JP2016140977A - 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の製造方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び、液体吐出装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アクチュエータの平面的なサイズを大きくすることなく、流路構造体の金属部分を、配線部材で覆われるアクチュエータの導電部と導通させること。【解決手段】インクジェットヘッド4は、流路構造体20と、流路ユニッ20の上面に配置された圧電アクチュエータ21と、圧電アクチュエータ21を覆うように配置されたCOF51を備える。COF51は、圧電アクチュエータ21と対向する面にグランド導電部62を有する。圧電アクチュエータ21は、COF51と対向する面に、グランド導電部62と導通する表面電極47を有する。COF51の表面電極47を覆う部分には開口部55が形成され、開口部55においてCOF51から露出した表面電極47と、流路構造体20とが、圧電アクチュエータ21と流路構造体20とに跨って配置された導通部56によって導通している。【選択図】図2

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出装置、及び、液体吐出装置の製造方法に関する。
特許文献1には、液体吐出装置として、記録媒体に対してインクを吐出するインクジェットヘッドが開示されている。このインクジェットヘッドは、流路構造体(流路ユニット)と、流路構造体に設けられた圧電アクチュエータと、圧電アクチュエータに接続された配線部材(FPC)とを有する。
流路構造体は、それぞれ流路孔が形成された複数枚の金属プレートの積層体である。複数枚の金属プレートが積層されて、それぞれの流路孔が連通することにより、流路構造体には、複数のノズル、及び、複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室を含む、インク流路が形成されている。
圧電アクチュエータは、圧電層と、圧電層の上面において複数の圧力室にそれぞれ対応して配置された複数の個別電極と、圧電層の下側に配置されて複数の個別電極と圧電層を挟んで対向する共通電極と、を有する。また、圧電層の上面には、共通電極に導通する表面電極が設けられている。配線部材は、圧電アクチュエータを上から覆った状態で、圧電アクチュエータと接合されている。圧電アクチュエータの複数の個別電極は、配線部材に形成された複数の個別配線とそれぞれ接続されている。また、表面電極は、配線部材のグランドに接続されている。
また、圧電アクチュエータの表面電極は、配線部材の面方向において、配線部材から少しはみ出るように配置されている。そして、この表面電極の配線部材からはみ出した部分から、流路構造体を構成する金属プレートにかけて導電性材料が配置され、表面電極と流路構造体の金属プレートとが導通している。これにより、複数枚の金属プレートからなる流路構造体が、表面電極を介して配線部材のグランドに接続されることで、流路構造体の電位がグランド電位に維持されている。
特開2006−15558号公報(図7)
流路構造体を、圧電アクチュエータの表面電極と導通させるためには、表面電極を配線部材から露出させる必要がある。そのために、特許文献1では、圧電アクチュエータの一部が配線部材からはみ出している。これにより、圧電アクチュエータの平面的なサイズが大きくなってしまう。
本発明の目的は、アクチュエータの平面的なサイズを大きくすることなく、流路構造体の金属部分を、配線部材で覆われるアクチュエータの導電部と導通させることである。
本発明の液体吐出装置は、金属部分を有し、且つ、複数のノズルを含む液体流路を有する流路構造体と、前記流路構造体の一表面に配置され、前記複数のノズル内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータと、前記アクチュエータを覆うように配置され、前記アクチュエータと電気的に接続された配線部材と、を備え、
前記配線部材は、前記アクチュエータと対向する面に、所定の基準電位が付与された第1導電部を有し、前記アクチュエータは、前記配線部材と対向する面に、前記第1導電部と導通する第2導電部を有し、前記配線部材の、前記アクチュエータの前記第2導電部を覆う部分には、開口部が形成され、前記開口部において前記配線部材から露出した前記第2導電部の一部と、前記流路構造体の前記金属部分とが、前記アクチュエータと前記流路構造体とに跨って配置された導電性材料からなる導通部によって導通していることを特徴とするものである。
本実施形態に係るプリンタ1の概略的な平面図である。 インクジェットヘッド4の平面図である。 図2のA部拡大図である。 図3のIV-IV線断面図である。 COF(Chip On Film)51の平面図である。 変更形態のインクジェットヘッド4Aの平面図である。 別の変更形態のインクジェットヘッド4Bの、図3相当の拡大平面図である。 別の変更形態のインクジェットヘッド4Cの平面図である。 別の変更形態のインクジェットヘッド4Dの平面図である。
次に、本発明の実施形態について説明する。尚、図1の搬送方向の上流側をプリンタ1の後方、下流側をプリンタ1の前方と定義する。図1に示す走査方向をプリンタ1の左右方向と定義する。さらに、走査方向及び搬送方向と直交する方向を、プリンタの上下方向と定義する。尚、図1の手前側が上方、図1の向こう側が下方である。以下では、前後左右上下の各方向語を適宜使用して説明する。
(プリンタの概略構成)
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プラテン2と、キャリッジ3と、インクジェットヘッド4と、カートリッジホルダ5と、搬送機構6と、制御装置7等を備えている。
プラテン2の上面には、被記録媒体である記録用紙100が載置される。キャリッジ3は、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール11,12に沿って左右方向(以下、走査方向ともいう)に往復移動可能に構成されている。キャリッジ3には無端ベルト13が連結され、キャリッジ駆動モータ14によって無端ベルト13が駆動されることで、キャリッジ3は走査方向に移動する。
インクジェットヘッド4はキャリッジ3に搭載されており、キャリッジ3とともに走査方向に移動可能である。インクジェットヘッド4は、その下面(図1の紙面向こう側の面)に複数のノズル25(図2〜図4参照)を備えている。
カートリッジホルダ5には、4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクカートリッジ15が、それぞれ取り外し可能に装着される。カートリッジホルダ5は、図示しないチューブによって、インクジェットヘッド4と接続されている。カートリッジホルダ5の4つのインクカートリッジ15にそれぞれ貯留された4色のインクは、チューブを介してインクジェットヘッド4に供給される。インクジェットヘッド4は、走査方向に移動しつつ、その下面に形成された複数のノズル25から、プラテン2に載置された記録用紙100へ向けてインクを吐出する。尚、インクジェットヘッド4の詳細構成については後述する。
搬送機構6は、前後方向にプラテン2を挟むように配置された2つの搬送ローラ16,17を有する。2つの搬送ローラ16,17は、図示しない搬送モータによって互いに同期して駆動される。搬送機構6は、2つの搬送ローラ16,17によって、プラテン2に載置された記録用紙100を前方(以下、搬送方向ともいう)に搬送する。
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。制御装置7は、ROMに格納されたプログラムをCPUで実行することにより、ASICに、記録用紙100への印刷処理などの各種処理を実行させる。例えば、印刷処理においては、制御装置7は、PC等の外部装置から入力された印刷指令に基づいて、インクジェットヘッド4やキャリッジ駆動モータ14、搬送機構6の搬送モータ等を制御して、記録用紙100に画像等を印刷させる。より具体的には、キャリッジ3とともにインクジェットヘッド4を走査方向に移動させながらインクを吐出させるインク吐出動作と、搬送ローラ16,17によって記録用紙100を搬送方向に所定量搬送する搬送動作とを、交互に行わせる。
(インクジェットヘッドの詳細構成)
次に、インクジェットヘッド4について説明する。尚、図2では、図面の簡単のため、図3、図4では明確に示されている、圧電アクチュエータ21に電気的に接続されるCOF51、及び、圧電アクチュエータ21の上に配置される導通部56を、二点鎖線で概略的に示している。図2〜図4に示すように、インクジェットヘッド4は、流路構造体20と、流路構造体20の上面に配置された圧電アクチュエータ21と、圧電アクチュエータ21を覆うように、流路構造体20の上方に配置されたCOF51を備えている。
(流路ユニット)
図4に示すように、流路構造体20は、それぞれ流路形成孔が形成された5枚のプレート31〜35が互いに積層されることによって形成されている。5枚のプレート31〜35のうちの、最下層のプレート35は、複数のノズル25が形成されたノズルプレートである。ノズルプレート35は、ポリイミド等の合成樹脂材料で形成されたプレートである。一方、上側の残り4枚のプレート31〜34には、複数のノズル25に連通するマニホールド24や圧力室26等のインク流路となる流路孔が形成されている。4枚のプレート31〜34は、それぞれ金属材料で形成されたプレートである。これら5枚のプレート31〜35が積層されたときにそれぞれの流路孔が連通することによって、流路構造体20には、以下に述べるようなインク流路が形成されている。
図2に示すように、流路構造体20の上面には、4つのインクカートリッジ15(図1参照)と接続される4つのインク供給孔23が形成されている。流路構造体20の内部には、4つのインク供給孔23にそれぞれ接続された4本のマニホールド24が形成されている。4本のマニホールド24には、4つのインク供給孔23を介して、4つのインクカートリッジ17の4色のインクがそれぞれ供給される。また、4本のマニホールド24は、それぞれ搬送方向に延在している。
また、流路構造体20は、最下層のノズルプレート35に形成された複数のノズル25と、最上層のプレート31に形成された複数の圧力室26を有する。図2に示すように、流路構造体20の下面(図3の紙面向こう側の面)において、複数のノズル25は搬送方向に沿って配列され、4本のマニホールド24にそれぞれ対応して走査方向に並ぶ、4列のノズル列を構成している。尚、複数のノズル25が配列されている方向である搬送方向が、本発明の「第1方向」に相当する。4列のノズル列が並ぶ方向である走査方向が、本発明の「第2方向」に相当する。
複数の圧力室26は、流路構造体20の上面の中央部において、4本のマニホールド24、及び、4列のノズル列に対応して、4列に配列されている。各圧力室26は、走査方向に長い、略楕円形の平面形状を有する。また、図3、図4に示すように、各圧力室26の長手方向一端部は、マニホールド24と連通し、長手方向他端部はノズル25と連通している。これにより、図4に示すように、流路構造体20には、マニホールド24から分岐して、圧力室26を経てノズル25に至る、個別流路が複数形成されている。尚、図4においては、マニホールド24及び複数の圧力室26等の個別流路内にインクIが充填されている状態が示されている。
尚、図4に示すように、流路構造体20の最上層のプレート31は、導電性材料からなる導通部56によって、後述するCOF51のグランド導電部62と導通している。これにより、流路構造体20の4枚の金属プレート31〜34の電位がグランド電位に維持され、流路構造体20内のインクの電位もグランド電位となっている。
(圧電アクチュエータ)
圧電アクチュエータ21は、流路構造体20の各ノズル25内のインクに、吐出エネルギーを付与して、各ノズル25からインクを吐出させるものである。この圧電アクチュエータ21は、流路構造体20の上面に、複数の圧力室26を覆うように配置されている。図2〜図4に示すように、圧電アクチュエータ21は、インク封止膜40と、2枚の圧電層41,42と、複数の個別電極44、及び、共通電極45とを備えている。
インク封止膜40は、インク透過性の低い材料、例えば、ステンレス鋼等の金属材料で形成された薄い膜である。インク封止膜40は、複数の圧力室26を覆うように、流路構造体20の上面に接合されている。
2枚の圧電層41,42は、それぞれ圧電材料からなる。圧電層41,42を構成する圧電材料としては、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を採用することができる。その他、非鉛の圧電材料である、チタン酸バリウムや、ニオブ系の圧電材料を採用することもできる。圧電層41,42は互いに積層された状態で、インク封止膜40の上面に接合されている。
複数の個別電極44は、上層の圧電層41の上面に配置されている。より詳細には、図2〜図4に示すように、各個別電極44は、圧力室26の形状に応じた、走査方向に長い形状を有する。また、各個別電極44は、圧電層41の上面の、圧力室26の中央部と対向する領域に配置されている。複数の個別電極44は、複数の圧力室26に対応して搬送方向に沿って配列され、4列の個別電極列を構成している。
各個別電極44は、その走査方向における一端部(右端部)に、圧力室26と対向しない領域に配置された端子部46を有する。図4に示すように、複数の個別電極44の端子部46の各々は、後述するCOF51の個別端子61と、導電性接着剤からなる接合部48によって接合されている。尚、導電性接着剤は、熱硬化性樹脂に金属粒子を混合させてなるものであり、接合対象の2つの部材を、電気的に導通させた状態で接合することが可能な接着剤である。
後でも説明するが、図2に示すようにCOF51にはドライバIC53が実装され、このドライバIC53は、COF51の複数の個別端子61とそれぞれ接続されている。また、COF51は、制御装置7(図1参照)にも電気的に接続されている。ドライバIC53は、制御装置7から入力された制御信号に基づいて、各個別電極44に対して、駆動電位とグランド電位の何れか一方の電位を選択的に印加する。
共通電極45は、2枚の圧電層41,42の間において、複数の個別電極44に跨って連続的に配置されている。これにより、共通電極45は、圧電層41を挟んで、複数の個別電極44と共通に対向している。
図2に示すように、上層の圧電層41の走査方向における両端部(左右両端部)の上面には、搬送方向に延びる2つの表面電極47がそれぞれ設けられている。即ち、2つの表面電極47は、複数の個別電極44に対して、走査方向における外側(左右両側)に配置されている。尚、複数の個別電極44と表面電極47とが隣接する走査方向が、本発明の「第3方向」に相当する。即ち、本実施形態は、本発明の第2方向と第3方向とが一致している形態である。また、上層の圧電層41の、前記表面電極47が形成されている部分には、圧電層41を貫通する複数のスルーホール41aが形成され、各スルーホール41aには導電性材料が充填されている。そして、圧電層41の上面に配置された2つの表面電極47は、複数のスルーホール41a内の導電性材料を介して、2枚の圧電層41,42の間に位置する共通電極45と導通している。
また、各表面電極47は、後述するCOF51のグランド導電部62と、導電性接着剤からなる接合部49によって電気的に接続されている。これにより、共通電極45は、表面電極47、接合部49、COF51のグランド導電部62を介してグランドに接続されることになり、共通電極45の電位は常にグランド電位(基準電位)に維持されている。
尚、圧電層41の、個別電極44と共通電極45に挟まれた部分を、特に、活性部43と呼ぶ。活性部43は、厚み方向において下向き、即ち、個別電極44から共通電極45に向かう方向に分極されている。
以上説明した圧電アクチュエータ21の、ノズル25からインクを吐出させる際の動作は、以下の通りである。ドライバIC53により、ある個別電極44の電位が、グランド電位から駆動電位に切り換えられたとする。このとき、駆動電位が印加された個別電極44と、グランド電位に維持されている共通電極45の間に、電位差が生じる。これにより、圧電層41の活性部43に厚み方向の電界が生じる。また、活性部43の分極方向と電界の方向とが一致するために、活性部43はその分極方向である厚み方向に伸びて面方向に収縮する。この活性部43の収縮変形に伴って、2つの圧電層41,42が圧力室26側に凸となるように撓む。これにより、圧力室26の容積が減少してその内部のインクに圧力が付与され、圧力室26に連通するノズル25からインクの液滴が吐出される
(COF)
次に、COF51の構成について説明する。このCOF51は、制御装置7(図1参照)、及び、圧電アクチュエータ21と、それぞれ電気的に接続される。図4、図5に示すように、COF51は、ポリイミド等の合成樹脂材料で形成されてフレキシブル性を有する基板52と、基板52に実装された2つのドライバIC53とを備えている。
図2に示すように、基板52は、搬送方向において長い長尺形状を有し、流路構造体20の上方において、圧電アクチュエータ21を覆うように配置されている。基板52の、圧電アクチュエータ21を覆う部分は、圧電アクチュエータ21と接合される。また、基板52は、圧電アクチュエータ21から、搬送方向における両側にそれぞれ延びており、その搬送方向における両端部は、それぞれ上方(図2の紙面手前側)に折り曲げられた上で、制御装置7と接続される。
基板52の、圧電アクチュエータ21と対向する部分の中央部の下面には、圧電アクチュエータ21の複数の個別電極44とそれぞれ対応する、複数の個別端子61が配置されている。基板52の圧電アクチュエータ21と対向する部分の、走査方向における両端部の下面には、それぞれ搬送方向に沿って延在するグランド導電部62が形成されている。各グランド導電部62は、圧電アクチュエータ21の表面電極47と対向して搬送方向に沿って延びる導通部分62aと、導通部分62aから前方と後方にそれぞれ延びる2つの配線部分62bとを有する。各グランド導電部62の配線部分62bは、制御装置7を介してグランドと接続されている。
図5に示すように、2つのドライバIC53は、基板52の、複数の個別端子61に対して前側の部分と後側の部分にそれぞれ配置されている。各ドライバIC53は、基板52に形成された複数の入力配線63によって、制御装置7と接続されている。また、ドライバIC53は、基板52に形成された複数の出力配線64によって、複数の個別端子61とそれぞれ接続されている。
図4に示すように、基板52の下面には、絶縁性フィルム等からなる被覆材66が設けられている。この被覆材66により、基板52に形成された複数の入力配線63、複数の出力配線64、及び、2つのグランド導電部62の配線部分62bが覆われている。一方、圧電アクチュエータ21と電気的に接続される、複数の個別端子61及び2つのグランド導電部62の導通部分62aは、被覆材66に覆われておらず、露出している。複数の個別端子61は、複数の個別電極44の端子部46と、導電性接着剤からなる接合部48によって電気的に接続されている。また、グランド導電部62の導通部分62aは、圧電アクチュエータ21の表面電極47と、導電性接着剤からなる接合部49によって電気的に接続されている。
図2〜図4に示すように、基板52の左端部の、圧電アクチュエータ21の表面電極47を覆っている部分には、左側の縁部から切り欠かれた形状を有する開口部55が形成されている。尚、開口部55は、矩形の平面形状を有する切り欠きである。また、基板52の左端部には、表面電極47と対向するグランド導電部62の導通部分62aが配置されているが、開口部55は、基板52の、前記導通部分62aの搬送方向における中央部が配置された部分に形成されている。この開口部55により、COF51によって覆われている表面電極47の一部が、COF51から露出している。開口部55の大きさは、例えば、5mm×10mmである。表面電極47は、基板52の左側の端部から5mm右側に離れて形成される。表面電極47の左右方向の幅は、例えば、3mmである。
また、開口部55は、COF51の基板52の、複数の個別電極44を覆う部分よりも、走査方向において外側部分、即ち、表面電極47側の部分に形成されている。つまり、複数の個別電極44は全て基板52に覆われており、開口部55から個別電極44は露出していない。
さらに、COF51の左端部の位置において、流路構造体20と圧電アクチュエータ21とに跨って、導電性材料からなる導通部56が配置されている。上方から見たときの導通部56の面積は開口部55の面積よりも大きく、導通部56は、COF51の開口部55の全域を覆っている。尚、導通部56を構成する導電性材料としては、熱硬化性樹脂材料に銀等の金属粒子を分散させて得られた、流動性を有する導電ペーストを好適に使用できる。
そして、開口部55においてCOF51から露出した表面電極47の一部と流路構造体20の金属製のプレート31とが、前記導通部56によって導通している。これにより、流路構造体20のプレート31は、導通部56と、圧電アクチュエータ21の表面電極47を介して、COF51のグランド導電部62と導通することになり、流路構造体20の金属プレート31〜34にはグランド電位が付与される。圧力室26等のインク流路が形成される金属製のプレート31〜34がグランド電位に維持されることで、そのインク流路内のインクの電位もグランド電位となる。これにより、インクの帯電が抑制され、インクの帯電に起因する吐出曲がり等が防止される。
上記のインクジェットヘッド4の概略的な製造工程について述べる。まず、5枚のプレート31〜35からなる流路構造体20を作製した後、この流路構造体20の上面に、圧電層42を含む圧電アクチュエータ21を形成する。また、流路構造体20の上方に、開口部55が形成されたCOF51を、圧電アクチュエータ21を覆うように配置する。次に、COF51の複数の個別端子61と圧電アクチュエータ21の複数の個別電極44の端子部46とを導電性接着剤で接合するとともに、COF51のグランド導電部62の導通部分62aと圧電アクチュエータ21の表面電極47とを導電性接着剤で接合する。さらに、COF51の開口部55から流路構造体20の上面にかけて、導電ペースト等の導電性材料をスクリーン印刷などの方法によって付着させる。この導電性材料からなる導通部56により、開口部55においてCOF51から露出する表面電極47と流路構造体20のプレート31とを導通させる。尚、導通部56がワイヤーで構成され、流路構造体20と表面電極47とがワイヤーボンディングで導通されてもよい。
以上のように、本実施形態では、COF51の基板に形成された開口部55によって、圧電アクチュエータ21の表面電極47の一部がCOF51から露出している。また、流路構造体20と圧電アクチュエータ21とに跨って配置された導電性材料からなる導通部56によって、流路構造体20のプレート31と圧電アクチュエータ21の表面電極47とが導通している。この構成によれば、圧電アクチュエータ21の表面電極47を、流路構造体20のプレート31と導通させるために、導電部の一部をCOF51からはみ出させる必要がないため、圧電アクチュエータ21が大型化しない。
COF51の開口部55の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、開口部55は、矩形の切り欠き形状を有するものとなっている。開口部55が、その全周にわたって縁が存在する穴形状である場合には、開口部55と流路構造体20との間に、絶縁性材料からなる基板52の一部が存在することになる。この場合には、圧電アクチュエータ21の表面電極47と流路構造体20のプレート31を導通させる導通部56を、上記絶縁性の基板52を跨ぐように設ける必要がある。これに対して、開口部55が左側から切り欠かられた形状である場合は、開口部55に左側の縁がない。従って、表面電極47と流路構造体20のプレート31との間に、COF51の絶縁性の基板52が存在しないため、導通部56による表面電極47と流路構造体20との間の導通信頼性が高まる。
COF51のグランド導電部62は、圧電アクチュエータ21の表面電極47と導通する導通部分62aと、導通部分62aから前方(搬送方向下流側)と後方(搬送方向上流側)にそれぞれ延びる2つの配線部分62bとを有する。これにより、圧電アクチュエータ21の表面電極47に対して、前方と後方の2方向からグランド電位が付与される。この構成において、COF51の、グランド導電部62の導通部分62aの搬送方向における中央部が配置された部分に、開口部55が形成されている。つまり、表面電極47への、搬送方向における2方向からのグランド電位の付与経路が合流する、終端位置に開口部55が形成されている。
そのため、上記2方向からの経路の間で電位のばらつきが生じた場合でも、開口部55から露出した表面電極47と導通する、流路構造体20の電位が平均化されるため、電位の偏りが生じにくい。また、図3に示すように、COF51の基板52の走査方向左端部に開口部55が形成されていることにより、同じくこの左端部に配置されているグランド導電部62の導通部分62aが前後に分断されている。グランド導電部62の導通部分62aの幅を大きくすれば、導通部分62aが開口部55によって分断されないようにすることはできるが、それでも、導通部分62aの幅が狭くなる。グランド導電部62の途中部分において、分断部分や幅小部が存在すると、グランド導電部62の電気抵抗が増加し、また、導通信頼性が低下するという問題が生じる。しかし、本実施形態では、開口部55が、グランド導電部62の、表面電極47へのグランド電位の付与経路の終端位置にあるため、開口部55によってグランド導電部62の一部が分断されたり、又は、幅が狭くなったりしても、電気抵抗の増加や導通信頼性の低下の面で、大きな問題は生じない。
尚、本実施形態では、COF51の左右両端部に、2つのグランド導電部62が形成されている。しかし、COF51の左端部にのみ開口部55が形成され、右端部には開口部55は形成されていない。その理由は以下の通りである。
各個別電極44は、その走査方向における一端部(右端部)に端子部46を有し、この端子部46において個別電極44はCOF51の個別端子61と接合されている。この構成において、COF51の右端部にも開口部55が形成されて、この開口部55に導電性材料からなる導通部56が設けられた場合、個別電極44の端子部46と、開口部55までの距離が近くなる。そのため、個別電極44の端子部46とCOF51の個別端子61とを導電性接着剤で接合したときに、導電性接着剤が開口部55まで流れて、個別電極44と導通部56とが導通することが考えられる。そこで、本実施形態では、COF51の左端部にのみ開口部55が形成され、左側の表面電極47のみが開口部55から露出している。COF51の左端部においては、個別電極44の端子部46と開口部55との距離が大きくなるため、個別電極44と導通部56とが導通するという問題が生じにくくなる。
図2、図3に示すように、開口部55は、COF51の、複数の個別電極44を覆う部分よりも、左側(表面電極47側)の部分に形成されている。この構成では、開口部55から個別電極44が露出しないため、開口部55から露出する表面電極47の上に、導電性材料からなる導通部56が配置されたときに、個別電極44と導通部56が導通することが防止される。
また、図3に示すように、本実施形態では、導通部56が開口部55の全域を覆うように配置されているため、開口部55から露出する表面電極47と、開口部55に配置される導通部56とが確実に導通するため、流路構造体20と表面電極47との導通信頼性が高まる。
以上説明した実施形態において、インクジェットヘッドが、本発明の「液体吐出装置」に相当する。流路構造体20の金属プレートが、本発明の「金属部分」に相当する。COF51が、本発明の「配線部材」に相当する。COF51のグランド導電部62が、本発明の「第1導電部」に相当する。圧電アクチュエータ21の表面電極47が、本発明の「第2導電部」に相当する。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]前記実施形態では、COF51の走査方向における一端部にのみ開口部55が形成されていたが、図6に示すインクジェットヘッド4Aのように、COF70の左右両端部に、それぞれ開口部55,67が形成され、開口部55,67に、導通部56,68がそれぞれ設けられてもよい。
2]COF51の開口部の形状は、前記実施形態のものには限られない。例えば、台形形状や、三角形状など、矩形状以外の切り欠き形状であってもよい。あるいは、図7に示すインクジェットヘッド4Bのように、COF71の開口部72の形状が、その全周にわたって縁が存在する穴形状であってもよい。
3]前記実施形態のCOF51は、圧電アクチュエータ21から、それぞれ、搬送方向における両側に延びており、前後に配置された2つのドライバIC53を有するものである。これに対して、図8のインクジェットヘッド4Cのように、COF73が、1つのドライバIC53のみを有し、圧電アクチュエータ21から搬送方向における一方側にのみ延在するものであってもよい。
尚、図8の構成では、COF73のグランド導電部74は、圧電アクチュエータ21の表面電極47と導通する導通部分74aと、この導通部分74aから搬送方向における一方側(図では前方)に延びる配線部分74bとを有する。つまり、この構成では、前記実施形態の図2とは違い、表面電極47に対して、搬送方向における一方側のみからグランド電位が付与される。この場合に、COF73の、開口部77が形成されている部分においては、グランド導電部74の導通部分74aが分断される、あるいは、幅が狭くなることが考えられる。そこで、図8に示すように、COF73の、グランド導電部74の導通部分74aの搬送方向における他端部(図8では後端部)が配置されている部分に、開口部77が形成され、開口部77の上に導通部78が設けられている。この構成では、グランド導電部74から表面電極47へ向けて、グランド電位を付与する経路の、終端位置に開口部77が形成されている。そのため、開口部77の形成によって導通部分74aが分断され、又は、幅が狭くなっても、大きな問題は生じない。
また、COFが、圧電アクチュエータから、搬送方向に延在する形態には限られず、COFが走査方向に延在してもよい。この場合には、COFの、搬送方向における端部に、グランド導電部が配置されるとよい。
4]図9のインクジェットヘッド4Dのように、COF75のグランド導電部76が、COF75の基板52の走査方向における端部の一部分にのみ配置されていてもよい。また、この場合に、COF75の開口部55は、基板52の前記端部のうちの、グランド導電部76が配置されていない部分に形成されてもよい。具体的には、図9において、グランド導電部76は、基板52の圧電アクチュエータ21と対向する部分の、前後方向における中央部には配置されておらず、前端部と後端部にのみ配置されている。また、COF75の開口部55は、基板52の圧電アクチュエータ21と対向する部分の、グランド導電部76が形成されていない前後方向の中央部に配置されている。このように、グランド導電部76が、前後方向における一部分にのみ配置された構成とすることで、グランド導電部76を形成するために必要な導電ペーストの量を減らすことができ、コストを低減することができる。
5]前記実施形態では、流路構造体20の上面全体が、金属製のプレート31で形成されていたが、流路構造体20の上面の一部領域のみが金属で形成された構成でもよい。あるいは、流路構造体20の上面が、その一部領域を除いて、絶縁性材料で被覆された構成であってもよい。
6]前記実施形態では、図3に示すように、導通部56が、COF51の開口部55の全域を覆っている。これに対して、導通部56は、開口部55から露出した表面電極47の少なくとも一部に接触していればよいのであって、開口部55の全域を覆っている必要は必ずしもない。
7]前記実施形態では、COF51のグランド導電部62は、ドライバIC53の横を通過するように配置されているが、グランド導電部62がドライバIC53内のグランド部分に接続されて、ドライバIC53を介してグランド導電部62にグランド電位が付与されてもよい。
8]前記実施形態は、ノズル内のインクに吐出エネルギーを付与するアクチュエータとして、圧電アクチュエータが採用された例であるが、圧電アクチュエータ以外のアクチュエータを採用した構成に対しても、本発明を適用することは可能である。例えば、アクチュエータが、インクに熱エネルギーを付与する発熱体を有する加熱基板を備え、インクの膜沸騰を利用してノズルからインクを吐出させるものであってもよい。即ち、加熱基板の表面の導電部を覆うように配線部材が配置され、開口部において配線部材から露出した前記導電部と、流路ユニットの金属部分とが、開口部に配置された導通部によって導通する構成であってもよい。
以上説明した実施形態及びその変更形態は、本発明を、記録用紙にインクを吐出して画像等を印刷するインクジェットプリンタに適用したものであるが、画像等の印刷以外の様々な用途で使用される液体吐出装置においても本発明は適用されうる。例えば、基板に導電性の液体を吐出して、基板表面に導電パターンを形成する、産業用の液体吐出装置などにも、本発明を適用することは可能である。
4 インクジェットヘッド
20 流路構造体
21 圧電アクチュエータ
25 ノズル
26 圧力室
31 プレート
44 個別電極
45 共通電極
46 端子部
47 表面電極
51 COF
52 基板
55 開口部
56 導通部
62 グランド導電部
62a 導通部分
62b 配線部分
67 開口部
68 導通部
72 開口部
74 グランド導電部
74a 導通部分
74b 配線部分
76 グランド導電部
77 開口部
78 導通部

Claims (9)

  1. 金属部分を有し、且つ、複数のノズルを含む液体流路を有する流路構造体と、
    前記流路構造体の一表面に配置され、前記複数のノズル内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータと、
    前記アクチュエータを覆うように配置され、前記アクチュエータと電気的に接続された配線部材と、を備え、
    前記配線部材は、前記アクチュエータと対向する面に、所定の基準電位が付与された第1導電部を有し、
    前記アクチュエータは、前記配線部材と対向する面に、前記第1導電部と導通する第2導電部を有し、
    前記配線部材の、前記アクチュエータの前記第2導電部を覆う部分には、開口部が形成され、
    前記開口部において前記配線部材から露出した前記第2導電部の一部と、前記流路構造体の前記金属部分とが、前記アクチュエータと前記流路構造体とに跨って配置された導電性材料からなる導通部によって導通していることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記開口部は、前記配線部材の縁部から切り欠かれた形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記アクチュエータは、前記複数のノズルにそれぞれ対応して設けられ、且つ、前記配線部材と対向する面において第1方向に沿って配列された、複数の個別電極を有し、
    前記第2導電部は、前記複数の個別電極に対して前記第1方向と直交する第2方向における外側に配置され、且つ、前記第1方向に沿って延在しており、
    前記配線部材は、前記アクチュエータから前記第1方向における両側に延びており、
    前記配線部材の前記第1導電部は、
    前記第1方向に沿って配置されて前記第2導電部と対向し、且つ、前記第2導電部と導通する導通部分と、前記導通部分から前記第1方向における両側にそれぞれ延びる2つの配線部分とを有し、
    前記配線部材の、前記第1導電部の前記導通部分の前記第1方向における中央部が配置されている部分に、前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記アクチュエータは、前記複数のノズルにそれぞれ対応して設けられ、且つ、前記配線部材と対向する面において第1方向に沿って配列された、複数の個別電極を有し、
    前記第2導電部は、前記複数の個別電極に対して前記第1方向と直交する第2方向における外側に配置され、且つ、前記第1方向に沿って延在しており、
    前記配線部材は、前記アクチュエータから前記第1方向における一方側にのみ延びており、
    前記配線部材の前記第1導電部は、
    前記第1方向に沿って配置されて前記第2導電部と対向し、且つ、前記第2導電部と導通する導通部分と、前記導通部分から前記第1方向における前記一方側に延びる配線部分とを有し、
    前記配線部材の、前記第1導電部の前記導通部分の前記第1方向における他方側の端部が配置されている部分に、前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  5. 前記アクチュエータは、前記複数のノズルにそれぞれ対応して設けられ、且つ、前記配線部材と対向する面において第1方向に沿って配列された、複数の個別電極を有し、
    各個別電極は、前記第1方向と直交する第2方向における一端部に、前記配線部材と接合される端子部を有し、
    前記第2導電部は、前記複数の個別電極に対して、前記第2方向における他端側に配置され、
    前記配線部材の前記第2導電部を覆う部分に、前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液体吐出装置。
  6. 前記アクチュエータは、前記配線部材と対向する面において、前記複数のノズルにそれぞれ対応して配置された複数の個別電極を有し、
    前記第2導電部と前記複数の個別電極とが、前記流路構造体の前記一表面に平行な第3方向において並んで配置され、
    前記配線部材は前記複数の個別電極を覆っており、
    前記配線部材の、前記複数の個別電極を覆う部分よりも、前記第3方向における前記第2導電部側の部分に、前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液体吐出装置。
  7. 前記導通部は、前記配線部材の前記開口部の全域を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液体吐出装置。
  8. 前記開口部は、矩形の平面形状を有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の液体吐出装置。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の液体吐出装置の製造方法であって、
    前記開口部が形成された前記配線部材を、前記アクチュエータを覆うように配置するとともに、前記配線部材の前記第1導電部を前記第2導電部に電気的に接合し、
    前記配線部材を前記アクチュエータに接合した後に、前記配線部材の前記開口部から前記流路構造体の前記金属部分にかけて導電性材料からなる導通部を配置して、前記導通部により、前記開口部において前記配線部材から露出する前記第2導電部と前記流路構造体の前記金属部分とを導通させることを特徴とする液体吐出装置の製造方法。
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