以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1から図12より、本発明における実施形態について説明する。
まず、図1から図3により、携帯機器としての携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)における正面図を示す。また、図2(A)は、携帯電話機1を開いた状態における左側面図を示し、(B)は、携帯電話機1を開いた状態における右側面図を示す。また、図3は、携帯電話機1を開いた状態における背面図を示す。
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは2軸ヒンジ機構を備える連結部4(第1ヒンジ部、第2ヒンジ部)を介して連結され、該携帯電話機1を開状態及び閉状態に変形可能とすると共に、開状態及び閉状態それぞれにおいて表示部側筐体3を表状態と裏状態とに切換えることができる。
ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。そして、開状態における表状態(第1開状態)とは、後述する表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向くように配置された状態(図1参照)であり、開状態における裏状態(第2開状態)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが反対側を向くように配置された状態(図7参照)をいう。また、閉状態における表状態(第1閉状態)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11に対向するように配置された状態(図5参照)であり、閉状態における裏状態(第2閉状態)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11と対向せずに表出した状態(図8参照)である。
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bにより構成される。この操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしての音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。ここで、操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。また、音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
操作部側筐体2における一方の側面には、図2(A)に示すように、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェース16と、ヘッドホン/マイク端子17と、着脱可能な外部メモリのインターフェース18と、バッテリーを充電するための充電端子19とが設けられている。なお、インターフェース16、ヘッドホン端子/マイク端子17及びインターフェース18は、不使用時において着脱可能な防塵対策用のキャップで覆われている。
操作部側筐体2における他方の側面には、図2(B)に示すように、一対のサイドキー20と、撮像時に使用される操作キー21と、電波の受信角度を調整可能な放送波受信用のアンテナ22とが配置される。このサイドキー20には、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。ここで、上述と同様に、サイドキー20が使用者により押圧されることで、携帯電話機1においてサイドキー20に割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
操作部側筐体2のリアケース2bには、図3に示すように、被写体を撮像するカメラ部23と、被写体に光を照射するライト部24とが露出して配置される。このカメラ部23とライト部24とは、操作部側筐体2における連結部4側の内端部側に配置される。また、操作部側筐体2におけるリアケース2bには、バッテリー収容部92にバッテリー90を装着するための開口92aが形成されると共に、該開口92aを塞ぐようにバッテリーリッド25が配置される。
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、図1から図3に示すように、2軸ヒンジ機構を備える連結部4を介して連結される。連結部4における一方の面(裏面)には、図3に示すように、副操作キー群33が該携帯電話機1の幅方向(短手方向)において一列に並んで配置される。この副操作キー群33を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
表示部側筐体3は、外面がフロントケース3aとリアケース3bにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、各種情報を表示するための所定形状のディスプレイ30と、通話の相手側における音声を出力するスピーカとしての音声出力部31とが露出するように配置される。ここで、音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声出力部31は、携帯電話機1が開状態において他方の端部側に配置される。また、音声出力部31は、所定の磁力を発生する磁石を含んで構成される。
また、表示部側筐体3のリアケース3bには、各種情報を表示するためのサブディスプレイ32が露出して配置される。ディスプレイ30及びサブディスプレイ32それぞれは、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
ここで、携帯電話機1は、該携帯電話機1における開閉状態及び閉状態における表裏状態を検出する状態検出手段を備える。状態検出手段は、第1筐体としての操作部側筐体2に配置されるアンテナ部80に形成された磁性部7と、第2筐体としての表示部側筐体3に配置される磁気センサとしてのホール素子6とにより構成される。ホール素子6は、磁力線の強さ(磁力の大きさ)を検出する。詳細には、ホール素子6は、アンテナ部80に形成された磁性部7から放射される磁力線の強さを検出する。
このホール素子6と磁性部7とは、開状態において互いに離間すると共に、第1閉状態においてホール素子6と磁性部7とが筐体厚さ方向において重なるように配置される。そして、ホール素子6は、磁性部7から放射される磁力線の強さ(磁力の大きさ)により、携帯電話機1における開閉状態及び閉状態における表裏状態を検出する。
次いで、図4から図8により、連結部4の構造及び携帯電話機1における変形状態について説明する。図4は、携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)における斜視図を示す。図5は、携帯電話機1の表示部側筐体3と操作部側筐体2を、連結部4の開閉軸Xを中心に閉回転し、閉じた状態(第1閉状態)の平面図を示す。図6は、携帯電話機1の表示部側筐体3を、連結部4の回動軸Yを中心にして所定角度回動した状態の斜視図を示す。図7は、携帯電話機1の表示部側筐体3を、連結部4の回動軸Yを中心にして180°回動した状態(ターン状態、第2開状態)の斜視図を示す。図8は、携帯電話機1の表示部側筐体3を、連結部4の開閉軸Xを中心に閉回転して閉じた状態(ターンクローズ状態、第2閉状態)の斜視図を示す。
連結部4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心にして任意の角度で開閉自在に連結すると共に、回動軸Yを中心に任意の角度で回動自在に連結する2軸ヒンジ機構を備える。
連結部4は、一方端4a側において図示しない開閉連結部材により操作部側筐体2の上端部と連結されており、他方端4b側において図示しない回動連結部材により表示部側筐体3の下端部と連結されている。
連結部4の一方端4aには、該連結部4における表面から垂直に突出するように形成される凸形状の開閉部4cが形成される。そして、操作部側筐体2の上端部には、この凸形状の開閉部4cが挿嵌される凹形状の切り欠き部5が形成される。
この開閉部4cの開閉軸X方向における両側それぞれには、図示しない孔部Aが形成される。また、操作部側筐体2の切り欠き部5における両内側面には、図示しない孔部Bが形成される。そして、凸形状の開閉部4cが、凹形状の切り欠き部5に挿嵌された状態において、孔部Aと孔部Bとは互いに近接して対向するよう配置されると共に、孔部Aと孔部Bとの双方に円筒状の開閉連結部材が挿通される。これにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、開閉可能に連結される。なお、開閉部4cは、操作部側筐体2の上端部に挿嵌される形状であれば良く、特に凸形状に限られず、また、操作部側筐体2の上端部の形状も凹形状に限られない。
また、連結部4の他方端4b側と表示部側筐体3の下端部とは、図示しない回動連結部材により回動自在に連結される。連結部4における表示部側筐体3側の側面には、図示しない孔部Cが形成される。また、表示部側筐体3における連結部4側の側面には、図示しない孔部Dが形成される。そして、孔部Cと孔部Dとの双方に回動連結部材が挿通されることで、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが回動軸Yを中心に回動可能に連結される。つまり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、表示部側筐体3の表裏状態を切換え可能に連結される。
携帯電話機1は、上述したように、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4により開閉及び回動可能に連結される。これにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心にして開閉させたり、回動軸Yを中心にして回動をさせたりすることで携帯電話機1を様々な状態に変形させることができる。
例えば、図5に示す操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重なる状態である閉状態(第1閉状態)の携帯電話機1を、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれにおける開閉軸Xと反対側の端部が、互いに離間するよう開閉軸Xを中心にして開くように変形させることで、図1から図4に示す操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重ならない開状態(第1開状態)にすることができる。
逆に、図1から図4に示す開状態(第1開状態)の携帯電話機1を、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれの開閉軸Xと反対側の端部が、互いに近づくよう開閉軸Xを中心にして閉じるように変形させることで、図5に示す閉状態(第1閉状態)にすることができる。
また、図1から図4に示す開状態(第1開状態)において、図6に示すように、表示部側筐体3を、回動軸Yを中心に回動させることができる。更には、表示部側筐体3を図6の状態から更に回動軸Yを中心に回転させることで、表示部側筐体3における表裏状態を切換えることができる。具体的には、図1から図4に示す表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向く開状態(第1開状態)から、表示部側筐体3が回動軸Yを中心に180度回転されることで、図7に示されるように、表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群とが反対側を向く開状態(第2開状態)にすることができる。
そして、図7に示す状態(第2開状態)における表示部側筐体3を開閉軸Xを中心にして閉じるよう変形させることで、携帯電話機1を図8に示す閉状態(第2閉状態)にすることができる。つまり、携帯電話機1は、図5に示す表示部側筐体3におけるディスプレイ30が、操作部側筐体2における操作キー群11に対向するよう配置された閉状態(第1閉状態)から、図8に示す表示部側筐体3におけるディスプレイ30が、操作部側筐体2に対向せずに表出した状態である閉状態(第2閉状態、ターンクローズ状態)に変形させることができる。
続いて、図9から図12により、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の内部構造について説明する。図9は、操作部側筐体2の分解斜視図を示す。図10は、表示部側筐体3の分解斜視図を示す。図11は、アンテナエレメント82の構造を説明する図である。図12は、磁性部7とホール素子6と磁界アンテナ部85との配置を説明する図である。
操作部側筐体2は、図9に示すように、フロントケース2aと、上述した操作キー群11を構成するキーシート40と、キースイッチが配置されるフレキシブルプリント配線基板50と、シールドケース60と、基準電位パターン層及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板70と、アンテナ部80と、磁界アンテナ部85と、リアケース2bと、を備える。また、バッテリー90は、リアケース2bの外側から装脱可能に収容される。
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置されると共に、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間には、キーシート40と、フレキシブルプリント配線基板50と、シールドケース60と、回路基板70と、アンテナ部80とが、フロントケース2a側からこの順番で収納配置される。
回路基板70における第1の面72には、図示しない各種電子部品及び基準電位パターン層が形成される。また、回路基板70における第2の面73には、各種電子部品が配置される。具体的には、第2の面73には、図示しないカメラ部23やライト部24が連結部4側の端部に偏って配置されると共に、図示しない音声入力部12が連結部4側の端部に偏って配置される。なお、カメラ部23やライト部24は、リアケース2bに所定の形状で穿孔されている穿孔部2cを介して外部に露出される。
シールドケース60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する金属製の部材である。シールドケース60は、平板部42と、平板部42における一方の面に略垂直に形成されるリブ44とを有する。リブ44は、回路基板70における第1の面72に実装される各種電子部品のうち最も高さのある電子部品の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるよう形成される。なお、シールドケース60は、金属により形成する以外に、骨格を樹脂により形成し、その表面に金属性の導体膜を形成したものでもよい。
ここで、リブ44は、平板部42の周縁及び内側に上述した基準電位パターン層に対応するよう形成される。具体的には、基準電位パターン層が形成される第1の面72と、シールドケース60におけるリブ44が形成される面である裏面とが向かい合うようにして配置された場合において、リブ44の底面が基準電位パターン層上に配置されるよう形成される。
シールドケース60は、リブ44(底面)により、回路基板70における第1の面72に形成される基準電位パターン層と導通する。これにより、シールドケース60は、基準電位パターン層と電気的に導通して同じ大きさの電位を有するようになる。また、シールドケース60は、外部からのノイズが回路基板70の第1の面72に配置される不図示の各種電子部品に作用するのを防ぐと共に、第1の面72に形成される高周波回路等から放出されるノイズを吸収する。ここで、シールドケース60と回路基板70との間に配置される図示しない導通部材を配置することで電気的に導通させてもよい。また、シールドケース60は、後述する各種キーの押圧操作に対する剛性確保のための補強部材としても機能する。
フレキシブルプリント配線基板50は、フロントケース2a側の面に複数のキースイッチ51、52、53を有している。フレキシブルプリント配線基板50のキースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、フレキシブルプリント配線基板50の表面に印刷された不図示の電気回路に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通する。なお、フレキシブルプリント配線基板50は、複数の絶縁フィルムの間に配線を挟み込んだものである。
キーシート40は、シリコンゴム製のシート41の表面に操作キー群11が接着剤により貼り付けられて構成される。キーシート40における操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15は、フレキシブルプリント配線基板50におけるキースイッチ51、52、53と対向する位置に配置されると共に、後述するフロントケース2aに形成されるキー孔45から露出するように配置される。
フロントケース2aには、携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3のディスプレイ30と対向する内側面に、キー孔45が複数形成される。複数のキー孔45それぞれからは、キーシート40上に形成される機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15の押圧面が露出する。この露出した操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15の押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチ51、52、53それぞれにおけるメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
アンテナ部80は、基台81と、アンテナエレメント82とを有する。アンテナ部80は、基台81に所定形状のアンテナエレメント82が配置されることにより構成さる。アンテナ部80は、携帯電話機1における連結部4側と反対の端部側に配置される。また、アンテナエレメント82は、給電端子101を介して回路基板70から給電される。詳細には、アンテナエレメント82は、給電端子101を介して回路基板70から給電されると共に、回路基板70のRFモジュール等と接続される。
アンテナエレメント82は、板金により形成される。また、図11に示すように、アンテナエレメント82は、磁性部7を有する。
磁性部7は、アンテナエレメント82における全面に形成される。言い換えると、アンテナエレメント82は、全体が磁性化処理されている。ここで、磁性部7は、アンテナエレメント82全体ではなく、後述する凸部7aが形成された領域を含む所定の領域だけに形成されてもよい。
磁性部7は、所定強さの磁力線を放射する。後述する磁気センサとしてのホール素子6は、磁性部7から放射された磁力線の強さを検出する。ホール素子6により検出された磁力線の強さにより、携帯電話機1における開閉状態や表裏状態が検出される。
磁性部7には、凸部7aが形成される。凸部7aは、該携帯電話機1が閉状態である場合における操作部側筐体2側に突出するように形成される。凸部7aの形状は特に限定されず、例えば、先端は鋭角でも平坦であってもよい。
凸部7aは、操作部側筐体2の長手方向における連結部4と反対側の端部に配置されると共に、幅方向における一方側に偏って配置される。具体的には、凸部7aは、幅方向における給電端子101が形成される側とは反対側に偏って形成される。
図11及び図12に示すように、凸部7aから放射される磁力線は、一方向に収束するようにして放射される。具体的には、磁力線は、凸部7aにおける側面同士をつなぐように放射され、これにより凸部7aにおける先端側の空間に磁力線が集まっている。磁性部7に凸部7aが形成されることにより、凸部7aにおける先端部側の空間における磁力線の密度が高くなると共に、凸部7aにおける周囲の空間における磁力線の密度が低くなる。
凸部7aは、第1閉状態におけるホール素子6に対向する位置に形成される。凸部7aは、第1閉状態において、該凸部7aにおける先端がホール素子6側に向かうように配置される。これにより、第1閉状態において、凸部7aの先端側の空間であって磁力線の密度が高い空間にホール素子6を配置することができる。
凸部7aは、アンテナエレメント82における低電流領域82bに形成される。具体的には、凸部7aは、アンテナエレメント82における給電端子101から離間した領域に形成される。また、言い換えると、通常状態である第1閉状態において、ホール素子6に対向する位置には、通信のために重要な高電流領域81aは配置されない。
第2アンテナとしての磁界アンテナ部85は、所定の使用周波数帯(例えば、13.56MHz)により外部機器と磁界通信を行う。磁界アンテナ部85は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)材料からなるシート上に複数回渦巻き状に巻かれたコイルにより構成される。また、磁界アンテナ部85は、アンテナ部80に近接して配置される。
バッテリー90は、リアケース2bに形成された開口92aを介してバッテリー収容部92に着脱可能に収容される。バッテリー収容部92は、リアケース2bと回路基板70における第2の面73の一部とにより形成される。そして、バッテリー90が収容された状態において、開口92aを塞ぐようにバッテリーリッド25を配置することで、バッテリー90の脱落を抑制することができる。
表示部側筐体3は、図10に示すように、フロントケース3aと、ディスプレイユニット100と、金属部材で構成される内部フレーム110と、基準電位パターン層及びディスプレイ用の電子部品を備える回路基板120と、サブディスプレイユニット130と、リアケース3bと、を備える。
フロントケース3aとリアケース3bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置されると共に、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース3aとリアケース3bとの間には、ディスプレイユニット100と、内部フレーム110と、回路基板120と、サブディスプレイユニット130とが、フロントケース3a側からこの順番で収納配置される。
フロントケース3aは、ケース体300aの表面にLCDカバー300bとフロントカバー300cとを固定して形成される。
ディスプレイユニット100は、ディスプレイ30と、該ディスプレイ30を固定するホルダーとにより構成されている。
内部フレーム110は断面がH字状の部材であり、フロントケース3a側及びリアケース3b側に、浅い凹状の収容部が形成される。そして、内部フレーム110のフロントケース3a側にはディスプレイユニット100が収容配置され、リアケース3b側には回路基板120が収容配置される。ここで、内部フレーム110は、表示部側筐体3における曲げ動作や捩り動作に対する剛性確保のための補強部材及び静電対策用のシールドとして機能する。
回路基板120は、上述のように内部フレーム110のリアケース3b側に収容配置される。回路基板120におけるリアケース3b側には、図示しない各種電子部品が配置される。上述した音声出力部31は、回路基板120における連結部4とは反対の外端部側に配置される。また、各種電子部品は、所定の組み合わせによりディスプレイ30やサブディスプレイ32の表示態様やそのタイミング等の表示制御を行う表示制御ブロック等の回路ブロックを形成する。
回路基板120におけるフロントケース3a側には、図示しない基準電位パターン層が形成される。この基準電位パターン層における所定位置と、内部フレーム110とが向かい合う面における所定位置との間には、導通部材が配置される。これにより、回路基板120における基準電位パターン層と内部フレーム110とは電気的に導通される。
回路基板120における連結部4側と反対の端部には、ホール素子6が配置される。ホール素子6は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4側と反対の端部に配置されると共に、幅方向における一方に偏って配置される。また、ホール素子6は、第1閉状態において、磁性部7における凸部7aに対向する位置に配置される。また、ホール素子6は、第2閉状態において、磁性部7における凸部7aに対向しない位置に配置される。
ホール素子6は、磁力線を検出する。具体的には、ホール素子6は、磁力線の強さを検出する。更に具体的には、ホール素子6は、磁性部7から放射された磁力線の強さを検出する。各状態ごとに説明すると、第1閉状態において、ホール素子6は、磁性部7から第2磁力を検出する。第2閉状態において、ホール素子6は、磁性部7から第2磁力より弱い第1磁力を検出する。そして、第1開状態及び第2開状態において、ホール素子6は、磁性部7からの磁力を検出しない。このようにホール素子6により検出された磁力線の強さに応じて、CPUに含まれる不図示の状態検出部は、開閉状態及び表裏状態を検出する。具体的には、ホール素子6により検出された磁力線の強さに応じて、第1閉状態、第2閉状態、第1開状態及び第2開状態が検出される。
サブディスプレイユニット130は、サブディスプレイ32と、該サブディスプレイ32とを固定するホルダーとにより構成されている。サブディスプレイユニット130は、リアケース3bと回路基板120とに挟まれるように配置される。つまり、サブディスプレイユニット130は、フロントケース3aとリアケース3bとにより挟み込まれることで加えられる力により、回路基板120を内部フレーム110側に押し付けるように押圧する。
また、サブディスプレイユニット130は、上述のように、リアケース3bに形成される窓部3cから表出するように配置される。
続けて、携帯電話機1における状態を検出・判定する態様について説明する。
初期設定として、ホール素子6が所定の強さである第1磁力以上の磁力を検出できない場合には状態検出部は携帯電話機1が開状態であると判定すると共に、第1磁力以上の磁力を検知した場合には状態検出部は携帯電話機1が閉状態であると判定するように設定する。更に、ホール素子6が第1磁力よりも強い第2磁力以上の磁力を検出した場合には状態検出部は携帯電話機1が閉状態における表状態(第1閉状態、クローズ状態)であると判定すると共に、第1磁力以上かつ第2磁力より弱い磁力を検出した場合には状態検出部は携帯電話機1が閉状態における裏状態(第2閉状態、ターンクローズ状態)であると判定するよう設定する。
まず、携帯電話機1が開閉軸Xを中心にして閉じるように変形された第1閉状態(クローズ状態)である場合、ホール素子6と磁性部7における凸部7aが対向して配置される。詳細には、図11に示すように、磁性部7の凸部7aにおける先端がホール素子6に向かうようにして対向して配置される。これにより、ホール素子6は、磁性部7から放射される第2磁力以上の磁力(磁力線、磁束密度)を検出する。そして、状態検出部により、携帯電話機1は第1閉状態であると判定される。
次いで、携帯電話機1を開閉軸Xを中心に開くようにして開状態に変形した場合、ホール素子6と磁性部7(凸部7a)とは離間される。これにより、ホール素子6は、磁性部7からの磁力線を検出できなくなる。詳細には、ホール素子6は、第1磁力以上の磁力を検出できなくなる。ホール素子6が検出する磁力の強さが第1磁力より小さくなるので、状態検出部により携帯電話機1は開状態であると判定される。
続けて、表示部側筐体3を回動軸Yを中心に回転させると共に、開閉軸Xを中心に閉じるようにして第2閉状態に変形した場合、ホール素子6と磁性部7における凸部7aとは対向して配置されない。すなわち、第2閉状態における凸部7aとホール素子6との距離は、第1閉状態における凸部7aとホール素子6との距離に比べて長くなる。つまり連結部4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが閉状態(クローズ状態)にある場合における凸部7aとホール素子6との距離を変更可能に操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結する。本実施形態においては、磁性部7における凸部7aとは異なる領域がホール素子6に対向して配置される。これにより、ホール素子6は、磁性部7から放射される第1磁力以上であって第2磁力より弱い磁力を検出する。そして、状態検出部により、携帯電話機1は第2閉状態である判定される。
上述のようにホール素子6とアンテナ部80に形成された磁性部7を含んで構成される状態検出手段により、携帯電話機1の開閉状態及び閉状態における表裏状態を検出することができる。そして、検出された携帯電話機1の状態に応じて、ディスプレイ30に表示される文字や画像の態様を変更させることや、操作キー群11におけるキー・アサインを変更させることができる。また、携帯電話機1が第1閉状態であると判定された場合には、ディスプレイ30における画像や文字の表示を停止させることができる。
ここで、本実施形態において、ホール素子6が第1磁力よりも強い磁力である第2磁力以上の磁力を検出した場合には携帯電話機1が第1閉状態であると判定すると共に、第1磁力以上かつ第2磁力より弱い磁力を検出した場合には携帯電話機1が第2閉状態であると判定するよう設定するが、これに限定されない。つまり、第1開状態及び第1閉状態において、中心線に対してホール素子6と磁性部7における凸部7aとを互いに異なる側に配置した場合には、ホール素子6が第2磁力以上の磁力を検出した場合には携帯電話機1が第2閉状態であると判定すると共に、第1磁力以上かつ第2磁力より弱い磁力を検出した場合には第1閉状態であると判定するよう設定してもよい。
本実施形態によれば、アンテナエレメント82に磁性部7を形成することで、磁石を用いることなく磁気センサとしてのホール素子6を利用した状態検出手段を有する携帯電話機1を提供することができる。これにより、携帯電話機1における部品点数を削減することができる。また、同様に、レイアウト上の制約が少ない状態検出手段を有する携帯電話機1を提供することができる。また、小型化された携帯電話機1を提供することができる。
また、本実施形態によれば、磁性部7に凸部7aを形成して該凸部7aにおける先端側に磁力線が高密度となる空間を形成したので、磁性部7が平面である場合に比べてホール素子6における磁力の検出性が向上される。これにより、携帯電話機1の状態検出性が向上される。また、凸部7aを形成することで、該凸部7aの側部空間における磁力線の密度を低下させることができるので、磁界通信アンテナ部65への悪影響を抑制できる。これにより、磁性部7が形成されたアンテナエレメント82に磁界アンテナ部85を近接配置できる。
また、本実施形態によれば、磁性部7における凸部7aを給電端子101から離間した低電流領域82bに形成したので、通信効率の低下を最小限に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、周囲に金属物等の遮蔽物が配置されにくいアンテナエレメント82に磁性部7を形成したので、磁力線の遮蔽等の悪影響を受けにくい。
また、本実施形態によれば、アンテナエレメント82に形成された磁性部7は操作部側筐体2における連結部4側と反対の端部に配置され、ホール素子6は表示部側筐体3における連結部4とは反対の端部に配置されるので、変形に対応して互いの距離が大きく変化する。これにより、ホール素子6により検出される磁力線の強度が好適に変化するので、携帯電話機1における開閉等の状態検出性に優れる。
また、本実施形態によれば、磁性部7が回路基板70から離間して配置されるアンテナエレメント82に形成されるので、磁性部7は、回路基板70に実装された電子部品やグランドパターンから離間して配置される。これにより、開閉等の状態検出性に優れると共に、アンテナ感度が向上されるので好ましい。
以上、本形態の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、携帯機器として携帯電話機について説明しているが、本発明の携帯機器はこれに限定されるものではなく、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
また、本実施形態においては、いわゆる2軸ヒンジ機構を有する連結部4を有する携帯電話機について説明しているが、これに限定されず、いわゆる1軸ヒンジ機構(開閉ヒンジ機構)を有するフォルダ式の携帯電話機であってもよい。この場合、携帯電話機1における開閉状態のみが検出される。また、本実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機の説明をしているが、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(ターン、リボルバ)式でもよい。
また、本実施形態において、磁気センサとしてホール素子6を用いているがこれに限定されず、磁性部7が放射する磁力(磁力線の強さ)を検出できる構成のものであればよい。
また、本実施形態において、アンテナエレメント82は、閉状態において平面部がホール素子6側を向くように配置されるが、これに限定されず、平面部が本実施形態における状態から90度傾いた状態で配置されてもよい。このように状態でアンテナエレメント82が配置された場合、凸部はアンテナエレメント82の端面に形成される。具体的には、アンテナエレメント82の外縁が直線状ではなく、突出する部分(凸部7aに相当)を有するように形成される。
また、本実施形態における連結部4は、2軸ヒンジ機構を有することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが閉状態(クローズ状態)にある場合における凸部7aとホール素子6との距離を変更可能に操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結していたが、本発明における連結部4はこれに限定されることなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが閉状態(クローズ状態)にある場合における凸部7aとホール素子6との距離を変更可能に操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結するその他の構成であってもよい。