JP2009078298A - 連続鋳造用鋳型銅板の温度測定方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る方法は、溶融金属Mの連続鋳造用鋳型を構成する鋳型銅板Cの温度を測定する方法であって、鋳型銅板Cの内部に超音波の反射源Rを設ける第1の手順と、反射源Rに向けて、超音波送受信子1から鋳型銅板Cの溶融金属Mとの近接面C1に対して略平行な方向に超音波Uを伝搬させる第2の手順と、反射源Rで反射し超音波送受信子1によって検出した超音波エコーU1の伝搬時間と、超音波の伝搬速度の温度依存性とに基づき、鋳型銅板Cの温度を算出する第3の手順とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
前述のように、従来から、連続鋳造機の鋳型銅板の温度は、鋳型銅板の背面(鋳型銅板の溶鋼との近接面に対向する面)から内部に挿入した熱電対を用いて測定されているが、特許文献1にも記載されているように、熱電対の取り付け位置が鋳型用冷却水の経路と隣接し、且つ、鋳型がオシレーションと呼ばれる振動に常時晒されている。このため、冷却水によって熱電対の保護管が腐食したり、熱電対の挿入孔に冷却水が浸入して、大きな測温誤差が生じる場合がある。
熱電対を用いた温度測定は、熱電対先端部近傍の局所的温度の測定に限られる。前述のように、熱電対は、鋳型銅板の溶鋼に近接する面から5〜20mm離れた位置に測温点が位置するように配置されるのが一般的である。このため、熱電対で測定した温度は、上記測温点近傍の数十mm程度の温度代表性しか有しない。
特許文献1に記載の方法の問題点としては、上記(2)で述べた問題点の他、熱電対の高さ方向の設置位置が限定されることが挙げられる。一般的に、熱電対としては、要求される機械的強度、耐食性、応答性等の観点より、φ3mm〜φ5mm程度の外形を有するシース熱電対が用いられる。この熱電対を鋳型銅板内部に設置するには、特許文献1の図1に示すように、ドリル等を用いて、細くて深い挿入孔を精度良く開ける必要がある。
(a)適切な深さの挿入孔を開けるのが困難で実現性に乏しい。
(b)測温点が、鋳型銅板の上面から下方に90mm程度までの範囲に限られる。このため、溶鋼のオーバフローの危険性が生じることや、測温点より下方の位置での溶鋼のブレークアウトを検知できないことが問題である。
特許文献2に記載の方法は、φ1mm程度で深さ1mm〜2mm程度の平底穴を、金型材の溶湯との近接面に形成する必要がある(特許文献2の段落0025)。この方法を連続鋳造用の鋳型銅板に適用する場合、鋳型銅板の溶鋼との近接面に上記平底穴を設けることになる。このため、上記平底穴が形成された部位における溶鋼から鋳型銅板への熱伝達が周りの部位と異なったり、上記平底穴にパウダーと呼ばれる潤滑剤が入り込んで突起部を形成したり、或いは、鋼の一部が入り込むことなどが懸念される。これは、鋳片に傷が生じたり、溶鋼のブレークアウトが生じる虞を増大させる原因となり得る。加えて、平底穴の深さが1〜2mm程度なので、平底穴の底面及び溶湯近接面でそれぞれ反射した超音波エコーの伝搬時間差(往復の伝搬時間差)は0.02nsec程度となり、この時間差の温度による微少な変化を検出する必要がある。そのため、時間分解能・精度の非常に高い検出技術が必要となり、装置がむやみに高額となる。また、平底穴からの超音波エコーと溶湯近接面からの超音波エコーとが干渉しやすく、高い周波数の超音波が必要とされるが、広い範囲を測定する上では超音波が伝搬しにくくなる点で不利である。以上の点から、特許文献2に記載の方法は、連続鋳造ではない鋳造等に用いられる金型表面に塗布された離型剤の熱伝導性等の評価に用いられるものであって、連続鋳造用の鋳型銅板の温度測定に適用することは困難である。
(a)鋳片に傷が生じる等の虞があるため、連続鋳造用の鋳型銅板の温度測定に適用することは困難である。
(b)仮に適用できたとしても、鋳型銅板の溶鋼との近接面内の一点の測温値しか得られない上、電磁攪拌装置や電磁ブレーキ装置などの設備と超音波センサとが物理的に干渉するため、故障した超音波センサの取り替えが困難である。
(c)非常に高い時間分解能の検出装置が必要となり、むやみに高額なものとなる。
また、鋳型銅板の溶融金属との近接面に対して略平行な方向に超音波を伝搬させるため、超音波送受信子を近接面に対向する面に取り付ける必要が無い。つまり、超音波送受信子は、近接面及び近接面に対向する面を除く、鋳型銅板の上面、底面及び側面の何れかに取り付ければ良い。従って、超音波送受信子を鋳型用冷却水の経路から離間して配置することができ、水漏れ等による超音波送受信子の故障や測温誤差の発生を低減可能である。また、超音波送受信子と電磁攪拌装置や電磁ブレーキ装置などの設備とが物理的に干渉し難く、超音波送受信子が故障した場合には比較的簡便に取り替えが可能で連続鋳造の生産性を阻害することがない。
以上のように、本発明に係る連続鋳造用鋳型銅板の温度測定方法によれば、鋳型銅板の温度を、広範囲に亘る測温領域について、精度良く且つ連続鋳造の生産性を阻害することなく測定することが可能である。
また、たとえ開口から孔内に鋳型用冷却水が浸入したとしても、反射源で反射する超音波エコーの強度は冷却水の浸入前に比べてあまり変化しない上、反射源で反射した超音波エコーの強度ではなく伝搬時間に基づいて温度を測定するため、冷却水浸入の影響は少ない。なお、冷却水浸入の影響をより一層低減するには、孔内に樹脂等を充填する、あるいは蓋をすることも可能である。
さらに、前記孔は、溶融金属との近接面ではなく、近接面に対向する面で開口する構成であるため、溶融金属から鋳型銅板への熱伝達が孔によって局部的に変化したり、孔内に溶融金属の一部が入り込むことが無く、鋳片に傷が生じたり、溶融金属のブレークアウトが生じる虞を低減するという効果も奏する。
また、一つの超音波送受信子当たりの測温点数が増えるため、測定に要する装置コストを低減できるという利点も有する。
また、超音波送信子と超音波受信子とが別々の素子からなる超音波送受信子(一対の超音波送受信子)の場合においても、それら超音波送信子及び超音波受信子の関わる超音波伝搬経路中に反射源を複数設けることにより、同様の効果を奏する。
図1は、本発明に係る連続鋳造用鋳型銅板の温度測定方法の原理を説明する断面図である。図1に示すように、本発明に係る温度測定方法は、溶融金属Mの連続鋳造用鋳型を構成する鋳型銅板Cの温度を測定する方法である。なお、連続鋳造用鋳型が四角筒状の場合には、鋳型銅板Cは平板状になり、連続鋳造用鋳型が円筒状の場合には、鋳型銅板Cは円筒状になるが、いずれの場合も本発明に係る温度測定方法は適用可能である。以下では、溶融金属Mが溶鋼であり、連続鋳造用鋳型が四角筒状で鋳型銅板Cが平板状である場合を例に挙げて説明する。
具体的には、例えば、反射源R1で反射し超音波送受信子1によって検出した超音波エコーU1の伝搬時間T1と、超音波入射点から反射源R1までの距離L1とに基づいて、以下の式(1)により超音波の伝搬速度を求める。
超音波の伝搬速度=(反射源R1までの距離L1)×2/伝搬時間T1 ・・・(1)
そして、この伝搬速度と、予め求めた鋳型銅板Cにおける超音波の伝搬速度の温度依存性とに基づき、鋳型銅板Cの温度を算出することが可能である。この算出した温度は、超音波入射点(図1に示す例では鋳型銅板の上面)から反射源R1までの間の平均温度に相当する。
具体的には、例えば、一対の反射源R1、R2を選択し、反射源R2で反射した超音波エコーU2の伝搬時間T2と反射源R1で反射した超音波エコーU1の伝搬時間T1との差ΔT12(=T2−T1)と、反射源R1、R2間の距離L12とに基づいて、以下の式(2)により超音波の伝搬速度を求める。
超音波伝搬速度=(反射源R1、R2間の距離L12)×2/伝搬時間差ΔT12 ・・・(2)
そして、この伝搬速度と、予め求めた鋳型銅板Cにおける超音波の伝搬速度の温度依存性とに基づき、鋳型銅板Cの温度を算出することができる。この算出した温度は、反射源R1、R2間の平均温度に相当する。
一方、鋳型銅板Cの厚みは、通常、35mm〜45mm程度なので、超音波送受信子1の接触面の寸法がそれよりも大きくても意味がない。むやみに接触面寸法の大きい超音波探触子を選ぶとコストが嵩むだけである。また、鋳型銅板Cの厚み方向の内、水冷する面C2から少なくとも前記溝の深さ分の約20mm程度の範囲は、溝に流通する冷却水の温度が影響を及ぼすため、あまり測温する意味がない。残りの溶鋼Mとの近接面C1から約25mm程度の範囲に、超音波Uのエネルギーの主たる部分を伝搬させるべきである。
以上の点より、超音波送受信子1としては、接触面の寸法(接触面が円形である場合は直径、接触面が矩形である場合は一辺)が5〜25mm程度の超音波探触子を用いることが好ましい。
走査部は、複数の超音波送受信子1の内、超音波Uを送受信する超音波送受信子1を順次切り替える(パルサー・レシーバ部からのパルス信号を供給する超音波送受信子1を、例えば鋳型銅板Cの幅方向一端側に配置された超音波送受信子1から他端側に配置された超音波送受信子1へと順次切り替える)ように動作する。
パルサー・レシーバ部は、超音波送受信子1に超音波Uを送信させるためのパルス信号を供給する。このパルス信号を供給する周期を短くすれば、温度変化に対する応答速度を速めることが可能である。
また、パルサー・レシーバ部は、超音波送受信子1で検出され電気信号に変換された超音波エコー(以下、適宜「エコー信号」という)を増幅する。
アンプ部は、パルサー・レシーバ部から出力されたエコー信号を更に増幅する機能を有する。この増幅率(ゲイン)は可変とされている。
A/D変換部は、アンプ部で増幅されたエコー信号をA/D変換する。
演算部は、送受信制御装置2から出力されたエコー信号に基づき、反射源Rや鋳型銅板Cの底面で反射し超音波送受信子1によって検出した超音波エコーの伝搬時間を算出する。演算部は、この算出した超音波エコーの伝搬時間と、超音波の伝搬速度の温度依存性とに基づき、鋳型銅板Cの温度を算出する。
制御部は、送受信制御装置2が具備するパルサー・レシーバ部等を駆動制御する機能を奏する。
インタフェース部は、上位システム(プロセスコンピュータや、ブレークアウトを判断したり、オペレータへ提示する品質指標を演算したりする高位の演算装置等)へデータ(演算部で算出した温度等)を送信する機能を奏する。
演算制御装置3の演算部には、超音波入射点(本実施形態では、鋳型銅板Cの上面)から反射源R(鋳型銅板Cの底面を含む)までの距離(例えば、前述した図1に示す反射源R1までの距離L1など)や、予め求めた鋳型銅板Cにおける超音波の伝搬速度の温度依存性(伝搬速度と温度の対応関係)が予め記憶されている。
演算制御装置3は、送受信制御装置2から出力されたエコー信号に基づき、例えば、図1に示すように、反射源R1で反射し超音波送受信子1によって検出した超音波エコーU1の伝搬時間T1を算出する。
次に、演算部は、算出した伝搬時間T1と、超音波入射点から反射源R1までの距離L1とに基づいて、以下の式(1)により超音波の伝搬速度を求める。
超音波の伝搬速度=(反射源R1までの距離L1)×2/伝搬時間T1 ・・・(1)
最後に、演算部は、この伝搬速度と、超音波の伝搬速度の温度依存性とに基づき、鋳型銅板Cの温度を算出する。この算出した温度は、超音波入射点(鋳型銅板Cの上面)から反射源R1までの間の平均温度に相当する。
次に、演算部は、算出した伝搬時間差ΔT12と、反射源R1、R2間の距離L12とに基づいて、以下の式(2)により超音波の伝搬速度を求める。
超音波伝搬速度=(反射源R1、R2間の距離L12)×2/伝搬時間差ΔT12 ・・・(2)
最後に、演算部は、この伝搬速度と、超音波の伝搬速度の温度依存性とに基づき、鋳型銅板Cの温度を算出する。この算出した温度は、反射源R1、R2間の平均温度に相当する。そして、選択する一対の反射源(鋳型銅板Cの底面を含む)を変更することにより、任意の反射源R(鋳型銅板Cの底面を含む)間の平均温度を算出することが可能である。
なお、ゼロクロス点がA/D変換のサンプリング点の間に存在する場合は、ゼロクロス点の両側のA/D変換値の内挿点として、ゼロクロス点を求めればよい。また、波の数に応じて閾値を超える振幅のピークが複数箇所存在する場合は、何番目のピークのゼロクロス点を求めるか、予め決めておけばよい。
なお、一つの超音波送受信子1から送信される超音波Uの伝搬経路中の一対の反射源R間の温度を求める際には、超音波Uが鋳型銅板Cに入射した時刻を精度良く求める必要はない。前述のように、各反射源Rで反射した超音波エコーの伝搬時間差を用いるため、超音波Uが鋳型銅板Cに入射した時刻は相殺され、超音波エコーの検出時刻さえ精度良く求めればよいからである。
具体的には、例えば、冷間の(溶鋼Mを連続鋳造していないときの)基準温度にて鋳型銅板Cについてエコー信号を予め採取し、この冷間でのエコー信号に基づき、冷間での超音波エコーの検出時刻を求めておく(冷間での超音波エコーの検出時刻はゼロクロス法で求められる)。次に、この冷間でのエコー信号と、実際に溶鋼Mを連続鋳造しているときの鋳型銅板Cについて採取したエコー信号との相互相関を求める。そして、求めた相互相関が最大となる時間差を、冷間での超音波エコーの検出時刻に加算して、実際に溶鋼Mを連続鋳造しているときの鋳型銅板Cについての超音波エコーの検出時刻とすればよい。
この相互相関法は、ゼロクロス法に比べ、エコー信号に含まれる得るランダムノイズの影響を抑制することができるため、超音波エコーの検出時刻の測定精度、ひいては鋳型銅板Cの温度測定の精度向上が期待できる。
なお、上記基準温度の意味は、前述したのと同様である。
また、鋳型銅板Cの溶鋼Mとの近接面C1に対して略平行な方向に超音波を伝搬させるため、超音波送受信子1を近接面C1に対向する面に取り付ける必要が無い。つまり、超音波送受信子1は、近接面C2及び近接面に対向する面C2を除く、鋳型銅板Cの上面、底面及び側面の何れかに取り付ければ良い。従って、超音波送受信子1を鋳型用冷却水の経路から離間して配置することができ、水漏れ等による超音波送受信子1の故障や測温誤差の発生を低減可能である。また、超音波送受信子1と電磁攪拌装置や電磁ブレーキ装置などの設備とが物理的に干渉し難く、超音波送受信子1が故障した場合には比較的簡便に取り替えが可能で連続鋳造の生産性を阻害することがない。
以上のように、本発明に係る連続鋳造用鋳型銅板Cの温度測定方法及び装置100によれば、鋳型銅板Cの温度を、広範囲に亘る測温領域について、精度良く且つ連続鋳造の生産性を阻害することなく測定することが可能である。
図3は、実操業で使用した連続鋳造鋳型銅板の上面から超音波を入射させた場合の超音波エコーの一例を示す。図3の横軸は、超音波エコーの伝搬時間を常温での音速に基づき伝搬距離に換算した値を示し、図3の縦軸は、超音波エコーの強度を示す。図3に示すように、900mm先の底面エコー(鋳型銅板の底面で反射した超音波エコー)が明瞭に観測されている。
以上の事実より、鋳型銅板の上面に超音波送受信子(超音波探触子)を設置して、鋳型銅板の上面から900mm先の底面までの全ての領域を一つの超音波送受信子で観測可能(温度測定可能)であることが分かる。
上記試験の結果、鋳型銅板内部を伝搬する超音波(縦波)の伝搬速度は、鋳型銅板温度(熱電対での測温値)1℃の上昇に対し、およそ−0.7〜−0.4m/s程度変化することが分かった。また、この伝搬速度と温度の関係は、常温から約200℃程度までほぼ線形の関係であることも分かった。また、鋳型銅板における超音波(縦波)の伝搬速度は、約4400m/s〜4900m/sであった。
一例として、100mm間隔で2つの反射源を設けた場合、超音波の伝搬速度が4650m/sで、この2つの反射源間の平均温度が1℃上昇したとき、2つの反射源間を超音波が伝搬する時間の変化は、約5nsec(5×10−9sec)である。従って、100MHzでサンプリングしてA/D変換するとすれば、サンプリング間隔は10nsecなので、およそサンプリング間隔の1/2程度の分解能でゼロクロス点を内挿できれば、約1℃の温度測定分解能が得られることになる。また、分解能が1nsecであれば、約20mm間隔で設けた2つの反射源間での1℃の温度変化を検出することが可能である。ゼロクロス法でも超音波エコーのSN比が高い場合、或いは、相互相関法などを用いると、この程度の分解能を得ることが可能である。
この事実より、一つの超音波送受信子から送信される超音波の伝播経路中に、このような小さな孔を複数設けることにより、鋳型銅板を超音波の伝搬方向に複数の領域に分割し、各領域毎の平均温度を求めることが可能であるといえる。換言すれば、一つの超音波送受信子で、複数の測温領域の同時温度測定が可能であることが確認できた。
超音波送受信子1としては、縦波用で発振周波数が5MHzの垂直探触子(接触面の寸法:φ12mm)を用いた。超音波エコーのA/D変換のサンプリング周波数は50MHzとした。反射源としては、鋳型銅板Cの上面から約140mm離れた位置に設けられた約φ4mmの熱電対挿入孔H1を用いた。演算制御装置3(図2参照)が具備する演算部では、鋳型銅板Cの上面から140mmまでの領域の平均温度と、上面から底面までの領域の平均温度と、140mmから底面までの領域の平均温度とを算出した。この際、反射源(熱電対挿入孔H1)と鋳型銅板Cの底面でそれぞれ反射した超音波エコーの検出時刻は、ゼロクロス法を用いて求めた。なお、本発明に係る方法による温度測定と同時に、上記の熱電対挿入孔H1に第1の熱電対を挿入し、鋳型銅板Cの上面から約250mm離れた位置に設けられた約φ4mmの熱電対挿入孔H2に第2の熱電対を挿入して、これら熱電対でも鋳型銅板Cの温度を測定した。
図6に示すように、熱電対挿入孔H1で反射した超音波エコーは、連続鋳造しているときにも明瞭に観測できた。図7に示すように、底面エコーについても同様である。
また、図8に示すように、演算部で算出した鋳型銅板Cの上面から140mm〜底面の領域の平均温度(図8中に「△」でプロットしたデータ)、及び上面から底面までの領域の平均温度(図8中に「○」でプロットしたデータ)は、第1及び第2の熱電対の測温値に近い値を示しており、妥当な結果が得られたといえる。
より具体的に説明すれば、上記の演算部で算出した3つの平均温度の内、鋳型銅板Cの上面〜140mmの領域の平均温度(図8中に「□」でプロットしたデータ)には、溶鋼Mの湯面(鋳型銅板Cの上面から約100mm。図5参照)よりも上方に位置する低温領域の温度が大きく影響するため、図8に示すように、第1及び第2の熱電対の測温値よりも低い温度になって当然である。従って、鋳型銅板Cの上面〜140mmの領域の平均温度を除く他の2つの平均温度が第1及び第2の熱電対の測温値に近い値を示す限り、妥当な結果であるといえる。
2・・・送受信制御装置2
3・・・演算制御手段
4・・・モニタ
5・・・保護カバー
100・・・連続鋳造用鋳型銅板の温度測定装置
C・・・鋳型銅板
M・・・溶融金属(溶鋼)
R・・・反射源
U・・・超音波
U1、U2・・・超音波エコー
S・・・表面エコー
Claims (5)
- 溶融金属の連続鋳造用鋳型を構成する鋳型銅板の温度を測定する方法であって、
前記鋳型銅板の内部に超音波の反射源を設ける第1の手順と、
前記反射源に向けて、超音波送受信子から前記鋳型銅板の溶融金属との近接面に対して略平行な方向に超音波を伝搬させる第2の手順と、
前記反射源で反射し前記超音波送受信子によって検出した超音波エコーに基づき、前記鋳型銅板の温度を算出する第3の手順とを含むことを特徴とする連続鋳造用鋳型銅板の温度測定方法。 - 前記第1の手順で設ける前記反射源は、前記鋳型銅板の溶融金属との近接面に対向する面で開口し、前記鋳型銅板の内部に延びる孔であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用鋳型銅板の温度測定方法。
- 前記第1の手順において、一つ又は一対の超音波送受信子から送信される超音波の伝搬経路中に、前記反射源を複数設け、
前記第3の手順において、前記複数の反射源のうち任意に選択した一対の反射源でそれぞれ反射した超音波エコーの伝搬時間差と、超音波の伝搬速度の温度依存性とに基づき、前記鋳型銅板の前記選択した一対の反射源間の温度を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の連続鋳造用鋳型銅板の温度測定方法。 - 前記第2の手順において、前記鋳型銅板の上面に超音波送受信子を配置することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の連続鋳造用鋳型銅板の温度測定方法。
- 溶融金属の連続鋳造用鋳型を構成し、内部に超音波の反射源が設けられた鋳型銅板の温度を測定する装置であって、
前記反射源に向けて、前記鋳型銅板の溶融金属との近接面に対して略平行な方向に超音波を伝搬させる超音波送受信子と、
前記反射源で反射し前記超音波送受信子によって検出した超音波エコーの伝搬時間と、超音波の伝搬速度の温度依存性とに基づき、前記鋳型銅板の温度を算出する演算手段とを備えることを特徴とする連続鋳造用鋳型銅板の温度測定装置。
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