以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。最初に、図1から図8により、第1実施形態について説明する。
まず、図1により、第1実施形態に係る携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、第1実施形態に係る携帯電話機1の開状態における外観斜視図を示す。
図1に示すように、携帯電話機1(携帯電子機器)は、操作部側筐体2(第1筐体)と、表示部側筐体3(第2筐体)と、を備える。操作部側筐体2は、操作部側内面201(第1面)と、操作部側内面201と反対側の操作部側外面202とを備える。表示部側筐
体3は、表示部側内面211(第2面)と、表示部側内面211と反対側の表示部側外面212とを備える。
操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して連結される。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結される。
連結部4は、操作部側内面201と表示部側内面211とが互いに対向した状態で操作部側筐体2と表示部側筐体3とが積層配置された閉状態と、操作部側内面201と表示部側内面211とが互いに離間した状態で操作部側筐体2と表示部側筐体3とが所定方向に並ぶように配置される開状態とに状態変更可能に操作部側筐体2と表示部側筐体3とを開閉軸Gを中心に開閉可能に連結する。
これにより、携帯電話機1は、連結部4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能に構成される。つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが開いた状態(開状態)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態)とに状態変更可能に構成される。
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bとにより構成される。操作部側筐体2は、フロントケース2a側(操作部側内面201側)に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしてのマイク12とがそれぞれ露出するように構成される。
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15とを含んで構成される。操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、或いは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
マイク12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の外端部側に配置される。つまり、マイク12は、携帯電話機1の開状態において一方の外端部側に配置される。
操作部側筐体2における一方側の側面には、外部機器(例えば、ホスト装置)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)が配置される。操作部側筐体2の他方側の側面には、所定の機能が割り当てられているサイドキーと、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース(図示せず)とが配置される。インターフェースは、キャップにより覆われている。各インターフェースは、不使用時にはキャップにより覆われる。
表示部側筐体3は、外面がフロントパネル3aと、フロントケース3bと、リアケース3cと、リアパネル3dとにより構成される。表示部側筐体3には、表示部側内面211に各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバとしてのスピーカ22と、が外部に露出するように配置される。
表示部21は、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部と、金属製の外枠部材等を有して構成される。
次いで、図2から図7Bにより、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の内部構造について説明する。
図2は、操作部側筐体2に内蔵される部材の分解斜視図である。図3は、表示部側筐体3に内蔵される部材の分解斜視図である。図4は、携帯電話機1の開状態におけるアンテナ100を説明する平面図である。図5は、携帯電話機1の開状態におけるアンテナ100を説明するA−A断面図である。図6は、携帯電話機1の閉状態におけるアンテナ100を説明するA−A断面図である。図7Aは、アンテナ100を構成する第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103の位置関係を説明する模式図である。図7Bは、アンテナ100を構成する第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103それぞれにおけるループ方向を説明する模式図である。
図2に示すように、操作部側筐体2は、フロントケース2aと、キー構造部40と、キー基板50と、ケース体60と、基準電位パターン層75及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板70と、外部の基地局を介した無線通信用のメインアンテナ部90と、アンテナ100の一部(第1ループ部101、及び第3ループ部103の一部)と、バッテリリッド2cを備えたリアケース2bと、バッテリ80とを備える。
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間には、キー構造部40と、キー基板50と、ケース体60と、回路基板70と、メインアンテナ部90と、アンテナ100の一部(第1ループ部101、及び第3ループ部103の一部)とが挟まれるようにして内蔵される。アンテナ100については、後に詳述する。
フロントケース2aには、操作部側内面201に、キー孔13a、14a、15aが形成される。キー孔13a、14a、15aそれぞれからは、機能設定操作キー13を構成する機能設定操作キー部材13bの押圧面、入力操作キー14を構成する入力操作キー部材14bの押圧面、及び決定操作キー15を構成する決定操作キー部材15bの押圧面が露出される。この露出した機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b及び決定操作キー部材15bの押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチ51、52、53それぞれに設けられる後述のメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
キー構造部40は、操作部材40Aと、補強部材としてのキーフレーム40Bと、シート部材としてのキーシート40Cと、により構成される。
操作部材40Aは、複数のキー操作部材により構成される。具体的には、機能設定操作キー部材13bと、入力操作キー部材14bと、決定操作キー部材15bとにより構成される。キーシート40Cに接着された各操作キー部材それぞれにおける押圧面は、上述の通り、キー孔13a、14a、15aそれぞれから外部に露出して配置される。
キーフレーム40Bは、孔部14cが複数形成された金属性の板状部材である。キーフレーム40Bは、入力操作キー部材14bの押圧による回路基板70等への悪影響を防ぐための補強部材であると共に、静電気を逃がすための部材としても機能する。キーフレーム40Bに形成される複数の孔部14cには、後述するキーシート40Cに形成される凸部14dが嵌合するように配置される。そして、この凸部14dに入力操作キー部材14bが接着される。
キーシート40Cは、可撓性を有するシリコンゴム製のシート状部材である。キーシー
ト40Cには、上述の通り、複数の凸部14dが形成される。複数の凸部14dそれぞれは、後述するキースイッチ52に対応する位置に形成される。
キー基板50は、キーシート40C側の面である第1面50aに配置される複数のキースイッチ51、52、53を有する。複数のキースイッチ51、52、53、それぞれは、各操作部材40Aに対応する位置に配置される。キー基板50に配置されるキースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、キー基板50の表面に印刷された電気回路(図示せず)に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通するように構成される。
図2に示すように、ケース体60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する導電性の部材である。ケース体60は、平板部61における開口側の面に略垂直に形成されるリブ62を有する。リブ62は、平板部61の周縁及び内側に基準電位部を構成する基準電位パターン層75に対応するように形成される。
ケース体60は、リブの底面が基準電位パターン層75に当接されることで、該基準電位パターン層75と電気的に接続される。ケース体60は、基準電位パターン層75と電気的に導通して該基準電位パターン層75と同じ大きさの電位を有するようになる。つまり、ケース体60は、シールドケースとして機能する。
ケース体60は、シールドケースとして外部からの高周波等のノイズが回路基板70に配置される各種電子部品に作用するのを抑制すると共に、RF(Radio Frequency)回路、CPU回路、電源回路等から放出されるノイズを遮蔽して、他の電子部品やメインアンテナ部90に接続される受信回路等に作用することを抑制する。
図2に示すように、回路基板70には、メインアンテナ部90が送受信する信号を処理する信号処理部を含む不図示の各種電子部品や回路が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、RF(Radio Frequency)回路、電源回路等を含む各種回路ブロックが形成される。
回路基板70におけるケース体60側の第1面70aには、上述の各種電子部品のほか、基準電位部を構成する基準電位パターン層75が形成される。基準電位パターン層75は、上述の各回路ブロックを区画するように形成される。基準電位パターン層75は、回路基板70の第1面70aの表面に導電性の部材を所定パターンで印刷することで形成される。
回路基板70におけるバッテリ側の第2面70bには、アンテナ100に接続されるRFIDチップ110が配置される。RFIDチップ110は、アンテナ100を介して外部のリーダ・ライタ装置により情報の読み出し及び情報の書き込み処理が行われる。
メインアンテナ部90は、基台上に所定形状のアンテナエレメントが配置されることにより構成さる。メインアンテナ部90は、携帯電話機1における連結部4側と反対の端部側に配置される。メインアンテナ部90のアンテナエレメントは、帯状の板金により形成される。また、メインアンテナ部90は、不図示の給電端子を介して回路基板70から給電される。これにより、アンテナエレメントは、給電端子を介して回路基板70から給電されると共に、回路基板70のRFモジュール等と接続される。
図2に示すように、リアケース2bの一端側(図2において)には、取り外し可能なバッテリリッド2cが設けられている。バッテリリッド2cは、バッテリ80をリアケース2bの外側から収納した後、リアケース2bに装着される。また、リアケース2bにおける一端側には、ユーザの音声を入力する不図示のマイク12が収容される。
図3に示すように、表示部側筐体3は、フロントパネル3aと、スピーカ22と、フロントケース3bと、表示部21と、表示部21が接続されたプリント基板85と、リアケース3cと、リアパネル3dと、を備える。
表示部側筐体3は、フロントパネル3aと、フロントケース3bと、表示部21と、プリント基板85と、リアケース3cと、リアパネル3dとがそれぞれが積層的に配置される。具体的には、フロントケース3bとリアケース3cとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。
そして、フロントケース3bとリアケース3cとの間には、表示部21が接続されたプリント基板85が挟まれるようにして内蔵される。プリント基板85には、不図示のアンプと接続されるスピーカが接続される。
また、表示部側筐体3には、アンテナ100の一部(第2ループ部102、及び第3ループ部103の一部)が内蔵される。アンテナ100については、後に詳述する。
図4から図6に示すように、アンテナ100は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とにわたって配置される。
アンテナ100は、連続する一の導電材150により形成される。例えば、アンテナ100は、一の導線における所定部分を巻き回して形成される。アンテナ100は、接点100aと接点100bとによりRFIDチップ110に接続している。アンテナ100は、所定の使用周波数帯(例えば、13.56Hz)により不図示のリーダ・ライタ装置との通信を行う。また、アンテナ100は、PET(polyethylene terephthalate)材料等の柔軟に変形可能なシート部材に配置された状態で、操作部側筐体2等に配置されてもよい。
図4に示すように、アンテナ100は、第1ループ部101と、第2ループ部102と、第3ループ部103とを有する。第1ループ部101、第2ループ部102又は第3ループ部103のいずれかにおいて信号を受信した場合、アンテナ100が一の導電材15(例えば、導電線や導電性の薄膜部材)により形成されるので、どのループ部においても同じ信号が伝達される。例えば、複数のループ部がリーダ・ライタ装置に対向された場合であっても、アンテナ100には、一の信号が流れる。
第1ループ部101は、操作部側筐体2に配置される。第1ループ部101は、操作部側筐体2における操作部側内面201と反対側の操作部側外面202側に配置される。また、本実施形態において、第1ループ部101は、操作部側筐体2における連結部4側に配置される。
ここで、本実施形態において、第1ループ部101における操作部側内面201側には、回路基板70が配置される。回路基板70は、内部に金属材料を含み、磁界の遮蔽部材として機能する場合がある。
第2ループ部102は、表示部側筐体3に配置される。第2ループ部102は、表示部側筐体3における表示部側内面211と反対側の表示部側外面212側に配置される。また、本実施形態において、第2ループ部102は、表示部側筐体3における連結部4側に配置される。
ここで、本実施形態において、第2ループ部102における表示部側内面211側には、表示部21が配置される。表示部21は、金属製の外枠部材を有し、磁界の遮蔽部材と
して機能する場合がある。
第3ループ部103は、一部が連結部4に配置される。詳細には、第3ループ部103は、中央部分が連結部4に配置され、一端側が操作部側筐体2に配置され、他端側が表示部側筐体3側に配置される。第3ループ部103は、本実施形態において、第1ループ部101よりも操作部側内面201側に配置されると共に、第2ループ部102よりも表示部側内面211側に配置される。
また、第3ループ部103は、幅方向Xにおいて第1ループ部101及び第2ループ部102とずれた位置に配置される。
第1ループ部101、第2ループ部102、及び第3ループ部103は、それぞれのループ部に対して少なくともループ部の電磁波放射方向の直上領域で通信が可能である。
図7Aに示すように、アンテナ100において、第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103それぞれは、隣接するループ部同士における互いに平行な部分が、所定距離だけ離間するよう配置される(図7Aの両矢印参照)。
互いに影響を及ぼす場合がある略並行に配置された各ループ部の部分は、互いの影響を少なくするよう所定距離(例えば、3mm以上、好ましくは5mm以上)だけ離間して配置される。
また、アンテナ100において、第1ループ部101と第3ループ部103とは、操作部側筐体2の厚さ方向Z1において互いに離間すると共に、互いに積層配置される。そして、厚さ方向Z1からみて、第1ループ部101及び第3ループ部103同士が交差する部分105a、105bは、厚さ方向Z1からみて互いに略直交して配置される(実際はねじれ位置)。
同様に、アンテナ100において、第2ループ部102と第3ループ部103とは、表示部側筐体3の厚さ方向Z2において互いに離間すると共に、互いに積層配置される。そして、厚さ方向Z2からみて、第2ループ部102及び第3ループ部103同士が交差する部分105c、105dは、厚さ方向Z2からみて互いに略直交して配置される(実際はねじれ位置)。
図4及び図5に示すように、携帯電話機1が開状態において、第1ループ部101と第2ループ部102とは、長手方向Yに並んで配置される。
第3ループ部103は、長手方向Yにおいて、第1ループ部101と第2ループ部102との間に位置し、第1ループ部101及び第2ループ部102と並んで配置される。
第3ループ部103は、一端側が第1ループ部101と厚さ方向に重なると共に、他端側が第2ループ部102と厚さ方向に重なるように、第1ループ部101及び第2ループ部102と長手方向Yに並んで配置される。
図5及び図7Bに示すように、携帯電話機1が開状態において、第1ループ部101及び第2ループ部102は、アンテナ100における一端側の接点100aから他端側の接点100bに向けて電流を流した場合の各ループ部における電流の流れる方向であるループ方向について、操作部側内面201及び表示部側内面211が配置される側(図5において下側)から第1ループ部101をみた場合における第1ループ部101のループ方向R1と、操作部側内面201及び表示部側内面211が配置される側から第2ループ部102をみた場合における第2ループ部のループ方向R2とが同じ方向(同じ回転方向)である。
更に、携帯電話機1が開状態において、第3ループ部103は、ループ方向について、操作部側内面201及び表示部側内面211が配置される側(図5において下側)から第3ループ部103をみた場合における第3ループ部103のループ方向R3が、上記ルー
プ方向R1及びループ方向R2と同じ方向(同じ回転方向)である。
図5に示すように、携帯電話機1が開状態における通信可能領域G1は、携帯電話機1における操作部側外面202及び表示部側外面212側に形成される。通信可能領域G1は、長手方向Yに長く連続して形成される。通信可能領域G1は、操作部側外面202及び表示部側外面212側に大きく形成される。なお、通信可能領域とは、通信が可能な領域を模式的にあらわしたものであり、この領域の外で通信が不可能となるわけではない。
アンテナ100は、ユーザが携帯電話機1を開状態にして操作している状態において、リーダ・ライタ装置に対向して配置される側に大きな通信可能領域G1を形成する。通信可能領域G1は、第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103それぞれの通信可能領域を比較して、それぞれのループ部の電磁波放射方向と異なる方向に広がっている。
図4及び図6に示すように、携帯電話機1が閉状態において、第1ループ部101と第2ループ部102とは、積層方向Sにおいて、積層配置される。
本実施形態において、第1ループ部101が操作部側外面202側に配置されると共に、第2ループ部102が表示部側外面212側に配置されているので、積層方向Sにおいて、第1ループ部101と第2ループ部102とは、離間している。
第3ループ部103は、長手方向Yに(外側に)突出するようにU字状に湾曲される。第3ループ部103は、一端側が第1ループ部101と厚さ方向に重なり、他端側が第2ループ部102と厚さ方向に重なると共に、中央部が長手方向Yに突出するようにU字状に湾曲されて配置される。携帯電話機1が閉状態において、第3ループ部103は、長手方向Yから第3ループ部103をみた場合、ループを形成している。
図6に示すように、携帯電話機1が閉状態において、第1ループ部101及び第2ループ部102は、アンテナ100における一端側の接点100aから他端側の接点100bに向けて電流を流した場合の各ループ部における電流の流れる方向であるループ方向について、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の積層方向Sにみた場合における第1ループ部101のループ方向R1と、積層方向Sにみた第2ループ部102のループ方向R2とが互いに反対の方向(反対の回転方向)になるように配置される(図7Bも参照)。
ここで、上述の通り、操作部側筐体2は、回路基板70を有する。また、表示部側筐体3は、表示部21を有する。
そして、携帯電話機1が閉状態において、回路基板70及び表示部21は、積層方向Sにおいて、第1ループ部101と第2ループ部102との間に配置される。
これにより、回路基板70及び表示部21は、遮蔽部材として機能し、第1ループ部101及び第2ループ部102における互いの干渉を抑制する。例えば、携帯電話機1(アンテナ100)は、2つのループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
図6に示すように、携帯電話機1が閉状態における通信可能領域G2は、閉状態の携帯電話機1における連結部4側に、連結部4を中心とするように形成される。
通信可能領域G2は、連結部4を囲むように形成される。通信可能領域G2は、連結部4を基準として、閉状態の携帯電話機1における一面側である操作部側外面202側から他面側である表示部側外面212側にわたって形成される。通信可能領域G2は、連結部4を中心として閉状態における携帯電話機1の両面側に形成される。
アンテナ100は、携帯電話機1が閉状態において、リーダ・ライタ装置に対向させる面(表裏)や対向させる角度について、幅広く対応可能な通信可能領域G2を形成する。
続けて、図8により、携帯電話機1の回路構成について説明する。
図8は、携帯電話機1における回路構成を説明するブロック図である。
図8に示すように、携帯電話機1は、操作部側筐体2に配置される無線通信部200と、入力部としての操作部600と、マイク12と、LCD制御部42と、音声処理部43と、記憶部としてのメモリ44と、CPU45と、電源部46と、制御IC47と、アンテナ100と、RFIDチップ110と、表示部側筐体3に配置される表示部21と、スピーカ22と、ドライバIC25とを備える。
無線通信部200は、所定の使用周波数帯により外部装置と通信を行うメインアンテナ部90と、変調処理又は復調処理等の信号処理を行う通信処理部201と、を備える。
メインアンテナ部90は、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で不図示の基地局と通信を行う。メインアンテナ部90は、所定の使用周波数帯で基地局を介して外部の通信機器と通信を行う。なお、本実施形態では、所定の使用周波数帯として、800MHzとしたが、他の周波数帯であってもよい。また、メインアンテナ部90は、所定の使用周波数帯(第1使用周波数帯)のほかに、第2使用周波数帯(例えば、2GHz)に対応できる、いわゆるデュアルバンド対応型による構成であってもよいし、更に、第3の使用周波数帯にも対応できる複数バンド対応型により構成されていてもよい。
通信処理部201は、所定の機能部から供給された信号を変調処理しメインアンテナ部90等を介して基地局に送信すると共に、メインアンテナ部90により受信された信号を復調処理し所定の機能部に供給する。
操作部101は、操作キー群11を含んで構成される。
LCD制御部42は、CPU45の制御にしたがって、入力された画像データに対して所定の画像処理を行うと共に、画像処理された画像データをドライバIC25に出力する。ドライバIC25は、LCD制御部42から入力された画像データをフレームメモリに蓄えると共に、該フレームメモリに蓄えられた画像データを所定のタイミングで表示部21に出力する。
表示部21は、ドライバIC25から入力されたデータに基づいて、所定の文字や画像を表示する。
メモリ44は、所定のデータを記憶する。具体的には、メモリ44は、各種機能を動作させるアプリケーションプログラムや、プロフィール情報や、アドレス帳機能に利用されるアドレス情報等を記憶する。
CPU45は、携帯電話機1の全体を制御する。CPU45は、特に、無線通信部200と、LCD制御部42と、音声処理部43に対して所定の制御を行う。
音声処理部43は、CPU45の制御にしたがって、通信処理部201から供給された信号に対して所定の音声処理を行うと共に、音声処理された信号をスピーカ22に出力する。スピーカ22は、音声処理部43から供給された信号に基づいて外部に放音(出力)する。また、音声処理部43は、CPU45の制御にしたがって、マイク12から入力された信号に対して所定の処理をすると共に、処理された信号を通信処理部201に出力する。通信処理部201は、音声処理部43から入力された信号に所定の処理を行うと共に、処理がされた信号をメインアンテナ部90に出力する。
電源部46は、バッテリ80を有して構成される。バッテリ80は、所定容量を有するリチウムイオン電池である。
制御IC47は、電源部46から供給される電源電圧を所定の電源電圧に変換し、変換後の電源電圧を携帯電話機1における各部(例えば、CPU45等)に供給する。
RFIDチップ110は、アンテナ100(第1ループ部101、第2ループ部102又は第3ループ部103の少なくとも一つ)で受信された信号によって誘起された電力に基づいて所定の電圧を生成する電源回路と、アンテナ100により通信される信号に対して変調処理又は復調処理等の信号処理を行うRF回路と、所定の演算処理を行うCPUと、所定のデータが格納されているメモリと、を備える。
電源回路は、例えば、DC−DCコンバータにより構成される。
電源回路は、アンテナ100により磁界が受信されることで電磁誘導作用により発生した起電力から所定の電源電圧を生成し、RF回路と、CPUと、メモリとに供給する。RF回路と、CPUと、メモリとは、電源回路から所定の電源電圧が供給されることにより停止状態から起動状態に移行する。
RF回路は、アンテナ100を介して供給された信号に対して復調等の信号処理を行い、処理後の信号をCPUに供給する。
RF回路は、メモリから読み出されたデータに対して変調等の信号処理を行い、アンテナ100を介して外部のリーダ・ライタ装置に送信する。
CPUは、RF回路から供給された信号に基づいて、メモリにデータを書き込む、又は、メモリからデータを読み出す。CPUは、メモリからデータを読み出した場合には、該データをRF回路に供給する。
続けて、本実施形態に係る携帯電話機1の作用について説明する。
まず、ユーザは、携帯電話機1を開状態にして所定の操作を行うことで、開状態の携帯電話機1をリーダ・ライタ装置と通信可能な状態にする。
携帯電話機1(アンテナ100)は、図5に示すように、リーダ・ライタ装置に対向される側に広い通信可能領域G1を形成する。
次いで、ユーザは、開状態の携帯電話機1における操作部側外面202及び表示部側外面212側の面をリーダ・ライタ装置に対向させると共に近接させる。
携帯電話機1(アンテナ100)は、リーダ・ライタ装置が通信可能領域G1内に入る位置に移動されるので、リーダ・ライタ装置と所定の通信を行う。
ここで、携帯電話機1における第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103のうち複数のループ部がリーダ・ライタ装置と通信可能な位置に配置された場合であっても、同じ一の信号が各ループ部を伝達されると共に、RFIDチップに一の信号が伝達される。
本実施形態の携帯電話機1は、アンテナ100が一の導電材15により形成されるので、複数のループ部がリーダ・ライタ装置に対向配置された場合であっても、アンテナ100に一の信号だけがながれるので、アンテナ100に複数の信号が伝達されることが抑制される。
また、上述の通り、第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103における同じ側からみた場合のループ方向が同じ方向(同じ回転方向)なので、互いに隣接するループ部同士における干渉を抑制する。
ここで、隣接するとは、例えば、厚さ方向からみて一部が重なるように配置されている状態も含む。
続けて、ユーザは、携帯電話機1を開状態から閉状態に状態変更させると共に、所定の操作を行うことで、閉状態の携帯電話機1をリーダ・ライタ装置と通信可能な状態にする。
携帯電話機1(アンテナ100)は、図6に示すように、連結部4側に、連結部4を中心に通信可能領域G2を形成する。携帯電話機1は、リーダ・ライタ装置に対向させる面(表裏)や対向させる角度について、幅広く対応可能な通信可能領域G2を形成する。
続けて、ユーザは、閉状態の携帯電話機1における連結部4側をリーダ・ライタ装置に対向させると共に近接させる。
携帯電話機1(アンテナ100)は、リーダ・ライタ装置が通信可能領域G2内に入る位置に移動されるので、リーダ・ライタ装置と所定の通信を行う。
この場合、携帯電話機1における操作部側外面202、表示部側外面212又は連結部4の側面のいずれがリーダ・ライタ装置に対向配置された場合でも、携帯電話機1(アンテナ100)は、リーダ・ライタ装置と通信可能である。
また、携帯電話機1が開状態の場合と同様、携帯電話機1における第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103のうち複数のループ部がリーダ・ライタ装置と通信可能な位置に配置された場合であっても、同じ一の信号が各ループ部を伝達されると共に、RFIDチップに一の信号が伝達される。本実施形態の携帯電話機1は、アンテナ100が一の導電材15により形成されるので、複数のループ部がリーダ・ライタ装置に対向配置された場合であっても、アンテナ100に一の信号だけがながれるので、アンテナ100に複数の信号が伝達されることが抑制される。
また、携帯電話機1が閉状態の場合、積層方向Sにおいて、第1ループ部101と第2ループ部102とが離間すると共に、第1ループ部101と第2ループ部102との間に遮蔽部材としての回路基板70や表示部21が配置されるので、第1ループ部101及び第2ループ部102同士の干渉が抑制される。例えば、携帯電話機1(アンテナ100)は、2つのループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
本実施形態によれば、携帯電話機1は、それぞれ異なる位置に配置される複数のループ部を有すると共に、連続する一の導電材15により形成された、外部に配置されたリーダ・ライタ装置と通信するアンテナ100を有する。
これにより、携帯電話機1は、複数個所(広い領域)でリーダ・ライタ装置と通信可能であると共に、一度の通信動作で複数の信号を通信することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、携帯電話機1は、開状態において一面側に広い通信可能領域G1を形成すると共に、閉状態において連結部4側に両面側にまたがった通信可能領域G2を形成する。これにより、携帯電話機1は、開状態及び閉状態それぞれにおいて、リーダ・ライタ装置との通信性が向上される。
また、本実施形態によれば、携帯電話機1が閉状態の場合、第1ループ部101及び第2ループ部102は、積層方向Sにおいて互いに離間するように、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれに配置される。これにより、携帯電話機1は、第1ループ部101及び第2ループ部102同士における互いの干渉を抑制できる。例えば、携帯電話機1(アンテナ100)は、2つのループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
また、本実施形態によれば、携帯電話機1が閉状態の場合、第1ループ部101と第2
ループ部102との間には、遮蔽部材としての回路基板70や表示部21が配置される。これにより、携帯電話機1は、第1ループ部101及び第2ループ部102同士の干渉をより抑制できる。例えば、携帯電話機1(アンテナ100)は、2つのループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
また、本実施形態によれば、隣接するループ部同士における互いに平行な部分が、所定距離だけ離間するよう配置される。これにより、携帯電話機1は、第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103同士の干渉をより抑制できる。例えば、携帯電話機1(アンテナ100)は、2つ以上のループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
また、本実施形態によれば、厚さ方向からみてループ部同士が交差する部分は、厚さ方向からみて互いに略直交して配置される。これにより、携帯電話機1は、第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103同士の干渉をより抑制できる。例えば、携帯電話機1(アンテナ100)は、2つ以上のループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、携帯電子機器として携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal
Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
また、本実施形態において、アンテナ100(RFIDチップ110)は、電源部を有さない受動型(Passive)の誘導電磁界方式(電磁誘導方式)であるものとして説明を行ったが、これに限定されない。アンテナ100(RFIDチップ110)は、例えば、受動型の相互誘導方式(電磁結合方式)又は放射電磁界方式(電波方式)であってもよい。また、アンテナ100(RFIDチップ110)は、例えば、電源部を有する能動型(Active)であってもよい。
また、本実施形態において、アンテナ100は、RFIDチップ110に接続されているが、これに限定されず、所定の回路ブロックに接続されていてもよい。
また、外部装置は、リード・ライト型のほか、リードオンリー型や、ライトワンス型等であってもよい。
また、本実施形態において、連結部4により折り畳み可能(開閉可能)な携帯電話機1の説明をしているが、これに限定されない。
以下、他の実施形態として、いわゆるストレートタイプの携帯電話機と、スライドタイプの携帯電話機とについて説明する。
まず、他の実施形態として、図9から図12により、携帯電話機がストレートタイプである場合の第2実施形態及び第3実施形態について説明する。図9は、第2実施形態に係る携帯電話機1Aの平面図である。図10は、携帯電話機1Aの側面図である。図11は、アンテナ100Aを構成する第1Aループ部101A及び第2Aループ部102Aの位置関係及びループ方向を説明する模式図である。図12は、第3実施形態に係る携帯電話機1Bの側面図である。
以下、上述した携帯電話機1(開閉タイプ)と同様の構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明をする。
図9及び図10に示すように、携帯電話機1Aは、筐体2Aを備える。筐体2Aは、第
1A面201Aと、第1A面201Aと反対側の第2A面211Aとを有する。
アンテナ100Aは、携帯電話機1Aの長手方向Yの一端側に配置される。
アンテナ100Aは、第1A面201A側に配置される第1Aループ部101Aと、第2A面211A側に配置される第2Aループ部102Aとを有する。
第1Aループ部101Aと第2Aループ部102Aとは、厚さ方向Zにおいて重なるように配置される。
第1Aループ部101A及び第2Aループ部102Aは、ループ方向について、筐体2Aの厚さ方向Zにみた場合における第1Aループ部101Aのループ方向R1Aと、第2Aループ部102Aのループ方向R2Aとが同じの方向(同じ回転方向)になるよう、筐体2Aに配置される。
ストレートタイプの携帯電話機では、上記第1実施形態の折り畳みタイプのように複数のループ部同士の相対位置が変化することがないため、上記のように、第1ループ部101Aと第2ループ部102Aとを配置すればよい。
図10に示すように、通信可能領域G3は、長手方向Yにおける一端側に形成される。
ここで、第1Aループ部101Aと第2Aループ部102Aとが厚さ方向Zに重なるように配置されるが、厚さ方向Zにみた場合における第1Aループ部101Aのループ方向R1Aと、第2Aループ部102Aのループ方向R2Aとが同じ方向であるので、第1Aループ部101A及び第2Aループ部102Aにおける互いの干渉が抑制される。例えば、携帯電話機1A(アンテナ100A)は、2つのループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
本実施形態によれば、上述の携帯電話機1における効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態によれば、携帯電話機1Aは、厚さが薄い場合でも、第1Aループ部101Aと第2Aループ部102Aとの干渉が抑制される。
図12に示すように、携帯電話機1Bは、筐体2Bを備える。筐体2Bは、第1B面201Bと、第1B面201Bに連続すると共に交差して配置される第2B面211Bとを有する。
アンテナ100Bは、携帯電話機1Bの長手方向Yの一端側に配置される。アンテナ100Bは、第1B面201B側に配置される第1Bループ部101Bと、第2B面211B側に配置される第2Bループ部102Bとを有する。
第1Bループ部101Bは、第1B面201B側であって第2B面211B側に偏った位置に配置される。
第2Bループ部102Bは、第2B面211B側であって第1B面201B側に偏った位置に配置される。
第1Bループ部101Bと第2Bループ部102Bとは、交差するように配置される。第1Bループ部101B及び第2Bループ部102Bは、ループ方向について、所定位置から見た場合における、第1Bループ部101Bにおける第2Bループ部102B側の部分のループ方向(電流の流れる方向)と、第2Bループ部102における第1Bループ部101B側の部分のループ方向(電流の流れる方向)とが同じ方向になるよう筐体2Bに配置される。
図12に示すように、通信可能領域G4は、長手方向Yにおける一端側に形成される。
ここで、第1Bループ部101Bと第2Bループ部102Bとが交差するように近接して配置されるが、所定位置からみた場合における第1Bループ部101Bにおける第2Bループ部102B側の部分のループ方向(電流の流れる方向)と、第2Bループ部102における第1Bループ部101B側の部分のループ方向(電流の流れる方向)とが同じ方向であるので、第1Bループ部101B及び第2Bループ部102Bにおける互いの干渉が抑制される。例えば、携帯電話機1B(アンテナ100B)は、2つのループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
本実施形態によれば、上述の携帯電話機1における効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態によれば、携帯電話機1Bは、第1Bループ部101Bと第2Bループ部102Bとの干渉が抑制される。
次いで、図13から図15により、携帯電話機がスライドタイプである場合の第4実施形態について説明する。図13は、第4実施形態に係る携帯電話機1Cが閉状態におけるアンテナ100Cを説明する側面図である。図14は、携帯電話機1Cが開状態におけるアンテナ100Cを説明する側面図である。図15は、アンテナ100Cを構成する第1Cループ部101C及び第2Cループ部102Cの位置関係及びループ方向を説明する模式図である。
以下、上述した携帯電話機1(開閉タイプ)と同様の構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明をする。
図13から図15に示すように、携帯電話機1Cは、操作部側内面201C(第1C面)を有する操作部側筐体2C(第1C筐体)と、操作部側筐体2Cにおける操作部側内面201C側に積層配置される表示部側筐体3(第2C筐体)と、操作部側筐体2Cと表示部側筐体3とを互いにスライド移動可能に連結する連結部4Cとを備える。
連結部4Cは、表示部側筐体3Cが操作部側筐体2Cに対して第1相対位置に配置され操作部側内面201Cにおける所定領域を外部に露出させる開状態(図14参照)と、表示部側筐体3Cが操作部側筐体2Cに対して第2相対位置に配置され前記所定領域を覆う閉状態(図13参照)とに状態変化可能に操作部側筐体2Cと表示部側筐体3Cとをスライド移動可能に連結する。連結部4Cは、携帯電話機1Cを開状態と閉状態とに変形可能に操作部側筐体2Cと表示部側筐体3Cとを連結する。
図13から図15に示すように、アンテナ100Cは、操作部側筐体2に配置される第1Cループ部101Cと、表示部側筐体3に配置される第2Cループ部102Cとを備える。
第1Cループ部101Cは、操作部側筐体2Cにおける操作部側内面201Cに配置される。第1Cループ部101Cは、操作部側筐体2Cにおける前記所定領域に対応する位置に配置される。詳細には、第1Cループ部101Cは、携帯電話機1Cが開状態において外部に露出され、携帯電話機1Cが閉状態において表示部側筐体3Cに覆われる所定領域に対応する位置に配置される。
第2Cループ部102Cは、表示部側筐体3Cにおける表示部側外面212C側に配置される。第2Cループ部102Cは、携帯電話機1Cが閉状態において第1Cループ部101Cと積層方向Sに重なる位置に配置される。また、第2Cループ部102Cは、携帯電話機1Cが開状態において、積層方向Sにおいて第1Cループ部101Cと重ならず、長手方向Yにおいて第1Cループ部101Cと並ぶ位置に配置される。
図13及び図14に示すように、第1Cループ部101Cと第2Cループ部102Cとは、携帯電話機1Cが開状態において長手方向Yに並んで配置されると共に、携帯電話機1Cが閉状態において積層方向Sに積層して(重なって)配置される。
また、第1Cループ部101C及び第2Cループ部102Cは、ループ方向について、積層方向Sにみた場合における第1Cループ部101Cのループ方向R1Cと、第2Cループ部102Cのループ方向R2Cとが同じ方向(同じ回転方向)になるよう、操作部側筐体2C又は表示部側筐体3Cそれぞれに配置される。
図13に示すように、携帯電話機1Cが閉状態において、通信可能領域G5は、長手方向Yにおける一端側に形成される。
ここで、携帯電話機1Cが閉状態において、第1Cループ部101Cと第2Cループ部102Cとが積層方向Sに重なるように配置されるが、積層方向Sにみた場合における第1Cループ部101Cのループ方向R1Cと、第2Cループ部102Cのループ方向R2Cとが同じ方向であるので、第1Cループ部101C及び第2Cループ部102Cにおける互いの干渉が抑制される。例えば、携帯電話機1C(アンテナ100C)は、2つのループ部で同時に信号を受信した際にも、各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを抑制できる。
また、図14に示すように、携帯電話機1Cが開状態において、通信可能領域G6は、通信可能領域G5よりも広く形成される。
本実施形態によれば、上述の携帯電話機1における効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態によれば、携帯電話機1Cは、閉状態において第1Cループ部101Cと第2Cループ部102Cとの干渉が抑制されると共に、開状態において閉状態よりも広い通信可能領域を形成することができる。
次に、図16および図17により、本発明の第5実施形態について説明する。図16(a)は、第5実施形態に係る携帯電話機1の開状態におけるアンテナ100を説明する断面図である。図16(b)は、携帯電話機1の閉状態におけるアンテナ100を説明する断面図である。図17(a)は、アンテナ100を構成する第1ループ部101、第2ループ部102及び第3ループ部103の位置関係及びループ方向を説明する模式図である。図17(b)は、スイッチ部120の構造を説明する図である。
以下、上述した第1実施形態に係る携帯電話機1と同様の構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明をする。
図16(b)に示すように、本実施形態においては、第1ループ部101および第2ループ部102は、積層方向Sにおいて、表示部21および回路基板70と重ならない位置に配置されている。
また、図17(a)に示すように、本実施形態においては、アンテナ100は、第2ループ部102と第3ループ部103との間に、スイッチ部120を備える。スイッチ部120は、CPU45から送信される信号に基づいて、第2ループ部102と第3ループ部103との接続を切り替えることが可能である。
図17(b)に、スイッチ部120の詳細構成を示す。図17(b)に示すように、スイッチ部120は、第2ループ部102の第3ループ部側における一端部102aおよび他端部102b(いずれも可動接点)と、第3ループ部103の第2ループ部側における一端部103aおよび他端部103b(いずれも可動接点)と、固定接点120a〜120hとを備える。
本実施形態においては、CPU45が、携帯電話機1が開状態であるか閉状態であるかに応じて、第1ループ部101および第3ループ部103に対する第2ループ部102のループ方向をスイッチ部120により切り替える。以下当該切り替え動作について説明する。なお、携帯電話機1の開状態および閉状態は、磁石およびホール素子(いずれも不図示)を用いた公知の方法によって検出される。
CPU45は、ホール素子から携帯電話機1が開状態である旨の信号を受信すると、可動接点103aと固定接点120aとを接続すると共に可動接点103bと固定接点120とを接続し、かつ、可動接点102aと固定接点120hとを接続すると共に可動接点102bと固定接点120eとを接続する。
また、CPU45は、ホール素子から携帯電話機1が閉状態である旨の信号を受信すると、可動接点103aと固定接点120bとを接続すると共に可動接点103bと固定接点120cとを接続し、かつ、可動接点102aと固定接点120gとを接続すると共に可動接点102bと固定接点120fとを接続する。
以上説明した切り替え動作によって、携帯電話機1が開状態である場合、操作部側内面201及び表示部側内面211が配置される側(図16において下側)から前記第1ループ部101をみた場合における前記第1ループ部101のループ方向と、操作部側内面201及び表示部側内面211が配置される側(図16において下側)から前記第2ループ部102をみた場合における前記第2ループ部102のループ方向とが同じ方向となる。
一方、携帯電話機1が閉状態である場合、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の積層方向Sにみた場合における第1ループ部101のループ方向と、前記積層方向Sにみた第2ループ部102のループ方向とが同じ方向になる。
以上説明した第5実施形態に係る携帯電話機1によれば、例えば携帯電話機内部の部品レイアウトの都合により筐体の積層方向に基板または表示部といった磁界遮蔽部材が配置されない場合に、アンテナ100によりリーダ・ライタ装置と好適に通信を行うことができる。
次に、図18から図19を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。図18(a)は、第6実施形態に係る携帯電話機1Cが閉状態におけるアンテナ100Cを説明する側面図である。図18(b)は、第6実施形態に係る携帯電話機1Cが開状態におけるアンテナ100Cを説明する側面図である。図19は、第6実施形態に係るアンテナ100Cを構成する第1Cループ部101C及び第2Cループ部102Cの位置関係及びループ方向を説明する模式図である。
以下、上述した第4実施形態に係る携帯電話機1Cと同様の構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明をする。
図18(a)に示すように、本実施形態においては、第1Cループ部101Cと第2Cループ部102Cとの間に、第3Cループ部103Cが配置される。また、第1Cループ部101Cと第3Cループ部103Cとの間に第1スイッチ部121が設けられ、第3Cループ部103Cと第2Cループ部102Cとの間に第2スイッチ部122が設けられる。第1スイッチ部121および第2スイッチ部122は、上述した第5実施形態におけるスイッチ部120と同様の構成を有する。
本実施形態においては、CPU45が、携帯電話機1Cが開状態であるか閉状態であるかに応じて、第1Cループ部101Cに対する第2Cループ部102Cおよび第3Cループ部103Cのループ方向をスイッチ部120により切り替える。
具体的には、図18(a)に示すように、携帯電話機1Cが閉状態である場合、第3Cループ部103Cは、第1Cループ部101Cおよび第2Cループ部102Cと積層方向Sに重なる位置に配置される。このとき、スイッチ部により、積層方向Sにみた場合における第1Cループ部101Cのループ方向R1Cと、第2Cループ部102Cのループ方向R2Cと、第3Cループ部103Cのループ方向R3Cとが同じ方向(同じ回転方向)になる。
一方、図18(b)に示すように、携帯電話機1Cが開状態である場合、第3Cループ部103Cは、積層方向Sにおいて第2Cループ部102Cと重ならず、長手方向Yにおいて第1Cループ部101Cおよび第2Cループ部102Cと並ぶ位置に配置される。
以上説明した第6実施形態に係る携帯電話機1Cによれば、アンテナ100の第3Cループ部103Cが、開状態では第1Cループ部101Cおよび第2Cループ部102Cと並ぶ位置に配置されると共に、閉状態では第1Cループ部101Cおよび第2Cループ部102Cとそのループ方向を同じくして第1Cループ部101Cと第2Cループ部102Cとの間に配置されるため、アンテナ100Dによりリーダ・ライタ装置と好適に通信を行うことができる。
次に、図20および図21を用いて、本発明の第7実施形態について説明する。図20は、アンテナ100Dを構成する第1Dループ部101D及び第2Dループ部102Dの位置関係及びループ方向を説明する図である。
図20に示すように、本実施形態においては、アンテナ100Dは、スイッチ部123およびコンデンサ130を備える。本実施形態において、スイッチ部123は、開閉スイッチ123a〜123eにより構成される。スイッチ部123は、CPU45からの制御信号により、第1Dループ部101Dと第2Dループ部102Dとが接続されると共に第2Dループ部102Dとコンデンサ130とが接続されない第1状態と、第1Dループ部101Dと第2Dループ部102Dとが接続されず第2Dループ部102Dとコンデンサ130とが接続される第2状態とを選択する。
具体的には、スイッチ部123は、CPU45からの制御信号により、開閉スイッチ123a、123dおよび123eを開放すると共に開閉スイッチ123bおよび123cを接続することにより第1状態を選択し、開閉スイッチ123a、123dおよび123eを接続すると共に開閉スイッチ123bおよび123cを開放することにより第2状態を選択する。
本第7実施形態においては、第2状態が選択された場合、第2Dループ部102Dはブースターコイルとして機能する。以下、図21により詳細に説明する。図21(a)は、アンテナ100Dを構成する第1Dループ部101D、第2Dループ部102Dの位置関係を説明する模式図であり、図21(b)は第2Dループ部102Dがブースターコイルとして動作する場合の模式図である。
図21(a)に示すように、第2状態において、第1Dループ部101Dと、第2Dループ部102Dとは、操作部側筐体2と表示部側筐体3の積層方向Sにおいて重なる位置に配置される。
図21(b)に示すように、スイッチ部123により第2状態が選択されると、第2Dループ部102Dは、コンデンサ130と接続されてブースターコイルとして動作する。具体的には、外部リーダ・ライタ装置500から放射(送信)される電磁波(信号)を、まず第2Dループ部102Dが受信する。そして、第2Dループ部102Dが受信した電磁波(信号)は、第1Dループ部101Dに向けて放射(送信)される。すなわち、外部リーダ・ライタ500からの電磁波(信号)は、ブースターコイルとしての第2Dループ部102Dおよびコンデンサ130がを介してRFIDチップ110に送信される。
また、CPU45がスイッチ部123により第2状態を選択するための契機としては、第5実施形態と同様に携帯電話機1Dの閉状態を検出したこと、カメラ等の撮像手段、IrDA等の近接センサ、もしくは加速度センサにより携帯電話機1Dが外部リーダ・ライタ装置に載置された状態が検出されたこと、またはアンテナ100Dにより受信される信号強度が所定のしきい値を下回ったことが挙げられる。あるいはこれらの条件を任意に組み合わせたものであってもよい。
以上説明した第7実施形態に係る携帯電話機1Dによれば、信号処理部に接続されていない方のループ部をブースターコイルとして機能させることで信号を送受信できる距離(通信距離)を長くすることができるため、例えば信号強度が弱い場合であっても、外部装置(外部リーダ・ライタ装置)と好適に通信を行うことができる。
ここで、RFIDチップ110に接続された第1Dループ部101Dと外部リーダ・ライタ装置500との間にブースターコイルとしての第2Dループ部102Dが配置される構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。第2Dループ部102Dと外部リーダ・ライタ装置500との間にRFIDチップ110に接続された第1Dループ部101Dが配置される構成であっても、第2Dループ部102Dをブースターコイルとして動作させることができる。
また、第7実施形態では、携帯電話機1Dを第1実施形態と同様の折り畳み型であるとして説明を行ったが、本発明はこれに限られない。複数のループ部のうち、RFIDチップに接続された一のループ部と他のループ部とが所定の方向において重なるように配置されていれば、例えば第2実施形態および第3実施形態のようなストレート型または第4実施形態のようなスライド型の端末においても他のループ部を一のループ部のブースターコイルとして動作させることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は第1実施形態から第7実施形態のそれぞれだけでなく、第1実施形態から第7実施形態を好適に組み合わせた実施形態を含む。