以下、シートバックとして構成されたシート部材を有する自動車の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
図1乃至図3は、車室内の様子を明らかにした自動車の概略断面図である。これらの図並びに図4、図13及び図15における符号Frは、自動車の前進方向を示し、この前進方向Frに直交する、図1乃至図3の紙面に対して垂直な方向が車幅方向である。図4、図13乃至図15及び図17には、この車幅方向を符号Wで示してある。本明細書における「前」又は「後」なる文言は、自動車の前進方向Frを基準とした前後を意味する。
図1に示した自動車の車体1、すなわちそのメインボデーは、それ自体周知のように、車体1の上部を構成するルーフパネル2と、車室Rの床面を構成するフロアパネル3と、車室Rの車幅方向各側部を構成するサイドパネル4などの各種のパネルから構成されており、図1乃至図3には一方のサイドパネル4だけが示されている。ルーフパネル2は、互いに一体に固着されたインナパネル2Aとアウタパネル2Bより成る。かかる車体1の後部開口にはバックドア5が配置され、このバックドア5は矢印A,B方向に回動開閉可能に車体1に支持されている。さらに、車体1の各サイドパネル4に形成されたドア開口7には、車体1に回動開閉可能に支持されたサイドドア9が配置され、その後方の窓開口8には窓ガラス10が配置されている。また、サイドパネル4の車室内側の面は、図1乃至図3には示していない内装材(図13乃至図15参照)によって覆われ、ルーフパネル2のインナパネル2Aの車室内側の面も図示していない天井材によって覆われている。
車室R内には、フロントシートより成る座席20と、このフロントシートよりも後方に配置されたリヤシートより成る座席11が配置され、この座席11は、図1に示すように、他の座席20と同じく、着座者の背部を支えるシートバック12と、着座者の尻部を支えるシートクッション13とを有している。図1には座席11に着座した着座者Pを二点鎖線で簡略化して示してある。
本例の自動車においては、シートバック12が、着座者を支えることのできる使用位置と、車室上部の非使用位置との間を移動可能に車室内に配置されたシート部材を構成しており、図3は、シートバック12が車室上部の非使用位置に格納されたときの状態を示している。また図1は、シートクッション13とシートバック12が共にその使用位置を占めた状態を示しており、このときシートクッション13はほぼ水平な姿勢を保ち、シートバック12はシートクッション13に対してほぼ垂直に立ち上がった姿勢を占めている。
シートバック12が使用位置を占めたときに下部となるシートバック部分の車幅方向各側部には、そのシートバックフレーム(図示せず)に固定されたヒンジピン15がそれぞれ設けられている。またシートクッション13の車幅方向各側部には、そのクッションフレーム(図示せず)に固着されたブラケット14がそれぞれ設けられ、その各ブラケット14に形成された各孔が各ヒンジピン15にそれぞれ相対回転可能に嵌合している。
一方、図4にも示すように、シートバック12の車幅方向各側部の上部には、シートアーム17の一端部がそれぞれ連結され、その各シートアーム17の他端部は、その各シートアームに固着された枢ピン18を介して車体1の各サイドパネル4にそれぞれ回動可能に連結されている(図17も参照)。図示した例では、各シートアーム17はシートバック12に一体に固定されている。このように、シートバック12より成るシート部材にはシートアーム17が連結され、該シートアーム17は車体1に回動可能に支持されているのである。
シートクッション13とシートバック12が図1に示した使用位置にあるとき、これらは、後述する第1及び第2のロック部材23,24と、これらが係合した第1及び第2のストライカ31,38によって、後述するように車体1に対してロックされており、これによってシートクッション13は着座者Pの尻部を支え、シートバック12は着座者Pの背部を支えることができる。
シートクッション13に対するロックを解除すると、シートクッション13は、ヒンジピン15のまわりに設けられた第1の付勢手段の一例である図示していないスパイラルスプリングの付勢作用によって、シートバック12に設けられたヒンジピン15のまわりに、図1に矢印Cで示した方向に回動し、図2に示したように、使用位置にあるシートバック12に重なった位置を占める。このときのシートクッション12の位置が、その非使用位置である。
さらに、シートバック12に対するロックを解除すると、シートバック12と車体1との間に設けられた第2の付勢手段の一例である図示していないガスダンパステーの作用によって、シートバック12は、シートクッション13及びシートアーム17と共に、枢ピン18のまわりに、図2に矢印Eで示した前方に向けて回動し、図3に示すように車室Rの上部に持ち上がった位置を占める。このときのシートバック12の位置が、その非使用位置である。このとき、シートクッション13はシートバック12の上に重なって位置し、そのシートバック12が、図1に示した第3のロック部材61と、これが係合した第3のストライカ62によって、車体1に対してロックされ、シートバック12がシートクッション13と共にその非使用位置に保持される。第3のロック部材61と第3のストライカ62については後に詳しく説明する。
上述のように、座席11を車室Rの上部に格納するので、その座席11の下方に大きな空間を確保でき、この空間に荷物(図示せず)を効率よく収納することができる。上述したところと逆の操作によって、座席11を図1に示した使用位置にもたらして、その座席11を使用することができる。すなわち、上述の第3のロック部材61によるロックを解除した上で、シートバック12を枢ピン18のまわりに図3に矢印Fで示した方向に回動させて図2に示した位置にもたらし、次いでシートクッション13をヒンジピン15のまわりに図2に矢印Dで示した方向に回動させて、図1に示した位置にもたらす。このようにして、シートバック12とシートクッション13は再び使用位置を占め、このときそのシートクッション13とシートバック12は、それぞれ第1及び第2のロック部材23,24と、これらが係合した第1及び第2のストライカ31,38によって車体1に対してロックされる。
上述のように、本例の自動車は、車室R内に配置された座席11を具備し、その座席11は、着座者Pの背部を支えるシートバック12と、該着座者Pの尻部を支えるシートクッション13とを有し、該シートクッション13は、着座者Pが着座できる使用位置と、シートバック12に重なった状態の非使用位置との間を回動可能にシートバック12に連結され、該シートバック12は、着座者Pの背部を支えることのできる使用位置と、該シートバック12にシートクッション13が重なった状態で、該シートクッション13と共に、車室Rの上部に持ち上がった状態の非使用位置との間を回動可能に車体に支持されていて、該シートバック12が非使用位置にあるとき、シートクッション13はシートバック12の上に重なった状態で位置し、そのシートクッション13とシートバック12は、ほぼ水平姿勢を保つように構成されている。このように、シート部材の一例であるシートバック12は、シートアーム17と共に、着座者Pの背部を支えることのできる使用位置と、車室上部の非使用位置との間を回動するように、シートアーム17と枢ピン18を介して車体1に支持されているのである。
さらに、本例の自動車においては、図2に示したようにシートバック12とシートクッション13を折り畳んで、これらを図3に示した車室Rの上部に持ち上げ、逆にそのシートバック12とシートクッション13を再び図2に示した位置に降ろすときの操作性を高める目的で、そのシートバック12に把手アーム16が設けられている。図1に示したように、着座者Pが座席11に着座したとき、その着座者Pの背部を支えるシートバック12の面をシートバック支え面12Aと称し、これとは反対側の面をシートバック背面12Bと称することにすると、把手アーム16は、このシートバック背面12Bの側に設けられている。しかも、シートバック12が図1に示した使用位置にあるときに下部となる把手アーム16の基端部が、ピン19を介して、シートバック12のシートバックフレームに回動可能に連結されている。また、図4に示したように、把手アーム16の自由端21の側には、孔22が形成され、この孔22によって把手アーム16用の把手部が構成されている。
座席11に着座者Pが着座して、その座席11を使用しているとき、把手アーム16は、通常、図1に破線で示したようにシートバック背面12Bに沿って位置する格納位置に収められている。このとき、把手アーム16は、図示していないロック装置によって、その格納位置に保持されている。このロック装置としては、シートバック背面12Bに回動可能に支持されたロック爪を用いることができ、そのロック爪によって、格納位置にある把手アーム16を押えて、これをロックし、当該ロック爪を回動することによって、そのロック爪を把手アーム16から離して該把手アーム16に対するロックを解除することができる。
シートバック12とシートクッション13を前述のように車室上部に持ち上げるときは、先ず図1に示したバックドア5を矢印A方向に回動させて、これを図2に示した開位置にもたらす。次いで、図2に二点鎖線で簡略化して示した操作者が、バックドア5を開くことにより開放された車体後部の開口から手を入れ、上述のロック爪を回動し、把手アーム16のロックを解除した上で、把手アーム16の孔22(図4)により構成された把手部に指を掛けて、該把手アーム16を、図1に矢印Gで示したように、その自由端21が後方に移動する向きに回動させ、その把手アーム16を図2に示した使用位置に回動させる。このとき、その把手アーム16は、シートバック12に設けられた図示していないストッパに当って、使用位置に保持される。把手アーム16が格納位置と使用位置の間の中間位置まで回動したときの様子を図1に二点鎖線で示してある。また、図4は、把手アーム16がこの中間位置まで回動したときの様子を示している。
把手アーム16を使用位置にもたらして、第1及び第2のロック部材23,24によるシートクッション13とシートバック12に対するロックを後述するように解除すると共に、シートクッション13を図2に示した非使用位置に回動させた後、操作者は、その把手アーム16の把手部を掴んだまま、これを車体1の前方側に軽く押せば、前述のガスダンパステーの作用により、シートバック12は、シートクッション13と共に、矢印E方向に回動し、図3に示した非使用位置に持ち上げられる。引き続き、操作者は、把手アーム16を矢印H方向に回動させて、これを格納位置に収め、前述のロック爪を回動して把手アーム16を格納位置にロックする。逆の操作によって、シートバック12をシートクッション13と共に楽にその使用位置に回動させることができる。
上述のように、把手アーム16は、シート部材の一例であるシートバック12に沿って位置する格納位置と、該把手アーム16の自由端21がシート部材から離間して位置する使用位置との間を回動可能にシート部材に支持されている。より具体的に示すと、把手アーム16は、シートバック背面12Bに沿って位置する格納位置と、その把手アーム16の自由端21がシートバック背面12Bから離間して位置する使用位置との間を回動できるように、シートバック12が使用位置にあるときに下部となる把手アーム16の基端部が、シートバック12に回動可能に連結されている。
上述した構成により、操作者は、使用位置にある把手アーム16に手を掛けて楽にシートクッションとシートバックを車室上部に回動させ、或いはそのシートクッションとシートバックを楽に下方に回動させることができる。また、把手アーム16はシートバック背面12Bの側に設けられているので、図4に示すように把手アーム16を大型に構成しても、着座者の邪魔となることはない。このように把手アーム16のサイズを大きくすることにより、図2及び図3に示したように、操作者は楽な姿勢を保ったまま、その把手アーム16に手を掛けて、シートバック12とシートクッション13を回動させることができる。
ところで、図1及び図4に示すように、シートクッション13とシートバック12の車幅方向側部には、前述の第1及び第2のロック部材23,24が設けられている。図5は第1のロック部材23とこれに関連する構成を示す拡大図であり、図6は第2のロック部材24と、これに関連する構成を示す拡大図である。
図1、図4及び図5の(a)に示すように、第1のロック部材23は、ピン25を介してシートクッション13の図示していないクッションフレームに回動可能に支持されている。かかる第1のロック部材23に隣接して第1のポール26がピン27を介してシートクッション13のクッションフレームに回動可能に支持され、第1のロック部材23と第1のポール26には、引張ばねより成る第1のばね手段28の各端部がそれぞれ係止されている。
シートクッション13が図1に示した使用位置にあるとき、第1のポール26の爪部は、図5の(a)に示すように、第1のロック部材23に形成された切欠より成る係合部29に、第1のばね手段28の作用により係合し、これによって第1のロック部材23の回動が禁止されている。このとき、第1のロック部材23に形成された係合凹部30に、車体1のサイドパネル4に固着された第1のストライカ31が係合している。これにより、シートクッション13が車体1に対してロックされる。このときの第1のロック部材23の位置が、その第1のロック部材23のロック位置であり、このときの第1のポール26の位置が、該第1のポール26の係合位置である。第1のストライカ31は、図7に示すように、その基端部81Aが車体1のサイドパネル4に固着されたほぼU字形に形成され、かかる第1のストライカ31に第1のロック部材23の係合凹部30が係合するのである。
一方、図1、図4及び図6の(a)に示すように、第2のロック部材24も、ピン32を介してシートバック12の図示していないシートバックフレームに回動可能に支持されている。かかる第2のロック部材24に隣接して第2のポール33がピン34を介してシートバック12のシートバックフレームに回動可能に支持され、第2のロック部材24と第2のポール33には、引張ばねより成る第2のばね手段35の各端部がそれぞれ係止されている。
シートバック12が図1に示した使用位置にあるとき、第2のポール33の爪部は、図6の(a)に示すように、第2のロック部材24に形成された切欠より成る係合部36に第2のばね手段35の作用により係合し、これにより第2のロック部材24の回転が禁止されている。このとき、第2のロック部材24に形成された係合凹部37に、車体1に後述するように支持された第2のストライカ38が係合している。これによりシートバック12が車体1に対してロックされる。このときの第2のロック部材24の位置が、そのロック位置であり、このときの第2のポール33の位置が、該第2のポール33の係合位置である。第2のストライカ38も、図13乃至図15に示すように、ほぼU字形に形成され、かかるストライカ38に第2のロック部材24が係合する。このストライカ38と、これに関連する構成については、後に詳しく説明する。
上述のように、本例の自動車には、シートクッション13が使用位置にあるときに、車体1に固定された第1のストライカ31に係合して、該シートクッション13を車体1に対してロックする第1のロック部材23と、シートバック12が使用位置にあるときに、車体1に支持された第2のストライカ38に係合して、該シートバック12を車体1に対してロックする第2のロック部材24とが設けられている。
ここで、図5の(a)に矢印Iで示したように、第1のポール26がピン27のまわりに時計方向に回動すると、第1のポール26の爪部が第1のロック部材23の係合部29から外れる。このため、第1のロック部材23は、第1のばね手段28の引張作用によって、図5の(a)に矢印Kで示した方向にピン25のまわりに回動し、図5の(b)に示した位置を占める。これにより、第1のロック部材23の係合凹部30が第1のストライカ31から外れ、第1のロック部材23によるシートクッション13のロックが解除される。このときの第1のロック部材23の位置が、該第1のロック部材23のロック解除位置であり、このときの第1のポール26の位置が、その第1のポール26の係合解除位置である。
同様に、図6の(a)に矢印Jで示すように、第2のポール33がピン34のまわりに時計方向に回動すると、第2のポール33の爪部が第2のロック部材24の係合部36から外れる。このため、第2のロック部材24は、第2のばね手段35の引張作用によって、図6の(a)に矢印Lで示した方向にピン32のまわりに回動し、図6の(b)に示した位置を占める。これにより、第2のロック部材24の係合凹部37が第2のストライカ38から外れ、第2のロック部材23によるシートバック13のロックが解除される。このときの第2のロック部材24の位置が、該第2のロック部材24のロック解除位置であり、このときの第2のポール33の位置が、その第2のポールの係合解除位置である。
上述のように、第1のロック部材23は、その係合凹部30が第1のストライカ31に係合してシートクッション13を車体1に対してロックするロック位置と、該係合凹部30が第1のストライカか31ら外れて、車体1に対するシートクッション13のロックを解除するロック解除位置との間を回動可能にシートクッション13に支持され、第2のロック部材24は、その係合凹部37が第2のストライカ38に係合してシートバック12を車体1に対してロックするロック位置と、該係合凹部37が第2のストライカ38から外れて車体1に対するシートバック12のロックを解除するロック解除位置との間を回動可能にシートバック12に支持されている。
ここで、シートクッション13とシートバック12が図1に示した使用位置にロックされた状態で、操作者が、前述のように、把手アーム16をその格納位置から使用位置へ向けて回動させるとき、その把手アーム16が図1に二点鎖線で示した中間位置に至ったとき、図5の(b)に示したように、第1のポール26がその係合解除位置に回動して、第1のロック部材23がロック解除位置に回動し、シートクッション13のロックが解除される。次いで、把手アーム16が図2に示した使用位置に回動したとき、図6の(b)に示したように、第2のポール33がその係合解除位置に回動して、第2のロック部材24がロック解除位置に回動し、シートバック12のロックが解除される。このように、把手アーム16の回動に連動して第1及び第2のロック部材23,24のロックを解除させるロック解除手段が座席11に設けられている。このロック解除手段の具体的構成については、後に詳しく説明する。把手アーム16が、図1に二点鎖線で示した中間位置と、図2に示した使用位置との間の位置に至ったときに、第2のロック部材24がロック解除位置に回動して、シートバックのロックが解除されるように構成することもできる。
上述のロック解除手段を設けることによって、第1のロック部材23によるロックの解除と、第2のロック部材24によるロックの解除に時間差を持たせ、先ずシートクッション13に対するロックを解除し、次いでシートバック12に対するロックを解除することができる。このため、把手アーム16を使用位置へ向けて回動させるとき、先ず、シートクッション13を前述のスパイラルスプリングの作用により図2に示したシートバック12に重なった非使用位置に回動させ、次いで、シートバック12を前述のガスダンパステーの作用により図2に矢印Eで示した方向に回動させて、図3に示した非使用位置にもたらすことができる。シートクッション13とシートバック12を正しく折り畳みながら、シートバック12を車室上部の非使用位置に回動させることができるのである。
上述のように、本例の自動車においては、シートバック12が、第2のロック部材24によって、その使用位置にロックされ、かつシートクッション13が、第1のロック部材23によって、その使用位置にロックされた状態で、把手アーム16が格納位置から使用位置に向けて回動したとき、その回動に伴って、先ず第1のロック部材23によるロックが解除され、次いで第2のロック部材24によるロックが解除されるように、把手アーム16の回動と連動して、第1及び第2のロック部材23,24のロックを解除させるロック解除手段が座席11に設けられているのである。
次に、上述のロック解除手段の具体的構成を明らかにする。このロック解除手段は、前述の第1及び第2のポール26,33と第1及び第2のばね手段28,35を含んでいる。すなわち、ロック解除手段は、第1のロック部材23の係合部29に係合して該第1のロック部材23をそのロック位置に保持する係合位置と該第1のロック部材23の係合部29から外れて該第1のロック部材23がロック解除位置に回動することを許容する係合解除位置との間を回動可能にシートクッション13に支持された第1のポール26と、第2のロック部材24の係合部36に係合して該第2のロック部材24をそのロック位置に保持する係合位置と該第2のロック部材24の係合部36から外れて該第2のロック部材24がロック解除位置に回動することを許容する係合解除位置との間を回動可能にシートバック12に支持された第2のポール33と、第1のロック部材23をそのロック解除位置へ向けて回動付勢すると共に、該第1のロック部材23と第1のポール26が互いに係合する向きに該第1のロック部材23と第1のポール26を回動付勢する第1のばね手段28と、第2のロック部材24をそのロック解除位置へ向けて回動付勢すると共に、該第2のロック部材24と第2のポール33が互いに係合する向きに該第2のロック部材24と第2のポール33を回動付勢する第2のばね手段35とを有しているのである。
さらに、このロック解除手段は、図4に簡略化して示したタイムラグ発生装置39を有し、この装置39はシートバック12の内部に配置されている。図8は、タイムラグ発生装置39を簡略化して示す説明図である。図8に示すように、タイムラグ発生装置39は、シートバック12のシートバックフレームに固定されたガイドフレーム40と、そのガイドフレーム40に案内されながら、図8の(a)に示したホームポジションと、図8の(b)に示した作動位置との間を、矢印M,N方向に摺動可能なスライダ41を有している。このスライダ40と、前述の把手アーム16には、第1の連結手段の一例である第1のワイヤ42の各端部が固定係止され、第1のワイヤ42は、図4に示すようにシートバック12の内部を延びている。
図1及び図8の(a)にそれぞれ破線と実線で示したように、把手アーム16が格納位置にあるとき、スライダ41は、図8の(a)に示したホームポジションを占め、把手アーム16が図2及び図8の(b)に示した使用位置に回動すると、スライダ41は、第1のワイヤ42に引かれて、その作動位置に移動する。再び、把手アーム16が格納位置に回動すると、スライダ41は第1のワイヤ42に押されて、図8の(a)に示したホームポジションに戻る。
上述のように、本例のロック解除手段は、ホームポジションと作動位置との間を移動可能にガイドフレーム40を介してシートバック12に支持されたスライダ41と、把手アーム16が格納位置にあるときにはスライダ41がそのホームポジションを占め、把手アーム16が使用位置に回動したときは、該スライダ41がその作動位置を占めるように、該スライダと把手アームとを連結する第1の連結手段とを有しており、その第1の連結手段は、その各端部が把手アーム16とスライダ41にそれぞれ固定された第1のワイヤ42により構成されている。
一方、図8に示すように、スライダ41に形成された貫通孔43には、第2の連結手段の一例である第2のワイヤ44が摺動可能に挿入されている。この第2のワイヤ44は、図4に示すように、シートバック12とシートクッション13の内部を延びると共に、その途中でシートクッション13の外部に出て、その側部に沿って延び、その一端部が、図4及び図5に示したように第1のポール26に固定係止されている。また、この第2のワイヤ44の他端側は、上述のように、図8に示したスライダ41に形成された貫通孔43に摺動可能に挿入され、かつその他端部に、貫通孔43の径よりも大径な小ブロック45が固定されている。図8の(a)に示した例では、把手アーム16が格納位置にあり、従ってスライダ41がそのホームポジションを占めているとき、小ブロック45はスライダ41に当接しているか、又は該スライダ41に近接している。
ここで、図1に示したように、シートバック12が、第2のロック部材24によって、その使用位置にロックされ、しかもシートクッション13が、第1のロック部材23によって、その使用位置にロックされた状態で、前述のように操作者が、把手アーム16をその格納位置から回動させ始めると、スライダ41は、第1のワイヤ42によって引かれて、図8の(a)に矢印Mで示した方向に摺動し始める。このとき、スライダ41は、第2のワイヤ44の他端部に固定された小ブロック45に当って、その第2のワイヤ44を図8と図5の(a)に矢印Oで示した方向に引く。これにより、図5の(a)に示した第1のポール26が矢印Iで示した方向に回動し始める。
把手アーム16が図1及び図8の(a)に二点鎖線で示したように、格納位置と使用位置の間の中間位置まで回動し、スライダ41がそのホームポジションと作動位置の間の位置に至ると、図5の(b)に示したように、第1のポール26が第1のロック部材23の係合部29から外れ、係合解除位置に回動する。これにより、第1のロック部材23がそのロック解除位置に回動し、シートクッション13に対するロックが解除される。よって、シートクッション13は、前述のスパイラルスプリングの作用によって図1に示した使用位置から、図2に示した非使用位置に回動する。このとき、第2のロック部材24によるシートバック12に対するロックは未だ解除されておらず、シートバック12は図2に示した使用位置にロックされて停止している。シートバック12に対するロックの解除動作については後述する。
上述のように、本例のロック解除手段は、シートバック12が、第2のロック部材24によって、その使用位置にロックされ、かつシートクッション13が、第1のロック部材23によって、その使用位置にロックされた状態で、把手アーム16がその格納位置から回動し始めて該格納位置と使用位置との間の位置に至り、これに伴ってスライダ41がそのホームポジションと作動位置の間の位置に移動したとき、第1のポール26が第1のロック部材23の係合部29から外れて係合解除位置に回動し、第1のばね手段28の作用により第1のロック部材23がロック解除位置に回動することを許容するように、スライダ41と第1のポール26を連結する第2の連結手段を有している。しかも、この第2の連結手段は、一端部が第1のポール26に固定され、他端側がスライダ41に対して相対摺動可能に該スライダ41を貫通し、かつその他端部に小ブロック45が固定された第2のワイヤ44により構成されている。
また、本例のロック解除手段は、図4に簡略化して示すように、シートバック12の内部に設けられた複数の回動アーム(図4には示さず)を含む回動アーム装置46を有している。図9及び図10はこの回動アーム装置46を具体的に示す説明図である。図9及び図10に示すように、回動アーム装置46は、それぞれシートバック12のシートバックフレームに対してピン50,51を介して回動可能に支持された第1の回動アーム47と第2の回動アーム48を有している。第1の回動アーム47とシートバックフレームの側には、引張ばねより成る第3のばね手段49の各端部がそれぞれ係止されている。これによって、第1の回動アーム47は、図9及び図10における時計方向に回動付勢されるが、通常、図示していないストッパに当って、図9の(a)に示した初期位置に停止している。同じく、第2の回動アーム48とシートバックフレームの側には、引張ばねより成る第4のばね手段52の各端部が係止されている。その際、第2の回動アーム48が図9の(a)に示した初期位置にあるとき、第4のばね手段52はフリー状態にあり、第2の回動アーム48が第4のばね手段52により付勢されることはない。このようにして、第2の回動アーム48はその初期位置に保持される。
さらに、第1の回動アーム47には、図9の(a)に示すように、第3の連結手段の一例である第3のワイヤ53の一端部が固定係止され、その第3のワイヤ53は、図4に示すようにシートバック12の内部を延び、該第3のワイヤ53の他端側は、図8の(a)に示すように、スライダ41に形成された貫通孔54に摺動可能に嵌合し、その他端部に貫通孔54の径よりも大径な小ブロック55が固定されている。その際、図1に示したように、シートバック12が、第2のロック部材24によって、その使用位置にロックされ、かつシートクッション13が、第1のロック部材23によって、その使用位置にロックされていると共に、把手アーム16が格納位置を占めているとき、図8の(a)に示すように、第2のワイヤ44の他端部に固定された小ブロック45は、第3のワイヤ53の他端部に固定された小ブロック55よりも、ホームポジションを占めたスライダ41に近い位置を占めている。一方の小ブロック45と他方の小ブロック55の間に距離LMがあけられているのである。
また、図6に示すように、第2のポール33には、第4の連結手段の一例である第4のワイヤ56の一端部が固定係止され、この第4のワイヤ56の他端側は、図9の(a)に示すように、第2の回動アーム48に形成された貫通孔57に摺動可能に嵌合し、その他端部に貫通孔57の径よりも大径な小ブロック58が固定されている。第2のポール33が図6の(a)に示した係合位置にあり、かつ第2の回動アーム48が図9の(a)に示した初期位置にあるとき、小ブロック58はその第2の回動アーム48に当接するか、又は近接して位置している。
図1に示したように、シートバック12とシートクッション13がそれぞれ使用位置にあり、把手アーム16が格納位置を占めた状態で、操作者が把手アーム16をその格納位置から使用位置に向けて回動させ、これに伴ってスライダ41が、図8の(a)に示したホームポジションから図8の(b)に示した作動位置に向けて移動するとき、前述のように、スライダ41は、第2のワイヤ44の他端部に固定された小ブロック45に当って、先ずその第2のワイヤ44を矢印O方向に引き、これによって第1のポール26は第1のロック部材23の係合部29から外れ、第1のロック部材23が図5の(b)に示したロック解除位置に回動する。
上述のように、把手アーム16を、図1及び図8の(a)に二点鎖線で示した格納位置と使用位置の間の中間位置まで回動させたとき、第1のロック部材23によるシートクッション13に対するロックが解除されるのであるが、このようにスライダ41が第2のワイヤ44を引き始めた後に、そのスライダ41は、第3のワイヤ53の他端部に固定された小ブロック55に当って、第3のワイヤ53を図8の(a)と図9の(a)に矢印Pで示した方向に引く。これにより、それまで図9の(a)に示した初期位置を占めていた第1の回動アーム47が、第3のワイヤ53に引かれて、ピン50のまわりに矢印Q方向に回動し始め、次いでこの第1の回動アーム47は、初期位置を占めていた第2の回動アーム48に当り、図9の(b)に示すように、その第2の回動アーム48を矢印R方向に回動させる。
このようにして第1の回動アーム47は、第2の回動アーム48を回動させた後、図9の(c)に示すように第2の回動アーム48を乗り越えて、第2の回動アーム48に対する押圧作用を解除する。把手アーム16が使用位置まで回動し、これに伴ってスライダ41が図8の(b)に示した作動位置に至ったとき、第1の回動アーム47は、図9の(c)に示した終端位置に至り、ここで停止する。第1の回動アーム47による第2の回動アーム48への押圧作用が解除されると、第2の回動アーム48は、第4のばね手段52の作用によって、図9の(b)に矢印Rで示した方向と逆方向に回動して、図9の(c)に示した初期位置に回動して停止する。
上述のように、第2の回動アーム48が第1の回動アーム47により押圧されて、その初期位置から回動するとき、該第2の回動アーム48は、第4のワイヤ56の他端部に固定された小ブロック58を加圧して、第4のワイヤ56を図6の(a)と図9の(b)に矢印Tで示した方向に引く。これにより、図6の(a)に示した第2のポール33がピン34のまわりに矢印J方向に回動してその爪部が第2のロック部材24の係合部36から外れる。これにより、前述のように、第2のロック部材24が図6の(b)に示したロック解除位置に回動し、シートバック12に対するロックが解除される。このようにして、そのシートバック12を図3に示した非使用位置に回動させることができる。
上述のように、スライダ41をそのホームポジションから作動位置へと移動させることにより、第3のワイヤ53を引き、これによって第1の回動アーム47と第2の回動アーム48を、その各初期位置から回動させ、第2の回動アーム48に当った第4のワイヤ56の小ブロック58を加圧して、第4のワイヤ56を引き、これに伴って第2のポール33を第2のロック部材24の係合部36から外してシートバック13に対するロックを解除するのである。その際、ホームポジションから作動位置に移動するスライダ41は、先ず第2のワイヤ44を引き、次いで第3のワイヤ53を引き、これらのワイヤ44,53を時間差をもって引き始めるので、先ずシートクッション13のロックが解除され、次いでシートバック12のロックが解除される。このため、前述のように、先ずシートクッション13が支障なく図2に示した非使用位置に回動し、次いでシートバック12が図3に示した非使用位置に回動することができる。
また、第1の回動アーム47が第2の回動アーム48を乗り越えた後、第2の回動アーム48は第4のばね手段52によって、図9の(c)に示した初期位置に回動するが、このとき第2の回動アーム48が第4のワイヤ56を加圧することはなく、第2のロック部材24は、図6の(b)に示したロック解除位置を占め、第2のポール33は、第2のロック部材24に当接した状態で係合解除位置に保持されている。このため、第2の回動アーム48がその初期位置へ回動しても、第4のワイヤ56は作動せず、図9の(c)に示すように、初期位置に戻った第2の回動アーム48と、第4のワイヤ56に固定された小ブロック58は互いに大きく離間している。
上述のように、本例のロック解除手段は、初期位置と終端位置との間を回動可能にシートバック12に支持された第1の回動アーム47と、スライダ41がそのホームポジションからその作動位置に向けて移動するとき、第1の回動アーム47がその初期位置から終端位置へ回動するように、スライダ41と第1の回動アーム47を連結する第3の連結手段と、第1の回動アーム47がその初期位置に回動する向きに該第1の回動アーム47を回動付勢する第3のばね手段49と、回動可能にシートバック12に支持された第2の回動アーム48と、該第2の回動アーム48がその初期位置に回動する向きに該第2の回動アーム48を回動付勢する第4のばね手段52と、シートバック12が、第2のロック部材24によって、その使用位置にロックされた状態で、把手アーム16がその格納位置から回動し始め、これに伴って初期位置から終端位置へと回動し始めた第1の回動アーム47が、初期位置を占めていた第2の回動アーム48を押圧して、該第2の回動アーム48を回動させるとき、第2のポール33が第2のロック部材24の係合部36から外れて係合解除位置に回動し、第2のばね手段35の作用により第2のロック部材24がロック解除位置に回動することを許容するが、該第2のロック部材24がロック解除位置を占めた状態で、第4のばね手段52の作用により第2の回動アーム8がその初期位置へと回動しても、第2のポール33がその係合解除位置に留まるように、該第2の回動アーム48と第2のポール33を連結する第4の連結手段とを具備している。
しかも、このロック解除手段においては、第1の回動アーム47がその初期位置から終端位置へ回動するとき、該第1の回動アーム47は、第2の回動アーム48を押圧して該第2の回動アーム48を回動させた後、該第2の回動アーム48を乗り越えて、当該第2の回動アーム48への押圧を解除し、これに伴って第2の回動アーム48は第4のばね手段52の作用によってその初期位置に回動するように、第1及び第2の回動アーム47,48の位置が設定されている。
その上、このロック解除手段においては、第2の連結手段と第3の連結手段とスライダ41は、シートバック12が、第2のロック部材24によって、その使用位置にロックされ、かつシートクッション13が、第1のロック部材23によって、その使用位置にロックされた状態で、把手アーム16が、その格納位置からその使用位置へ向けて回動し始め、スライダ41がそのホームポジションから作動位置へと移動するとき、先ず第1のポール26が第1のロック部材23の係合部29から外れ、次いで第2のポール33が第2のロック部材24の係合部36から外れるように、第1のポールの回動開始タイミングと第1の回動アーム48の回動開始タイミングを規制するように構成されている。
さらに、第3の連結手段は、一端部が第1の回動アーム47に固定され、他端側がスライダ41に対して相対摺動可能に該スライダ41を貫通し、かつその他端部に小ブロック55が固定された第3のワイヤ53より成り、第4の連結手段は、一端部が第2のポール33に固定され、他端側が第2の回動アーム48に対して相対摺動可能に該第2の回動アーム48を貫通し、かつその他端部に小ブロック58が固定された第4のワイヤ56により構成されている。
ところで、シートバック12をシートクッション13と共に図3に示した非使用位置に回動させた後、操作者は把手アーム16を矢印H方向に回動させて、これを格納位置に収めるのであるが、このように把手アーム16を格納位置に回動させるのに伴って、スライダ41は、第1のワイヤ42に押圧されて、図8の(b)に示した作動位置から図8の(c)に示したホームポジションに戻される。このため、スライダ41による第3のワイヤ53への拘束作用が解除されるので、第1の回動アーム47は、第3のばね手段49の作用により、図9の(c)に矢印Uで示した方向に回動して、図10の(a)に示した初期位置に戻り、第3のワイヤ53が図8の(c)に示した初期の位置に戻される。このときも、第1の回動アーム47は、図9の(c)に示すように初期位置に停止していた第2の回動アーム48を押圧して、これを矢印V方向に回動させ、次いでその第2の回動アーム48を乗り越えて図10の(a)に示した初期位置に回動する。しかも、第1の回動アーム47が第2の回動アーム48を乗り越えて、第1の回動アーム47による第2の回動アーム48への押圧作用が解除されると、第2の回動アーム48は、第4のばね手段52の作用により、矢印Vと反対の方向に回動して図10の(a)に示した初期位置に戻される。
上述のように第2の回動アーム48が回動するとき、該第2の回動アーム48は第4のワイヤ56に固定された小ブロック58に当ることはなく、しかも第2のロック部材24は図6の(b)に示したロック解除位置を占め、第2のポール33は第2のロック部材24に当接した状態で係合解除位置に保持されているので、第2の回動アーム48が上述の如く回動しても、その第2の回動アーム48は、第4のワイヤ56に対して摺動するだけで、第4のワイヤ56が作動することはない。
上述の如く、第1の回動アーム47がその終端位置から初期位置に回動するときも、該第1の回動アーム47は、第2の回動アーム48を押圧して該第2の回動アーム48を回動させた後、該第2の回動アーム48を乗り越えてその初期位置に戻るように、第1及び第2の回動アームの位置が設定されているのである。
一方、図3に示した使用位置を占めていた把手アーム16を矢印H方向に回動させて、これを格納位置に収めるのに伴って、スライダ41が図8の(b)に示した作動位置から、図8の(c)に示したホームポジションに戻るとき、第1のロック部材23は図5の(b)に示したロック解除位置を占め、第1のポール26は第1のロック部材23に当接して、係合解除位置に保持されているので、スライダ41がそのホームポジションに戻るとき、そのスライダ41は第2のワイヤ44に対して摺動するだけで、第2のワイヤ44が作動することはない。このように、第2のワイヤ44より成る第2の連結手段は、第1のロック部材23がロック解除位置を占めた状態で、把手アーム16がその使用位置から格納位置へと回動し、これに伴ってスライダ41がそのホームポジションに戻っても、第1のポール26はその係合解除位置に留まるように、該スライダ41と第1のポール26を連結するのである。
ところで、シートバック12とシートクッション13を図3に示した車室上部の位置から下方に降ろすには、先ず、前述の図示していないロック爪を回動して、格納位置に収められている把手アーム16に対するロックを解除した後、把手アーム16を、矢印Hと反対の方向に回動させて、その把手アーム16を使用位置にもたらす。これにより、スライダ41は、再び図8の(d)に示した作動位置に移動する。よって、それまで図8の(c)に示した位置にあった第3のワイヤ53が再び矢印P方向に引かれて図8の(d)に示した位置に移動する。このため、図10の(a)に示した初期位置にあった第1の回動アーム47は、再び矢印Q方向に回動して、第2の回動アーム48を矢印R方向に回動させた後、その第2の回動アーム48を乗り越えて、図10の(b)に示した終端位置に至り、ここで停止する。この場合も、第1の回動アーム47が第2の回動アーム48を乗り越えると、その第2の回動アーム48は第4のばね手段52の作用によって、図10の(b)に示した初期位置に戻る。このときも、第2の回動アーム48は、第4のワイヤ56に固定された小ブロック58を加圧することはなく、しかも第2のワイヤ44がスライダ41によって移動させられることはないので、第1及び第2のロック部材23,24は、共に図5及び図6の(b)に示したロック解除位置を占めたままである。
これに対し、把手アーム16をその格納位置から図3に示した使用位置に回動すると、シートバック12に設けられた第3のロック部材61(図1)が、後述するように車体に固定された第3のストライカ62から外れ、シートバック12に対するロックが解除される。
そこで、操作者は、使用位置を占めた把手アーム16を手で掴んで、シートクッション13と共にシートバック12を図3に矢印Fで示した方向に回動させ、そのシートバック12を図2に示した使用位置にもたらす。その際、シートバック12がその使用位置の直前の位置に至ったとき、図6の(b)に示した第2のロック部材24の当接部59が、図6の(a)に示した第2のストライカ38に当り、これによって、それまでロック解除位置を占めていた第2のロック部材24が、第2のばね手段35の作用に抗して、図6の(b)に矢印Wで示した方向に回動する。このため、シートバック12が使用位置に至ると、第2のロック部材24は図6の(a)に示したロック位置に回動し、その係合凹部37が第2のストライカ38に係合すると共に、第2のポール33が、第2のばね手段35の引張作用により、矢印Jと反対の方向に回動し、その爪部が第2のロック部材24の係合部36に係合する。第2のポール33がその係合位置に回動するのである。このようにして、シートバック12がその使用位置にロックされる。
上述のように、第2のロック部材24がそのロック解除位置からロック位置に回動し、これに伴って第2のポール33がその係合位置に回動するとき、第4のワイヤ56は、第2のポール33によって図6及び図10の(b)に矢印Xで示した方向に引かれるが、第2のポール33が係合解除位置を占めていたとき、第4のワイヤ56に固定された小ブロック58は、図10の(b)に示したように初期位置を占めた第2の回動アーム48から離間しているので、第4のワイヤ56が矢印X方向に引かれても、その第4のワイヤ56が第2の回動アーム48に対して摺動するだけで、第2の回動アーム48が回動することはない。第2のロック部材24がロック位置に回動し、第4のワイヤ56が矢印X方向に引かれることにより、これに固定された小ブロック58が図10の(c)に示すように第2の回動アーム48に当接するか、又は近接して位置するのである。このように、把手アーム16を使用位置にもたらしたまま、シートバック12を非使用位置から使用位置へと回動させるだけで、自動的にそのシートバック12を車体1に対してロックすることができる。
上述のように、シートバック12が非使用位置から使用位置に回動するとき、第2のロック部材24が第2のストライカ38に衝突して回動し、その係合凹部37が第2のストライカ38に係合し、かつ第2のばね手段35の作用により、第2のポール33が第2のロック部材24の係合部36に係合して、該シートバック12が車体1に対してロックされるのである。
次に、操作者は図2に示したように使用位置にある把手アーム16を車体の前方に向けて押圧して、矢印Gと反対の方向に回動させ、その把手アーム16を格納位置に収める。この動作に伴って、スライダ41は第1のワイヤ42に押圧されて図8の(d)に示した作動位置から図8の(c)に示したホームポジションに移動する。このとき、スライダ41は第2のワイヤ44に対して摺動するので、この第2のワイヤ44が作動することはなく、該ワイヤ44は、図8の(c)に示した位置に留まる。
これに対し、スライダ41が図8の(c)に示したホームポジションに戻るとき、図10の(c)に示した第1の回動アーム47は、第3のばね手段49の作用によって付勢され、矢印U方向に回動し、第2の回動アーム48を乗り越えて初期位置に戻る。これにより、第3のワイヤ53は、図8の(c)に示した初期位置に移動する。このときも、第2の回動アーム48は、第1の回動アーム47に押圧されて、矢印V方向に回動した後、第4のばね手段52の作用によって再びその初期位置に戻るが、このとき第2の回動アーム48が第4のワイヤ56に固定された小ブロック58を加圧することはなく、第4のワイヤ56は作動しない。
上述のように、把手アーム16を使用位置から格納位置に収めるとき、操作者はその把手アーム16を車体の前方に向けて押圧するのであるが、このときシートバック12は既に車体1に対してロックされているので、把手アーム16に加えた押圧力によって、シートバック12が図2に矢印Eで示した方向に回動することはない。このため、楽に把手アーム16をその格納位置に回動させることができる。
次いで、図2に示したシートクッション13を矢印D方向に回動させて、該シートクッション13を図1に示した使用位置にもたらすのであるが、シートクッション13がその使用位置の直前の位置に至ったとき、図5の(b)に示した第1のロック部材23の当接部60が、図5の(a)に示した第1のストライカ31に当り、これによって、それまでロック解除位置を占めていた第1のロック部材23が、第1のばね手段28の作用に抗して、矢印Y方向に回動する。このため、シートクッション13が使用位置に至ると、第1のロック部材23が図5の(a)に示したロック位置に回動して、その係合凹部30が第1のストライカ31に係合すると共に、第1のポール26が、第1のばね手段28の引張作用により、矢印Iと反対の方向に回動して、その爪部が第1のロック部材23の係合部29に係合する。第1のポール26がその係合位置に回動するのである。このようにして、シートクッション13がその使用位置にロックされる。
上述の如く、第1のポール26が係合位置に回動するとき、第2のワイヤ44は図5の(b)に矢印Zで示した方向に引かれるので、第1のロック部材23がロック位置に戻り、かつ第1のポール26が係合位置に回動したとき、第2のワイヤ44は、図8の(a)に示した初期位置に移動している。このようにして、上述した全ての部材が、図1、図5の(a)、図6の(a)及び図8の(a)に示した位置に戻される。
上述のように、シートクッション13がその非使用位置から使用位置に回動するとき、第1のロック部材23が第1のストライカ31に衝突して回動し、その係合凹部30が第1のストライカ31に係合し、かつ第1のばね手段28の作用により第1のポール26が第1のロック部材23の係合部29に係合して、該シートクッション13が車体1に対してロックされるのである。
以上、車幅方向の一方の座席端部の側に設けられた第1及び第2のロック部材23,24と、これに関連する構成を説明したが、本例の自動車は、車幅方向の他方の座席端部の側にも、第1及び第2のロック部材と、これに関連する上述した構成要素を有している。これらは、前述の第1及び第2のロック部材23,24とこれに関連する構成と変りはないので、その説明を省略する。
また、シートクッション13とシートバック12の側部に配置された第1及び第2のロック部材23,24、第1及び第2のポール26,33並びにワイヤの一部は、図示していないカバーによって覆われていて、これらの部材に直に手を触れないようになっている。
次に、先に簡単に説明した第3のロック部材61と、これに関連する構成の具体例を説明する。
図1に示したように、本例の第3のロック部材61は、シートバック12の内部に設けられている。図11は、非使用位置に持ち上げられたシートバック12とシートクッション13を仮想線で表わして、第3のロック部材61と、これに関連する構成を明らかにした図である。この第3のロック部材61は、シートバック12の基部の側に形成された空所SAに配置され、シートバック12に固定された基台63にピン64を介して矢印a,b方向に回動可能に支持されている。
一方、把手アーム16は、前述のピン19に固定され、そのピン19がシートバック12のシートバックフレームに回転可能に支持されている。図11においては、説明の便宜上、把手アーム16とピン19を離して示してある。このピン19に、第1のリンク65の基端部が固定され、その第1のリンク65の先端部には、連結ピン66を介して第2のリンク67の一端側が相対回動可能に連結されている。この第2のリンク67の他端側は、他の連結ピン68を介して第3のロック部材61に相対回動可能に連結されている。
把手アーム16が図11に実線で示したように格納位置に収められているとき、第1及び第2のリンク65,67と第3のロック部材61も図11に実線で示した位置を占め、このとき第3のロック部材61に形成された係合凹部69が、車体の上部を構成するルーフパネル2のインナパネル2Aに固定された第3のストライカ62に係合し、これによってシートバック12がシートクッション13と共に、その非使用位置にロックされる。第3のストライカ62の一部が、シートバック12の空所SAの開口OPを通して、その空所に入り込み、その第3のストライカ部分に第3のロック部材61が係合するのである。このときの第3のロック部材61の位置が、その第3のロック部材61のロック位置である。第3のストライカ62も、図7に示したように、第1のストライカ31と実質的に同一の形状を有し、その基端部81Aがルーフパネルのインナパネルに固着され、かかる第3のストライカ62に第3のロック部材61が係合する。
把手アーム16を、図11に破線で示したように、使用位置に回動すると、この把手アーム16の動きに伴ってピン19が回転するので、そのピン19に固定された第1のリンク65が矢印c方向に回動して破線で示した位置を占める。これに伴って、第2のリンク67も破線で示した位置へ移動し、第3のロック部材61が矢印a方向に回動する。これによって、第3のロック部材61の係合凹部69が、図11に破線で示すように第3のストライカ62から外れ、シートバック12に対するロックが解除される。このときの第3のロック部材61の位置が、該第3のロック部材61のロック解除位置である。このように、シートバック12に対するロックを解除することにより、操作者は、先に説明したように、使用位置を占めた把手アーム16を掴んで、シートバック12をシートクッション13と共に、図2に示した使用位置に回動させることができる。
再び、シートバック12をシートクッション13と共に図3及び図11に示した非使用位置にもたらし、把手アーム16を図11に実線で示した格納位置に収めると、第1及び第2のリンク65,67が実線で示した位置に移動し、これに伴って第3のロック部材62が矢印b方向に回動してロック位置に至り、その係合凹部69が第3のストライカ62に係合して、シートバック12が非使用位置にロックされる。
第1及び第2のリンク65,67と、連結ピン66,68は、把手アーム16の回動に連動して、第3のロック部材61を回動させる連動手段の一例を示している。
上述のように、本例の自動車は、車体1に固定されたストライカ62と、シートバック12より成るシート部材に設けられていて、そのシート部材が非使用位置にあるとき、第3のストライカ62に係合して、該シート部材を非使用位置にロックする第3のロック部材61を有している。しかも、この第3のロック部材61は、その係合凹部69が第3のストライカ62に係合してシート部材をその非使用位置にロックするロック位置と、該係合凹部69が第3のストライカ62から外れて、車体1に対するシート部材のロックを解除するロック解除位置との間を回動可能にシートバック12に支持され、把手アーム16がその使用位置にあるとき、第3のロック部材61はそのロック解除位置を占め、該把手アーム16がその格納位置に回動したとき、第3のロック部材61はそのロック位置を占めるように、把手アーム16の回動に連動して、第3のロック部材61を回動させる連動手段がシートバック12より成るシート部材に設けられている。
ところで、図2に示したように互いに折り畳んだシートバック12をシートクッション13と共に、図3に示した非使用位置に回動させるとき、前述のように、図示していないガスダンパステーの付勢力を利用する。その際、気温が低いときには、ガスダンパステーの内部の圧力が低下するため、シートバック12をシートクッション13と共に図3に示した非使用位置まで回動させきれずに、これらがその直前の位置で停止してしまうことがある。シートバック12をシートクッション13と共に専ら操作者の力だけでその非使用位置に持ち上げ、或いはガスダンパステー以外のばねの力を用いて、シートバック12を非使用位置に持ち上げるように構成したときも同様な事態が発生することがある。このような場合、非使用位置の直前の位置まで持ち上げられたシートバック12とシートクッション13を、操作者の人力だけで非使用位置まで持ち上げることは容易ではない。
そこで、本例の自動車においては、操作者が使用位置にある把手アーム16を掴んで、シートバック12をシートクッション13と共に非使用位置の直前の位置まで持ち上げた時、そのシートバック12とシートクッション13が停止してしまった場合、把手アーム16を格納位置に回動させるだけで、シートバック12がシートクッション13と共に自然にその非使用位置まで回動するように構成されている。その具体的構成は以下のとおりである。
図12の(a)は、使用位置を占めた把手アームを掴んで、シートバック12を非使用位置に持ち上げるとき、該シートバック12がその非使用位置の直前の位置に至って停止したときの様子を示している。この図には、把手アームは示されていないが、このとき把手アーム16は図3に示した使用位置を占めている。この状態で、操作者が把手アーム16を図3に矢印Hで示した方向に回動させると、図12の(b)に示すように、第3のストライカ61がわずかに矢印b方向に回動して、その係合凹部69の近傍の案内面70が第3のストライカ62に当接する。この状態で、さらに把手アームをその格納位置に向けて回動させると、第3のロック部材61は、さらに矢印b方向に回動するが、このとき案内面70は第3のストライカ62に摺接するので、シートバック12はシートクッション13と共にその非使用位置へ向けて回動し、第3のロック部材61の係合凹部69が図11に実線で示したように第3のストライカ62に係合する。このとき、シートバック12はシートクッション13と共にその非使用位置にもたらされる。このように、把手アーム16をその使用位置から格納位置に回動させるだけで、非使用位置の直前の位置で停止したシートバック12をその非使用位置に持ち上げることができ、容易にシートバック12を非使用位置に回動させることができる。
上述のように、本例の自動車においては、把手アーム16を使用位置にもたらした状態で、シートバック12より成るシート部材をその使用位置から非使用位置へ向けて回動させ、該シート部材が非使用位置の直前の位置まで回動して停止した際、把手アーム16をその使用位置から格納位置へ向けて回動させてロック部材61をロック解除位置からロック位置へ向けて回動させたとき、第3のストライカ62に摺接しながら第3のロック部材61の係合凹部69を第3のストライカ62に係合させる案内面70が第3のロック部材61に形成されているのである。
図11には1つの第3のロック部材61を示したが、車幅方向に互いに間隔をあけて複数の第3のロック部材を設け、その各ロック部材を、把手アーム16の回動に連動して上述の如く作動させるように構成すれば、非使用位置を占めたシートバック12をより安定した状態でロックすることができる。
ところで、前述のように、シートバック12が使用位置にあるとき、そのシートバック12に設けられた第2のロック部材24が、第2のストライカ38に係合してシートバック12がその使用位置にロックされ、このロックを解除することによって、シートバック12を車室上部の非使用位置にもたらすことができるのであるが、シートバック12が非使用位置にあるとき、第2のストライカ38が車室内に突出したままであると、これが邪魔となる欠点を免れない。
そこで、本例の自動車においては、シートバック12が車室上部の非使用位置にあるとき、第2のストライカ38が、車室内の内装材に沿った退避位置に回動するように構成されている。図13は、図1乃至図3にも示した第2のストライカ38を車室R内の側から見た斜視図である。図13における符号72は、車室R内に配置された内装材を示しており、ここに示した内装材72は、ほぼ上下に立ち上がった状態で配置されている。また、図14は、図13のX−X線断面図であり、図15は内装材72を仮想線で表わして、該内装材72と、車体1の側部を構成するサイドパネル4の間に配置された構成要素を明らかにした斜視図である。図14及び図15に示すように、サイドパネル4は、車室R内の側のインナパネル4Aとそのインナパネル4Aに固着されたアウタパネル4Bから構成されている。
ここで、以下の記述においては、説明の便宜上、前述の第2のストライカ38を単にストライカと称し、前述の第2のロック部材24をシート用ロック部材と称して、後述するストライカ用ロック部材と区別することにする。従って、本例の自動車は、着座者を支えることのできる使用位置と、車室上部の非使用位置との間を移動可能に車室内に配置されたシートバック12より成るシート部材と、車体1に後述するように支持されたストライカ38と、上記シート部材に設けられていて、該シート部材が使用位置にあるとき、ストライカ38に係合して、シート部材をその使用位置にロックするシート用ロック部材24とを有している。
上述したストライカ38は、図13乃至図15に示すように、ほぼU字形に形成され、その基端部にはベース部材73が固着されている。一方、サイドパネル4のインナパネル4Aには、ブラケット74が固着され、しかもそのブラケット74の上面には、支持部材75が固定配置されている。支持部材75は、一対の側壁76,77と、その下端に一体に連結された底壁78より成り、その底壁78がブラケット74の上面に溶接によって固着されている。ブラケット74と支持部材75の大部分は、サイドパネル4と内装材72の間に配置されている。図1乃至図3には、ブラケット74、支持部材75及びこれらに関連する構成要素の図示は省略してある。
ストライカ38に固定されたベース部材73には、支持ピン79が固着され、この支持ピン79の長手方向各端部は、支持部材75の各側壁76,77に形成された孔に回転可能に嵌合し、これによってストライカ38とベース部材73が支持部材75に回動可能に支持されている。また、支持ピン79が支持されている支持部材75の部分は、内装材72に形成された孔80を貫通し、ストライカ38は内装材72よりも車室内側に位置している。
図1に示したようにシートバック12が使用位置を占めているとき、ストライカ38は、図13及び図15並びに図14に実線で示したように、内装材72よりも車室R内の側に突出した突出位置を占めている。図示した例では、突出位置にあるストライカ38は、内装材72の車室内側の面に対してほぼ直角をなしたほぼ水平な姿勢で、内装材72よりも車室R内の側に突出している。このようにストライカ38が車室内側に突出しているので、シートバック12が図1に示した使用位置を占めているとき、シート用ロック部材24は、図6の(a)に示したようにストライカ38に確実に係合することができる。
一方、シートバック12が図2に示した使用位置から図3に示した非使用位置へ向けて回動するとき、ストライカ38は、支持ピン79の中心軸線のまわりに、図13乃至図15に矢印dで示したように下方に向けて回動する。そして、シートバック12が図3に示した非使用位置を占めたとき、ストライカ38は図14に二点鎖線で示したように内装材72に沿った退避位置を占める。本例の内装材72には、凹部81が形成され、退避位置に回動したストライカ38は、この凹部81の底面181に当接して停止する。このように、ストライカ38が内装材72の側に退避するので、このストライカ38に邪魔されることなく、車室上部の非使用位置を占めたシートバック12の下方の空間に荷物を収納することができる。
図示した例では、ストライカ38は、ベース部材73、支持ピン79、支持部材75及びブラケット74を介して、車体1に回動可能に支持されているが、ストライカ38を直に車体に回動可能に支持することも可能である。
このように、ストライカ38は、内装材72に沿った退避位置と、シート用ロック部材24が係合できるように、内装材72よりも車室内側に突出した突出位置との間を回動可能に車体に支持されているのである。
また、本例の自動車には、シートバック12より成るシート部材が使用位置から非使用位置に移動するとき、ストライカ38が突出位置から退避位置に回動し、シートバック12が非使用位置から使用位置へ移動するとき、ストライカ38が退避位置から突出位置に回動するように、シートバック12の動きに連動してストライカ38を回動させる連動手段が設けられている。かかる連動手段を設けることにより、シートバック12を使用位置から非使用位置へ回動させるだけで、ストライカ38を突出位置から退避位置へ自動的に回動させ、逆にシートバック12を非使用位置から使用位置へ回動させるだけで、ストライカ38を退避位置から突出位置に自動的に回動させて、そのストライカ38にシート用ロック部材24を前述のように係合させることができる。
次に上述した連動手段の具体的構成を明らかにする。
先ず、この連動手段は、ストライカ38を図14に二点鎖線で示した退避位置に向けて回動付勢する付勢部材101を有している。ここに示した付勢部材101は、図15に示すように、コイル部が支持ピン79に巻回され、その各端部がベース部材73と支持部材75にそれぞれ係止されたねじりコイルばねにより構成され、かかるねじりコイルばねのばね力によって、ストライカ38が退避位置へ向けて回動付勢される。ねじりコイルばねに代えて、例えば引張ばね、或いは板ばねなどから成る付勢部材を用いることもできる。
さらに、連動手段は、図15に示すように、ベース部材73に固着されたガイドピン82を有している。ベース部材73は、ストライカ38に一体に固定され、そのベース部材73にガイドピン82が固定されているので、ガイドピン82はベース部材73を介してストライカ38に固定されている。その際、ガイドピン82は、支持ピン79を境にして、ストライカ38と反対側のベース部材73の部分に固定されているので、ストライカ38が図14に実線で示した突出位置と二点鎖線で示した退避位置との間を回動するとき、ガイドピン82は上下方向に作動する。このようにガイドピン82は、ストライカ38が突出位置から退避位置へ回動するのに伴って上方に移動し、逆にストライカ38が退避位置から突出位置へ回動するのに伴って下方に移動するように該ストライカ38に固定されている。
さらに、連動手段は、図15に示した第1の連結部材83(図14には示さず)を有している。図に一例として示した第1の連結部材83は、金属又は硬質樹脂などから成る棒状ないしは細板状の部材により構成されている。かかる第1の連結部材83の下端側には、ほぼ上下方向に延びる長孔84が形成され、その長孔84には上述のガイドピン82がその長孔84に沿って摺動できるように嵌合している。
第1の連結部材83は、内装材72とサイドパネル4のインナパネル4Aとの間を、図1に示すように上方に延び、その上端側がシートアーム17に形成された係合穴85に係合して、そのシートアーム17に連結されている。この係合穴85は、枢ピン18よりもシートバック12に寄った位置に形成され、その係合穴85に第1の連結部材83が連結されているので、シートバック12がシートアーム17と共に、使用位置から非使用位置に回動するとき、第1の連結部材83は、図2及び図15に矢印eで示すように上方に作動する。逆に、シートバック12がシートアーム17と共に、非使用位置から使用位置に回動するとき、第1の連結部材83は、図3と図15に矢印fで示すように下方に作動する。
上述のように第1の連結部材83は、シートバック12より成るシート部材がシートアーム17と共に使用位置と非使用位置との間を回動するとき、その回動に伴って上下方向に作動するように、上端側がシートアーム17に連結され、下端側には、ガイドピン82が摺動可能に嵌合していて、ほぼ上下方向に延びる長孔84が形成されている。
前述のように、第1の連結部材83の長孔84は、その全体がほぼ上下方向に延びているが、より正確には、図16の(a)に示すように、当該長孔84の上部84Aは上下方向に延び、その下部84Bは斜め下方に傾斜している。このように長孔84の下部84Bが斜め下方に傾斜して延びていることの技術的意義は後に明らかにする。
なお、図17は、座席11のシートバック12を後方から見た概略説明図であるが、この図に示すように、シートバック12に固定されたシートアーム17は、その上部が、内装材72に形成された開口102を通して、該内装材72とサイドパネル4のインナパネル4Aとの間に入り込み、そのシートアーム17の上部に固定された枢ピン18がインナパネル4Aに形成された孔に回転可能に嵌合している。このようなシートアーム17の上部に、図1に示したように、第1の連結部材83と、後述する第2の連結部材の上端部が連結されているのである。
また、連動手段は、ストライカ38が図15に示すように突出位置を占めたとき、そのストライカ38を突出位置にロックするロック装置86を有している。本例のロック装置86は、図15及び図18に示すように、ベース部材73に固定されたロックピン87と、ピン88を介して支持部材75に回動可能に支持されたストライカ用ロック部材89とを有している。図示した例では、図15に示すように、ロックピン87と前述のガイドピン82が、一体となった1本のピン部材により構成されているが、それぞれ別々のピン部材によってロックピン87とガイドピン82を構成することもできる。
ロックピン87はベース部材73に固定され、そのベース部材73はストライカ38に固定されているので、ロックピン87は、ベース部材73を介して、ストライカ38に固定されている。同様に、ストライカ用ロック部材89が支持された支持部材75はブラケット74に固定され、そのブラケット74は車体1に固定されているので、ストライカ用ロック部材89は、ピン88、支持部材75及びブラケット74を介して、車体1に回動可能に支持されている。
ロックピン87も、支持ピン79を境にしてストライカ38と反対側のベース部材73の部分に固定されているので、ストライカ38が図14に実線で示した突出位置と二点鎖線で示した退避位置との間を回動するとき上下方向に作動する。すなわち、ロックピン87は、ストライカ38が突出位置から退避位置へ回動するのに伴って上方に移動し、逆にストライカ38が退避位置から突出位置へ回動するのに伴って下方に移動するように、ストライカ38に固定されている。
図18は前述のストライカ用ロック部材89と、これに関連する構成を示す説明図であるが、この図と図15に示すように、ストライカ用ロック部材89は、係合凹部90を有している。シートバック12が図1に示した使用位置を占めているとき、そのシートバック12に設けられたシート用ロック部材24が、突出位置を占めたストライカ38に係合するが、このときストライカ用ロック部材89は、図15及び図18の(a)に示すように、その係合凹部90がロックピン87に係合して、ストライカ38を突出位置にロックする。このときのストライカ用ロック部材89の位置が、そのロック位置である。
これに対し、図18の(b)に示したように、ストライカ用ロック部材89がロック位置から回動して、その係合凹部90がロックピン87から外れると、ストライカ38のロックが解除される。このときのストライカ用ロック部材89の位置がロック解除位置である。
上述のように、ストライカ用ロック部材89は、その係合凹部90がロックピン87に係合して、ストライカ38を突出位置にロックするロック位置と、係合凹部90がロックピン87から外れて、ストライカ38のロックを解除するロック解除位置との間を回動可能に車体に支持されている。
さらに、連動手段は、ロック装置86によるストライカ38のロックと、その解除を規制するロック規制装置を具備している。このロック規制装置の具体的構成例は以下のとおりである。
図15及び図18に示すように、ストライカ用ロック部材89に隣接してポール91がピン92を介して支持部材75に回動可能に支持され、ストライカ用ロック部材89とポール91には、引張ばねより成るばね手段93の各端部がそれぞれ係止されている。以下の説明では、このポール91をストライカ用ポールと称して前述の第1及び第2のポール26,33と区別し、同じくばね手段93をストライカ用ばね手段と称して、前述の第1乃至第4のばね手段28,35,49,52と区別することにする。
シートバック12が図1に示した使用位置にあり、従ってストライカ38が図13及び図15に示した突出位置を占めているとき、ストライカ用ポール91の爪部は、図18の(a)に示すように、ストライカ用ロック部材89に形成された係合部94にストライカ用ばね手段93の引張作用により係合している。このとき、ストライカ用ロック部材89は、その係合凹部90がロックピン87に係合したロック位置を占め、かかるストライカ用ロック部材89の係合部94にストライカ用ポール91の爪部が係合することにより、ストライカ用ロック部材89がそのロック位置に保持される。このようにしてストライカ38が突出位置にロックされるのである。このときのストライカ用ポール91の位置が、そのストライカ用ポール91の係合位置である。本例のストライカ用ポール91も、ピン92、支持部材75及びブラケット74を介して車体1に回動可能に支持されている。
一方、図18の(a)に矢印gで示したように、ストライカ用ポール91がピン92のまわりに時計方向に回動すると、ストライカ用ポール91の爪部がストライカ用ロック部材89の係合部94から外れる。このため、ストライカ用ロック部材89は、ストライカ用ばね手段93の引張作用によって、図18の(a)に矢印hで示した方向にピン88のまわりに回動して、図18の(b)に示したロック解除位置を占める。これにより、ストライカ38のロックが解除される。このときのストライカ用ポール91の位置が、その係合解除位置である。ストライカ用ポール91が係合解除位置に回動することによって、ストライカ用ロック部材89がロック解除位置に回動することを許容するのである。
上述のように、ストライカ用ポール91は、ストライカ用ロック部材89の係合部94に係合して該ストライカ用ロック部材89をそのロック位置に保持する係合位置と、該ストライカ用ロック部材89の係合部94から外れて当該ストライカ用ロック部材89がロック解除位置に回動することを許容する係合解除位置との間を回動可能に車体に支持されている。また、ストライカ用ばね手段93は、ストライカ用ロック部材89をそのロック解除位置へ向けて回動付勢すると共に、該ストライカ用ロック部材89とストライカ用ポール91が互いに係合する向きに該ストライカ用ロック部材89とストライカ用ポール91を回動付勢する用をなす。かかるストライカ用ポール91と、ストライカ用ばね手段93は、共に前述のロック規制装置の構成要素である。
また図15及び図19に示すように、ブラケット74には、第1及び第2の回動体95,96が、ピン97,98によって回動可能に支持されている。第1の回動体95は、ブラケット74を介して、図19の(a)に示した初期位置と、図19の(c)に示した終端位置との間を回動可能に車体1に支持され、同じく第2の回動体96も、ブラケット74を介して、回動可能に車体1に支持されている。
また、第1の回動体95とブラケット74には、引張ばねより成る第1の回動体用ばね手段99の各端部がそれぞれ係止されている。これによって第1の回動体95は、図19における時計方向に回動付勢されるが、通常、図示していないストッパに当って、図19の(a)に示した初期位置に停止している。このように、第1の回動体用ばね手段99は、第1の回動体95が、図19の(a)に示した初期位置に回動する向きに該第1の回動体95を回動付勢する用をなす。
同じく、第2の回動体96とブラケット74には、引張ばねより成る第2の回動体用ばね手段100の各端部が係止されている。この第2の回動体用ばね手段100は、第2の回動体96が、図19の(a)に示した初期位置に回動する向きに該第2の回動体96を回動付勢する用をなす。その際、第2の回動体96が図19の(a)に示した初期位置にあるとき、第2の回動体用ばね手段100はフリー状態にあり、第2の回動体96が第2の回動体用ばね手段100によって付勢されることはなく、第2の回動体96はその初期位置に保持される。
さらに、第1の回動体95には、図15及び図19の(a)に示すように、ワイヤにより構成された第2の連結部材103の一端部が固定係止され、この第2の連結部材103は、図1及び図15に示すように、内装材72と、サイドパネル4のインナパネル4Aとの間を上方に延び、第2の連結部材103の他端部はシートアーム17に形成された孔104に嵌合して係止されている。この第2の連結部材103は、図示していないアウタチューブに挿通され、そのアウタチューブは、サイドパネル4のインナパネル4Aに、同じく図示していないクランプによって固定されている。
また、図15及び図18に示すように、ストライカ用ポール91には、ワイヤより成る第3の連結部材107の一端部が固定係止され、この第3の連結部材107の他端側は、図15及び図19に示すように第2の回動体96に形成された貫通孔108に摺動可能に嵌合し、その他端部には貫通孔108よりも大径な小ブロック109が固定されている。ストライカ用ポール91が図18の(a)に示した係合位置にあり、かつ第2の回動体96が図19の(a)に示した初期位置にあるとき、小ブロック109は第2の回動体96に当接するか、又は近接して位置している。この第3の連結部材107も、図示していないアウタチューブ内に挿通され、そのアウタチューブは、同じく図示していないクランプによってブラケット74に固定されている。
なお、前述の第1乃至第4のワイヤ42,44,55,56も、それ自体周知のようにアウタチューブに挿通されているが、そのアウタチューブの図示は省略してある。
上述した第1及び第2の回動体95,96、第1及び第2の回動体用ばね手段99,100及び第2及び第3の連結部材103,107も、前述のロック規制装置の構成要素である。
前述の如く、シートバック12が図1に示した使用位置にあるとき、ストライカ用ポール91は図18の(a)に示した係合位置を占め、これによりストライカ用ロック部材89はロック位置に保持され、そのストライカ用ロック部材89の係合凹部90に、図15及び図18に示したように、突出位置を占めたストライカ38に固定されたロックピン87が係合している。そして、かかるストライカ38に、シートバックに設けられたシート用ロック部材24が図6の(a)に示したように係合して、シートバック12がその使用位置にロックされている。このとき、第1の連結部材83は図15及び図16の(a)に示すように、最も下方の位置を占め、その第1の連結部材83に形成された長孔84に嵌合したガイドピン82は、その長孔84の上端UEに位置している。
ここで、前述のようにシート用ロック部材24がロック解除位置に回動して、図6の(b)に示したように、そのシート用ロック部材24がストライカ38から外れ、シートバック12がシートアーム17と共に図2に矢印Eで示したように非使用位置へ向けて回動し始めると、そのシートアーム17の回動に伴って、第2の連結部材103は、図2及び図19の(a)に矢印iで示すように上方に引かれる。同様に第1の連結部材83も、図2及び図16の(b)に矢印eで示すように上方に引かれる。このとき、ロック装置86によるストライカ38のロックは未だ解除されていないので、ストライカ38は突出位置を占めたままである。このため、図16の(b)に示したように、ガイドピン82は、長孔84の上端UEから離れる。
上述のように第2の連結部材103が図19の(a)に矢印iで示した方向に作動することにより、それまで図19の(a)に示した初期位置を占めていた第1の回動体95が、第2の連結部材103に引かれて、ピン97のまわりに矢印k方向に回動し始め、次いでこの第1の回動体95は、初期位置を占めていた第2の回動体96に当り、その第2の回動体96を図19の(b)に示すように矢印l方向に回動させる。その後、第1の回動体95は図19の(c)に示すように第2の回動体96を乗り越えて、該第2の回動体96に対する押圧作用を解除する。
上述のように、第2の回動体96が第1の回動体95により押圧されて、その初期位置から回動するとき、図19の(b)に示したように、該第2の回動体96は、第3の連結部材107の他端部に固定された小ブロック109を加圧して、第3の連結部材107を図18の(a)と図19の(b)に矢印mで示した方向に引く。これにより、図18の(a)に示したストライカ用ポール91がピン92のまわりに矢印g方向に回動してその爪部がストライカ用ロック部材89の係合部94から外れる。これにより、前述のように、ストライカ用ロック部材89が図18の(b)に示したロック解除位置に回動し、ストライカ38に対するロックが解除され、ストライカ用ポール91は係合解除位置に回動する。このため、それまで突出位置を占めていたストライカ38は図15に示した付勢部材101の作用によって、図13乃至図15に矢印dで示すように退避位置へ向けて回動し始める。これによって図16の(b)に示したガイドピン82は上昇する。ところが、このときシートバック12は未だ非使用位置に至っていないので、第1の連結部材83も最上位の位置に至っておらず、従ってガイドピン82は、図16の(c)に示したように、矢印e方向に上昇を続ける第1の連結部材83に形成された長孔84の上端UEに突き当たり、引き続きストライカ38は退避位置へ向けて回動を続ける。
上述のように、シートバック12が使用位置から非使用位置へ向けて回動を開始するのと同時に、ロック装置86によるストライカ38のロックが解除されるのではなく、図2に示したシートバック12が矢印E方向に回動を開始して、そのシートバック12がストライカ38を離れた後にストライカ38のロックが解除される。シートバック12がストライカ38を離れる前に、そのロックが解除されたとすると、そのロックの解除に伴って退避位置へ向けて回動するストライカ38がシートバック12に突き当たってしまうおそれがある。かかる不具合を回避するため、上述のように、シートバック12がストライカ38を離れた後に、ストライカ38のロックを解除するように構成されているのである。
上述のように、ストライカ用ばね手段93、ストライカ用ポール91、第1及び第2の回動体95,96、第2及び第3の連結部材83,103並びに第1及び第2の回動体用ばね手段99,100を含むロック規制装置は、シートバック12より成るシート部材が使用位置から移動を開始して、該シートバック12がストライカ38から離れた後に、ロック装置86によるストライカ38のロックを解除するように構成されている。
終端位置に向けて回動する第1の回動体95が前述のように第2の回動体96を乗り越えると、第2の回動体96は、第2の回動体用ばね手段100の引張作用によって、図19の(c)に示したように初期位置に回動する。このとき、第2の回動体96が第3の連結部材107を加圧することはなく、第3の連結部材107は停止したままである。よって、ストライカ用ポール91は、図18の(b)に示したように、ストライカ用ロック部材89に圧接して係合解除位置に留まり、ストライカ用ロック部材89はロック解除位置に停止したままである。このため、第2の回動体96が図19の(c)に示したように初期位置に戻ると、その第2の回動体96と小ブロック109は大きく離間している。
上述のように、第3の連結部材107は、シートバック12より成るシート部材がシートアーム17と共に使用位置から非使用位置へ向けて回動し始め、これに伴って第2の連結部材103に引かれて、初期位置から終端位置へと回動し始めた第1の回動体95が、初期位置を占めていた第2の回動体96を押圧して、該第2の回動体96を回動させるとき、ストライカ用ポール91がストライカ用ロック部材89の係合部94から外れて係合解除位置に回動し、ストライカ用ばね手段93の作用により、ストライカ用ロック部材89がロック解除位置に回動することを許容するが、該ストライカ用ロック部材89がロック解除位置を占めた状態で、第2の回動体用ばね手段100の作用により第2の回動体96がその初期位置へと回動しても、ストライカ用ポール91がその係合解除位置に留まるように、第2の回動体95とストライカ用ポール91を連結しているのである。
シートバック12がシートアーム17と共にさらに非使用位置へ向けて回動する間に、付勢部材101によって回動付勢されたストライカ38は、図14に二点鎖線で示した退避位置に至って停止する。このため、ストライカ38と共に停止したガイドピン82は、図16の(d)に示すように、矢印eで示す如く上昇を続ける第1の連結部材83の長孔84の上端UEから離れていく。
シートバック12が図3に示した非使用位置に至ったとき、第1の連結部材83もその最も下方の位置で停止する。このとき、停止を続けていたガイドピン82は、図16の(e)に示すように長孔84の下端LEに位置する。また、シートバック12が非使用位置に向けて回動しているとき、回動しながら第2の回動体96を乗り越えた第1の回動体95は、シートバック12が非使用位置に達して停止したとき、図19の(c)に示した終端位置に至って停止する。このように、第2の連結部材103は、シートバック12より成るシート部材がシートアーム17と共に使用位置から非使用位置へ回動するとき、第1の回動体95がその初期位置から終端位置へ回動するように、シートアーム17と第1の回動体95を連結しているのである。
上述のように、第3の連結部材107は、一端部がストライカ用ポール91に固定係止され、他端側が第2の回動体96に対して相対摺動可能に該第2の回動体96を貫通し、かつその他端部に小ブロック109が固定されたワイヤより成り、シートバック12より成るシート部材がシートアーム17と共に使用位置から非使用位置へ回動するのに伴って、第1及び第2の回動体95,96が、その各初期位置から回動するとき、該第2の回動体96に当った小ブロック109が加圧されて上記ワイヤが引かれ、これに伴ってストライカ用ポール91がストライカ用ロック部材89の係合部94から外れて係合解除位置に回動すると共に、ストライカ用ロック部材89がそのロック解除位置に回動し、終端位置に向けて回動する第1の回動体95が第2の回動体96を乗り越え、該第2の回動体96が第2の回動体用ばね手段100によって初期位置に回動したとき、小ブロック109は第2の回動体96から離間しているように、第2の回動体96と上記ワイヤと該ワイヤに固定された小ブロック109の位置が設定されている。
次に、シートバック12を、シートアーム17と共に図3に示した非使用位置から図2に示した使用位置に向けて回動させ始めると、第1の連結部材83は、図16の(e)に矢印nで示したように下方に移動する。このとき、第1の連結部材83に形成された長孔84の下部84Bは、斜め下方に傾斜していて、ガイドピン82は長孔84の下端LEに位置していたので、第1の連結部材83の下方への移動によって、ガイドピン82はその第1の連結部材83と共に下方に移動する。ガイドピン82は、第1の連結部材83に対して、相対的に移動することはなく、長孔84の下端LEに当接したままである。このため、それまで退避位置を占めていたストライカ38は、支持ピン79の中心軸線のまわりに図14に矢印oで示すように突出位置へ向けて回動する。
上述のようにして、ストライカ38が突出位置の直前の位置に至ったとき、ロックピン87が図18の(b)に示したストライカ用ロック部材89の当接部111に当る。これにより、それまでロック解除位置を占めていたストライカ用ロック部材89は、ストライカ用ばね手段93の作用に抗して図18の(b)に矢印pで示した方向に回動する。このため、ストライカ38が図15に示した突出位置に至ると、ストライカ用ロック部材89は、図18の(a)に示したロック位置に回動し、ストライカ38がストライカ用ロック部材89の係合凹部90に係合すると共に、ストライカ用ポール91が、ストライカ用ばね手段93の引張作用により、矢印gと反対の方向に回動し、その爪部がストライカ用ロック部材89の係合部94に係合する。ストライカ用ポール91がその係合位置に回動するのである。このようにして、ストライカ38が図15に示した突出位置にロックされる。
上述のように、シートバック12より成るシート部材が、シートアーム17と共に非使用位置から使用位置に回動するとき、ロックピン87がストライカ用ロック部材89を押圧して、該ストライカ用ロック部材89が回動し、その係合凹部90がロックピン87に係合し、かつストライカ用ばね手段93の作用により、ストライカ用ポール91がストライカ用ロック部材89の係合部94に係合し、ストライカ38が突出位置にロックされるように、ストライカ用ロック部材89とストライカ用ポール91の位置が設定されているのである。
上述のようにストライカ用ポール91が係合位置に回動するとき、第3の連結部材107は、そのストライカ用ポール91によって図18の(b)及び図19の(c)に矢印qで示した方向に引かれるが、ストライカ用ポール91が係合解除位置を占めていたとき、第3の連結部材107に固定された小ブロック109は、図19の(c)に示したように第2の回動体96から離間しているので、第3の連結部材107が矢印q方向に引かれても、その第3の連結部材107は第2の回動体96の貫通孔108を摺動するだけで、第2の回動体96が回動することはない。ストライカ用ロック部材89がロック位置に回動し、かつストライカ用ポール91が係合位置に回動し、この回動時に第3の連結部材107が矢印q方向に引かれることにより、小ブロック109が図19の(a)に示したように、第2の回動体96に当接するか又は近接した位置に移動するのである。
上述のように、シートバック12を非使用位置から使用位置へ向けて回動させ始めたとき、先ず、ガイドピン82を、下降する第1の連結部材83によって下方に押圧してストライカ38を突出位置に回動させると共に、該ストライカ38をロックするので、シートバック12が図2に示した使用位置に至る前に、ストライカ38は突出位置に回動して、その位置にロックされる。このため、シートバック12が使用位置に至ったとき、そのシートバック12に設けられたシート用ロック部材24を、ストライカ38に確実に係合させることができる。シートバック12が使用位置に至り、シート用ロック部材24がロック位置に回動した後に、ストライカ38を突出位置に回動させたとすれば、シート用ロック部材24をストライカ38に係合させることはできない。上述した構成によって、かかる不具合の発生を阻止することができるのである。
しかも、シートバック12が非使用位置を占めているとき、第2の回動体96と小ブロック109は大きく離間しているので、突出位置に回動したストライカ38をロックすべく、ストライカ用ポール91がストライカ用ロック部材89に係合する係合位置に回動するとき、第2の回動体96を回動させることなく、第3の連結部材107を、図19の(c)に矢印qで示した方向に移動させることができる。このように、ストライカ用ロック部材89を支障なくロック位置に回動させて、ストライカ38をその突出位置にロックすることができるのである。
ストライカ38を上述のようにして突出位置にロックすると、図16の(e)に示したガイドピン82は停止する。このときもシートバック12は依然として使用位置に向けて回動しているので、第1の連結部材83はさらに図16の(e)に矢印nで示した下方に移動する。このため、停止したガイドピン82は、長孔84に対して相対的に上方へ移動し、シートバック12が使用位置に至り、第1の連結部材83が停止したとき、ガイドピン82は図16の(a)に示したように、長孔84の上端UEに位置する。
上述のように、シートバック12より成るシート部材が使用位置を占め、該シートバック12に設けられたシート用ロック部材24が、突出位置を占めたストライカ38に係合しているとき、第1の連結部材83は最下位置を占め、かつガイドピン82は、長孔84の上端UEに位置し、シートバック12が非使用位置を占め、ストライカ38が退避位置を占めているとき、第1の連結部材83は最上位置を占め、かつガイドピン82は、長孔84の下端LEに位置すると共に、非使用位置を占めていたシートバック12をその使用位置へ向けて回動させ始めたとき、長孔84の下端LEに位置していたガイドピン82が、下方に移動する第1の連結部材83により押圧されて、ストライカ38が突出位置へ向けて回動し、該ストライカ38がその突出位置に至って、当該ストライカ38がロック装置86によって突出位置にロックされた後、停止したガイドピン82が、相対的に、長孔84に沿って該長孔84の上方へ移動するように、該長孔84の下部84Bが斜め下方に傾斜して延び、該長孔84の上部84Aが上下方向に延びているのである。
一方、シートバック12が非使用位置から使用位置に向けて回動するとき、第2の連結部材103は図19の(c)に矢印r方向に移動するので、第1の回動体95は第1の回動体用ばね手段99の作用によって付勢されて矢印s方向に回動し、第2の回動体96を乗り越えて図19の(a)に示した初期位置に回動する。このときも、第2の回動体96は、第1の回動体95に押圧されて矢印t方向に回動した後、第2の回動体用ばね手段100の作用によって再びその初期位置に戻るが、このとき第2の回動体96が第3の連結部材107に固定された小ブロック109を加圧することはなく、第2の連結部材103は作動しない。
上述のように、シートバック12が使用位置から非使用位置に向けて回動するのに伴って、第1の回動体95がその初期位置から終端位置へ回動するとき、該第1の回動体95は、第2の回動体96を押圧して該第2の回動体96を回動させた後、該第2の回動体96を乗り越えて、当該第2の回動体96への押圧を解除し、これに伴って第2の回動体96は第2の回動体用ばね手段100の作用によってその初期位置に回動し、シートバック12が非使用位置から使用位置へ向けて回動するのに伴って、第1の回動体95がその終端位置から初期位置に回動するときも、該第1の回動体95は、第2の回動体96を押圧して該第2の回動体96を回動させた後、該第2の回動体96を乗り越えてその初期位置に戻るように、第1及び第2の回動体の位置が設定されているのである。
以上のように、ロック規制装置は、シートバック12より成るシート部材が使用位置から非使用位置へ回動するとき、ロック装置86によるストライカ38のロックを解除し、シートバック12が非使用位置から使用位置へ回動するとき、ロック装置86が突出位置を占めたストライカ38をロックすることを許容するように、ロック装置86によるストライカのロックとその解除を規制するように構成されている。
以上、車幅方向の一方の座席端部に設けられたシート用ロック部材24に係合するストライカ38を回動させる連動手段と、これに関連する構成を説明したが、本例の自動車は、車幅方向の他方の座席端部に設けられたシート用ロック部材に係合するストライカを回動させる連動手段と、これに関連する構成を有している。これらは前述した連動手段及びこれに関連する構成と変りはないので、その説明を省略する。
以上、車室上部の非使用位置に持ち上げられて、その時使用位置にロックされるシート部材が、着座者の背部を支えるシートバック12である例を示したが、そのシート部材が、着座者の尻部を支えるシートクッションであるときも、本発明を支障なく適用することができる。