JP2009084406A - エポキシ化合物組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オキサゾリドン環、ホスファゼン環およびエポキシ基を有するエポキシ化合物を少なくとも二種類含むエポキシ化合物組成物またはこれに他の樹脂成分を混合したものを成形して硬化させる。エポキシ化合物組成物は、ビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの多官能性グリシジル化合物と、イソシアナトフェノキシ−フェノキシ混合置換環状ホスファゼン化合物などのイソシアナト基を有する環状ホスファゼン化合物との反応により得られる。
【選択図】なし
Description
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(2)で示されるイソシアナトアリールオキシ基および下記の式(3)で示されるイソシアナトフェニル置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
本発明のエポキシ化合物組成物は、オキサゾリドン環、ホスファゼン環およびエポキシ基を有する化合物、すなわち、オキサゾリドン環とホスファゼン環とを同時に有するエポキシ化合物を少なくとも二種類含むものである。この組成物に含まれるエポキシ化合物は、低分子のものであってもよいし、高分子のものであってもよい。
本発明のエポキシ化合物組成物は、通常、多官能性グリシジル化合物と、イソシアナト基を有する環状ホスファゼン化合物とを反応させることで製造することができる。両化合物の反応では、グリシジル基とイソシアナト基との間の反応によりオキサゾリドン環が生成する。したがって、両化合物の反応により生成するエポキシ化合物は、このように生成するオキサゾリドン環、イソシアナト基を有する環状ホスファゼン化合物に由来のホスファゼン環および多官能性グリシジル化合物に由来のエポキシ基を有するものになる。そして、イソシアナト基を有するホスファゼン化合物は、通常、ホスファゼン環の構造が異なる数種類のものの混合物であるため、上述のような反応により、二種類以上の上記エポキシ化合物を含むエポキシ化合物組成物が得られる。
炭素数が1〜8のアルコキシ基。このアルコキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、エテニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基、1−プロピル−2−ブテニルオキシ基、5−オクテニルオキシ基、ベンジルオキシ基および2−フェニルエトキシ基等を挙げることができる。このうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、2−プロペニルオキシ基およびベンジルオキシ基が好ましく、エトキシ基およびn−プロポキシ基が特に好ましい。
炭素数が6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が特に好ましい。
下記の式(2)で示されるイソシアナトアリールオキシ基および下記の式(3)で示されるイソシアナトフェニル置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
(2n+4)個の全てのAがA3基のものである。この場合、Aは、全てが同じA3基であってもよいし、二種以上のA3基であってもよい。
(2n+4)個のAのうちの一部(すなわち、少なくとも一つ)がA3基であり、他のAがA1基およびA2基から選ばれた基のものである。この場合、A3基以外の他のAは、全てが同じA1基若しくはA2基であってもよいし、二種以上のA1基若しくはA2基または一種若しくは二種以上のA1基とA2基とが混在した状態であってもよい。
本発明のエポキシ化合物組成物は、樹脂成形体を製造するための材料として用いることができる。ここで、本発明のエポキシ化合物組成物は、それを単独で所望の形状に硬化させることで樹脂成形体を形成することができるが、樹脂成形体に所望の特性を付与するために、他の樹脂成分と混合して硬化させることで樹脂成形体を形成することもできる。以下、本発明のエポキシ化合物組成物および当該組成物と他のエポキシ樹脂とを混合した組成物を纏めて「樹脂成形体用組成物」という場合がある。
(1)エポキシ当量
エポキシ当量(g/eq.:1当量のエポキシ基を含む組成物の質量g)は、JIS K−7236「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」において規定された方法に従い測定した。
(2)軟化点
JIS K−7234(環球法)に準拠して測定した。
使用した多官能性グリシジル化合物のエポキシ当量(Ep1と称す)および重量(Wt1と称す)、並びに、当該多官能性グリシジル化合物とイソシアナト基を有する環状ホスファゼン化合物との反応により得られたエポキシ化合物組成物のエポキシ当量(Ep2と称す)および重量(Wt2と称す)とに基づき、次の式により求めた。なお、多官能性グリシジル化合物のエポキシ当量は、先に挙げたJIS K−7236「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」において規定された方法に従って測定することができる。
実施例において得られたエポキシ化合物組成物に含まれる、オキサゾリドン環に由来のカルボニル基に対するイソシアヌレート環に由来のカルボニル基の当量比を意味する。このIn/Oxd比は、フーリエ変換型赤外分光光度計(株式会社島津製作所製の「FT−IR4200」)により測定した赤外線吸収スペクトルにおける、オキサゾリドン環に由来のカルボニル基の伸縮振動ピーク(1750cm−1付近)の高さに対するイソシアヌレート環に由来のカルボニル基の伸縮振動ピーク(1690cm−1付近)の高さの比を基に算出し、0.1未満をA、0.1〜0.2をB、0.2〜0.3をC、0.3〜0.4をD、0.4以上をEと評価した。AからEに向けて、評価は低くなる。
実施例において得られたエポキシ化合物組成物に含まれる、その製造過程において多官能性グリシジル化合物のアルコール性水酸基とイソシアナト基を有する環状ホスファゼン化合物のイソシアナト基との反応により得られたウレタン結合の量を意味し、多官能性グリシジル化合物のアルコール性水酸基の量と、得られたエポキシ化合物組成物中のアルコール性水酸基の量とをそれぞれJIS K−0070(ピリジン−塩化アセチル法)に準じて求め、その差よりウレタン結合量を算出した。ここで、アルコール性水酸基の定量においては、エポキシ基1個はアルコール性水酸基2個と等価になることを考慮した。ウレタン結合量が0.05当量/kg未満をA、0.05〜0.1当量/kgをB、0.1〜0.5当量/kgをC、0.5〜0.7当量/kgをD、0.7当量/kg以上をEと評価した。AからEに向けて、評価は低くなる。
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液83.2g(1.00mol)、トルエン1,000mlおよびフェノール96.0g(1.02mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約60ml)、フェノールのナトリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却した後、テトラヒドロフラン(THF)500mlを仕込んで均一溶液とし、フェノールのナトリウム塩溶液を調製した。
フェニルC−H 6.7〜7.3(7H),7.8〜8.2(2H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 9.1
◎CHNP元素分析:
理論値 C:52.2%,H:3.3%,N:10.1%,P:11.2%
実測値 C:52.0%,H:3.5%,N:10.0%,P:11.1%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
785,830,875
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に、合成例1にて得たニトロフェノキシ−フェノキシ混合置換ホスファゼン化合物(平均組成:[N=P(OC6H5)1.00(OC6H4NO2)1.00]3)138.0g(0.50unit mol)、THF1,000ml、活性炭10gおよび塩化第二鉄・六水和物0.54g(0.002mol)を仕込み、還流温度での前処理反応を10分間行った後、ヒドラジン・一水和物50.2g(1.00mol)を添加して引き続き還流温度で8時間反応した。反応終了時には廃ガスの発生は殆どなくなっていた。反応終了後に活性炭をろ別し、濾過液よりTHFを留去したところ、黄褐色ガラス状固体の生成物121.2g(収率:98.5%)が得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
−NH2 3.3(2H),フェニルC−H 6.3〜8.0(9H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 10.6
◎CHNP元素分析:
理論値 C:58.4%,H:4.5%,N:11.4%,P:12.6%
実測値 C:58.1%,H:4.8%,N:11.1%,P:12.5%
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に、トリホスゲン48.0g(0.162mol)およびジクロロメタン500mlを仕込み、そこに合成例2にて得たアミノフェノキシ−フェノキシ混合置換ホスファゼン化合物(平均組成:[N=P(OC6H5)1.00(OC6H4NH2)1.00]3)100.0g(0.40unit mol)のジクロロメタン溶液を撹拌下10℃で6時間かけて滴下した後、還流温度(40℃)で撹拌反応を3時間行った。反応終了後、ジクロロメタンおよびホスゲンを留去したところ、茶色ガラス状固体の生成物106.3g(収率:96.2%)が得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
フェニルC−H 6.7〜8.0(9H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 9.8
◎CHNP元素分析:
理論値 C:57.4%,H:3.3%,N:10.3%,P:11.4%
実測値 C:57.2%,H:3.6%,N:10.1%,P:11.5%
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、151頁、ACADEMIC PRESS社(先に挙げた非特許文献1)に記載されている方法に従い、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンを用いて[N=P(OC6H5)2]3(白色固体/融点:112〜113℃)を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に、合成例3にて得られたイソシアナト基含有環状ホスファゼン化合物(イソシアナトフェノキシ−フェノキシ混合置換ホスファゼン化合物/推定構造:[N=P(OC6H5)1.00(OC6H4NCO)1.00]3)50.0g(0.184unit mol)、キシレン500ml、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量185g/eq.)83.5g(0.442eq.)および0.1gの1,8−ジアゾビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7を仕込み、還流温度で7時間反応した。反応終了後にキシレンを留去したところ、黄色固体の生成物が132.0g得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
オキサゾリドン環(C=O) 1749、ホスファゼン環(P=N) 1174、グリシジル基(エポキシC−O) 1240
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH3 1.6(6H),オキサゾリドン環 −CH2− 3.8(2H),4.3(2H),エポキシ −CH2− 2.8(2H),−CH< 3.3(1H),フェニルC−H 6.4〜8.2(17H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 9.8
◎エポキシ当量
520g/eq.
◎軟化点
86℃
◎オキサゾリドン当量
2,670g/eq.
◎In/Oxd比
In/Oxd比=0.1:評価=A
◎ウレタン結合量
0.05当量/kg未満:評価=A
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に、合成例3にて得たイソシアナト基含有環状ホスファゼン化合物(イソシアナトフェノキシ−フェノキシ混合置換ホスファゼン化合物/推定構造:[N=P(OC6H5)1.00(OC6H4NCO)1.00]3)50.0g(0.184unit mol)、キシレン500ml、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量185g/eq.)100.0g(0.529eq.)および0.1gの1,8−ジアゾビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7を仕込み、還流温度で8時間反応した。反応終了後にキシレンを留去したところ、黄色固体の生成物が149.3g得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
オキサゾリドン環(C=O) 1748、ホスファゼン環(P=N) 1174、グリシジル基(エポキシC−O) 1240
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH3 1.6(6H),オキサゾリドン環 −CH2− 3.8(2H),4.3(2H),エポキシ −CH2− 2.8(2H),−CH< 3.3(1H),フェニルC−H 6.4〜8.2(17H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 9.8
◎エポキシ当量
439g/eq.
◎軟化点
81℃
◎オキサゾリドン当量
2,200g/eq.
◎In/Oxd比
In/Oxd比=0.1:評価=A
◎ウレタン結合量
0.05当量/kg未満:評価=A
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に、合成例3にて得たイソシアナト基含有環状ホスファゼン化合物(イソシアナトフェノキシ−フェノキシ混合置換ホスファゼン化合物/推定構造:[N=P(OC6H5)1.00(OC6H4NCO)1.00]3)50.0g(0.184unit mol)、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量185g/eq.)100.0g(0.529eq.)および0.1gの1,8−ジアゾビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7を仕込み、無溶媒にて150℃で反応を8時間行ったところ、黄褐色固体の生成物148.9gが得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
オキサゾリドン環(C=O) 1745、ホスファゼン環(P=N) 1172、グリシジル基(エポキシC−O) 1243
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH3 1.6(6H),オキサゾリドン環 −CH2− 3.8(2H),4.3(2H),エポキシ −CH2− 2.8(2H),−CH< 3.3(1H),フェニルC−H 6.4〜8.2(17H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 9.8
◎エポキシ当量
433g/eq.
◎軟化点
83℃
◎オキサゾリドン当量
2,230g/eq.
◎In/Oxd比
In/Oxd比=0.1:評価=A
◎ウレタン結合量
0.05当量/kg未満:評価=A
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に、合成例3にて得たイソシアナト基含有環状ホスファゼン化合物(イソシアナトフェノキシ−フェノキシ混合置換ホスファゼン化合物/推定構造:[N=P(OC6H5)1.00(OC6H4NCO)1.00]3)50.0g(0.184unit mol)、キシレン500ml、オルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN−104S」:エポキシ当量218g/eq.)96.4g(0.442eq.)および0.1gの1,8−ジアゾビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7を仕込み、還流温度での反応を8時間行った。反応終了後にキシレンを留去したところ、黄色固体の生成物が145.2g得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
オキサゾリドン環(C=O) 1750、ホスファゼン環(P=N) 1162、グリシジル基(エポキシC−O) 1256
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH3 1.6(6H),オキサゾリドン環 −CH2− 3.8(2H),4.3(2H),エポキシ −CH2− 2.8(2H),−CH< 3.3(1H),フェニルC−H 6.4〜8.2(17H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 9.8
◎エポキシ当量
564g/eq.
◎軟化点
95℃
◎オキサゾリドン当量
3,050g/eq.
◎In/Oxd比
In/Oxd比=0.1:評価=A
◎ウレタン結合量
0.05当量/kg未満:評価=A
実施例1〜4で得られたエポキシ化合物組成物のうちの一つ50.0部とジシアンジアミド1.0部とを均一に混合し、これをPTFE製の型に流し込んで170℃で2時間および200℃で3時間加熱して硬化させ、1/16インチ厚および5mm厚の二種類のシート状硬化物(樹脂成形体)を作製した。このシート状硬化物は、IRスペクトルによってエポキシ基の吸収が完全に消失していることを確認した。
ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量189g/eq.)40.0部、合成例4で合成した環状ホスファゼン化合物7.0部およびジシアンジアミド1.0部を均一に混合し、この混合物を用いて実施例5〜8と同様にして二種類のシート状硬化物を作製した。
ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量189g/eq.)40.0部、合成例4で合成した環状ホスファゼン化合物15.0部およびジシアンジアミド1.0部を均一に混合し、この混合物を用いて実施例5〜8と同様にして二種類のシート状硬化物を作製した。
実施例5〜8および比較例1,2で得られたシート状硬化物について、燃焼性、高温信頼性、耐衝撃性(機械特性(強靱性))および耐熱性を調べた。燃焼性、高温信頼性および耐衝撃性は1/16インチ厚のシート状硬化物を用いて評価した。また、耐熱性は5mm厚のシート状硬化物を用いて評価した。各項目の評価方法は次の通りである。結果を表1に示す。
アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94規格垂直燃焼試験に基づき、10回接炎時の合計燃焼時間と燃焼時の滴下物による綿着火の有無により、V−0、V−1、V−2および規格外の四段階に分類した。評価基準を以下に示す。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>規格外の順に低下する。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)試験片5本のうち、少なくとも1本は、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
シート状硬化物を80℃、相対湿度85%の恒温恒湿装置に48時間保管した後、288℃で20分間処理し、外観の変化を観察した。表1において、「有」は、シート状化合物の表面にブリードアウトによる外観変化がないこと(すなわち、高温信頼性があること)を示す。また、「無」は、シート状化合物の表面にブリードアウトによる外観変化があること(すなわち、高温信頼性がないこと)を示す。
JIS K−5400に規定されたデュポン式に準拠し、重り質量1kg、撃心半径1/4インチで実施し、衝撃による変形等が発生しない最高の重り高さで評価した。
セイコー電子工業株式会社の商品名「DMS−200」を用い、測定長(測定治具間隔)を20mmとして下記の条件下でシート状硬化物の貯蔵弾性率(ε’)の測定を行い、当該貯蔵弾性率(ε’)の変曲点をガラス転移温度(℃)とした。このガラス転移温度は、高いほど耐熱性に優れていることを示す。
測定温度:20〜400℃の範囲内
測定試料:幅9mm、長さ40mmにスリットしたシート状硬化物
実施例1、2および4で製造したエポキシ化合物組成物、オルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN−104S」:エポキシ当量218g/eq.)、ジシアンジアミドおよび2―エチル―4−メチルイミダゾールを表2に示す割合で混合し、樹脂ワニスを調製した。この樹脂ワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製の商品名「WEA7628」:処理シラン系)に含浸塗布して150℃で乾燥させ、樹脂分50%のプリプレグを得た。
合成例4で合成した環状ホスファゼン化合物、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量189g/eq.)、オルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN−104S」:エポキシ当量218g/eq.)、ジシアンジアミドおよび2−エチル−4−メチルイミダゾールを表2に示す割合で混合し、樹脂ワニスを調製した。そして、この樹脂ワニスを用い、実施例9〜14と同様にしてプリプレグを得た。
実施例9〜14および比較例3,4で得られた各プリプレグを8枚ずつ重ね、その両面に厚さ18μmの銅箔を重ねて温度170℃、圧力30kg/cm2の条件で60分間加熱加圧成形した。これにより得られた両面銅張積層板の両面をエッチングし、試料(1.6mm厚)を得た。得られた試料について、評価1と同じ方法で燃焼性、高温信頼性および耐衝撃性(機械特性(強靱性))を評価した。また、試料の耐熱性は、実施例9〜14および比較例3,4で得られた樹脂ワニスのガラス転移温度により評価した。このガラス転移温度は、樹脂ワニスをオーブン中で170℃/1時間硬化し、TMA(SEIKO社製の「TMA/SS220」)にて昇温速度10℃/分の条件で測定した。結果を表2に示す。
Claims (11)
- オキサゾリドン環、ホスファゼン環およびエポキシ基を有するエポキシ化合物を少なくとも二種類含むエポキシ化合物組成物。
- 多官能性グリシジル化合物とイソシアナト基を有する環状ホスファゼン化合物との反応により得られる、請求項1に記載のエポキシ化合物組成物。
- 前記多官能性グリシジル化合物は、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、脂肪族エポキシド類および脂環式エポキシド類からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項2に記載のエポキシ化合物組成物。
- イソシアナト基を有する環状ホスファゼン化合物が下記の式(1)で示されるものである、請求項2または3に記載のエポキシ化合物組成物。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(2)で示されるイソシアナトアリールオキシ基および下記の式(3)で示されるイソシアナトフェニル置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
- 式(1)のnが1若しくは2である、請求項4に記載のエポキシ化合物組成物。
- 式(1)において、(2n+4)個のAの内の2〜(2n+2)個がA3基である、請求項4または5に記載のエポキシ化合物組成物。
- 前記環状ホスファゼン化合物は、式(1)のnが異なる二種以上のものを含んでいる、請求項4から6のいずれかに記載のエポキシ化合物組成物。
- 請求項1から7のいずれかに記載のエポキシ化合物組成物と、
熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂成分と、
を含む樹脂成形体用組成物。 - 請求項1から7のいずれかに記載のエポキシ化合物組成物を硬化させて得られる樹脂成形体。
- 請求項8に記載の樹脂成形体用組成物を硬化させて得られる樹脂成形体。
- 請求項9または10の樹脂成形体を用いた電子部品。
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