JP2009072959A - 液滴噴射装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の駆動部と熱伝導板(均熱板)との間の熱の移動がスムーズに行われ、複数の駆動部やそれに対応する液体の温度分布の偏り抑えることができる液滴噴射装置を提供する。
【解決手段】熱伝導板61に複数の貫通穴61aを形成する、複数の駆動部を含む圧電アクチュエータ19に下面側が電気的に接続されたフレキシブル配線板20Aの上面側に熱伝導板61が直接に接触した状態で、貫通穴61aに充填された接着剤Sによって熱伝導板61がフレキシブル配線板20Aに固定される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、インクジェットプリンタなどの液滴噴射装置及びその製造方法に関するものである。
従来、液滴噴射装置の一つとして、インクジェットプリンタは知られている。このようなプリンタは、複数の駆動部を平面状に配しその駆動部を選択的に駆動して、その駆動部に対応するノズルからインク(液体)を噴射する記録ヘッドを有する。前記記録ヘッドの複数の駆動部に、駆動信号を送るべく、前記複数の駆動部にフレキシブル配線板が重ねて接続されている。
そのようなプリンタでは、インクの噴射時において複数の駆動部のうち偏った一部の駆動部の使用頻度が高いと、それによって生じた熱により複数の駆動部において温度分布に偏りができる。また、複数の駆動部に近接するフレキシブル配線板上に、駆動部のためのICチップ化された駆動回路が設けられている場合、その駆動回路の発する熱により、複数の駆動部のうち駆動回路に近い側と遠い側とで温度分布に偏りができる。このような温度分布の偏りよって、各駆動部の動作特性にばらつきが生じるだけでなく、その駆動部によって噴射される液体も特性にばらつきが生じ、複数のノズルから液滴の噴射を均一に行えなくなる。
プリンタでは、これらの熱を、前記複数の駆動部に対してほぼ均等に分散させるために、熱伝導板(均熱板)が設けられている。この熱伝導板は、前記複数の駆動部にわたる大きさを有し、前記フレキシブル配線を介して前記複数の駆動部に重ねて配置されている。そして、この均熱板として機能する熱伝導板は、従来、接着剤を用いてフレキシブル配線板に固定している(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、熱伝導板を接着剤を用いてフレキシブル配線板に固定する構造であると、その固定の際に接着剤層に空気を巻き込み、局所的に熱抵抗の大きな部分が形成され、前記熱を、均等に十分に分散させることができない場合がある。
そこで、前記特許文献2記載の技術では、放熱板となる基板をプレキシブルプリント基板に両面テープや接着剤で固定する場合に、フレキシブルプリント基板と基板(放熱板)との間の接着剤の層中に空気の溜まりをなくすために、フレキシブルプリント基板に空気抜き用の貫通孔を設けている。
特開2006−334797号公報(段落0041、0065および図8) 特開平10−229255号公報(段落0009、0010および図1)
前述したように熱伝導板を、両面テープや接着剤を用いてフレキシブル配線板に固定する構造であると、その固定の際における両面テープの粘着層や接着剤層での空気の巻き込みを解消したとしても、熱伝導板とフレキシブル配線板との間に両面テープあるいは接着剤(接着剤層)が介在するため、それらが、複数の駆動部と熱伝導板(放熱板)との間の熱の、スムーズな移動を妨げ、複数の駆動部やそれに対応する液体の温度分布の偏りを良好に解消するには至らなかった。
この発明は、複数の駆動部と熱伝導板(均熱板)との間の熱の移動がスムーズに行われ、複数の駆動部やそれに対応する液体の温度分布の偏り抑えることができる液滴噴射装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、複数の駆動部を平面状に配しその駆動部を選択的に駆動して、その駆動部に対応するノズルから液体を噴射する液滴噴射ヘッドと、前記複数の駆動部に駆動信号を送るべくその複数の駆動部に重ねて接続されたフレキシブル配線板と、前記複数の駆動部にわたる大きさを有し前記フレキシブル配線を介して前記複数の駆動部に重ねて配置された熱伝導板とを有する液滴噴射装置において、前記熱伝導板に複数の貫通穴が形成され、前記複数の駆動部に一面側が電気的に接続された前記フレキシブル配線板の他面側に前記熱伝導板が直接に接触した状態で、前記貫通穴に充填された接着剤によって前記熱伝導板が前記フレキシブル配線板に固定されていることを特徴とする。
このようにすれば、熱伝導板がフレキシブル配線板に直接接触することになるので、複数の駆動部と熱伝導板との間の熱伝導性がよくなり、熱が、複数の駆動部全体にわたって均等に分散される。よって、複数の駆動部やそれに対応する液体の温度による特性のばらつきが抑えられ、複数のノズルから液滴の噴射をほぼ均一に行うことができるようになる。
請求項2に記載のように、請求項1の液滴噴射装置において、前記貫通穴は、前記駆動部と前記フレキシブル配線板との電気的接続部分に対応する部分を除いて形成されていることが望ましい。
このようにすれば、前記駆動部と前記フレキシブル配線板との電気的接続部分は、両者が直接接触し、かつ通常、熱の良導体でもあるから、それに対応する部分に熱伝導板が直接接触し、そこを除いた部分(貫通穴)で、熱伝導板がフレキシブル配線板に接着されるから、複数の駆動部と熱伝導板との間の熱伝導性がきわめてよい。
請求項3に記載のように、請求項1又は2の液滴噴射装置において、前記フレキシブル配線板には、前記駆動信号を送る駆動回路が設けられている構成とすることもできる。
このようにすれば、駆動回路から流入する熱も、熱伝導板によって複数の駆動部にほぼ均等に分散される。
請求項4に記載のように、請求項1〜3のいずれかの液滴噴射装置において、前記液滴噴射ヘッドは、前記ノズルからインクを記録媒体に対し噴射するインクジェット式の記録ヘッドである構成とすることも可能である。
このようにすれば、インクジェット式の記録ヘッドにおいて、前記駆動部または前記駆動回路の発生する熱が、複数のノズルに対して熱がほぼ均等に分散される。よって、熱の影響による噴射ムラが抑制され、各ノズルの噴射特性のばらつきがなくなる。
請求項5の発明は、複数の駆動部を平面状に配しその駆動部を選択的に駆動して、その駆動部に対応するノズルから液体を噴射する液滴噴射ヘッドと、前記複数の駆動部に駆動信号を送るべくその複数の駆動部に重ねて接続されたフレキシブル配線板と、前記複数の駆動部にわたる大きさを有し前記フレキシブル配線板を介して前記複数の駆動部に重ねて配置された熱伝導板とを有する液滴噴射装置の製造方法において、前記熱伝導板に複数の貫通穴を形成し、前記複数の駆動部に一面側が電気的に接続された前記フレキシブル配線板の他面側に前記熱伝導板を直接に接触させ、その後、前記貫通穴に接着剤を充填することによって前記熱伝導板を前記フレキシブル配線板に固定することを特徴とする。
このようにすれば、複数の駆動部に一面側が電気的に接続された前記フレキシブル配線板の他面側に前記熱伝導板を直接に接触させ、その後、前記貫通穴に接着剤を充填することによって前記熱伝導板を前記フレキシブル配線板に固定するので、熱伝導板がフレキシブル配線板に直接接触した状態で確実に固定される。その結果、熱が、複数の駆動部全体にわたって均等に分散され、複数の駆動部やそれに対応する液体の温度による特性のばらつきを抑え、複数のノズルから液滴の噴射をほぼ均一に行うことができる液滴噴射装置を製造方法できる。
以上のように構成したから、本発明は、熱伝導板を、フレキシブル配線板に直接接触するように固定したので、複数の駆動部と熱伝導板との間の熱伝導性がよくなり、熱を複数の駆動部全体にほぼ均等に分散できる。よって、複数の駆動部やそれに対応する液体の温度による特性のばらつきが抑えられ、複数のノズルから液滴の噴射をほぼ均一に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
図1は本発明を具体化したインクジェットプリンタを示す概略構成図、図2は記録ヘッドが装着されたヘッドホルダの底面図、図3は記録ヘッド、フレキシブル配線板(COP)および熱伝導板の関係を示す説明図、図4は図3のIV-IV線における一部拡大断面図である。
図1及び図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、ノズルからインクを噴射するインクジェット式でかつ薄板形状である記録ヘッド11(図2参照)と、この記録ヘッド11が搭載されるヘッドホルダ12とを備える。そして、ヘッドホルダ12は、記録用紙P(被記録媒体)に対して移動するキャリッジとして機能する。ヘッドホルダ12にはバッファタンク14(図5参照)が搭載され、このバッファタンク14が、インクタンク(図示せず)からインク供給チューブ13a〜13dを介して供給されるインクを一時的に貯留する。なお、前記インクタンクは、装置フレーム(図示せず)に着脱可能に載置され、記録ヘッド11に供給する大量のインクを貯留するものである。具体的に図示していないが、フルカラー記録のために、複数のインクタンク(個別の色、即ち、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー用のインクタンク)が前記装置フレームに設けられている。
ヘッドホルダ12は、前記装置フレームの前後において平行に設けられフレーム左右方向に延びるガイド部材2A,2Bにスライド移動可能に支持されている。そして、ヘッドホルダ12に、駆動プーリ3Aと従動プーリ3Bとの間に巻き掛けられたエンドレスのタイミングベルト4の一部が連結されている。これにより、駆動プーリ3Aを駆動モータ5で回転駆動することで、ヘッドホルダ12がタイミングベルト4を介してガイド部材2A,2Bに沿ってフレーム左右方向に往復移動する構成とされている。ヘッドホルダ12の上側部分はカバー24にて覆われている。なお、具体的に図示しないが、周知の用紙搬送機構により、記録用紙Pは記録ヘッド11の下面側でヘッドホルダ12の移動方向と直交する方向(図1の矢印A方向)に、記録可能な状態で搬送される。
記録ヘッド11の下面には、図2(記録ヘッド11を下面からみた図)において左側からブラックインク(BK)用のノズル16aの2列と、シアンインク(C)用のノズル16bの列と、イエローインク(Y)用のノズル16cの列と、マゼンタインク(M)用のノズル16dの列とが、ヘッドホルダ12の移動方向(主走査方向)と直交する方向に長く形成されている。そして、記録用紙Pの上面に対向するように各ノズル16a〜16dは下方に向けて開口している。
記録ヘッド11は、図3及び図4に示すように、キャビティユニット17に圧電アクチュエータ19を重ね合わせた構造である。キャビティユニット17は、複数枚のプレートを積層して形成され、各ノズル16a〜16dに一対一に対応して連通する複数の圧力室52を平面状にマトリクス配置して有し、その圧力室52に圧力室52の列ごとにインクを供給する共通インク室54を備える。キャビティユニット17の上面に列状に開口したインク供給口18a〜18d(図3参照)から各共通インク室54にインクが導入され、共通インク室54から圧力室52にインクが分配され、圧力室52からノズル16a〜16dに至るようになっている。
圧電アクチュエータ19は、平板状のセラミックスシートを複数枚積層し、その間に各圧力室52と対応する個別電極57Aを、全ての圧力室52に共通する共通電極57Bとを交互に挟んで形成されたもので、電極57A,57B間のセラミックスを圧電効果により変形する駆動部としている。これらの駆動部は圧力室52と対応して平面状に複数配置され、各駆動部を選択的に駆動することによりノズル16a〜16dからインクを噴射させるように構成されている。
圧電アクチュエータ19の上面には、平面状にマトリクス配置された多数の個別接続端子58A、その外側に沿って配置された共通接続端子58Bを備える。個別接続端子58Aは、積層方向に対応する個別電極57Aとスルーホール59に充填された導電材を介して電気的に接続され、共通接続端子58Bは、同様に共通電極57Bと電気的に接続されている。つまり、個別接続端子58Aは駆動部と対応してそれと同数設けられている。
フレキシブル配線板20Aは、その接続端子28A,28Bに接続される配線パターン20A1を有し、圧電アクチュエータ19の上面と平行に重ねた状態で固定されている。フレキシブル配線板20Aは、図6に示すように電気絶縁性のベース材と被覆材20A2との間に配線パターン20A1を有し、接続端子28A,28Bに対応して形成した開口部から露出した配線パターン20A1と接続端子28A,28Bとを導電性ろう材29または導電性接着剤などによって接続している。このフレキシブル配線板20Aの上側には、後述するように接着剤によって熱伝導板61が重ね合わせて固定されている。
フレキシブル配線板20Aは、駆動回路21(ICチップ化されたドライバIC)を配線パターン20A1に接続して備え、バッファタンク14の上側に設けられたプリント基板22(図5参照)に電気的に接続される。プリント基板22は、他のフレキシブル配線板20B(図1参照)を介してプリンタ本体側のプリント基板(図示せず)に接続される構成となっている。
駆動回路21(ドライバIC)は、プリンタ本体側からフレキシブル配線板20Bを介してシリアル転送された記録データを、記録ヘッド11の各ノズルに対応したパラレルデータに変換し、各駆動部を駆動するのに適した電圧信号に変換して各駆動部に出力するものである。このため、フレキシブル配線板20A上の配線パターンは、フレキシブル配線板20Bと駆動回路21との間よりも、駆動回路21と圧電アクチュエータ19との間の方が細く高密度に構成されている。圧電アクチュエータ19の複数の駆動部は、駆動回路21からの駆動信号にもとづき、選択的に駆動されて、その駆動部に対応するノズルからインク液滴を噴射し、記録用紙Pにドットマトリクス状に画像形成する。

図5に示すように、記録ヘッド11は、その背面に枠状の補強フレーム33を介在させて、ヘッドホルダ12の下側に接着剤により固定される。補強フレーム33は、金属製(例えばSUS430)で、キャビティユニット17よりも厚く、かつ剛性が大きい偏平な薄板形状に形成され、圧電アクチュエータ19を囲むようにして、キャビティユニット17の背面に接着剤により固定される。

記録ヘッド11と補強フレーム33との間の段差を解消し記録ヘッド11を保護するために、記録ヘッド11の周囲に位置する平面視コ字形状の保護カバー51が、補強フレーム33に取り付けられている。
バッファタンク14は、具体的に図示していないが、内部を仕切壁にて区画することで、インク色毎に独立した複数のインク貯留室を備え、キャビティユニット17のインク供給口18a〜18dにそれぞれインクを供給するように連通している。
また、記録ヘッド11のノズル16a〜16dからインクを噴射するため、駆動回路21を駆動すると、駆動回路21は発熱するので、それを冷却するためにアルミニウム合金製のヒートシンク23A,23Bが設けられている。そして、両ヒートシンク23A,23Bで駆動回路21を挟み込み(図5参照)、駆動回路21がヒートシンク23A,23Bを介して自然冷却されるようになっている。なお、この実施の形態では、駆動回路23を2つのヒートシンク23A,23Bで冷却するようにしているが、いずれか1つのヒートシンクのみでも冷却することができるのはいうまでもない。
ところで、記録ヘッド11は、ノズル16a〜16dからのインク噴射によって、圧電アクチュエータ19自体も発熱する。記録データによってノズル16a〜16dの使用に偏りがあることが避けられないため、圧電アクチュエータ19の各駆動部の発熱に偏りが生じて、各駆動部の動作特性が変わり、それに伴い記録ヘッド11内のインクにも、温度差が生じて噴射特性に差が生じ、記録品質が低下する。また、このため、圧電アクチュエータ19の上面にフレキシブル配線板20Aを介して熱伝導板61が設けられている。
熱伝導板61は、アルミニウム合金などの熱伝導性の良好な材料により、平面視において圧電アクチュエータ19に対応する大きさ(つまり複数の駆動部にわたる大きさ)を有する。そして熱伝導板61は、フレキシブル配線板20Aを介して前記複数の駆動部に重ねて配置され、圧電アクチュエータ19上面全体にわたって接着剤Sによって熱伝導可能に固定されている。つまり、図6に示すように、熱伝導板61には複数の貫通穴61aが形成されており、貫通穴61aに充填された接着剤Sによって熱伝導板61が貫通穴61aの箇所においてフレキシブル配線板20Aに固定されている。この固定された状態では、圧電アクチュエータ19に接続されたフレキシブル配線板20Aの上面側に熱伝導板61がその下面を直接に面接触した状態となっている。
図6に示すように、貫通穴61aは、圧電アクチュエータ19の接続端子58A、58Bとフレキシブル配線板20Aの配線パターン20A1との電気的接続部分に対応する部分を除いて形成されている。つまり、接続端子58A、58Bと配線パターン20A1とは、相互に導電性ろう材29によって接続され、また駆動部とも電極などの導電材によって接続されているから、これらが、熱伝導板61において貫通穴61aのない下面に接触することで、熱伝導板61と駆動部との間の熱伝導がきわめて良好になる。平面視において接続端子58A、58Bと接続端子58A、58Bとの間の、圧電アクチュエータ19とフレキシブル配線板20Aとの間は、空間か絶縁材が充填されているから、熱伝導が悪い。したがって、これに対向する箇所に、貫通穴61aを設けることで、接着剤Sによって熱伝導板61と駆動部との間の熱伝導を阻害しない。
また、熱伝導板61のフレキシブル配線板20Aと接する下面には、貫通穴61aからフレキシブル配線板20Aに沿って延びる溝61bを設けることで、貫通穴61aに充填した接着剤Sが溝61bに流れ込み、熱伝導板61とフレキシブル配線板20Aとの接着面積を大きくとることができる。溝61bは、複数の貫通穴61a間を連通させるものであってもよいし、毛細管力が生じる程度の細いものであってもよい。この溝61bは、接続端子58A、58Bと配線パターン20A1との接合部と対応する箇所を避けて設けることが好ましい。
よって、熱伝導板61は、圧電アクチュエータ19の各駆動部の発熱を圧電アクチュエータ19全体に伝導し、圧電アクチュエータ19及びキャビティユニット17内の温度差をほぼ均一化する均熱板としての機能を発揮する。
このように、フレキシブル配線板20Aに熱伝導板61が直接に接触した状態で接着剤Sによって固定するには、まず、熱伝導板61に複数の貫通穴61aを形成する。そして、熱伝導板61を、圧電アクチュエータ19(複数の駆動部)に一面側が電気的に接続されたフレキシブル配線板20Aの他面側に直接に接触させる。
その後、前記直接に接触した状態を、図示しない治具などを用いて保持し、貫通穴61aに接着剤Sを充填することによって熱伝導板61をフレキシブル配線板20Aに固定する。これにより、貫通穴61aが設けられている部分及びその付近を除き、熱伝導板61とフレキシブル配線板20Aとが、それらの間に接着剤(接着剤層)を介在させることなく、直接接触した状態で固定される。なお、前記のようにヘッドホルダ12の底壁12a下面に記録ヘッド11が取り付けられていることで、底壁12a下面に設けられる凹部内に熱伝導板61が位置することになる。
ところで、フレキシブル配線板20A上の駆動回路21は、圧電アクチュエータ19の各駆動部との間の配線パターンが上記のように細く高密度であることから、配線パターンの電気抵抗による影響を回避するために、圧電アクチュエータ19とできるだけ接近して配置される。このため、駆動回路21の発熱は、フレキシブル配線板20Aを介して記録ヘッド11に伝導し、記録ヘッド11において駆動回路21に近い側と遠い側とで温度勾配を生じる。しかし、駆動回路21の発熱も、熱伝導板61に伝導され、圧電アクチュエータ19やキャビティユニット17に生じる温度勾配を抑えることができる。
前記実施の形態は、液滴噴射装置がインクジェットプリンタである場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、着色液を微小液滴として塗布、あるいは導電液を噴射して配線パターンを形成するなどする他の液滴噴射装置などにも適用することができる。
また、前記インク(液体)を噴射させるための駆動部は、圧電方式であるが、圧電方式のもの以外に、静電気あるいは電気発熱素子によって噴射動作をするものも使用することができる。
さらに、記録媒体として記録用紙だけでなく、樹脂、布など各種のものを、また噴射する液体としてインクだけでなく、着色液、機能液など各種のものを適用することができる。
本発明を具体化したインクジェットプリンタを示す概略構成図である。 記録ヘッドが装着されたヘッドホルダの底面図である。 記録ヘッド、フレキシブル配線板(COP)および熱伝導板の関係を示す説明図である。 図3のIV-IV線における一部拡大断面図である。 記録ヘッドが装着されたヘッドホルダの縦断面図である。 熱伝導板とフレキシブル配線板との接着状態の説明図である。
符号の説明
P 記録用紙
S 接着剤
1 インクジェットプリンタ(液滴噴射装置)
11 記録ヘッド(液滴噴射ヘッド)
12 ヘッドホルダ
19 圧電アクチュエータ
20A フレキシブル配線板
21 駆動回路
61 熱伝導板
61a 貫通穴

Claims (5)

  1. 複数の駆動部を平面状に配しその駆動部を選択的に駆動して、その駆動部に対応するノズルから液体を噴射する液滴噴射ヘッドと、前記複数の駆動部に駆動信号を送るべくその複数の駆動部に重ねて接続されたフレキシブル配線板と、前記複数の駆動部にわたる大きさを有し前記フレキシブル配線板を介して前記複数の駆動部に重ねて配置された熱伝導板とを有する液滴噴射装置において、
    前記熱伝導板に複数の貫通穴が形成され、
    前記複数の駆動部に一面側が電気的に接続された前記フレキシブル配線板の他面側に前記熱伝導板が直接に接触した状態で、前記貫通穴に充填された接着剤によって前記熱伝導板が前記フレキシブル配線板に固定されていることを特徴とする液滴噴射装置。
  2. 前記貫通穴は、前記駆動部と前記フレキシブル配線板との電気的接続部分に対応する部分を除いて形成されていることを特徴とする請求項1記載の液滴噴射装置。
  3. 前記フレキシブル配線板には、前記駆動信号を送る駆動回路が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の液滴噴射装置。
  4. 前記液滴噴射ヘッドは、前記ノズルからインクを記録媒体に対し噴射するインクジェット式の記録ヘッドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液滴噴射装置。
  5. 複数の駆動部を平面状に配しその駆動部を選択的に駆動して、その駆動部に対応するノズルから液体を噴射する液滴噴射ヘッドと、前記複数の駆動部に駆動信号を送るべくその複数の駆動部に重ねて接続されたフレキシブル配線板と、前記複数の駆動部にわたる大きさを有し前記フレキシブル配線板を介して前記複数の駆動部に重ねて配置された熱伝導板とを有する液滴噴射装置の製造方法において、
    前記熱伝導板に複数の貫通穴を形成し、
    前記複数の駆動部に一面側が電気的に接続された前記フレキシブル配線板の他面側に前記熱伝導板を直接に接触させ、
    その後、前記貫通穴に接着剤を充填することによって前記熱伝導板を前記フレキシブル配線板に固定することを特徴とする液滴噴射装置の製造方法。
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