JP2009091636A - 冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用2相ステンレス鋼線材、鋼線およびボルト並びにその製造方法 - Google Patents

冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用2相ステンレス鋼線材、鋼線およびボルト並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度・高耐食ボルトを安価に製造することを目的に、安価な高耐食2相ステンレス鋼線の冷間鍛造性を確保すると共に、ボルト製品の高強度化を付与することにある。
【解決手段】質量%で、C;0.005〜0.05%、Si;0.1〜1.0%、Mn;0.1〜10.0%、Ni;1.0〜6.0%、Cr;19.0〜30.0%、Cu;0.05〜3.0%以下、N;0.005〜0.20%を含有し、残部がFeおよび実質的に不可避的不純物で構成され、C+N;0.20%以下、(a)式のM値が60以下、(b)式のF値が45〜85であり、引張強さが550〜750N/mmに調整されることを特徴とする冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材である。さらに、必要に応じて、Mo、B、Al、Mg、Ca、Nb、Ti、Zr、Vを添加することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、冷間鍛造性に優れた2相ステンレス鋼線材に係わり、例えばSUS304並の耐食性を有する高強度ボルトを安価に提供するものである。
これまで、SUS304線材が強度700N/mmレベルの高強度・高耐食ボルトとして汎用的に使用されてきた。しかしながら、近年、自動車、家電等の分野を中心に更なるボルトの高強度化(軽量化)が求められてきた。また、SUS304ボルトは高価なNi原料を多く含有して価格が高いため、低コスト化も強く求められてきた。
これまで、ボルトの高強度化は、例えば、マルテンサイト系ステンレス鋼のSUS630ボルトで対応されてきた(例えば、特許文献1)。
しかしながら、SUS630ボルトは強度に優れるものの、耐食性が十分でないばかりか、冷間鍛造性に著しく劣るため製造コストが大幅に高く、使用は非常に限定的であった。
さらに、製造性に優れる安価な約13%Cr系のマルテンサイト系ステンレス鋼製の高力ボルトも提案されている(特許文献2)。しかしながら、耐食性が不十分であり、使用が限定されている。
また、高(C+N)量のオーステナイト系ステンレス鋼製の高力ボルトが提案されている(特許文献3)。しかしながら、冷間鍛造性に劣るため製造コストが大幅に高く、市場に受け入れられていない。
一方、近年、高価なNiの使用を抑制した低Ni系の安価な2相ステンレス鋼(特許文献4〜6)が提案されている。
しかしながら、従来の2相ステンレス鋼では、冷間鍛造性が悪く、また、製造コストが高く、2相ステンレス鋼製のボルトは市場に存在していなかった。
以上、これまでのステンレス鋼ボルトおよびボルト用ステンレス鋼線材において、高耐食性、高強度、高冷間鍛造性、低コストを兼ね備える製品がなかった。
特開平9―314276号公報 特開2005―179718号公報 特開2006―274295号公報 国際公開WO2005/073422号公報 特許第3271262号公報 EP0337846号明細書
本発明の目的は、安価な高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材、鋼線およびボルト並びにその製造方法を提供することであり、安価な高耐食2相ステンレス鋼線の組織・成分・材質を制御することで冷間鍛造性とボルト製品の高強度化を付与することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討した結果、高耐食の2相ステンレス鋼で高価なNi含有量を低減すると共に、成分調整にて組織を安定化させ(低M値)、フェライト相の体積分率を高目に制御し、且つ、熱処理と伸線加工にて線材、鋼線の引張強さを適正化することで、冷間鍛造性とボルト製品の高強度化を安価に両立できることを見出した。本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1) 質量%で、
C;0.005〜0.05%、
Si;0.1〜1.0%、
Mn;0.1〜10.0%、
Ni;1.0〜6.0%、
Cr;19.0〜30.0%、
Cu;0.05〜3.0%、
N;0.005〜0.20%
を含有し、残部がFeおよび実質的に不可避的不純物で構成され、C+N;0.20%以下、(a)式のM値が60以下、(b)式のF値が45〜85であり、引張強さが550〜750N/mmであることを特徴とする冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材である。
M=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn
−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo ・ ・ ・(a)
F=5.6Cr−7.1Ni+2.4Mo+15Si−3.1Mn−300C
−134N−26.6 ・ ・ ・(b)
(2) 質量%で、
Mo;1.0%以下
を含有することを特徴とする請求項1記載の冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材である。
(3) 質量%で、
B;0.01%以下
を含有することを特徴とする請求項1または2記載の冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材である。
(4) 質量%で、
Al;0.1%以下、
Mg;0.01%以下、
Ca;0.01%以下
の内、1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材である。
(5) 質量%で、
Nb;1.0%以下、
Ti;0.5%以下、
V;1.0%以下、
Zr;1.0%以下
の内、1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材である。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化学組成を含有し、引張強さが700〜1000N/mmであることを特徴とする冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線である。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化学組成を含有し、引張強さが700〜1200N/mmであることを特徴とする磁性を有する高強度・高耐食ボルトである。
(8)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化学組成を有し、引張強さが700〜1000N/mmであるオーステナイト・フェライト系2相鋼線を冷間ボルト成型後に300〜600℃で1〜100分の時効熱処理を施すことを特徴とする高強度・高耐食ボルトの製造方法である。
本発明による冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用2相ステンレス鋼線材は、高価なNiをあまり含有していないにもかかわらず、優れた冷間鍛造性を確保すると共にSUS304並以上の高耐食性と高強度を付与することができ、高強度・高耐食ボルトを安価に提供する効果を発揮する。
以下に、先ず、本発明の請求項1記載の限定理由について説明する。
Cは、ボルト製品の強度を確保するために0.005%以上含有させる。しかしながら、0.05%を超えて含有させるとCr炭窒化物が生成して耐食性が劣化するばかりか、冷間鍛造性が劣化するため、0.05%以下に限定する。好ましくは、0.03%以下である。
Nは、固溶強化と時効硬化によりボルト製品の強度を確保するために0.005%以上含有させる。しかしながら、0.20%を超えて含有させると冷間鍛造性が著しく劣化する。そのため、上限を0.20%にする。好ましい範囲は、0.05%未満である。
C+Nは、上記の冷間鍛造性の理由から0.20%以下に限定する。好ましくは、0.10%以下である。
Siは、脱酸のために0.1%以上を含有させる。しかしながら、1.0%を超えて含有させると冷間鍛造性が劣化する。そのため、上限を1.0%にする。好ましい範囲は、0.2〜0.6%である。
Mnは、脱酸のためおよび安定なオーステナイト組織を得るための調整として0.1%以上を含有させる。しかしながら、10.0%を超えて含有させると耐銹性およびフェライト体積分率が減少し、引張強さが上昇し、冷間鍛造性が劣化する。そのため、上限を10.0%に限定する。好ましい範囲は、0.5〜5.0%である。
Niは、オーステナイト組織を安定化させ、冷間鍛造性を確保するために1.0%以上含有させる。しかしながら、6.0%を超えて含有させてもその効果は飽和するし、逆にフェライト相の体積分率が45%以下になり、冷間鍛造性(工具寿命)に劣るばかりか、Niは高価なため経済性に劣る。そのため、上限を6.0%に限定する。好ましい範囲は、3.0超、5.0%以下である。
Crは、耐食性を確保し、フェライト相の体積分率を増加させ、且つ、オーステナイト組織を安定化させて冷間鍛造性を確保するために、19.0%以上含有させる。しかしながら、30.0%を超えて含有させても、その効果は飽和するし、逆にフェライト相の体積分率が85%を超えるため、ボルト製品の強度が低下する。そのため、上限を30.0%にする。好ましい範囲は、22.0〜26.0%である。
Cuは、オーステナイト組織を安定化し、加工硬化を抑制して冷間鍛造性を向上させ、且つ、冷間鍛造後の時効処理時に、フェライト相の時効硬化を促進させてボルト製品を高強度化するのに有効である。そのため、0.05%以上含有させる。しかしながら、3.0%を超えて含有させるとCuの固溶限を超えて素材の熱間製造性が著しく劣化するため、上限を3.0%にする。好ましい範囲は、0.2%以上1.0%未満である。
下記(a)式のM値は、オーステナイト相の安定度に寄与し、鉄と鋼,63(1977),772頁に記載された指標であり、M値が高くなると硬質な加工誘起マルテンサイト相が生成する。二相ステンレス鋼の冷間鍛造の場合、M値が60を超えると冷間鍛造時に硬質な加工誘起マルテンサイト相が生成し、冷間鍛造性が著しく劣化する(工具寿命劣位、冷間鍛造割れ発生)。そのため、M値を60以下に限定する。好ましい範囲は、40以下である。
M=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)
−13.7Cr−18.5Mo ・ ・ ・(a)
下記(b)式のF値は、フェライト相の体積分率に寄与し、特公平7−74416号公報に記載された指標であり、F値が高くなるとフェライト相が増加する。図1は、F値と二相ステンレス鋼線材製品のフェライト相の体積分率を調査したものである。F値が45以上になると、フェライト相の体積分率が45vol.%以上になり、高耐力、低加工硬化特性を示し(図2)、製品の強度(ボルト軸部の引張強さ)を700〜1200N/mmと高強度化でき、且つ、頭部の冷間鍛造性を確保できる。そのため、F値を45以上に限定する。図2のF値に応じた加工率(%)と圧縮変形応力(N/mm)との関係に示すように、F値が45未満では、加工硬化が大きく、冷間鍛造性(圧造割れ、工具損傷)が大きく劣化する。一方、F値が85を超えると、軟質なフェライト相が85%を超えて、強度の高いオーステナイト相が減るため、ボルト製品の強度が逆に低下する。そのため、上限を85にする。好ましい範囲は50〜80である。
F=5.6Cr−7.1Ni+2.4Mo+15Si−3.1Mn−300C
−134N−26.6 ・ ・ ・(b)
線材の引張強さは、冷間鍛造性に大きく寄与し、線材の引張強さが550N/mm未満の場合、ボルト等の冷間鍛造部品の強度が低く、高強度製品としての価値が低くなる。そのため、下限を550N/mmに限定する。一方、線材の引張強さが750N/mmを超えると冷間鍛造性が著しく劣化する(工具寿命劣化、冷間鍛造割れ発生)。そのため、上限を750N/mmにする。好ましい範囲は、600〜700N/mmである。
本発明の請求項2記載の限定理由について述べる。
Moは、耐食性を向上させるのに有効な元素であり、0.1%以上の添加で安定的に効果が得られる。しかしながら、1.0%を超えて含有させると材料のコストが上昇するばかりか、材料が硬質化し、冷間鍛造性が劣化する。そのため、上限を1.0%に限定する。好ましい範囲は、0.2%以上、0.5%未満である。
本発明の請求項3記載の限定理由について述べる。
Bは、熱間加工性を向上させるのに有効な元素であり、0.001%以上の添加で安定的に効果が得られる。しかしながら、0.01%を超えて含有させてもボライドが生成し、耐食性および冷間鍛造性が劣化する。そのため、上限を0.01%に限定する。好ましい範囲は、0.002〜0.006%である。
本発明の請求項4記載の限定理由について述べる。
Al、Mg、Caは脱酸に有効であるため、Al;0.005%以上、Mg;0.001%以上、Ca;0.001%以上の1種類以上の添加で安定的に効果が得られる。しかしながら、それぞれ、Al;0.1%、Mg;0.01%、Ca;0.01%を超えて含有させてもその効果は飽和するし、逆に粗大酸化物(介在物)が発生し、冷間鍛造性割れが発生する。そのため、それぞれ、上限をAl;0.1%、Mg;0.01%、Ca;0.01%にする。好ましい範囲は、Al;0.01〜0.06%、Mg;0.002〜0.005%、Ca;0.002〜0.005%の1種類以上を含有させることである。
本発明の請求項5記載の限定理由について述べる。
Nb、Ti、V、Zrは、Cr炭窒化物の生成を抑制して耐食性を確保するのに有効であり、Nb;0.05%以上、Ti;0.02%以上、V;0.05%以上、Zr;0.05%以上の1種類以上の添加で安定的に効果が得られる。しかしながら、Nb;1.0%、Ti;0.5%、V;1.0%、Zr;1.0%を超えて含有させても、その効果は飽和するし、逆に粗大析出物が発生し、冷間鍛造性割れが発生する。そのため、各元素の上限を規定する。好ましい範囲は、Nb;0.1〜0.6%、Ti;0.05〜0.5%、V;0.1〜0.6%、Zr;0.1〜0.6%の内、1種以上を含有させる。
通常、不可避的不純物として、製造工程上、鋼は酸素を含有するが、本発明の場合、不可避的不純物として、0.01%以下の酸素とすることが好ましい。
本発明の請求項6記載の限定理由について述べる。
線材を伸線加工して、引き抜き鋼線とするが、鋼線の引張強さは、冷間鍛造性とボルト製品強度に大きく寄与し、鋼線の引張強さが700N/mm未満の場合、ボルト製品の強度が低くなり、高強度製品としての価値が低くなる。そのため、下限を700N/mmに限定する。一方、鋼線の引張強さが1000N/mmを超えると冷間鍛造性が著しく劣化する(工具寿命劣化、冷間鍛造割れ発生)。そのため、上限を1000N/mmにする。好ましい範囲は、750〜900N/mmである。
本発明の請求項7記載の限定理由について述べる。
本発明の高強度ボルトの引張強さは、伸線加工と冷間鍛造後の時効熱処理に高強度化する。この時、ボルト製品の引張強さが700N/mm未満では高強度ボルト製品としての価値が低い。一方、ボルト製品の引張強さが1200N/mm以上にすると冷間鍛造割れや工具損傷等、冷間鍛造コストが著しく劣化する。そのため、ボルト製品の引張強さの上限を1200N/mmにする。経済的効果を発揮する好ましい範囲は、800〜1000N/mmである。
本発明の請求項8記載の限定理由について述べる。
本発明の鋼線を冷間鍛造によりボルトに成形後、ボルト製品の引張強さを効果的に向上させるために、300℃以上、1分保定以上の時効熱処理を施すと効果的である。一方、600℃を超えると過時効となるため、ボルト製品の引張強さが低下する。そのため、上限を600℃とする。好ましい温度範囲は400〜550℃である。また、保定時間が100分を超えると時効硬化の効果が飽和するばかりか、場合によっては過時効によりボルト製品の引張強さが低下する。そのため、保定時間の上限を100分にする。好ましい保定時間の範囲は、5〜60分である。
以下に本発明の実施例について説明する。
表1−1及び1−2に実施例の鋼の化学組成を示す。
Figure 2009091636
Figure 2009091636
これらの化学組成の鋼は、300kgの真空溶解炉にて溶解し、φ180mmの鋳片に鋳造し、その鋳片をφ5.5〜6.5mmまで熱間の線材圧延を行い、1050℃で熱間圧延を終了して、引き続きインライン熱処理にて1050℃で5分保定、水冷の溶体化処理を施し、その後、酸洗を行い線材製品とした。その後、蓚酸皮膜処理を施し、φ5.2mmまで冷間で軽伸線加工を施し、冷間鍛造用の鋼線に仕上げた。
その後、冷間鍛造および転造加工により六角ボルトに約5000本加工を施した。そして、一部で300〜650℃、3〜200分保定の時効処理を施した。その後、全てのボルトで、バレル研磨・洗浄により六角ボルト製品に仕上げた。
評価は、鋼線の引張強さ、鋼線のフェライト相の体積分率、冷間鍛造性(割れ有無、工具の欠損有無)、ボルト製品の引張強さ、耐食性を評価した。その評価結果を表2−1及び2−2に示す。
Figure 2009091636
Figure 2009091636
機械的性質は、JIS Z 2241の引張試験での引張強さと破断絞りにて評価した。本発明例の鋼線では、全て650〜1000N/mmの範囲であり、本発明例のボルト製品では、全て700〜1200N/mmの範囲にあり、高強度に優れていた。
鋼線のフェライト相の体積分率は、鋼線の縦断面を鏡面研磨し、村上試薬にてフェライト相を着色し、画像解析により面積率を算出して体積分率を求めた。本発明例の鋼線はフェライト分率は、45〜85vol.%の範囲にあった。
冷間鍛造性は、3段ヘッダーにより六角頭に5000本圧造加工を施し、圧造割れの有無と工具損傷について評価した。工具損傷が発生しない場合を工具寿命○、工具損傷が発生する場合を工具寿命×として評価した。本発明例の線材は、冷間割れ発生無し、工具寿命○で冷間鍛造性に優れていた。
ボルト製品の耐食性は、JIS Z 2371の塩水噴霧試験に従い、各ボルト製品10本づつに対し、100時間の噴霧試験を実施して発銹するか否かで評価した。無発銹および僅かな点錆レベルであれば耐食性を○、流れ錆、全面発銹の場合は耐食性を×として評価した。本発明例のボルト製品の耐銹性は全て○であった。
一方、比較例No.34〜57は、本発明の範囲外にあり、冷間鍛造性、ボルト製品の強度、耐食性等、劣っており、本発明の優位性は明らかである。
以上の各実施例から明らかなように、本発明の高価なNiをあまり含有しない高耐食性の2相ステンレス鋼線材は、優れた冷間鍛造性を有すると共にボルト製品の高強度化が可能であり、高強度・高耐食ボルトを安価に提供することができ、更に、ナットにも適用が可能であり、産業上極めて有用である。
F値と線材製品のフェライト相の体積分率との関係を示す図である。 F値に応じた鋼線(15%伸線材)の加工率(%)と圧縮変形応力(N/mm)との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C;0.005〜0.05%、
    Si;0.1〜1.0%、
    Mn;0.1〜10.0%、
    Ni;1.0〜6.0%、
    Cr;19.0〜30.0%、
    Cu;0.05〜3.0%、
    N;0.005〜0.20%
    を含有し、残部がFeおよび実質的に不可避的不純物で構成され、C+N;0.20%以下、(a)式のM値が60以下、(b)式のF値が45〜85であり、引張強さが550〜750N/mmであることを特徴とする冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材。
    M=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn
    −29(Ni+Cu)−13.7Cr―18.5Mo ・ ・ ・(a)
    F=5.6Cr−7.1Ni+2.4Mo+15Si−3.1Mn−300C
    −134N−26.6 ・ ・ ・(b)
  2. 質量%で、
    Mo;1.0%以下
    を含有することを特徴とする請求項1記載の冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材。
  3. 質量%で、
    B;0.01%以下
    を含有することを特徴とする請求項1または2記載の冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材。
  4. 質量%で、
    Al;0.1%以下、
    Mg;0.01%以下、
    Ca;0.01%以下
    の内、1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材。
  5. 質量%で、
    Nb;1.0%以下、
    Ti;0.5%以下、
    V;1.0%以下、
    Zr;1.0%以下
    の内、1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化学組成を有し、引張強さが700〜1000N/mmであることを特徴とする冷間鍛造性に優れた高強度・高耐食ボルト用オーステナイト・フェライト系2相鋼線。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の化学組成を有し、引張強さが700〜1200N/mmであることを特徴とする高強度・高耐食ボルト。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の化学組成を有し、引張強さが700〜1000N/mmであるオーステナイト・フェライト系2相鋼線を冷間ボルト成型後に300〜600℃で1〜100分の時効熱処理を施すことを特徴とする高強度・高耐食ボルトの製造方法。
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