JP2009069190A - 金属パターン材料の製造方法及び金属パターン材料 - Google Patents

金属パターン材料の製造方法及び金属パターン材料 Download PDF

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Abstract

【課題】フォトマスク等の遮光材料の製造に好適であり、表面の平滑性が高い金属パターン材料が得られる製造方法、及び、該製造方法により得られた金属パターン材料を提供する。
【解決手段】(A)ガラス基板上に、金属粒子との相互作用を形成しうる官能基、或いは、金属イオン又は金属塩との相互作用を形成しうる官能基を有し、且つ、少なくとも該ガラス基板に片末端で直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(B)前記ポリマー層上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンの形成領域及び非形成領域のいずれか一方の領域におけるポリマー層に、金属粒子を含有する領域をパターン状に形成する工程と、を有することを特徴とする金属パターン材料の製造方法、及び該製造方法により得られた金属パターン材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属パターン材料の製造方法及び金属パターン材料に関し、より詳細には、フォトマスク等として好適な金属パターン材料の製造方法及びそれにより得られた遮光材料に関する。
遮光性を有する金属パターン材料としてフォトマスク等が挙げられる。半導体、集積回路の製造に使用するフォトマスクとしては、例えば、特許文献1の第2図に示されるように、石英基板(マスクサブストレート)上にクロム及び酸化クロムの多層又は単層薄膜よりなるメタルプレート(フォトマスクブランクス)を設け、該メタルプレートにレジストを塗布・プレベーキングし、電子ビーム又は紫外線を照射後、現像・エッチングすることで得たフォトマスクが知られている。
フォトマスクに要求される性能としては、遮光膜としての必要な光学濃度を持つこと、及びフォトマスクとして必要な解像度を有することは勿論であるが、これら以外にも、フォトマスクは繰り返して使用されることから、レジスト残渣などのマスクに付着した汚染物は、常に完全に取り除かれている必要もある。
しかしながら、上記のような従来より用いられているフォトマスクは、遮光膜の厚さが0.05μm〜0.1μmの凸形のパターンであること、さらにこのパターンはエッチングで形成されることからその形状が逆台形であることに起因して、当該パターンの根元の部分に拭き取られた汚染物等が入り込んでしまい、しばしばフォトマスクの洗浄を困難にしていた。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献2及び3には、写真乳剤を適用したフォトマスク(エマルジョンマスク)が提案されており、上市されている。これはゼラチンに感光性成分のハロゲン化銀の微粒子を分散させた乳剤を適用したものであり、当該乳剤をガラス基板上に薄膜状に塗布することによりフォトマスクを得るものである。
このように、ハロゲン化銀写真感光材料をフォトマスクとして適用することで、ハロゲン化銀の露光、還元により生じた銀からなる光遮蔽画像部分と定着処理によりハロゲン化銀を取り除いた非画像部分とから構成された事実上凹凸のない平坦な遮光パターンが得られる。しかし、このようなエマルジョンマスクの膜厚は、光遮蔽画像部分及び非画像部分ともに6μm前後と厚い。このため、レーザーを用いて非画像部の修正を行おうとすると、膜厚の厚いエマルジョン層が焼き焦げて修正できないという問題点があった。
特開平1−154060号公報 特開平5−53253号公報 特開2005−274910号公報
本発明の前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、フォトマスク等の遮光材料の製造に好適であり、表面の平滑性が高い金属パターン材料が得られる製造方法、及び、該製造方法により得られた金属パターン材料を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ガラス基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層中に、レジストパターンを適用して金属粒子を含有する領域を形成することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> (A)ガラス基板上に、金属粒子との相互作用を形成しうる官能基、或いは、金属イオン又は金属塩との相互作用を形成しうる官能基を有し、且つ、少なくとも該ガラス基板に片末端で直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(B)前記ポリマー層上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンの形成領域及び非形成領域のいずれか一方の領域におけるポリマー層に、金属粒子を含有する領域をパターン状に形成する工程と、を有することを特徴とする金属パターン材料の製造方法。
<2> 前記(B)工程が、前記(A)工程で形成したポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に金属粒子を付与する工程と、レジストパターンを除去する工程と、をこの順に有することを特徴とする前記<1>に記載の金属パターン材料の製造方法。以下では、これらの工程により(B)工程を実施して、金属粒子を含有する領域を形成する態様を、単に「態様(A)」と称する場合がある。
<3> 前記(B)工程が、前記(A)工程で形成したポリマー層に、金属粒子を付与する工程と、該金属粒子を付与した後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属粒子を酸化的に除去する工程と、レジストパターンを除去する工程と、をこの順に有することを特徴とする前記<1>に記載の金属パターン材料の製造方法。以下では、これらの工程により(B)工程を実施して、金属粒子を含有する領域を形成する態様を、単に「態様(B)」と称する場合がある。
<4> 前記(B)工程が、前記(A)工程で形成したポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、該金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる工程と、金属粒子を析出させた後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属粒子を酸化的に除去する工程と、レジストパターンを除去する工程と、をこの順に有することを特徴とする前記<1>に記載の金属パターン材料の製造方法。以下では、これらの工程により(B)工程を実施して、金属粒子を含有する領域を形成する態様を、単に「態様(C)」と称する場合がある。
<5> 前記(B)工程が、前記(A)工程で形成したポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、該レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる工程と、レジストパターンを除去する工程と、をこの順に有することを特徴とする前記<1>に記載の金属パターン材料の製造方法。以下では、これらの工程により(B)工程を実施して、金属粒子を含有する領域を形成する態様を、単に「態様(D)」と称する場合がある。
<6> 前記(B)工程が、前記(A)工程で形成したポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与する工程と、金属イオン又は金属塩を付与した後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属イオン又は金属塩を除去する工程と、レジストパターンを除去する工程と、ポリマー層中に存在する金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子として金属粒子を析出させる工程と、をこの順に有することを特徴とする前記<1>に記載の金属パターン材料の製造方法。以下では、これらの工程により(B)工程を実施して、金属粒子を含有する領域を形成する態様を、単に「態様(E)」と称する場合がある。
<7> 前記<1>から<6>のいずれか1項に記載の金属パターン材料の製造方法により得られた金属パターン材料であって、ガラス基材上に、金属粒子を含有する領域と金属粒子を含有しない領域とをパターン状に有するポリマー層を備えてなる金属パターン材料。
<8> 金属粒子を含有する領域に含有される金属粒子が、クロム又は銀を含む金属粒子であることを特徴とする前記<7>に記載の金属パターン材料。
<9> ポリマー層における金属粒子を含有する領域の厚みが0.01μm以上2μm以下であり、金属粒子を含有する領域の厚みと金属粒子を含有しない領域の厚みとの差が0.5μm以下であることを特徴とする前記<7>又は<8>に記載の金属パターン材料。
<10> 遮光材料であることを特徴とする前記<7>から<8>のいずれか1項に記載の金属パターン材料。
<11> フォトマスクであることを特徴とする前記<10>に記載の金属パターン材料。
本発明によれば、フォトマスク等の遮光材料の製造に好適であり、表面の平滑性が高い金属パターン材料が得られる製造方法、及び、該製造方法により得られた金属パターン材料を提供することにある。
以下、本発明の金属パターン材料の製造方法、及び、それにより得られた金属パターン材料について詳細に説明する。
[金属パターン材料の製造方法]
本発明の金属パターン材料の製造方法は、(A)ガラス基板上に、金属粒子又は金属イオン若しくは金属塩との相互作用を形成しうる官能基を有し、且つ、少なくとも該ガラス基板に片末端で直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程(以下、適宜「ポリマー層形成工程」と称する。)と、(B)前記ポリマー層上にレジストパターンを形成し、前記ポリマー層におけるレジストパターンの形成領域及び非形成領域のいずれか一方の領域に、金属粒子を含有する領域をパターン状に形成する工程(以下、適宜「金属粒子含有領域形成工程」と称する。)と、を有することを特徴とする。
なお、以下の説明においては、適宜、ポリマー層中に形成される「金属粒子を含有する領域」を「金属粒子含有領域」と称し、「金属粒子を含有しない領域」を「金属粒子含有領域」と称する。
本発明の金属パターン材料の製造方法によれば、ガラス基板上に設けられたポリマー層中の所望の領域のみに金属粒子含有領域をパターン状に形成することができる。かかる金属粒子含有領域は、均一な膜厚を有するポリマー層中に、金属粒子非含有領域と併存して形成されるため、本発明により得られた金属パターン材料は表面の平滑性の高いものとなる。
また、本発明においてポリマー層を形成するポリマーは、金属粒子又は金属粒子を形成しうる金属イオン若しくは金属塩との相互作用性を有し、且つ、少なくとも片末端で該ガラス基板に直接化学結合したポリマーである。このようなポリマーにより形成されたポリマー層は、薄層であっても充分な量の金属粒子を層中に保持することができ、かつ、ポリマーの片末端がガラス基板と直接化学結合していることから、ガラス基板とポリマー層との密着性をも発揮できる。
さらに、本発明においてはポリマー層を薄層に形成しうる。このため、本発明により得られたを金属パターン材料を、その好適な態様の一つであるフォトマスクに適用した場合には、修正で使用されるレーザー照射に対して、ポリマー層部分が完全に除去されるか若しくは残存しても残存量が少ないため、当該フォトマスクは修正適性にも優れたものとなる。
また、本発明の金属パターン材料の製造方法は、金属粒子含有領域の形成にレジストパターンを適用することを特徴とする。ポリマー層中に金属粒子含有領域をパターン状に形成する態様として具体的には、前記した態様(A)〜態様(E)の5つの態様が挙げられ、これらの態様は何れも、レジストパターンを用いて、該レジストパターンの形成領域におけるポリマー層、或いは、該レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に、金属粒子を含有する領域を形成する点で共通するものである。なお、態様(A)〜態様(E)については、後述する金属粒子含有領域形成工程の説明において詳細に説明する。
以下、本発明の金属パターン材料の製造方法おける「(A)ポリマー層形成工程」及び「(B)金属粒子含有領域形成工程」の2つの工程について順次説明する。
<(A)ポリマー層形成工程>
本工程では、ガラス基板上に、金属粒子との相互作用を形成しうる官能基、或いは、金属イオン又は金属塩との相互作用を形成しうる官能基を有し、且つ、少なくとも該ガラス基板に片末端で直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する。
まず、本発明におけるガラス基板について説明する。本発明におけるガラス基板としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低膨張ガラス、合成石英ガラスなどによる基板が挙げられる。このようなガラス基板の厚みは、使用目的に応じて選択され、特に限定はないが、一般的には、10μm〜10cm程度である。特に、0.5cm〜4cmの範囲が光透過率と強度との観点から、好ましい。
ガラス基板の表面粗さとしては、できるだけ平坦なものがよく、Ra(算術平均粗さ)で10nm以下が好ましく、より好ましくは1nm以下であり、更に好ましくは0.3nm以下である。ここで、Ra(算術平均粗さ)の測定は、JIS B 0601−2001従う。
本発明におけるポリマー層は、金属粒子との相互作用を形成しうる官能基、或いは、金属イオン又は金属塩との相互作用を形成しうる官能基(以下、適宜「相互作用性基」と総称する。)を有し、且つ、少なくとも片末端でガラス基板に直接化学結合したポリマーから構成されていればよく、如何なる方法を用いて形成されていてもよい。
ポリマー層を形成する方法の例としては、例えば、ガラス基板上に、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基板結合部位とを有する化合物を、該基板結合部位を用いて直接結合させる工程と、その表面に相互作用性基を有し且つラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、エネルギーを付与し、該光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基板結合部位とを有する化合物からラジカルを発生させ、それを開始種として前記不飽和化合物を重合させる工程と、を経ることでポリマー層を形成する方法がある。
また、ポリマー層を形成する方法の他の例としては、相互作用性基とガラス基板と結合しうる官能基とを有するポリマーを予め合成しておき、このポリマーをガラス基板に結合させることでポリマー層を形成してもよい。
以下、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基板結合部位とを有する化合物を用いてポリマー層を形成する態様について、詳細に説明する。
この態様に適用しうる化合物は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(Y)と基板結合部位(Q)とを有する化合物(以下、適宜「光開裂化合物(Q−Y)」と称する。)である。
ここで、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(以下、単に「重合開始部位(Y)」と称する。)は、光により開裂しうる単結合を含む構造である。この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応、などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
また、これらの光により開裂しうる単結合を含む重合開始部位(Y)は、ポリマー層形成工程における重合の起点となることから、光により開裂しうる単結合が開裂すると、その開裂反応によりラジカルを発生させる機能を有する。このように、光により開裂しうる単結合を有し、かつ、ラジカルを発生可能な重合開始部位(Y)の構造としては、以下に挙げる基を含む構造が挙げられる。即ち、芳香族ケトン基、フェナシルエステル基、スルホンイミド基、スルホニルエステル基、N−ヒドロキシスルホニルエステル基、ベンジルイミド基、トリクロロメチル基、ベンジルクロライド基などである。
このような重合開始部位(Y)は、露光により開裂して、ラジカルが発生すると、そのラジカル周辺にラジカル重合可能な不飽和化合物が存在する場合には、このラジカルが重合反応の起点として機能し、ポリマーを生成することができる。このため、表面に光開裂化合物(Q−Y)が導入されたガラス基板に対し、ラジカル重合可能な不飽和化合物を用いてポリマーを生成させる場合には、エネルギー付与手段として、重合開始部位(Y)を開裂させうる波長での露光を用いることが必要である。
また、基板結合部位(Q)としては、ガラス基板表面に存在する官能基(Z)と反応して結合しうる反応性基で構成され、その反応性基としては、具体的には、シランカップリング基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ気、カルボキシル基などが挙げられる。
重合開始部位(Y)と基板結合部位(Q)とは直接結合していてもよいし、連結基を介して結合していてもよい。この連結基としては、炭素、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選択される原子を含む連結基が挙げられ、具体的には、例えば、飽和炭素基、芳香族基、エステル基、アミド基、ウレイド基、エーテル基、アミノ基、スルホンアミド基等が挙げられる。また、この連結基は更に置換基を有していてもよく、その導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
基板結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)の具体例〔例示化合物1〜例示化合物16〕を、開裂部と共に以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2009069190
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本発明では、ガラス基板表面にはSi−OH等の官能基(Z)が、もともと存在している。そのため、ガラス基板表面に光開裂化合物(Q−Y)を接触させ、ガラス基板表面に存在する官能基(Z)と、基板結合部位(Q)と、を接触させることで容易に直接結合し、ガラス基板表面に光開裂化合物(Q−Y)が導入される。
光開裂化合物(Q−Y)をガラス基板表面に存在する官能基(Z)に結合させる具体的な方法としては、光開裂化合物(Q−Y)を、トルエン、ヘキサン、アセトンなどの適切な溶媒に溶解又は分散し、その溶液又は分散液を無機化合物膜表面に塗布する方法、又は、溶液又は分散液中に最表面に無機化合物膜を有する基板を浸漬する方法などを適用すればよい。これらの方法により、光開裂化合物(Q−Y)が導入されたガラス基板が得られる。
このとき、溶液中又は分散液の光開裂化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
以上のようにして得られた、表面に光開裂化合物(Q−Y)が導入されたガラス基板に対し、その表面に金属粒子等と相互作用を形成しうる官能基を有し、且つ、ラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させ、エネルギーを付与することで、重合開始部位(Y)が光開裂し、そこから発生したラジカルを起点として重合反応が生起する。その結果、金属粒子等と相互作用を形成しうる官能基を有し、且つ、ラジカル重合可能な不飽和化合物が重合してなるポリマーが得られる。
(相互作用性基を有し且つラジカル重合可能な不飽和化合物)
次に、本発明において用いられる相互作用性基を有し、且つ、ラジカル重合可能な不飽和化合物(以下、適宜、重合性化合物と称する。)について説明する。
本発明に用いられる重合性化合物としては、相互作用性基を有していれば、モノマー、マクロモノマー、或いは重合性基を有する高分子化合物のいずれも用いることができる。これらの重合性化合物は公知のものを任意に使用することができる。
この相互作用性基としては、例えば、極性基が挙げられる。より具体的には、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有する官能基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスソン酸基などの負の荷電を有する官能基、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性基が挙げられる。また、その他にも、相互作用性基としては、ピリジニル基、アミノ基、イミノ基、カルバモイル基、イミド基、アミジノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、エーテル基、メルカプト基、スルフィド基、スルホキシ基、ホスフィノ基などが挙げられる。
相互作用性基としては、これらの中でも、アミノ基、ピリジニル基、スルフィド基、ホスフィノ基がより好ましく、金属粒子又は金属イオンに対する吸着性(相互作用性)の点から、アミノ基、又は含窒素複素環基であるピリジニル基が特に好ましい。
以下、ポリマー層形成工程において好適に用いられる相互作用性基を有する重合性化合物について具体的に説明する。
本発明に用いうる相互作用性基を有する重合性化合物としてのモノマーは、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルチオフェン、スチレン、エチル(メタ)アクリル酸エステル、n−ブチル(メタ)アクリル酸エステルなど炭素数1〜24までのアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。とくに有用なモノマーは、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドやビニルピリジンなどの窒素含有塩基性モノマーである。
本発明に用いうる相互作用性基を有する重合性化合物としては、マクロモノマーも用いることができる。このマクロモノマーは、前記モノマーを用いて公知の方法にて作製することができる。本態様に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。
このようなマクロモノマーの有用な重量平均分子量は、500〜50万の範囲であり、特に好ましい範囲は1000〜5万である。
本発明に用いうる相互作用性基を有する重合性化合物としての高分子化合物とは、相互作用性基と、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)とを導入したポリマーを指す。このポリマーは、少なくとも末端又は側鎖にエチレン付加重合性不飽和基を有するものであり、側鎖にエチレン付加重合性不飽和基を有するものがより好ましく、末端及び側鎖にエチレン付加重合性不飽和基を有するものが更に好ましい。
このような高分子化合物の有用な重量平均分子量は、500〜50万の範囲で、特に好ましい範囲は1000〜5万である。
相互作用性基と重合性基とを有する高分子化合物の合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと重合性基前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法が挙げられる。
好ましい合成方法は、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと重合性基前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により重合性基を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
以下に、本発明に好適に用いられる相互作用性基と重合性基とを有する高分子化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例中のm、nは、モル比で、m:99〜10%、n:1〜90%の範囲であることが好ましく、より好ましい範囲としては、m:98〜60%、n:2〜40%の範囲である。また、高分子化合物の重量平均分子量は、1000〜100万が好ましく、より好ましい範囲は3000〜30万の範囲である。
Figure 2009069190
Figure 2009069190
これらの特定重合性化合物を含有する液状組成物を構成する溶剤は、主成分である重合性化合物を溶解或いは分散することが可能であれば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
また、この液状組成物に対し、必要に応じて添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン190、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
ガラス基板表面に重合性化合物含有の液状組成物を塗布して塗布膜を形成する方法を用いた場合には、その塗布量としては、充分な塗布膜を得る観点からは、固形分換算で0.1〜10g/mが好ましく、特に0.5〜5g/mが好ましい。
ポリマー層形成工程において形成されるポリマー層は、膜厚が0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましく、0.1μm〜1.0μmが更に好ましい。
本明細書において、ポリマー層(金属粒子含有領域を形成したものを含む)の膜厚は、AFM(例えば、セイコーインスツルメンツ Nanopics 1000)、若しくは、エリプソメーター(例えば、溝尻光学社,DHAXA)などの手段により測定することができる。
−エネルギーの付与−
本工程において、ポリマー層を形成するために付与されるエネルギーは、重合開始部位(Y)において開裂を生じさせることのできるものであれば特に制限はなく、紫外光、可視光などの光照射、電子線、ガンマ線、X線などの高エネルギー線照射が挙げられる。
以上のようにして形成されたポリマー層は、溶剤浸漬や溶剤洗浄などの処理が行われ、残存するホモポリマーを除去して、精製する。具体的には、水やアセトンによる洗浄、乾燥などが挙げられる。ホモポリマーの除去性の観点からは、超音波などの手段をとってもよい。精製後は、その表面に残存するホモポリマーが完全に除去され、ガラス基板と強固に結合したポリマーのみが存在することになる。
<(B)金属粒子含有領域形成工程>
本工程においては、前記(A)工程において形成されたポリマー層上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンの形成領域及び非形成領域のいずれか一方の領域におけるポリマー層に、金属粒子を含有する領域(金属粒子含有領域)をパターン状に形成する。
本工程により形成される金属粒子含有領域は、均一な膜厚を有するポリマー層中に、金属粒子非含有領域と併存して形成されるため、本発明により得られた金属パターン材料は表面の平滑性の高いものとなる。
金属粒子含有領域形成工程の具体的な実施態様としては、先に概要を述べた態様(A)〜態様(E)が挙げられる。以下、態様(A)〜態様(E)について詳細に説明する。
〔態様(A)〕
本態様は、ポリマー層形成工程で形成したポリマー層上にレジストパターンを形成する工程(以下、「レジストパターン形成工程(A)」と略称する場合がある。)と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に金属粒子を付与する工程(以下、「金属粒子付与工程(A)」と略称する場合がある。)と、レジストパターンを除去する工程と、をこの順に有することを特徴とする。以下、態様(A)における各工程を説明する。
≪レジストパターン形成工程(A)≫
レジストパターン形成工程(A)では、前記ポリマー層形成工程で形成したポリマー層上にレジストパターンを形成する。
レジストパターン形成工程(A)にて形成するレジストパターンは、感光性レジストを用いて形成することができる。使用しうる感光性レジストとしては、光硬化型のネガレジスト、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストが挙げられる。
感光性レジストとしては、1.感光性ドライフイルムレジスト(DFR)、2.液状レジスト、3.ED(電着)レジストを使用することができる。これらはそれぞれ特徴がある。即ち、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)は、乾式で用いることができるので取り扱いが簡便である。2.液状レジストは、レジストとして薄い膜厚とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができる。3.ED(電着)レジストは、レジストとして薄い膜厚とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができること、塗布面の凹凸への追従性が良く、密着性が優れている。使用する感光性レジストは、これらの特徴を加味して適宜選択すればよい。
上記の各感光性レジストを用いる場合、ポリマー層上におけるレジストパターンの形成は以下のごとく行なうことができる。
1.感光性ドライフィルム
感光性ドライフィルムは、一般的にポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムにはさまれたサンドイッチ構造をしており、ラミネータでポリエチレンフィルムを剥がしながら熱ロールで圧着する。感光性ドライフィルムに関する処方、製膜方法、積層方法については、特開2006−284842公報の段落番号〔0192〕乃至〔0372〕に詳細に記載されており、これらの記載は本発明にも同様に適用することができる。
2.液状レジスト
塗布方法はスプレーコート、ロールコート、カーテンコート、ディップコートがある。両面同時に塗布するには、このうちロールコート、ディップコートが両面同時にコート可能であり、好ましい。液状レジストについては、特開2007−010785公報の段落番号〔0199〕乃至〔0219〕に詳細に記載され、これらの記載は本発明にも適用することができる。
3.ED(電着)レジスト
EDレジストは感光性レジストを微細な粒子にして水に懸濁させコロイドとしたものであり、粒子が電荷を帯びているので、導体層に電圧を与えると電気泳動により、導体層上にレジストが析出し、導体上でコロイドは相互に結合し膜状になる、塗布することができる。
次いで、パターン露光及び現像を行なう。
パターン露光は、レジスト膜を金属膜上部に設けてなる基材をマスクフィルムまたは乾板と密着させて、使用しているレジストの感光領域の光で露光する。フィルムを用いる場合には真空の焼き枠で密着させ露光をする。露光源に関しては、パターン幅が100μm程度では点光源を用いることができる。パターン幅を100μm以下のものを形成する場合は平行光源を用いることが好ましい。
現像は、光硬化型のネガレジストならば未露光部を、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストならば露光部を溶かすものであれ何を使用してもよいが、主には有機溶剤、アルカリ性水溶液が使用され、環境負荷低減の観点からは、アルカリ性水溶液を使用することも好ましい。
以上のようにして、ポリマー層上にレジストパターンを形成することができる。
≪金属粒子付与工程(A)≫
金属粒子付与工程では、上記のレジストパターン形成工程Aにより形成されたレジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に金属粒子を付与する。
付与する金属粒子としては、ポリマー層を形成するポリマーが有する相互作用性基と相互作用を形成しうるものであればよい。
金属粒子付与工程(A)で付与される金属粒子は、少なくとも1種の金属を含む粒子であり、2種以上の金属を組み合わせた粒子であってもよく、合金からなる粒子を用いることも可能である。また、金属化合物からなる粒子でもよいし、金属と金属化合物との複合微粒子であってもよい。金属粒子は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下、金属粒子付与工程(A)に用いうる金属粒子について、本発明により得られる金属パターン材料をその好適な態様の一つであるフォトマスクとして用いる場合に好適な金属粒子を例に、更に詳細に説明する。
フォトマスク等の遮光材料への適用の観点からは、金属粒子付与工程(A)で付与される金属粒子としては、遮光能が大きいという点から、以下に詳述する各種の金属粒子の中でも、クロム又は銀を含む金属粒子であることが特に好ましい。
金属粒子の好ましい例としては、銀、クロム、銅、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、カルシウム、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、シリコン、モリブデン及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属粒子を挙げることができる。本発明により得られる金属パターン材料をその好適な態様の一つであるフォトマスクとして適用する場合には、金属粒子として更に好ましくは、遮光性の観点から、銀、クロム、シリコン、モリブデンである。銀を含む金属粒子の場合には、コロイド銀が好ましく、銀錫合金部を有する粒子が最も好ましい。銀錫合金部を有する粒子については後述する。
金属化合物とは、前記金属と金属以外の他の元素との化合物である。金属と他の元素との化合物としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられ、金属化合物かなる粒子としてはこれらの粒子が好適である。これら中でも、色調や微粒子形成のしやすさから、硫化物の粒子が好ましい。
金属化合物からなる粒子の他の例としては、酸化クロム、硫化鉄、モリブデンシリサイト、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックからなる粒子が挙げられ、色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点からは、これらの中でも、硫化銀、酸化クロム、硫化鉄、モリブデンシリサイトからなる粒子がより好ましい。
−複合粒子−
複合粒子は、金属と金属化合物とが結合して1つの粒子になったものをいう。例えば、粒子の内部と表面で組成の異なるもの、2種の粒子が合一したもの等を挙げることができる。また、金属化合物と金属とはそれぞれ1種でも2種以上であってもよい。
金属化合物と金属との複合微粒子の具体例としては、銀と硫化銀の複合微粒子、銀と酸化銅(II)の複合微粒子などが好適に挙げられる。
−コア・シェル粒子−
着色粒子として複合粒子が用いられる場合、該複合粒子としては、コア・シェル構造を有する複合粒子(コアシェル粒子)であってもよい。コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものである。
コア・シェル型の複合粒子を構成するシェル材料としては、例えば、Si、Ge、AlSb、InP、Ga、As、GaP、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、PbTe、Se、Te、CuCl、CuBr、CuI、TlCl、TlBr、TlIや、これらの固溶体及びこれらを90mol%以上含む固溶体から選ばれる少なくとも1種の半導体、又は銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、カルシウム、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられる。シェル材料は、反射率を低下させる目的で屈折率の調整剤としても好適に用いられる。
好ましいコア材料としては、銅、銀、金、パラジウム、ニッケル、錫、ビスマス、アンモチン、鉛、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
コア・シェル構造を有する複合粒子の作製方法には、特に制限はなく、代表的な方法は以下のものが挙げられる。
(1)公知の方法で作製した金属粒子の表面に、酸化、硫化などにより、金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属微粒子を水などの分散媒に分散させて、硫化ナトリウムや硫化アンモニウムなどの硫化物を添加する方法である。この方法により粒子の表面が硫化されてコア・シェル粒子が形成できる。
この場合、用いる金属粒子は、気相法、液相法などの公知の方法で作製することができる。金属粒子の作製方法については、例えば、「超微粒子の技術と応用における最新動向II」(住ベテクノリサーチ(株)、2002年発行)に記載されている。
(2)金属粒子を作製する過程で連続的に表面に金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属塩溶液に還元剤を添加して、金属イオンの一部を還元して金属微粒子を作製し、次いで硫化物を添加して、作製した金属微粒子の周囲に金属硫化物を形成する方法である。
金属粒子は、市販のものを用いることができるほか、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
棒状の銀微粒子は、球形銀微粒子を種粒子としてその後、銀塩を更に添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤の存在下でアスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより、銀棒やワイヤーが得られる。これは、Advanced Materials 2002,14,80−82に記載がある。また、同様の記載が、Materials Chemistry and Physics 2004,84,197−204、Advanced Functional Materials 2004,14,183−189になされている。
また、電気分解を用いた方法として、Materials Letters 2001,49,91−95やマイクロ波を照射することにより銀棒を生成する方法がJournal of Materials Research 2004,19,469−473に記載されている。逆ミセルと超音波の併用した例として、Journal of Physical Chemistry B 2003,107,3679−3683が挙げられる。
金に関しても同様に、Journal of Physical Chemistry
B 1999,103、3073−3077及びLangmuir1999,15,701−709、Journal of American Chemical Society 2002,124,14316−14317に記載されている。
棒状の粒子の形成方法は、前記記載の方法を改良(添加量調整、pH制御)しても調製できる。
銀錫合金部を有する粒子としては、銀錫合金からなるもの、銀錫合金部分とその他の金属部分からなるもの、及び銀錫合金部分と他の合金部分からなるものを含む。
銀錫合金部を有する粒子において、少なくとも一部が銀錫合金で構成されていることは、例えば、(株)日立製作所製のHD−2300とノーラン(Noran)社製のEDS (エネルギー分散型X線分析装置)とを用いて、加速電圧200kVによる各々の粒子の中心15nm□エリアのスペクトル測定により確認することができる。
銀錫合金部を有する粒子は、黒濃度が高く、少量であるいは薄膜で優れた遮光性能を発現し得ると共に、高い熱安定性を有するので、黒濃度を損なうことなく高温(例えば200度以上)での熱処理が可能であり、安定的に高度の遮光性を確保することができる。
−併用可能な粒子−
上記した金属粒子と共に、金属粒子以外の他の粒子を併用することもできる。併用可能な他の粒子は、ポリマー層を形成するポリマーが有する相互作用性基と相互作用を形成しうるものの中から、本発明により得られる金属パターン材料の用途に応じて選択することができる。このような併用可能な他の粒子としては、顔料、カーボンブラック、フラーレンなどが挙げられる。
顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、又は黒鉛が好適なものとして挙げられる。
カーボンブラックの例としては、Pigment Black(ピグメント・ブラック)7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品として、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)が挙げられる。
チタンブラックの例としては、TiO2、TiO、TiNやこれらの混合物が好ましい。市販品として、三菱マテリアルズ(株)製の(商品名)12Sや13Mが挙げられる。
顔料以外の公知の顔料を用いることもできる。顔料は一般に有機顔料と無機顔料とに大別されるが、本発明においては有機顔料が好ましい。好適に使用される顔料の例としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ニトロ系顔料を挙げることができる。有機顔料の色相は、例えば、黄色顔料、オレンジ顔料、赤色顔料、バイオレット顔料、青色顔料、緑色顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等が好ましい。
以下、本発明において使用可能な顔料等の他の粒子を列挙する。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
即ち、他の粒子の具体的な例としては、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に着色剤として記載のものを好適に用いることができる。
また、「顔料便覧、日本顔料技術協会編、誠文堂新光社、1989」、「COLOUR
INDEX、THE SOCIETY OF DYES & COLOURIST、THIRD EDITION、1987」に記載の顔料を参照して、適宜用いることもできる。
金属粒子及び併用可能な他の粒子の粒径も目的に応じて選択することができる。これらの粒子の粒径としては、金属パターン材料の適用目的に応じて異なるが、一般的には、0.1nm〜1μmの範囲であることが好ましく、1nm〜100nmの範囲であることがさらに好ましく、1nm〜20nmの範囲であることが特に好ましい。
金属粒子をポリマー層に付与する方法としては、金属粒子を含有する液体を、レジストパターンが形成されたポリマー層上に塗布する方法、及び、金属粒子を含有する液体中に、レジストパターンが形成されたポリマー層を有するガラス基板を浸漬する方法などが挙げられる。
塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の金属粒子をポリマー層に供給して、ポリマー層を形成するポリマーが有する相互作用性基との間に充分な相互作用を形成させるために、金属粒子を含有する液体とポリマー層との接触時間は、1秒から10時間程度であることが好ましく、10秒から1時間程度であることが更に好ましい。
また、金属粒子は、耐久性の点や遮光性等の確保の観点から、ポリマー層を形成するポリマーが有する相互作用性基と相互作用しうる最大量が付与されることが好ましく、その場合、金属粒子等を含有する液体中における金属粒子の含有量は、0.01〜20質量%程度が好ましい。
≪レジストパターン除去工程(A)≫
レジストパターン除去工程(A)では、金属粒子付与工程(A)にて金属粒子を付与した後のポリマー層上に存在するレジストパターンを除去する。
レジストパターンの除去は、剥離液をスプレーして行なうことができる。剥離液はレジストの種類により異なるが、一般的にはレジストを膨潤させる溶剤又は溶液を用いることができる。かかる剥離液をスプレーにより拭きつけ、レジストを膨潤させて剥離する。このような剥離液としては、例えば、テトラメチルアンモニュウムヒドロキシド水溶液、テトラエチルアンモニュウムヒドロキシド水溶液、ベンジルアルコール、イソプロパノール等が挙げられる。
〔態様(B)〕
本態様は、ポリマー層形成工程で形成したポリマー層に金属粒子を付与する工程(以下、「金属粒子付与工程(B)」と略称する場合がある。)と、該金属粒子を付与した後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程(以下、「レジストパターン形成工程(B)」と略称する場合がある。)と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属粒子を酸化的に除去する工程(以下、「金属粒子除去工程(B)」と略称する場合がある。)と、をこの順に有することを特徴とする。以下、態様(B)における各工程を説明する。
≪金属粒子付与工程(B)≫
金属粒子付与工程(B)では、前記ポリマー層形成工程で形成したポリマー層の全面に金属粒子を付与する。
金属粒子付与工程(B)に用いうる金属粒子としては、前記した態様(1)において詳述した金属粒子のうち、後述する金属粒子除去工程(B)において除去しうる金属粒子を選択して用いればよい。金属粒子除去工程(B)において除去しうる金属粒子である限り、金属粒子付与工程(B)に用いうる金属粒子としては、前記した態様(1)にて詳述した金属粒子と同様のものを適用することができる。
金属粒子付与工程(B)に用いうる金属粒子としては、本発明により得られる金属パターン材料を遮光材料に適用した際の遮光性、及び、金属粒子除去工程(B)における金属粒子の除去性の観点から、クロム又は銀を含む金属粒子であることが特に好ましい。
金属粒子付与工程(B)における金属粒子の付与方法としては、前記した態様(1)における金属粒子付与工程(A)にて詳述した付与方法を、本工程においても同様に適用することができる。
≪レジストパターン形成工程(B)≫
レジストパターン形成工程(B)では、金属粒子付与工程(B)において金属粒子を付与したポリマー層上にレジストパターンを形成する。
レジストパターン形成工程(B)は、前記した態様(A)におけるレジストパターン形成工程(A)と同様にして実施することができる。
≪金属粒子除去工程(B)≫
金属粒子除去工程(B)では、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属粒子を酸化的に除去する。本工程を経ることにより、金属粒子を含有するポリマー層においてレジストパターンで保護された領域は金属粒子含有領域として形成され、金属粒子が除去された領域は金属粒子非含有領域として形成される。
金属粒子除去工程(B)における金属粒子の酸化的な除去は、ポリマー層におけるレジストパターンの非形成領域に対して、漂白液及び定着液を用いて漂白処理及び定着処理を施すことにより行うことができる。
漂白処理及び定着処理は個別に行ってもよいし、同時に行ってもよい(漂白定着処理)。さらに処理の迅速化を図るため、漂白処理後に漂白定着処理する処理方法でもよい。さらに二槽の連続した漂白定着浴で処理すること、漂白定着処理の前に定着処理すること、または漂白定着処理後に漂白処理することも目的に応じ任意に実施できる。
金属粒子除去工程(B)は、同工程にて実施される漂白処理等の各処理に用いる漂白液等の処理液をポリマー層上に塗布するか、処理液槽にポリマー層を有するガラス基板を浸漬する方法などにより実施できる。以下に、漂白処理及び定着処理に関する具体的な態様の例を示すが、これに限定されるものではない。
漂白液や漂白定着液に用いうる漂白剤の例としては、例えば、鉄塩;鉄(III) 、コバルト(III) 、クロム(IV)、銅(II)などの多価金属の化合物;過酸類;キノン類;ニトロ化合物等があげられる。代表的漂白剤としては 塩化鉄;フェリシアン化物;重クロム酸塩;鉄(III) の有機錯塩(例えばエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、などのアミノポリカルボン酸類などの金属錯塩);過硫酸塩;臭素酸塩;過マンガン酸塩;ニトロベンゼン類などを挙げることができる。これらのうちエチレンジアミン四酢酸鉄(III) 錯塩、及び1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III) 錯塩を始めとするアミノポリカルボン酸鉄(III) 錯塩は迅速処理と環境汚染防止の観点から好ましい。さらにアミノポリカルボン酸鉄(III) 錯塩は漂白液においても、漂白定着液においても特に有用である。これらのアミノポリカルボン酸鉄(III) 錯塩を用いた漂白液又は漂白定着液は、3.0〜8のpHで使用される。
漂白液や漂白定着液には、臭化アンモニウムや塩化アンモニウムのような再ハロゲン化剤;硝酸アンモニウムのようなpH緩衝剤;硫酸アンモニウムのような金属腐食防止剤など公知の添加剤を添加することができる。漂白液や漂白定着液には上記の化合物の他に、漂白ステインを防止する目的で有機酸を含有させることが好ましい。特に好ましい有機酸は、酸解離定数(pka)が2〜5.5である化合物で、具体的には酢酸、プロピオン酸などが好ましい。
定着液や漂白定着液に用いられる定着剤としては、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物塩等を挙げることができるが、チオ硫酸塩の使用が一般的であり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用できる。また、チオ硫酸塩とチオシアン酸塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素などの併用も好ましい。定着液や漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、カルボニル重亜硫酸付加物あるいは欧州特許第294769A号に記載のスルフィン酸化合物が好ましい。さらに定着液や漂白定着液には液の安定化の目的で各種アミノポリカルボン酸類や、有機ホスホン酸類(例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラホスホン酸)の添加が好ましい。
定着液や漂白定着液には、さらに、各種の蛍光増白剤;消泡剤;界面活性剤;ポリビニルピロリドン;メタノール等を含有させることができる。漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴には、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。有用な漂白促進剤の具体例としては、米国特許第3,893,858号、西独特許第1,290,812号、同2,059,988号、特開昭53−32736号、同53−57831号、同53−37418号、同53−72623号、同53−95630号、同53−95631号、同53−104232号、同53−124424号、同53−141623号、同53−28426号、リサーチ・ディスクロージャーNo.17129号(1978年7月)などに記載のメルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物;特開昭50−140129号に記載のチアゾリジン誘導体;特公昭45−8506号、特開昭52−20832号、同53−32735号、米国特許第3,706,561号に記載のチオ尿素誘導体;西独特許第1,127,715号、特開昭58−16235号に記載の沃化物塩;西独特許第966,410号、同2,748,430号に記載のポリオキシエチレン化合物類;特公昭45−8836号記載のポリアミン化合物;その他特開昭49−42434号、同49−59644号、同53−94927号、同54−35727号、同55−26506号、同58−163940号記載の化合物;臭化物イオン等が使用できる。なかでもメルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物が促進効果が大きい観点で好ましく、特に米国特許第3,893,858号、西独特許第1,290,812号、特開昭53−95630号に記載の化合物が好ましい。さらに、米国特許第4,552,834号に記載の化合物も好ましい。これらの漂白促進剤はポリマー層中に添加してもよい。
金属粒子の酸化的な除去に関して上記した漂白処理及び定着処理の具体的な態様は、金属粒子として、銀、クロム、ニッケル、銅などの粒子を適用する場合に特に好適である。
漂白処理・定着処理の処理条件について述べる。処理時間としては、1秒から60分の間が好ましい。処理温度は5℃から80℃迄の温度範囲から選択することができる。特に好ましい処理条件は、処理時間が5秒から10分までの間であり、処理温度は15℃から40℃の範囲である。また、処理後は、水洗を行うことが好ましい。
≪レジストパターン除去工程(B)≫
レジストパターン除去工程(B)では、金属粒子除去工程(B)にて金属粒子を選択的に金属粒子を除去した後のポリマー層上に存在するレジストパターンを除去する。
レジストパターン除去工程(B)は、前記した態様(A)におけるレジストパターン除去工程(A)と同様にして実施することができる。
〔態様(C)〕
本態様は、ポリマー層形成工程で形成したポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、該金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる工程((以下、「金属粒子析出工程(C)」と略称する場合がある。)と、金属粒子を析出させた後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程(以下、「レジストパターン形成工程(C)」と略称する場合がある。)と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属粒子を酸化的に除去する工程(以下、「金属粒子除去工程(C)」と略称する場合がある。)と、レジストパターンを除去する工程((以下、「レジストパターン除去工程(C)」と略称する場合がある。)と、をこの順に有することを特徴とする。
≪金属粒子析出工程(C)≫
金属粒子析出工程(C)では、ポリマー層形成工程で形成したポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、該金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる。
まず、金属粒子析出工程(C)において用いうる金属イオン及び金属塩について説明する。
金属塩としては、ポリマー層に付与するために、適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)に解離されるものであれば特に制限はない。金属塩の具体例としては、M(NO)n、MCl、M/n(SO)、M/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。
金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Ag、Cr,Cu、Al、Ni、Co、Fe、Pdが挙げられ、中でも、Ag、Crが好ましい。
金属塩や金属イオンは1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
−金属イオン及び金属塩の付与方法−
金属イオン又は金属塩をポリマー層に付与する際、(1)ポリマー層を形成するポリマーがイオン性基を有する場合には、そのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法を用いる。この場合、上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、グラフトポリマーの生成領域に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマーが生成した基材を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記イオン性基には、金属イオンがイオン的に吸着することができる。これら吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
金属イオン又は金属塩をポリマー層に付与する際、(2)ポリマー層を形成するポリマーがポリビニルピロリドンなどのように金属塩に対し親和性の高い構造を含む場合は、上記の金属塩を微粒子状にして直接付着させる、又は、金属塩が分散し得る適切な溶媒を用いて分散液を調製し、その分散液を、ポリマー層上に塗布するか、或いは、その溶液中にポリマー層を形成したガラス基板を浸漬すればよい。
ポリマー層を形成するポリマーが相互作用性基として親水性基を有する場合には、ポリマー層は高い保水性を有するため、その高い保水性を利用して、金属塩が分散した分散液をポリマー層中に含浸させることが好ましい。分散液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマーに付与する際、(3)ポリマー層を形成するポリマーが親水性基を有する場合、金属塩が分散している分散液、又は、金属塩が溶解した溶液をポリマー層上に塗布するか、或いは、その分散液や溶液中にポリマー層を形成したガラス基板を浸漬すればよい。
かかる方法においても、上述と同様に、ポリマー層が有する高い保水性を利用して、分散液又は溶液をそのポリマー層中に含浸させることができる。分散液又は溶液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
特に、この(3)の方法によれば、ポリマー層を形成するポリマーが有する相互作用性基の特性に関わらず、所望の金属イオン又は金属塩を付与させることができる。
−還元剤−
続いて、ポリマー層に付与された金属塩又は金属イオンを還元しるために用いられる還元剤について説明する。
本工程において用いうる還元剤は、金属イオンを還元し、金属単体を析出させる物性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ素酸塩 、ヒドラジンなどが挙げられる。これらの還元剤は、用いる金属塩、金属イオンとの関係で適宜選択することができるが、例えば、金属イオン、金属塩を供給する金属塩水溶液として、硝酸銀水溶液などを用いた場合にはテトラヒドロホウ素酸ナトリウムが、二塩化パラジウム水溶液を用いた場合には、ヒドラジンが、好適なものとして挙げられる。
還元剤の添加方法としては、例えば、ポリマー層を形成したガラス基板表面に金属イオンや金属塩を付与させた後、水洗して余分な金属塩、金属イオンを除去した後、該表面を備えたガラス基板をイオン交換水などの水中に浸漬し、そこに還元剤を添加する方法や、該ガラス基板表面上に所定の濃度の還元剤水溶液を直接塗布或いは滴下する方法等が挙げられる。また、還元剤の添加量としては、金属イオンに対して、等量以上の過剰量用いるのが好ましく、10倍当量以上であることが更に好ましい。
ここで、ポリマー層を形成するポリマーが有する相互作用性基と金属イオン又は金属塩との関係について説明する。
ポリマーが有する相互作用性基が、負の電荷を有する極性基や、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性のイオン性基である場合は、ポリマー層が選択的に負の電荷を有するようになることから、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属単体が析出する。
また、ポリマーが有する相互作用性基が、特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基のイオン性基である場合は、ポリマー層が選択的に正の電荷を有するようになり、金属イオンはそのままの形状では吸着しない。そのため、相互作用性基のイオン性基に起因する親水性を利用して、ポリマー層に、金属塩が分散した分散液、又は、金属塩が溶解した溶液を含浸させ、その含浸させた溶液の中の金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させることで金属単体が析出する。
以上のように、ポリマー層中に金属単体を析出させることで、金属粒子を含有するポリマー層を形成することができる。
ポリマー層中に析出した金属単体(金属粒子)の存在は、表面の金属光沢により目視でも確認することができるが、透過型電子顕微鏡、或いは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて表面を観察することで、その構造(形態)を確認することができる。また、その膜厚は、常法、例えば、切断面を電子顕微鏡で観察するなどの方法により、容易に行なうことができる。金属単体が析出した状態を上記の顕微鏡で観察すると、ポリマー膜中にぎっしりと金属粒子が分散していること確認される。この時、析出した金属粒子の大きさとしては、粒径1μm〜1nm程度である。
≪レジストパターン形成工程(C)≫
レジストパターン形成工程(C)では、金属粒子析出工程(C)において金属粒子を析出させたポリマー層上にレジストパターンを形成する。
レジストパターン形成工程(C)は、前記した態様(A)におけるレジストパターン形成工程(A)と同様にして実施することができる。
≪金属粒子除去工程(C)≫
金属粒子除去工程(C)では、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属粒子を酸化的に除去する。本工程を経ることにより、金属粒子を含有するポリマー層においてレジストパターンで保護された領域は金属粒子含有領域として形成され、金属粒子が除去された領域は金属粒子非含有領域として形成される。
金属粒子除去工程(C)としては、前記した態様(B)における金属粒子除去工程(B)と同様にして実施することができる。
≪レジストパターン除去工程(C)≫
レジストパターン除去工程(C)では、金属粒子除去工程(C)にて金属粒子を選択的に金属粒子を除去した後のポリマー層上に存在するレジストパターンを除去する。
レジストパターン除去工程(C)は、前記した態様(A)におけるレジストパターン除去工程(A)と同様にして実施することができる。
〔態様(D)〕
本態様は、前記ポリマー層形成工程で形成したポリマー層上にレジストパターンを形成する工程(以下、「レジストパターン形成工程(D)」と略称する場合がある。)と、該レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる工程(以下、「金属粒子析出工程(D)」と略称する場合がある。)と、レジストパターンを除去する工程(以下、「レジストパターン除去工程(D)」と略称する場合がある。)と、をこの順に有することを特徴とする。
≪レジストパターン形成工程(D)≫
レジストパターン形成工程(D)では、前記ポリマー層形成工程において形成されたポリマー層上にレジストパターンを形成する。レジストパターン形成工程(D)は、前記した態様(A)におけるレジストパターン形成工程(A)と同様にして実施することができる。
≪金属粒子析出工程(D)≫
金属粒子析出工程(D)では、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる。本工程を経ることにより、金属粒子が析出したポリマー層中の領域は金属粒子含有領域として形成され、レジストパターンで保護されたポリマー層中の領域は金属粒子非含有領域として形成される。
金属粒子析出工程(D)は、前記した態様(C)における金属粒子析出工程(C)と同様にして実施することができる。
≪レジストパターン除去工程(D)≫
レジストパターン除去工程(D)では、金属粒子析出工程(D)を実施した後のポリマー層上に存在するレジストパターンを除去する。
レジストパターン除去工程(D)は、前記した態様(A)におけるレジストパターン除去工程(A)と同様にして実施することができる。
〔態様(E)〕
本態様は、前記ポリマー層形成工程で形成したポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与する工程(以下、「金属イオン等付与工程(E)」と略称する場合がある。)と、金属イオン又は金属塩を付与した後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程(以下、「レジストパターン形成工程(E)」と略称する場合がある。)と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属イオン又は金属塩を除去する工程(以下、「金属イオン等除去工程(E)」と略称する場合がある。)と、レジストパターンを除去する工程(以下、「レジストパターン除去工程(E)」と略称する場合がある。)と、ポリマー層中に存在する金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子として金属粒子を析出させる工程(以下、「金属粒子析出工程(E)」と略称する場合がある。)と、をこの順に有することを特徴とする。
≪金属イオン等付与工程(E)≫
金属イオン等付与工程(E)では、前記ポリマー層形成工程で形成したポリマー層の全面に金属イオン又は金属塩を付与する。
金属イオン等付与工程(E)に適用しうる金属イオン又は金属塩及びその付与方法については、前記した態様(C)の金属粒子析出工程(C)にて適用しうる金属イオン又は金属塩及びその付与方法が、本工程にも同様に適用することができる。
≪レジストパターン形成工程(E)≫
レジストパターン形成工程(E)では、金属イオン等付与工程(E)にて金属イオン又は金属塩を付与した後のポリマー層上にレジストパターンを形成する。
レジストパターン形成工程(E)は、前記した態様(A)におけるレジストパターン形成工程(A)と同様にして実施することができる。
≪金属イオン等除去工程(E)≫
金属イオン等除去工程(E)では、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属イオン又は金属塩を除去する。
金属イオン又は金属塩の除去は、塩化ナトリウムや塩化リチウムなどのアルカリ金属塩を含む水溶液に、レジストパターン形成工程(E)にて、ポリマー層上にレジストパターンを形成した後のガラス基板を浸漬することにより行うことができる。本工程を実施することにより、金属イオンとアルカリ金属とが交換し、金属イオンの除去が行われる。
使用しうるアルカリ金属塩水溶液の濃度は0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。浸漬温度は、5〜50℃の範囲であることが好ましく、10〜30℃の範囲であることがより好ましい。浸漬時間は、1秒〜60分の範囲であることが好ましく、10秒〜10分の範囲であることがより好ましい。
≪レジストパターン除去工程(E)≫
レジストパターン除去工程(E)では、金属イオン等除去工程(E)にて、選択的に金属イオン又は金属塩が除去された後のポリマー層上に存在するレジストパターンを除去する。
レジストパターン除去工程(E)は、前記した態様(A)におけるレジストパターン除去工程(A)と同様にして実施することができる。
≪金属粒子析出工程(E)≫
金属粒子析出工程(E)では、レジストパターン除去工程(E)を実施した後におけるポリマー層中に存在する金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる。本工程を経ることにより、ポリマー層中にパターン状に存在する金属イオン又は金属塩が還元され、金属粒子含有領域として形成される。
金属粒子析出工程(E)に適用しうる金属イオン又は金属塩の還元は、前記した態様(C)の金属粒子析出工程(C)における金属イオン又は金属塩の還元に関する事項が、本工程にも同様に適用することができる。
以上のように、本発明の金属パターン材料の形成方法によれば、表面の平滑性が高い金属パターン材料を得ることができる。
[金属パターン材料]
本発明の金属パターン材料は、既述した本発明の金属パターン材料の製造方法より得られた金属パターン材料であって、ガラス基材上に、金属粒子を含有する領域と金属粒子を含有しない領域とをパターン状に有するポリマー層を備えてなることを特徴とする。
本発明の金属パターン材料は、表面の平滑性が高い金属パターン材料である。より具体的には、本発明の金属パターン材料における金属粒子含有領域の厚みは、
0.05μm以上2μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1.5μm以下であることがより好ましく、0.2μm以上1.0μm以下であることが更に好ましい。
また、金属粒子含有領域の厚みと金属粒子非含有領域の厚みとの差は0.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましい。
金属粒子含有領域の厚み、及び、金属粒子含有領域の厚みと金金属粒子非含有領域の厚みとの差が、上記される範囲の双方を満たしていることが、得られる金属パターン材料の表面における平滑性の点から特に好ましい。
本発明の金属パターン材料における金属粒子含有領域は、遮光性を示す領域であることが好ましい。ここで、遮光性とは、紫外線、可視光等の種々の波長の電磁波を遮断する特性をいう。
金属粒子含有領域が示す遮光性は、例えば、紫外線に対する遮光性であれば、波長254nm〜365nmの光が、どの程度透過するかで評価することができる。この場合、通常は、365nmの光量100に対して、1.0以下の透過量(透過率1.0%以下)であることが好ましい。なお、透過率は、UV−VIS−NIR SPECTROPHOTOMETER UV−3600(SHIMADZU社製)により測定することができる。
本発明の金属パターン材料は、遮光材料であることが好ましい。遮光材料としては、フォトマスク、可視画像等が挙げられる。これらの中でも、本発明の金属パターン材料はフォトマスクとして好適である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、(A)ポリマー層形成工程を実施した後、(B)金属粒子含有領域形成工程を態様(B)により実施することにより、金属パターン材料1を得た。
(ポリマー層形成工程)
光開裂化合物として下記構造のシラン型化合物(P001)を用い、これを1質量%トルエン溶液として。この溶液を石英ガラス基板(2.3mm厚)上にスピナーを用いて塗布し(回転数500rpm、10秒)、100℃で、1分乾燥した。これにより、開始剤である光開裂化合物がその表面に結合したガラス基板を得た。
次に、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの20質量%水溶液を調製し、その溶液の中に開始剤が結合した石英ガラス基板を浸漬し、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機(株)製)で1分間露光した。
露光後、ポリマー層が形成されたガラス基板を純水で充分洗浄した。
Figure 2009069190
(金属粒子含有領域形成工程)
−金属粒子付与−
上記により得られたポリマー層が形成されたガラス基板を、黒色のAg−Snナノ粒子分散液(イソプロピルアルコール分散液)に1時間浸漬した後、イソプロピルアルコール、水で洗浄し、さらに水を含ませた布(ベムコットン)で表面をこすり表面に付着していたAg−Snナノ粒子を除去した。これにより、金属粒子を含有するポリマー層である着色層1を形成した。
−レジストパターン形成−
上記により形成された着色層1の表面に、ポジ型レジストAZ1350(AZ Electronic Materials社製)を塗布し、マスクを通した光で露光し、現像してレジストパターンを形成した。
−金属粒子除去、レジストパターン除去−
金属粒子を含有するポリマー層にレジストパターンを形成してなるガラス基板を、下記組成の漂白液(40℃)に3分間浸漬して、レジストパターンの非形成領域における着色層1中に存在する不要な銀粒子を取り除いた(金属粒子除去)。更に、レジストパターンをテトラメチルアンモニュウムの2.38%水溶液で現像除去した(レジストパターン除去)。
<漂白液組成>
水 800ml
チオ硫酸アンモニウム(50重量%) 120ml
亜硫酸アンモニウム 17g
エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム 60g
エチレンジアミン四酢酸・2Na 3g
氷酢酸 7g
水を加えて 1000ml
pH(25℃) 5.50
以上により、ポリマー層中に銀粒子を含有するパターン状の金属粒子含有領域を有するに遮光性の金属パターン材料1を得た。
[実施例2]
本実施例では、(A)ポリマー層形成工程を実施した後、(B)金属粒子含有領域形成工程を態様(A)により実施することにより、金属パターン材料2を得た。
(ポリマー層形成工程)
実施例1と同様にしてポリマー層形成工程を実施し、ポリマー層が形成されたガラス基板を得た。
(金属粒子含有領域形成工程)
上記にて得られたポリマー層が形成されたガラス基板に対し、レジストパターン形成、金属粒子付与、金属粒子付与、及びレジストパターン除去の順に実施した以外は、各工程の実施態様は実施例1と同様にして、金属粒子含有領域形成工程を行った。
以上により、ポリマー層中に銀粒子を含有するパターン状の金属粒子含有領域を有するに遮光性の金属パターン材料2を得た。
[実施例3]
本実施例では、(A)ポリマー層形成工程を実施した後、(B)金属粒子含有領域形成工程を態様(C)により実施することにより、金属パターン材料3を得た。
(ポリマー層形成工程)
石英ガラス基板に、実施例1と同じ方法にて開始剤である前記シラン型化合物(P001)を結合させた。
次に、下記合成例1によりで合成した重合性基含有ポリマー1のメチルエチルケトン溶液(10質量%)を調製し、この溶液を、上記にて開始剤を結合させた石英ガラス基板上にスピナーを用いて塗布し(回転数500rpm10秒)80℃で5分間乾燥した。
その後、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機(株)製)で1分間露光した。
露光後、ポリマー層が形成されたガラス基板をアセトンで充分洗浄した。
−合成例1:重合性基含有ポリマー1の合成−
ポリアクリル酸(平均分子量25,000)18gをDMAc300gに溶解し、ハイドロキノン0.41gと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート3.53gとジブチルチンジラウレート0.25gを添加し、65℃、4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。1N水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルに加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄し重合性基含有ポリマー11を得た。
(金属粒子含有領域形成工程)
−金属粒子析出−
上記により得られたポリマー層が形成されたガラス基板を、硝酸銀1質量%水溶液に1分間浸漬した後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
その後、下記組成のグリオキシル酸水溶液(pH=12.5)に1分間浸漬して銀イオンを還元し金属粒子を形成させ、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
<グリオキシル酸水溶液の組成>
水 100mL
水酸化ナトリウム 1.0mg
グリオキシル酸 1.0mL
−レジストパターン形成、金属粒子除去、レジストパターン除去−
金属粒子析出工程を実施した後のガラス基板に対し、レジストパターン形成、金属粒子除去、及びレジストパターン除去の順に実施した以外は、その実施態様は実施例1と同様にして、金属粒子含有領域形成工程を行った。
以上により、ポリマー層中に銀粒子を含有するパターン状の金属粒子含有領域を有するに遮光性の金属パターン材料3を得た。
[実施例4]
本実施例では、(A)ポリマー層形成工程を実施した後、(B)金属粒子含有領域形成工程を態様(D)により実施することにより、金属パターン材料4を得た。
(ポリマー層形成工程)
実施例3と同様にしてポリマー層形成工程を実施し、ポリマー層が形成されたガラス基板を得た。
(金属粒子含有領域形成工程)
上記にて得られたポリマー層が形成されたガラス基板に対し、レジストパターン形成、金属粒子析出、及びレジストパターン除去の順に実施した以外は、その実施態様は実施例3と同様にして、金属粒子含有領域形成工程を行った。
以上により、ポリマー層中に銀粒子を含有するパターン状の金属粒子含有領域を有するに遮光性の金属パターン材料4を得た。
[実施例5]
本実施例では、(A)ポリマー層形成工程を実施した後、(B)金属粒子含有領域形成工程を態様(E)により実施することにより、金属パターン材料5を得た。
実施例3と同様にしてポリマー層形成工程を実施し、ポリマー層が形成されたガラス基板を得た。
(金属粒子含有領域形成工程)
−金属イオン吸着−
上記にて得られたポリマー層が形成されたガラス基板を、実施例3と同様にして、硝酸銀1質量%水溶液に1分間浸漬した後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
−レジストパターン形成、
金属イオン吸着を実施した後のガラス基板に対し、実施例1と同様にして、レジストパターン形成を行った。
−金属イオン除去−
上記によりレジストパターン形成を実施した後のガラス基板を、室温にて食塩水1wt%の溶液に10分間浸漬し、その後、水で洗浄を行った。これによりレジストパターン非形成領域におけるポリマー層中に存在する銀イオンは、塩化銀としてポリマー層から水溶液中に除去された。
−レジストパターン除去−
金属イオン吸着を実施した後のガラス基板に対し、実施例1と同様にして、レジストパターン除去を行った。
−金属イオン還元−
レジストパターン除去を実施した後のガラス基板を、実施例3と同様にして、グリオキシル酸水溶液(pH=12.5)に1分間浸漬して銀イオンを還元し金属粒子を形成させ、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
以上により、ポリマー層中に銀粒子を含有するパターン状の金属粒子含有領域を有するに遮光性の金属パターン材料5を得た。
<フォトマスクとしての性能評価>
実施例1〜5で得られた金属パターン材料1〜5について、フォトマスクとしての性能評価を以下のように行った。なお、本評価においては、比較例1としてクロムマスク(商品名:FUJJI NO.1、エスケーエレクトロニクス(株)社製)を用いて、各実施例と同様に評価した。
−評価方法−
(評価1)
得られた金属パターン材料1〜5における金属粒子含有領域(画像部)と、金属粒子非含有領域(非画像部)とにおける表面凹凸性をAFM(ナノピクス9000;セイコーインスツルメンツ(株)社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
(評価2)
レジスト液(AZ1350:AZ Electronic Materials社製)を、各金属パターン材料の表面に1mL落とし、乾燥した後、メタノールを染みこませた布で表面をふき取り、画線部の端にふき取りの残渣が残るかどうかを調べた。
Figure 2009069190
(評価3)
実施例1〜5で得られた各金属パターン材料のサンプルを、ガラスカッターにより破断し、その断面をSEMで観察した。その結果、金属粒子含有領域(画像部)の形状は、逆台形ではなく、なだらかな台形であることが確認された。このことからも、実施例により得られた金属パターン材料を適用してなるフォトマスクは、その表面に汚染物が付着した場合であっても、容易に除去しうるものであることが判る。
以上のように、本発明の金属パターン材料の製造方法により得られた金属パターン材料は、表面の平滑性が高いものであることが判る。かかる特徴を有する金属パターン材料は、遮光材料であるフォトマスクに好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. (A)ガラス基板上に、金属粒子との相互作用を形成しうる官能基、或いは、金属イオン又は金属塩との相互作用を形成しうる官能基を有し、且つ、少なくとも該ガラス基板に片末端で直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
    (B)前記ポリマー層上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンの形成領域及び非形成領域のいずれか一方の領域におけるポリマー層に、金属粒子を含有する領域をパターン状に形成する工程と、
    を有することを特徴とする金属パターン材料の製造方法。
  2. 前記(B)工程が、
    前記(A)工程で形成したポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に金属粒子を付与する工程と、レジストパターンを除去する工程と、
    をこの順に有することを特徴とする請求項1に記載の金属パターン材料の製造方法。
  3. 前記(B)工程が、
    前記(A)工程で形成したポリマー層に金属粒子を付与する工程と、該金属粒子を付与した後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属粒子を酸化的に除去する工程と、レジストパターンを除去する工程と、
    をこの順に有することを特徴とする請求項1に記載の金属パターン材料の製造方法。
  4. 前記(B)工程が、
    前記(A)工程で形成したポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、該金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる工程と、金属粒子を析出させた後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属粒子を酸化的に除去する工程と、レジストパターンを除去する工程と、
    をこの順に有することを特徴とする請求項1に記載の金属パターン材料の製造方法。
  5. 前記(B)工程が、
    前記(A)工程で形成したポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、該レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる工程と、レジストパターンを除去する工程と、
    をこの順に有することを特徴とする請求項1に記載の金属パターン材料の製造方法。
  6. 前記(B)工程が、
    前記(A)工程で形成した前記ポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与する工程と、金属イオン又は金属塩を付与した後のポリマー層上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンの非形成領域におけるポリマー層中に存在する金属イオン又は金属塩を除去する工程と、レジストパターンを除去する工程と、ポリマー層中に存在する金属イオン又は金属塩を還元することにより、金属粒子を析出させる工程と、
    をこの順に有することを特徴とする請求項1に記載の金属パターン材料の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の金属パターン材料の製造方法により得られた金属パターン材料であって、ガラス基材上に、金属粒子を含有する領域と金属粒子を含有しない領域とをパターン状に有するポリマー層を備えてなる金属パターン材料。
  8. 金属粒子を含有する領域に含有される金属粒子が、クロム又は銀を含む金属粒子であることを特徴とする請求項7に記載の金属パターン材料。
  9. ポリマー層における金属粒子を含有する領域の厚みが0.01μm以上2μm以下であり、金属粒子を含有する領域の厚みと金属粒子を含有しない領域の厚みとの差が0.5μm以下であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の金属パターン材料。
  10. 遮光材料であることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の金属パターン材料。
  11. フォトマスクであることを特徴とする請求項10のに記載の金属パターン材料。
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