター方式では、燃料により希釈されることによって潤滑性能が悪化した潤滑油をヒーターで加熱することになるので、その潤滑油の粘度が更に低下して潤滑油の潤滑性能がより一層悪化し、その悪化した潤滑油が内燃機関の各部へ供給されるので、内燃機関の潤滑不良が引き起され易くなるといった課題がある。
以上のような種々の課題を踏まえ、本発明の実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制装置は、ピストン7と、ピストン7に向けて潤滑油15を噴射するオイルジェット4cと、オイルジェット4cから噴射される潤滑油15の噴射量を制御する潤滑油噴射量制御手段と、燃料により希釈された潤滑油15の希釈度を検知する潤滑油希釈度センサ(潤滑油希釈度検知手段)19と、を備え、潤滑油噴射量制御手段は、潤滑油希釈度センサ19により検知された潤滑油15の希釈度に応じて、オイルジェット4cから噴射される潤滑油15の噴射量を調整する。以下、内燃機関の潤滑油希釈抑制装置による潤滑油希釈抑制方法について説明する。
(内燃機関の潤滑油希釈抑制処理)
まず、図2を参照して、本実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制方法について説明する。図2は、本実施形態の内燃機関の潤滑油希釈抑制処理に係るフローチャートを示す。本実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制処理は、内燃機関100の始動期間中に繰り返し実行される。
まず、図2を参照して、本実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制方法について説明する。図2は、本実施形態の内燃機関の潤滑油希釈抑制処理に係るフローチャートを示す。本実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制処理は、内燃機関100の始動期間中に繰り返し実行される。
まず、ECU5は、潤滑油希釈度センサ19を通じて、燃料により希釈された潤滑油15の希釈度ep1を検知する(ステップS1)。次に、ECU5は、検知された潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きいか否かにつき判定する(ステップS2)。ここで、許容希釈度ep2は、例えば内燃機関100の各部に対する潤滑不良の発生を防止可能な希釈度とすることができ、潤滑油15の仕様などに基づき決定される。潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きくない場合には(ステップS2;No)、潤滑油噴射量制御手段は、オイルジェット制御弁4dの通常制御を実行する(ステップS4)。なお、オイルジェット制御弁4dの通常制御とは、潤滑油15の希釈度ep1を考慮することなく、内燃機関100の運転状態などに基づいて行われるオイルジェット制御弁4dの制御である。
一方、潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きい場合には(ステップS2;Yes)、潤滑油噴射量制御手段は、オイルジェット制御弁4dを開き側に制御する(ステップS3)。かかる制御は、内燃機関100の運転状態などに基づいて行われるオイルジェット制御弁4dの通常制御に加え、さらに潤滑油15の希釈度ep1を考慮して、上記のオイルジェット制御弁4dの通常制御よりも、オイルジェット制御弁4dの開く割合を増やすことによって、より多くの潤滑油15をピストンに向けて噴射する制御である。かかる制御に際しては、潤滑油噴射量制御手段は、潤滑油希釈度センサ19により検知された潤滑油15の希釈度ep1に応じて、オイルジェット制御弁4dの開く割合を変化させて、オイルジェット4cからの潤滑油15の噴射量を調整する。この場合、例えば、潤滑油噴射量制御手段は、オイルジェット制御弁4dを開き側に制御してオイルジェット4cからピストン7の裏面7bに向けて潤滑油を噴射し続け、潤滑油15の希釈度ep1に応じてオイルジェット制御弁4dの開く割合を連続的に変化させることにより、オイルジェット4cから噴射する潤滑油15の噴射量を調整することが望ましい。但し、本発明では、これに限らず、許容希釈度ep2の閾値を設け、その閾値を基準にして、オイルジェット制御弁4dを開き側又は絞り側に制御(2段階制御)するようにしてもよい。
かかる内燃機関の潤滑油希釈抑制方法によれば、ステップS3において、潤滑油噴射量制御手段は、例えば潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きい場合には、オイルジェット4cからピストン7の裏面7bに向けて潤滑油15の噴射量を増加させ、ピストン7に付着させる潤滑油15の量を増加させる。これにより、潤滑油15はピストン7によって加熱されるので、潤滑油15に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発し、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油15の占める割合を増やすことができる、言い換えれば、潤滑油15中に混入される燃料の量を抑制することができる。よって、潤滑油15の希釈度ep1を小さくすることができる。そして、濃度の高い潤滑油15、言い換えれば希釈度ep1の小さくなった潤滑油15はピストン7の裏面7bからオイルパン3側へと滴下して、オイルパン3内に戻され、さらに内燃機関100の各部への潤滑に供されることになる。よって、潤滑油15の潤滑性能が悪化することを防止できる結果、内燃機関100の潤滑不良が引き起されることを防止できる。
また、かかる内燃機関の潤滑油希釈抑制方法では、潤滑油15を加熱するにあたりヒーターを使用しないので、その分だけ、消費電力が大きくなることを防止でき、その結果、燃費の悪化を防止できる。なお、オイルジェット4cは高出力型の内燃機関には、標準装備されていることが多いので、オイルジェット機構の構成を少し改良するだけで、本実施形態に係る内燃機関の潤滑油希釈抑制装置を構成することができる。よって、本実施形態によれば、上記したヒーター方式を適用する場合と比較して、その装置構成を簡素化できる。
また、かかる内燃機関の潤滑油希釈抑制方法では、オイルパン3内に保持されている多量の潤滑油15が加熱されるのではなく、オイルジェット4cから噴射される適量の潤滑油15がピストン7によって短時間に加熱されるので、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油15の占める割合を増やすまでの時間を大幅に短縮することができる。
また、かかる内燃機関の潤滑油希釈抑制方法では、オイルジェット4cから噴射される潤滑油15の量に応じて、潤滑油15に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発するので、クランクケース1bと吸気通路9を繋ぐ通路を通じて燃焼室8に対し導入される燃料蒸発成分の量が急激に増えることはなく、空燃比等の適切な制御が行い易くなる。
{潤滑油希釈抑制方法(応用例1)}
内燃機関100の冷間時は、燃焼室8内において燃料の気化が促進され難いために、未燃焼成分が排出され易い状態にある。このような状態において、オイルジェット4cからピストン7に向けて潤滑油15を噴射してしまうと、低温状態にあるピストン7の温度がさらに下がってしまう。そうすると、燃焼室8内における燃料の気化がより促進され難くなり、燃焼悪化及び燃費悪化が引き起されることになる。
内燃機関100の冷間時は、燃焼室8内において燃料の気化が促進され難いために、未燃焼成分が排出され易い状態にある。このような状態において、オイルジェット4cからピストン7に向けて潤滑油15を噴射してしまうと、低温状態にあるピストン7の温度がさらに下がってしまう。そうすると、燃焼室8内における燃料の気化がより促進され難くなり、燃焼悪化及び燃費悪化が引き起されることになる。
そこで、本発明の潤滑油希釈抑制方法の応用例1では、このような問題に対処するため、潤滑油噴射量制御手段は、水温センサ(冷却水温度検知手段)16によって検知された冷却水の温度に応じて、オイルジェット4cから噴射される潤滑油15の噴射量を調整(補正)することが望ましい。
以下、図3及び図4を参照して、本発明の潤滑油希釈抑制方法の応用例1について説明する。
図3は、本発明の潤滑油希釈抑制方法の応用例1に係るフローチャートを示す。本発明の潤滑油希釈抑制処理(応用例1)は、内燃機関100の始動期間中に繰り返し実行される。図4(a)は、内燃機関100の各部を冷却する冷却水の温度から潤滑油の許容希釈度ep2を算出するために用いる冷却水温−潤滑油希釈度マップの一例を示す。図4(b)は、潤滑油15の温度から潤滑油15の許容希釈度ep2を算出するために用いる潤滑油温−潤滑油希釈度マップの一例を示す。
まず、ECU5は、潤滑油希釈度センサ19を通じて、燃料により希釈された潤滑油15の希釈度ep1を検知する(ステップS11)。次に、ECU5は、水温センサ16を通じて、冷却水の温度を検知する(ステップS12)。次に、ECU5は、図4(a)に示す冷却水温−潤滑油希釈度マップを参照して、検知した冷却水の温度から潤滑油15の許容希釈度ep2を算出する(ステップS13)。ここで、冷却水の温度が高くなると、オイルパン3内にある潤滑油15の温度も高くなるため、潤滑油15の粘度が低下する。そこで、このステップS13では、ECU5は、図4に例示された冷却水温−潤滑油希釈度マップに基づき、冷却水の温度が低い場合には、潤滑油15の許容希釈度ep2を大きい値に設定し、冷却水の温度が高い場合には、潤滑油15の許容希釈度ep2を小さい値に設定する。
次に、ECU5は、検知した潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きいか否かにつき判定する(ステップS14)。潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きくない場合には(ステップS14;No)、潤滑油噴射量制御手段は、オイルジェット制御弁4dの通常制御を実行する(ステップS16)。ここで、内燃機関100の冷間時など、例えば冷却水の温度が低い場合には、潤滑油15の温度も低いので、潤滑油15の粘性はそれ程低下していない。よって、かかる潤滑油15を内燃機関100の各部への潤滑に供しても内燃機関100の潤滑不良は生じにくい。このことから、このステップS16では、オイルジェット制御弁4dの通常制御を実行して、オイルジェット4cからピストン7に向けて潤滑油15が過度に噴射されることを防止する。これにより、内燃機関100の冷間時などにおいて、未燃焼成分の排出がされ難くなり、燃焼悪化及び燃費悪化が引き起されることを防止できる。一方、潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きい場合には(ステップS14;Yes)、潤滑油噴射量制御手段は、上述した各種の態様にてオイルジェット制御弁4dを開き側に制御する(ステップS15)。ここで、内燃機関100の冷間時などでは、上述した課題があるが、その場合でも、潤滑油15の希釈度ep1が大きくなって、内燃機関100の潤滑不良が起き易い状態である場合には、強制的にオイルジェット制御弁4dを開き側に制御して、オイルジェット4cからピストン7の裏面7bに向けて潤滑油15の噴射量を増加させ、ピストン7に付着させる潤滑油15の量を増加させる。これにより、潤滑油15はピストン7によって加熱され、潤滑油15に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発し、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油15の占める割合を増やすことができる、つまり、潤滑油15の希釈度ep1を小さくできる。よって、潤滑油15の潤滑性能が悪化することを防止できる結果、内燃機関100の潤滑不良が引き起されることを防止できる。
なお、本発明の潤滑油希釈抑制方法の応用例1では、ステップS13において、図4(a)に例示する冷却水温−潤滑油希釈度マップを参照して、冷却水の温度から潤滑油15の許容希釈度ep2を算出するようにしたが、これに代えて、本発明では、図4(b)に例示する潤滑油温−潤滑油希釈度マップを参照して、或いは、図4(a)に例示する冷却水温−潤滑油希釈度マップ及び図4(b)に例示する潤滑油温−潤滑油希釈度マップの両方を参照して、潤滑油15の許容希釈度ep2を算出するようにしてもよい。
{潤滑油希釈抑制方法(応用例2)}
オイルジェット4cからピストン7に向けて噴射する潤滑油15の噴射量の大小に拘わらず、ピストン7から当該噴射された潤滑油15に与えられる熱量は同じである。よって、オイルジェット4cからピストン7に向けて噴射する潤滑油15の噴射量が増え過ぎると、加熱する潤滑油15の量が増加するため潤滑油15の温度は上昇し難くなり、燃料による潤滑油15の希釈度ep1が大きくなってしまう。
オイルジェット4cからピストン7に向けて噴射する潤滑油15の噴射量の大小に拘わらず、ピストン7から当該噴射された潤滑油15に与えられる熱量は同じである。よって、オイルジェット4cからピストン7に向けて噴射する潤滑油15の噴射量が増え過ぎると、加熱する潤滑油15の量が増加するため潤滑油15の温度は上昇し難くなり、燃料による潤滑油15の希釈度ep1が大きくなってしまう。
そこで、本発明の潤滑油希釈抑制方法の応用例2では、このような問題に対処するため、潤滑油噴射量制御手段は、第2の油温センサ18によって検知された、ピストン7から滴下する潤滑油15の温度に応じて、オイルジェット4cから噴射される潤滑油15の噴射量を調整(補正)することが望ましい。
以下、図5を参照して、本発明の潤滑油希釈抑制方法の応用例2について説明する。図5は、本発明の潤滑油希釈抑制方法の応用例2に係るフローチャートを示す。本発明の潤滑油希釈抑制処理(応用例2)は、内燃機関100の始動期間中に繰り返し実行される。
まず、ECU5は、潤滑油希釈度センサ(潤滑油希釈度検知手段)19を通じて、燃料により希釈された潤滑油15の希釈度ep1を検知する(ステップS21)。次に、ECU5は、検知された潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きいか否かにつき判定する(ステップS22)。潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きくない場合には(ステップS22;No)、潤滑油噴射量制御手段は、オイルジェット制御弁4dの通常制御を実行する(ステップS27)。一方、潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きい場合には(ステップS22;Yes)、ECU5は、第2の油温センサ(滴下潤滑油温度検知手段)18を通じて、ピストン7の裏面7bからオイルパン3に向けて滴下する潤滑油15の温度を検知する(ステップS23)。
次に、ECU5は、ピストン7から滴下した潤滑油15の温度が目標温度より小さいか否かにつき判定する(ステップS24)。ここで、目標温度は、例えば潤滑油15及び燃料の各仕様などに基づき設定される。ピストン7から滴下した潤滑油15の温度が目標温度より大きい場合には(ステップS24;No)、潤滑油噴射量制御手段は、上述した各種の態様にてオイルジェット制御弁4dを開き側に制御する(ステップS26)。このステップS26によれば、ピストン7の温度が高い状態にあるので、オイルジェット4cからピストン7の裏面7bに向けて噴射する潤滑油15の噴射量を増加して、ピストン7の裏面7bに付着させる潤滑油15の量を増加させる。これにより、潤滑油15はピストン7によって加熱され、潤滑油15に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発し、燃料と潤滑油の混合物に対する潤滑油15の占める割合が増加するので、燃料による潤滑油15の希釈度ep1が大きくなってしまうことを防止できる。
一方、ピストン7から滴下した潤滑油15の温度が目標温度より小さい場合には(ステップS24;Yes)、ピストン7の温度は低い状態にあり、ピストン7に向けて噴射された潤滑油15がピストン7から得られる熱量は小さいので、潤滑油噴射量制御手段は、オイルジェット制御弁4dを絞り側に制御し(ステップS25)、オイルジェット4cからピストン7の裏面7bに向けて噴射する潤滑油15の噴射量を小さくする。これにより、内燃機関100の冷間時において、ピストン7の裏面7bに向けて噴射された潤滑油15の温度を、燃料と潤滑油15の混合物に対する潤滑油15の割合を増加させる温度にまで確実に上昇させることができる。よって、燃料による潤滑油15の希釈度ep1が大きくなってしまうことを防止できる。
(ピストンの温度を上昇させるための内燃機関の制御)
潤滑油15に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分の蒸発を促進するためには、燃焼室8内において燃焼された燃焼ガスからピストン7に対して熱流が増すように内燃機関100を制御することが有効である。そこで、本実施形態に係る内燃機関制御手段は、潤滑油噴射量制御手段によってオイルジェット4cから噴射される潤滑油15の噴射量が調整される場合に、ピストン7の温度が上昇するように内燃機関100を制御する。
潤滑油15に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分の蒸発を促進するためには、燃焼室8内において燃焼された燃焼ガスからピストン7に対して熱流が増すように内燃機関100を制御することが有効である。そこで、本実施形態に係る内燃機関制御手段は、潤滑油噴射量制御手段によってオイルジェット4cから噴射される潤滑油15の噴射量が調整される場合に、ピストン7の温度が上昇するように内燃機関100を制御する。
以下、図6を参照して、ピストン7の温度を上昇させるための内燃機関100の制御方法について説明する。図6は、本実施形態のピストン7の温度を上昇させるための内燃機関100の制御処理に係るフローチャートを示す。本発明の内燃機関100の制御処理は、内燃機関100の始動期間中に繰り返し実行される。
まず、ECU5は、潤滑油希釈度センサ(潤滑油希釈度検知手段)19を通じて、燃料により希釈された潤滑油15の希釈度ep1を検知する(ステップS31)。次に、ECU5は、検知された潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きいか否かにつき判定する(ステップS32)。潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きくない場合には(ステップS32;No)、潤滑油噴射量制御手段は、上述したオイルジェット制御弁4dの通常制御を実行する(ステップS34)。一方、潤滑油15の希釈度ep1が許容希釈度ep2より大きい場合には(ステップS32;Yes)、ECU5は、上述した各種の態様にてオイルジェット制御弁4dを開き側に制御する(ステップS33)。これにより、オイルジェット4cからピストン7の裏面7bに向けて潤滑油15の噴射量が増加し、ピストン7に付着する潤滑油15の量が増加する。これにより、潤滑油15はピストン7によって加熱され、潤滑油15に混入された燃料中に含まれる燃料蒸発成分が蒸発し、燃料と潤滑油15の混合物に対する潤滑油15の占める割合が増加する。
次に、内燃機関制御手段は、ピストン7の温度が上昇するように、例えば燃焼室8内において混合気の燃焼を促進させ、燃焼されたガスからピストン7に対して熱流が増すように内燃機関100を制御する(ステップS35)。ここで、かかる内燃機関100の制御方法としては、例えば、内燃機関がディーゼルエンジンである場合には噴射時期を進角制御すること、内燃機関がガソリンエンジンである場合には点火時期を進角制御すること、排気ガス再循装置(EGR装置)を備えた内燃機関であれば、排気ガス再循環量(EGRガス量)を少なくすること、空燃比をストイキに近づけること、スワール流やタンブル流などの気流を強化すること、インパルスチャージを行うこと、実圧縮比を増大させること、などの方法が挙げられる。このステップS35では、内燃機関制御手段は、上述した内燃機関100の複数の制御方法のうち、少なくとも1つの制御方法を実行すること、或いは複数の制御を組み合わせて実行することが望ましい。これにより、燃焼室8内において混合気の燃焼が促進されて、燃焼されたガスからピストン7に対して熱流が増し、さらにピストン7から潤滑油15に対する熱の伝達が効果的に行われるようになる。その結果、燃料と潤滑油15の混合物に対する燃料蒸発成分の蒸発がより促進され、その混合物に対する潤滑油15の占める割合を増やすまでの時間を短縮することができる。
3 オイルパン
4 潤滑油供給装置
4c オイルジェット
4d オイルジェット制御弁
5 ECU
7 ピストン
8 燃焼室
15 潤滑油
16 水温センサ
17 第1の油温センサ
18 第2の油温センサ
19 潤滑油希釈度センサ
4 潤滑油供給装置
4c オイルジェット
4d オイルジェット制御弁
5 ECU
7 ピストン
8 燃焼室
15 潤滑油
16 水温センサ
17 第1の油温センサ
18 第2の油温センサ
19 潤滑油希釈度センサ
Claims (4)
- ピストンと、
前記ピストンに向けて潤滑油を噴射するオイルジェットと、
前記オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を制御する潤滑油噴射量制御手段と、
燃料により希釈された潤滑油の希釈度を検知する潤滑油希釈度検知手段と、を備え、
前記潤滑油噴射量制御手段は、前記潤滑油希釈度検知手段により検知された潤滑油の希釈度に応じて、前記オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を調整することを特徴とする内燃機関の潤滑油希釈抑制装置。 - 前記内燃機関を冷却する冷却水の温度を検知する冷却水温度検知手段と、
潤滑油の温度を検知する潤滑油温度検知手段と、を更に備え、
前記潤滑油噴射量制御手段は、前記冷却水温度検知手段によって検知された冷却水の温度、及び前記潤滑油温度検知手段によって検知された潤滑油の温度のうち、少なくとも一方の温度に応じて、前記オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を調整することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の潤滑油希釈抑制装置。 - 前記ピストンから滴下する潤滑油の温度を検知する他の潤滑油温度検知手段を更に備え、
前記潤滑油噴射量制御手段は、前記他の潤滑油温度検知手段によって検知された当該潤滑油の温度に応じて、前記オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の潤滑油希釈抑制装置。 - 前記内燃機関を制御する内燃機関制御手段を更に備え、
前記内燃機関制御手段は、前記潤滑油噴射量制御手段によって前記オイルジェットから噴射される潤滑油の噴射量が調整される場合に、前記ピストンの温度が上昇するように前記内燃機関を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の潤滑油希釈抑制装置。
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JP2007264104A JP2009092006A (ja) | 2007-10-10 | 2007-10-10 | 内燃機関の潤滑油希釈抑制装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2007
- 2007-10-10 JP JP2007264104A patent/JP2009092006A/ja active Pending
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