JP2009067742A - 抗アレルギー剤及び抗アレルギー食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】βグルカンと、ペディオコッカス・ペントサセウスに属する乳酸菌とを含有することを特徴とする抗アレルギー剤、及び該抗アレルギー剤を含有する抗アレルギー食品。
【選択図】なし
Description
また、これらアレルギーに効果を示す食品素材はいずれもその有効投与量が医薬品に比べ多量であり、事実上、販売されている商品形態では有効な投与量が摂取されていない現状にある。
本発明者は、まずβグルカンの抗アレルギー活性の指標となるin vitro評価系を構築し、その評価系においてβグルカン存在下、標品を添加することで活性が増強されることを指標に探索を行った。
その結果、特定の乳酸菌にβグルカンの抗アレルギー活性を相乗的に増加する活性があることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明で使用する添加成分は、食経験のある天然食品素材由来の乳酸菌であるので、本発明の抗アレルギー剤及び抗アレルギー食品は、安全性にも優れている。
上記ペディオコッカス・ペントサセウスに属する乳酸菌としては、ペディオコッカス・ペントサセウスMIX株が好ましい。該菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はFERM P−21300である。
MRS液体培地(DIFCO社)を用いて、30℃、18時間培養したときの菌の形態
(1)菌の形態 球菌
(2)グラム染色 陽性
(3)運動性 なし
(4)胞子 なし
(5)カタラーゼ なし
(6)通性嫌気性
(7)ブドウ糖の代謝 50%以上乳酸に転換する
(8)生育温度範囲 15℃、30℃および35℃では生育を認めるが、45℃では生育を認めない
(9)乳酸発酵 ホモ型
(10)乳酸の施光性 DL
(11)炭水化物の発酵性 グリセロールは陰性、D-アラビノースは陰性、L-アラビノースは陽性、リボースは陽性、D-キシロースは陽性、ガラクトースは陽性、グルコースは陽性、フルクトースは陽性、マンノースは陽性、ラムノースは陰性、マンニトールは陰性、ソルビトールは陰性、αメチルDグルコシドは陰性、アミグダリンは陽性、エスクリンは陽性、サリシンは陽性、セロビオースは陽性、マルトースは陽性、ラクトースは陽性、メリビオースは陰性、シュクロースは陰性、トレハロースは陽性、イヌリンは陰性、メレジトースは陰性、ラフィノースは陽性、スターチは陰性、グルコン酸は陽性
また、本発明の抗アレルギー剤のβグルカン及び乳酸菌の含有割合は、特に制限されるものではないが、好ましい含有割合は次の通りである。
βグルカン及び乳酸菌の合計含有量を100質量%として、βグルカン1〜99質量%及び乳酸菌99〜1質量%、特に好ましくはβグルカン50〜90質量%及び乳酸菌50〜10質量%。
鉄砲漬け、ゴーヤ漬け、キムチなどの漬物やイーストなど、日本人の食経験が豊富な植物性素材から単離された植物性乳酸菌の中から、桿菌または球菌であること、同様の性状をもたらすものが複数菌株見つかること、通常の培地で増殖性が高いことなどを基準に、表1に示す代表的な5菌株を選抜した。表1に示すMIXは、本発明で使用される乳酸菌であるペディオコッカス・ペントサセウスMIX株である。また、同表中のRIEは、ロイコノストック・メセンテロイデスRIE株であり、独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センターに受託番号FERM P−21110として寄託されているものである。同様にAYAは、ラクトバチルス・プランタラムAYA株であり、独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センターに受託番号FERM P−21106として寄託されているものである。
10μg/mlシクロヘキシミドを含むMRS培地を用いて37℃で48時間培養した表1に示した各乳酸菌株を、遠心分離によって集菌し、滅菌水で3回洗浄した後、滅菌水に懸濁させ、121℃で30分間オートクレーブ処理した。これらを凍結乾燥して乳酸菌試料をそれぞれ得た。
表1に示した各乳酸菌株について、ヒトに対する応答をTHP−1細胞により下記のようにして評価した。
THP−1細胞が未分化の状態では、IL−12産生が誘導されず、またβグルカンの応答性も確認されない。LPS(リポポリサッカライド)の添加によりβグルカンの応答性が確認されたので、LPS添加系を使用することとした。LPSの最適な添加量を確認する目的でLPSの濃度依存性効果を検討した。その結果を図1に示す。これより、βグルカンによる応答性が最も反映される、20ng/mlのLPSを添加した系を使用することとした。
次に、βグルカンの至適添加量を確認する目的で、陽性対照としてペプチドグリカン(Peptidoglycan) の有無におけるβグルカンの濃度依存性を確認した。その結果、図2に示すように、ペプチドグリカンの有無に関らず、濃度依存性が確認されたが、ペプチドグリカンが存在した場合の方が濃度依存性曲線の立ち上がりが早く、βグルカンに対しペプチドグリカンの相乗性効果が確認された。ペプチドグリカン存在下におけるHalf maximumである、20μg/mlを至適βグルカン濃度とした。
基礎培地:基礎培地としてSIGMA RPMI1640, Code No. ; R0883, Lot. No. :80K2350 を使用した。
添加物:添加物としてウシ胎児血清 (FCS);ICN Cellect Gold ;Lot.No. 6511F β-mercaptoethnol 、20倍添加液: 200mM(23.8g/500ml) HEPES 、25g/500ml Glucose 、20mM(1.1g/500ml) Na-Pyruvate in RPMI1640 pH7.2にNaOHで調製後濾過滅菌
調製法:以下のように調製した。
RPMI1640を500ml ボトルに425ml 分注
↓非働化済FCS 50mlを添加
↓20倍添加液を25ml添加
↓50mM β-mercaptoethnol (in RPMI1640) 500ml添加
↓混和 保管は 4℃において行った。
THP-1 細胞Stock の解凍
液体窒素中保管してあったStock 細胞を37℃温水中で解凍
↓培地9ml 入れた50ml遠心管に細胞懸濁液全量(1ml) を添加
↓遠心分離 1240rpm 、5 分間
↓上清を除去
↓+FCS 培地25mlで細胞を懸濁
↓75cm3 フラスコに全量
培養
使用インキュベータ;
培養条件;37℃、5 %CO2 、100%湿潤条件
(1) トリパンブルー溶液10mlをマイクロ遠心管にとり、等量の細胞懸濁液を加えピペッテ ィングした。
(2) 血球計測板に懸濁液をのせ、生存細胞数を計測した。
以下の計算により細胞数を算出した。
細胞数濃度=1区画あたりの細胞数×希釈率(2倍)×104 cells/ml
継代
(1) 適当な継代液量の培養液を新しいフラスコに移し、新しい培地を追加する。
(2) 37℃、5 %CO2 下で培養
細胞の凍結保存
使用保存液:日本全薬工業製、セルバンカー Code No.,ZCB-101, Lot No., 309180
細胞の準備
1.ミッドログフェースに生育した細胞を遠心分離(1240rpm 、5min)し、上清を除去
2.セルバンカーで細胞を懸濁する。
3.クライオチューブに細胞懸濁液を分注する。
4.クライオチューブを緩冷却容器に入れ容器を-80 ℃へ
5.2 〜3 日後、緩冷却容器から保管用容器に移し-80 ℃保存
添加物:
βグルカン;原液濃度10mg/ml EtOH懸濁後凍結乾燥により滅菌済み
LPS;原液20mg/ml
乳酸菌;乳酸菌試料を秤量後1mg/mlになるようにRPMI1640に懸濁し使用した。
THP-1 細胞を3 ×105 cells/mlになるよう培地(10% FCS RPMI1640 medium with Glucose, HEPES, Pyruvate, 2-mercaptoethanol )で懸濁
↓
50mlの細胞懸濁液に25μl of 20 μg/ml LPSと 100μl of 10 mg/ml βglucanを添加
↓
懸濁液を 24 well plateに各1.0ml/wellで分注
↓
Final 10μg/mlの乳酸菌試料 (1mg/ml 10 μl)を添加.
↓
24 hr 37℃ 5% CO2 雰囲気下で培養
↓
0.5ml の培養上清をサンプリングしhIL-12 p40 ELISA. に供した。
ELISA によるIL−12の定量結果を表2に示す。
表1に示した各乳酸菌株について、マウスに対する応答をJ774.1細胞で下記のようにして評価した。
J774.1細胞を用いたIL−12産生誘導
添加物:
乳酸菌;乳酸菌試料を秤量後1mg/mlになるようにRPMI1640に懸濁し使用した。
J774.1細胞を3 ×105 cells/mlになるよう培地(10% FCS RPMI1640 medium )で懸濁
↓
懸濁液を 24 well plateに各1.0ml/wellで分注
↓
Final 10μg/mlの乳酸菌試料 (1mg/ml 10 μl)を添加.
↓
24 hr 37℃ 5% CO2 雰囲気下で培養
↓
0.5ml の培養上清をサンプリングしhIL-12 p40 ELISA. に供した。
ELISA によるIL−12の定量結果を表2に示す。
使用Plate: Nunc MaxiSorb
一次抗体:
ヒトIL-12 用;Anti-human IL-12 p40 antibody ; Mouse monoclonal ; R & D systems Inc. MAB609; Lot. ZD054121
マウスIL-12 用;Monoclonal Anti-mouse IL-12/IL-23 p40 Antibody R & D systems Inc.MAB499; LotAGN05
使用濃度:原液 500μg/ml in PBS (Aliquot; 20μl/tube) PBSで325 倍希釈し使用
洗浄buffer: 0.05% Tween20 in PBS
反応buffer: 0.1% Block A, PBS 0.01% NaN3 or 0.1% Block A, PBS (for HRP-Streptavidin)
Blocking buffer:×4 Block A (YUKIJIRUSHI) with 0.01% NaN3
標準物質
ヒトIL-12 用;hIL-12 p40 R & D systems Inc.; Lot. JB054111 Conc.; 100ng/ml
Dilution: 1st;× 10 ( 70 μl+ 630μl) with reaction buffer → 10000 pg/ml
2nd;× 3.16 (200μl+432 μl) with reaction buffer → 3162pg/ml
Each dilution ×10 (50μl+ 450μl) with reaction buffer →316, 100, 31.6pg/ml
マウスIL-12 用;mIL-12/IL-23 p40 Homodimer R & D systems Inc.; 499ML
二次抗体:
ヒトIL-12 用; Biotinylated anti human IL-12 antibody; Mouse monoclonal ; ENDOGEN Inc. M-121-B; Lot. DB53895
使用濃度:原液 500μg/ml in 0.1% Block A, TBS (Aliquot; 10μl) 反応bufferで650 倍に希釈し使用
マウスIL-12 用;Biotinylated Anti-mouse IL-12/IL-23 p40 Antibody
R & D Systems. BAF499; Lot. AKD11
使用濃度:原液 500μg/ml in 0.1% Block A, TBS (Aliquot; 10μl) 反応bufferで650 倍に希釈し使用
Streptavidin; HRP conjugated Streptavidin; ENDOGEN N100 Lot. EB60509
使用濃度:原液1.25mg/ml 0.1% Block A, PBS NaN3 free HRP で10000倍に希釈し使用
HRP 基質: TMB Moss Inc.
反応停止液: 2N H2SO4
使用機器:Beckman Coulter プレートウォシャー
Plate Reader: :ARVO MAX (Perkin Elmer.)
一次抗体をプレートに分注(100 μl/well)4℃、20hrインキュベート
↓
液を除去し、ブロッキングバッファーを(250ml/well)分注、25℃、1 hrインキュベート↓
プレートを3回洗浄バッファーで洗浄
↓
Standard hIL-12 p40 とサンプル(培養上清)を分注(100 μl/well)し、25℃、2 hrインキュベート
↓
プレートを3回洗浄バッファーで洗浄
↓
一次抗体をプレートに分注(100 μl/well)25℃、2 hrインキュベート
↓
プレートを3回洗浄バッファーで洗浄
↓
HRP-streptavidinを分注(100 μl/well)25℃、30 minインキュベート
↓
プレートを3回洗浄バッファーで洗浄
↓
TMB 基質を分注(100 μl/well)25℃、5 〜10min インキュベート
↓
停止液を添加(100 μl/well)
↓
450nm 吸光度測定
ペディオコッカス・ペントサセウスMIX株について、その添加濃度を変化させて実施例1に記載のTHP−1細胞を用いたIL−12産生誘導を、βグルカンの存在下及び非存在化で実施した。その結果を図3に示す。βグルカンの有無により、その曲線勾配は変化し、βグルカンに対する相乗効果が確認された。一方、ペディオコッカス・ペントサセウスMIX株の添加濃度を固定し、βグルカンの濃度を変化させた濃度依存性試験も実施した。その結果を図4に示す。この結果から、 ペディオコッカス・ペントサセウスMIX株に対するβグルカンの相乗効果も確認された。
J774.1細胞についても、ペディオコッカス・ペントサセウスMIX株の濃度依存性試験を行った。その結果を図5に示す。
(乳酸菌及びβグルカン摂食によるアレルギー性鼻炎モデルモルモットの鼻汁量抑制に及ぼす影響の評価)
1.動物実験スケジュール
4週齢の雄モルモット20匹の体重を測定し、無作為抽出法により各群10匹の平均体重および分散がほぼ等しくなるように群分けを行なった。群分け後、製造後5ヵ月以内の固形飼料LRC4(オリエンタル酵母工業株式会社製)を給餌器に入れ、自由に摂取させた。βグルカン500mg/kg/日+乳酸菌ペディオコッカス・ペントサセウスMIX株500mg/kg/日投与群には、群分け翌日から1日2回計28日連続で経口投与した。
また、全モルモットの両側鼻前庭に、10%TDI溶液に浸した細軸綿棒を10秒間接触させて塗布し、この操作を1日1回、群分け翌日から5日間繰り返し実施して感作を行なった。それ以降は感作を行なわず飼育を続け、最終感作の4週間後に鼻汁の誘発を行った。鼻汁の誘発は、5%TDI溶液に浸した細軸綿棒を両鼻前庭に10秒間接触させ塗布することにより行なった。
2.鼻汁量測定
鼻汁誘発開始から15分間の鼻汁を脱脂綿に吸収させ、密栓マイクロチューブにいれてその重量を測定し、各群10匹ずつの鼻汁量の平均値を算出した。また、対照群の鼻汁量平均値からβグルカンと乳酸菌MIX株投与群の鼻汁量平均値を減じたものを対照群の鼻汁量平均値で割った値を鼻汁量抑制値とした。
3.実験結果
表3に示すように、βグルカン500mg/kg+乳酸菌ペディオコッカス・ペントサセウスMIX株500mg/kg投与群は、対照群と比較してアレルギー性鼻炎発症に伴う鼻汁の量が有意(危険率1%)に低下していることが確認され、βグルカンとペディオコッカス・ペントサセウスMIX株を含有する抗アレルギー剤は、経口投与によりアレルギー症状を緩和する効果があること、すなわち、抗アレルギー作用を示すことが確認された。
Claims (4)
- βグルカンと、ペディオコッカス・ペントサセウスに属する乳酸菌とを含有することを特徴とする抗アレルギー剤。
- βグルカンが、酵母由来βグルカンである請求項1に記載の抗アレルギー剤。
- ペディオコッカスに属する乳酸菌が、ペディオコッカス・ペントサセウスMIX株(受託番号FERM P−21300)である請求項1又は2に記載の抗アレルギー剤。
- 請求項1〜3の何れかに記載の抗アレルギー剤を含有することを特徴とする抗アレルギー食品。
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