JP2009078619A - サスペンションブッシュ - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の挙動に迅速に反応してばね定数を適切に変化させることのできるシンプルな構成のサスペンションブッシュを提供する。
【解決手段】サスペンションブッシュ10は、筒状の第1部材28と、第1部材28に内包される第2部材30と、第1部材28と第2部材30の間に配置される電気応答性弾性部材32と、第1部材28と第2部材30の接離状態を検出する接触子34を含む。電気応答性弾性部材32は挟持両端面の電位差に応じて弾性率が変化する部材である。接触子34が検出する第1部材28と第2部材30の接離状態に応じて電気応答性弾性部材32の挟持両端面の電位差を変化させることにより弾性率を変化させてサスペンションブッシュ10のばね定数を変化させる。その結果、操縦性重視のばね定数の高い特性と乗り心地重視のばね定数の低い特性を単一のサスペンションブッシュで実現する。
【選択図】図3
【解決手段】サスペンションブッシュ10は、筒状の第1部材28と、第1部材28に内包される第2部材30と、第1部材28と第2部材30の間に配置される電気応答性弾性部材32と、第1部材28と第2部材30の接離状態を検出する接触子34を含む。電気応答性弾性部材32は挟持両端面の電位差に応じて弾性率が変化する部材である。接触子34が検出する第1部材28と第2部材30の接離状態に応じて電気応答性弾性部材32の挟持両端面の電位差を変化させることにより弾性率を変化させてサスペンションブッシュ10のばね定数を変化させる。その結果、操縦性重視のばね定数の高い特性と乗り心地重視のばね定数の低い特性を単一のサスペンションブッシュで実現する。
【選択図】図3
Description
本発明は、サスペンションブッシュ、特に弾性特性が変化するサスペンションブッシュの改良に関する。
従来、車両のボディと車輪との間にはサスペンションがある。サスペンションはペンションアーム(ロアアームやアッパアーム)、ショックアブソーバ、スプリング等で構成される車体支持装置である。サスペンションは、様々な金属製のリンクで構成されている。そのためリンクの接合部には弾性を有するサスペンションブッシュが装着され、走行中の衝撃音や振動が車内に伝わることを抑制している。
上述したようなサスペンションブッシュは、例えば外筒と内筒の2重構造で構成され、その外筒と内筒の間に弾性部材が配置されているものがある。そして、外筒の外周面がサスペンションアームの取付部に固定され、内筒が車両のボディの一部に植設されたボルトなどの締結部材と接続される。車輪側から入力される力は、弾性部材により減衰されるので車両側への振動などの伝達が抑制される。
ところで、サスペンションブッシュは操縦安定性の観点からは、適度にばね定数が高いことが求められる。その一方で車両の乗り心地向上のためには、ばね定数は低い方が有利であることが知られている。すなわち、操縦安定性に関わるサスペンションブッシュの変位が比較的小さい領域ではばね定数が高く、乗り心地に関わるサスペンションブッシュの変位が大きい領域ではばね定数が低いことが理想とされる。しかし、上述したような構造のサスペンションブッシュは変位が大きくなるのにしたがいばね定数が増加する特性となり、理想とする特性とは逆の特性を示すものになっている。
これに対し特許文献1に開示される防振装置は、外筒と内筒の間に配置する弾性体として電界によって弾性率が変化する電気応答性弾性体を利用している。そして、車体に取り付けた振動センサからの信号に応じて電気応答性弾性体にかける電界を変化させている。その結果、振動の大きなときに防振装置のばね定数を小さくして乗り心地を確保し、振動の小さなときにはばね定数を高くして操縦安定性を確保している。
特開平6−129462号公報
しかし、特許文献1に記載された防振装置は、車体に取り付けた振動センサからの信号に応じて電気応答性弾性体にかける電界を変化させているので、車両の挙動に対しサスペンションブッシュのばね定数の変化に遅れが生じるという問題があった。また、ばね定数を変化させるための制御が煩雑になるという問題もある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の挙動に迅速に反応してばね定数を適切に変化させることのできるシンプルな構成のサスペンションブッシュを提供すること目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、車輪側に取り付けられる車輪側連結部と車両ボディ側に取り付けられるボディ側連結部との間に配置されるサスペンションアームに装着されるサスペンションブッシュであって、前記サスペンションアームまたは前記ボディ側連結部のいずれか一方に固定される筒状の第1部材と、前記第1部材の筒状内壁面から所定の間隔を隔てて内包配置されるとともに前記サスペンションアームまたは前記ボディ側連結部の他方に固定される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置される弾性部材であって、前記第1部材側と前記第2部材側の電位差に応じて弾性率が変化する電気応答性弾性部材と、前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との接離状態の変化を検出して、その変化に基づき前記第1部材側と前記第2部材側の間の電位差を変化させる接離検出手段と、を含むことを特徴とする。
接離検出手段は、第1部材の筒状内壁面と第2部材の外壁面との接離状態を検出できる手段であれば、接触式の検出手段でも非接触式の検出手段でもよい。接離検出手段は第1部材の筒状内壁面と第2部材の外壁面との接離状態を直接検出する。電気応答性弾性部材は、電界をかけることにより弾性率が変化する弾性材料であって、かけられる電界の大きさ(電気応答性弾性部材の両端面の電位差)が大きいほど例えば弾性率が高くなる性質を有するものが利用可能である。接離検出手段の検出結果に応じた電位差が生じるように電気応答性弾性部材の第1部材側と第2部材側に電圧を供給することにより、第1部材と第2部材の間の変位動作に応じて迅速に電気応答性弾性部材の弾性率を変化させる。この態様によれば、第1部材と第2部材の間の変位動作に応じて迅速に電気応答性弾性部材の弾性率を変化させることができるので、サスペンションブッシュのばね定数を車両の挙動に迅速に反応して適切に変化させることができる。
また上記態様において、前記接離検出手段は、前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との間に複数形成されていてもよい。車輪側から入力される力の方向は前後左右、斜めなど様々な方向からのものが存在する。上述のように接離検出手段を複数形成しておくことによりいずれの方向から力が入力され前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との相対位置が変化しても両者間の接離状態の検出ができる。また、第1部材と第2部材は弾性を有する電気応答性弾性部材を介して接続されているので、車輪側から入力される力の方向によっては第1部材と第2部材の相対位置関係が捩れる場合もある。このような場合でも接離検出手段を複数形成しておくことにより第1部材の筒状内壁面と第2部材の外壁面との接離状態の検出ができる。
また、上記態様において、前記接離検出手段は、前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面の相対移動の移動方向毎に前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との接離状態の検出感度を設定するようにしてもよい。車輪側から入力される力の方向は走行状態によって様々であり、入力される力の方向によってサスペンションブッシュのばね定数を高くした方が好ましい場合と低くした方が好ましい場合がある。例えば、サスペンションブッシュの軸が路面に対して鉛直方向を向いて配置されている場合を考える。この場合、車輪が突起物に乗り上げた場合にはサスペンションブッシュが車両前後方向に変位する。また、旋回時には車両左右方向に変位する。それぞれの方向で接離状態の検出感度を変えることにより、例えば、前後方向の変位のときにはサスペンションブッシュのばね定数を低くすることができる。また、左右方向の変位のときにはサスペンションブッシュのばね定数を高くすることができる。この態様によれば、単一のサスペンションブッシュの構成で様々な変位に対してばね定数を変化させることのできる多機能のサスペンションブッシュを提供することができる。
また、上記態様において、前記第1部材及び前記第2部材は導電性を有し、前記接離検出手段は、前記第1部材と前記第2部材を同電位にする接触子としてもよい。車輪側からの力の入力により第1部材と第2部材の接離状態が接触子の長さで規定される距離を超えた場合、第1部材と第2部材が電気的に導通して同電位となる。例えば、電気応答性弾性部材の両端面の電位差が無いとき(同電位のとき)に弾性率が低くなる特性を有するものの場合、第1部材と第2部材が接触子を介して接触すると電気応答性弾性部材の弾性率が低くなる。また接触しない場合には弾性率は高い状態が維持される。この態様によれば、シンプルの構成により第1部材と第2部材の接離状態の検出ができるとともに、その接離に迅速に反応して電気応答性弾性部材の弾性率を変化させることができる。なお、第1部材及び第2部材は、それ自体が導電性を有するもので構成されてもよいし、非導電性の部材の表面に導電性を有する部材が配置されていたり、導電性を有する物質がコーティングされていてもよい。
また、上記態様において、前記接触子は前記第1部材の径方向に高さを有し、当該接触子の高さに応じて前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との接離状態の検出感度を変化させるようにしてもよい。この態様によれば、接触子の第1部材の径方向に高さを変化させるだけで、第1部材の筒状内壁面と第2部材の外壁面との接離状態の検出感度を変化させることが可能になる。
本発明のサスペンションブッシュによれば、車両の挙動に迅速に反応してばね定数を適切に変化させることができる。
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
本実施形態のサスペンションブッシュは、車輪側に取り付けられる車輪側連結部と車両ボディ側に取り付けられるボディ側連結部との間に配置されるサスペンションアームに装着される。このサスペンションブッシュは、筒状の第1部材と第1部材に内包される第2部材と、第1部材と第2部材の間に配置される電気応答性弾性部材と、第1部材と第2部材の接離状態を検出する接離検出手段とを含んで構成される。電気応答性弾性部材は両端面の電位差に応じて弾性率が変化する部材である。接離検出手段が検出する第1部材と第2部材の接離状態に応じて電気応答性弾性部材の両端面の電位差を変化させることにより電気応答性弾性部材の弾性率を変化させて、サスペンションブッシュのばね定数を変化させる。その結果、操縦性重視のばね定数の高い特性と乗り心地重視のばね定数の低い特性を単一のサスペンションブッシュで実現する。
図1は、本実施形態のサスペンションブッシュ10を装着したストラッド式のサスペンション12の構成を説明する部分概略図である。ストラッド式のサスペンション12はスプリング14を備えたショックアブソーバ16を柱とし、当該ショックアブソーバ16の上端が車両のボディに接続され、下端がナックル18を介してロアアーム20(サスペンションアーム)の先端に接続されている。ナックル18はキングピン軸を中心に回転し転舵に必要なモーメントをタイヤ(車輪)に伝達する。タイヤはナックル18に回転自在に保持されたハブに装着されている。ハブの周囲にはブレーキディスク22が固定され、ブレーキディスク22の回転をキャリパ24の動作により抑制することによりタイヤ回転の減速や停止を行う。
図2はロアアーム20の形状を説明する説明図である。図2のロアアーム20はL型形状のロアアームであり、L型端部の一方にナックル18を接続するためのロアボールジョイント26を保持し、L型端部の他方側とL型屈曲部に本実施形態のサスペンションブッシュ10を保持している。なお、図1、図2において矢印A方向が車両後方となる。
図3(a)は、本実施形態のサスペンションブッシュ10の概略構造を説明する概略断面図である。また、図3(b)は、図3(a)において矢印M方向から見た場合の側面図である。
本実施形態のサスペンションブッシュ10は、第1部材28と第2部材30と電気応答性弾性部材32と第1部材と第2部材の接離状態を検出する接離検出手段として機能する複数の接触子34で構成されている。また、第1部材28には電気応答性弾性部材32の両端に電位差を生じさせる電圧を印加する電源36が接続されている。
第1部材28は筒状の部材であり、本実施形態の場合、外壁面がロアアーム20に固定されている。第1部材28は導電性を有する例えば金属材料で形成されている。同様に、第2部材30も筒状の部材である。第2部材30は、第1部材28の筒状内壁面から所定の間隔を隔てて内包配置されている。本実施形態の場合、第2部材30の内壁面が車両のボディ38(図1参照)の一部に固定されている。例えば、ボディ38に植設されたボルトなどの締結部材が第2部材30の筒状内部に螺合する。この第2部材30も導電性を有する例えば金属材料で形成されている。
第1部材28と第2部材30との間には電気応答性弾性部材32が配置されている。この電気応答性弾性部材32は両端面に電界をかけることにより弾性率が変化する弾性材料であって、かけられる電界の大きさ(両端面間の電位差の大きさ)が大きいほど例えば弾性率が高くなる性質を有する公知のものが利用可能である。
第1部材28には、第1部材28と第2部材30との間に挟持される電気応答性弾性部材32の挟持両端面に電位差を生じさせるための電源36が接続されている。本実施形態の場合、電源36の+端子が第1部材28に接続され、−端子が接地されている。また、第2部材30が接地されている。したがって、電源36により所定の電圧を印加することにより、第1部材28と第2部材30に挟持された電気応答性弾性部材32の挟持両端面に所定の電位差を生じさせることができる。その結果、電気応答性弾性部材32の弾性率を変化させ、サスペンションブッシュ10のばね定数を調整することができる。また、電源36の出力調整を行うことにより挟持両端面に生じる電位差を変化させることが可能になり、電気応答性弾性部材32の弾性率を任意に変更することが可能になる。したがって、単一の構成でありながらサスペンションブッシュ10のばね定数を任意に調整することができて、複数の特性を有するサスペンションブッシュ10を提供できると共に、サスペンションブッシュ10の汎用性を向上させることができる。
本実施形態の場合、電気応答性弾性部材32の弾性率は、第2部材30の外壁面に成された接触子34が第1部材28の内壁面に接触することにより変化する。図3(b)に示すように接触子34は第2部材30の外壁面に例えば等間隔で複数(図3(b)の場合8個)配置されている。この接触子34は第1部材28の内壁面と第2部材30の外壁面との接離状態の変化を検出するセンサとして機能する。本実施形態の場合、接触子は金属板を略V字状に屈曲させたシンプルな構造とすることができる。接触子34を介して第1部材28の内壁面と第2部材30の外壁面が接触することにより、第1部材28が第2部材30を介して接地され電位差が無くなる。その結果、電気応答性弾性部材32の弾性率が電位差があった状態より低くなりサスペンションブッシュ10のばね定数が低下する。
本実施形態では、接離検出手段として最もシンプルな態様の一つとして、金属板を屈曲させただけの接触子34を用いる例を示した。この場合、電気応答性弾性部材32の弾性率は第1部材28と第2部材30との間に電位差がある場合と無い場合の2種類となる。つまり、第1部材28と第2部材30との間の間隔が接触子34の高さLで規定されるしきい値より大きい場合は弾性率が高く、間隔がしきい値以下になった場合は弾性率が低くなる。また、接離検出手段として例えば、接触式または非接触式の距離センサを用いることもできる。距離センサにより詳細な接離距離を検出できる場合、検出した接離距離に応じて第1部材28と第2部材30との間の電位差を制御することができる。この場合、電気応答性弾性部材32の弾性率を電位差に応じて多段変化させることが可能になり、サスペンションブッシュ10のばね定数も多段変化可能になり、単一の構成でありながらサスペンションブッシュ10の特性バリエーションを増加させることができる。
本実施形態では、第1部材28及び第2部材30が導電性を有する金属材料で形成する例を示したが、電気応答性弾性部材32の挟持両端面に電位差が生じさせられればよく、非導電性の材料の表面に導電性材料を配置したりコーティングしても本実施形態と同様の効果を得ることができる。
このように構成されるサスペンションブッシュ10の動作を図1、図2、図3(a)、図3(b)及び図4(a)、図4(b)を用いて説明する。図1において、車両が整地路(平坦路)を定速走行している場合や整地路に停車している場合、車輪側からサスペンションブッシュ10に入力される力は定常値となる。すなわち、サスペンションブッシュ10に加わっている力は初期値であり、第1部材28と第2部材30の位置関係は図3(a)、図3(b)に示す状態であると見なすことができる。前述したように、この状態では、接触子34は第1部材28と接触していないので、第1部材28と第2部材30の間には、電源36による電圧供給に基づく電位差が生じている。すなわち、電気応答性弾性部材32の弾性率は、電位差が無い場合に比べ高い特性を示す。つまり、サスペンションブッシュ10のばね定数も高い値を示している。また、整地路の走行時に路面の状態により比較的小さな振動や制動により比較的小さな車両前後方向の力が入力されるような場合、つまり、サスペンションブッシュ10の第1部材28の第2部材30に対する変位が比較的小さい場合には、接触子34が第1部材28に接触しない。その結果、電気応答性弾性部材32の弾性率は高いままであり、サスペンションブッシュ10のばね定数は高い特性のままとなる。したがって、車両の振動によるサスペンションブッシュ10の変位が比較的小さい高周波振動の領域では、サスペンションブッシュ10のばね定数は高く保たれ車両の操縦性に有利なサスペンションブッシュ10の特性を提供できる。
一方、前進走行している車両が路面の突起部を乗り越えるような場合、図1において車輪は車両後方に向く力を受ける。その結果、ロアアーム20は車両後ろ側に引っ張られる。また、サスペンションブッシュ10は前後左右の力を受ける。突起部乗り越え時に引っ張られる力(前後左右のうち一方向ののみを図示)が図3(a)の矢印Nとする。その結果、図4(a)、図4(b)に示すように、第1部材28は第2部材30に対して変位する。そして、この変位が大きくなり接触子34が第1部材28と接触すると、電源36は第1部材28、接触子34、第2部材30を介して接地され、電気応答性弾性部材32の挟持両端面の電位差が無くなる。つまり、電気応答性弾性部材32の弾性率は、電位差がある場合に比べ低い特性を示す。その結果、サスペンションブッシュ10のばね定数も低い値を示し、サスペンションブッシュ10で車輪側から入力される力をより吸収する効果を発揮する。したがって、比較的変位の大きな低周波振動の領域では、サスペンションブッシュ10のばね定数は低く保たれ車両の乗り心地に有利なサスペンションブッシュ10の特性を提供できる。
なお、第1部材28と第2部材30の定常時の間隔(図3(a)の状態の間隔)、接触子34の高さL、電源36の電圧供給による電位差に基づく電気応答性弾性部材32の弾性率は予め試験やシミュレーションにより決定しておくことが望ましい。そして、各値は標準的な制動時で入力される力では、接触子34が第1部材28に接触しないように設定し、それより大きな力、例えば突起部を乗り越えた場合などに入力される力で接触子34が第1部材28に接触するように設定する。このような設定を行うことにより、サスペンションブッシュ10のばね定数を制動時や旋回時には高く、突起部を乗り越えた場合などには低くして、操縦安定性重視と乗り心地重視を両立させるサスペンションブッシュ10を得ることができる。
図5は、車輪側から入力される力による第1部材28の変位量と車体側に接続された第2部材30の受ける荷重の変化を模式的に示す模式図である。例えば、接触子34が第1部材28に接触する変位Qまでは、サスペンションブッシュ10のばね定数は高い状態が維持されるので、第1部材28の変位に対して第2部材30に入力される荷重はほぼ比例的に増加する。一方、接触子34が第1部材28に接触した変位Q以降は、第1部材28の変位に対して第2部材30に入力される荷重の増加は鈍くなる。つまり、ばね定数の低くなったサスペンションブッシュ10により車輪側からの振動などの変位が吸収されていることを示す。なお、第1部材28と第2部材30の距離が所定値を超えて接近した場合、つまり電気応答性弾性部材32が圧縮限界に達したあとは、第2部材30に入力される荷重は急激に増大する。
ところで、第1部材28と第2部材30は弾性のある電気応答性弾性部材32で接続されている。また、第1部材28が接続されるロアアーム20には車輪側から様々な方向の力が入力される。したがって、図6に示すように第1部材28が第2部材30に対して回転方向の力を受ける場合がある。本実施形態のサスペンションブッシュ10の場合、第2部材30の外壁面にほぼ等間隔に接触子34が複数形成されている。したがって、第1部材28と第2部材30が相互に回転してしまった場合でも、接触子34は第1部材28と第2部材30の接離状態を非回転時と同様に検出できる。その結果、サスペンションブッシュ10が捩られるような力が入力された場合でも、車輪側から入力される力の大きさに応じてばね定数の値を切り換えられるサスペンションブッシュ10を提供することができる。
また、本実施形態の場合、第2部材30の外壁面にほぼ等間隔で接触子34が複数形成されているので、図7に示すように、第1部材28がどの方向に変位しても接触子34は同じ条件で第1部材28と接触できる。したがって、車輪側から入力される力の方向に影響されることなく入力される力の大きさに応じてばね定数の値を切り換えるサスペンションブッシュ10を提供することができる。
ところで、サスペンションブッシュ10の場合、ある車両挙動に対してはばね定数を迅速に小さくすることが望ましく、別のある車両挙動に対してはばね定数が高く状態を長く維持することが望ましい場合がある。そこで、本実施形態の別の態様では、接触子34による第1部材28と第2部材30の接離状態の検出感度を変化させる例を示している。具体的には、各方向に向く接触子34の高さLに変化を持たせることにより接触子34の検出感度に強弱を設け、車両の挙動毎に電気応答性弾性部材32の弾性率の変化特性を変えている。例えば、車輪が突起部に乗り上げた場合にはサスペンションブッシュ10の第1部材28は第2部材30に対して前後方向(図8の矢印D方向)に変位する。また、車両が旋回したときには、サスペンションブッシュ10の第1部材28は第2部材30に対して左右方向(図8の矢印S方向)に変位する。前述したように、車両の操縦安定性に関わる旋回時には、サスペンションブッシュ10のばね定数は高いことが望ましい。そこで、図8に示すように、旋回時の変化方向(矢印S方向)に変位したときに第1部材28と接触する接触子34の高さLを矢印D方向に対して短くする。図8の場合、矢印S方向の接触子34は省略すると共に、第1部材28が矢印S方向に変位したときに接触する可能性のある接触子34aの長さL2を車輪が突起部に乗り上げた場合等に接触する可能性のある矢印D方向の接触子34bの長さL1より短くしている。一方、車輪が突起部に乗り上げた場合等に接触する可能性のある矢印D方向(車両前後方向)の接触子34bを接触子34aより長くしている。このように接触子34a、接触子34bの高さ設定を行うことにより、車両の操縦安定性を要求される旋回時は、電気応答性弾性部材32の弾性率が低くなり難くなり、サスペンションブッシュ10のばね定数が高い状態で車両の旋回を行うことができる。一方、車輪が突起部に乗り上げた場合など乗り心地の向上が要求される場合には、電気応答性弾性部材32の弾性率が迅速に低くなり、サスペンションブッシュ10のばね定数が低い状態で車両の突起部越えを行うことができる。なお、接触子34に代えて光学式や静電容量型の距離センサを用いる場合は、その検出感度を力の入力される方向に応じて設定すれば、上述の接触子34の高さを変える場合と同様の効果を得ることができる。
上述した実施形態では、接触子34が第1部材28に接触するかしないかにより電気応答性弾性部材32の弾性率を切り換える例を示したが、図9に示すように第1部材28と電源36の間にコントローラ40を設け、電気応答性弾性部材32の挟持両端面に生じる電位差の大きさを任意に変化させてもよい。図9の例の場合、上述した実施形態と同様に第1部材28と接触することにより電位差を「ゼロ」にする接触子34を設けている。したがって、コントローラ40は、第1部材28と接触子34が接触するまでの電気応答性弾性部材32の弾性率の制御が可能である。つまり、電気応答性弾性部材32の弾性率が比較的高い状態での弾性率を可変制御する。
また、別の例では、接触子34の代わりに第1部材28と第2部材30の接離距離を検出する距離センサを配置して、第1部材28の第2部材30の接離距離に応じてコントローラ40で電気応答性弾性部材32の挟持両端面の電位差を変化させて電気応答性弾性部材32の弾性率を制御するようにしてもよい。
このように第1部材28と第2部材30との接離距離に応じてコントローラ40で電位差を制御することにより単一の構成でありながら車両挙動に応じて様々な特性を持つサスペンションブッシュ10を提供することが可能になり、サスペンションの制御特性を広げることができる。また、サスペンションブッシュ10の汎用性を向上させることができる。
また、本実施形態では、第1部材28をロアアーム20側に固定し、第2部材30を車両ボディ側に接続する例を示したが、サスペンションのレイアウトや構造により、第2部材30をロアアーム20側に固定し、第1部材28を車両ボディ側に接続してもよく、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では接触子34を等間隔で配置する例を示したが、サスペンションブッシュ10のばね定数を変化させたい方向にのみ接触子34を配置するようにしてもよい。また、本実施形態では、第2部材30の外壁面に接触子34を配置する例を説明したが、第1部材28と第2部材30の接離状態が検出できればよく、接触子34を第1部材28に配置してもよい。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
10 サスペンションブッシュ、 12 サスペンション、 20 ロアアーム、 28 第1部材、 30 第2部材、 32 電気応答性弾性部材、 34 接触子、 36 電源、 38 ボディ、 40 コントローラ。
Claims (5)
- 車輪側に取り付けられる車輪側連結部と車両ボディ側に取り付けられるボディ側連結部との間に配置されるサスペンションアームに装着されるサスペンションブッシュであって、
前記サスペンションアームまたは前記ボディ側連結部のいずれか一方に固定される筒状の第1部材と、
前記第1部材の筒状内壁面から所定の間隔を隔てて内包配置されるとともに前記サスペンションアームまたは前記ボディ側連結部の他方に固定される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置される弾性部材であって、前記第1部材側と前記第2部材側の電位差に応じて弾性率が変化する電気応答性弾性部材と、
前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との接離状態の変化を検出して、その変化に基づき前記第1部材側と前記第2部材側の間の電位差を変化させる接離検出手段と、
を含むことを特徴とするサスペンションブッシュ。 - 前記接離検出手段は、前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との間に複数形成されていることを特徴とする請求項1記載のサスペンションブッシュ。
- 前記接離検出手段は、前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面の相対移動の移動方向毎に前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との接離状態の検出感度を設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載のサスペンションブッシュ。
- 前記第1部材及び前記第2部材は導電性を有し、前記接離検出手段は、前記第1部材と前記第2部材を同電位にする接触子であること特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のサスペンションブッシュ。
- 前記接触子は前記第1部材の径方向に高さを有し、当該接触子の高さに応じて前記第1部材の筒状内壁面と前記第2部材の外壁面との接離状態の検出感度を変化させることを特徴とする請求項4記載のサスペンションブッシュ。
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---|---|---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012159110A (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-23 | Nagoya Univ | 外力検出が可能な防振装置 |
JP2012159109A (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-23 | Nagoya Univ | 外力検出が可能な防振装置 |
CN107554222A (zh) * | 2017-09-28 | 2018-01-09 | 埼玉铝合金精密锻造(丹阳)有限公司 | 一种汽车悬架系统的三角摆臂 |
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-
2007
- 2007-09-25 JP JP2007247752A patent/JP2009078619A/ja active Pending
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