JP2009086361A - 防眩フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】主にLCD、PDP等のディスプレイに用いられる前面に設置し、視認性が良好且つ耐擦傷性に優れた防眩フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材フィルム上にハードコート層、防眩層を設けた防眩フィルムであって、前記防眩層は、透光性微粒子A、平均粒径が30nm以上100nm以下であり、表面の一部を有機成分で被覆され、反応性官能基bを有する反応性無機微粒子B、及び、反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含む防眩層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、且つ、当該防眩層の膜厚は、1μm以上5μm以下であり、当該防眩層の界面側に、前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が少ないスキン層を有しており、前記ハードコート層は、反応性官能基dを有する反応性無機微粒子D、及び、反応性官能基eを有するバインダー成分Eを含むハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする、防眩フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極管表示装置(CRT)、又はプラズマディスプレイ(PDP)等のディスプレイ(画像表示装置)の前面に設置される防眩フィルムに関する。
上記のようなディスプレイ等においては、外部から照射される光のディスプレイ表面での反射を防止するために、微細な凹凸表面を有する防眩フィルムがディスプレイ表面に設けられている。
斯かる防眩フィルムには、大粒径又は凝集性の粒子を含む樹脂組成物を透明基材の表面に塗工することによって、表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプ、前記粒子を含まず、スピノーダル分解により、相分離構造を形成し、硬化性樹脂を硬化させることによって表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプ、あるいは層表面に凹凸をもったフィルムをラミネートして凹凸形状を転写することによって、表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプなどがある(特許文献1)。
しかし、従来の防眩フィルムは、透明基材上に防眩層が設けられており、鮮明度を高める目的で表面凹凸を緻密にする、すなわち、防眩性を高めることに加えて、防眩層の硬度を確保する、すなわち、耐擦傷性を付与するために、当該防眩層の膜厚が厚かった。膜厚が厚いために、防眩性を付与する目的で当該防眩層に含まれる透光性微粒子の量が多くなり、それによって、必要以上の内部散乱が生じ、コントラストが低下するという問題があった。
特開2006−103070号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、視認性が良好、且つ、耐擦傷性に優れた防眩フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討を重ねた結果、防眩層の膜厚を極薄膜としても、防眩性が失われずに、コントラストが低下する問題を解消できることを見出し、さらに、当該防眩層が極薄膜となることにより生じる膜厚の空間的余地に、当該防眩層に隣接してハードコート層を設け、当該ハードコート層が耐擦傷性の機能発現を担うことにより、コントラストの低下を防ぎ、視認性に優れながら、且つ、耐擦傷性にも優れた防眩フィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記問題点を解決する本発明の特徴は、以下の点である。
本発明に係る防眩フィルムは、透明基材フィルムの一面側に、透明基材フィルムに近い側からハードコート層、及び当該ハードコート層に隣接して、表面が凹凸形状を有する防眩層を設けた防眩フィルムであって、
前記防眩層は、
平均粒径が1μm以上10μm以下である透光性微粒子A、
平均粒径が30nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する反応性無機微粒子B、及び、
前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bとの架橋反応性を有する反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系を含有する防眩層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、且つ、当該防眩層の膜厚は、1μm以上5μm以下であり、
当該防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面及びその近傍の表層領域に、当該表層領域よりも透明基材フィルム側の領域に比べて、当該防眩層の厚み方向断面における単位面積当りの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が少ないスキン層を有しており、
当該スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、当該防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数の80%以下であり、
前記ハードコート層は、
少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基dを表面に有する反応性無機微粒子D、及び、
前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基dとの架橋反応性を有する反応性官能基eを有するバインダー成分Eを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
前記透光性微粒子Aは、表面の凹凸を形成し、防眩層に防眩性を付与する。
本発明に係る防眩層、及びハードコート層は、硬度が高い反応性無機微粒子を含有するため高硬度となり、さらには、当該反応性無機微粒子とバインダー成分が多数の架橋点を形成するため膜強度が向上し、優れた耐擦傷性を示す。
本発明の防眩層においては、前記透光性微粒子A、及び前記反応性無機微粒子Bの平均粒径を上記範囲とし、且つ、当該防眩層の膜厚を、1μm以上5μm以下とすることにより、当該防眩層の過剰な内部散乱効果を抑制し、適度な内部散乱効果を確保しながら、コントラストの低下を防いでいる。
本発明の防眩層においては、前記スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、前記防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数に比べて80%以下と少ない。前記スキン層の当該平均粒子数が少ないことにより、前記防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面から一部が突出した前記反応性無機微粒子Bの数も減少する。そのため、前記防眩層は、当該防眩層をけん化処理した際に、当該防眩層の界面からアルカリ溶液に溶出又は脱落する前記反応性無機微粒子Bの数が減少する。これにより、本発明に係る防眩フィルムは優れた耐けん化性を得ることができる。
前記防眩層が斯かるスキン層を有する理由は定かではないが、反応性無機微粒子Bの粒径を30nm以上100nm以下とすることにより、当該反応性無機微粒子Bの拡散係数が低減し、前記防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面よりも透明基材フィルム側に前記反応性無機微粒子Bが留まりやすくなるためと推測される。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記ハードコート層の膜厚が、2μm以上20μm以下であることが、防眩フィルムの耐擦傷性を確保する点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムを用いることにより、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験を500g荷重で行った場合の硬度が、3H以上であるハードコート層を得ることも可能である。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記透光性微粒子A、及び前記反応性無機微粒子Bのコアとなる無機微粒子は、シリカからなることが、防眩性を向上できる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記反応性無機微粒子B、及び前記反応性無機微粒子Dの表面の少なくとも一部が有機成分で被覆されており、前記反応性官能基bは当該有機成分により前記反応性無機微粒子Bの表面に導入されており、当該有機成分が、被覆前の無機微粒子の単位表面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれ、前記反応性官能基dは当該有機成分により前記反応性無機微粒子Dの表面に導入されており、当該有機成分が、被覆前の無機微粒子の単位表面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれることが、硬化膜の硬度を向上させる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、前記バインダー成分Cの反応性官能基c、前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及び前記バインダー成分Eの反応性官能基eは、いずれも重合性不飽和基を有することが、膜強度を向上させることができ、且つ、前記防眩層と前記ハードコート層の層界面で架橋結合を形成することにより当該層間の密着性を高められる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記反応性無機微粒子B、及び前記反応性無機微粒子Dが、飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られることが、有機成分含量が少なくても膜強度を向上させる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記表面修飾化合物が、水素結合形成基を有する化合物であることが、有機成分を効率良く表面修飾できる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記表面修飾化合物の少なくとも1種が、前記反応性官能基b、及び前記反応性官能基dとなる重合性不飽和基を有することが、膜強度を向上させる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記反応性無機微粒子Bが、被覆前の無機微粒子表面に導入される反応性官能基b、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られ、前記反応性無機微粒子Dが、被覆前の無機微粒子表面に導入される反応性官能基d、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られることが、有機成分への分散性、及び膜強度を向上させる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記バインダー成分Cが、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及び前記バインダー成分Eの反応性官能基eと結合可能な反応性官能基cを3つ以上有する化合物であり、前記バインダー成分Eが、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及び前記バインダー成分Cの反応性官能基cと結合可能な反応性官能基eを3つ以上有する化合物であることが、膜強度を向上させることができ、且つ、前記防眩層と前記ハードコート層の層界面で架橋結合を形成することにより当該層間の密着性を高められる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記反応性無機微粒子Bの含有量が、前記防眩層形成用樹脂組成物の全固形分に対して、2〜30重量%であることが、前記反応性無機微粒子Bの含有量を抑えつつ、十分な耐擦傷性が得られるため好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記透明基材フィルムが、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とすることが好ましい。
本発明に係る防眩フィルムは、防眩層の膜厚を極薄とし、当該防眩層に隣接してハードコート層を設け、当該ハードコート層で耐擦傷性を担うことにより、良好な防眩性を確保しながらも、コントラストの低下を防ぎ、且つ、耐擦傷性に優れた防眩フィルムを得ることができる。
本発明に係る防眩フィルムは、透明基材フィルムの一面側に、透明基材フィルムに近い側からハードコート層、及び当該ハードコート層に隣接して、表面が凹凸形状を有する防眩層を設けた防眩フィルムであって、
前記防眩層は、
平均粒径が1μm以上10μm以下である透光性微粒子A、
平均粒径が30nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する反応性無機微粒子B、及び、
前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bとの架橋反応性を有する反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系を含有する防眩層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、且つ、当該防眩層の膜厚は、1μm以上5μm以下であり、
当該防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面及びその近傍の表層領域に、当該表層領域よりも透明基材フィルム側の領域に比べて、当該防眩層の厚み方向断面における単位面積当りの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が少ないスキン層を有しており、
当該スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、当該防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数の80%以下であり、
前記ハードコート層は、
少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基dを表面に有する反応性無機微粒子D、及び、
前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基dとの架橋反応性を有する反応性官能基eを有するバインダー成分Eを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
前記透光性微粒子Aは、表面の凹凸を形成し、防眩層に防眩性を付与する。
前記反応性無機微粒子B、及び前記反応性無機微粒子Dは、硬度が高いため外部から粒子にかかる圧力(外圧)で潰れ難く、耐圧性に優れる。また、当該無機微粒子Bは、バインダー成分Cの反応性官能基cと架橋反応性を有する反応性官能基bを有するため、バインダー成分Cと架橋形成することができる。また、前記無機微粒子Dは、バインダー成分Eの反応性官能基eと架橋反応性を有する反応性官能基dを有するため、バインダー成分Eと架橋形成することができる。従って、本発明に係る防眩層、及びハードコート層は、硬度が高い反応性無機微粒子を含有するため高硬度となり、さらには、当該反応性無機微粒子とバインダー成分が多数の架橋点を形成するため膜強度が向上し、優れた耐擦傷性を示す。
本発明に係る防眩層においては、前記透光性微粒子A、及び前記反応性無機微粒子Bの平均粒径を上記範囲とし、且つ、当該防眩層の膜厚を、1μm以上5μm以下とすることにより、当該防眩層に含まれる前記透光性微粒子Aの量を低減することができる。これにより、当該防眩層の過剰な内部散乱効果を抑制し、所望の内部散乱効果を確保しながら、コントラストの低下を防いでいる。さらに、当該防眩層が極薄膜となることにより生じる膜厚の空間的余地に、当該防眩層に隣接して耐擦傷性の機能を有するハードコート層を設け、優れた耐擦傷性を得ている。そのため、コントラストの低下を防ぎ、視認性に優れながら、且つ、耐擦傷性にも優れた防眩フィルムを得ることができる。
防眩層形成用樹脂組成物が硬化してなる防眩層において、当該防眩層の層厚み方向断面の単位面積の平均粒子数は、当該防眩層をSEM(走査電子顕微鏡)写真又はTEM(透過型電子顕微鏡)写真を用いて観察し、当該防眩層断面(1μm幅の領域)中に存在する反応性無機微粒子Bの数を当該防眩層断面(1μm幅の領域)の面積で除して求めたものである。同様に、防眩層形成用樹脂組成物が硬化してなる防眩層のスキン層において、当該スキン層の層厚み方向断面の単位面積の平均粒子数は、当該スキン層をSEM写真又はTEM写真を用いて観察し、当該スキン層断面(1μm幅の領域)中に存在する反応性無機微粒子Bの数を当該スキン層断面(1μm幅の領域)の面積で除して求めたものである。
図1は、本発明に係る防眩フィルムの層構成を示した模式図である。本発明に係る防眩フィルム1は、透明基材フィルム4の観察者70側に、透明基材フィルムに近い側からハードコート層3、及び防眩層2がこの順序で設けられた構成となっている。尚、図1以下の図において、説明の容易化のため、層の厚み方向(図の上下方向)を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示してある。
図2は、防眩フィルム1において、防眩層2の層厚み方向による断面、及び当該断面における幅1μmの領域P10の一例を模式的に示した斜視図である。防眩層2には、透明基材フィルム4とは反対側の界面30、透明基材フィルム4側の界面40がある。
図3は、図2の防眩層2の断面及び当該断面における幅1μmの領域P10を断面に垂直な方向から見た一例を模式的に示した図である。
図4は、領域P10内の反応性無機微粒子B20の分布の様子の一例を模式的に示した図である。図4において、領域P10の透明基材フィルム4とは反対側の界面30付近の領域(スキン層50)では、単位面積当たりの前記反応性無機微粒子B20の平均粒子数が、当該スキン層50よりも透明基材フィルム4側の領域よりも少なく、且つ領域P10の単位面積当たりの前記反応性無機微粒子B20の平均粒子数の80%以下である。
本発明に係る防眩層においては、前記スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、前記防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数に比べて80%以下と少ない。前記スキン層の当該平均粒子数が少ないことにより、前記防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面から一部が突出した前記反応性無機微粒子Bの数も減少する。そのため、前記防眩層は、当該防眩層をけん化処理した際に、当該防眩層の界面からアルカリ溶液に溶出又は脱落する前記反応性無機微粒子Bの数が減少する。これにより、本発明に係る防眩フィルムは優れた耐けん化性を得ることができる。
前記防眩層が斯かるスキン層を有する理由は定かではないが、反応性無機微粒子Bの平均粒径を30nm以上100nm以下とすることにより、当該反応性無機微粒子Bの拡散係数が減少し、前記防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面よりも透明基材フィルム側に前記反応性無機微粒子Bが留まりやすくなるためと推測される。
尚、防眩層における反応性無機微粒子Bの分布状態は、防眩層のTEM写真、SEM写真等により確認することができ、反応性無機微粒子Bの平均粒子数の少ないスキン層は、その領域の境界を目視で明瞭に判別することができる。
また、防眩層の厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子Bの平均粒子数は、以下のようにして求めることができる。すなわち、防眩層の深さ方向断面のTEM写真等により、反応性無機微粒子Bの数を計測し、当該粒子数を計測した粒子が存在する面積で除することによって単位面積当りの平均粒子数を算出することができる。
本発明に係る防眩層において、前記スキン層の厚さは、前記防眩層の透明基材とは反対側の界面から前記反応性無機微粒子Bの平均粒径の5倍の厚さであることが好ましく、当該スキン層よりも透明基材フィルム側の領域において、前記反応性無機微粒子Bの平均粒子間距離が30nm以上であり、且つ、当該領域の少なくともハードコート層に隣接する領域においては、前記反応性無機微粒子Bが均一に分散していることが十分な耐擦傷性が得られる点から好ましい。
図5は、領域P10内の反応性無機微粒子B20の斯かる分布の様子の他の一例を模式的に示した図である。図5において、スキン層50の厚さは、反応性無機微粒子B20の平均粒径の5倍であり、当該スキン層50よりも透明基材フィルム側に、前記反応性無機微粒子B20が30nm以上の平均粒子間距離を取りながら、均一に分散した領域60を有している。
尚、本発明において、平均粒径とは:
透光性微粒子Aにおいては、含有される各々の粒子が、単分散型の粒子(形状が単一な粒子)であれば、その平均を意味し、ブロードな粒度分布を持つ不定形型の粒子であれば、粒度分布測定により、最も多く存在する粒子の粒径を意味する。上記透光性微粒子Aの粒径は、主に、コールターカウンター法により計測できる。また、この方法以外に、レーザー回折法、SEM写真撮影による測定によっても計測できる;
透光性微粒子A以外の粒子、すなわち、反応性無機微粒子B、及び反応性無機微粒子Dにおいては、溶液中の当該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計、又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。また、硬化した膜中の粒径については、SEM写真、又はTEM写真による観察によっても測定することができる。SEM、又はTEM写真による測定方法は、例えば、50〜200万倍で粒子の観察を行い、観察した粒子100個の平均値をもって平均粒径とする方法がある。
また、透光性微粒子A及び当該微粒子A以外の粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が記載範囲内であれば良い。
前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、バインダー成分Cの反応性官能基c、反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及びバインダー成分Eの反応性官能基eは、いずれも当該官能基間で架橋結合を形成できることが、前記防眩層、及び前記ハードコート層の膜強度を向上させることができ、且つ、前記防眩層と前記ハードコート層の層界面で架橋結合を形成することにより、当該層間の密着性を高められる点から好ましい。
また、前記反応性無機微粒子Bは、平均粒径が1μm以上の透光性微粒子Aを混合しなければ、防眩性を発現しない。すなわち、前記透光性微粒子Aと前記反応性無機微粒子Bを混合することで、当該透光性微粒子Aによる防眩性の発現に加え、当該反応性無機微粒子Bに防眩性が発現するため、更に反応性無機微粒子Bに防眩性調整剤としての機能を付与することができる。従って、反応性無機微粒子Bを加えることで、所望の防眩性を獲得するために必要とされる透光性微粒子Aの含有量を抑えることができ、相対的に硬度に優れた反応性無機微粒子Bの含有量が増すため、高い耐擦傷性と防眩性を兼ね備えた防眩層を形成することができる。
本発明に係る防眩フィルムを用いることにより、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験を500g荷重で行った場合の硬度が、3H以上であるハードコート層を得ることも可能である。
本発明に係る防眩フィルムにおいて、前記透明基材フィルムの一面側に、前記ハードコート層形成用樹脂組成物を塗布した後、前記防眩層形成用樹脂組成物が塗布され、前記ハードコート層、前記防眩層が形成されても良く、また、前記透明基材フィルムの一面側に、前記ハードコート層形成用樹脂組成物、及び前記防眩層形成用樹脂組成物が同時塗布され、前記ハードコート層、前記防眩層が形成されても良い。
以下、本発明に係る防眩フィルムを構成する必須要素である、透明基材フィルム、防眩層、ハードコート層について順に説明する。
尚、本明細書中において、(メタ)アクリロイルはアクリロイル及び/又はメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートはアクリレート及び/又はメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及び/又はメタクリルを表す。
<1.透明基材フィルム>
透明基材フィルムの材質は、特に限定されないが、防眩フィルムに用いられる一般的な材料を用いることができ、例えば、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものが好ましい。ここで、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
セルロースアシレートの具体例としては、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が挙げられ、より具体的には、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製 スミライトFS‐1700、JSR(株)製 アートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製 アペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製の Topas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製 オプトレッツOZ‐1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。アクリレート系ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル‐(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
透明基材フィルムの厚さは、20μm以上300μm以下、好ましくは30μm以上200μm以下である。透明基材フィルム上にハードコート層を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤、又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行なってもよい。
<2.防眩層>
本発明に係る防眩層は、透明基材とは反対側の表面が凹凸を有し、
平均粒径が1μm以上10μm以下である透光性微粒子A、
平均粒径が30nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する反応性無機微粒子B、及び、
前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bとの架橋反応性を有する反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系を含有する防眩層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、且つ、当該防眩層の膜厚は、1μm以上5μm以下であり、
当該防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面及びその近傍の表層領域に、当該表層領域よりも透明基材フィルム側の領域に比べて、当該防眩層の厚み方向断面における単位面積当りの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が少ないスキン層を有しており、
当該スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、当該防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数の80%以下である。
以下、硬化性を有する防眩層形成用樹脂組成物の必須成分である透光性微粒子A、反応性無機微粒子B、及びバインダー成分C、並びに、必要に応じて適宜配合されるその他の成分について順に説明する。
<2−1.透光性微粒子A>
透光性微粒子Aは、表面の凹凸を形成し、防眩層に防眩性を付与する機能を有する。透光性微粒子Aは、目的に応じ、1種類だけでなく、成分が異なるもの、形状が異なるもの、粒度分布が異なるものなどを2種類以上混合して用いることができる。好ましくは、1〜3種類用いるのがよく、特に2〜3種類用いるのがよい。但し、凹凸を形成する以外の目的のために、更に多種の粒子を用いることもできる。
本発明に用いられる1種又は2種以上の透光性微粒子Aは、不定形、直方体、立方体等の形状であっても良く、球状、例えば真球状、回転楕円体状等のものであっても良い。1種又は2種以上の透光性微粒子Aの各平均粒径(μm)は、1μm以上10μm以下とし、1μm以上7μm以下であることが好ましく、2μm以上5μm以下がより好ましい。平均粒径が1μm未満の場合、防眩層の表面に十分な防眩性を発揮できる大きさの凹凸形状を付与することが困難であり、仮に凹凸形状を付与できるとしても、前記透光性微粒子Aの添加量を非常に多くしなければならないため、防眩層の膜物性が悪くなる。また、平均粒径が10μmを超えるときは、防眩層の表面形状が粗くなり、面質を悪化させたり、表面へイズの上昇により白味が増してしまう恐れがある。上記透光性微粒子Aは、凝集粒子であってもよく、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であればよい。
前記透光性微粒子Aは、当該微粒子A全体の80%以上(好ましくは90%以上)が、各平均粒径±300nmの範囲内にあることが好ましい。これによって、防眩層の凹凸形状の均一性を良好なものとすることができる。
前記透光性微粒子Aは、無機系、有機系のものを使用することができる。防眩層の膜強度向上の点から無機系微粒子を使用することが好ましく、シリカ微粒子を用いることが特に好ましい。
また、本発明に係る透光性微粒子A及び、後述する反応性無機微粒子Bは、共にシリカからなることが、防眩層内において、前記反応性無機微粒子Bに比べて粒径の大きい透光性微粒子Aの表面に、前記反応性無機微粒子Bが凝集しやすくなり、前記防眩層の防眩性を向上することができるため好ましい。
有機系微粒子としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミン樹脂ビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.50〜1.53)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54〜1.58)、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、スチレンビーズを挙げることができる。
無機系微粒子としては、不定形シリカ、無機シリカビーズ等を挙げることができる。上記不定形シリカは、分散性が良好な粒径1〜10μmのシリカビーズを使用することが好ましい。以下で詳述する防眩層形成用樹脂組成物の粘度上昇を生じることなく上記不定形シリカの分散性を良好なものとするために、粒子表面に有機物処理を施して疎水化した不定形シリカを使用することが好ましい。上記有機物処理には、ビーズ表面に化合物を化学的に結合させる方法や、ビーズ表面とは化学的に結合させることなく、ビーズを形成する組成物に存在するボイド(気孔)などに浸透させるような物理的な方法があり、どちらを使用してもよい。
一般的には、水酸基又はシラノール基等のシリカ表面の活性基を利用する化学的処理法が、処理効率の観点で好ましく用いられる。処理に使用する化合物としては、上述活性基と反応性の高いシラン系、シロキサン系、シラザン系材料等が用いられる。例えば、メチルトリクロロシラン等の、直鎖アルキル単置換シリコーン材料、分岐アルキル単置換シリコーン材料、或いはジ‐n‐ブチルジクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン等の直鎖アルキル多置換シリコーン化合物や、分岐鎖アルキル多置換シリコーン化合物が挙げられる。同様に、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基の単置換、多置換シロキサン材料、シラザン材料も有効に使用することができる。
必要機能に応じ、アルキル鎖の末端、乃至中間部位に、ヘテロ原子、不飽和結合基、環状結合基、芳香族官能基等を有するものを使用しても構わない。
これらの化合物は、含まれるアルキル基が疎水性を示すため、被処理材料表面を、親水性から疎水性に容易に変換することが可能となり、未処理では親和性の乏しい高分子材料とも、高い親和性を得ることができる。
前記透光性微粒子Aの含有量は、防眩層の固形分全質量に対して、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、5質量%以上20質量%以下である。5質量%未満であると、十分な防眩性が付与できず、40質量%を超えると、内部散乱効果が過剰となり、コントラストが低下するため好ましくない。
上記の様な透光性微粒子Aを多く添加した場合には、樹脂組成物中で透光性微粒子Aが沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。尚、無機フィラーは添加量が増す程、透光性微粒子Aの沈降防止に有効であるが、粒径や使用量によっては、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に含有させるとよい。
本発明において2種類以上の透光性微粒子Aを混合して用いる場合には、第1の微粒子の平均粒径をR(μm)とし、第2の微粒子の平均粒径をR(μm)とした場合に、下記式(I):
0.25R(好ましくは0.50R)≦R≦1.0R(好ましくは0.75R)(I)
を満たすものが好ましい。
が0.25R以上であることにより、樹脂組成物(塗布液)の分散が容易となり、粒子が凝集することがない。また、塗布後の乾燥工程においてフローティング時の風の影響を受けることなく、均一な凹凸形状を形成することができる。この関係は、第2の微粒子に対する第3の微粒子にも成り立つ。第3の微粒子をRとすると、0.25R≦R≦1.0R を満たすものが好ましい。
互いに異なる成分からなる2種類以上の微粒子を混合して用いる場合には、当該2種類以上の微粒子は、上記の様に平均粒径が異なることも好ましいが、同じ平均粒径であるものも好適に用いられる。
<2−2.反応性無機微粒子B>
無機微粒子を防眩層に含有させることにより、耐擦傷性を向上させることが一般になされている。架橋反応性を有する反応性無機微粒子と、硬化性バインダーを架橋反応させ、架橋結合を形成することにより、耐擦傷性を更に向上させることができる。反応性無機微粒子Bとは、コアとなる無機微粒子の少なくとも表面の一部を有機成分が被覆し、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する無機微粒子のことである。反応性無機微粒子Bには、1粒子あたりコアとなる無機微粒子の数が2つ以上のものも含まれる。
本発明に係る防眩層は、耐擦傷性を有するように硬度を向上させることを目的として、上記反応性無機微粒子Bを含有する。当該反応性無機微粒子Bは、防眩層に更に機能を付与するものであっても良く、目的に合わせて適宜選択して用いる。
本発明に係る反応性無機微粒子Bの平均粒径は、30nm以上100nm以下であり、好ましくは30nm以上70nm以下であり、さらに好ましくは40nm以上60nm以下である。反応性無機微粒子Bの平均粒径が30nm以上の場合、前記スキン層が得られる。また、反応性無機微粒子Bの平均粒径を100nm以下とすることにより、含有量に対してマトリクス内での架橋点を高めることができ、膜強度の高い凹凸層が得られる。
また、前記反応性無機微粒子Bは、透明性を損なうことなく、樹脂のみを用いた場合の復元率を維持しつつ、硬度を著しく向上させる点から、粒径分布が狭く、単分散であることが好ましい。
前記防眩層が前記スキン層を有する理由は定かではないが、反応性無機微粒子Bの平均粒径を30nm以上100nm以下とすることにより、当該無機微粒子Bの拡散係数が減少し、前記防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面よりも透明基材フィルム側に前記反応性無機微粒子Bが留まりやすくなるためと推測される。
無機微粒子としては、例えば、シリカ(SiO)、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物微粒子などが挙げられる。金属微粒子、金属硫化物微粒子、金属窒化物微粒子等を用いても良い。
硬度が高い点からは、シリカ、酸化アルミニウムが好ましい。また、防眩層に隣接するハードコート層に対して相対的に高屈折率層とするためには、膜形成時に屈折率が高くなるジルコニア、チタニア、酸化アンチモン等の微粒子を適宜選択して用いることができる。同様に、ハードコート層に対して相対的に低屈折率層とするためには、膜形成時に屈折率が低くなるフッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等のフッ化物微粒子などの微粒子を適宜選択して用いることができる。更に、帯電防止性、導電性を付与したい場合には、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ等を適宜選択して用いることができる。これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係る反応性無機微粒子Bは、中空粒子のような粒子内部に空孔や多孔質組織を有する粒子よりも、粒子内部に空孔や多孔質組織を有しない中実粒子を用いることが好ましい。中空粒子では、当該粒子内部に空孔や多孔質組織を有するため、中実粒子に比べ硬度が低く、また、中空粒子は見かけ上の比重(中空部を含めて平均化した単位体積当たりの質量)が中実粒子に比べて小さく、防眩層の透明基材フィルム側とは反対側界面に存在する中空粒子が増加しやすい。そのため、反応性無機微粒子Bは、硬度が高く、中空粒子に比べ比重が大きい中実粒子を用いることが好ましい。
無機微粒子の表面には通常、無機微粒子内ではこの形態で存在できない基を有する。これら表面の基は通常、相対的に反応しやすい官能基である。例えば、金属酸化物の場合には、例えば、水酸基及びオキシ基、例えば、金属硫化物の場合には、チオール基及びチオ基、又は例えば、窒化物の場合には、アミノ基、アミド基及びイミド基を有する。
本発明に用いられる反応性無機微粒子Bは、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する。ここで、有機成分とは、炭素を含有する成分である。また、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆されている態様としては、例えば、無機微粒子の表面に存在する水酸基にシランカップリング剤等の有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様、無機微粒子の表面に存在する水酸基に水素結合等の相互作用により有機成分を付着させた態様や、ポリマー粒子中に1個又は2個以上の無機微粒子を含有する態様等が含まれる。
前記被覆している有機成分は、無機微粒子同士の凝集を抑制し、且つ、無機微粒子表面への反応性官能基数を多く導入して膜の硬度を向上させる点から、粒子表面のほぼ全体を被覆していることが好ましい。斯かる観点から、反応性無機微粒子Bを被覆している前記有機成分は、反応性無機微粒子B中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれることが好ましい。無機微粒子表面に有機成分を付着乃至結合させた態様においては、反応性無機微粒子Bを被覆している前記有機成分が、反応性無機微粒子B中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり2.00×10−3g/m以上含まれることが更に好ましく、3.50×10−3g/m以上含まれることが特に好ましい。ポリマー粒子中に無機微粒子を含有する態様においては、反応性無機微粒子Bを被覆している前記有機成分が、反応性無機微粒子B中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり3.50×10−3g/m以上含まれることが更に好ましく、5.50×10−3g/m以上含まれることが特に好ましい。
当該被覆している有機成分の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少%の恒量値として、例えば、空気中で室温から通常800℃までの熱重量分析により求めることができる。
尚、単位面積当りの有機成分量は、以下の方法により求めたものである。まず、示差熱重量分析(Differential Thermogravimetry:DTG)により、有機成分重量/無機成分重量を測定する。次に、重量と用いた無機微粒子の比重から無機成分全体の体積を計算する。また、被覆前の無機微粒子が真球状であると仮定し、被覆前の無機微粒子の平均粒径から被覆前の無機微粒子1個当りの体積を計算する。無機成分全体の体積と被覆前の無機微粒子1個当たりの体積から、被覆前の無機微粒子の個数を求める。次に、反応性無機微粒子B1個当りの有機成分重量を、被覆前の無機微粒子1個当りの表面積で割ることにより、被覆前の無機微粒子の単位面積当たりの有機成分量を求めることができる。
また、反応性無機微粒子Bの反応性官能基bとしては、特に、硬化膜の硬度を向上させる観点から、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する反応性無機微粒子Bを調製する方法としては、コアとなる無機微粒子の種類と導入する反応性官能基により、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。
中でも、本発明においては、被覆している有機成分が反応性無機微粒子B中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれることが可能で、無機微粒子同士の凝集を抑制し、膜の硬度を向上させる点から、以下の(i)、又は(ii)の無機微粒子を適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基bを有する無機微粒子。
(ii)当該無機微粒子に導入する反応性官能基b、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基、を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基bを有する無機微粒子。
化学式(1)
−Q−C(=Q)−NH−
(化学式(1)中、Qは、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示す)
反応性無機微粒子Bの反応性官能基bは、バインダー成分Cの反応性官能基cの他、後述するハードコート層形成用樹脂組成物に含まれる反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及びバインダー成分Eの反応性官能基eとも架橋結合を形成し得ることが、膜強度を向上させられ、且つ、前記防眩層と前記ハードコート層の層界面で架橋結合を形成することにより当該層間の密着性を高められる点から好ましい。
以下、上記本発明において好適に用いられる反応性無機微粒子Bを順に説明する。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基bを有する無機微粒子。
上記(i)の反応性無機微粒子Bを用いると、有機成分含量が少なくても膜強度を向上できるという利点がある。
上記(i)の反応性無機微粒子Bに用いられる上記表面修飾化合物は、カルボキシル基、酸無水物基、酸塩化物基、酸アミド基、エステル基、イミノ基、ニトリル基、イソニトリル基、水酸基、チオール基、エポキシ基、第一級、第二級及び第三級アミノ基、Si‐OH基、シランの加水分解性残基、又はβ‐ジカルボニル化合物のようなC‐H酸基等の、分散条件下において上記無機微粒子の表面に存在する基と化学結合可能な官能基を有する。ここでの化学結合は、好ましくは、共有結合、イオン結合又は配位結合が含まれるが、水素結合も含まれる。配位結合は錯体形成であると考えられる。例えば、ブレンステッド又はルイスに従う酸塩基反応、錯体形成又はエステル化が、上記表面修飾化合物の官能基と無機微粒子表面の基の間で生じる。上記(i)の反応性無機微粒子Bに用いられる上記表面修飾化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記表面修飾化合物は通常、無機微粒子の表面の基との化学結合に関与できる少なくとも1つの官能基(以下、第1の官能基という)に加えて、当該官能基を介して上記表面修飾化合物に結びついた後に、無機微粒子に新たな特性を付与する分子残基を有する。分子残基又はその一部は疎水性又は親水性であり、例えば、無機微粒子を安定化、融和化、又は活性化させる。
例えば、疎水性分子残基としては、不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキル又はフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基等が挙げられる。
反応性無機微粒子Bが少なくとも上記バインダー成分Cと反応できるように表面に導入される反応性官能基bは、上記バインダー成分Cに応じて、適宜選択される。当該反応性官能基bとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基bが含まれる場合には、上記表面修飾化合物中に含まれる第1の官能基を無機微粒子表面に反応させることによって、上記(i)の反応性無機微粒子Bの表面に上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基bを導入することが可能である。例えば、第1の官能基のほかに、更に重合性不飽和基を有する表面修飾化合物が、好適なものとして挙げられる。
一方で、上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、第2の反応性官能基を含有させ、当該第2の反応性官能基を足掛かりにして、上記(i)の反応性無機微粒子Bの表面に上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基bが導入されても良い。例えば、第2の反応性官能基として水酸基及びオキシ基のような水素結合が可能な基(水素結合形成基)を導入し、無機微粒子表面上に導入された水素結合形成基に、更に別の表面修飾化合物の水素結合形成基が反応することにより、上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基bを導入されることが好ましい。すなわち、表面修飾化合物として、水素結合形成基を有する化合物と、重合性不飽和基などの上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基bと水素結合形成基を有する化合物とを併用して用いることが好適な例として挙げられる。水素結合形成基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、といった官能基、もしくはアミド結合を示すものである。ここで、アミド結合とは、−NHC(O)や>NC(O)−を結合単位に含むものを意味する。本発明の表面修飾化合物に用いられる水素結合形成基としては、中でもカルボキシル基、水酸基、アミド基が好ましい。
上記(i)の反応性無機微粒子Bに用いられる上記表面修飾化合物の分子量は500以下が好ましく、より好ましくは400以下、特に好ましくは200以下である。斯かる低分子量とすることで、無機微粒子表面を急速に占有し、無機微粒子同士の凝集を妨げることが可能であると推定される。
上記(i)の反応性無機微粒子Bに用いられる上記表面修飾化合物は、表面修飾のための反応条件下で好ましくは液体であり、分散媒中に溶解可能であるか又は少なくとも乳化可能であるのが好ましい。中でも分散媒中で溶解し、分散媒中で離散した分子又は分子イオンとして一様に分布して存在することが好ましい。
飽和又は不飽和カルボン酸としては、1〜24の炭素原子を有しており、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、琥珀酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びステアリン酸、並びに対応する酸無水物、塩化物、エステル及びアミド、例えばカプロラクタム等が挙げられる。前記カルボン酸には、炭素鎖がO‐基、S‐基又はNH‐基により遮断されるものも含まれる。特に好ましいものとしては、カルボン酸モノエーテルやカルボン酸ポリエーテルなどのカルボン酸エーテル、並びに対応する酸水化物、エステル及びアミド(例えば、メトキシ酢酸、3,6‐ジオキサヘプタン酸及び3,6,9‐トリオキサデカン酸)等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸を用いると、重合性不飽和基を導入することができる。
好ましいアミンの例は、一般式Q3−nNH(n=0,1又は2)を有するものであり、残基Qは独立して、1〜12、更に好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル及びブチル)、並びに6〜24の炭素原子を有するアリール、アルカリル又はアラルキル(例えば、フェニル、ナフチル、トリル及びベンジル)を表す。また、好ましいアミンの例としては、ポリアルキレンアミンが挙げられ、具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、アニリン、N‐メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トルイジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンである。
好ましいβ‐ジカルボニル化合物は4〜12、特に5〜8の炭素原子を有するものであり、例えば、ジケトン(アセチルアセトンなど)、2,3‐ヘキサンジオン、3,5‐ヘプタンジオン、アセト酢酸、アセト酢酸‐C‐C‐アルキルエステル(アセト酢酸エチルエステルなど)、ジアセチル及びアセトニルアセトンが挙げられる。
アミノ酸の例としては、β‐アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
好ましいシランは、少なくとも1つの加水分解性基又はヒドロキシ基と、少なくとも1つの非加水分解性残基を有する加水分解性オルガノシランである。ここで加水分解性基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基及びアシルオキシ基が挙げられる。非加水分解性残基としては、反応性官能基bを有する及び/又は反応性官能基bを有しない非加水分解性残基が用いられる。また、フッ素で置換されている有機残基を少なくとも部分的に有するシランを使用しても良い。
用いられるシランとしては特に限定されないが、例えば、CH=CHSi(OOCCH、CH=CHSiCl、CH=CH−Si(OC、CH=CH−Si(OCOCH、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OOCCH、γ‐グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ‐グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N‐(2−アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐[N’‐(2’‐アミノエチル)‐2‐アミノエチル]‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2‐[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス‐(ヒドロキシエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐ヒドロキシエチル‐N‐メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3‐(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン及び3‐(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
官能基を有する金属化合物としては、元素周期表の第1群III〜V及び/又は第2群II〜IVからの金属Mの金属化合物が挙げられる。斯かる金属化合物としては、例えば、ジルコニウム及びチタニウムのアルコキシド、M(OR)(M=Ti、Zr)、(式中、OR基の一部はβ‐ジカルボニル化合物又はモノカルボン酸などの錯生成剤により置換される)が挙げられる。重合性不飽和基を有する化合物(メタクリル酸など)が錯生成剤として使用される場合には、重合性不飽和基を導入することができる。
分散媒として、水及び/又は有機溶媒が好適に使用される。特に好ましい分散媒は、蒸留された(純粋な)水である。有機溶媒として、極性及び非極性及び非プロトン性溶媒が好ましい。それらの例として、炭素数1〜6の脂肪族アルコール(特にメタノール、エタノール、n‐及びi‐プロパノール及びブタノール)等のアルコール、アセトン及びブタノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピラン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類;スルホラン及びジメチルスルホキシド等のスルホキシド類及びスルホン類;及びペンタン、ヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族(任意にハロゲン化された)炭化水素類が挙げられる。これらの分散媒は混合物として使用することができる。
分散媒は、蒸留(任意に減圧下)により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
(i)の反応性無機微粒子Bの調製に際し、分散媒の濃度は、通常40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%、特に55〜75重量%である。分散液の残りは、未処理の無機微粒子及び上記表面修飾化合物から構成される。ここで、無機微粒子/表面修飾化合物の重量比は、100:1〜4:1とすることが好ましく、より好ましくは50:1〜8:1、特に好ましくは25:1〜10:1である。
(i)の反応性無機微粒子Bの調製は、好ましくは室温(約20℃)〜分散媒の沸点で行われる。特に好ましくは、分散温度は50〜100℃である。分散時間は、特に使用される材料の種類に依存するが、一般に数分から数時間、例えば1〜24時間である。
(ii)無機微粒子に導入する反応性官能基b、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基、を含む化合物と、コアとなる無機微粒子としての金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基bを有する無機微粒子。
化学式(1)
−Q−C(=Q)−NH−
(化学式(1)中、Qは、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示す。)
上記(ii)の反応性無機微粒子Bを用いる場合には、有機成分量向上の点から分散性、および膜強度がより高まるという利点がある。
まず、無機微粒子に導入する反応性官能基b、上記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基、を含む化合物(以下、反応性官能基修飾加水分解性シランという場合がある)について説明する。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、無機微粒子に導入する反応性官能基は、上記バインダー成分Cと反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような重合性不飽和基を導入するのに適している。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、上記化学式(1)に示す基[−Q−C(=Q)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1種を併用することが好ましい。前記化学式(1)に示す基[−Q−C(=Q)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与することが可能になると考えられる。
また、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する基を挙げることができ、アルコキシシリル基又はアリールオキシシリル基が好ましい。シラノール基又は、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、金属酸化物微粒子と結合することができる。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランの好ましい具体例としては、例えば、下記化学式(2)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2009086361
化学式(2)中、R、Rは同一でも異なっていてもよいが、水素原子、CからCのアルキル基、又はアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここでmは、1、2又は3である。
[(RO) 3−mSi‐]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。斯かる基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
はCからC12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。斯かる有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
また、Rは2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記化学式(1)に示す基を含むこともできる。
は(n+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Y’は反応性官能基を有する1価の有機基を示す。上述のような反応性官能基そのものであっても良い。例えば、反応性官能基bを重合性不飽和基から選択する場合、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、(メタ)アクリルアミド基等を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
本発明で用いられる反応性官能基修飾加水分解性シランの合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。すなわち、例えば、重合性不飽和基を導入する場合、(イ)メルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応可能な活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。また、(ロ)分子中にアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有する化合物と、活性水素基含有重合性不飽和化合物との直接的反応により行うことができる。さらに、(ハ)分子中に重合性不飽和基及びイソシアネート基を有する化合物と、メルカプトアルコキシシラン又はアミノシランとの付加反応により直接合成することもできる。
(ii)の反応性無機微粒子Bの製造においては、反応性官能基修飾加水分解性シランを別途加水分解操作を行った後、これと無機微粒子を混合し、加熱、攪拌操作を行う方法、反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解を無機微粒子の存在下に行う方法、又は、他の成分、例えば、多価不飽和有機化合物、単価不飽和有機化合物、放射線重合開始剤等の存在下、無機微粒子の表面処理を行う方法を選ぶことができるが、反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解を無機微粒子の存在下行う方法が好ましい。(ii)の反応性無機微粒子Bを製造する際、その温度は、通常20℃以上150℃以下であり、また処理時間は5分〜24時間の範囲である。
加水分解反応を促進するため、触媒として酸、塩又は塩基を添加してもよい。酸としては、有機酸及び不飽和有機酸;塩基としては、3級アミン及び4級アンモニウムヒドロキシドが好適な物として挙げられる。これら酸、塩基触媒の添加量は反応性官能基修飾加水分解性シランに対して0.001〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。
反応性無機微粒子Bとしては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子を用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点から微粒子を溶剤分散ゾルとしたものを用いることが好ましい。
反応性無機微粒子Bの含有量は、前記防眩層形成用樹脂組成物の全固形分に対して、2〜30重量%であることが、前記反応性無機微粒子Bの含有量を抑えつつ、十分な耐擦傷性が得られるため好ましい。更に2〜15重量部であることが好ましい。2重量部未満の場合、防眩層表面の硬度が不十分となる恐れがあり、30重量部超過の場合、充填率が上がり過ぎ、かえって膜強度が下がってしまう恐れがある。
前記反応性無機微粒子Bの含有量は、前記透光性微粒子Aの全量100重量部に対し、70〜1000重量部であることが好ましく、更に好ましくは80〜750重量部であり、特に好ましくは150〜500重量部である。反応性無機微粒子Bの含有量が70重量部未満の場合には、防眩層の凹凸層に所望の凹凸形状を形成することができず、防眩性が低下し、膜強度を上げることができない。一方、1000重量部を超える場合には、前記反応性無機微粒子Bのコストが上がることに加え、当該無機微粒子Bが凝集しやすくなるため、コントラストの低下につながる。
<2−3.防眩層の硬化性バインダー系>
本明細書において、防眩層の硬化性バインダー系の構成成分とは、バインダー成分Cの他に、必要に応じてバインダー成分C以外の硬化性バインダー成分、ポリマー成分、重合開始剤等の硬化後に防眩層のマトリクス成分となるものを表す。
<2−3−1.バインダー成分C>
本発明に係る防眩層形成用樹脂組成物において、バインダー成分Cは、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bと架橋反応性を有する反応性官能基cを有し、当該反応性官能基bと当該反応性官能基cが架橋結合し、網目構造が形成される。また、当該バインダー成分Cは、十分な架橋性を得るために、当該反応性官能基cを1分子あたり3つ以上有することが好ましい。当該反応性官能基cとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
また、バインダー成分Cの反応性官能基cは、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bの他、後述するハードコート層形成用樹脂組成物に含まれる反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及びバインダー成分Eの反応性官能基eとも架橋結合を形成し得ることが、膜強度を向上させられ、且つ、前記防眩層と前記ハードコート層の層界面で架橋結合を形成することにより当該層間の密着性を高められる点から好ましい。
バインダー成分Cとしては、硬化性有機樹脂が好ましく、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましい。その具体例としては、紫外線若しくは電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂など、塗工時に固形分を調整するための溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)との混合物、又は熱硬化型樹脂の三種類が挙げられ、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、(メタ)アクリレート基等のラジカル重合性官能基を有する化合物、例えば、(メタ)アクリレート系のオリゴマー、プレポリマー、又は単量体(モノマー)が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリレート系オリゴマー又はプレポリマーとしては、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリル酸エステルから成るオリゴマー又はプレポリマーが挙げられる。また、(メタ)アクリレート系単量体としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系化合物以外の例としては、スチレン、メチルスチレン、N‐ビニルピロリドン等の単官能又は多官能単量体、又はビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、芳香族ビニルエーテル、脂肪族ビニルエーテル等のオリゴマー又はプレポリマー等のカチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤又は光重合促進剤として増感剤を添加することができる。
光重合開始剤の具体例としては、ラジカル重合性官能基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α‐アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、ベンゾイン類、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、アシルホスフィンオキシド類、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン、等が挙げられ、これらを単独で、又は混合して用いる。1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトンは、例えば商品名イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として入手可能である。また、α‐アミノアルキルフェノン類としては、例えば商品名イルガキュア907、369として入手可能である。
カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。
また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n‐ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ‐n‐ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は一般的に例示されるものが利用される。溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、2,6‐キシレノールの重合体)、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類)、シリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン)、ゴム又はエラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ゴム、スチレン‐ブタジエン共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム)等が好ましい。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
<2−3−2.その他の成分>
本発明に係る防眩層には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記必須成分の他に、機能を付与するために添加剤を混合しても良い。当該添加剤としては、例えば、レベリング剤、溶剤、帯電防止剤、重合開始剤、防汚染剤等が挙げられる。
<2−3−2−1.レベリング剤>
本発明の防眩層形成用樹脂組成物には、レベリング剤を添加することができ、中でも、フッ素系又はシリコーン系等のレベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤を添加した防眩層形成用樹脂組成物は、塗布又は乾燥時に塗膜表面に対して塗工安定性、滑り性、防汚染性、及び耐擦傷性を付与することができる。
<2−3−2−2.溶剤>
バインダー成分Cの種類、量によっては、液状媒体としても機能し得ることがあるので、溶剤を用いなくても防眩層形成用樹脂組成物を塗工できる場合がある。従って、適宜、固形成分を溶解分散し、濃度を調整して、塗工性に優れた防眩層形成用樹脂組成物を調製するために溶剤を使用すれば良い。
溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素またはこれらの混合物が挙げられる。
<2−3−2−3.帯電防止剤>
前記防眩層には、静電気の発生を抑えてゴミの付着を防止したり、液晶ディスプレイ等に組みこまれた際の外部からの静電気障害を防止するために、必要に応じて帯電防止剤を添加してもよい。この場合の帯電防止性能としては防眩フィルム形成後の表面抵抗が1012Ω/□以下となることが好ましい。しかし、表面抵抗が1012Ω/□以上であっても、帯電防止剤を添加することにより、帯電防止剤を添加しない防眩フィルムに比べて、埃付着が抑えられやすくなる。
帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤;アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性帯電防止剤;アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性の帯電防止剤;ポリアセチレンやポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性ポリマーにドーパントを組合せたもの(例えば3,4‐エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等)の導電性ポリマー;スズやチタンのアルコキシドのような有機金属化合物やそれらのアセチルアセトナート塩の様な金属キレート化合物等の各種界面活性剤型帯電防止剤;さらには上記の如き帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤等が挙げられる。また、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基、金属キレート部を有し電離放射線により重合可能なモノマーやオリゴマー、そして電離放射線により重合可能な官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性帯電防止剤を挙げることができる。
その他の帯電防止剤として、粒径が100nm以下の微粒子、例えば酸化スズ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化アンチモン、酸化インジウム等を挙げることができる。特に、粒径を可視光線の波長以下の100nm以下とすることで、帯電防止層の透明性を確保しやすくなり、防眩フィルムの透明性が損なわれにくくなるという利点が発揮される。
<2−4.防眩層形成用樹脂組成物の調製>
本発明に係る防眩層形成用樹脂組成物は、一般的な調製法に従って、上記成分を混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。透光性微粒子A及び反応性無機微粒子Bが溶剤中に分散された状態で得られる場合には、その分散状態のまま、前記硬化性バインダー系、溶剤を含むその他の成分を適宜加え、混合し分散処理することにより調製される。
<3.ハードコート層>
本発明に係るハードコート層は、
少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基dを表面に有する反応性無機微粒子D、及び、
前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、及び前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基dとの架橋反応性を有する反応性官能基eを有するバインダー成分Eを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる。前記反応性無機微粒子Dは、硬度に優れ、バインダー成分Eと架橋結合を形成可能であるため、当該ハードコート層は、優れた耐擦傷性を有する。
以下、硬化性を有するハードコート層形成用樹脂組成物の必須成分である反応性無機微粒子D、及びバインダー成分E、並びに、必要に応じて適宜配合されるその他の成分について順に説明する。
<3−1.反応性無機微粒子D>
本発明に係るハードコート層は、耐擦傷性を有するように硬度を向上させることを目的として、上記反応性無機微粒子Dを含有する。当該反応性無機微粒子Dは、ハードコート層に更に機能を付与するものであっても良く、目的に合わせて適宜選択して用いる。
当該反応性無機微粒子Dとしては、上記防眩層で述べた反応性無機微粒子Bと同様の材料、形状、表面処理のものを用いることができる。
当該反応性無機微粒子Dの平均粒径は、5nm以上120nm以下が好ましく、10nm以上80nm以下がより好ましい。
本発明に係るハードコート層は、前記防眩層中の前記反応性無機微粒子Bの様に、前記反応性無機微粒子Dの平均粒径を一定の値とすることにより、当該ハードコート層中の前記反応性無機微粒子Dの分布を制御することもできる。前記反応性無機微粒子Dの平均粒径を5nm以上30nm未満とした場合には、当該ハードコート層の透明基材とは反対側の界面付近に前記反応性無機微粒子Dの平均粒子数が多い領域が形成され、前記反応性無機微粒子Dの平均粒径を30nm以上100nm以下とした場合には、当該ハードコート層の透明基材とは反対側の界面付近に前記反応性無機微粒子Dの平均粒子数が少ない領域が形成される。
前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基dは、バインダー成分Eの反応性官能基eと架橋結合を形成することができる。また、当該反応性官能基dは、さらに、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、及び前記バインダー成分Cの反応性官能基cとも架橋結合を形成できることが、膜強度を向上させられ、且つ、前記防眩層と前記ハードコート層の層界面で架橋結合を形成することにより当該層間の密着性を高められる点から好ましい。
<3−2.ハードコート層の硬化性バインダー系>
本明細書において、ハードコート層の硬化性バインダー系の構成成分とは、バインダー成分Eの他に、必要に応じてバインダー成分E以外の硬化性バインダー成分、ポリマー成分、重合開始剤等の硬化後にハードコート層のマトリクス成分となるものを表す。
<3−2−1.バインダー成分E>
本発明に係るハードコート層形成用樹脂組成物において、バインダー成分Eは、前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基dと架橋反応性を有する反応性官能基eを有し、当該反応性官能基dと当該反応性官能基eが架橋結合し、網目構造が形成される。また、当該バインダー成分Eは、十分な架橋性を得るために、当該反応性官能基eを1分子あたり3つ以上有することが好ましい。当該反応性官能基eとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
また、バインダー成分Eの反応性官能基eは、前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基dの他、前述した防眩層形成用樹脂組成物に含まれる反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、及びバインダー成分Cの反応性官能基cとも架橋結合を形成し得ることが、膜強度を向上させられ、且つ、前記防眩層と前記ハードコート層の層界面で架橋結合を形成することにより当該層間の密着性を高められる点から好ましい。
バインダー成分Eとしては、硬化性有機樹脂が好ましく、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましく、紫外線または電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。
本発明に係るハードコート層において、バインダー成分Eは前記防眩層のバインダー成分Cと同じものを用いても良い。また、当該ハードコート層の硬度を向上させる点から、下記化学式(3)で表されるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(F)と2つ以上の反応性官能基eを有する分子量が10000未満の化合物(G)とを組み合わせて用いることが好ましい。
Figure 2009086361
化学式(3)において、Xは直鎖、分枝、若しくは環状の炭化水素鎖が単独又は組み合わされてなり、当該炭化水素鎖は置換基を有していても良く、また当該炭化水素鎖間には異種原子が含まれていても良い、前記置換基を除いた炭素数が3〜10の3価以上の有機基である。kは3〜10の整数を表す。L〜Lはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基、又は、直接結合である。R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜4の直鎖又は分岐の炭化水素基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ独立の数である。Y〜Yはそれぞれ独立に、1つ以上の反応性官能基eを有する化合物残基を示す。
前記ポリマー(F)、前記化合物(G)、及び前記反応性無機微粒子Dが互いに反応可能であり、当該ポリマー(F)が、当該化合物(G)及び当該反応性無機微粒子Dの両方と架橋結合を形成するため、ハードコート層に十分な耐擦傷性を持たせることができると推定される。
<3−2−1−1.化学式(3)で表されるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(F)>
前記ポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(F)は、下記化学式(3)で表され、末端に3つ以上の反応性官能基eを有する分子量が1000以上のポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマーである。
Figure 2009086361
化学式(3)において、Xは直鎖、分枝、若しくは環状の炭化水素鎖が単独又は組み合わされてなり、当該炭化水素鎖は置換基を有していても良く、また当該炭化水素鎖間には異種原子が含まれていても良い、前記置換基を除いた炭素数が3〜10の3価以上の有機基である。kは3〜10の整数を表す。L〜Lはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基、又は、直接結合である。R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜4の直鎖又は分岐の炭化水素基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ独立の数である。Y〜Yはそれぞれ独立に、1つ以上の反応性官能基eを有する化合物残基を示す。
化学式(3)で表されるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(F)において、Xは、線状側鎖であるポリアルキレンオキシド鎖(O‐Rnk部分が出ている分岐点をk個有する短い主鎖に該当する。
上記炭化水素鎖は、−CH−のような飽和炭化水素又は−CH=CH−のような不飽和炭化水素を含むものである。環状の炭化水素鎖は、脂環式化合物からなるものであっても良いし、芳香族化合物からなるものであっても良い。また、炭化水素鎖間にはO、S等の異種原子が含まれていても良く、炭化水素鎖間にエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合等を含んでいても良い。なお、直鎖や環状の炭化水素鎖に対して異種原子を介して分岐している炭化水素鎖は、後述する置換基の炭素数として数えられる。
上記炭化水素鎖に有していても良い置換基としては、具体的にはハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等が挙げられるが特に限定されない。上記炭化水素鎖に有していても良い置換基には、上述のように直鎖や環状の炭化水素鎖に対して異種原子を介して分岐している炭化水素鎖も含まれ、例えば、アルコキシ基(RO−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、または環状の炭化水素鎖である。)、アルキルチオエーテル基(RS−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、または環状の炭化水素鎖である。)、アルキルエステル基(RCOO−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、または環状の炭化水素鎖である。)等が挙げられる。
Xは、前記置換基を除いた炭素数が3〜10の3価以上の有機基である。Xの前記置換基を除いた炭素数が3未満であると、線状側鎖であるポリアルキレンオキシド鎖(O‐Rnk部分を3個以上有することが困難となる。一方、Xの前記置換基を除いた炭素数が10を超えると、柔軟な部分が増え硬化膜の硬度が低下し、好ましくない。上記置換基を除いた炭素数の炭素数は、好ましくは3〜7であり、更に好ましくは3〜5である。
Xとしては、上記条件を満たせば特に限定されない。例えば、下記構造を有するものが挙げられる。
Figure 2009086361
中でも、好適な構造としては、上記構造(x−1)、(x−2)、(x−3)、(x−7)等が挙げられる。
Xの原料としては、中でも、1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等、水酸基を分子中に3個以上有する炭素数が3〜10の多価アルコール類や、カルボキシル基を分子中に3個以上有する炭素数が3〜10の多価カルボン酸類や、アミノ基を分子中に3個以上有する炭素数が3〜10の多価アミン酸類等が好適に用いられる。
化学式(3)において、上記kは、分子中に有するポリアルキレンオキシド鎖(O‐Rnkの数を表し、3〜10の整数を表す。kが3未満、すなわちポリアルキレンオキシド鎖が2つでは、十分な硬度が得られない。またkが10を超えると、柔軟な部分が増え硬化膜の硬度が低下し好ましくない。上記kは、好ましくは3〜7であり、更に好ましくは3〜5である。
化学式(3)において、上記L〜Lはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基、又は、直接結合である。エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基とは、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、ウレタン結合(−NHCOO−)そのものであっても良い。これらの結合は分子鎖が広がりやすく自由度が高いため、他の樹脂成分との相溶性を実現しやすい。
エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基としては、例えば、−O−R−O−、−O(C=O)−R−O−、−O(C=O)−R−(C=O)O−、−(C=O)O−R−O−、−(C=O)O−R−(C=O)O−、−(C=O)O−R−O(C=O)−、−NHCOO−R−O−、−NHCOO−R−O(C=O)NH−、−O(C=O)NH−R−O−、−O(C=O)NH−R−O(C=O)NH−、−NHCOO−R−O(C=O)NH−、−NHCOO−R−(C=O)O−、−O(C=O)NH−R−(C=O)O−、−NHCOO−R−O(C=O)−、−O(C=O)NH−R−O(C=O)−等が挙げられる。ここでRは、飽和又は不飽和の、直鎖、分枝、または環状の炭化水素鎖を示す。
上記2価の基の具体例としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等のジオールや、フマル酸、マレイン酸、コハク酸等のジカルボン酸、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート等のジイソシアネート等の活性水素を除いた残基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
化学式(3)において、(O−Rnkは、アルキレンオキシドが繰り返し単位の線状側鎖であるポリアルキレンオキシド鎖である。ここでR〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜4の直鎖又は分岐の炭化水素基である。アルキレンオキシドとしては、メチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド等が挙げられるが、炭素数2〜3の直鎖又は分岐の炭化水素基であるエチレンオキシド、プロピレンオキシドが好適に用いられる。
アルキレンオキシドR‐Oの繰り返し単位数であるn1、n2・・・nkはそれぞれ独立の数である。n1、n2・・・nkは、分子全体として重量平均分子量が1000以上であることを満たせば特に限定されない。n1、n2・・・nkは、それぞれ異なっていても良いが、鎖長がほぼ同様であることがハードコート層を形成した際の硬度を維持しつつクラックを抑制する点から好ましい。従って、n1、n2・・・nkの差はそれぞれ0〜100程度、更に0〜50程度、特に0〜10程度であることが好ましい。
ハードコート層を形成した際の硬度を維持しつつクラックを抑制する点から、n1、n2・・・nkはそれぞれ2〜500の数であることが好ましく、更に2〜300の数であることが好ましい。
〜Yはそれぞれ独立に、反応性官能基e、又は、1つ以上の反応性官能基eを有する化合物残基を示す。これにより、当該ポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマーの末端に3つ以上の反応性官能基eがもたらされる。
〜Yが反応性官能基eそのものである場合、Y〜Yとしては例えば、(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和基が挙げられる。
また、Y〜Yが1つ以上の反応性官能基eを有する化合物残基の場合の反応性官能基eとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基(CH=CH−)、CH=CR−(ここでRは炭化水素基)等の重合性不飽和基が挙げられる。後述する化合物(G)や反応性無機微粒子Dと反応可能なように、適宜反応性官能基eを選択すれば、化合物残基としては特に限定されない。Y〜Yが化合物残基の場合、当該Y〜Yが有する反応性官能基eの数は、1つでも良いが、2つ以上であることが更に架橋密度を上げることができ、ハードコート層とした際の硬度の点から好ましい。
〜Yが1つ以上の反応性官能基eを有する化合物残基である場合、当該化合物残基は、少なくとも1つ以上の反応性官能基eと当該反応性官能基eとは別に更に反応性置換基を有する化合物から、当該反応性置換基又は当該反応性置換基の一部(水素等)を除いた残基である。
例えばエチレン性不飽和基を有する化合物残基としては、具体的には例えば、以下の化合物のエチレン性不飽和基以外の反応性置換基又は反応性置換基の一部(水素等)を除いた残基が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、本発明に用いられるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(F)の分子量は、硬化膜に柔軟性を与え、クラックを防止する点から、1000以上であり、更に好ましくは5000以上、特に好ましくは10000以上である。
上記化学式(3)で表されるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(F)を含有する市販品としては、例えば、商品名ビームセット371(荒川化学工業製)、商品名ダイヤビームUK−4153(三菱レイヨン製;化学式(3)において、Xが(x−7)、kは3、L〜Lはそれぞれ直接結合、R〜Rはそれぞれエチレンであり、n1、n2、n3の合計が20、Y〜Yはそれぞれアクリロイルオキシ基である。)等が挙げられる。
前記ポリマー(F)の含有量は、後述する前記化合物(G)100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、10〜50重量部であることが更に好ましい。前記ポリマー(F)の含有量は、後述する前記化合物(G)100重量部に対して5重量部以上であれば、硬化膜に柔軟性と復元性を付与でき、100重量部以下であれば、硬化膜の硬さを維持できる。
<3−2−1−2.2つ以上の反応性官能基eを有する分子量が10000未満の化合物(G)>
2つ以上の反応性官能基eを有する分子量が10000未満の化合物(G)は、前述の反応性無機微粒子Aと相俟って、樹脂組成物の硬化膜の硬度を向上させ、十分な耐擦傷性を付与する機能を有するものである。なお、上記ポリマー(F)の構造を有するものは、2つ以上の反応性官能基eを有する分子量が10000未満の化合物(G)から除かれる。
本発明において当該化合物(G)は、上記ポリマー(F)と前述の反応性無機微粒子Aとの組み合わせにおいて、互いに反応可能な反応性官能基eを有し、充分な耐擦傷性を有する広範な化合物から適宜選択して用いることができる。当該化合物(G)としては、1種単独で用いても良いが、2種以上を適宜混合して用いても良い。
2つ以上の反応性官能基eを有する分子量が10000未満の化合物(G)は、1分子中に含まれる反応性官能基eが3個以上であることが、硬化膜の架橋密度をあげて、硬度を付与する点から好ましい。ここで化合物(G)が分子量分布を有するオリゴマーの場合、反応性官能基e数は、平均の個数で表される。
また、化合物(G)の分子量は、硬度向上の点から、5000未満であることが好ましい。
以下に具体例を挙げるが、本発明に用いられる化合物(G)は、これらに限定されるものではない。
重合性不飽和基を有する具体例として、重合性不飽和基を1分子内に2つ以上有する多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、イソシアヌール酸EO変性トリ(メタ)アクリレート(東亞合成製アロニックスM−315等)、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、フタル酸水素−(2,2,2−トリ−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品等の3官能(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品等の5官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品等の6官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
(メタ)アクリレート系オリゴマー(乃至プレポリマー)としては、例えば、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸若しくはカルボン酸塩基を持つモノマーとの付加反応によって得られるエポキシ(メタ)アクリレート類;ポリオールとポリイソシアネートとの反応物と水酸基を含有する(メタ)アクリレートとの付加反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート類;ポリオールと多塩基酸から成るポリエステルポリオールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化によって得られるポリエステルアクリレート類;ポリブタジエン又は水添ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリル化合物であるポリブタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。本発明における必須成分が有する反応性官能基eが重合性不飽和基の場合、中でもウレタン(メタ)アクリレートは、硬化膜に硬度と柔軟性を与える点から、好適に用いられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレート類に用いられるグリシジルエーテルとしては、例えば、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、カルドエポキシ樹脂、グリセロールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられるポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンポリオール、ポリエステルジオール等が挙げられる。上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメレチンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられる水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記ポリエステルアクリレート類に用いられるポリエステルポリオールを形成するためのポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、多塩基酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
また、本発明に用いられる化合物(G)としては、分子量が10000未満である下記化学式(4)で表される重合体も用いることができる。
Figure 2009086361

化学式(4)中、L’は炭素数1〜10の連結基を表し、qは0又は1を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Jは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。o、pは各重合単位のモル%である。pは0であっても良い。
化学式(4)中のL’は炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
化学式(4)中の連結基L’の好ましい例としては、*−(CH−O−**、*−(CH−NH−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−(CH)−O−**、*−CONH−(CH−O−**、*−CHCH(OH)CH−O−**、*−CHCHOCONH(CH−O−**等が挙げられる。ここで、*は、ポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は、(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。
化学式(4)中、Rは水素原子、又はメチル基を表すが、硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
化学式(4)においてoは100モル%、すなわち単独の重合体であっても良い。また、oが100モル%であっても、oモル%で表された(メタ)アクリロイル基を含有する重合単位が2種以上混合して用いられた共重合体であってもよい。oとpの比は、特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができる。
化学式(4)中、Jは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができる。
また、重量平均分子量が10000未満である、末端や側鎖にエチレン性不飽和結合を有する反応性オリゴマーも用いることができる。当該反応性オリゴマーとしては、骨格成分がポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(アクリロニトリル/スチレン)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル/(メタ)アクリル酸メチル)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル/(メタ)アクリル酸ブチル)、及び、これらの樹脂とシリコーン樹脂との共重合体等が挙げられる。
以上の化合物については市販品を用いることができる。重量平均分子量が10000未満であり、且つ、2以上の重合性不飽和基を有するウレタンアクリレートとしては、共栄社化学(株)製 商品名AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I等;日本合成化学工業(株)製 商品名UV−1700B、UV−3000B、UV−3200B、UV−6300B、UV−6330B、UV−7000B等;荒川化学工業(株)製 商品名ビームセット500シリーズ(502H、504H、550B等);新中村化学工業(株)製 商品名U−6HA、U−15HA、UA−32P、U−324A等;東亞合成(株)製 商品名M−9050等が挙げられる。中でも、本発明の前記ポリマー(F)との組み合わせにおいて好適に用いられるウレタン(メタ)アクリレートとしては、イソホロンジイソシアネートの単量体又は多量体とペンタエリスリトール多官能アクリレートとジペンタエリスリトール多官能アクリレートとを反応して得られるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。当該ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、商品名UV−1700B(日本合成化学工業(株)製)が挙げられる。
また、重量平均分子量が10000未満であり、且つ、2以上の重合性不飽和基を有するエポキシアクリレートとしては、昭和高分子製 商品名SPシリーズ(SP−4060、1450等)、VRシリーズ(VR−60、1950;VR−90、1100等)等;日本合成化学工業(株)製 商品名UV−9100B、UV−9170B等;新中村化学工業(株)製 商品名EA−6320/PGMAc、EA−6340/PGMAc等が挙げられる。
また、重量平均分子量が10000未満であり、且つ、2以上の重合性不飽和基を有する反応性オリゴマーとしては、東亞合成(株)製 商品名マクロモノマーシリーズ AA−6、AS−6、AB−6、AA−714SK等が挙げられる。
<3−2−2.その他の成分>
本発明に係るハードコート層には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記必須成分の他に、機能を付与するために添加剤を混合しても良い。当該添加剤としては、例えば、重合開始剤、レベリング剤、溶剤、帯電防止剤、防汚染剤等が挙げられる。
<3−2−2−1.重合開始剤>
本発明においては、上記ラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基の開始又は促進させるために、必要に応じてラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いても良い。これらの重合開始剤は、光照射及び/又は加熱により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
ラジカル重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)(商品名イルガキュア784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、カチオン重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η6‐ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示され、さらに具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ラジカル重合開始剤としても、カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示され、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<3−2−2−2.溶剤>
バインダー成Eの種類、量によっては、液状媒体としても機能し得ることがあるので、溶剤を用いなくてもハードコート層形成用樹脂組成物を塗工できる場合がある。従って、適宜、固形成分を溶解分散し、濃度を調整して、塗工性に優れたハードコート層形成用樹脂組成物を調製するために溶剤を使用すれば良い。
溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;またはこれらの混合物が挙げられる。より好ましい溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
<3−2−2−3.レベリング剤>
本発明のハードコート層形成用樹脂組成物には、レベリング剤を添加することができ、中でも、フッ素系又はシリコーン系等のレベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤を添加したハードコート層形成用樹脂組成物は、塗布又は乾燥時に塗膜表面に対して塗工安定性、滑り性、防汚染性、及び耐擦傷性を付与することができる。
<3−3.ハードコート層形成用樹脂組成物の調製>
本発明に係るハードコート層形成用樹脂組成物は、一般的な調製法に従って、上記成分を混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。反応性無機微粒子Dが溶剤中に分散された状態で得られる場合には、その分散状態のまま、前記硬化性バインダー系、溶剤を含むその他の成分を適宜加え、混合し分散処理することにより調製される。
本発明は、上記形態に限定されるものではない。上記形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例において、部は別途記載がない場合は、重量部を意味する。また、防眩層の厚さ(防眩層のハードコート層側界面から防眩層のハードコート層とは反対側の凹部表面までの厚さ)は、防眩フィルム断面のTEM写真において、5箇所を測定し、その平均値とした。同様に、ハードコート層の厚さ(ハードコート層の透明基材フィルム側界面からハードコート層の防眩層側界面までの厚さ)も、防眩フィルム断面のTEM写真において、5箇所を測定し、その平均値とした。
<製造例1.反応性無機微粒子B(1)の調製>
(1)表面吸着イオン除去
粒径30nmの水分散コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス50、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を陽イオン交換樹脂(商品名:ダイヤイオンSK1B、三菱化学(株)製)400gを用いて3時間イオン交換を行い、次いで、陰イオン交換樹脂(商品名:ダイヤイオンSA20A、三菱化学(株)製)200gを用いて3時間イオン交換を行った後、洗浄し固形分濃度20重量%のシリカ微粒子の水分散体を得た。
この時、シリカ微粒子の水分散体のNaO含有量は、シリカ微粒子当たり各7ppmであった。
(2)表面処理(単官能モノマーの導入)
上記(1)の処理を行ったシリカ微粒子の水分散液10gに150mLのイソプロパノール、4.0gの3,6,9−トリオキサデカン酸、及び4.0gのメタクリル酸を加え、30分間撹拌し混合した。
得られた混合液を、60℃で5時間加熱しながら撹拌する事で、シリカ微粒子表面にメタクリロイル基が導入されたシリカ微粒子分散液を得た。得られたシリカ微粒子分散液を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸留水、及びイソプロパノールを留去させ、乾固させないようにメチルエチルケトンを加えながら、最終的に残留する水やイソプロパノールを0.1重量%とし、固形分50重量%のシリカ分散メチルエチルケトン溶液を得た。
このようにして得られたシリカ微粒子(反応性無機微粒子B(1))は、日機装(株)社製、Nanotrac粒度分析計により測定した結果、d50=30nmの平均粒径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は、熱重量分析法により測定した結果2.73×10−3g/mであった。また、得られた反応性無機微粒子B(1)の比重は、2.1だった。尚、実施例において、製造例1の微粒子の表面修飾方法を修飾方法1とする。
<製造例2.反応性無機微粒子B(2)の調製>
(1)表面吸着イオン除去
粒径90nmの水分散コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスZL、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を用いて、製造例1と同様に、表面吸着イオンを除去したシリカ微粒子の水分散液を得た。
(2)表面処理(多官能モノマーの導入)
製造例1において、メタクリル酸を、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名:SR399、サートマー(株)製)に変更した以外は、製造例1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子B(2)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=90nmの平均粒径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果、2.15×10−3g/mであった。また、得られた反応性無機微粒子B(2)の比重は、2.1だった。尚、実施例において、製造例2の微粒子の表面修飾方法を修飾方法2とする。
<製造例3.反応性無機微粒子B(3)の調製>
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8重量部、ジブチルスズジラウレート0.2重量部からなる溶液に対し、イソフォロンジイソシアネート20.6重量部を撹拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間撹拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4重量部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱撹拌することで化合物(1)を得た。
窒素気流下、粒径60nmのメタノールシリカゾル(商品名:OSCALシリーズ、触媒化成工業(株)製)88.5重量部(固形分26.6重量部)、上記で合成した化合物(1)8.5重量部、p−メトキシフェノール0.01重量部の混合液を、60℃、4時間撹拌した。続いて、この混合溶液にメチルトリメトキシシラン3重量部を添加し、60℃、1時間撹拌した後、オルト蟻酸メチルエステル9重量部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱撹拌することで反応性無機微粒子B(3)を得た。
このようにして得られた反応性無機微粒子B(3)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=60nmの平均粒径を有していた。また、表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果7.08×10−3g/mであった。また、得られた反応性無機微粒子B(3)の比重は、2.1だった。尚、実施例において、製造例3の微粒子の表面修飾方法を修飾方法3とする。
<製造例4.反応性無機微粒子B(4)の調製>
(1)表面吸着イオン除去
粒径200nmの水分散コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスMP、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を用いて、製造例1と同様に、表面吸着イオンを除去したシリカ微粒子の水分散液を得た。
(2)表面処理(単官能モノマーの導入)
製造例1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子B(4)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=200nmの平均粒径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果、1.90×10−3g/mであった。また、得られた反応性無機微粒子B(4)の比重は、2.1だった。
<製造例5.反応性官能基を有しない無機微粒子の調製>
(1)表面吸着イオン除去
製造例1において、表面吸着イオンの除去のみを行い、表面処理を行わず、無機微粒子(1)を得た。
このようにして得られた無機微粒子は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=30nmの平均粒径を有していた。また、得られた無機微粒子の比重は、2.1だった。
<製造例6.反応性無機微粒子D(1)の調製>
製造例1と同様にして、反応性無機微粒子D(1)を得た。このようにして得られた反応性無機微粒子D(1)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=30nmの平均粒径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は、熱重量分析法により測定した結果2.73×10−3g/mであった。また、得られた反応性無機微粒子B(1)の比重は、2.1だった。
<製造例7.防眩層形成用樹脂組成物(1)の調製>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA):42.5重量部
・イルガキュア184(光重合開始剤):0.25重量部
・シリコーン(レベリング剤):0.1重量部
・反応性無機微粒子B(1):7.5重量部
・シリカ(透光性微粒子A)(平均粒径1μm):12重量部
・トルエン:34重量部
上記材料を十分混合し、組成物として調製した。
<製造例8.防眩層形成用樹脂組成物(2)の調製>
製造例7において、反応性無機微粒子B(1)を反応性無機微粒子B(2)にした以外は、製造例7と同様にして、防眩層形成用樹脂組成物(2)を調製した。
<製造例9.防眩層形成用樹脂組成物(3)の調製>
製造例7において、反応性無機微粒子B(1)を反応性無機微粒子B(3)にした以外は、製造例7と同様にして、防眩層形成用樹脂組成物(3)を調製した。
<製造例10.防眩層形成用樹脂組成物(4)の調製>
製造例7において、反応性無機微粒子B(1)を反応性無機微粒子B(4)にした以外は、製造例7と同様にして、防眩層形成用樹脂組成物(4)を調製した。
<製造例11.防眩層形成用樹脂組成物(5)の調製>
製造例7において、反応性無機微粒子B(1)を製造例5で得られた反応性官能基を有しない無機微粒子(1)にした以外は、製造例7と同様にして、防眩層形成用樹脂組成物(5)を調製した。
<製造例12.防眩層形成用樹脂組成物(6)の調製>
製造例7において、透光性微粒子Aの粒径0.5μmにした以外は、製造例7と同様にして、防眩層形成用樹脂組成物(6)を調製した。
<製造例13.ハードコート層形成用樹脂組成物(1)の調製>
・UV1700B(商品名、日本合成化学(株)製、ウレタンアクリレート、10官能、分子量2000):70重量部(固形分量換算値)
・反応性無機微粒子D(1):30重量部(固形分量換算値)
・メチルエチルケトン:100重量部
・イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ラジカル重合開始剤): 0.4重量部
上記材料を十分混合し、組成物として調製した。
<実施例1.防眩フィルムの作製>
厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材フィルム)の一方の側に、上記製造例13で調製したハードコート層形成用樹脂組成物(1)をミヤバーコートで3.5g/m塗工し、溶剤を蒸発乾燥後、酸素濃度を0.1%以下に保って、80W/cmの紫外線照射装置で10m/minの速度で2度照射することにより、ハードコート層を形成し、次いで、上記製造例7で調製した防眩層形成用樹脂組成物(1)をミヤバーコートで3.5g/m塗工し、溶剤を蒸発乾燥後、酸素濃度を0.1%以下に保って、80W/cmの紫外線照射装置で10m/minの速度で2度照射することにより、防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた防眩フィルムは、防眩層の厚さが1μm、ハードコート層の厚さは2μmであった。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の72%だった。
<実施例2.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層の膜厚を5μmとした以外は、実施例1と同様にして、ハードコート層の膜厚が2μmの防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の60%だった。
<実施例3.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層形成用樹脂組成物(1)を、防眩層形成用樹脂組成物(2)とした以外は、実施例1と同様にして、防眩層の膜厚が1μm、ハードコート層の膜厚が2μmの防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の57%だった。
<実施例4.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層形成用樹脂組成物(1)を、防眩層形成用樹脂組成物(2)とし、防眩層の膜厚を5μmとした以外は、実施例1と同様にして、ハードコート層の膜厚が2μmの防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の50%だった。
<実施例5.防眩フィルムの作製>
実施例1において、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩層の膜厚が1μmの防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の72%だった。
<実施例6.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層の膜厚を5μm、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の60%だった。
<実施例7.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層形成用樹脂組成物(1)を、防眩層形成用樹脂組成物(2)とし、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩層の膜厚が1μmの防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の57%だった。
<実施例8.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層形成用樹脂組成物(1)を、防眩層形成用樹脂組成物(2)とし、防眩層の膜厚を5μm、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の50%だった。
<実施例9.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層形成用樹脂組成物(1)を、防眩層形成用樹脂組成物(3)とし、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩層の膜厚が1μmの防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の62%だった。
<実施例10.防眩フィルムの作製>
実施例1において、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材フィルム)を、厚さ80μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムとし、防眩層の膜厚を5μm、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の60%だった。
<実施例11.防眩フィルムの作製>
実施例1において、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材フィルム)を、厚さ80μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとし、防眩層の膜厚を5μm、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の60%だった。
<実施例12.防眩フィルムの作製>
実施例1において、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材フィルム)を、厚さ80μmのアクリル系樹脂フィルムとし、防眩層の膜厚を5μm、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の60%だった。
<比較例1.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層の膜厚を10μmとし、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の55%だった。
<比較例2.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層形成用樹脂組成物(1)を、防眩層形成用樹脂組成物(4)とし、防眩層の膜厚を5μm、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の45%だった。
<比較例3.防眩フィルムの作製>
実施例1において、防眩層形成用樹脂組成物(1)を、防眩層形成用樹脂組成物(5)とし、防眩層の膜厚を5μm、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の120%だった。
<比較例4.防眩フィルムの作製>
実施例1において、透光性微粒子の粒径を0.5μmとし、防眩層の膜厚を5μm、ハードコート層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。また、防眩層のスキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数の72%だった。
〔評価方法〕
上記、各実施例、及び各比較例で得られた防眩フィルムについて、以下の1乃至3の評価を行った。その結果を表1に示す。
評価1.鉛筆硬度試験
得られた防眩フィルムの防眩層表面の鉛筆硬度をJIS K5600−5−4(1999)に準じて評価した。3Hの鉛筆を用いて、500g荷重で5本線を引き、その後の防眩層の傷の有無を目視し、下記の基準にて評価した。
評価基準
評価◎:傷は0〜1本であった。
評価△:傷は2〜3本であった。
評価×:傷は4〜5本であった。
評価2.正面コントラスト低下率
(偏光板の作製)
得られた防眩フィルムを55℃、2規定の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で2分間、けん化した後、片面に上記透明基材フィルムを貼り合わせた偏光板に、防眩フィルムの塗工面でない側を偏光子表面に貼合し、偏光板(A)を作製した。
(正面コントラスト(C/R)低下率測定)
ソニー製 BRAVIA 27インチのパネルの液晶セル表面側に偏光板(A)を、液晶セル裏面側には、偏光子両側にトリアセチルセルロースを貼合した偏光板をクロスニコル配置になるように貼合し、トプコンテクノハウス社製BM−5輝度計を用いてコントラストを測定した。
評価3.クラック性
得られた防眩フィルムを直径0.5cmの金属ロールに巻きつけたときのクラック発生の有無を目視により確認し、以下の基準にて評価した。
評価基準
評価○:クラックなし
評価×:クラックあり
Figure 2009086361
図1は、本発明に係る防眩フィルムの層構成を模式的に示した図である。 図2は、本発明に係る防眩フィルムの層厚み方向の断面と当該断面における幅1μmの領域の一例を模式的に示した斜視図である。 図3は、本発明に係る防眩フィルムの層厚み方向の断面と当該断面における幅1μmの領域の一例を模式的に示した図である。 図4は、本発明に係る防眩フィルムの層厚み方向の断面の幅1μmの領域における反応性無機微粒子Bの分布の様子の一例を模式的に示した図である。 図5は、本発明に係る防眩フィルムの層厚み方向の断面の幅1μmの領域における反応性無機微粒子Bの分布の様子の他の一例を模式的に示した図である。
符号の説明
1 防眩フィルム
2 防眩層
3 ハードコート層
4 透明基材フィルム
10 断面P
20 反応性無機微粒子B
30 防眩層の透明基材とは反対側の界面
40 防眩層の透明基材側の界面
50 スキン層
60 反応性無機微粒子Bが30nm以上の平均粒子間距離を取りながら均一に分布した領域
70 観察者

Claims (13)

  1. 透明基材フィルムの一面側に、透明基材フィルムに近い側からハードコート層、及び当該ハードコート層に隣接して、表面が凹凸形状を有する防眩層を設けた防眩フィルムであって、
    前記防眩層は、
    平均粒径が1μm以上10μm以下である透光性微粒子A、
    平均粒径が30nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する反応性無機微粒子B、及び、
    前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bとの架橋反応性を有する反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系を含有する防眩層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、且つ、当該防眩層の膜厚は、1μm以上5μm以下であり、
    当該防眩層の透明基材フィルムとは反対側の界面及びその近傍の表層領域に、当該表層領域よりも透明基材フィルム側の領域に比べて、当該防眩層の厚み方向断面における単位面積当りの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が少ないスキン層を有しており、
    当該スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、当該防眩層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数の80%以下であり、
    前記ハードコート層は、
    少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基dを表面に有する反応性無機微粒子D、及び、
    前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基dとの架橋反応性を有する反応性官能基eを有するバインダー成分Eを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする、防眩フィルム。
  2. 前記ハードコート層の膜厚が、2μm以上20μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の防眩フィルム。
  3. 前記ハードコート層のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験の硬度が、3H以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防眩フィルム。
  4. 前記透光性微粒子A、及び前記反応性無機微粒子Bのコアとなる無機微粒子は、シリカからなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  5. 前記反応性無機微粒子B、及び前記反応性無機微粒子Dの表面の少なくとも一部が有機成分で被覆されており、前記反応性官能基bは当該有機成分により前記反応性無機微粒子Bの表面に導入されており、当該有機成分が、被覆前の無機微粒子の単位表面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれ、前記反応性官能基dは当該有機成分により前記反応性無機微粒子Dの表面に導入されており、当該有機成分が、被覆前の無機微粒子の単位表面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  6. 前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、前記バインダー成分Cの反応性官能基c、前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及び前記バインダー成分Eの反応性官能基eは、いずれも重合性不飽和基を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  7. 前記反応性無機微粒子B、及び前記反応性無機微粒子Dが、飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  8. 前記表面修飾化合物が、水素結合形成基を有する化合物であることを特徴とする、請求項7に記載の防眩フィルム。
  9. 前記表面修飾化合物の少なくとも1種が、前記反応性官能基b、及び前記反応性官能基dとなる重合性不飽和基を有することを特徴とする、請求項8に記載の防眩フィルム。
  10. 前記反応性無機微粒子Bが、被覆前の無機微粒子表面に導入される反応性官能基b、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られ、前記反応性無機微粒子Dが、被覆前の無機微粒子表面に導入される反応性官能基d、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
    化学式(1)
    −Q−C(=Q)−NH−
    (化学式(1)中、Qは、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示す。)
  11. 前記バインダー成分Cが、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及び前記バインダー成分Eの反応性官能基eと結合可能な反応性官能基cを3つ以上有する化合物であり、前記バインダー成分Eが、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、前記反応性無機微粒子Dの反応性官能基d、及び前記バインダー成分Cの反応性官能基cと結合可能な反応性官能基eを3つ以上有する化合物であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  12. 前記反応性無機微粒子Bの含有量が、前記防眩層形成用樹脂組成物の全固形分に対して、2〜30重量%であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  13. 前記透明基材フィルムが、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とすることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
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