JP2009079908A - 接触燃焼式ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】接触燃焼式ガスセンサ素子において、ガス感度および耐衝撃性を損なうことなく、検知素子と補償素子をワンチップに収め、実装が容易に行えること。
【解決手段】絶縁基板にある孔の端部に曲面形状を有する切り込みを有することで、通電中に架橋部が膨張することによって生じる応力集中を緩和でき、また孔の開口部面積が拡大することから、最終的に形成されるガスセンサは、耐衝撃性と検知対象ガスに対する応答速度が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、接触燃焼式ガスセンサに関する。
水素ガスやメタンガス等を検知対象とする可燃性ガスセンサには接触燃焼式ガスセンサ、半導体式ガスセンサ等が有り、いずれも可燃性ガスの検知に利用する熱源を内蔵している。
例えば、接触燃焼式ガスセンサ素子は、ヒーター部を有し、それに装備された燃焼触媒上で生成した可燃性ガスの接触燃焼熱によるヒーター部の抵抗値変化を電圧変化として出力することにより可燃性ガスの存在を検知するものである。
図9に示すように、従来より接触燃焼式ガスセンサには、検知対象ガスを燃焼させるために、燃焼触媒材料11と、ガスの燃焼熱を効率よくヒーターコイルに伝える熱伝導層材料10から成る焼結体12と、ガスの燃焼熱により電気的特性値が変化するヒーターコイル9とからなり、ヒーターコイル9が焼結体12に埋め込まれた構造となっている。
ヒーターコイル9の両端部は、それぞれ外部接続用の電極ピンに接続されて支持されている。
また、接触燃焼式ガスセンサとして、小型化や低消費電力を目的としたシリコンチップ型のガスセンサもある。そして、高感度化及び発熱抵抗体の温度分布の均一化を目的として、例えばシリコン基板に設けた凹部上部に発熱抵抗体を架橋支持した構造のガスセンサがある(例えば特許文献1参照。)。
特開平6−118046号公報(第4頁、図1)
上記特許文献1に開示されているガスセンサの場合、図10に示す架橋支持部14の幅が薄膜絶縁体でできた矩形の架橋部5の辺の長さより狭小であることから、耐衝撃性が低く、車載用のセンサとして使用することはできない。
また、接触燃焼式ガスセンサにおいて検知対象ガスがセンサの触媒表面で燃焼した場合、架橋部5自体の温度が上昇するため架橋部5が膨張し反りが生じる。そのため、架橋部5上に形成されている抵抗体15の抵抗値が変動し、反りが大きくなると抵抗体15が断線してしまう。
また、前述のように架橋部5が膨張すると、架橋部5と架橋支持部14を接続する接続部13に応力集中が生じてクラックが入るおそれがある。
また、架橋支持部14と固定部18を接続する接続部19の面積を大きくすることで耐衝撃性の向上が期待できるが、開口部分である凹部17の面積が縮小するため検知対象ガスの流動性が悪くなる。また、熱容量が大きくなるので、燃焼熱の一部は薄膜絶縁体に奪われる。そのため、消費電力を浪費してしまう。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる接触燃焼式ガスセンサは、ヒーター部に接
触したガスの燃焼で発生した燃焼熱によってヒーター部の電気的な特性値が変化し、その特性値の変化に基づいて可燃性ガスの存在を検知する接触燃焼式ガスセンサであって、絶縁膜にヒーター部を備え、絶縁膜を貫通する孔を有し、孔の端部に切り込みを有することを特徴とする。
また、本発明の接触燃焼式ガスセンサは、切込みが曲面形状を有すること好ましい。
また、本発明の接触燃焼式ガスセンサは、孔の開口部の形状が多角形であることが好ましい。
本発明に関わる接触燃焼式ガスセンサによれば、貫通した孔の端部に切り込みを有することで、架橋部が検知対象ガスの燃焼熱によって膨張して反った時でも孔の端部に応力の集中が起こりにくく破損を抑えることができる。
また、切り込みも孔の一部となっており、開口部の面積が拡大するので、検知対象ガスの流動性が向上する。検知対象ガスの流動性が向上することで、応答速度が向上する。
また、切り込みが曲面形状を有することで、孔の端部にかかる応力を切り込みの周囲に均一的に分散することができ、応力を緩和できる。
また、孔の開口部の形状が多角形ならば、絶縁基板上のレイアウトが容易であり、限られた面積を有効に活用できる。また、多角形の開口部に複数ある端部のすべてに切り込みを設ける必要はなく、特に応力集中が懸念される端部を選択して切り込みを設けることも可能である。
以下に図面を参照して、本発明の接触燃焼式ガスセンサの好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)は本発明の実施形態にかかる第1の実施形態となる接触燃焼式ガスセンサの表面をあらわし、A−Aにおける断面図を(b)に示す。ここでは、絶縁膜上にヒーター部が露出している面を表面、ヒーター部が露出していない面を裏面とする。また、表面と裏面をあわせて両面とする。
本発明の接触燃焼式ガスセンサには絶縁膜1と絶縁基板2を貫通する孔3と孔3を横断する架橋部5を有する。
本発明の接触燃焼式ガスセンサには孔3を横断する架橋部5と孔3の端部に切り込み4を有する。
本発明の接触燃焼式ガスセンサの表面にはヒーター部6と電極部7を有する。ヒーター部の表面に熱伝導層および燃焼触媒層を形成することで接触燃焼式ガスセンサとして機能することができる。また、電極部7はセンサの外部と導通することができ、センサから出力される信号を外部に送ることができる。
ヒーター部6は金、白金、ロジウム、またはこれらを選択的に合金化した材料でもよいが、本実施形態の貴金属膜8のように、いずれか単一の材料で形成してもよい。
図8に示す本発明の第2の実施形態である接触燃焼式ガスセンサのように、孔3を横断
する複数の架橋部5が構成されていてもよい。複数の孔3の端部には切り込み4を有する。
切り込み4が曲面形状を有し、その開口部が孔3の端部に円弧で形成される場合、円の半径は架橋部5の幅の4分の1以下がよい。4分の1より大きくなると架橋部の耐衝撃性が著しく低下する。
切り込み20または架橋部の終端にある切り込み16も前述のように、孔3の端部に円弧で形成される場合、円の半径は架橋部の幅の4分の1以下がよい。4分の1より大きくなると架橋部の耐衝撃性が著しく低下する。
図2は本発明の接触燃焼式ガスセンサの裏面をあらわしている。孔3および曲面形状を有する切り込み4は絶縁膜1をドライエッチングで除去することで貫通して形成される。
上記の第1の実施形態である切込みを有する接触燃焼式ガスセンサ(以下、実施例1という。)および切り込みを持たない接触燃焼式ガスセンサ(以下、比較例1という。)を組み立て、電圧を繰り返し印加して、印加後の抵抗値の変化を測定した。
上記の全ての評価は、はじめにそれぞれの抵抗値を測定して、20Vの電圧を2分間印加する。2分後に電圧を0Vに落とし2分保持する。この工程を100回繰り返し、再度抵抗値を測定する。電圧の印加工程の前後で抵抗値の変化率を測定する。評価結果を表1に示す。
Figure 2009079908
電圧印加工程後の抵抗値の変化率は、実施例1が、102.4%であった。比較例1は135.3%であった。実施例1は切り込みを有するため、電圧印加のときにヒーター部の温度が上昇し、応力によって架橋部に反りが生じたときでも曲面形状を有する切込みによって応力が均一的に分散され、緩和される。そのため、抵抗値の変化率が低く抑えられる。
一方、比較例1は切り込みがないため、電圧印加によって架橋部に反りが生じたとき、孔の端部に応力集中が発生し、架橋部の終端部及びヒーター部が変形し、抵抗値が増加する。その結果、抵抗値の変化率も増加する。
製造方法について図1の(b)に示すA-Aの断面を基に説明する。
図3に示すように、絶縁基板2の表面にシリコンの酸化膜、もしくはシリコンの窒化膜、もしくはこれらを組み合わせて多層化した絶縁膜1を積層させる。
図4に示すように、絶縁膜1を積層後に、金、白金、ロジウム、またはこれらを選択的に合金化した材料をスパッタによって貴金属膜8として形成する。
図5に示すように、貴金属膜8を積層した後にフォトリソグラフィー法などによりレジストパターンをマスクとしてドライエッチングにより、ヒーター部6と電極部7を形成する。
図6に示すように、表面からフォトリソグラフィー法などによりレジストパターンをマスクとしてドライエッチングにより、絶縁基板2が露出するまで絶縁膜1にドライエッチングを行う。ドライエッチングにより、孔と切り込み4が形成される。孔と切込みを有することで、センサ全体の熱容量を下げることができる。そのため、検知対象ガスが触媒で燃焼して発生した燃焼熱が熱損失を抑えながらヒーター部に伝播するのでセンサのガス感度が向上する。
孔の開口部の形状は多角形がよい。絶縁基板上のレイアウトが容易であり、限られた面積を有効に活用できる。四角形の形状で等間隔に並べても良いし、六角形の形状でハニカム状に並べても良い。
また、多角形の開口部に複数ある端部のすべてに切り込みを設ける必要はなく、特に応力集中が懸念される端部を選択して切り込みを設けてもよい。開口部の端部の形状が鈍角であるより鋭角であるほうが応力が集中したときにクラックが生じやすい。そのため、レイアウトの制限で孔のすべての端部に切り込みを設けることができない場合は、端部の形状が鋭角である場所に切り込みを設けるとよい。
切り込みの形状は曲面形状を有しているが、孔の端部に集中する応力を均一的に緩和できるならば、開口部は円形でもよく弓形の湾曲した形状でもよい。
孔の端部にある切り込みの大きさは、切り込みの開口部が円形ならば、その半径が架橋部の幅の4分の1以下で設計すると耐衝撃性が確保できるのでよい。
図7に示すように、裏面側から絶縁基板2をフォトリソグラフィー法などによりレジストパターンをマスクとしてドライエッチングにより絶縁膜1の一部が露出するまで深堀する。
特に限定しないが、例えば、酸化スズ、白金、パラジウム、アルミナを含む触媒材料でできたスラリーはヒーター部6全体を覆うように塗布する。電極部7を外部電源に接続して、通電しながらスラリーの水分を飛ばして完全に焼成させる。このとき、触媒材料の選択によって、検知素子または補償素子としての特性が決まる。
本実施形態にある検知素子と補償素子とを直列に接続した第1の直列回路と、同じ抵抗値の2個の固定抵抗を直列に接続した第2の直列回路とを並列に接続してホイートストンブリッジ回路を構成し、その第1の直列回路と第2の直列回路の接続点間に直流電圧を印加して、検知素子と補償素子との接続点と2個の固定抵抗の接続点との間の電圧を検出信号として出力させる。固定抵抗を絶縁膜上に形成し、ワンチップ化したセンサの構成でもよい。
以上に於いて、本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、切り込みと孔の大きさ、基板上のレイアウト等は適宜変更可能である。
以上のように、本発明にかかる接触燃焼式ガスセンサは、家庭用または産業用のガス漏れ検知装置に有用であり、特に、燃料電池に用いられる可燃性ガスを検知する装置に適している。
(a)は本発明の第1の実施形態にかかる接触燃焼式ガスセンサの表面から見た平面図であり、(b)はA-Aから切断した断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる接触燃焼式ガスセンサの裏面から見た平面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる接触燃焼式ガスセンサの製造工程における断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる接触燃焼式ガスセンサの製造工程における断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる接触燃焼式ガスセンサの製造工程における断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる接触燃焼式ガスセンサの製造工程における断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる接触燃焼式ガスセンサの製造工程における断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる接触燃焼式ガスセンサの表面から見た平面図である。 従来の接触燃焼式ガスセンサ素子の断面図である。 従来のシリコンチップ型ガスセンサ素子の平面図である。
符号の説明
1 絶縁膜
2 絶縁基板
3 孔
4 切り込み
5 架橋部
6 ヒーター部
7 電極部
8 貴金属膜
9 ヒーターコイル
10 熱伝導層材料
11 燃焼触媒材料
12 焼結体
13 接続部
14 架橋支持部
15 抵抗体
16 切り込み
17 凹部
18 固定部
19 接続部
20 切り込み

Claims (3)

  1. ヒーター部に接触したガスの燃焼により発生した燃焼熱によって前記ヒーター部の電気的な特性値が変化し、その特性値の変化に基づいて可燃性ガスの存在を検知する接触燃焼式ガスセンサであって、
    絶縁膜に前記ヒーター部を備え、前記絶縁膜を貫通する孔を有し、該孔の端部に切り込みを有する接触燃焼式ガスセンサ。
  2. 前記切込みが曲面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  3. 前記孔の開口部の形状が多角形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
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