JP2009074317A - 建物 - Google Patents
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Abstract
【課題】インナガレージと室内空間とで床面の高さに相違がある場合に、車両と室内空間との間を移動しようとするユーザの利便性を高めることのできる建物を得る。
【解決手段】可動板41が配置される車両側位置は、車両24と乗降床面42との間の移乗位置であり、上昇位置は乗降床面42と居室22の床面22aとの間の移乗位置である。可動板41は待機位置から水平移動により車両側位置に配置され、待機位置から上昇することで上昇位置に配置される。上昇位置では乗降床面42と居室22の床面22aとで同じ高さレベルの連続面が形成されており、バリアフリー化を実現できる。そして、可動板41を上昇位置に移動させることで連続面が形成されるようになっており、車種ごとにその乗降口の高さが異なっても、その車種に関係なく連続面を形成できる。
【選択図】図2
【解決手段】可動板41が配置される車両側位置は、車両24と乗降床面42との間の移乗位置であり、上昇位置は乗降床面42と居室22の床面22aとの間の移乗位置である。可動板41は待機位置から水平移動により車両側位置に配置され、待機位置から上昇することで上昇位置に配置される。上昇位置では乗降床面42と居室22の床面22aとで同じ高さレベルの連続面が形成されており、バリアフリー化を実現できる。そして、可動板41を上昇位置に移動させることで連続面が形成されるようになっており、車種ごとにその乗降口の高さが異なっても、その車種に関係なく連続面を形成できる。
【選択図】図2
Description
本発明は、建物の一部を利用して設けられたインナガレージを有する建物に関する。
建物には、自動車等の車両を格納するためのガレージ(車庫)が当該建物と独立して、又は当該建物の一部を利用して設けられることがある。このうち、後者のガレージは一般にインナガレージ(付属車庫)と呼ばれ、隣接する室内空間と壁や扉等の間仕切りによりって区画されて建物に設けられる(例えば、特許文献1参照)。そして、室内空間の床部は基礎の上部を利用して設置されるのが通常であることから、インナガレージを有する建物ではインナガレージの床よりも室内空間の床が高くなっている場合が多い。
ところで、近年では、建物のバリアフリー化が社会において推進され、高齢者や身体障害者等にとって移動上及び建物利用上の利便性を向上させることが求められている。かかる観点からみれば、インナガレージと室内空間とで床の高さが異なっている構造は、インナガレージに駐車された車両と室内空間との間を移動しようとする車椅子利用者にとって不便である。
そこで、インナガレージと室内空間との境界部分に開口を設け、その開口に車両の後部乗降口が対向するように車両を駐車させる。そして、室内空間の床を後部乗降口に接続される車内床と同じ高さレベルに設け、室内空間から車両内部まで平坦な床が連続するように構成することが知られている(特許文献1参照)。
特開2001−271500号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来技術には、次の様な問題点を有していることが判明した。
すなわち、車内床の高さは統一されていないのが通常であり、車種ごとに車内床の高さは異なる。このため、特定の車両を想定し、その車両の車内床の高さに合わせて室内空間の床の高さを設定したとしても、想定車両と異なる種類の車両との関係では、室内空間の床と車内床との間に段差が生じることになる。そうだとすれば、上記従来技術はある特定の車両に限定された範囲でのみ効果が得られるに過ぎず、数多くの種類の車両が存在する現実をみれば実用性に欠けるといえる。
そこで、本発明は、インナガレージと室内空間とで床面の高さに相違がある場合に、車種に関係なく、インナガレージに駐車された車両と室内空間との間を移動しようとするユーザの利便性を高めることを主たる目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
すなわち、本発明では、建物の一部を利用して設けられたインナガレージを有し、そのインナガレージと横並びで隣接する室内空間の床面が当該インナガレージの床面よりも高い位置に設けられた建物において、ユーザが乗り降りする乗降床面を有し、該乗降床面と前記インナガレージの駐車スペースに駐車された車両との間の移乗位置である第1位置と、前記乗降床面と前記室内空間の床面との間の移乗位置である第2位置とに移動可能な移動体を備え、前記第1位置では、前記乗降床面が前記車両の乗降口の下端と同じか又はそれよりも低い高さレベルに配置され、前記第2位置では、前記乗降床面が前記室内空間の床面と同じ高さレベルに配置されて両床面により連続面が形成されるようにした。
この発明によれば、インナガレージに車両が駐車された場合に、その車両と室内空間との間の移動は次のように行われる。すなわち、車両から室内空間へ移動する場合、まず移動体を第1位置に配置して車両から乗降床面に乗り移る。その後、移動体を第2位置へ移動させれば、乗降床面から室内空間の床面に乗り移れる。逆に、室内空間から車両へ移動する場合、まず移動体を第2位置に配置して室内空間から乗降床面に乗り移る。その後、移動体を第1位置に移動させれば、乗降床面から車両へ乗り移れる。
ここで、移動体が車両との間の移乗位置である第1位置から移動して第2位置に配置されると、乗降床面と室内空間の床面とで同じ高さレベルの連続面が形成され、両床面間でバリアフリー化が実現される。これにより、インナガレージと室内空間とで床面の高さに相違がある場合に、インナガレージに駐車された車両と室内空間との間で移動しようとするユーザ、特に車椅子利用者等の身障者や高齢者の利便性を高めることができる。しかも、移動体の高さレベルは固定されず、それを第2位置に移動させることで前記連続面が形成されるようになっており、その連続面の形成に関して車両の床の高さは関係ない。すなわち、バリアフリー化の実現に際してインナガレージに駐車される車両の車種は関係ない。したがって、車種に関係なく利便性を高めることができる。
なお、前記移動体が前記第2位置に配置された場合、乗降床面と室内空間の床面との間には構造上若干の隙間や段差(いずれも数mm〜10数mm程度のもの)等が生じることもあるが、そのような隙間や段差等が存在する場合も連続面というものとする。
上記発明において、前記第1位置では、前記乗降床面の車両側端部が前記車両の近傍に配置されることが好ましく、より具体的には、車両の側端からその下方に向けた延長線より若干車両の内側に入り込んだ位置に、車両側端部が配置された構成が好ましい。これにより、車両の乗降口の近傍まで乗降床面が存在することになり、車両と乗降床面との間での乗り移りがより行い易くなる。
この場合、前記車両側端部に緩衝材を設けてもよい。第1位置では乗降床面の車両側端部が車両の近傍に配置されるため、その第1位置への移動に際してその車両側端部が車両に衝突する可能性がある。そこで、このように緩衝材を設ければ、衝突があってもそれによる衝撃が和らげて車両の傷付きを防ぐことができる。
また、前記車両側端部は、前記インナガレージへの入出庫方向に沿って延び、少なくとも、前記車両の乗降口の横幅に相当する長さを有していることが好ましい。これにより、入出庫方向に沿って車両を駐車させた場合に、車両の乗降口の全体にわたって前記車両側端部が配置され、車両と乗降床面との間での移乗行為を一層容易に行える。
上記発明において、前記移動体が前記駐車スペースの外に配置された位置を待機位置とし、前記移動手段はその待機位置から前記第1位置又は前記第2位置に移動体を移動させるようにすることが好ましい。これにより、駐車スペースに車両を入庫させている間は前記移動体を前記待機位置に配置すれば、前記移動体が車両の入庫の邪魔になることを防げる。
この場合、前記待機位置から前記第1位置又は前記第2位置のいずれか一方に前記移動体を移動させた後、いったん前記待機位置に復帰させてから、他方の位置へ移動させることが好ましい。第1位置において乗降床面の車両側端部が車両の近傍に配置されるような場合、第1位置と第2位置との間で移動体を移動させる際に、その車両側端部が車両と接触したり衝突したりする可能性が高まる。そこで、いったん待機位置に復帰させてから他方の位置に移動させるようにすれば、その可能性が低くなる。
なお、前記移動体の移動をより具体化すると、前記待機位置と前記第1位置との間の移動は水平移動であり、前記待機位置と前記第2位置との間の移動は昇降動作であることが好ましい。
上記発明において、前記インナガレージと前記室内空間とを隔てる内壁部の一部を前記室内空間側に窪むように形成してインナガレージに隣接する玄関スペースが設けられ、その玄関スペースを利用して前記移動体が設けられることが好ましい。これにより、移動体がインナガレージ側へ突出することを少なくして、インナガレージ内に駐車スペースをより広く確保することができる。そして、前記移動体のすべてが前記玄関スペース内に設けられ、その状態を待機位置とすれば、待機位置にある移動体はインナガレージ側に突出しない。したがってこの場合、インナガレージの全スペースを駐車スペースとして確保することができる。
この場合、前記玄関スペースを形成する玄関壁部に、前記室内空間への出入り口が設けられることが好ましい。これにより、その出入り口を介して玄関スペースと室内空間との間を出入りすることができる。
上記発明において、前記移動体の脇に車両が駐車されたことを検出する入庫検出手段と、前記移動体を移動させる移動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記入庫検出手段によって車両が検出された場合に、前記移動体が前記第1位置に配置されるように前記移動手段の制御を実施することが好ましい。これにより、前記移動体の脇に車両が駐車されれば自動的に移動体が第1位置に移動するため、その移動を開始させるための個別の操作を不要としてユーザの利便性を高めることができる。
上記発明において、前記移動体の前記乗降床面に人が乗り降りしたことを検出する乗降検出手段と、前記移動体を移動させる移動手段の駆動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記乗降検出手段によって人が前記乗降床面に乗ったことが検出された場合に、前記移動体が前記第1位置又は前記第2位置のいずれか一方から他方に配置されるように前記移動手段の制御を実施することが好ましい。この場合、前記移動体が前記第1位置に配置されてユーザが車両から乗降床面に乗り移るか、又は前記移動体が前記第2位置に配置されてユーザが室内空間の床面から乗降床面に乗り移ると、乗降検出手段により乗降床面に人が乗ったことが検出される。この検出に基づいて前記移動体は他方の位置に移動するため、この場合もその移動を開始させるための個別の操作を不要としてユーザの利便性を高めることができる。
このように乗降検出手段の検出結果に基づいて制御が実施される場合、前記制御手段は、前記乗降検出手段による検出後、待ち時間経過後に前記移動手段の駆動制御を実施することが好ましい。これにより、乗降床面にユーザが乗ったことが検出されると直ちに移動体の移動が開始されるのではなく、待ち時間経過後に移動が開始されるため、ユーザが移動に備えた体勢を整える時間を確保することができる。
上記発明において、前記移動体の脇に駐車された車両について、その車両ドアが開閉状態を検出する車両ドア検出手段と、前記移動体を移動させる移動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記車両ドア検出手段により車両ドアが閉状態にあると検出された場合に、前記第1位置又は前記第2位置のいずれか一方から他方への移動を許可することが好ましい。これにより、前記移動体が前記第1位置にあるとき、前記車両のドアを開けるとその車両ドアが前記乗降床面上に配置されるような場合に、車両ドアが開いた状態で移動体が移動することが禁止される。これにより、移動体が車両ドアと衝突してしまうことを防止できる。
以下に、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
最初に、建物11の一階部分の間取り例を図1に基づいて簡単に説明する。図1はその間取り例の一部を示す平面図であり、図2は図1のA−A縦断面図である。また、図3は、図2の一部を拡大して示す図である。なお、建物11のユーザには、身障者や高齢者等の車椅子利用者Uが含まれているものとする。
図1及び図2に示すように、建物11は、一階部分を構成する屋内スペースとして、インナガレージ21、室内空間としての居室22及び玄関スペース23等を備えている。この例示した各スペースは横並びで隣接して設けられている。
インナガレージ21は平面視コ字状をなす内壁面によって形成され、例えば車両一台分の駐車スペースが確保されている。本実施の形態では、インナガレージ21のスペースすべてが駐車スペースとなっている。駐車スペースには車両24が駐車可能であり、車両24は建物11の正面側に設けられた出入り口25を通じて駐車スペースに出入りするようになっている。出入り口25からインナガレージ21に入庫した車両24は、インナガレージ21内の駐車位置(後述)に駐車される。出入り口25を形成する上部には出入り口25を開閉するシャッタが防犯対策用として設けられている。
居室22には居住用スペースが確保されている。居住用スペースは住人等の起臥寝食のために利用される。この居室22は内壁部31によってインナガレージ21と隔てられている。内壁部31は入出庫方向に沿って設けられており、下地材や仕上げ材等によって周知の如く構成されている。
この内壁部31の一部は居室22側に窪むように形成され、この内壁部31の窪みによって形成されたスペースが玄関スペース23となっている。このため、玄関スペース23とインナガレージ21とは壁等の間仕切りによって隔てられることなく、玄関スペース23はインナガレージ21側に開放されている。ここで、この玄関スペース23の開放部32の脇に乗降口が配置されるように車両24が駐車された位置が前記駐車位置となっている。また、インナガレージ21の横幅次第では、車両24のドア24aを開くとその車両ドア24aが開放部32を介して玄関スペース23内に配置される。
玄関スペース23は平面視において四角形状をなし、車椅子に乗った車椅子利用者Uが入るのに十分なスペースが確保されている。玄関スペース23を形成する玄関壁部33には居室22への出入り口34が設けられ、その出入り口34には自動扉35が設けられている。自動扉35は人の存否をセンサ等により検出し、電動モータ等の駆動装置により自動的に扉が開閉駆動される周知のものである。自動扉35は、その扉が開かれた状態で車椅子利用者Uが居室22に出入りするのに十分な大きさを有している。
上記インナガレージ21、居室22及び玄関スペース23の各床部は、それぞれ下地材や仕上げ材等によって周知の如く構成されている。なお、図2ではインナガレージ21及び玄関スペース23の各床部を地面と区別することなく簡略化して図示している。インナガレージ21の床面21a及び玄関スペース23の床面23aは、地面と同じか若干異なる程度の高さレベルで、いずれも同一平面となるように形成されている。一方、居室22の床部は建物11の基礎の上部を利用して設置されているため、床面22aはインナガレージ21及び玄関スペース23の床面21a,23aよりも高い位置に配置されている。
次に、前記玄関スペース23の床部に設置された移動体としての可動板41について説明する。
可動板41は玄関スペース23の平面形状と同じ四角形状をなす板状の部材であり、その上面は人が乗り降り可能な乗降床面42となっている。可動板41は、玄関スペース23内で、前記乗降床面42のインナガレージ21側(車両24が駐車されれば車両24側)の端部43(以下、移動先端部43という)が内壁部31に沿って延びるようにして設置されている。そして、この移動先端部43は、車両24の乗降口の横幅よりも長く形成されている。なお、玄関スペース23の開放部32の脇に車両24が駐車された位置が前記駐車位置であると前に述べたが、その駐車位置は可動板41の脇に車両24が駐車される位置であるともいえる。
玄関スペース23の床部には、その玄関スペース23からインナガレージ21側に向かって延びるガイドレール44が設けられている。本実施の形態では一対のガイドレール44が互いに平行をなすように設けられている。可動板41は電動モータや油圧式シリンダ等の水平移動装置45の駆動により、ガイドレール44に沿ってインナガレージ21側へ水平移動可能となっている。この場合、可動板41は居室22側に寄った位置から、反対にインナガレージ21側(車両24が駐車されれば車両24側)に寄った位置までの範囲で水平移動する。なお、前者は待機位置であり、後者は車両側位置であって第1位置に相当する。
待機位置にある可動板41は、そのすべてが玄関スペース23内に収容されているため、可動板41の移動先端部43はインナガレージ21側に突出せず、開放部32より内側に配置される。一方、車両側位置では、可動板41の移動先端部43が車両24の近傍に配置される。より具体的には、図3に示すように、車両24の側端からその下方に向けた延長線Lよりも若干車両24の内側に入り込んだ位置に、移動先端部43が配置される。そして、待機位置及び車両側位置のいずれにおいても、可動板41の乗降床面42は車両24の乗降口の下端よりも低い位置に配置されている。
また、玄関スペース23の床部には、油圧式シリンダ等の昇降装置46が設けられている。この昇降装置46の駆動により、可動板41は上下方向に沿って昇降可能となっている。この場合、前述した水平移動の場合の待機位置が昇降駆動の場合の待機位置でもあり、この待機位置から、可動板41の乗降床面42と居室22の床面22aとで同じ高さレベルの連続面が形成される上昇位置までが昇降範囲となっている。この上昇位置は第2位置に相当する。そして、この可動板41の昇降駆動は玄関スペース23内で実施され、昇降駆動中に水平移動はなされない。
このように可動板41は水平移動装置45及び昇降装置46の駆動により移動し、待機位置、車両側位置及び上昇位置のそれぞれに、選択的に配置されるようになっている。このため、水平移動装置45及び昇降装置46により移動手段が構成されている。
次に、可動板41の水平移動及び昇降を制御する制御システムの電気的構成について、図4のブロック図に基づいて説明する。
制御手段としてのコントローラ51は周知のマイクロコンピュータにより構成され、例えば居室22の内壁面に設けられた後述の室内操作部65と一体化されて設けられている。コントローラ51は記憶部52と通信部53とを備え、記憶部52には本制御システムの動作プログラムが記憶されている。コントローラ51はこの動作プログラムに基づいて可動板41の駆動を制御する。一方、通信部53は車両24内に設置された表示部54との間で無線通信可能となっており、この通信部53によってコントローラ51からの表示信号が表示部54に送信される。表示部54は、表示信号を受けて車両24が前記駐車位置に駐車されたことを表示する。
コントローラ51には各種センサがそれぞれ接続され、その各種センサからの信号が適宜入力される。以下、その各種センサについて順に説明する。
入庫検出手段としての入庫検出センサ61は例えばインナガレージ21の奥側(出入り口25と反対側)の内壁面に設けられ、この入庫検出センサ61により、入庫する車両24が前記駐車位置に駐車されたことが検出される。これは例えば距離センサであって、車両24の後部とインナガレージ21の奥側内壁面との間の距離が設定距離内に近づくと、コントローラ51に検出信号を出力する。
車両ドア検出手段としての車両ドア検出センサ62は例えばインナガレージ21の天井面に設けられ、車両ドア検出センサ62により、前記駐車位置に駐車された車両24のドア24aが開状態にあることが検出される。これは例えばイメージセンサであって、車両ドア24aが開状態にある場合にそれを画像情報として読み取り、コントローラ51に検出信号を出力する。
乗降検出手段としての乗降検出センサ63は可動板41に設けられ(本実施の形態では2個)、乗降検出センサ63により、車椅子利用者Uが可動板41の乗降床面42上に乗ったことが検出される。これは例えば重量センサであって、車椅子利用者Uが乗降床面42上に乗ると、コントローラ51に検出信号を出力する。
車両検出センサ64は可動板41の移動先端部43に設けられ、この車両検出センサ64により、可動板41が車両側位置に配置されたことが検出される。これは例えば距離センサであり、可動板41の移動先端部43と駐車された車両24の一部(例えば、車輪24b)との間の距離が設定距離内に近づくと、コントローラ51に検出信号を出力する。なお、車両検出センサ64は移動先端部43に設けられた探索用ロッドを有する接触式センサであってもよい。
なお、具体的な図示は省略するが、コントローラ51には可動板41が待機位置又は上昇位置にあることを検出する位置センサも接続されている。この位置センサは、可動板41が待機位置又は上昇位置に配置されると、それぞれに対応する検出信号をコントローラ51に出力する。コントローラ51はその信号に基づいて可動板41が待機位置又は上昇位置に配置されたことを認識するようになっている。
コントローラ51には、居室22側の室内操作部65に設けられた各ボタンの操作信号等がコントローラ51に適宜入力される。前記各ボタンとしては、可動板41を上昇させる上昇ボタン、可動板41の移動(水平移動及び昇降)を停止させる停止ボタン等を有する。
コントローラ51には、前記水平移動装置45及び前記昇降装置46も接続されている。そして、コントローラ51は、上記各センサから送られてくる検出信号に基づいて水平移動装置45及び昇降装置46の駆動を制御する。かかる制御により、可動板41が水平移動又は昇降駆動する。
次に、可動板41の動作を図5乃至図7に基づいて説明する。図5及び図7は、可動板の動作を説明するタイミングチャートであり、図6は可動板の動作を概略的に説明する動作説明図である。図6(a)は車椅子利用者が乗った車両が駐車位置に駐車された状態、(b)は車両側位置に水平移動した可動板上に車椅子利用者が乗った状態、(c)は車椅子利用者を乗せた可動板が待機位置に復帰した状態、(d)は車椅子利用者を乗せた可動板が上昇位置に配置された状態をそれぞれ示している。
まず、車両24をインナガレージ21に入庫させ、車椅子利用者Uがその車両24から居室22へ移動しようとする場合について、図5のタイミングチャートに基づいて説明する。
図5に示すように、タイミングt1で車両24が駐車位置に駐車されると、入庫検出センサ61により車両24が検出される。すると、コントローラ51は通信部53から表示部54に表示信号を無線送信し、この信号を受信した表示部54は車両24が駐車位置に駐車されたことを所定時間表示する。これにより、運転者は車両24が駐車位置に駐車されたことを認識できる。このタイミングt1の時点では、図6(a)に示すように可動板41は待機位置にあり、車椅子利用者Uは車両24に乗っている。
その後、所定の待ち時間Ta(例えば数5秒程度)が経過したタイミングt2にて、コントローラ51は、可動板41が待機位置から車両側位置へ水平移動するように水平移動装置45を駆動制御する。そして、可動板41が車両側位置に至ると、コントローラ51は水平移動装置45の駆動制御を停止する。
次に、車両24のドア24aが開かれ、タイミングt3にて、車両24から車椅子71が先に降ろされて可動板41の乗降床面42上に載置される。次いで、タイミングt4において、図6(b)に示すように車椅子利用者Uが車両24から車椅子71に乗り移ると、乗降検出センサ63により車椅子利用者Uが乗降床面42上に乗ったことが検出される。車両24のドア24aはその後の適宜のタイミングで閉じられる。
乗降検出センサ63による検出の後、所定の待ち時間Tb(例えば、10秒程度)が経過したタイミングt5において、コントローラ51は、可動板41が待機位置へ復帰するように水平移動装置45を駆動制御する。このとき、車両ドア検出センサ62により車両24のドア24aが開かれた状態にあることが検出されている場合、コントローラ51は水平移動装置45の駆動制御を実施しない。可動板41が待機位置に至ると、コントローラ51は水平移動装置45の駆動制御を停止する。これにより、図6(c)に示すように、車椅子71を載せた状態の可動板41は待機位置に復帰する。
その後、タイミングt6において、コントローラ51は可動板41が待機位置から上昇位置へ上昇するように昇降装置46を駆動制御する。可動板41が上昇位置に至ると、コントローラ51は昇降装置46の駆動制御を停止する。これにより、図6(d)に示すように、車椅子利用者Uを載せた可動板41は上昇位置に配置される。この上昇位置では、可動板41の乗降床面42と居室22の床面22aとで同じ高さレベルの連続面が形成され、バリアフリー化が実現されている。このため、車椅子利用者Uは段差のない状態で可動板41から居室22へ移ることができる。
タイミングt7にて車椅子利用者Uが居室22に移ると、乗降検出センサ63は非検出となる。その後、所定の待ち時間Tc(例えば、10秒程度)が経過したタイミングt8にて、コントローラ51は可動板41が待機位置へ復帰(下降)するように昇降装置46を駆動制御する。その後、可動板41が待機位置に至ると、コントローラ51は昇降装置46の駆動制御を停止する。これにより、可動板41は待機位置に復帰する。
次に、車椅子利用者Uが居室22からインナガレージ21に駐車されている車両24へ移動しようとする場合について、図7に基づいて説明する。なお、この説明ではタイミングチャートを図示するだけにとどめる。
図7に示すように、タイミングt11にて居室22に存在する車椅子利用者U又はその介助者が室内操作部65(上昇ボタン)を操作すると、コントローラ51は可動板41が待機位置から上昇位置へ上昇するように昇降装置46を駆動制御する。このとき、車両ドア検出センサ62により車両24のドア24aが開かれた状態にあることが検出されている場合、コントローラ51は昇降装置46の駆動制御を実施しない。そして、可動板41が上昇位置に至ると、コントローラ51は昇降装置46の駆動制御を停止する。前述したように、この上昇位置ではバリアフリー化が実現されているため、車椅子利用者Uは段差のない状態で室内居室22から可動板41へ乗り移ることができる。
タイミングt12において、車椅子利用者Uが乗降床面42へ乗り移ると、乗降検出センサ63により車椅子利用者Uが乗降床面42上に乗ったことが検出される。その後、所定の待ち時間Td(例えば、10秒程度)が経過したタイミングt13にて、コントローラ51は可動板41が待機位置に復帰するように昇降装置46を駆動制御する。可動板41が待機位置に至ると、コントローラ51は昇降装置46の駆動制御を停止する。
その後、タイミングt14において、コントローラ51は可動板41が待機位置から車両側位置へ水平移動するように水平移動装置45を駆動制御する。可動板41が車両側位置に至ると、コントローラ51は水平移動装置45の駆動制御を停止する。
このようにして可動板41が車両側位置に配置されると、車椅子利用者Uは車椅子71を可動板41の乗降床面42に置いたまま、その身体だけ車両24に乗り移る。これにより、乗降検出センサ63は非検出となる。その後、タイミングt16にて車椅子71が車両24に積み込まれる。このようにして、車椅子利用者Uは居室22から移動して車両24に乗ることができる。
前記タイミングt15にて非検出となった後、所定の待ち時間(例えば、数10秒程度)経過したタイミングt17において、コントローラ51は可動板41が待機位置へ復帰するように水平移動装置45を駆動制御する。可動板41が待機位置に至ると、コントローラ51は水平移動装置45の駆動制御を停止する。これにより、可動板41は待機位置に復帰する。
以上の構成により、本実施の形態では以下に示す有利な効果が得られる。
車両側位置に配置された可動板41は車両24寄りで、かつその乗降床面42が車両24の乗降口の下端よりも低い高さレベルにあるため、車椅子利用者Uは乗降床面42と車両24との間での乗り移りを容易に行える。また、可動板41が車両側位置よりも居室22寄りの上昇位置に配置されると、乗降床面42と居室22の床面22aとで同じ高さレベルの連続面が形成され、両床面42,22aとの間でバリアフリー化が実現される。これにより、インナガレージ21と居室22とで床面の高さに相違がある場合に、インナガレージ21に駐車された車両24と居室22との間を移動しようとする車椅子利用者Uの利便性を高めることができる。しかも、乗降床面42の高さレベルは固定されず、可動板41を上昇位置に移動させることで連続面が形成されるようになっており、その連続面の形成に関して車両24の車内床の高さは関係ない。すなわち、バリアフリー化の実現に際してインナガレージ21に駐車される車両24の車種は関係ない。したがって、車種に関係なく利便性を高めることができる。
車両側位置にある可動板41の移動先端部43は、車両24の近傍に配置されるようになっている。車両側位置において、車椅子利用者Uは車両24と可動板41との間での乗り移りを行うが、このように移動先端部43が車両24の近傍に配置されると、車両24の乗降口の近傍まで乗降床面42が存在することになり、その移乗行為が行い易くなる。
可動板41は、その移動先端部43がインナガレージ21と居室22とを隔てる内壁部31に沿って延びるように設けられている。しかも、可動板41の移動先端部43は車両24の乗降口の横幅よりも長く形成されている。このため、車両24の乗降口の全体にわたって移動先端部43が配置されることになり、車両24と乗降床面42との間での乗り移りが一層容易に行える。
インナガレージ21と居室22とを隔てる内壁部31が窪むように形成され、これにより玄関スペース23が設けられている。そして、その玄関スペース23内に可動板41が設けられ、その状態が待機位置となっている。このため、インナガレージ21の全スペースを駐車スペースとして確保することができる。また、インナガレージ21に車両24を入庫させている間、可動板41は待機位置に配置されるため、可動板41が車両24の入庫の邪魔になることを防げる。
可動板41は待機位置から車両側位置又は上昇位置のいずれかに移動した後、いったん待機位置に復帰してから、他方の位置へ移動するようになっている。車両側位置では可動板41の移動先端部43が車両24の近傍に配置されるため、そこから上昇位置まで斜めに移動させると、移動先端部43が車両24と接触したり衝突したりする可能性が高まる。そこで、いったん待機位置に復帰させてから他方の位置に移動させるようにすれば、その可能性が低くなる。
コントローラ51に入庫検出センサ61等の各種センサが接続され、コントローラ51はその各センサから送られてくる検出信号に基づいて水平移動装置45及び昇降装置46の駆動を制御している。このため、コントローラ51によって可動板41の移動が自動制御され、その移動のための個別の操作を不要としてユーザの利便性が高められている。
コントローラ51による可動板41の移動制御に関し、乗降検出センサ63によって乗降床面42に車椅子利用者Uが乗ったことが検出された後、所定の待ち時間Tb,Tdが経過した後に可動板41の移動が開始されるようになっている。このため、車椅子利用者Uが乗降床面42上で移動に備えた体勢を整える時間を確保することができる。
コントローラ51は、車両ドア検出センサ62が非検出であることを条件に、可動板41を車両側位置又は待機位置のいずれか一方から他方へ移動させている。これにより、車両ドア24aが開いた状態で可動板41が移動することが禁止され、可動板41が車両ドア24aと衝突してしまうことを防止できる。
なお、以上説明した実施の形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
上記実施の形態では、移動体として可動板41を例に説明したが、移動体は板状部材に限定されるものではなく、箱形状を有するかご等であってもよい。また、可動板41の乗降床面42に手すり等の介助部材を設けて、可動板41の移動中に車椅子利用者Uが体勢を安定させることができるようにしてもよい。その他、可動板41の移動先端部43に緩衝材を設けてもよい。これにより、可動板41が待機位置から車両側位置に移動する際に、万が一、車両24と衝突するような事態が生じても、その衝突を和らげて車両24の傷付きを防止できる。
上記実施の形態では、車両側位置で可動板41の高さ位置を変更することについて特に言及していないが、この車両側位置において可動板41を昇降可能としてもよい。車両24の乗降口の下端が存在する高さ位置は車種によって異なる場合があるため、それに合わせて乗降床面42の高さを適宜変更できるようにすれば、車種に合わせて、可動板41と車両24との間の移乗行為が行い易い高さ位置に可動板41を配置できる。
上記実施の形態では、乗降床面42が車両24の乗降口の下端よりも低い高さレベルとなる位置で可動板41が水平移動しているが、乗降床面42が乗降口の下端と同じ高さレベルとなる位置で水平移動するように可動板41を設置してもよい。また、車両側位置で可動板41を昇降可能とする前述の構成において、乗降床面42が乗降口の下端が同じ高さレベルとなるように可動板41の高さ位置を変更してもよい。これにより、車椅子利用者Uが車椅子71に乗った状態で乗降床面42と車両床との間を移動することができる。
上記実施の形態では、側方から乗り降りする車両24を想定しているが、後部から乗り降りする車両を想定して、インナガレージ21の奥側に玄関スペースを設け、そこに可動板41が設置されるようにしてもよい。
上記実施の形態では、玄関スペース23を設けてそこに可動板41を配置したが、インナガレージ21内に可動板41を配置するようにしてもよい。この場合、例えば、インナガレージ21内に、出入り口からみて横並びとなるように駐車スペースと非駐車スペースとを設定し、その非駐車スペースに可動板41を配置する構成が考えられる。こうすると、非駐車スペースが必要な分だけインナガレージ21を拡張する必要がある。もっとも、非駐車スペースにおいて、可動板41の非設置領域を収納領域等の他の用途に利用することができる。
上記実施の形態では、乗降検出センサ63の検出に基づいて可動板41の移動を開始させるようにしたが、携帯式又は設置式の操作装置を操作することで、可動板41の移動を開始させるようにしてもよい。これにより、車椅子利用者Uやその介助者の要求に基づいて可動板41を移動させることができる。
上記実施の形態では、可動板41の水平移動及び昇降がそれぞれ個別に行われるようにしたが、可動板41を斜めに移動させる斜動装置を設け、車両側位置又は上昇位置のいずれか一方から他方へ待機位置を経ずに直接移動させるようにしてもよい。これにより、可動板41の移動にかかる時間を短縮できる。
上記実施の形態では、玄関スペース23がインナガレージ21と隣接して設けられているが、屋外から建物11に入る玄関スペースを別に設けてもよい。
11…建物、21…インナガレージ、22…居室(室内空間)、22a…床面、23…玄関スペース、24…車両、31…内壁部、33…玄関壁部、34…出入り口、41…可動板(移動体)、42…乗降床面、43…移動先端部(車両側端部)、45…水平移動装置(移動手段)、46…昇降装置(移動手段)、51…コントローラ(制御手段)、61…入庫検出センサ(入庫検出手段)、62…車両ドア検出センサ(車両ドア検出手段)、63…乗降検出センサ(乗降検出手段)、U…車椅子利用者(ユーザ)。
Claims (10)
- 建物の一部を利用して設けられたインナガレージを有し、そのインナガレージと横並びで隣接する室内空間の床面が当該インナガレージの床面よりも高い位置に設けられた建物において、
ユーザが乗り降りする乗降床面を有し、該乗降床面と前記インナガレージの駐車スペースに駐車された車両との間の移乗位置である第1位置と、前記乗降床面と前記室内空間の床面との間の移乗位置である第2位置とに移動可能な移動体を備え、
前記第1位置では、前記乗降床面が前記車両の乗降口の下端と同じか又はそれよりも低い高さレベルに配置され、前記第2位置では、前記乗降床面が前記室内空間の床面と同じ高さレベルに配置されて両床面により連続面が形成されることを特徴とする建物。 - 前記第1位置では、前記乗降床面の車両側端部が前記車両の近傍に配置されることを特徴とする請求項1に記載の建物。
- 前記車両側端部に緩衝材が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の建物。
- 前記移動体が前記駐車スペースの外に配置された位置を待機位置とし、その待機位置から前記第1位置又は前記第2位置に前記移動体を移動させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建物。
- 前記インナガレージと前記室内空間とを隔てる内壁部の一部を前記室内空間側に窪むように形成してインナガレージに隣接する玄関スペースが設けられ、その玄関スペースを利用して前記移動体が設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建物。
- 前記玄関スペースを形成する玄関壁部に、前記室内空間への出入り口が設けられたことを特徴とする請求項5に記載の建物。
- 前記移動体の脇に車両が駐車されたことを検出する入庫検出手段と、
前記移動体を移動させる移動手段を制御する制御手段と
を備え、前記制御手段は、前記入庫検出手段によって車両が検出された場合に、前記移動体が前記第1位置に配置されるように前記移動手段の制御を実施することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建物。 - 前記移動体の前記乗降床面に人が乗り降りしたことを検出する乗降検出手段と、
前記移動体を移動させる移動手段を制御する制御手段と
を備え、前記制御手段は、前記乗降検出手段によって人が前記乗降床面に乗ったことが検出された場合に、前記移動体が前記第1位置又は前記第2位置のいずれか一方から他方に配置されるように前記移動手段の制御を実施することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の建物。 - 前記制御手段は、前記乗降検出手段による検出後、待ち時間経過後に前記移動手段の駆動制御を実施することを特徴とする請求項8に記載の建物。
- 前記移動体の脇に駐車された車両について、その車両ドアの開閉状態を検出する車両ドア検出手段と、
前記移動体を移動させる移動手段を制御する制御手段と
を備え、前記制御手段は、前記車両ドア検出手段により車両ドアが閉状態にあると検出された場合に、前記第1位置又は前記第2位置のいずれか一方から他方への移動を許可することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の建物。
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Family Applications (1)
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JP2007246090A Pending JP2009074317A (ja) | 2007-09-21 | 2007-09-21 | 建物 |
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JP (1) | JP2009074317A (ja) |
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2007
- 2007-09-21 JP JP2007246090A patent/JP2009074317A/ja active Pending
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