JP2009068515A - 長尺部材の保持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】長尺部材を保持した防振材を保持部材で抱持して容易に被取付部材に締結部材で固定することができる長尺部材の保持構造を提供すること。
【解決手段】配管11〜14等の長尺部材1は、防振材2を介在して保持部材3で保持して締結具5により被取付部材4に固定される。保持部材3は、防振材2を抱持する抱持部31と、この抱持部31の両端部にそれぞれ形成された締付固定部32,33と、各締付固定部32,33に穿設された第1貫通孔32a,33aおよび第2貫通孔32b,33bと、を備えている。第1貫通孔32a,33aには、締付固定部32,33を一次締付させる一次締結具6が挿入される。第2貫通孔32b,33bには、保持部材3を被取付部材4に二次締付して固定する締結具5が挿入される。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、自動車の車体の床下等に配置される配管等の長尺部材を、防振材を介在して保持部材で保持して締結部材で車体等の被取付部材に固定する長尺部材の保持構造に関する。
従来から配管等の長尺部材を被取付部材に固定する固定手段としては、長尺部材を保温材を介在して巻き回す巻き締め部と、この巻き締め部の両端部に形成された平板状の足部と、床面に固定する固定部と、を備えたクランプ(ブラケット)等を使用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このクランプは、二分割された略半円形状の分割片の一端部に蝶番を設けて開閉可能に連結し、2つの分割片の他端部を突き合わせて配管を巻き締めて、その他端部に形成した固定部をボルトナットで床面等に固定するものである。
図5は、従来の長尺部材の保持構造を示す図であり、(a)はボルトをクランプの貫通孔に挿入するときの状態を示す断面を有する斜視図、(b)はボルトを被取付部材に螺着するときの状態を示す断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、従来、配管100を、車体やこの車体に固定されたブラケット等からなる被取付部材200に固定する際には、一般に、クランプ300が使用されている。クランプ300は、複数の配管100を導電性のアース用のゴム製防振材400を介在して抱持し、被取付部材200にボルト500およびナット600で固定している。
ゴム製防振材400には、このゴム製防振材400を2つに分割するように切込溝420が形成されて、開口可能な防振材半体部430,430が形成されている。防振材半体部430,430の対向面には、複数の配管100をゴム製防振材400内を挿通した状態に保持するための複数の配管保持用凹部410が形成されている。
前記クランプ300は、そのゴム製防振材400を覆って、両端部に形成した平面部330,340の貫通孔350,360にボルト500を差し込んで、被取付部材200に固定されたナット600に螺着することによって、配管100を被取付部材200に取り付けている。
特開2003−247664号公報(図1、図2)
しかしながら、前記特許文献1に記載されたさや管ヘッダー用ブラケットや、図5(a)、(b)に図示したクランプ300では、クランプ半体部310,320の互いに重なり合う部分である平面部330,340に規制がないため、完成車への組み付け前の配管アッセンブリーとして梱包時、輸送時、あるいは、車体への組付時に、クランプ半体部310,320が開くように変形して、貫通孔350,360の位置がずれるという問題点があった。
例えば、配管保持用凹部410に配管100を挿入して、その配管100をゴム製防振材400を介在してクランプ300で抱持しながらボルト500を貫通孔350,360に挿通する際には、一方の貫通孔350の位置と他方の貫通孔360の位置とがずれて、ボルト500を両方の貫通孔350,360に容易に挿入できないという問題点があった。
さらに詳述すると、図5(a)に示すように、クランプ300は、防振材半体部430,430で配管100を挟持したゴム製防振材400をクランプ半体部310,320によって抱持する際に、軟質のゴム材からなる防振材半体部430,430の反力や、クランプ半体部310,320自体が有する開方向(矢印a,b方向)の弾性力によって、貫通孔350,360の位置が矢印c,dの平面方向に移動してずれることがある。このように貫通孔350,360の位置が互いにずれた状態で、一方の貫通孔350にボルト500を挿入すると、ボルト500の先端は、他方の貫通孔360の周縁部に当接して貫通孔360に係合させることができない。
このような場合、従来は、ボルト500を貫通孔350,360に挿入させる前に、作業者が手作業で平面部330,340を合致させるようにクランプ半体部310,320を抑え付けて2つの貫通孔350,360を一致させた状態にしてから、ボルト500の先端を他方の貫通孔360に挿入させなければならないため、作業性が悪いという問題点があった。
さらに、そのボルト500の先端を被取付部材200のナット600に螺着させる際にも、クランプ半体部310,320が矢印a,bの開方向に弾性力を有しているので、その弾性力がボルト締めの際の反力となってボルト500の先端がナット600から離間し易く、いわゆる口開きの状態になるため、ボルト締め作業が行い難いという問題点があった。
そこで、本発明は、前記問題点を解消すべく発明されたものであり、完成車への組み付け前の配管アッセンブリーとして輸送時における保持部材の変形を防止すると共に、長尺部材を保持した防振材を保持部材で抱持して容易に被取付部材に締結部材で固定することができる長尺部材の保持構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の長尺部材の保持構造は、配管等の長尺部材を、防振材を介在して保持部材で保持して締結具により被取付部材に固定する長尺部材の保持構造において、前記保持部材は、前記防振材を抱持する抱持部と、この抱持部の両端部にそれぞれ形成された締付固定部と、前記各締付固定部に穿設された第1貫通孔および第2貫通孔と、を備え、前記第1貫通孔には、前記締付固定部を一次締付させる一次締結具が挿入され、前記第2貫通孔には、前記保持部材を被取付部材に二次締付して固定する前記締結具が挿入されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、長尺部材を防振材を介在して保持部材で保持して締結具で被取付部材に固定する際には、まず、長尺部材を、防振材を介在して抱持部で抱持する。次に、その抱持部の両端部にそれぞれ形成された締付固定部の第1貫通孔に一次締結具を挿入して、締付固定部を一次締付(仮止め)する。すると、抱持部の両端部の締付固定部にそれぞれ穿設された第2貫通孔が合致した状態に一次締結具によって保持される。このため、第2貫通孔に締結具を容易に挿入することができる。したがって、締結具で保持部材を被取付部材に二次締付して固定する取付作業を容易に行うことができるようになる。また、完成車への組み付け前の配管アッセンブリーとして梱包時、輸送時、あるいは、車体への組付時に、締付固定部がずれることが抑制されるので、保持部材が変形することを防止することができる。
請求項2に記載の長尺部材の保持構造は、請求項1に記載の長尺部材の保持構造であって、前記一次締結具は、前記第1貫通孔に係合される仮固定用のクリップからなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、一次締結具は、第1貫通孔に係合される仮固定用のクリップからなることにより、その一次締結具を押圧することで第1貫通孔に適宜に着脱することができるので、保持部材の両端の締付固定部を締め付けた状態に仮固定することができる。
本発明の請求項1に係る長尺部材の保持構造によれば、完成車への組み付け前の配管アッセンブリーとして輸送時における保持部材の変形を防止すると共に、長尺部材を保持した防振材を保持部材で抱持して容易に被取付部材に締結部材で固定することができ、長尺部材を被取付部材に保持させる作業の作業性を向上させることができる。
本発明の請求項2に係る長尺部材の保持構造によれば、クリップによって保持部材の両端の締付固定部を締め付けた状態に保持して、容易に仮固定することができる。
図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造の一例を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造の一例を示す図であり、保持部材に一次締結具および締結具を取り付けた状態を示す概略断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造を示す図であり、(a)は保持部材の第1貫通孔に一次締結具を挿入するときの状態を示す断面を有する斜視図、(b)は一次締結具を締付固定部に取り付けて保持部材を被取付部材に締結するときの状態を示す概略断面図である。図3は、本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造を示す図であり、クリップを第1貫通孔に装着するときの状態を示す要部拡大断面図である。
まず、本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造を説明するのに先立って、保持部材3が取り付けられる被取付部材4について説明する。
≪被取付部材の構成≫
図1に示す被取付部材4は、長尺部材1を保持する保持部材3が取り付けられる部材であり、締結具5で固定することが可能な部材であれば、特に限定されない。その被取付部材4は、例えば、保持部材3を適宜な板状部材等に間接的に固定することができるブラケット41からなる。
なお、被取付部材4は、長尺部材1を固定させておく部材であり、例えば、自動車の車体7や機械類や設備や器具等であってもよく、それらに直接的に締結具5で固定してもよく、また、ブラケット41を介して間接的に固定してもよい。
以下、被取付部材4を、自動車の車体7のフロアパネル71の床下に設置されるブラケット41とした場合を例に挙げて本発明の実施形態を説明する。
<ブラケットの構成>
図1に示すように、ブラケット41は、フロアパネル71やフロアフレーム(図示せず)やフロアトンネル(図示せず)やサイドシル(図示せず)等の車体7に保持部材3を取り付けるための部材である。ブラケット41は、ブラケット本体41aと、このブラケット本体41aを補強するための補強部材41bと、から主に構成されている。ブラケット41は、一端部に、締結具5が挿入される固定孔41c、および、この固定孔41cに連設されたナット52を有し、他端部に、補強部材41b、および、ブラケット41を車体7に固定するための結合部41dを有している。
ブラケット本体41aは、締結具5が挿通される固定孔41cを有する金属製の平板部材からなる。
補強部材41bは、ブラケット41が外力によって変形することを防止するための部材であり、例えば、金属製の平板部材からなる。補強部材41bは、ブラケット本体41aとの間に閉断面部41eを形成するように重ねて設置されて、一端がブラケット本体41aに溶接され、他端がブラケット本体41aと共に結合部41dを溶接手段または締結手段によって車体7に固定される。
固定孔41cは、例えば、ボルト51等の締結具5の雄ねじ部51aが挿通される孔である。なお、固定孔41cは、雌ねじが形成されたねじ孔であってもよい。この場合は、ナット52はなくても構わない。
ナット52は、ボルト51の雄ねじ部51aが螺合する部材であり、例えば、溶接手段等によってブラケット41に固定されている。
結合部41dは、ブラケット41をフロアパネル71等の車体7に固定するための部位であり、固定される箇所の形状に合わせて形成されている。
≪車体およびフロアパネルの構成≫
ここで、保持部材3が配置される車体7およびフロアパネル71について説明する。
図1に示すように、車体7は、保持部材3が固定されるものであって、例えば、フロアパネル71等のパネル材や、車両の骨格を形成するフレーム部材や、その他の板状部材である。その車体7は、保持部材3が固定されるものであればよく、特に限定されない。
フロアパネル71は、車両の床面を形成する金属製の平板部材であり、そのフロアパネル71の床下には、適宜な間隔を介して長尺部材1が配置されている。
≪長尺部材および配管の構成≫
前記長尺部材1は、流体を送るための配管11,12,13,14や、電気配線用の電線や、動力を伝達するためのワイヤ等である。後記する防振材2を介在して保持部材3で保持して被取付部材4に締結具5により固定される。
配管11,12は、燃料、燃料蒸気ガス、空気等を送るための金属製または樹脂製の種々の管体であり、例えば、燃料タンク(図示せず)あるいはキャニスタ(図示せず)等に接続されている。配管11,12は、例えば、フィラパイプ、ベーパーリターンチューブ、ドレンパイプ、ベントパイプ、フューエルパイプ、ブリーザパイプ、パージパイプ等のパイプやチューブである。
配管13,14は、例えば、ブレーキ装置のマスタシリンダやABS用のブレーキパイプ等の油圧パイプである。
≪防振材の構成≫
防振材2は、長尺部材1を覆って、その長尺部材1を振動、衝撃等から保護し、または長尺部材1の振動の車体7への伝達を防止するための保護部材であり、例えば、ゴム、軟質樹脂、発泡樹脂等の弾性を有する材料で形成されている。防振材2の外周部は、断面が長円形、または、四角が円弧状に形成されている。防振材2には、単数または複数の長尺部材1をそれぞれ保持するための保持用凹部2a,2b,2c,2dと、当該防振材2の締付固定部32,33側の外周面から各保持用凹部2a,2b,2c,2dに向けて切り込まれた切込溝2eと、この切込溝2eによって開口可能に略二分された防振材半体部21,22と、が形成されている。
なお、防振材2は、保持する長尺部材1の本数に合わせて適宜な形状に形成すればよく、例えば、長尺部材1の本数が多いときは、その長尺部材1を横一列に配置して横長に形成すればよく、また、長尺部材1の本数が少なければそれに合わせて横幅を狭く形成すればよい。なお、防振材2は、長尺部材1が熱を有する場合には断熱材であってもよい。
保持用凹部2a,2b,2c,2dは、横一列に適宜な間隔を介して配置された複数の溝からなり、例えば、切込溝2eの奥側から外径(幅)が小さい順に配列されている。
保持用凹部2a,2b,2cは、複数の配管11,12,13を保持する断面が半円形状の一対の溝を対向配置してなり、各配管11,12,13の延在する方向に向けて、切込溝2eの奥側から外径の小さい順、または、配管11,12,13の用途や種類別に形成されている。
切込溝2eの最も奥に配置された保持用凹部2dは、配管14が挿入される断面がC字形状に形成された溝であり、配管14の延在する方向に向けて形成されている。その保持用凹部2dの背面側の部位は、開口可能な防振材半体部21,22の蝶番の役目の機能も果たすように形成されている。
≪保持部材の構成≫
図1に示すように、保持部材3は、複数の長尺部材1を絶縁性の防振材2を介在して抱持しブラケット(被取付部材4)41にボルト51およびナット52により固定するための固定部材であり、クランプの機能を備えている。保持部材3は、防振材2の外周部を覆うようにしっかりと抱持する抱持部31と、この抱持部31の両端部にそれぞれ外側方向に突出して形成された締付固定部32,33と、この各締付固定部32,33に穿設された第1貫通孔32a,33aおよび第2貫通孔32b,33bと、を備えている。この保持部材3は、鋼板によってベルト状に形成された厚板部材からなり、両端の締付固定部32,33が開口できるようになっている。
<抱持部の構成>
抱持部31は、この抱持部31に内設される防振材半体部21,22の側部外周面に巻き付けるように配置されて、長尺部材1および防振材2が動かないように締め付けて抱持する部位であり、結束バンドの機能を備えている。この抱持部31は、両端部(接触および離間する部位)から外側に向けて突設した締付固定部32,33の対向面を互いに当接させて合わせ付けることにより、防振材半体部21,22を締め付けることができるように形成されている。抱持部31は、内設される防振材2の側面全体が合致して密着するように防振材2の外形に合わせて形成されており、例えば、正面視して四角に面取りを施した略長方形に形成されている。言い換えると、その略長方形の抱持部31は、切込溝2eによってV字状に二分された防振材半体部21,22に合わせて両端部が開閉(接触および離間)するように、正面視して略C字状に形成されている。
<締付固定部の構成>
締付固定部32,33は、当該2つの締付固定部32,33の対向面を合わせることで防振材半体部21,22を締め付けて互いに圧接させると共に、締結具5およびクリップ(一次締結具)6を装着するための部位であり、例えば、平板状に形成されている。締付固定部32と締付固定部33とは、抱持部31の両端部からそれぞれ外側方向に対向して突出した長方形の突出片でなり、互いに略合致する形状に形成されている。
<第1貫通孔および第2貫通孔の構成>
第1貫通孔32a,33aは、締付固定部32,33を一次締付させる一次締結具6が挿入される孔であり、第2貫通孔32b,33bより抱持部31側寄りに穿設されている。第1貫通孔32a,33aと第2貫通孔32b,33bとは、締付固定部32,33において近傍に設置される。
第2貫通孔32b,33bは、保持部材3を被取付部材4に二次締付して固定する締結具5が挿入される孔である。
≪クリップ(一次締結具)の構成≫
図1に示すように、クリップ61は、保持部材3を締結具5でブラケット41(被取付部材4)に固定する際に、締付固定部32,33の対向面を合致した状態に保持して、第2貫通孔32b,33bがずれるのを抑制するための位置決め部材兼、保持部材3の開き防止用部材である。このクリップ61は、第1貫通孔32a,33a内に挿入して係合させることで、第2貫通孔32b,33bが合致した状態に締付固定部32,33を仮止めする仮固定用の係止部材である。
図2(a)に示すように、クリップ61は、締付固定部33の平面部に当接する頭部6aと、締付固定部32,33を合致させたときに、この頭部6aから突出形成させて反対側の締付固定部32の第1貫通孔33aの開口端に圧接して係止する係止部6bと、係止部6bの先端側に形成された先端側斜面6cと、係止部6bの基端部側に形成された基端側斜面6dと、を有している。
なお、クリップ61は、第1貫通孔32a,33aに挿入して締付固定部32,33を合致させた状態を保持できるものであれば、その形状は特に限定されない。
頭部6aは、締付固定部32の第1貫通孔32aの縁に係止するものであれば良く、その形状は特に限定されない。
係止部6bは、締付固定部33の第1貫通孔33aの縁に圧接して係止するものであれば良く、例えば、図1に示すように、なだらかな先端側斜面6cおよび基端側斜面6dを有する山状に形成されている。
先端側斜面6cは、略円錐形状に形成されて先細状の面からなる。
基端側斜面6dは、基端部側が細いテーパ状の面からなる。
≪締結具の構成≫
図1に示すように、締結具5は、保持部材3をブラケット41に固定させるための固定具であり、例えば、ボルト51と、このボルト51が螺着されるナット52と、から構成されている。
ボルト51は、雄ねじ部51aを締付固定部32の第2貫通孔32b、締付固定部33の第2貫通孔33b、およびブラケット41の固定孔41cを挿通して、ナット52の雌ねじ部52aに螺着される。このボルト51の形状および種類等は特に限定されない。ボルト51は、例えば、汎用ボルトやスタットボルトであってもよい。
ナット52は、雌ねじ部52aを固定孔41cに一致させた状態でブラケット41の表面に溶接手段等によって固定されている。
≪作用≫
次に、図1〜図3を参照して本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造の作用を取り付け手順と共に説明する。
まず、図2(a)に示すように、防振材半体部21,22を手で把持して矢印A,Bの外側方向に広げて切込溝2eを拡開させる。
次に、長尺部材1を、配管14,13,12,11の順に締付固定部32と締付固定部33との間から切込溝2e内に挿入して、奥側の保持用凹部2dから順次に保持用凹部2c,2b,2aに嵌入する。
防振材2から手を離すと、防振材2および保持部材3は、この防振材2および保持部材3が備えている弾性力によって矢印C,Dの元に状態の方向に戻り、各保持用凹部2a,2b,2c,2dが配管11,12,13,14に当接する。
次に、クリップ61の係止部6bを第1貫通孔32a側から第1貫通孔32a,33aに押し込んで、その係止部6bの基端側斜面6dを反対側の第1貫通孔33aの開口縁に圧接させて係止させる。
この場合、図3に示すように、一方の第1貫通孔32aに対して他方の第1貫通孔33aに位置が長さLずれていたとしても、クリップ61の先端側斜面6cが第1貫通孔33aの縁に当接して押圧することにより、締付固定部33を第1貫通孔32aの中心線O1−O1と第1貫通孔33aの中心線O2−O2とが一致する矢印E方向に移動する。これにより、第1貫通孔32a,33aおよび第2貫通孔33b,33bが一致する。
さらにクリップ61を押圧すると、図2(b)に示すように、締付固定部32がクリップ61の頭部6aに押圧されて、締付固定部32と締付固定部33との対向面が互いに合致して当接し合った状態に自動的に調整されて、頭部6aと係止部6bの基端側斜面6dとで挟持されて保持される。
第2貫通孔33bと第2貫通孔33bとは、クリップ61の挿入によって第1貫通孔32a,33aが一致した状態に締付固定部32,33が位置調整されたことにより、自動的に一致した状態になる。このため、ボルト51の雄ねじ部51aを第2貫通孔32b,33bに挿通させる際には、第2貫通孔32b,33bの位置合わせが不用となり、容易に挿通させることができる。
そして、雄ねじ部51aをさらに固定孔41cに挿通してナット52の雌ねじ部52aに螺合させれば、ボルト51により容易に保持部材3をブラケット41に固定することができるため、保持部材3の取付作業を容易に行うことができ、取付作業の作業性を向上させることができる。
このようにして保持された長尺部材1は、フロアパネル71の所定位置にしっかりと配置させることができる。保持部材3と長尺部材1との間に介在された防振材2は、圧縮された状態で抱持されていので緩むことがなく、また、車体7の振動を吸収して、その振動が長尺部材1に伝達されることを抑制することができると共に、長尺部材1の振動の車体7への伝達を防止することができる。
また、完成車への組み付け前の配管アッセンブリーとして梱包時、輸送時、あるいは、車体7への組付時に、締付固定部32,33がずれるのを一次締結具6を第1貫通孔32a,33aに装着して規制しておけば、締付固定部32,33がずれたり、保持部材3が変形したりすることを防止することができる。
このように、本発明に係る長尺部材の保持構造は、配管11,12,13,14を車体7に固定する場合を例に挙げて説明したが、管状、線状、棒状、柱状の種々の長尺部材1を機械類や機器類や設備類等の被取付部材4に締結具5で固定する際に、適宜に利用できる。
≪変形例≫
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にも及ぶことは勿論である。
<一次締結具および第1貫通孔の変形例>
図4(a)〜(f)は、一次締結具の種々の変形例をそれぞれ示す斜視図である。
前記実施形態で説明した一次締結具6は、図1および図2に示すクリップ61に限定されるものではなく、締付固定部32,33の第1貫通孔32a,33aに着脱できるものであればよい。
例えば、図4(a)に示すように、一次締結具6は、第1貫通孔33aの開口端に圧接する係止爪62b,62bを有する一対の弾性係止片62a,62aを突出形成した樹脂製のクリップ62であってもよい。
また、一次締結具6は、図4(b)に示すように、くの字状の複数の弾性片63aを間隔を介して略円筒状に配置した樹脂製のクリップ63であってもよい。その弾性片63aは、外側方向に弾性力を有して第1貫通孔33a(図4(c)参照)に係止するものであればよい。
一次締結具6は、図4(c)に示すように、縦断面視して略V字状に形成されて外方向にばね力を有して第1貫通孔33aに係止する弾性係止片64aを備えた樹脂製のクリップ64であってもよい。クリップ64の頭部64bは、締付固定部32を押圧する弾性を皿ばね状のものであってもよい。
前記第1貫通孔32a,33aは、円形のものに限定されるものではなく、図4(d)に仮想線で示す第1貫通孔32c,33cのように、四角形やその他の多角形のものであってもよい。この場合、一次締結具6は、平面視して四角形の弾性係止片65aにする。
また、前記第1貫通孔32a,33aは、図4(e)に示すように、平面視して細長いスリット形状の第1貫通孔32d,33dであってもよい。この場合は、一次締結具6は、金属製ばね部材からなる略V字状に形成したワイヤ状のクリップ66でもよい。クリップ66は、略く字状の係止部66aと、作業者が手で摘む拡開した傾斜部66bと、を一体形成している。
また、一次締結具6は図4(f)に示すように、く字状に折曲形成した複数の金属製舌片67aを円筒状に配置した金属製のクリップ67であってもよい。
<防振材および保持部材の変形例>
例えば、図1および図2に示す前記防振材2と保持部材3とは、別部材で分離可能なものを例に挙げて説明したが、2種類の樹脂材料を一体成形する二色成形や接着剤によって一体に形成したものであってもよい。
このように構成すれば、図2(a)に示すように、切込溝2eを拡開して長尺部材1を保持用凹部2a,2b,2c,2dに嵌合させる際に、締付固定部32,33を手で持って防振材半体部21,22を広げればよいので、長尺部材1の装着作業が行い易くなる。
また、防振材2は、図2(a)に示すように、長尺部材1の本数に合わせて、4つの保持用凹部2a,2b,2c,2dを形成したものを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、防振材2は、各長尺部材1を束ねることが可能な場合には、防振材2に1つの保持用凹部2dを形成して、保持用凹部2dによって複数の配管11,12,13,14等を束ねるように結束してもよい。
本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造の一例を示す図であり、保持部材に一次締結具および締結具を取り付けた状態を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造を示す図であり、(a)は保持部材の第1貫通孔に一次締結具を挿入するときの状態を示す断面を有する斜視図、(b)は一次締結具を締付固定部に取り付けて保持部材を被取付部材に締結するときの状態を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る長尺部材の保持構造を示す図であり、クリップを第1貫通孔に装着するときの状態を示す要部拡大断面図である。 (a)〜(f)は、一次締結具の種々の変形例をそれぞれ示す斜視図である。 従来の長尺部材の保持構造を示す図であり、(a)はボルトをクランプの貫通孔に挿入するときの状態を示す断面を有する斜視図、(b)はボルトを被取付部材に螺着するときの状態を示す断面図である。
符号の説明
1 長尺部材
2 防振材
3 保持部材
4 被取付部材
5 締結具
6 一次締結具
7 車体
31 抱持部
32,33 締付固定部
32a,33a 第1貫通孔
32b,33b 第2貫通孔
61,62,63,64,65,66,67 クリップ

Claims (2)

  1. 配管等の長尺部材を、防振材を介在して保持部材で保持して締結具により被取付部材に固定する長尺部材の保持構造において、
    前記保持部材は、前記防振材を抱持する抱持部と、
    この抱持部の両端部にそれぞれ形成された締付固定部と、
    前記各締付固定部に穿設された第1貫通孔および第2貫通孔と、を備え、
    前記第1貫通孔には、前記締付固定部を一次締付させる一次締結具が挿入され、
    前記第2貫通孔には、前記保持部材を被取付部材に二次締付して固定する前記締結具が挿入されることを特徴とする長尺部材の保持構造。
  2. 前記一次締結具は、前記第1貫通孔に係合される仮固定用のクリップからなることを特徴とする請求項1に記載の長尺部材の保持構造。
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