JP2009082359A - 殺菌装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】殺菌対象物を収容する本体4内に、殺菌作用を有する波長域の紫外線を放射する殺菌ランプ14と、前記殺菌作用を有する波長域の紫外線に加えオゾン生成作用を有する波長域の紫外線を放射するオゾンランプ16とを、前記殺菌対象物の表裏面側にそれぞれ配置し、前記殺菌ランプ14及び前記オゾンランプ16を共に点灯して、前記オゾン及び前記オゾンから生成された活性酸素によって前記殺菌対象物を殺菌しつつ、前記殺菌ランプ14の紫外線が届かない部分に前記オゾンランプ16の紫外線を照射して紫外線照射による殺菌を並行して行う構成とした。
【選択図】図2
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、紫外線照射による殺菌とオゾンによる殺菌とを行いつつ、処理時間を短縮することができる殺菌装置を提供することを目的とする。
<第1実施形態>
図1は本実施形態に係る殺菌装置1の構成を示す図であり、図1(A)は殺菌装置1の平面図、図1(B)は殺菌装置1の正面図である。図2及び図3は殺菌装置1の断面を見た図である。
殺菌装置1は、これらの図に示すように、両サイドの各々に埋込み取手2が設けられた正面側が開口するボックス状の本体4を有し、本体4の正面には開閉自在に扉6が取り付けられている。
殺菌室7は、オゾン、活性酸素及び紫外線照射により殺菌対象物の殺菌を行うためのスペースであり、この殺菌室7には、殺菌対象物を載置するための網棚12が一定の間隔で棚状に複数段(図示例では2段)配設されている。さらに、殺菌室7には、殺菌作用を有する紫外線を放射する2本の殺菌ランプ14と、オゾン生成作用を有する紫外線を放射する1本のオゾンランプ(紫外線ランプ)16と、ランプカバー18とが設けられている。
オゾンランプ16は、その外球が真空紫外域の紫外線を透過可能な例えば溶融石英製・合成石英製又は特殊ガラス等の材質から形成されている。
これらの殺菌ランプ14及びオゾンランプ16を共に点灯することで、オゾン及び活性酸素による殺菌と共に、紫外線照射による殺菌が行われるが、これについては、後に詳述する。
このランプカバー18によって殺菌対象物への紫外線が減光されるため、殺菌対象物の材質に、樹脂等の紫外線によって劣化や変質が生じ易い材質が含まれていても、殺菌対象物を傷めることが無い。
このとき、殺菌対象物の材質が、紫外線に強いものであれば、ランプカバー18を取り外して紫外線照射量を増して殺菌力を高めても良く、また、殺菌対象物の材質が、紫外線に弱いものであれば、例えば図4(B)に示すように、ランプカバー18の開口18Bを小さくしてランプカバー18の開口率を小さくしたランプカバー18に換装し、紫外線照射量をより少なくするようにしても良い。
上記消毒処理は、殺菌ランプ14及びオゾンランプ16を共に点灯して、オゾン、活性酸素及び紫外線照射によって殺菌対象物を殺菌する処理である。これに対して、上記殺菌処理は、オゾンランプ16を消灯したまま殺菌ランプ14のみを点灯し、紫外線照射のみによって殺菌対象物を殺菌する処理である。すなわち、殺菌処理は、消毒処理に比べてオゾン及び活性酸素による殺菌が行われない代わりに、人体に影響を与えるオゾンの発生が伴わない。したがって、殺菌処理は、その処理後に、殺菌室7に残留するオゾンを分解するための時間を必要としない分だけ、処理に要する時間が短縮される。
ストップスイッチ38Dは、消毒処理又は殺菌処理の開始後、処理時間が経過する前に、強制的に処理を終了する場合に操作され、このストップスイッチ38Dが操作された場合には、制御基盤28は、点灯中の殺菌ランプ14やオゾンランプ16を消灯する。但し、処理が消毒処理であった場合には、殺菌室7に残留するオゾンを分解するために、オゾンランプ16を消灯した後、殺菌ランプ14のみを、オゾンの分解処理に要する時間だけ点灯し続けることとなる。
殺菌処理及び消毒処理中においては、ソレノイドロックによってロック機構56がロックされ、また、ストップスイッチ38Dによって、処理が強制的に終了された場合であっても、その処理が消毒処理であったときには、殺菌ランプ14の紫外線照射によって、殺菌室7に残留するオゾンが所定濃度(例えば約10ppm以下)まで分解される程度の時間が経過するまでは、上記ソレノイドロックによってロック機構56がロックされる。これにより、ユーザが不意にオゾンを吸い込む事がないようになっている。
なお、殺菌ランプ14の紫外線照射によるオゾンの分解速度は、殺菌ランプ14のワット数及び灯数に依存し、ワット数が大きく、また、灯数が多いほど、短時間でオゾンを所定濃度まで分解することが可能である。具体的には、例えば、数十ppmの残留オゾンを分解する場合、6ワットの殺菌ランプ14を1灯用いたときには約5〜10分、2灯用いたときには約5分以下で、残留オゾンを10ppm以下の濃度まで分解することができる。
上記殺菌処理においては、殺菌ランプ14のみが点灯し、この殺菌ランプ14が放射する遠紫外域(波長200nm以上)の紫外線が殺菌対象物に照射される。この遠紫外域の紫外線は、強力な殺菌作用を有するものの、紫外線の影になった部分については殺菌が行われない。したがって、当該殺菌処理のみで殺菌を行う場合には、殺菌処理の終了後、殺菌対象物を裏返して再度、殺菌処理を行い、影になっていた部分の殺菌を行うことが望ましい。
3O2+紫外線UV1→2O3
の反応が生じて、空気中の酸素からオゾンが生成される。そして、オゾンが殺菌対象物に付着する有害物質や細菌を酸化分解することで、当該殺菌対象物のオゾンによる殺菌が行われる。
O3+紫外線UV2→O2+O*(但し、O*は活性酸素を示す)
の反応が生じてオゾンから活性酸素が生成される。
活性酸素とは、酸化作用の高い一群の酸素活性種を指し、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシドアニオンラジカル、アルコキシラジカルなどの活性種が含まれる。このような活性酸素は、極めて高い酸化作用を示すため、殺菌対象物に付着する有害物質や細菌を即座に酸化分解し、当該殺菌対象物の活性酸素による殺菌が行われる。
したがって、消毒処理においては、殺菌ランプ14の紫外線照射による殺菌に加え、オゾンによる殺菌、及び、活性酸素による殺菌が並行して行われることとなる。
これにより、オゾンランプ16の近傍で発生したオゾンを、速やかに殺菌ランプ14に向けて移動させて活性酸素が効率良く生成されることとなる。
ここで、殺菌ランプ14及びオゾンランプ16を覆うランプカバー18と、殺菌ランプ14及びオゾンランプ16が取り付けられた本体1の内側面60とにより風路61が形成されている。これにより、上記クロスファン40によって送風が行われた際には、風路61に沿って空気が流れ、オゾンランプ16で発生したオゾンを殺菌ランプ14に向けてスムーズに移送し、効率良く活性酸素を生成することができる。
また、このようにして生成されたオゾンや活性酸素がランプカバー18の開口18Bを通過し、そして、クロスファン40による対流によって殺菌対象物の周囲に略均一に拡散されることで、当該殺菌対象物の全面に対して、オゾン及び活性酸素による殺菌が全体的に略均一に行われる。
試験方法は、日本薬局方 微生物限度試験法(生菌数試験 カンテン平板表面塗抹法)に準拠して実施した。液体培養した指標菌を適当な濃度に調製してSCD寒天培地上に塗抹しで供試サンプルとした。
陰面の殺菌効果評価用には、紫外線が照射されないようにSCD寒天培地の上に、紫外線をカットするプラスチック製の上蓋を載せ、上蓋と寒天培地の間にインシュロックをスペーサーとして隙間を設けて置いて試験サンプルとした。
また表面の殺菌効果評価用には、細菌を塗抹したSCD寒天培地を、上蓋を置かずに、そのまま試験サンプルとして使用した。
そして、試験サンプルを殺菌装置1の網棚12の上下段に各1枚合計2枚配置し、所定の条件(装置設定条件、処理時間)で運転を開始して処理を行った。
殺菌効果評価は、処理前と処理後の供試サンプルを恒温培養した後、プレート上の菌数を計測することで比較した。
この図に示すように、紫外線が照射されている部分について、枯草菌芽胞及び大腸菌に対して共に、殺菌時間が早い順、すなわち、殺菌効果が高い順は、
紫外線殺菌+オゾン殺菌+活性酸素殺菌>オゾン殺菌>紫外線殺菌
の順となり、特に、紫外線殺菌、オゾン殺菌及び活性酸素殺菌を併用することで、1D値は、枯草菌芽胞の場合が5分、大腸菌の場合が1分30秒と短時間で殺菌処理できることが分かった。
また、紫外線の影になる部分についても、
紫外線殺菌+オゾン殺菌+活性酸素殺菌>オゾン殺菌
の順で、殺菌時間が早い、すなわち、殺菌効果が高いことが分かった。
オゾンランプ16の紫外線出力を高めてオゾン濃度、及び、活性酸素濃度を高め、オゾン及び活性酸素による殺菌効果を高めることで、上記の問題を解決することができるものの、オゾン濃度が高まるため、殺菌処理後に、残留オゾンを所定濃度まで分解するのに要する時間が長くなり、結果としては、全体の処理時間の短縮を効率的に図ることができない。
すなわち、前掲図2及び図3に示すように、殺菌室7において、殺菌ランプ14と、オゾンランプ16とを、網棚12に載置される殺菌対象物の表裏面側のそれぞれに位置するように配置する構成としている。そして、消毒処理においては、殺菌ランプ14及びオゾンランプ16を共に点灯し、殺菌対象物の殺菌ランプ14側の面(例えば表面)を当該殺菌ランプ14の紫外線で照射し、当該殺菌ランプ14の紫外線の影となる反対側の面(例えば裏面)をオゾンランプ16の紫外線で照射することで、殺菌対象物の全体に対して紫外線照射による殺菌が行われることとなる。
そこで、本実施形態では、殺菌ランプ14に6ワット、オゾンランプ16に4ワットのランプを用いることで、オゾンランプ16の出力よりも殺菌ランプ14の出力を1.5倍程度に高めた構成としている。
この構成により、紫外線照射量のアンバランスを1.5倍程度に抑えつつ、殺菌ランプ14によるオゾン分解能力(活性酸素生成能力)を高めることで、活性酸素の生成量を高めて殺菌能力を向上させ殺菌に要する時間の短縮を図ると共に、オゾンの分解速度を速め、殺菌を開始してから残留オゾンを所定濃度まで分解し終えるまでの処理時間を短縮することとしている。
さらに、殺菌対象物に対して殺菌ランプ14の紫外線が届かない部分には、オゾンランプ16の紫外線が照射され、殺菌対象物の全体に紫外線が照射されることとなる。これにより、殺菌ランプ14の紫外線が届かない部分をオゾンや活性酸素だけで殺菌する場合に比べて、オゾン濃度を増加させることなく殺菌効果の高い殺菌を実現でき、殺菌に要する時間を短縮することができる。
特に、本実施形態によれば、かかるランプカバー18が殺菌ランプ14及びオゾンランプ16を覆い、本体4の内側面60との間に風路61を形成し、この風路61にクロスファン40により、オゾンランプ16から殺菌ランプ14に向けて空気を流す構成としたため、オゾンランプ16で発生したオゾンを殺菌ランプ14に向けてスムーズに移送し、効率良く活性酸素を生成することができる。
詳述すると、歯科医院から歯科技工所に渡される入れ歯・義歯の型や、修正のため渡される義歯については、通常、患者の歯型をとって、そのまま歯科技工士に渡されることが多い。このため、渡された歯型や義歯には患者の口腔内付着物質、血液などが付着していることがあり、衛生面、感染防止の安全対策・消毒の措置を講じることが重要である。
義歯や歯型を消毒する場合は、一般的にアルコールや消毒剤などを使用した薬液消毒が考えられるが、薬液を使用した場合、薬液が義歯や歯型の内部に浸透してしまう揚合があり、薬液による歯型・義歯の劣化や変質が懸念される。
歯科用の殺菌装置として、歯科で扱う工具類などの保管用に紫外線ランプを用いた装置が存在しているが、紫外線照射により殺菌するもので、光の当たらない影となる部分に対しては殺薗効果が無く、落下菌などの付着を防ぐ保管用には利用されているが消毒装置としては利用されていない。
また、義歯の材質には樹脂が含まれる場合があるものの、本実施形態に係る殺菌装置1においては、ランプカバー18によって義歯に照射される紫外線量を調整可能としているため、義歯の劣化や変質、変色を防止することができる。
次いで本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る殺菌装置100の構成を示す断面図である。なお、同図において、第1実施形態で説明した部材に対応するものは同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、本実施形態の殺菌装置100において、殺菌ランプ14及びオゾンランプ16の配置位置と、これらの殺菌ランプ14及びオゾンランプ16を覆うランプカバー18の配置位置を除いた他の主要な部分(装置の構造や殺菌処理の制御など)は、上述した第1実施形態と同じであり、第1実施形態で説明した効果と同様な作用・効果を奏する。
4 本体
6 扉
7 殺菌室
12 網棚
14 殺菌ランプ
16 オゾンランプ(紫外線ランプ)
18 ランプカバー
40 クロスファン
61 風路
Claims (6)
- 殺菌対象物を収容する本体内に、殺菌作用を有する波長域の紫外線を放射する殺菌ランプと、前記殺菌作用を有する波長域の紫外線に加えオゾン生成作用を有する波長域の紫外線を放射する紫外線ランプとを、前記殺菌対象物の表裏面側にそれぞれ配置し、
前記殺菌ランプ及び前記紫外線ランプを共に点灯して、
前記オゾン及び前記オゾンから生成された活性酸素によって前記殺菌対象物を殺菌しつつ、前記殺菌ランプの紫外線が届かない部分に前記紫外線ランプの紫外線を照射して紫外線照射による殺菌を並行して行うことを特徴とする殺菌装置。 - 請求項1に記載の殺菌装置において、
前記殺菌対象物の殺菌後に、前記殺菌ランプを点灯したまま前記紫外線ランプを消灯し、前記本体に残留するオゾンに対して前記殺菌ランプの紫外線を所定時間にわたり照射し、前記本体に残留するオゾンを分解することを特徴とする殺菌装置。 - 請求項1又は2に記載の殺菌装置において、
前記殺菌ランプの出力を前記紫外線ランプの出力より大きくしたことを特徴とする殺菌装置。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の殺菌装置において、
前記殺菌ランプ及び前記紫外線ランプから放射され前記殺菌対象物に照射される紫外線量を調整するランプカバーを有することを特徴とする殺菌装置。 - 請求項4に記載の殺菌装置において、
前記本体の一側面に前記殺菌ランプ及び前記紫外線ランプを配置し、これらの殺菌ランプ及び紫外線ランプを前記ランプカバーで覆い、
前記ランプカバーと前記本体の一側面とからなる風路に風を送り前記紫外線ランプから前記殺菌ランプに向けて空気を流すファンを備えることを特徴とする殺菌装置。 - 殺菌対象物を収容する本体内に、殺菌作用を有する波長域の紫外線を放射する殺菌ランプと、オゾン生成作用を有する波長域の紫外線を放射する紫外線ランプとを前記本体の一側面に配置し、
前記殺菌ランプ及び前記紫外線ランプから放射され前記殺菌対象物に照射される紫外線量を調整するランプカバーを設け、
前記ランプカバーと前記本体の一側面とからなる風路に風を送り前記紫外線ランプから前記殺菌ランプに向けて空気を流すファンを設けた
ことを特徴とする殺菌装置。
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