JP2021046496A - 電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物、当該組成物を使用した電気電子部品固定電気電子装置、及び電気電子部品固定体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に使用される不飽和ポリエステルは、一例において、例えば、不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸とグリコール類との公知の脱水縮合反応を行うことにより、通常、2〜40mg―KOH/gの酸価を有することができる。不飽和ポリエステルの製造において、不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸の酸成分の選択や組合せ、及びグリコール類の選択や組合せ、それらの配合割合等を適宜選択することにより結晶性を有する不飽和ポリエステルとすることができる。
本発明に使用されるエポキシ(メタ)アクリレートは、それ自体公知の方法で製造することが出来る。公知の禁止剤、公知のエステル化触媒の存在下又は非存在下、不活性ガス気流中又は空気雰囲気下にてエポキシ樹脂、及び不飽和一塩基酸を適宜選択することにより結晶性を有するエポキシ(メタ)エポキシアクリレートとすることが出来る。必要に応じて反応系の溶融粘度を下げる目的で他のラジカル重合性単量体や有機溶剤を入れて反応させることが出来る。
また本発明におけるウレタン(メタ)アクリレートは、一例として、例えば、一分子中に2個以上の水酸基を有するポリアルコール及び/またはポリエステルポリオール及び/またはポリエーテルポリオールとジイソシアネートとを反応させた分子末端のイソシアネート、及び/または 一分子中に1個以上のイソシアネートにアルコール性水酸基と1個以上のアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物を反応させるか、または先ずアルコール性水酸基と1個以上のアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物とジイソシアネートとをイソシアネート基が残るように反応させ、残ったイソシアネート基と一分子中に2個以上の水酸基を有するポリアルコール及び/またはポリエステルポリオール及び/またはポリエーテルポリオールとを反応させて得られる分子末端にアクリレートまたはメタクリレートの二重結合を有するウレタンアクリレートとすることができる。ウレタン(メタ)アクリレートの製造において、イソシアネートと、ポリアルコール及び/またはポリエステルポリオール及び/またはポリエーテルポリオールの組み合わせ、及びアルコール性水酸基と1個以上のアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物を適宜選択する事により結晶性を有するウレタン(メタ)エポキシアクリレートとすることが出来る。ウレタンアクリレート、またはウレタンメタクリレートを、スチレン、ジエチレングリコールジメタクリレートなどのラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性多量体に溶解したウレタン(メタ)アクリレート樹脂でもよい。これらは単独で、または2種以上の混合物で使用することができる。
また本発明におけるポリエステル(メタ)アクリレートは、一例として、例えば、ポリエステルポリオールとアクリル酸あるいはメタクリル酸とのエステル化、あるいは酸末端ポリエステルとグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレートとの反応により得られる分子末端にアクリレートまたはメタクリレートの二重結合を有するポリエステルアクリレート、またはポリエステルメタクリレートとすることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート の製造において、ポリエステルポリオールと アクリル酸あるいはメタクリル酸、あるいは 酸末端ポリエステルとグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレートを適宜選択する事により結晶性を有するポリエステル(メタ)アクリレート とすることが出来る。ポリエステルアクリレート、またはポリエステルメタクリレートを例えばスチレン、ジエチレングリコールジメタクリレートなどのラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性多量体に溶解したポリエステルアクリレート樹脂、またはポリエステルメタクリレート樹脂でもよい。これらは単独で、または2種以上の混合物で使用することができる。
また、本発明におけるポリエーテル(メタ)アクリレートは、一例として、例えば、ポリエーテルポリオールとアクリル酸あるいはメタクリル酸とのエステル化、あるいは酸末端ポリエーテルとグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレートとの反応により得られる分子末端にアクリレートまたはメタクリレートの二重結合を有するポリエーテルアクリレート、またはポリエーテルメタクリレートとすることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートの製造において、ポリエーテルポリオールとアクリル酸あるいはメタクリル酸、あるいは酸末端ポリエステルとグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレートを適宜選択する事により結晶性を有するポリエステル(メタ)アクリレートとすることが出来る。ポリエーテルアクリレート、またはポリエーテルメタクリレートを例えばスチレン、ジエチレングリコールジメタクリレートなどのラジカル重合性単量体及び/又はラジカル重合性多量体に溶解したポリエーテルアクリレート樹脂、またはポリエーテルメタクリレート樹脂でもよい。これらは単独で、または2種以上の混合物で使用することができる。
本発明の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物は、各成分を配合して、ミキサー、ブレンダー等を用いて十分均一に混合した後、加熱加圧可能な混練機、押し出し機等にて調製し、造粒して製造することができる。
本発明の電気電子部品固定ユニット、モジュール、デバイス体、又はロータコア等は、本発明の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物を用いてインサート成形法により電気電子部品を固定することにより製造することができる。ここで、本発明の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物は、結晶性ラジカル重合性組成物を構成する全成分が別途あらかじめ加熱混練されたものであっても、構成成分の一部または全部が金型注入直前に混合され加熱混練されたものであってもよい。
実施例1〜11、参照例1、及び比較例1〜2
表2に示す実施例1〜11、参照例1、及び表3に示す比較例1〜2の結晶性又は非晶性ラジカル重合性組成物は、下記表2、及び3に記載の配合量にて配合し、加圧加熱・冷却可能な混練機を用いて均一に調製した後、調製物を押し出し機に投入してホットカットして粒状物とした。一部の粒状物、塊状のラジカル重合性組成物は粉砕機を用いて粉末とした。
(1)重合性化合物
1.結晶性ラジカル重合性化合物1:フタル酸系不飽和ポリエステル(テレフタル酸とフマル酸と1,6−ヘキサンジオールの縮合物)
2.結晶性ラジカル重合性化合物2:ウレタンメタクリレート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの2−ヒドロキシエチルメタクリレート付加物)
3.結晶性ラジカル重合性化合物3:ウレタンアクリレート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの2−ヒドロキシエチルアクリレート付加物)
4.結晶性ラジカル重合性単量体1:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学(株)製 A−9300)
5.非晶性ラジカル重合性化合物1:フタル酸系不飽和ポリエステル(日本ユピカ(株)製 ユピカ8552H)
6.非晶性ラジカル重合性化合物2:ビスフェノールA型エポキシメタクリレート(ビスフェノールA型エポキシ樹脂のメタクリル酸付加物)
7.ラジカル重合性単量体1:ジアリルフタレートモノマー(大阪ソーダ(株)製 ダイソーダップモノマー)
8.ラジカル重合性単量体2:ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学(株)製 2G)
1.無機充填材1:溶融シリカ(デンカ(株)製 平均粒子径24μm)
2.無機充填材2:炭酸カルシウム(日東粉化(株)製 平均粒子径2μm)
1.シランカップリング剤:メタクリル系シラン(信越化学工業(株)製 KBM−503)
2.ラジカル重合開始剤:ジクミルパーオキサイド(日油(株)製 パークミルD)
3.離型剤:ステアリン酸亜鉛(日油(株)製 GF−200)
4.重合禁止剤:ペラベンゾキノン(精工化学(株)製 PBQ)
5.着色剤:カーボンブラック(三菱化学(株)製 CB40)
結晶性又は非晶性ラジカル重合性化合物、及びラジカル重合性単量体の融点、及び重量平均分子量を測定して表1に示した。
表1に示すラジカル重合性化合物を示差走査熱量分析計「DSC6220」(セイコーインスツル(株)製)にて、測定試料10mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、−60℃から200℃まで、10℃/minの昇温速度で測定した。得られた曲線の吸熱ピークを融点とした。その結果を表1に示す。23℃で液体の化合物は測定を中止した。
表1に示すラジカル重合性化合物の重量平均分子量は重合性化合物をテトラヒドロフラン(THF)に1.0重量%にて溶解させ、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いてポリスチレン換算により測定した。測定条件を下記に示す。その結果を表1に示す。但し、前記厳格な基準をクリアせずとも、所望の用途、要求される品質等によっては、重量平均分子量が100未満、または100,000より大きくても適合する場合もあるので、一つの目安として検討すればよいものである。
機器装置:昭和電工
(株)製 Shodex GPC−101
カラム:昭和電工(株)製 KF−802、803、804、805
溶媒、キャリア液:THF
流量:1.0ml/分
サンプル濃度:1.0%
温度:40℃
サンプル注入量:200μl
検出器:示差屈折率検出器
測定方法はJIS K 7215を参考とした。表2に示す実施例1〜11、参照例1、及び表3に示す比較例1〜2の結晶性又は非晶性ラジカル重合性組成物の硬さをデュロメーター(西東京精密(株) WR-105D)にて測定した。90℃に温調したラジカル重合性組成物を約100mm×100mm×10mmの平板状にして23℃の恒温室で冷却固化した。23℃に温調した硬化前のラジカル重合性組成物を水平な硬い台の上に設置した。デュロメーターの加圧基準面を、ラジカル重合性組成物表面に平行を保ちながら、衝撃を伴うことなく、できるだけ速やかにラジカル重合性組成物表面に押し付け、加圧基準面とラジカル重合性組成物とをよく密着させた。1秒以内に速やかに指示装置の指針の最大指示値を読み取った。その結果を表2、及び3に示す。目標とする硬さは10とし、20以上を優、10以上を良、10未満を可とした。
表2に示す実施例1〜11、参照例1、及び表3に示す比較例1〜2の結晶性又は非晶性ラジカル重合性組成物を高化式フローテスタ((株)島津製作所製 CFT−100EX)にて溶融粘度を測定した。直径0.5mmで長さ1mmダイスを備え、90℃に加熱したシリンダー試料挿入孔にラジカル重合性組成物を入れ、240秒の予備加熱後に30kgf/cm2又は、1kgf/cm2の圧力でピストンを加圧し、ラジカル重合性組成物をダイのノズルから流出させ、直線性が良好な箇所から溶融粘度を求めた。その結果を表2、及び3に示す。目標とする溶融粘度は1〜1,000Pa・sとし、1〜100Pa・sであった組成物を優、100〜1,000Pa・sを良とした。
測定方法はEIMS T−901を参考とした。表2に示す実施例1〜11、参照例1、及び表3に示す比較例1〜2の結晶性又は非晶性ラジカル重合性組成物を用いて、スパイラルフロー金型を備えた補助ラム式トランスファー成形機にて流動長を測定した。スパイラルフロー金型は165℃に加熱した。スパイラルフローの金型は、中心部が材料の注入口部になっており、注入口部を起点として半径1.6mmの半円状の渦巻き曲線状に溝が設けられているものを用いた。カルの厚さが1〜10mmの範囲になるようにあらかじめ決めた量のラジカル重合性組成物を量り取った。プランジャーを上げ、ラジカル重合性組成物をポットに投入し、直ぐに3.2MPaの圧力を加えてトランスファー成形を開始した。プランジャーの動きが停止し、測定開始から180秒後に金型を開き成形物を取り出した。成形物先端の光沢のある部分までの長さ、または光沢のある部分の長さに、その先の密度の低い部分の長さの1/2を加えた数字を読み取った。その結果を表2、及び3に示す。目標とする流動長は50cmとし、100cm以上を優、50cm以上を良、50cm未満を可とした。但し、前記厳格な基準をクリアせずとも、所望の用途、要求される品質等によっては、50cm未満でも条件が適合する場合もあるので、一つの目安として検討すればよいものである。
測定方法はJIS K 6911に準拠した。表2に示す実施例1〜11、参照例1、及び表3に示す比較例1〜2の結晶性又は非晶性ラジカル重合性組成物を用いて、収縮率測定用金型を用いて圧縮成形で試験片を作製した。165℃に温調した金型内にラジカル重合性組成物を置き、3分間加圧加熱した。試験片は直ちに金型から取り出し、23℃、湿度55%RHの恒温恒湿下で24時間保管した。試験片の表裏に突起した環状帯の外形をお互いに直行する測定線に沿って、表面2ヶ所、裏面2ヶ所、計4箇所の寸法を測定した。試験片に対応する金型の溝の外形を同一条件で0.01mmまで測定して成形収縮率を算出した。その結果を表2、及び表3に示す。目標とする成形収縮率は0.5%とし、0.2%以下を優、0.2〜0.5%以下を良、0.5%を超える場合を可とした。但し、前記厳格な基準をクリアせずとも、所望の用途、要求される品質等によっては、0.5%を超える場合でも条件が適合する場合もあるので、一つの目安として検討すればよいものである。
測定はJIS K 7224-4に準拠した。表2に示す実施例1〜11、参照例1、及び表3に示す比較例1〜2の結晶性又は非晶性ラジカル重合性組成物を165℃に温調した平板用金型内に置いた。速やかに金型を閉じ加圧加熱成形した。硬化後に金型を開けて平板状の成形片を得た。平板状の成形片から短冊状に切削加工を行いガラス転移点測定用試験片を得た。動的粘弾性(TAインスツルメント社(株)製RSA-G2)は2℃/分の昇温速度で、30〜250℃の範囲、周波数10Hzで測定した。Tanδピーク温度をガラス転移点とした。その結果を表2、及び3に示す。目標とするガラス転移点は125℃とし、125℃以上を良、125℃未満を可とした。但し、前記厳格な基準をクリアせずとも、所望の用途、要求される品質等によっては、125℃未満でも条件が適合する場合もあるので、一つの目安として検討すればよいものである。
表2及び表3に示すように、本発明における電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物は、取扱性に優れることが判明した。また、特に、本発明における電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物の実施例1〜8、11は、23℃で固体であるため取扱い性に優れ、溶融粘度が低く良好であった。本発明における電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物は、全体的に優れた結果を示すことが判明した。
実施例12〜19、及び実施例20〜21
表5に示す実施例12〜19、及び表6に示す実施例20〜21の結晶性ラジカル重合性組成物は、下記表5、及び6に記載の配合量にて配合し、加圧加熱・冷却可能な混練機を用いて均一に調製した後、調製物を押し出し機に投入してホットカットして粒状物とした。一部の粒状物、塊状のラジカル重合性組成物は粉砕機を用いて粉末とした。
(1)重合性化合物
1.結晶性ラジカル重合性化合物1:ウレタンメタクリレート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの2−ヒドロキシエチルメタクリレート付加物)
2.結晶性ラジカル重合性単量体1:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学(株)製 A−9300)
1.熱可塑性樹脂1:飽和ポリエステル(日本ユピカ(株)製 GV−150)
2.熱可塑性樹脂2:ポリエチレン(住友精化(株)製 フローセンUF80)
3.熱可塑性樹脂3:ポリメチルメタクリレート(藤倉化成(株)製 MH−101−5)
1.無機充填材1:溶融シリカ(デンカ(株)製 平均粒子径24μm)
2.無機充填材2:炭酸カルシウム(日東粉化(株)製 平均粒子径2μm)
3.無機充填材2:酸化アルミニウム(デンカ(株)製 平均粒子径45μm)
4.無機充填材2:酸化マグネシウム(宇部マテリアル(株)製 平均粒子径70μm)
1.シランカップリング剤:メタクリル系シラン(信越化学工業(株)製 KBM−503)
2.ラジカル重合開始剤:ジクミルパーオキサイド(日油(株)製 パークミルD)
3.離型剤:ステアリン酸亜鉛(日油(株)製 GF−200)
4.重合禁止剤:ペラベンゾキノン(精工化学(株)製 PBQ)
5.着色剤:カーボンブラック(三菱化学(株)製 CB40)
結晶性ラジカル重合性化合物、及び結晶性ラジカル重合性単量体の融点、及び重量平均分子量を測定して表4に示した。
表4に示す結晶性ラジカル重合性化合物及び結晶性ラジカル重合性単量体を示差走査熱量分析計「DSC6220」(セイコーインスツル(株)製)にて、測定試料10mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、−60℃から200℃まで、10℃/minの昇温速度で測定した。得られた曲線の吸熱ピークを融点とした。その結果を表4に示す。
表4に示す結晶性ラジカル重合性化合物及び結晶性ラジカル重合性単量体の重量平均分子量は重合性化合物をテトラヒドロフラン(THF)に1.0重量%にて溶解させ、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いてポリスチレン換算により測定した。測定条件を下記に示す。その結果を表4に示す。
機器装置:昭和電工(株)製 Shodex GPC−101
カラム:昭和電工(株)製 KF−802、803、804、805
溶媒、キャリア液:THF
流量:1.0ml/分
サンプル濃度:1.0%
温度:40℃
サンプル注入量:200μl
検出器:示差屈折率検出器
測定方法はJIS K 6911に準拠した。表5に示す実施例12〜19、及び表6に示す実施例20〜21の結晶性ラジカル重合性組成物を用いて、金型を用いて、成形温度165℃、成形圧力3.2N/mm2、成形時間180秒の条件で成形して試験片を得た。試験片を23℃、湿度55%RHの恒温恒湿下にて、曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。その結果を表5、及び表6に示す。
測定方法はJIS K 6911に準拠した。表5に示す実施例12〜19、及び表6に示す実施例20〜21の結晶性ラジカル重合性組成物を用いて、収縮率測定用金型を用いて圧縮成形で試験片を作製した。165℃に温調した金型内にラジカル重合性組成物を置き、3分間加圧加熱した。試験片は直ちに金型から取り出し、23℃、湿度55%RHの恒温恒湿下で24時間保管した。試験片の表裏に突起した環状帯の外形をお互いに直行する測定線に沿って、表面2ヶ所、裏面2ヶ所、計4箇所の寸法を測定した。試験片に対応する金型の溝の外形を同一条件で0.01mmまで測定して成形収縮率を算出した。その結果を表5、及び表6に示す。
測定方法はJIS K 7215を参考とした。表5に示す実施例12〜19、及び表6に示す実施例20〜21の結晶性ラジカル重合性組成物の硬さをデュロメーター(西東京精密(株) WR−105D)にて測定した。90℃に温調したラジカル重合性組成物を約100mm×100mm×10mmの平板状にして23℃の恒温室で冷却固化した。23℃に温調した硬化前のラジカル重合性組成物を水平な硬い台の上に設置した。デュロメーターの加圧基準面を、ラジカル重合性組成物表面に平行を保ちながら、衝撃を伴うことなく、できるだけ速やかにラジカル重合性組成物表面に押し付け、加圧基準面とラジカル重合性組成物とをよく密着させた。1秒以内に速やかに指示装置の指針の最大指示値を読み取った。その結果を表5、及び6に示す。
表5に示す実施例12〜19、及び表6に示す実施例20〜21の結晶性ラジカル重合性組成物を高化式フローテスタ((株)島津製作所製 CFT−100EX)にて溶融粘度を測定した。直径0.5mmで長さ1mmダイスを備え、90℃に加熱したシリンダー試料挿入孔にラジカル重合性組成物を入れ、240秒の予備加熱後に30kgf/cm2又は、1kgf/cm2の圧力でピストンを加圧し、ラジカル重合性組成物をダイのノズルから流出させ、直線性が良好な箇所から溶融粘度を求めた。その結果を表5、及び6に示す。
測定方法はEIMS T−901を参考とした。表5に示す実施例12〜19、及び表6に示す実施例20〜21の結晶性ラジカル重合性組成物を用いて、スパイラルフロー金型を備えた補助ラム式トランスファー成形機にて流動長を測定した。スパイラルフロー金型は165℃に加熱した。スパイラルフローの金型は、中心部が材料の注入口部になっており、注入口部を起点として半径1.6mmの半円状の渦巻き曲線状に溝が設けられているものを用いた。カルの厚さが1〜10mmの範囲になるようにあらかじめ決めた量のラジカル重合性組成物を量り取った。プランジャーを上げ、ラジカル重合性組成物をポットに投入し、直ぐに3.2MPaの圧力を加えてトランスファー成形を開始した。プランジャーの動きが停止し、測定開始から180秒後に金型を開き成形物を取り出した。成形物先端の光沢のある部分までの長さ、または光沢のある部分の長さに、その先の密度の低い部分の長さの1/2を加えた数字を読み取った。その結果を表5、及び6に示す。
測定はJIS K 7224-4に準拠した。表5に示す実施例12〜19、及び表6に示す実施例20〜21の結晶性ラジカル重合性組成物を165℃に温調した平板用金型内に置いた。速やかに金型を閉じ加圧加熱成形した。硬化後に金型を開けて平板状の成形片を得た。平板状の成形片から短冊状に切削加工を行いガラス転移点測定用試験片を得た。動的粘弾性(TAインスツルメント社(株)製RSA-G2)は2℃/分の昇温速度で、30〜250℃の範囲、周波数10Hzで測定した。Tanδピーク温度をガラス転移点とした。その結果を表5、及び6に示す。
表5及び表6に示すように、本発明における電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物は、低収縮性に優れることが判明した。また、特に、本発明における電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物の実施例12〜21は、23℃で固体であるため取扱い性に優れ、溶融粘度が低く良好であった。本発明における電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物は、全体的に優れた結果を示すことが判明した。
Claims (17)
- 結晶性ラジカル重合性化合物と、無機充填材と、シランカップリング剤と、ラジカル重合開始剤とを少なくとも含むことを特徴とする電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記結晶性ラジカル重合性化合物は、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合性多量体から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- さらに、熱可塑性樹脂を含む請求項1又は2に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記熱可塑性樹脂は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、スチレンブタジエンゴム、及びそれらの共重合体から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項3記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記熱可塑性樹脂の含有量は、電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物全量に対して0.01〜20重量%であることを特徴とする請求項3又は4に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記結晶性ラジカル重合性化合物は、30〜150℃の範囲で融点を示すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記結晶性ラジカル重合性組成物は、23℃で固体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記結晶性ラジカル重合性組成物の高化式フローテスタによる溶融粘度は、測定温度90℃、ダイスの直径0.5mmで長さ1.0mm、圧力30kgf/cm2において7〜1,000Pa・s、又は、圧力1kgf/cm2において1〜7Pa・sであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記無機充填材の含有量は、前記結晶性ラジカル重合性組成物全量に対して50〜95重量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記結晶性ラジカル重合性化合物全量に対する結晶性ラジカル重合性化合物の割合は、30重量部以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 前記結晶性ラジカル重合性化合物の重量平均分子量は、100〜100,000であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物。
- 電気電子装置と、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物により前記電気電子装置に固定された電気電子部品と、からなる電気電子部品固定電気電子装置。
- 前記電気電子装置は、ユニット、モジュール、デバイス体、又はロータコアである請求項12記載の電気電子部品固定電気電子装置。
- 請求項12又は13記載の電気電子部品固定電気電子装置を有することを特徴とする機械。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物からなる粒状物。
- 請求項15記載の電気電子部品固定用結晶性ラジカル重合性組成物からなる前記粒状物を用いて、射出成形法、トランスファー成形法、又は注型法によるインサート成形法により、電気電子部品を電気電子装置に固定する工程を有する電気電子部品固定体の製造方法。
- 前記電気電子部品固定体は、電気電子部品固定ユニット、電気電子部品固定モジュール、電気電子部品固定デバイス体、又は電気電子部品固定ロータコアである請求項16記載の方法。
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