JP2009067913A - 断熱材組成物及びポリウレタン発泡断熱材 - Google Patents

断熱材組成物及びポリウレタン発泡断熱材 Download PDF

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Abstract

【課題】−30〜−50℃にもなる低温に保持される冷凍・冷蔵倉庫などの断熱材として用いられる場合でも、十分な断熱性及び寸法安定性を有すると共に、鉛、錫触媒の使用量を削減して近年の環境問題にも十分に対応し得る断熱材組成物及び該断熱材組成物を施工したポリウレタン発泡断熱材を提供する。
【解決手段】ポリオール成分を含む第1液と、イソシアネート成分を含む第2液とで少なくとも構成され、前記第1液と第2液とを混合して施工対象面に吹き付け、発泡硬化させて発泡ポリウレタン断熱材を施工形成する2液型の断熱材組成物であって、上記第1液中に、上記ポリオール成分として窒素原子を含むポリオールを含有すると共に、このポリオールを含むポリオール成分100質量部に対して10〜20質量部の難燃剤を含有し、かつ上記第1液及び第2液のいずれにも鉛触媒又は錫触媒を含有しないことを特徴とする断熱材組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、断熱性及び寸法安定性に優れ、特に冷凍・冷蔵倉庫用の発泡断熱材用として好適に使用される断熱材組成物及び該断熱材組成物を発泡硬化させてなるポリウレタン発泡断熱材に関する。
ポリウレタン発泡原液をスプレーなどでコンクリート等の施工対象面に直接吹き付け、発泡硬化させる硬質ポリウレタンフォーム製の断熱材は、複雑な形状でも短時間で、かつ治具を全く使用することなく容易に施工でき、しかもシームレスな断熱層の形成が可能で、断熱性にも優れていることから、集合住宅・オフィス等の建造物や、築造式の冷凍・冷蔵倉庫、定温倉庫等の断熱材、更にはトンネルの凍結防止用等として広く普及してきた。
このようなポリウレタン発泡断熱材は、一般にポリオール成分、発泡剤、触媒、難燃剤、整泡剤及びその他の添加剤を混合したポリオール配合液と、ポリイソシアネート成分とをミキシングヘッド等で混合しながら建造物のコンクリート躯体などの施工対象面に直接吹き付け、発泡硬化させてポリウレタン発泡体とすることにより施工される。
従来、このようなポリウレタン発泡断熱材の施工に際しては、高い断熱性能により暖房や冷房、更には冷凍/冷蔵時のエネルギー効率の向上を目指して、ポリオール成分やイソシアネート成分のほか、発泡剤、触媒等の添加剤についても種々検討されており、発泡原液の反応性や発泡効率を向上させ、断熱性及び寸法安定性に優れる断熱材を安定して得るための試みがなされてきた。しかしながら、近年の環境問題の顕在化などから単純に効率のみを追及することができないのが現状である。
例えば従来は、発泡剤として、発泡効率に優れ、安定して良好なフォームを得ることができることからフロン発泡剤が多く使用されてきたが、環境問題の観点から、その代替として、水とイソシアネートの反応により発泡する炭酸ガスを発泡剤として利用する水発泡への切り替えが進められている。しかし、水発泡は一般的にフロン発泡剤による発泡に比較して発泡速度が緩やかなためスプレーパターンが狭く、液ダレを生じる等の問題から現場での施工性に劣る。この場合、発泡速度を高めるために水を増加すると、フォームが脆くなり、また施工対象面との接着性も低下して、施工後に剥離・脱落を引き起こしやすくなり、更に寸法安定性が低下して使用中にフォームが大きく収縮する場合がある等の問題を生じている。
そのような中で、特開平07−149867号公報(特許文献1)には、ピペラジン系ポリオールと、分子内に芳香族環を有するポリオールを使用することにより、発泡剤である水の使用量を増やして特定フロンであるR11、R12等を大幅に削減した硬質ポリウレタンフォームの処方が提案されている。
また、従来のポリウレタン発泡断熱材では、活性が高い等の理由から鉛や錫といった重金属を含む触媒が使用されていたが、フロン発泡剤と同様に環境問題の観点から削減が求められている。現在はその代替として、主として第3級アミン触媒をはじめとするアミン系触媒が用いられていることが多い。しかし、アミン系触媒は鉛、錫触媒に比較して活性が低いため、鉛、錫触媒と同等の活性を得るために多量の添加を必要とするが、アミン系触媒の増量はコストや作業環境(触媒が多くなると、アイレインボー等の作業者に対する身体的な悪影響が大きくなる)の悪化を招くおそれがある。特にスプレー工法等によって、断熱材を現場で施工対象面に施工する場合には、多量に配合したアミン系触媒が飛散し易く、現場環境を悪化させ、作業者の健康を害するおそれが大きかった。そのため、アミン系触媒の使用量を減らすと共に、反応性や寸法安定性等を確保するため微量ではあるが鉛、錫触媒を使用しているのが現状である。そのような中で、特開2003−40961号公報(特許文献2)、特開2003−40962号公報(特許文献3)、特開2003−40967号公報(特許文献4)には、鉛触媒を使用しないポリウレタン組成物の処方が提案されている。
しかしながら、これらの処方から得られるポリウレタン発泡断熱材は、いずれも冷凍・冷蔵倉庫などの低温域で使用される用途では、断熱性や寸法安定性の点で必ずしも十分な性能が得られていない。
即ち、冷凍・冷蔵倉庫では、乳製品や食肉、魚介類などの保存対象物に応じて、その内部を通常5℃前後の氷点付近の温度から−30〜−50℃にもなる低温に保持しており、特に内部を−30〜−50℃もの低温に保持する場合には外気との温度差が大きいことから、使用される断熱材には高い断熱性と寸法安定性が求められる。しかしながら、従前の処方では、このような保冷用途での断熱性や寸法安定性が必ずしも十分ではなく、この点での改善が望まれる。
特開平07−149867号公報 特開2003−40961号公報 特開2003−40962号公報 特開2003−40967号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、−30〜−50℃にもなる低温に保持される冷凍・冷蔵倉庫などの断熱材として用いられる場合でも、十分な断熱性及び寸法安定性を有すると共に、鉛、錫触媒の使用量を削減して近年の環境問題にも十分に対応し得る断熱材組成物及び該断熱材組成物を施工したポリウレタン発泡断熱材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ポリオール成分を含む第1液と、イソシアネート成分を含む第2液とを混合して施工対象面に吹き付け、発泡硬化させて、発泡ポリウレタン断熱材を施工形成する場合に、上記ポリオール成分として、窒素原子を含有するポリオールを用いることにより、アミン系触媒を増量することなく、鉛/錫触媒の使用を不要にして良好な反応性を得ることができ、かつ良好な難燃性を保持したまま寸法安定性に悪影響を及ぼす難燃剤の添加量をポリオール成分100質量部に対して10〜20質量部程度に、場合によっては5〜10質量部にまでも減少させることができ、良好な寸法安定性を有するポリウレタン発泡断熱材が得られ、このポリウレタン発泡断熱材が、−30〜−50℃もの低温に保持される冷凍・冷蔵倉庫の断熱材としても、十分な断熱性能と寸法安定性を有するものであることを見出し、本発明を完成したものである。
従って、本発明は、ポリオール成分を含む第1液と、イソシアネート成分を含む第2液とで少なくとも構成され、前記第1液と第2液とを混合して施工対象面に吹き付け、発泡硬化させて発泡ポリウレタン断熱材を施工形成する2液型の断熱材組成物であって、上記第1液中に、上記ポリオール成分として窒素原子を含むポリオールを含有すると共に、このポリオールを含むポリオール成分100質量部に対して10〜20質量部の難燃剤を含有し、かつ上記第1液及び第2液のいずれにも鉛触媒又は錫触媒を含有しないことを特徴とする断熱材組成物、及び、
この断熱材組成物を施工対象面に吹き付け、発泡硬化させてなることを特徴とするポリウレタン発泡断熱材を提供するものである。
上記のように、本発明は、鉛及び錫触媒の使用量を効果的に削減すると共に、フォームの寸法安定性に悪影響を及ぼす難燃剤の配合量を減少させることができ、環境負荷を低減したポリウレタン発泡断熱材を施工することができるものであり、しかも内部の温度を−30〜−50℃もの低温に保持する冷凍・冷蔵倉庫での使用においても優れた断熱性及び寸法安定性を確実に発揮することから、冷凍・冷蔵倉庫のエネルギー効率を高め、使用中に収縮による剥離脱落などの不都合を生じることのない断熱材を容易かつ確実に施工することができるものである。
上記含窒素ポリオールは、フロン化合物との相溶性が低いため、少ないフロン発泡剤使用量でフォーム形成時の発泡を効率よく行うことができ、高発泡倍率で優れた断熱性能を有するポリウレタン発泡断熱材が得られ、更に、発泡効率が向上したことにより、施工性や寸法安定性に悪影響を及ぼす水の使用量を減少させることも可能となり、良好な施工性及び寸法安定性を有するポリウレタン発泡断熱材を得ることができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の断熱材組成物は、ポリオール成分を含む第1液とイソシアネート成分を含む第2液とからなる2液型のものであり、この第1液と第2液とを混合して施工対象面に吹き付け、発泡硬化させることにより、発泡ポリウレタン断熱材を施工するものである。
本発明では、上記第1液に含まれる上記ポリオール成分として、分子中に窒素原子を含むポリオールが用いられる。この窒素原子を含むポリオールとしては、分子中に窒素原子を含むものであれば特に制限されるものではないが、本発明においては第3級アミン構造を含むポリオールを好適に用いることができる。
上記第3級アミン構造としては、特に制限されるものではないが、下記構造式(1)で示されるピペラジンベースのエチレンオキサイド、下記構造式(2)で示されるモルホリンベースのエチレンオキサイド、下記構造式(3)で示されるテトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどを有することが好ましく、これらの第3級アミン構造を有するポリエーテルポリオールの1種又は2種以上を混合して用いることができる。
Figure 2009067913
(式中、aは1〜4、bは1〜4、cは2〜5である。)
このような第3級アミン構造を有するポリオールとして具体的には、例えば上記構造式(1)〜(3)の第3級アミン構造をすべて含有する旭硝子(株)製のポリエーテルポリオール「FB−745」等が挙げられる。
なお、第1液中のポリオールに含まれる第3級アミン構造は、上記構造式(1)〜(3)に示されるものに限定されるものではなく、勿論その他の第3級アミン構造であってもよく、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン等が例示され、これらの第3級アミン構造を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリマーポリオールなどが用いられる。
なお、特に制限されるものではないが、この第3級アミン構造を有するポリオールの水酸基価は、通常100〜1000mg−KOH/g、特に300〜600mg−KOH/gであることが好ましい。また、粘度は通常500〜10000mPa・s、特に500〜5000mPa・sであることが好ましい。この場合、本発明において「粘度」とは、JIS K 1557−1970に準拠し、液温25℃において、B型粘度計を用いて測定した粘度を意味する。
上記第1液のポリオール成分には、本発明の目的を逸脱しない範囲において、上記第3級アミン構造を有するポリオール以外のポリオールを適宜配合してもよい。この第1液に使用することのできるその他のポリオールとしては、吹き付け等によるポリウレタン発泡成形体用として従来から用いられているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオールなど、汎用のポリオールを用いることが可能であり、これらの2種以上を用いることもできる。
次に、上記第2液に含まれるイソシアネート成分としては、吹き付け等によるポリウレタン発泡成形体用として従来から用いられている公知のものを使用することができ、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、MDIとTDIを併用するなど、2種以上を必要に応じて併用してもよい。これらの中でも、本発明においては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を好適に用いることができる。このようなMDIとしては市販品を使用することができ、例えば44V20(住化バイエルウレタン(株)製)等を好適に用いることができる。
この第2液中のイソシアネート成分(2種以上のイソシアネートを併用する場合には、その総量)の使用量は、特に制限されるものではないが、その目安としてのイソシアネートインデックス(上記第1液と合わせた組成物全体の活性水素量(モル)を100とした時の、イソシアネート基の当量(モル)比)として通常70〜200、特に90〜140とすることが好ましい。イソシアネートインデックスが70未満であると、成形後のフォームが収縮しやすくなるおそれがあり、200を超えるとフォームの低温下における躯体との接着性の低下を招くおそれがある。
本発明の断熱材組成物には、上記第1液中のポリオール成分、上記第2液中のイソシアネート成分の他に、以下の発泡剤、難燃剤、触媒、整泡剤等の公知の添加剤を適量添加するが、これらの添加剤は、イソシアネート基の失活を最小限に抑制する観点から、通常は上記第1液中に配合することが好ましい。
難燃剤は、断熱材に難燃性を付与するために必要な成分である。この難燃剤としては、この分野において通常用いられる公知のものを使用することができ、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明においては、特に制限されるものではないが、リン酸エステル系難燃剤が好ましく、具体的には、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリイソブチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、クレジル2,6−キシレニルフォスフェート、トリスモノクロロプロピルフォスフェートなどのリン酸エステルや、芳香族縮合リン酸エステルなどの縮合リン酸エステル等を挙げることができ、これらの中でもトリスモノクロロプロピルフォスフェート及びトリエチルフォスフェートを好適に用いることができる。また、このような難燃剤としては、市販品を用いることができ、例えば、トリスモノクロロプロピルフォスフェートとしてTMCPP(大八化成(株)製)等を好適に用いることができる。なお、上記難燃剤の配合量は、ポリオール成分100質量部に対して通常10〜20質量部であり、より好ましくは12〜18質量部である。10質量部未満だと十分な難燃性を得ることができないおそれがあり、20質量部を超えるとフォームの寸法安定性の低下を招くおそれがある。
触媒としては、環境負荷低減の観点から鉛及び錫を含有しない触媒を用いる。上記触媒は、鉛及び錫を含有しないものであれば、この分野において通常用いられる公知のものを使用することができる。本発明においてはアミン系触媒を好適に用いることができ、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。具体的には、エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン及びビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンジアミン等のアミン触媒、ピペラジン、N,N,N−トリメチルアミノエチルピペラジン等のピペラジン触媒、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルモルホリン等のモルホリン触媒、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールなどのイミダゾール触媒といったアミン系触媒を挙げることができ、本発明においてはトリエチレンジアミンやビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンジアミンを好適に用いることができる。上記触媒としては市販品を用いることができ、例えば、DABCO 33LV(エアープロダクツジャパン(株)製)、Polycat 9(エアープロダクツジャパン(株)製)、TOYOCAT−TMF(東ソー(株)製)等を挙げることができる。なお、上記触媒の配合量は、上記ポリオール成分100質量部に対して通常0.5〜8質量部であり、より好ましくは1〜4質量部である。0.5質量部未満の場合は十分な反応性が得られず、8質量部を超えると反応性の制御が困難となり、フォームを正常に形成することができないおそれがある。
更に、上記アミン系触媒に加えてオクチル酸カリウム、オクチル酸ビスマス、1,2−エチルヘキシル酸ビスマス、酢酸カリウム等の鉛及び錫を含有しない公知の有機金属系触媒の1種単独又は2種以上を適宜配合することにより、発泡時の反応性を良好に向上させることができる。本発明においては、ビスマスを含む触媒を好適に用いることができる。また、上記触媒としては市販品を用いることができ、例えばオクチル酸ビスマスとしてプキャット25(日本化学産業(株)製)が好適に用いられる。なお、上記有機金属系触媒を配合する場合、その配合量は触媒分子中に含まれる金属量として上記ポリオール成分100質量部に対して通常0.1〜0.3質量部であり、特に0.1〜0.2質量部とすることが好ましい。0.3質量部を超えた場合には、反応性の制御が困難となり、フォームを正常に形成することができないおそれがある。
上記発泡剤としては、フォームの断熱性を確保すると共に、環境面とコスト面からフロン発泡剤と水とを併用する。まずフロン発泡剤としては、この分野において通常用いられる公知のものを使用することができ、特に制限されるものではないが、環境負荷がより低いものを用いることが好ましい。その具体例としては、HFC245fa、HFC365mfc、HFC227ea、HFC134a等が挙げられ、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明においては、HFC245fa、HFC365mfcを好適に用いることができる。その使用量は、上記ポリオール成分100質量部に対して通常10〜40質量部、特に20〜35質量部とすることが好ましい。使用量が40質量部を超えると液が分離するおそれがあり、10質量部未満では十分に発泡が行われず、フォームの断熱性の低下を招くおそれがある。
また、水の配合量は、上記ポリオール成分100質量部に対して通常0.1〜3質量部、特に0.5〜2質量部とすることが好ましい。水の配合量が3質量部を超えると、脆性が強くなり、低温下での初期接着性が維持できないおそれがあり、0.1質量部未満では初期の反応が遅くなり、施工対象面に吹き付けた際、たれの原因になるおそれがある。
整泡剤は、フォームの独泡性を向上させ、熱伝導率を低下させるために配合されるものである。この整泡剤としては、この分野における汎用のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、その具体例として、ジメチルシロキサン・ポリエーテルのブロックコポリマー、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー、石油スルフォネート塩及びオレイン酸ジメチルアミン塩等を挙げることができる。本発明ではジメチルシロキサン・ポリエーテルのブロックコポリマーを好適に用いることができる。また、このような整泡剤としては市販品を用いることができ、具体的には、SH193、L5340、L5420、SF2938F、SF2937F、SF2936、SF2941(いずれも東レ・ダウコーニング(株)製)等を用いることができる。上記整泡剤の配合量は、上記のポリオール成分100質量部に対して通常0.1〜5質量部、特に0.5〜2質量部とすることが好ましい。この配合量が上記範囲を逸脱すると、熱伝導率と寸法安定性の制御が困難となるので好ましくない。
本発明の断熱材を得るには、従来公知のエアレススプレー等のスプレー方式やエアを混入して施工対象面に吐出する方法などを採用し得る。従って、上記構成とした第1液と第2液とをミキシングヘッド等を用いて混合しながら施工対象面に吹き付けを繰り返して、あるいはエアを混入して吐出して施工し、所望する形状の断熱材とすればよい。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜3]
表1に示す組成及び液温のポリオール成分を含む第1液及びイソシアネート成分を含む第2液をそれぞれ予め攪拌混合した後、常法に従いスプレー発泡機を用いてスプレーノズル先端で両者を混合しながら、表1に示す条件で珪酸カルシウム板に吐出圧力5〜10MPaで吹付け施工した。
《評価方法》
本発明品については以下の項目について評価を行った。結果を表1に併記する。
・反応性
クリームタイム:液温を10℃とした第1液と第2液の混合攪拌を開始してから、混合液の色が茶色から白色に変化するまでの時間を測定した。
ライズタイム:液温を10℃とした第1液と第2液の混合攪拌を開始してから、反応が終了するまでの時間を測定した。
フリーフォームコア密度:液温を10℃とした第1液と第2液の発泡が終了してから24時間以上経過後、得られたフォームを任意の寸法にカットし、質量を測定した後、質量/体積にて計算した。
・下吹きタック時間
1820×910×t5mmの珪酸カルシウム板に対して断熱材組成物を下吹きした後、タックがなくなるまでの時間を測定した。
・成形品コア密度
JIS A9526に準拠して測定した。
・熱伝導率
JIS A9526に準拠して測定した。
・圧縮強度
JIS A9526に準拠して測定した。
・湿熱寸法安定性、低温寸法安定性
1層相関層込みにて50×50×50mmにカットしたサンプルを、湿熱時 70℃,95%RH、低温時 −30℃の環境下に24時間放置した後の寸法を測定した。
・燃焼性
JIS A9511に準拠して測定した。
Figure 2009067913
ポリオールA:旭硝子(株)製、ポリエーテルポリオール「FB−715」、水酸基価:405mg−KOH/g
ポリオールB:旭硝子(株)製、ポリエーテルポリオール「FB−717」、水酸基価:482.5mg−KOH/g
ポリオールC:旭硝子(株)製、ポリエーテルポリオール「FB−745」、水酸基価:490mg−KOH/g
難燃剤:大八化学(株)製、「TMCPP」(トリスモノクロロプロピルフォスフェート)
触媒A:エアープロダクツジャパン(株)製、「DABCO 33LV」(トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液)
触媒B:エアープロダクツジャパン(株)製、「Polycat 9」(ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンジアミン)
触媒C:東ソー(株)製、「TOYOCAT−TMF」
触媒D:日本化学産業(株)製、「ニッカオクチックス鉛」(成分1:2−エチルヘキシル酸鉛(鉛として17重量%)、成分2:フタル酸ジオクチル(59重量%))
触媒E:日本化学産業(株)製、「プキャット25」(オクチル酸ビスマス)
整泡剤:東レ・ダウコーニング(株)製、「SH193」(ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー)
発泡剤A:水
発泡剤B:HFC245fa/HFC365mfc=70/30(質量比)
MDI:住化バイエルウレタン(株)製、「44V20」

Claims (8)

  1. ポリオール成分を含む第1液と、イソシアネート成分を含む第2液とで少なくとも構成され、前記第1液と第2液とを混合して施工対象面に吹き付け、発泡硬化させて発泡ポリウレタン断熱材を施工形成する2液型の断熱材組成物であって、
    上記第1液中に、上記ポリオール成分として窒素原子を含むポリオールを含有すると共に、このポリオールを含むポリオール成分100質量部に対して10〜20質量部の難燃剤を含有し、かつ上記第1液及び第2液のいずれにも鉛触媒又は錫触媒を含有しないことを特徴とする断熱材組成物。
  2. 上記窒素原子を含有するポリオールとして、第3級アミン構造を有するポリオールを含有する請求項1記載の断熱材組成物。
  3. 上記第3級アミン構造を有するポリオールとして、下記構造式(1)〜(3)に示した第3級アミン構造の1種又は2種以上を有するポリオールを含有する請求項2記載の断熱材組成物。
    Figure 2009067913
    (式中、aは1〜4、bは1〜4、cは2〜5である。)
  4. 上記ポリオール成分100質量部に対して0.5〜8質量部のアミン系触媒を配合した請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱材組成物。
  5. 上記難燃剤が、リン酸エステル系難燃剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱材組成物。
  6. 上記リン酸エステル系難燃剤が、トリスモノクロロプロピルフォスフェートである請求項5記載の断熱材組成物。
  7. ビスマスを含む有機金属系触媒を、ビスマス量として上記ポリオール成分100質量部に対して0.1〜0.3質量部配合した請求項1〜6のいずれか1項に記載の断熱材組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の断熱材組成物を施工対象面に吹き付け、発泡硬化させてなることを特徴とするポリウレタン発泡断熱材。
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