JP2009073238A - ガラスラン及びその製造方法 - Google Patents

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知則 井上
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Abstract

【課題】外観品質の向上を図るとともに、製造工数の増大を抑止しつつ、ドアガラスのスムースな昇降動作を可能とするガラスラン及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ガラスラン5は、ドアフレームの内周に沿って設けられた取付部4に取着され、基底部14及び該基底部14から延びる車外側側壁部15及び車内側側壁部16よりなる断面略コ字状の本体部11と、各側壁部15、16の略先端から本体部11内側に延びる一対のシールリップ12、13とを備え、押出成形により長手方向全域が形成される。基底部14と各側壁部15、16との境界部には変形部21が設けられ、取付部4のコーナー部に対応するコーナー部位31においては、屈曲により変形部21が変形して、基底部14がガラス開口部の内周側に変位する。コーナー部位31における各側壁部15、16の延出長は、それ以外の一般部位における各側壁部15、16の延出長よりも長く形成される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ガラスラン及びその製造方法に関するものである。
一般に、自動車のドアフレームの内周に沿ってガラスランが設けられている。ガラスランは、その断面方向から見ると、基底部及び該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部よりなる断面コ字形の本体部を備えるとともに、本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップを備えている。上記ガラスランは、本体部がドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、両シールリップによって、ドアガラスの内外面の周縁部が挟まれるようにしてシールされる。
近年におけるガラスランは、ほぼ直線状に成形された押出成形部と、押出成形部同士を所定の角度をなした状態で接続する型成形部とから構成されており、例えばドアフレームの形状に沿って前縦辺部、上辺部及び後縦辺部からなる。
しかしながら、ガラスランを押出成形部と型成形部とから構成する場合には、押出成形部と型成形部との接続線が外観に表れてしまい、これに起因して外観品質の低下を招くおそれがある。また、押出成形部と型成形部とでは構成材料が異なる場合もあり、その表面の色・艶が大きく相違してしまい、このような色・艶の相違によっても、外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。さらに、押出成形部と型成形部との境界部(接続部)においては段差が形成されやすく、シール性の低下を招くおそれもある。また、押出成形とは別に、型成形を必要とするため、その分製造コスト、製造工数の増大を招いてしまう。
これに対し、ガラスランの長手方向全域を押出成形により略直線状に形成するとともに、コーナー部に対応する部位にスリットを形成し、取付部に対して、コーナー部に対応する部位を折り曲げて装着するという技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平2002−274187号公報
上記特許文献1に記載の技術を採用することで、ガラスランの長手方向において部分的に色・艶の相違が生じたり、長手方向に不要な段差が形成されたりするといった事態を回避することができる。また、型成形を要しない分、製造に要する工数の低減を図ることができる。
しかしながら、上記特許文献1の技術では、型成形工程は不要となるものの、ガラスランをコーナー部の形状に追従させるために、部分的にスリットを形成する工程が別途必要となるため、これに起因して、製造工数、製造コストの増大を招くことが懸念される。
これに対し、コーナー部に対応してガラスランを屈曲させる際に、基底部が当該屈曲に追従してドアガラスにより開閉されるガラス開口部の内周側に変位するよう構成することが考えられる。これにより、スリットや切欠き等を形成することなく、ガラスランをスムースに屈曲させることができる。
ところが、この場合には、屈曲されたコーナー部位における基底部が、その他の一般部位における基底部よりもガラス開口部の内周側に位置してしまうため、ガラス開口部を閉め切る際に、ドアガラスが上昇しきる前の段階で、ドアガラスがコーナー部位における基底部と当接してしまうことが懸念される。この場合、ドアガラスの昇降動作が制約されてしまうおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観品質の向上を図るとともに、製造工数の増大を抑止しつつ、ドアガラスのスムースな昇降動作を可能とするガラスラン及びその製造方法を提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部及び該基底部から延出する車内側側壁部及び車外側側壁部よりなる断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備え、
昇降するドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、前記ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域が押出成形体により構成され、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部、又は、前記車内側側壁部と前記基底部との境界部及び前記車外側側壁部と前記基底部との境界部において、前記本体部のその他の部位よりも柔軟な変形部を備え、
前記取付部の所定のコーナー部に対応するコーナー部位においては、屈曲により前記変形部が変形して、前記基底部が、前記ドアガラスにより開閉されるガラス開口部の内周側に変位するよう構成され、
前記コーナー部位における前記各側壁部の延出長が、それ以外の一般部位における前記各側壁部の延出長よりも長く形成されていることを特徴とするガラスラン。
手段1によれば、ガラスランの長手方向全域が押出成形体により構成される。従って、複数の成形体を長手方向に繋ぐことでガラスランを構成する場合とは異なり、接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスランの長手方向(周方向)において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上が図られる。また、ガラスランの長手方向に接続による段差が形成されてしまうといったおそれを回避することができ、かかる意味でシール性の向上が図られる。さらに、製造に要する工数の飛躍的な低減、ひいては、製造効率の向上を図ることができる。
また、本手段1によれば、両側壁部又は両側壁部と基底部との境界部において、本体部のその他の部位よりも柔軟な変形部を備えている。これにより、ガラスランの取付部への取着に際し、コーナー部に対応してガラスランを屈曲させると、変形部が追従的に変形し、基底部がガラス開口部の内周側に変位する。このため、コーナー部位にスリットなど形成せずとも無理のないスムースな曲げが可能となる。従って、曲げに伴う応力によって、コーナー部位における断面形状(例えばシールリップの形状等)が著しくいびつなものとなってしまうといった事態が回避される。結果として、ガラスランの安定した装着及び安定したシール性の確保が可能となり、ガラスランの機能を十分に発揮させることができる。また、例えば、ガラスランをスムースに屈曲させるべく、コーナー部位において、本体部やシールリップに対し、スリットや切欠き等を形成する必要がないことから、製造工数、製造コストの低減を図ることができる上、切欠き等の形成に起因するシール性の低下や外観品質の低下を防止することができる。
さらに、コーナー部位における各側壁部の延出長が、一般部位における各側壁部の延出長よりも長く構成されている。当該構成により、コーナー部位及び一般部位における各側壁部の延出長が同じである場合に比べ、ガラスランの取付部への取付状態において、コーナー部位における基底部の内側面を、ガラス開口部の外周側に位置させることができる。このため、コーナー部形状に倣わせてガラスランを屈曲させることで、コーナー部位の基底部がガラス開口部内周側(本体部の内側)に変位した場合であっても、ガラス開口部を閉め切る際に、ドアガラスが上昇しきる前の段階で、ドアガラスがコーナー部位における基底部と当接してしまうといった事態を回避することができる。従って、コーナー部位によって特段の制約を受けることなくドアガラスをスムースに昇降させることができる。
手段2.前記コーナー部位と前記一般部位との境界部位において、前記両側壁部の延出長が連続的に徐変する区間である連結部位が形成されることを特徴とする手段1に記載のガラスラン。
手段2によれば、コーナー部位と一般部位との境界部位である連結部位に関し、両側壁部の延出長が連続的に徐変して形成されることで、コーナー部位と一般部位との境界部位において、各側壁部の先端部及びシールリップの先端部に極端な段差が形成されてしまうといった事態を防止することができる。このため、例えば、長手方向に沿って、各側壁部の先端部及び各シールリップの先端部に極端な段差が形成されるものに比べ、屈曲に際しガラスランがいびつに変形してしまうといった事態を回避することができる。結果として、シール性の低下を招いたり、ガラスランの取付部への取付状態が不安定になってしまったりするといった事態を抑制することができる。
手段3.前記変形部は、前記基底部と前記車内側側壁部との境界部、及び前記基底部と前記車外側側壁部との境界部を、前記本体部のその他の部位よりも薄肉とすることで形成されることを特徴とする手段1又は2に記載のガラスラン。
手段3によれば、基底部と各側壁部との境界部を薄肉とすることで変形部が形成される。このため、例えば、基底部と各側壁部との境界部を本体部のその他の部位を構成する素材よりも軟質な素材により構成することで変形部を形成する場合に比べ、成形が容易なものとなる。従って、成形が容易となる構成を採用しつつ、上記手段1の作用効果が確実に奏されるガラスランを得ることができる。
手段4.前記基底部の内側面のうち前記ドアガラスと当接しない部位において、当該基底部から前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部に向かって延び、先端が前記車内側側壁部及び車外側側壁部に当接又はほぼ当接するガイドリップを設けたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のガラスラン。
手段4によれば、基底部の内側面にガイドリップが設けられている。このため、両コーナー部において、基底部がガラス開口部内周側に位置するに際し、両ガイドリップが両側壁部によってガイドされながら(時として両側壁部壁面に沿って摺動しながら)基底部がスムースに変位し得る。結果として、コーナー部において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすい。また、ガイドリップはドアガラスと当接しない位置に設けられていることから、ガラス開口部を閉め切る際に、ドアガラスが上昇しきる前の段階で、ドアガラスがコーナー部位におけるガイドリップと当接してしまうといった事態を回避することができる。
手段5.前記車内側側壁部の略先端から車内側に延びる車内側モールリップと、前記車外側側壁部の略先端から車外側に延びる車外側モールリップとを備え、
互いに平行な車内側取付部と車外側取付部とを備える前記取付部に対し、前記車内側モールリップと前記車内側側壁部とで前記車内側取付部を挟み込むとともに、前記車外側モールリップと前記車外側側壁部とで前記車外側取付部を挟み込むことで取着されることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のガラスラン。
手段5によれば、各側壁部の延出長が部分的に異なるといったガラスランであっても、取付部(ドアガラスの周縁部)に対する各側壁部の先端部及びシールリップの相対位置をほぼ均一にすることができる。結果として、シール性の向上及び取付状態の安定化等をより確実に図ることができる。尚、前記取付部への取着状態において、前記車内側取付部及び前記車外側取付部の各先端部が、前記車内側側壁部と前記車内側シールリップとの境界部、及び、前記車外側側壁部と前記車外側シールリップとの境界部にそれぞれ略当接状態とされることとしてもよい。
手段6.車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部及び該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部よりなる断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えるガラスランの製造方法であって、
ガラスランを成形するための成形孔を有するダイスと、
前記成形孔に対して相対移動可能に設けられ、前記成形孔の一部を閉塞可能なシャッタと、
前記シャッタを変位させる駆動手段と、
前記駆動手段を駆動制御する制御装置とを用い、
前記成形孔から成形材料を押出して、前記本体部及び前記両シールリップを有する断面形状をなし、昇降するドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、前記ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域を成形する押出工程において、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部、又は、前記車内側側壁部と前記基底部との境界部及び前記車外側側壁部と前記基底部との境界部に対し、前記本体部のその他の部位よりも柔軟な変形部を形成するとともに、
前記取付部のコーナー部に対応するコーナー部位における前記各側壁部の延出長を、それ以外の一般部位における前記各側壁部の延出長よりも長く形成することを特徴とするガラスランの製造方法。
手段6によれば、上記手段1の作用効果が奏されるガラスランを製造することができる。
手段7.ガラスランの長手方向に沿って、前記一般部位と、前記コーナー部位と、前記一般部位と前記コーナー部位との境界部位である連結部位とに区分し、
前記押出工程において、
前記一般部位に対応する区間では、前記シャッタを、押出成形されるガラスランの前記各側壁部の延出長が最も短くなる第1の位置に変位させ、
前記コーナー部位に対応する区間では、前記シャッタを、押出成形されるガラスランの前記各側壁部の延出長が最も長くなる第2の位置に変位させ、
前記連結部位に対応する区間では、前記シャッタを、前記第1の位置と前記第2の位置との間を、前記各側壁部の先端部又は基端部において前記本体部の長手方向に段差が形成されない程度の速度で変位させることを特徴とする手段6に記載のガラスランの製造方法。
手段7によれば、上記手段2の作用効果が奏されるガラスランを製造することができる。
手段8.前記シャッタは、少なくとも前記車内側側壁部の先端側の部位及び前記車内側シールリップを成形するための車内側成形開口部を有する車内側シャッタ部と、少なくとも前記車外側側壁部の先端側の部位及び前記車外側シールリップを成形するための車外側成形開口部を有する車外側シャッタ部とを備え、
前記車内側シャッタ部を前記車内側側壁部の延出方向に沿ってスライドさせるとともに、前記車外側シャッタ部を前記車外側側壁部の延出方向に沿ってスライドさせることで、前記シャッタが前記第1の位置と前記第2の位置とに変位することを特徴とする手段7に記載のガラスランの製造方法。
手段8によれば、基底部及び各側壁部の基部側の形状を維持するとともに、ダイス及びシャッタの構成の複雑化を抑制しつつ、上記手段2に記載のガラスランを製造することができる。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1はドアの概略構成を示す正面模式図である。図2はガラスランの上辺部を示す図1のJ−J線断面図である。図3はコーナー部におけるガラスランを示す図1のK−K線断面図である。
図1に示すように、自動車のドア用開口部に開閉可能に設けられるフロントドア1(以下、単にドアという)には、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応して設けられ、ドアガラスGの昇降を案内するとともに、ドアガラスGが上昇してガラス開口部Wが閉じられたときに、ドアガラスGの外周とドアフレーム2との間をシールするガラスラン5とが設けられている。また、ドア1には、ベルトラインに沿ってガラスウエザストリップ(ベルトラインモール9)が設けられている。
ガラスラン5は、ドアガラスGの上縁部に対応する部位である上辺部6、上辺部6の前端部から下方に延び、ドアガラスGの前縁部に対応する部位である前縦辺部7、及び上辺部6の後端部から下方に延び、ドアガラスGの後縁部に対応する部位である後縦辺部8を備えている。本実施形態におけるガラスラン5は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)よりなり、前縦辺部7、上辺部6及び後縦辺部8からなる長手方向全域が押出成形によって形成されている。そして、ドアフレーム2の内周に沿って形成された取付部4の内側に当該ガラスラン5が取付けられている。
図2に示すように、ガラスラン5は、本体部11及び車外側シールリップ12及び車内側シールリップ13を備えている。本体部11は、取付部4に嵌め込まれる基底部14と、該基底部14に対し略直交する方向に延びる車外側側壁部15及び車内側側壁部16とを備え、全体として断面略コ字状をなしている。車外側シールリップ12は、車外側側壁部15の略先端から本体部11の内側に向けて延び、車内側シールリップ13は、車内側側壁部16の略先端から本体部11の内側に向けて延びている。そして、ドアガラスGが閉じられた状態においては、車外側シールリップ12がドアガラスGの外側面に対して圧接され、車内側シールリップ13がドアガラスGの内側面に対して圧接される。これにより、ドアガラスGの車外側及び車内側がそれぞれシールされるようになっている。また、車外側側壁部15から車外側に向けて延びる車外側モールリップ17、及び車内側側壁部16から車内側に向けて延びる車内側モールリップ18が設けられている。
尚、本実施形態では、取付部4は、ドアフレーム2を構成するアウタパネル2A及びインナパネル2Bの端部を、互いに平行するようにして、ガラス開口部Wの内周側(図2では下側)に折り曲げることで構成されている。本実施形態では、アウタパネル2Aの端部が車外側取付部を構成し、インナパネル2Bの端部が車内側取付部を構成する。そして、アウタパネル2Aの端部を車外側モールリップ17と車外側側壁部15とで挟み込み、インナパネル2Bの端部を車内側モールリップ18と車内側側壁部16とで挟み込むようにして、本体部11がアウタパネル2Aとインナパネル2Bとの間に嵌め込まれることで、取付部4に対してガラスラン5が取付けられている。このように、アウタパネル2A及びインナパネル2B間にチャンネル部材を介在させない構成(チャンネルレス構造)とすることで、コストの削減及び軽量化が図られている。
また、本実施形態では、ガラスラン5の長手方向全域が押出成形のみによって1本の連続体として形成されている。このため、上辺部6、前縦辺部7及び後縦辺部8のいずれについても、本体部11及び一対のシールリップ12、13等を備えており、基本的には同様の断面形状をなしている。
加えて、基底部14の内側面やシールリップ12、13のドアガラス摺動面等には、ドアガラスGの摺動性を向上させるべく表面処理が施されている。表面処理としては、例えば、基底部14の内側面にポリエチレン(PE)テープ等を貼着して摺動層を形成したり、シールリップ12、13の表面に塗膜(例えばウレタン塗膜)を形成したり、シールリップ12、13の表面に植毛したりすること等が挙げられる。
また、本実施形態では、基底部14と車外側側壁部15との境界部、及び、基底部14と車内側側壁部16との境界部において、変形部21が形成されている。変形部21は、本体部11のそれ以外の部位(基底部14及び両側壁部15、16)よりも薄肉となっている。また、左右一対の変形部21は、車外側側壁部15及び車内側側壁部16からガラス開口部Wの外周側(図2、図3では上方)に向けて互いに近づく方向に傾斜して延出するとともに、各先端部がガラス開口部Wの内周側(本体部11の内側)に向けて屈曲形成されており、全体として断面略J字状をなしている。
そして、ガラスラン5の取付部4への取付に際し、コーナー部形状に倣わせてガラスラン5を屈曲させると、図3に示すように、変形部21が本体部11の内側に傾倒するようにして変形する。これにより、基底部14が図3の二点鎖線で示す位置から、同図実線で示す位置となるまで、ガラス開口部Wの内周側(図3では下側)にスムースに変位する。つまり、取付部4のコーナー部に対応するコーナー部位31あっては、それ以外の一般部位32(直線部位)に比べて、基底部14がガラス開口部Wの内周側に位置し、しかも当該ポジショニングがスムースに行われることで、断面形状がいびつなものとなってしまうことなく曲げられているのである。
さらに、基底部14の内側面には、当該基底部14の変形部21との境界部付近から各側壁部15、16に向かって延び、先端が各側壁部15、16にほぼ当接するガイドリップ22、23が設けられており、取付部4の両コーナー部において基底部14がガラス開口部Wの内周側へ変位するに際し、両ガイドリップ22、23が両側壁部15、16によってガイドされる。これにより、コーナー部位31において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすい。
また、本実施形態では、変形部21及びガイドリップ22,23等を包含する本体部11は、幅方向中央を中心に対称形状をなしている。このため、コーナー部位31において基底部14がガラス開口部Wの内周側へ変位するに際し、基底部14が傾いてしまうといった事態が起こりにくく、両側壁部15,16に対する基底部14の角度関係を保ちながらスムースに基底部14が内周側に位置し得る。結果として、コーナー部位31において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすくなる。
加えて、ガイドリップ22、23は、基底部14のうちドアガラスGと当接しない位置に設けられている。これにより、ガイドリップ22、23がドアガラスGと当接することに起因して、ドアガラスGの昇降動作が制約を受けてしまうといった事態を回避することができる。
さて、図3、図4に示すように、本実施形態では、ガラスラン5のうち、コーナー部位31における両側壁部15、16の延出長L1(図3参照)が、一般部位32における両側壁部15、16の延出長L2(図2参照)よりも長く構成されている。換言すれば、各側壁部15、16と変形部21との境界部から、各側壁部15、16と各シールリップ12、13との境界部までの距離が、コーナー部位31において長くなっている。このため、例えば、コーナー部位31及び一般部位32における側壁部15、16の延出長が同じである場合に比べ、ガラスラン5を取付部4に取付けた場合に、コーナー部位31における基底部14の内側面が、ガラス開口部Wの外周側に位置することとなる。尚、上記のように、本実施形態のガラスラン5は、幅方向中央を中心に対称形状をなしているため、長手方向における各部位において、車外側側壁部15の延出長と車内側側壁部16の延出長とは互いに等しく設定されている。また、基底部14の肉厚は、本体部11の長手方向においていずれの部位においても均一となっている。さらに、本実施形態では、取付部4のコーナー部に対応してコーナー部位31を屈曲させることで基底部14が本体部11の内周側に変位する距離とほぼ同じ長さだけ、コーナー部位31における各側壁部15、16の延出長が長くなっている。
また、図4に示すように、本実施形態では、コーナー部位31と一般部位32との境界部位において、各側壁部15、16の延出長が連続的に徐変される区間である連結部位33が形成されている。
図5は、ガラスラン5の押出成形に際し用いられるダイス41等を模式的に示す図であり、図6はダイス41及びシャッタ43を示す分解斜視図である。尚、成形孔42はダイス41を前後に貫通する孔であり、本来、図6に示す成形孔42の内側には奥行線が視認されるのではあるが、便宜上、当該奥行線の図示を省略している。
ダイス41は、ガラスラン5を成形するための成形孔42を有しており、この成形孔42から未加硫のEPDMが押し出されるようになっている。また、ガラスラン5の断面形状を、コーナー部位31と一般部位32との間で切換えるための機構として、シャッタ43及びアクチュエータ45等が設けられている。
図6に示すように、本実施形態における成形孔42は、基底部14及び各側壁部15、16の基端側の部位を成形するための基部側成形部42aと、車外側側壁部15の先端側の部位、車外側シールリップ12、及び車外側モールリップ17を囲み得る程度の大きさを有する車外側開口部42bと、車内側側壁部16の先端側の部位、車内側シールリップ13、及び車内側モールリップ18を囲み得る程度の大きさを有する車内側開口部42cとを備えている。
一方、シャッタ43は、車外側側壁部15の先端側の部位、車外側シールリップ12、及び車外側モールリップ17を成形するための車外側成形開口部44aを有する車外側シャッタ部43aと、車内側側壁部16の先端側の部位、車内側シールリップ13、及び車内側モールリップ18を成形するための車内側成形開口部44bを有する車内側シャッタ部43bとを備え、車外側シャッタ部43aが車外側開口部42bに対応して(覆うようにして)設けられ、車内側シャッタ部43bが車内側開口部42cに対応して(覆うようにして)設けられている。従って、成形孔42、車外側成形開口部44a、及び車内側成形開口部44bにより、押出成形されるガラスラン5の断面形状が画定される。尚、本体部11は、両側壁部15、16の先端が幾分開いた状態で押出される。
また、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bの側部(車外側開口部42b及び車内側開口部42cの側部)には、それぞれ車外側側壁部15の延出方向又は車内側側壁部16の延出方向に沿って延びる図示しないガイドが設けられ、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bは、それぞれガイドに沿って同図矢印方向に(図5の実線で示す位置から同図の二点鎖線で示す位置までの間で)往復移動可能となっている。この往復移動により、車外側開口部42b及び車内側開口部42cのうち、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bにより閉塞される部位が切換えられ、これに伴い、各側壁部15、16の延出長が切換えられるようになっている。
尚、図5に示すように、駆動手段としてのアクチュエータ45は、シャッタ43(車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43b)をスライドさせるためのものであって、シリンダ、カム機構、或いはモータといった公知のものを適宜採用することができる。さらに、アクチュエータ45は、制御装置46によって駆動制御される。尚、アクチュエータ45とシャッタ43とは、直接連結されていてもよいし、図示しないリンク部材を介して連結されていてもよい。
ここで、シャッタ43のスライド動作についてより詳しく説明する。図5の実線で示すように、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bが、それぞれ車外側側壁部15及び車内側側壁部16の延出方向に沿って、基底部14に接近する方向(図5の上方)にスライドした場合には、成形孔42の基部側成形部42aのうち各側壁部15、16を成形するための部位と、車外側シャッタ部43aの車外側成形開口部44aのうち車外側側壁部15を成形するための部位、及び、車内側シャッタ部43bの車内側成形開口部44bのうち車内側側壁部16を成形するための部位とが一部重なり合う。従って、本実施形態では、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bが最も上方にスライドした(基部側成形部42aのうち基底部14を成形する部位に最も接近した)場合に、成形孔42、車外側成形開口部44a、及び車内側成形開口部44bにより、各側壁部15、16の延出長が最も短い部位である一般部位32の断面形状に対応する開口が形成される。本実施形態では、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bが最も上方にスライドしたときの位置が第1の位置に相当する。
一方、図5の二点鎖線で示すように、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bが、それぞれ車外側側壁部15及び車内側側壁部16の延出方向に沿って、基底部14から離間する方向(図5の下方)にスライドした場合には、成形孔42の基部側成形部42aの端部と、車外側成形開口部44a及び車内側成形開口部44bの端部とが上下に連接した格好となる。このように、本実施形態では、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bが最も下方にスライドした(基部側成形部42aのうち基底部14を成形する部位から最も離間した)場合に、成形孔42、車外側成形開口部44a、及び車内側成形開口部44bによって、各側壁部15、16の延出長が最も長い部位であるコーナー部位31の断面形状に対応する開口が形成される。本実施形態では、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bが最も下方にスライドしたときの位置が第2の位置に相当する。
次に、上記のように構成されてなるガラスラン5の製造方法のうち、主要な押出成形工程について説明する。
なお、制御装置46には、ガラスラン5の長手方向におけるコーナー部位31の形成位置に関するデータ等が予め入力されている。より詳しくは、ガラスラン5の長手方向に沿って、一般部位32と、コーナー部位31と、連結部位33とに区分したデータが入力されており、制御装置46は、かかるデータに基づいてアクチュエータ45を制御する。
押出成形に際し、一般部位32に対応する区間では、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bが図5の上方に位置するようアクチュエータ45が制御される。これにより一般部位32が成形される。
また、コーナー部位31に対応する区間では、車外側シャッタ部43a及び車内側シャッタ部43bが図5の下方に位置するようアクチュエータ45が制御される。これによりコーナー部位31が成形される。
さらに、本実施形態では、一般部位32とコーナー部位31とで側壁部15、16の延出長が段階的に切換えられるのではなく、連続的に徐変される。つまり、連結部位33に対応する区間では、シャッタ43が、図5の実線で示す位置と、図5の二点鎖線で示す位置との間を、一般部位32とコーナー部位31との境界部位に極端な段差が形成されない程度の速度で徐々にスライドする。これにより、コーナー部位31と一般部位32との境界部において、側壁部15、16の延出長が比較的緩やかに変化する連結部位33が成形される。
以上のようにして構成されてなる本実施形態によれば、上辺部6、前縦辺部7、後縦辺部8からなるガラスラン5の長手方向全域が押出成形によって形成されるため、押出成形部と型成形部とを長手方向に繋ぐことでガラスランを構成する場合とは異なり、接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスラン5の長手方向(周方向)において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上を図ることができる。また、ガラスラン5の長手方向に接続に起因する不要な段差が形成されてしまうといったおそれを回避することができ、かかる意味でシール性の向上をも図ることができる。さらに、製造に要する工数の飛躍的な低減、ひいては、製造効率の向上を図ることができる。
また、ガラスラン5の取付部4への取着に際し、コーナー部位31にあっては、それ以外の一般部位32に比べて、基底部14がガラス開口部Wの内周側に変位する。これにより、コーナー部位31にスリットなど形成せずとも無理のないスムースな曲げが可能となる。従って、曲げに伴う応力によって、コーナー部位31における断面形状が著しくいびつなものとなってしまうといった事態が回避される。結果として、ガラスラン5の安定した装着及び安定したシール性の確保が可能となり、ガラスランの機能を十分に発揮させることができる。また、本実施形態によれば、本体部11やシールリップ12、13に対してスリットや切欠き等を形成する必要がないことから、製造工数、製造コストの低減を図ることができる上、切欠き等の形成に起因するシール性の低下や外観品質の低下を防止することができる。
さらに、本実施形態では、コーナー部位31における各側壁部15、16の延出長L1が、一般部位32における各側壁部15、16の延出長L2よりも長く構成されている。当該構成により、コーナー部位31及び一般部位32における各側壁部15、16の延出長が同じである場合に比べ、ガラスラン5の取付部4への取付状態において、コーナー部位31における基底部14の内側面を、ガラス開口部Wの外周側に位置させることができる。このため、コーナー部形状に倣わせてガラスラン5を屈曲させることで、コーナー部位31の基底部14がガラス開口部Wの内周側(本体部11の内側)に変位した場合であっても、ガラス開口部Wを閉め切る際に、ドアガラスGが上昇しきる前の段階で、ドアガラスGがコーナー部位31における基底部14と当接(底突き)してしまうといった事態を回避することができる。従って、コーナー部位31によって特段の制約を受けることなくドアガラスGをスムースに昇降させることができる。また、ドアガラスGがコーナー部位31における基底部14に底突きすることに起因して、コーナー部位31における基底部14が擦り切れてしまうといった事態を防止することができる。さらに、コーナー部位31の基底部14に対するドアガラスGの底突きを防止するべく、例えば、コーナー部位31における基底部14のガラス開口部W内周側への変位を見込んで、ドアフレーム2(取付部4)やドアガラスGを設計する必要もないことから、これに起因する生産性の低下を防止することができる。
また、コーナー部位31と一般部位32との境界部位には連結部位33が形成され、両側壁部15、16の延出長が連続的に徐変される。このため、コーナー部位31と一般部位32との境界部位において、各側壁部15、16の先端部及びシールリップ12、13の先端部に極端な段差が形成されてしまうといった事態を防止することができる。従って、例えば、ガラスラン5の長手方向に沿って、各側壁部15、16の先端部及び各シールリップ12、13の先端部に段差が形成されるものに比べ、屈曲に際し、ガラスラン5がいびつに変形してしまうといった事態を回避することができる。結果として、シール性の低下を招いたり、ガラスラン5の取付部4への取付状態が不安定になってしまったりするといった事態を抑制することができる。
加えて、本実施形態では、車外側モールリップ17及び車内側モールリップ18が設けられ、各モールリップ17、18と側壁部15、16との間にアウタパネル2A、インナパネル2Bを挟み込むことで、取付部4に対してガラスラン5が取付けられる。当該構成を採用することにより、各側壁部15、16の延出長が部分的に異なるといったガラスラン5であっても、取付部4(ドアガラスGの周縁部)に対する各側壁部15、16の先端部及びシールリップ12、13の相対位置をほぼ均一にすることができる。結果として、シール性の向上及び取付状態の安定化等をより確実に図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、シャッタ43は、車外側シールリップ12等を成形するための車外側成形開口部44aを有する車外側シャッタ部43aと、車内側シールリップ13等を成形するための車内側成形開口部44bを有する車内側シャッタ部43bとを備え、各シャッタ部43a、43bを各側壁部15、16の延出方向に沿ってスライドさせることで、コーナー部位31及び一般部位32の断面形状を形成しているが、特にこのような構成に限定されるものではない。
例えば、ガラスランを成形するためのダイスの成形孔のうち、基底部14に対応する部位を、実際に押出成形される基底部14の肉厚よりも幅広に構成するとともに、成形孔のうち基底部14の内側面を成形するための部位を閉塞可能な第1シャッタ部と、基底部14の外側面を成形するための部位を閉塞可能な第2シャッタとを設ける。そして、押出成形に際し、第1シャッタ部及び第2シャッタ部を本体部11の内周側に変位させることで一般部位32を成形し、第1シャッタ部及び第2シャッタ部を本体部11の外周側に変位させることでコーナー部位31を成形する。以上のようにして「所定の押出成形機によりほぼ直線状に押出成形されるガラスラン5のうち、コーナー部位31における基底部14の内側面が、一般部位32における基底部14の内側面よりも本体部11の外周側に位置するとともに、当該基底部14の内側面が本体部11の外周側に位置する分だけ、コーナー部位31の車内側側壁部13及び車外側側壁部12の延出長が、一般部位32の車内側側壁部13及び車外側側壁部12の延出長よりも長く形成される」ガラスランを製造することとしてもよい(図7参照)。
当該構成を採用する場合においても、基本的に上記実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本構成によれば、コーナー部位31における基底部14の内側面が本体部11の外周側に位置する分だけ、当該コーナー部位31の各側壁部15、16の延出長が、一般部位32の各側壁部15、16の延出長よりも長く構成されている。このため、コーナー部位31と一般部位32との境界部位において、各側壁部15、16の先端部及び各シールリップ12、13の先端部に段差が形成されることがない。従って、各側壁部15、16及び各シールリップ12、13の先端部に段差が形成されることに起因して、シール性の低下を招いたり、ガラスラン5の取付部4への取付状態が不安定になってしまったりするといった事態を確実に防止することができる。尚、当該構成を採用する場合であって、基底部14の肉厚が、本体部11の長手方向においていずれの部位においてもほぼ均一である場合には、図7に示すように、コーナー部位31における基底部14が本体部11の外周側に膨出して形成される。
尚、上記構成を採用する場合においても、コーナー部位31と一般部位32との境界部位において、各側壁部15、16の延出長が連続的に徐変される連結部位33を形成することにより、基底部14に極端な段差が形成されてしまうといった事態を防止することができる。従って、かかる段差が形成されることに起因して、屈曲に際し、ガラスラン5がいびつに変形してしまったり、前記境界部位において、閉鎖状態にあるドアガラスGの周縁部と基底部14との間に比較的大きな隙間が形成され、防音性の低下を招いたりしてしまうといった事態等を抑制することができる。
尚、上記実施形態のように、側壁部15、16の延出長を変化させるだけの構成を採用することで、基底部14及び各側壁部15、16の基部側の形状を維持するとともに、ダイス41及びシャッタ43の構成の複雑化を抑制することができる。
(b)上記実施形態では、基底部14と各側壁部15、16との境界部において薄肉部を形成することにより変形部21を構成しているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、変形部21の肉厚を変化させるのではなく、変形部21を構成する素材を、本体部11のその他の部位を構成する素材(例えばソリッドEPDM)よりも軟質な素材(例えばスポンジEPDM)とすることで、変形部21を変形し易くすることとしてもよい。このように、本体部11の一部を軟質な素材により構成することで変形部21を構成する場合等には、変形部21を各側壁部15、16の中間位置に設けることとしてもよい。但し、上記実施形態のように、本体部11の一部の肉厚を薄くすることで変形部21を構成する場合には、異なる素材を同時に押出す必要がないことから、成形が容易なものとなる。
(c)上記実施形態では、コーナー部位31を屈曲させることで基底部14が本体部11の内周側に変位する距離とほぼ同じ長さだけ、コーナー部位31における各側壁部15、16の延出長が長くなっているが、特にこのような構成に限定されるものではない。但し、一般部位32における各側壁部15、16の延出長に比べ、コーナー部位31における各側壁部15、16の延出長が、コーナー部位31を屈曲させることで基底部14が本体部11の内周側に変位する距離以上長く形成されていることが望ましい。尚、コーナー部位31における基底部14の変位量と、各側壁部15、16を延長した長さとがほぼ同じ場合には、ガラスラン5の全周において、閉鎖状態にあるドアガラスGの周縁部と基底部14との距離をほぼ均一にすることができ、例えば、ドアガラスGとコーナー部位31における基底部14との間に比較的大きな隙間が形成されることに起因して、防音性の低下を招いてしまうといった事態を防止することができる。一方、コーナー部位31における基底部14の変位量よりも、各側壁部15、16を延長した長さの方が長い場合には、車種毎に緻密な設計を必要とするといった事態を回避することができるとともに、製造誤差等を許容することができる。
(d)上記実施形態では、本体部11が幅方向中央を中心に対称形状をなすこととしているが、必ずしも対称形状でなくてもよい。また、ガイドリップ22、23を省略することとしてもよい。
(e)上記実施形態ではガラスラン5をEPDMにより構成しているが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の別の素材により構成してもよい。また、フロントドアのガラスラン5に関して特に詳しく説明しているが、リアドアのガラスラン等においても同様に構成してもよい。
ドアの概略構成を示す正面模式図である。 一般部位におけるガラスランを示す図1のJ−J線断面図である。 コーナー部位におけるガラスランを示す図1のK−K線断面図である。 取付部に取付ける前のガラスランを示す側面図である。 ダイス等を示す正面図である。 ダイス及びシャッタを示す分解斜視図である。 別の実施形態における取付部に取付ける前のガラスランを示す側面図である。
符号の説明
1…ドア、2…ドアフレーム、4…取付部、5…ガラスラン、6…上辺部、7…前縦辺部、8…後縦辺部、11…本体部、12…車外側シールリップ、13…車内側シールリップ、14…基底部、15…車外側側壁部、16…車内側側壁部、17…車外側モールリップ、18…車内側モールリップ、21…変形部、22,23…ガイドリップ、31…コーナー部位、32…一般部位、33…連結部位、41…ダイス、42…成形孔、43…シャッタ、45…アクチュエータ、46…制御装置、G…ドアガラス。

Claims (6)

  1. 車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部及び該基底部から延出する車内側側壁部及び車外側側壁部よりなる断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備え、
    昇降するドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、前記ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域が押出成形体により構成され、
    前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部、又は、前記車内側側壁部と前記基底部との境界部及び前記車外側側壁部と前記基底部との境界部において、前記本体部のその他の部位よりも柔軟な変形部を備え、
    前記取付部の所定のコーナー部に対応するコーナー部位においては、屈曲により前記変形部が変形して、前記基底部が、前記ドアガラスにより開閉されるガラス開口部の内周側に変位するよう構成され、
    前記コーナー部位における前記各側壁部の延出長が、それ以外の一般部位における前記各側壁部の延出長よりも長く形成されていることを特徴とするガラスラン。
  2. 前記コーナー部位と前記一般部位との境界部位において、前記両側壁部の延出長が連続的に徐変する区間である連結部位が形成されることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
  3. 前記変形部は、前記基底部と前記車内側側壁部との境界部、及び前記基底部と前記車外側側壁部との境界部を、前記本体部のその他の部位よりも薄肉とすることで形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスラン。
  4. 前記基底部の内側面のうち前記ドアガラスと当接しない部位において、当該基底部から前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部に向かって延び、先端が前記車内側側壁部及び車外側側壁部に当接又はほぼ当接するガイドリップを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラスラン。
  5. 前記車内側側壁部の略先端から車内側に延びる車内側モールリップと、前記車外側側壁部の略先端から車外側に延びる車外側モールリップとを備え、
    互いに平行な車内側取付部と車外側取付部とを備える前記取付部に対し、前記車内側モールリップと前記車内側側壁部とで前記車内側取付部を挟み込むとともに、前記車外側モールリップと前記車外側側壁部とで前記車外側取付部を挟み込むことで取着されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガラスラン。
  6. 車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部及び該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部よりなる断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えるガラスランの製造方法であって、
    ガラスランを成形するための成形孔を有するダイスと、
    前記成形孔に対して相対移動可能に設けられ、前記成形孔の一部を閉塞可能なシャッタと、
    前記シャッタを変位させる駆動手段と、
    前記駆動手段を駆動制御する制御装置とを用い、
    前記成形孔から成形材料を押出して、前記本体部及び前記両シールリップを有する断面形状をなし、昇降するドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、前記ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域を成形する押出工程において、
    前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部、又は、前記車内側側壁部と前記基底部との境界部及び前記車外側側壁部と前記基底部との境界部に対し、前記本体部のその他の部位よりも柔軟な変形部を形成するとともに、
    前記取付部のコーナー部に対応するコーナー部位における前記各側壁部の延出長を、それ以外の一般部位における前記各側壁部の延出長よりも長く形成することを特徴とするガラスランの製造方法。
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