JP2009077577A - モータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた封入モータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂、架橋剤、球状無機充填材と不定形無機充填材との混合充填材、ガラス繊維及び低収縮剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物であって、
前記不飽和ポリエステル樹脂と前記架橋剤との合計100質量部に対して、前記球状無機充填材と不定形無機充填材との混合充填材を800〜1400質量部、前記ガラス繊維を20〜300質量部、前記低収縮剤を15〜50質量部含み、且つ前記球状無機充填材と前記不定形無機充填材との重量比が80:20〜50:50の範囲にあることを特徴とするモータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
これらの封入モータは、近年のエネルギー利用の更なる効率化のために小型化や高出力化が求められており、種々の改良が行なわれている。特に、封入モータの小型化や高出力化のためには、放熱性を向上させることが重要となってきている。このような熱に対する対策として、モータ構成部品を封入するための樹脂組成物の熱伝導性をより向上させることが求められている。また、このような樹脂組成物には硬化後の線熱膨張係数が小さいこと、硬化時の収縮が少ないこと、さらには成形時の流動性が十分に確保されていることが必要である。
また、不飽和ポリエステル及び架橋剤からなる不飽和ポリエステル樹脂と、熱伝導率が20〜250W/m・Kである無機充填材と、水酸化アルミニウムと、ガラス繊維と、低収縮剤とを特定の割合で含む、自動車分野及び重電分野で使用されるモータや発電機等に使用可能な不飽和ポリエステル樹脂組成物も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
しかしながら、特許文献1及び2に開示されるような従来の不飽和ポリエステル樹脂組成物において、上記用途での要求を満たし得るようなレベルに熱伝導性を高めようとすると、モータ構成部品封止用として線熱膨張係数や成形収縮率が許容できない程高くなってしまったり、成形時の流動性が著しく低下してしまうという問題がある。
したがって、本発明は、成形時の流動性が極めて良好で、硬化時の収縮が少なく、硬化後の線膨張率が小さく且つ熱伝導率が高いモータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記球状無機充填材は、球状酸化アルミニウムであり、且つ前記不定形無機充填材は、不定形酸化アルミニウム及び不定形窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記球状無機充填材の平均粒子径は、前記不定形無機充填材の平均粒子径よりも大きいことが好ましい。
前記モータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物からなる硬化物は、1.5W/m・K以上の熱伝導率、1.5×10−5/℃以下の線膨張係数、及び0.1%以下の成形収縮率を有することが好ましい。
また、本発明は、モータ構成部品を上記モータ封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物で封止成形してなることを特徴とする封入モータである。
本発明に用いる不飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと、飽和多価酸成分及び/又は不飽和多価酸成分とのエステル化反応により得られる従来公知のものを制限なく用いることができる。また不飽和ポリエステル樹脂の一部をビニルエステル樹脂としてもよい。
本発明に用いる架橋剤としては、上記の不飽和ポリエステル樹脂と重合可能な重合性二重結合を有しているものであれば適宜適当なものを用いることができる。このようなものとしては、例えば、スチレンモノマー、ジアリルフタレートモノマー、ジアリルフタレートプレポリマー、メタクリル酸メチル、トリアリルイソシアヌレート等が例示される。架橋剤の使用量は、不飽和ポリエステル樹脂と架橋剤との合計100質量部中に、好ましくは25〜70質量部、更に好ましくは35〜65質量部である。
本発明に用いる球状無機充填材と不定形無機充填材との混合充填材としては、球状の無機充填材と不定形の無機充填材との重量比が80:20〜50:50の範囲にあるものであれば、無機充填材の種類は特に限定されない。不飽和ポリエステル樹脂組成物の流動性を考慮すると、球状無機充填材と不定形無機充填材との好ましい重量比は70:30〜60:40である。球状及び不定形の無機充填材の具体例としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ホウ化チタン、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、石こう、硫酸バリウム、クレー、タルク等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導率をより向上させる観点から、球状無機充填材として球状酸化アルミニウムを用い、不定形無機充填材として酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、球状及び不定形の無機充填材の大きさは、特に限定されるものではないが、成形時の流動性をより向上させる観点から、球状無機充填材の平均粒子径が、不定形無機充填剤のそれよりも大きいものを使用することが好ましい。球状無機充填材の平均粒子径は、好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜50μmであり、不定形無機充填材の平均粒子径は、好ましくは1〜10μm、更に好ましくは2〜8μmである。
なお、本発明において球状無機充填材は完全な真球である必要はなく、一部に楕円形等の変形物が含まれていても差しつかえない。一般には、球形度が、0.8以上のものであればよい。
また、本発明において不定形無機充填材は、具体例として上記した無機充填材を粉砕して得られる粉砕物である。粉砕手段は特に限定されず、公知の粉砕手段を制限なく採用することができる。例えば、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いた粉砕が一般的であり、粉砕により得られた不定形無機充填材は必要により分級して使用される。
このような混合充填材は、不飽和ポリエステル樹脂及び架橋剤の合計100質量部に対して、800〜1400質量部、好ましくは900〜1200質量部配合される。混合充填材の配合量が800質量部未満であると、熱伝導率が不十分となり、また1400質量部を超えると充填材が混合し難くなるばかりか、流動性が著しく低下する。
本発明に用いるガラス繊維としては、その種類は特に限定されるものではないが、例えば、ガラスチョップ、ミルドガラス、ロービングガラス等が挙げられ、ガラス繊維の繊維長は好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは0.05〜3mmである。繊維長が1.5mm以下のガラス繊維を用いることで、成形時の流動性をより向上させることができる。また、ガラス繊維は、不飽和ポリエステル樹脂及び架橋剤の合計100質量部に対して、20〜300質量部、好ましくは50〜250質量部とするのがよい。ガラス繊維の配合量が20質量部未満であると硬化物の線膨張係数が大きくなり、300質量部を越えると成形時の流動性が著しく低下する。
本発明に用いる低収縮剤としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、飽和ポリエステル、スチレン−ブタジエン系ゴム等の低収縮剤として一般に使用されている熱可塑性ポリマーを単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい低収縮剤としては、ポリスチレンが挙げられる。低収縮剤は、不飽和ポリエステル樹脂及び架橋剤の合計100質量部に対して、15〜50質量部であり、好ましくは20〜50質量部である。低収縮剤の配合量が15質量部未満であると硬化物の成形収縮率が大きくなり、50質量部を越えると成形時の流動性が著しく低下する。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、上記の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化剤、離型剤、増粘剤、顔料等を必要に応じて用いることができる。
下記表1及び2に示す配合組成でそれぞれの配合成分を、双碗型ニーダを用いて混練し、実施例1〜10の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。なお、ここで使用した不飽和ポリエステル樹脂・スチレン溶液は、フマル酸/プロピレングリコール/水素化ビスフェノールA=100モル/80モル/20モルの配合比の不飽和ポリエステル樹脂をスチレンモノマーで溶解させ、不飽和ポリエステル樹脂が70質量%含まれるように調整したものである。
成形温度150℃、成形圧力10MPa、成形時間15分で圧縮成形により150×150×厚さ20mmの平板を成形し、QTM法(測定機:京都電子製QTM−500(SDK製QTM−DII))により熱伝導率を測定した。
成形温度150℃、成形圧力10MPa、成形時間3分で圧縮成形により90×10×厚さ4mmの平板を成形し、20×4×4mmのテストピースを切り出し、TMA法(測定機:リガク製TMA8310)により線膨張係数を測定した。
JIS・K6911に規定される収縮円盤を、成形温度150℃、成形圧力10MPa、成形時間3分で圧縮成形を行い、JIS・K6911に基づいて成形収縮率を算出した。
フローテスター粘度測定機(測定機:島津製CFT−500)にて見掛け粘度を測定した。型内流動を想定し130℃及び2MPaの条件で測定を行った。評価において、表中、◎は100dPa・s≧、流動性が非常に良好であることを意味し、○は300dPa・s≧、流動性が良好であることを意味し、△は1000dPa・s≧、流動性がやや劣ることを意味し、×は1000dPa・s<、流動性が悪いことを意味し、××は流動せず製造不可であることを意味する。
実施例1〜10と同様にして、表3〜5に示す配合組成でそれぞれの配合成分を、双碗型ニーダを用いて混練し、比較例1〜13の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。実施例1〜10と同様に熱伝導率、線膨張係数、成形収縮率及び流動性の評価を行った。これら評価の結果を下記表3〜5に併せて示した。
Claims (5)
- 不飽和ポリエステル樹脂、架橋剤、球状無機充填材と不定形無機充填材との混合充填材、ガラス繊維及び低収縮剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物であって、
前記不飽和ポリエステル樹脂と前記架橋剤との合計100質量部に対して、前記球状無機充填材と不定形無機充填材との混合充填材を800〜1400質量部、前記ガラス繊維を20〜300質量部、前記低収縮剤を15〜50質量部含み、且つ前記球状無機充填材と前記不定形無機充填材との重量比が80:20〜50:50の範囲にあることを特徴とするモータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。 - 前記球状無機充填材が、球状酸化アルミニウムであり、且つ前記不定形無機充填材が、不定形酸化アルミニウム及び不定形窒化アルミニウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のモータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 前記球状無機充填材の平均粒子径が、前記不定形無機充填材の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 前記モータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物からなる硬化物が、1.5W/m・K以上の熱伝導率、1.5×10−5/℃以下の線膨張係数、及び0.1%以下の成形収縮率を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のモータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- モータ構成部品を請求項1〜4の何れか一項に記載のモータ封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物で封止成形してなることを特徴とする封入モータ。
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