JP4712289B2 - 免疫促進用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、乳酸菌と酵母菌との混合培養物から得られる、免疫促進用組成物に関する。
哺乳動物の免疫系は、脾臓を中心とした全身免疫と、腸管を中心とした腸管免疫とに大別される。さらに、哺乳動物の免疫応答は、細胞性免疫と液性免疫とに大別される。哺乳動物の健康はこのような各免疫系・各免疫応答が適切に働くことによって保たれている。加齢などの様々な要因によりこれらの免疫機能が衰えてくると健康を害する危険性が高くなることから、免疫機能の維持及び促進は健康を保つ上で重要な課題である。
細胞性免疫は、ナチュラルキラー(NK)細胞やキラーT細胞などの傷害能を有する免疫細胞が担っており、ウイルスやある種の細菌(結核菌、癩菌など)、原虫(リューシュマニアなど)のような病原微生物が感染した宿主細胞や、生体内で日々発生する癌細胞などの変異細胞はそれらの免疫細胞によって体内で破壊される。疫学調査において、NK細胞の傷害能力が低いヒトは、その傷害能力が中〜高程度のヒトよりも明らかにガン発症率が高いことが示されている(非特許文献1)。このため、細胞傷害活性の増強は、免疫機能の促進のために有益と考えられる。
これまでに、コリネバクテリア属菌やストレプトコッカス属菌などの菌体成分が免疫応答を活性化し、細胞傷害活性を増強することが示されている。特に、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes) Su株の菌体成分は、抗悪性腫瘍剤としてヒトの癌治療に使用されている。しかし、これらの菌体の使用には副作用の心配もある。これに対し近年、乳酸桿菌にも抗腫瘍効果が報告されている(非特許文献2)。乳酸桿菌は一般的に病原性がないと考えられており、古くから発酵食品などに利用されている。ガンなどの生活習慣病は治療よりも予防が有効と考えられることからも、日常的に経口摂取することができ、細胞傷害活性を増強するような食品の開発が望まれている。
一方、動物の体内において外界と最も広く接触しており外来物質の侵入に絶えず曝されている腸管では、それらの外来物質に対する防御機能として腸管免疫が働いている。腸管免疫においては分泌型IgAが中心的な役割を果たしており、消化管腔内に分泌された分泌型IgAが病原性微生物などの宿主にとって有害な物質を中和し無毒化することが知られている。腸管免疫はまた、全身の粘膜免疫(局所免疫)の中心的存在である。粘膜免疫においては、IgA誘導組織にて感作されたB細胞及びT細胞が、CMIS(commonmucosal immune system)と呼ばれるホーミング経路を経て、粘膜免疫を実際に担当する実効組織に到達することにより、それらの実効組織における分泌型IgAの産生が行われる。この粘膜免疫の主たる司令塔の役割を担うのが、IgA誘導組織の1つである腸管のパイエル板である。従って、免疫能の低い哺乳動物、特に免疫系が充分に発達していない幼児やその機能が低下した老人において、分泌型IgA産生を増強することができれば、腸管での感染防御能を向上させることができるだけでなく、全身の生体防御機能を効果的に高めることができると考えられる。また分泌型IgAは、アレルゲンとなりうる抗原性ペプチドを凝集させて腸管から吸収されないようにすることにより、食物アレルゲンの体内への侵入を防ぐ働きも持っている。このことから、分泌型IgA産生を増強することができれば、食物アレルギー反応も効果的に予防できると考えられる。
近年、コレラ毒素やインフルエンザウイルスを経口摂取することにより、パイエル板B細胞が増殖し、IgA産生が高まることが報告されている。しかしながら、これらはIgA産生を増強するだけでなく血清中のIgG応答も誘導することが知られている(非特許文献3)。このことから、コレラ毒素やインフルエンザウイルスを食品として日常的に摂取することは適切でない。また、エンテロコッカス属菌やビフィズス菌の菌体又は菌体処理物もIgA産生を増強する作用を有することが示されているが(特許文献1及び非特許文献4)、個体の生体防御機能を効果的に高める上では、分泌型IgA産生をより効率良く増強できる手段が依然として望まれている。
健康保持に効果のある食品や製剤としては、古くから乳酸菌や酵母菌を用いた発酵物を含むものが利用されてきている。乳酸菌及び酵母菌を含む混合培養物に抗変異原活性、肝機能や腎機能の改善作用、腸内細菌叢改善作用等があることも知られている(特許文献2)。しかしながら、全身免疫と局所免疫との両方を有効に機能促進することができ、さらに簡単かつ安全に使用できるものは知られていない。
特開平11−92389号公報 特開平11−221071号公報 Imai, K. et al., Lancet, (2000) 356, p. 1795-1977 Akimitsu, T. et al., Carcinogenesis, (2001) 22, p. 599-605 C. O. Elson et al., J. Immunol., (1984) 133, p. 2892-2897 Takahashi, T. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., (1998) 62(1), p. 10-15
本発明は、食品や飼料に配合して安全に使用可能な、免疫を促進する上で優れた効果を示す免疫促進用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、乳酸菌と酵母との混合培養物から得られた混合菌体及び/又は培養上清が、哺乳動物において免疫を非常に効果的に促進すること、特に細胞傷害活性の増強及び/又は分泌型IgA産生の増強において優れた効果を有することを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] ラクトバチルス・デルブルエキイ、ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトコッカス・ラクティス及びストレプトコッカス・サーモフィラスからなる群から選ばれる3〜8種の乳酸菌とサッカロミセス・セレビシエとの混合培養物又は該混合培養物に由来する混合菌体若しくは培養上清を含有する、免疫促進用組成物。
[2] 乳酸菌とサッカロミセス・セレビシエとの混合培養物が、下記(a)〜(d)から選択される2以上の群について各群ごとに乳酸菌及びサッカロミセス・セレビシエを混合培養し、得られた群ごとの混合培養物をさらに1つに混合して培養することにより得られるものである、上記[1]記載の組成物。
(a) ラクトバチルス・デルブルエキイ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトコッカス・ラクティス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;
(b) ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトコッカス・ラクティス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;
(c) ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・カゼイ、ストレプトコッカス・サーモフィラス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;並びに
(d) ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ラムノーサス、ストレプトコッカス・サーモフィラス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群
[3] 乳酸菌とサッカロミセス・セレビシエとの混合培養物が、下記(a)〜(d)の群について各群ごとに乳酸菌及びサッカロミセス・セレビシエを混合培養し、得られた群ごとの混合培養物をさらに1つに混合して培養することにより得られるものである、上記[1]記載の組成物。
(a) ラクトバチルス・デルブルエキイ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトコッカス・ラクティス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;
(b) ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトコッカス・ラクティス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;
(c) ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・カゼイ、ストレプトコッカス・サーモフィラス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;並びに
(d) ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ラムノーサス、ストレプトコッカス・サーモフィラス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群
[4] 乳酸菌とサッカロミセス・セレビシエとの混合培養物が、大豆熱水抽出物中で培養したものである、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の組成物。
[5] 凍結乾燥物又は噴霧乾燥物である、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の組成物。
[6] 細胞傷害活性の増強、分泌型IgA産生の増強、又は食物アレルギー反応の予防のための、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の組成物。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の組成物を含有する免疫促進用食品若しくは飼料、又は免疫促進用製剤。
本発明の組成物は、哺乳動物において免疫を効果的に促進し、特に細胞傷害活性や分泌型IgA産生を効果的に増強することができる。本発明の組成物は、哺乳動物に投与又は摂取させることにより、病原体の感染、腫瘍形成及び細胞の癌化を予防し、かつ感染症、腫瘍及び癌を治療する効果をもたらすことができる。また本発明の組成物は、哺乳動物(特に、幼児や老人等の免疫機能の弱いヒトや食物アレルギーのあるヒト)に投与又は摂取させることにより、全身の粘膜免疫を促進し、アレルギー反応(特に食物アレルギー反応)も防止することができる。本発明の組成物は、経口摂取によって免疫を効果的に促進することができるため、食品、飼料又は製剤に含有させた形態で簡便かつ有利に使用することができる。さらに本発明の組成物には副作用の心配が少ないため、本発明の組成物を含む食品、飼料又は製剤は日常的に継続して摂取することが可能である。
なお本発明において、感染症、腫瘍、癌などの「治療」とは、感染症の原因である病原体、又は腫瘍細胞若しくは癌細胞などが患者若しくは被験者の体内から失われるか又は有意に減少するようにすることを意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.本発明の組成物の製造
本発明の組成物の製造においては、まず、使用する乳酸菌と酵母の菌株を下記のようにして選択し、それらの菌株を混合培養することによって混合培養物を得る。さらに、その混合培養物から、本発明の組成物を調製する。
(a) 混合培養に用いる乳酸菌
本発明では、乳酸菌として、3種類以上の乳酸菌株を組み合わせて用いる。それらの菌株は、各々の属する種の組み合わせが、以下の表1に挙げた8種のうちの3〜8種からなる組み合わせとなるように、選択される。
Figure 0004712289
これらの種に属する菌株としては、一般に市販されているものを容易に入手できる。さらに、これらの種に属する菌株としては、様々な寄託機関や研究機関等で維持されている各種の菌株を使用することもできる。例えば、理化学研究所 微生物系統保存施設(Japan Collection of Microorganisms; JCM)、財団法人 発酵研究所(Institute for fermentation, Osaka, Japan; IFO)からそれらの菌株を入手することができる。特に、本発明の乳酸菌株としては、例えば以下のような菌株を好適に用いることができる。
・ラクトバチルス・デルブルエキイ: ALAL007株、JCM1012、JCM1010、JCM1105、JCM1148、JCM1557;
・ラクトバチルス・アシドフィラス: ALAL005株、JCM1028、JCM1034、JCM1132、JCM1229、JCM5342、JCM11047;
・ラクトバチルス・プランタラム: ALAL006株、JCM1055、JCM1057、JCM1149;
・ラクトバチルス・ファーメンタム: ALAL001株、JCM1173、JCM1137、JCM1560;
・ラクトバチルス・カゼイ: ALAL002株、ALAL003株、JCM1053、JCM1109、JCM1133、JCM8130;
・ラクトバチルス・ラムノーサス: ALAL004株、ALAL010株、JCM1136、JCM1561、JCM8134、JCM8135;
・ラクトコッカス・ラクティス subsp. hordniae: ALAL008株、ALAL009株、JCM1180;
・ストレプトコッカス・サーモフィラス: ALAL011株、ALAL012株、ATCC株19258、ATCC株19987;
なお、ラクトバチルス・ファーメンタムALAL001(Lactobacillus fermentum ALAL001)株、ラクトバチルス・カゼイALAL003(Lactobacillus casei ALAL003)株及びラクトバチルス・ラムノーサスALAL004(Lactobacillus rhamnosus ALAL004)株は、平成9年11月28日(原寄託日)に、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum) ALAL001株については受託番号FERM BP-6627として、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei) ALAL003株については受託番号FERM BP-6628として、及びラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus) ALAL004株については受託番号FERM BP-6629として、ブダペスト条約に基づきそれぞれ寄託されている。また、上記株名の「JCM」は『Japan Collection of Microorganisms, RIKEN』に、「ATCC」は『American Type Culture Collection, The Global Bioresource Center』に、寄託された菌であることを示している。
しかしながら、本発明において使用する乳酸菌株は、上記8種に属する菌株である限り、特定の株に限定されるものではない。
(b) 混合培養に用いる酵母菌
本発明では、酵母菌として、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae; 省略表記はS. cerevisiae)に属する1種類以上の酵母菌株を用いる。本発明においては、酵母菌株として、例えばサッカロミセス・セレビシエJCM1499株、ALAY001株、ALAY002株、ALAY003株又はALAY004株等を好適に用いることができる。なお、サッカロミセス・セレビシエ ALAY001株は、平成9年11月28日(原寄託日)に、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、ブダペスト条約に基づき受託番号FERM BP-6626として寄託されている。しかしながら、本発明において使用する酵母菌株は、サッカロミセス・セレビシエに属する菌株である限り、特定の株に限定されるものではない。
(c) 乳酸菌と酵母菌との組み合わせ
本発明における乳酸菌と酵母菌との混合培養には、上記(a)及び(b)に従って選択される乳酸菌と酵母菌とを任意に組み合わせて用いる。
この乳酸菌と酵母菌との組み合わせとしては、種単位では、以下の表2に示されるA群〜D群としてそれぞれ記載された組み合わせが例示される。
Figure 0004712289
本発明の乳酸菌と酵母菌との種単位での組み合わせとしては、さらに、上記表2に示されるA群〜D群のうちの2群以上を合わせたものでもよい。例えば、A群とC群とを合わせた組み合わせである場合には、用いる乳酸菌及び酵母菌は次の表3の通りである。
Figure 0004712289
また、本発明の乳酸菌と酵母菌との組み合わせにおいては、菌株単位では、同じ種に属する2種類以上の菌株をともに用いてもよい。例えば、表3に示した乳酸菌と酵母菌との組み合わせにおいて、菌株単位では次の表4のような組み合わせが例として挙げられる。
Figure 0004712289
(d) 乳酸菌と酵母菌との混合培養(共棲培養)
次に、上記(c)のような組み合わせとなるように選択した乳酸菌と酵母菌とを培地中で混合培養する。
培地としては、大豆抽出物を含有する培地、例えば大豆熱水抽出物を用いる。大豆熱水抽出物は、粉砕した大豆に水を加えて一定時間煮沸することにより得ることができる。本発明に係る大豆熱水抽出物の例としては、豆乳が挙げられる。本発明では、様々な豆乳製造法によって得られる任意の豆乳を用いることができるが、例えば、粉砕した大豆に水を加えて一定時間煮沸した後にそれを清浄濾過することによって乳状の液体として得られる豆乳を使用することが好ましい。大豆に含まれるタンパク質の殆どは水溶性であるため、豆乳には大豆中のタンパク質の多くが溶解している。また豆乳にはミネラルやビタミンなども多く含まれることから、栄養源として有効とされている。本発明においては、このような豆乳において乳酸菌と酵母菌との混合培養を行うことにより、豆乳発酵物を得ることが特に好ましい。
乳酸菌と酵母菌との混合培養は、好ましくは、選択した乳酸菌1株につき1×105〜1×106細胞/mlの前培養物、及び選択した酵母菌1株につき1×104〜1×106細胞/mlの前培養物を、上記培地に接種し、20〜37℃で4〜10日にわたり培養することにより行う。
本発明における乳酸菌と酵母菌との混合培養は、2段階の混合培養によって行ってもよい。すなわち、上記項目(a)〜(c)に従って選択される乳酸菌と酵母菌との組み合わせにより構成される群を2種類以上用意し、それらの群ごとに上述のような混合培養を行い(第1混合培養)、そして群ごとに得られた混合培養物を1つに混合してさらに培養する(第2混合培養)ことにより、本発明に係る乳酸菌と酵母菌との混合培養物を作製してもよい。このような2段階の混合培養を行う場合、第1混合培養において用いる乳酸菌と酵母菌とからなる群は、限定されるものではないが、上記表2のA群〜D群のいずれかであることが好ましい。
なお上記のように2段階の混合培養を行う場合には、第1混合培養において用いる乳酸菌及び酵母菌の菌株が、2つ以上の群で重複しないようにすることが好ましい。一方、第1混合培養において用いる乳酸菌及び酵母菌が属する種は、2つ以上の群で重複していても構わない。
特に好適な実施形態においては、本発明における乳酸菌と酵母菌との混合培養は、上記表2のA群〜D群をそれぞれ混合培養し(第1混合培養)、次いでA群〜D群の各群ごとに得られた混合培養物を1つに混合して培養する(第2混合培養)ことにより行う。
2段階の混合培養を行う場合の培養条件は、限定するものではないが、第1混合培養については20〜37℃で5日間〜10日間、第2混合培養については20〜37℃で2日間〜5日間であることが特に好ましい。
本発明においては、乳酸菌と酵母菌との混合培養物を上記のような2段階の混合培養によって製造することにより、免疫促進のために有効な機能性成分の生成が特に促進される。これは、第1混合培養の際に各群の培養物中に生成された物質(例えば、糖類の分解により生成される乳酸、蟻酸及びピルビン酸などの短鎖脂肪酸、並びにタンパク質の分解により生成されるアミノ酸)が、第2混合培養において混合されることにより元々別の群に含まれていた乳酸菌及び酵母菌の生育を相互に促進して、様々な機能性成分(抗酸化物質、酵素など)の産生をも促進する結果であると考えられる。
なお培養終了後、本発明の乳酸菌と酵母菌との混合培養物は、生菌のまま用いてもよいが、好ましくは煮沸又は加熱殺菌(例えば80℃)等の殺菌処理を施すことが好ましい。
(e) 混合培養物からの本発明の組成物の調製
本発明の組成物には、上記項目(a)〜(d)に従って得られる混合培養物それ自体を用いてもよい。あるいは、本発明の組成物は、その混合培養物にろ過又は遠心分離等の分離処理を施すことによって分離した混合菌体又は培養上清であってもよい。
本発明における「混合菌体」とは、本発明に係る混合培養物に含まれている乳酸菌菌体と酵母菌菌体との混合物を意味し、これは混合培養物を分離処理することにより沈殿・残渣等の固体成分として得ることができる。また本発明における「培養上清」は、本発明に係る混合培養物を分離処理することにより、液体成分として得られるものである。
本発明の組成物は、上記の混合培養物、混合菌体又は培養上清を、例えば緩衝液や水等の生体適合性溶液中に希釈したり、濃縮したり、乾燥固化したものであってもよい。好ましくは、本発明の組成物は、上記の混合培養物、混合菌体又は培養上清を常法により凍結乾燥又は噴霧乾燥することによって調製した凍結乾燥物又は噴霧乾燥物である。
2.本発明の組成物による免疫促進効果
上記「1.本発明の組成物の製造」に従って製造される本発明の組成物は、哺乳動物において免疫(全身免疫及び局所免疫を含む)を効果的に促進する。本発明の組成物による免疫促進は、細胞傷害活性の増強、分泌型IgA産生の増強を伴う。さらに本発明の組成物は、外来性抗原特異的な分泌型IgA産生の増強、特に食物抗原特異的な分泌型IgA産生の増強により、食物アレルギー反応を含むアレルギー反応を予防することもできる。
本発明の組成物による免疫促進効果は、哺乳動物に、本発明の組成物を好ましくは経口的に投与又は摂取させることによって得ることができる。本発明の組成物を投与又は摂取させる「哺乳動物」は、ヒト又はヒト以外の哺乳動物(例えば、家畜、愛玩動物、実験(試験)動物等)であって、免疫を促進させることが望まれる患者又は被験体である。免疫を促進する上では、本発明の組成物は継続的に投与又は摂取することが好ましく、少なくとも14日間、好適には少なくとも30日間にわたって、毎日1回以上、投与又は摂取することがさらに好ましい。本発明の組成物の1日当りの投与量又は摂取量は、当業者が適宜定めることができるが、ヒトでは10 mg〜1500 mg(乾燥重量)であることが好ましく、30 mg〜300 mg(乾燥重量)であることがさらに好ましい。但し本発明の組成物の投与又は摂取の様式は、これらに限定されるものではない。
本発明の組成物の免疫促進効果は、in vivoと同様、in vitroでも認められる。例えば、本発明の組成物を含む培地中で免疫担当細胞を培養することにより、その免疫担当細胞の細胞傷害活性を増強させることができる。さらに、そのようにして細胞傷害活性を増強させた免疫担当細胞を、in vivo又はin vitroで標的細胞(例えば腫瘍、病原体に感染した細胞、病原性微生物など)と接触させることにより、標的細胞の破壊を高効率で引き起こすことができる。また、本発明の組成物をパイエル板細胞等の粘膜免疫に関与する免疫担当細胞と接触させることにより、それらの免疫担当細胞からの分泌型IgAの産生量を増加させることもできる。
本発明の組成物による免疫促進効果は、以下に説明した細胞傷害活性の増強、分泌型IgA産生の増強、食物抗原特異的分泌型IgA産生の増強について評価することにより、確認することができる。
1) 細胞傷害活性の増強
本発明の組成物は、細胞傷害活性を増強する作用を有する。本発明の組成物は、細胞傷害活性を増強することにより、個体において全身免疫を強力に誘導する。
本発明において増強される「細胞傷害活性」とは、哺乳動物個体又は哺乳動物由来の免疫担当細胞若しくは液性因子(例えば抗体及び補体)の、病原体に感染した細胞、癌細胞、腫瘍細胞、同種移植細胞、病原性微生物等の標的細胞を破壊する能力を言う。ここで、病原体に感染した細胞としては、限定するものではないが、例えばウイルス、細菌、真菌若しくは寄生虫に感染した体細胞又は生殖細胞、あるいは病原性蛋白質を取り込んだ体細胞又は生殖細胞などが挙げられる。癌細胞及び腫瘍細胞としては特に限定されるものではないが、好ましい例としてリンパ腫、白血病などの造血器由来の癌、胃癌などの上皮細胞由来の癌、骨肉腫などの非上皮性細胞由来の癌などが挙げられる。
本発明の組成物は、細胞傷害活性を増強することから、感染症の予防用又は治療用(例えば、インフルエンザウイルス感染の予防用、インフルエンザの治療用、緑濃菌やカンジダ菌などによる日和見感染症の予防用、又は日和見感染症治療用など)、癌の予防用及び治療用(例えば、白血病予防用及び治療用、胃癌、骨肉腫などの予防用及び治療用など)に用いることができる。
本発明の組成物による細胞傷害活性の増強は、当業者に公知である任意の細胞傷害試験を用いて調べることができる。一般的な細胞傷害試験としては、in vivo 又はin vitroで免疫担当細胞に本発明の組成物を作用させた後、その免疫担当細胞と標的細胞とを接触させて、標的細胞の傷害度を調べればよい。この標的細胞の傷害度を細胞傷害活性とみなすことができる。標的細胞の傷害度は、例えば以下の式で求められる細胞傷害指数(CI)で表す。
細胞傷害指数(%)= [(試験群の細胞溶解(%)−対照群の細胞溶解(%))/(100 − 対照群の細胞溶解(%))] ×100
上記式中、「試験群」は、本発明の組成物を免疫担当細胞に作用させた実験群、「対照群」は、本発明の組成物を用いないことを除いては試験群と同等条件で実験を行った対照実験群である。試験群及び対照群の細胞溶解(%)は、顕微鏡下の測定などにより傷害を受けた標的細胞の数を直接計数して求めることができる。このとき、トリパンブルー、ニグロシン等の色素を細胞に添加すると、これらの色素は傷害を受けた細胞に容易に取り込まれて排除されずに残るので、色素を取り込んだ標的細胞を傷害された細胞として簡単に見分けることができる(色素排除試験)。あるいは、試験群及び対照群の細胞溶解(%)は、例えば標的細胞を51Crなどの放射性同位体やその他の標識物質で予め標識しておき、細胞外に放出された標識物質の量を測定することによって、傷害を受けた標的細胞の数を間接的に算出して求めることができる(クロム放出試験)。傷害を受けた細胞ではDNAの断片化が認められるため、標的細胞の核DNAを[3H]チミジンや[125I]ウリジン等の放射性同位体で予め標識しておき、その細胞外放出量を放射活性で測定したり、DNA電気泳動によりDNAの断片化の程度を測定したりすることによっても、傷害を受けた標的細胞の数を間接的に算出することができる。
上記のような細胞傷害試験は、例えば、ナチュラルキラー細胞(NK)、リンフォカイン活性化細胞傷害性リンパ球(LAK)、細胞傷害性T細胞(CTL)、腫瘍湿潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、マクロファージ(MΦ)などの免疫担当細胞の活性について、当業者が用いる一般的な手法で実施することができる。例えば本発明における細胞傷害試験は、プロメガ株式会社より販売されているCytoTox96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay キットを使用して行うことができる(Nachlas, M.M. et al. Anal. Biochem. (1960), 1, 317)。
本発明において特に好適な細胞傷害試験は、例えば次のようにして行うことができる。まず本発明の組成物を、実験用マウス(例えばC3H/HeN系統、9週齢の雄マウス)に少なくとも14日間にわたって毎日投与するか又は摂取させた後、マウスの皮下に腫瘍を1×105〜1×107細胞/マウス、好ましくは1×106細胞/マウスにて接種する。続いて、実験開始(0日目)から21〜28日後に、各個体より末梢血を採取し、その末梢血中のリンパ球を比重分離法により回収する。次にこの末梢血リンパ球細胞を、適当な標的細胞(YAC-1;マウスリンパ腫細胞)と混合し、4〜6時間にわたり培養する(試験群)。この場合の末梢血リンパ球細胞と標的細胞との混合比は、当業者であれば適宜設定することができるが、好ましくは5:1〜100:1、より好ましくは6.25:1〜12.5:1である。次に、CytoTox96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay キットをその使用説明書に基づいて使用して、培養上清中のLDH(lactate dehydrogenase;乳酸デヒドロゲナーゼ)量を測定する。ここで、LDHは、傷害を受けた標的細胞の細胞溶解に伴って放出される安定な細胞質酵素である。続いて、測定されたLDH量から、以下の式によって細胞傷害指数を算出する。
細胞傷害指数(%) = [(試験群のLDH放出量−末梢血リンパ球のLDH自然放出量−標的細胞のLDH自然放出量)/(標的細胞のLDH最大放出量−標的細胞のLDH自然放出量)]×100
なお上記式中の「末梢血リンパ球のLDH自然放出量」「標的細胞のLDH自然放出量」「標的細胞のLDH最大放出量」「標的細胞のLDH自然放出量」としては、例えばCytoTox96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay キットに付属の使用説明書に記載された方法に従ってそれぞれ測定した値を、用いることができる。
この細胞傷害試験を好適に実施した場合には、本発明の組成物は、50%以上、好ましくは54%以上、より好ましくは58%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上であって、100%以下の細胞傷害指数を示す。
以上のような細胞傷害試験を、本発明の組成物を免疫担当細胞に作用させた試験群と、作用させない対照群の両方について行って、試験群の細胞傷害指数が対照群と比較して統計学的に有意に増加している場合には、その試験群で使用した本発明の組成物は細胞傷害活性を非常に良く増強したことが示される。好ましくは、本発明の組成物は、細胞傷害活性を、試験群において対照群の1.2倍以上、より好ましくは1.3倍以上、1.4倍以上、又は1.5倍以上、さらに好ましくは1.7倍以上、2.0倍以上、又は2.5倍以上であって、例えば50倍以下、より一般的には10倍以下に増強する。
ヒトでは、本発明の組成物を、1日当たり好ましくは10 mg〜1500 mg(乾燥重量)、より好ましくは30 mg〜300 mg(乾燥重量)の量で投与又は摂取したときに、上記のような細胞傷害活性の増強が認められる。
2) 分泌型IgA産生の増強
本発明の組成物は、分泌型IgAの産生を増強する作用を有する。この分泌型IgAは、例えば、涙、唾液、鼻汁、初乳、尿、腸管分泌液、生殖器分泌液、気管支分泌液などの外分泌液中に含まれる分泌型IgAである。これらの外分泌液中の分泌型IgAは、眼や鼻、消化器系、呼吸器系、泌尿生殖器系等の粘膜面での局所免疫機構を担っている。そのため本発明の組成物は、分泌型IgAの産生を増強することにより、全身の局所免疫応答を強力に誘導し、その結果、局所(特に、腸管)における病原体(例えばウイルス、細菌、真菌、寄生虫、又は病原性蛋白質など)の生育又は増殖並びに感染を妨げることができる。さらに本発明の組成物は、分泌型IgA産生を増強して、食物抗原(食物アレルゲン)の腸内への侵入及び吸収を妨げることにより、食物アレルギー反応を予防することができる。
本発明の組成物は、分泌型IgAの産生を増強することから、日和見菌感染の予防用、食中毒菌の感染予防用、毒素(例えば、細菌毒素)の中和用、花粉症予防用、ダニアレルギー反応予防用、ハウスダストアレルギー反応予防用、食物アレルギー反応予防用(例えば、牛乳アレルギー反応予防用、卵アレルギー反応予防用、大豆アレルギー反応予防用など)などの用途に好適に使用することができる。
本発明の組成物による分泌型IgA産生の増強は、当業者に公知である任意の分泌型IgA産生試験により、評価することができる。
in vitroでの分泌型IgA産生試験法としては、限定するものではないが、被験試料の存在下でIgA産生細胞(例えばパイエル板細胞)を培養し、その培養上清中に分泌されたIgA抗体をELISA法によって測定する方法が挙げられる。この方法は、例えばパイエル板細胞を用いる場合には、次のように行うことができる。まず、実験用マウス(例えば、BALB/cマウス、雌、10週齢)からパイエル板を無菌的に摘出し、コラゲナーゼ処理によりパイエル板細胞懸濁液を得る。得られたパイエル板細胞を、培養プレート中、10%牛胎児血清を含んだRPMI培地に本発明の組成物(例えば100μg/ml)を添加した培地(試験群)、又は10%牛胎児血清を含んだRPMI培地(本発明の組成物を添加しない;対照群)で培養する。培養開始(0日目)の数日後(例えば3〜5日後)に培養上清を回収し、培養上清に含まれる総IgA量をELISA法にて測定する。このとき、被験試料のもつ分泌型IgA産生を増強する能力は、対照群の総IgA量を1とした場合の試験群における総IgA量の相対値(IgA比活性)として表すことができる。このin vitro 分泌型IgA産生試験を好適に実施した場合、本発明の組成物は、1.2以上、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.5以上であって、例えば100以下、より一般的には10以下のIgA比活性を示す。
また、in vivoでの分泌型IgA産生試験としては、限定するものではないが、実験動物(例えば、マウス、ラット)に被験試料を継続的に経口摂取させた後、その実験動物の糞便中の総IgA量をELISA法にて測定する方法が挙げられる。その方法は、具体的には例えば、次のようにして行うことができる。まず、マウス(例えば、BALB/cマウス、雌、4週齢)を、対照群及び試験群の各群について数匹ずつ用意する。対照群には通常の飼料を、試験群には通常の飼料に本発明の組成物を添加した飼料を、継続して(例えば14日間)自由摂取させる。飼料摂取を開始した日(0日目)から適当な時間経過後に(例えば、0、7、14日目に)糞便を回収し、凍結乾燥後、糞便中の総IgA量(抗体価)をELISA法にて測定する。このin vivo 分泌型IgA産生試験を好適に実施した場合、本発明の組成物は、飼料摂取開始日から14日目に、1500μg/g以上、好ましくは1600μg/g以上、より好ましくは1800μg/g以上、さらに好ましくは2000μg/g以上、特に好ましくは2300μg/g以上であって、例えば100,000μg/g以下、より一般的には10,000μg/g以下の総IgA量を示す。
以上のような分泌型IgA産生試験を試験群と対照群の両方について行って、試験群における総IgA量が対照群と比較して統計学的に有意に増加している場合には、その試験群で使用した本発明の組成物は、分泌型IgA産生を非常に良く増強したことが示される。好ましくは、本発明の組成物は、分泌型IgA産生を、試験群において対照群の1.2倍、より好ましくは以上1.3倍以上、1.5倍以上、1.7倍以上又は2.0倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上、3.0倍以上、3.5倍以上、4.0倍以上、4.5倍以上又は5.0倍以上であって、例えば100倍以下、より一般的には20倍以下に増強する。
ヒトでは、本発明の組成物を、1日当たり好ましくは10 mg〜1500 mg(乾燥重量)、より好ましくは30 mg〜300 mg(乾燥重量)の量で投与又は摂取したときに、上記のような分泌型IgA産生の増強が認められる。
3) 食物抗原特異的分泌型IgA産生の増強
本発明の組成物は、上述のように食物アレルギー反応を予防する効果を有する。本発明の組成物による食物アレルギー反応の予防効果は、食物抗原特異的分泌型IgA産生が増強されることによっても示される。食物抗原特異的分泌型IgA産生の増強は、抗原特異的IgA抗体に対する任意の検出法を用いて食物抗原特異的分泌型IgAの産生量を測定することにより、評価することができる。
例えば、食物抗原特異的分泌型IgA産生量の測定は、以下のように行うことができる。まず、マウス(例えば、BALB/cマウス、雌、4週齢)を、対照群及び試験群として各群数匹ずつ用意する。対照群には通常の飼料を、試験群には通常の飼料に本発明の組成物を添加した飼料を、継続的に(例えば14日間)自由摂取させる。飼料摂取を開始した日(0日目)から適当な時間経過後に(例えば14日目に)糞便を回収し、凍結乾燥後、糞便中に含まれる、特定の食物抗原に特異的なIgA量(抗体価)をELISA法にて測定する。このELISA法で用いる食物抗原としては、公知の食物アレルゲンから当業者が任意に選択したものを用いればよい。特に、本発明の組成物についての一般的な食物アレルギー予防効果を確認する上では、ELISA法で用いる食物抗原として主要な食物アレルゲンを選択することが好ましく、例えばカゼイン(例えば、αカゼイン、酸カゼイン等)及びラクトグロブリン(例えばβラクトグロブリン)[牛乳アレルギーの主要な原因物質]、並びに卵白アルブミン、オボムコイド、リゾチーム[卵アレルギーの主要な原因物質]等を選択することが好ましい。ELISA法での測定結果は、405nmでの吸光値として表すことができる。
この食物抗原特異的分泌型IgAの産生量の測定を好適に実施した場合、本発明の組成物は、飼料摂取開始日から14日目に、405nmでの吸光値で0.35以上、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.55以上、さらに好ましくは0.65以上、特に好ましくは1.00以上であって、例えば50.00以下、より一般的には10.00以下の値を示す。
以上のような食物抗原特異的分泌型IgA産生量の測定を、試験群と対照群の両方について行って、試験群の食物抗原特異的分泌型IgA産生量が対照群と比較して統計学的に有意に増加している場合には、その試験群で使用した本発明の組成物は、食物抗原特異的分泌型IgA産生を非常に良く増強したことが示される。そして、食物抗原特異的分泌型IgA産生の増強の程度が大きいほど、本発明の組成物は食物アレルギー反応を予防する効果が高いと評価される。好ましくは、本発明の組成物は、食物抗原特異的分泌型IgA産生を、試験群において対照群の1.2倍以上、より好ましくは1.3倍以上、1.5倍以上、1.7倍以上又は2.0倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上、3.0倍以上、3.5倍以上、4.0倍以上、4.5倍以上又は5.0倍以上であって、例えば100倍以下、より一般的には20倍以下に増強する。
ヒトでは、本発明の組成物を、1日当たり好ましくは10 mg〜1500 mg(乾燥重量)、より好ましくは30 mg〜300 mg(乾燥重量)の量で投与又は摂取したときに、上記のような食物抗原特異的分泌型IgA産生の増強が認められる。
3.本発明の組成物を含有する免疫促進用食品又は飼料
本発明の組成物は、食品又は飼料等に配合して使用することができる。本発明の組成物が配合された食品及び飼料は、免疫を促進する作用、特に、細胞傷害活性を増強し、また分泌型IgA産生を増強する作用を有することから、免疫促進用の食品若しくは飼料として有用である。本発明の組成物を含有する食品又は飼料は、非常に簡便に摂取できるため、本発明の組成物の利用形態として特に好適である。
本発明の組成物を配合する食品としては、米飯類、菓子類、麺類、カマボコ・チクワ等の水産練り製品、ハム・ソーセージ等の畜肉加工品、栄養補助食品(サプリメント)、保健機能食品、清涼飲料・果実飲料等の飲料類、マヨネーズ・ドレッシング・味付け調味液等の調味料等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの食品には、通常の食品に使用される各種添加物を使用してもよい。添加物としては、限定するものではないが、発色剤(亜硝酸ナトリウム等)、着色料(クチナシ色素、赤102等)、香料(オレンジ香料等)、甘味料(ステビア、アステルパーム等)、保存料(酢酸ナトリウム、ソルビン酸等)、乳化剤(コンドロイチン硫酸ナトリウム、プロピレングリコール脂肪酸エステル等)、酸化防止剤(EDTA二ナトリウム、ビタミンC等)、pH調整剤(クエン酸等)、化学調味料(イノシン酸ナトリウム等)、増粘剤(キサンタンガム等)、膨張剤(炭酸カルシウム等)、消泡剤(リン酸カルシウム)等、結着剤(ポリリン酸ナトリウム等)、栄養強化剤(カルシウム強化剤、ビタミンA等)等が挙げられる。
上記のように食品に配合する本発明の組成物の量は、当業者であれば必要に応じて適宜設定することができるが、好ましくは10〜25000mg/kg(乾燥重量)であり、より好ましくは50〜5000mg/kg(乾燥重量)である。
本発明の組成物は、当業者が利用可能である任意の適切な方法によって、当該食品に含有させればよい。該組成物は、液状、固体若しくは顆粒状に加工してから食品に含有させてもよい。例えば、食品中に混合又は溶解してもよいし、食品中に埋め込んでもよい。該組成物はまた、食品に塗布、被覆、浸透又は吹き付けてもよい。本発明の組成物は、その食品中に均一に分布していてもよいし、不均一に分布していてもよい。あるいは本発明の組成物は、食品中の特定部位に偏在していてもよい。以下に限定するものではないが、凍結乾燥物である本発明の組成物を飲料に溶解する場合には、例えば水に溶解させ、攪拌により均一に混合させた後、飲料などの食品に添加することが好ましい。また、該組成物を固形食品に混合する場合は、例えば食品材料に添加し、攪拌により均一に混合した後、加工することが好ましい。
また、本発明の組成物を含有させた食品をさらに加工することもできる。そのような加工製品も、本発明の範囲に包含される。
一方、本発明の組成物を配合する飼料としては、家畜、家禽、その他の哺乳動物、又は魚類に用いる粉状、練り製品状、ペレット状、固形状、フレーク状等の飼料、栄養補助製品(サプリメント)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの飼料には、通常の飼料に使用される任意の原材料、例えば動物性材料、植物性材料、各種添加物等を基礎飼料として使用することができる。
動物由来材料としては、限定するものではないが、例えば、牛、豚、鶏、羊等の家畜、魚介類(例えばマグロ、カツオ、アジ、イワシ、シタビラメ、サンマ、エビ、タコ、ホタテ等)等から得られる肉、皮膚、骨、臓器、卵、血液、乳、動物性脂肪等の生体組織、その乾燥粉末、又はそれらの加工製品が挙げられる。
また植物由来材料としては、限定するものではないが、例えば、ニンジン、カボチャ、キャベツ、ピーマン等の野菜類、ゴマ、アーモンド、ケシの実、ヒマワリの実等の種実類、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等の穀類、ダイズ、インゲン、ソラマメ等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、コーンスターチ等の澱粉類、ダイズ油、ゴマ油等の植物性油脂類、ミカン、リンゴ、カキ等の果実類、エノキ、シイタケ、シメジ等の菌糸類、ワカメ、コンブ、クロレラ等の藻類、イネ科牧草、マメ科牧草等の牧草等から得られる植物組織、その乾燥粉末、又はそれらの加工製品が挙げられる。
また添加物として使用できる物質の例は、上述の食品に関して例示したものと同じである。
上記のように飼料に配合する本発明の組成物の量は、当業者であれば必要に応じて適宜設定することができるが、好ましくは10〜2500 mg/kg(乾燥重量)であり、より好ましくは50〜500 mg/kg(乾燥重量)である。
本発明の組成物は、当業者が利用可能である任意の適切な方法によって、当該飼料に含有させればよい。該組成物は、液状、固体若しくは顆粒状に加工してから飼料に含有させてもよい。例えば、該組成物は、飼料中に混合又は溶解してもよいし、飼料中に埋め込んでもよい。該組成物はまた、飼料に塗布、被覆、浸透又は吹き付けてもよい。本発明の組成物は、その飼料中に均一に分布していてもよいし、不均一に分布していてもよい。あるいは本発明の組成物は、飼料中の特定部位に偏在していてもよい。以下に限定するものではないが、凍結乾燥物である本発明の組成物を飼料用の飲料に溶解する場合には、例えば水に溶解させ、攪拌により均一に混合させた後、飼育飲料などの飼料に添加することが好ましい。また、該組成物を固形飼料に混合する場合は、例えば、粉飼料に添加し攪拌により均一に混合した後、粉状、練り製品状、ペレット状、固形状、フレーク状等の飼料、栄養補助製品(サプリメント)等に加工することが好ましい。
また、本発明の組成物を含有させた飼料をさらに加工することもできる。そのような加工製品も、本発明の範囲に包含される。
4.本発明の組成物を用いる免疫促進用製剤
本発明の組成物はまた、本発明の組成物を有効成分として製剤化して使用することができる。
本発明の組成物を含む製剤には、医薬的に許容される担体又は添加物を配合してもよい。このような担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などの他、リポゾームなどの人工細胞構造物などが挙げられる。使用される添加物は、製剤の剤形に応じて適宜又は組み合わせて選択される。
上記製剤は、さらに他の薬理成分を含有していてもよい。そのような薬理成分として、免疫を促進させる上で有用である公知の薬剤を用いることもできる。
上記製剤は、経口的又は非経口的に投与することができるが、特に経口的に投与することが好ましい。上記製剤を経口的に投与する場合は、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、あるいは液剤、懸濁剤、シロップ剤などの液体製剤等として製剤化すればよい。特に顆粒剤及び散剤は、カプセル剤として単位投与剤形としてもよいし、また液体製剤の場合には使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。
上記剤形のうち経口用固形製剤は、通常は薬学上一般に使用される結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの添加剤を含有する。また、経口用液体製剤は、通常は薬学上一般に使用される安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの添加剤を含有する。
また、上記製剤の投与量は、投与対象の年齢及び体重、投与経路、投与回数により異なり、当業者の裁量によって広範囲に変更することができる。例えば、経口的に投与する場合には、本発明の組成物の固形重量を基準として、1日につき体重1kg当たり0.2〜25 mgであり、6〜8時間の間隔で投与される。投与期間は患者の症状の経過に応じて決定すればよいが、少なくとも14日にわたって投与する。
上記製剤を投与する対象は、ヒト、家畜、愛玩動物、実験(試験)動物等を含む哺乳動物であり、特に、感染症若しくは癌に罹患している哺乳動物、感染症若しくは癌に罹患しやすい体質(例えば、遺伝的要素)を有するか又は感染症若しくは癌に罹患しやすい状態にある(例えば、病原体又は発癌性物質に曝されている)哺乳動物、免疫が低下している哺乳動物、免疫が低下しやすい体質(例えば、遺伝的要素)を有するか又は免疫が低下しやすい状態にある(例えば、慢性的ストレス条件下にある)哺乳動物、あるいは食物アレルギーのある哺乳動物であることが好ましい。上記製剤は、副作用の心配が少ないことから、継続的に利用する上で非常に有用に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
[実施例1] 本発明の組成物の調製
表5に記載の通り、乳酸菌8種12株及び酵母菌1種4株の微生物(計16株)を、乳酸菌3株と酵母菌1株との組み合わせを一つの群としてA〜D群の4群に分けた。
Figure 0004712289
それぞれの群ごとに、豆乳(大豆熱抽出物を清浄濾過し、乳状の液体にしたもの)に、上記の4株を含む各前培養液(乳酸菌1株あたり1×105〜1×106/ml 、酵母1×104〜1×105/ml)を1mlずつ接種し、20〜37℃で5日〜10日間培養した。
続いて、各群ごとに得られた混合培養液を新たな培養培地中にさらに混合し、20〜37℃でさらに2〜5日培養した。培養後、得られた乳酸菌8種12株と酵母菌1種4株とを含む混合培養物を加熱殺菌し、さらに凍結乾燥することにより、混合培養物1リットルあたり90グラムの乾燥物(組成物A)を得た。また、加熱殺菌した該混合培養物をろ過することによって培養上清を採取し、その培養上清をさらに凍結乾燥することにより、1リットル当たり40グラムの乾燥物(組成物B)を得た。
以上の方法により、本発明に用いることができる2種類の組成物(組成物A及びB)を製造した。
[実施例2] 細胞傷害試験
本実施例の細胞傷害試験は、CytoTox96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay キット(プロメガ株式会社)を使用し、このキットの使用説明書の記載に基づいて実施した。
C3H/HeN系統、9週齢、雄のマウスを、対照群及び試験群の各群について5匹ずつ用意した。対照群にはオリエンタル酵母社製粉末基礎飼料(MF)を、試験群にはMF飼料に組成物Aを2%(w/w)になるように混合した飼料を実験期間中自由摂取させた。実験開始日(0日目)から14日目にマウス皮下に腫瘍(Sarcoma180; 1×106細胞/マウス)を接種し、21日目に各個体より採取した末梢血中のリンパ球を比重分離法により回収した。次いで、これらの末梢血リンパ球細胞(食細胞、NK、T、B細胞を含む)と標的細胞(YAC-1)とを、[12.5:1]又は[6.25:1]の割合で混合し、4時間培養した。次いで、培養上清中のLDH量を測定し、以下の式に基づいて細胞傷害指数を算出した。
Figure 0004712289
算出した細胞傷害指数を表6に示す。得られたデータについては、統計学的処理により試験群と対照群との差の有意性を検定した。さらに表6の結果を、対照群を◇、試験群を●で表すグラフとして図1に示した。
Figure 0004712289
表6及び図1に示される通り、対照群と試験群はいずれも、末梢血リンパ球と標的細胞とを[6.25:1]で混合した場合よりも[12.5:1]で混合した場合に、高い細胞傷害指数を示した。
また、末梢血リンパ球と標的細胞とを[12.5:1]の割合で培養したときの細胞傷害指数を、対照群と試験群とで比較したところ(図2)、試験群の方が有意に高い細胞傷害指数を示した(p<0.01)。この結果から、本発明の組成物Aの経口摂取により、細胞傷害活性が増強されることが示された。
[実施例3] パイエル板細胞を用いたin vitro 分泌型IgA産生試験
BALB/cマウス、雌、10週齢(チャールズリバー)からパイエル板を無菌的に摘出し、コラゲナーゼ処理によりパイエル板細胞懸濁液を得た。試験群においては、得られたパイエル板細胞を96穴培養プレートに1×106個/穴で分注し、組成物Bを0または100μg/mlになるよう調整した10%牛胎児血清を含むRPMI培地で培養した。対照群では、RPMI培地に組成物Bを含まないこと以外は試験群と同様にして培養を行った。培養開始(0日目)の3〜5日後に培養上清を回収し、培養上清に含まれる総IgA量をELISA法にて測定した。
測定の結果、培養上清中の総IgA量は、対照群(組成物Bを含まないRPMI培地で培養)では858 ng/mlであったのに対し、試験群(組成物Bを含むRPMI培地で培養)では1120 ng/mlであった。すなわち試験群では、in vitroでパイエル板細胞から分泌されるIgAの産生量が約1.3倍に増加したことが示された。図3は、対照群の総IgA量を1とした場合の試験群における総IgA量の相対値(IgA比活性)をグラフとして示したものである。この結果から、本発明の組成物が、パイエル板細胞を活性化させ、分泌型IgAの産生を増強することが示された。
[実施例4] in vivo 分泌型IgA産生試験
BALB/cマウス、雌、4週齢を、対照群及び試験群の各群について6匹ずつ用意した。対照群(組成物B非摂取群)にはオリエンタル酵母社製粉末精製飼料(AIN93M)を、試験群にはMF飼料に組成物Bを2%(w/w)になるように混合した飼料を14日間自由摂取させた。飼料摂取を開始した日(0日目)とその後の7、14日目に糞便を回収し、凍結乾燥後、糞便中の総IgA量をELISA法にて測定した。
測定された総IgA量を表7に示す。得られたデータについては、統計学的処理により試験群と対照群との差の有意性を検定した。さらに表7の結果を、対照群を○、試験群を●で表すグラフとして図4に示した。
Figure 0004712289
表7及び図4に示される通り、試験群では、0日目と比較して14日目の糞便中の総IgA量が有意に高かった(p<0.05)。一方、対照群における14日目の糞便中の総IgA量を0日目と比較したところ、差異はほとんど見られなかった。さらに、試験群における7日目及び14日目の糞便中の総IgA量は、対照群の7日目及び14日目のそれぞれの総IgA量と比較して有意に高かった(7日目: *p<0.01、14日目: **p<0.001)。この結果から、本発明の組成物Bを継続的に経口摂取することにより、糞便中に分泌される分泌型IgA量が増加し、腸管免疫が増強されることが示された。
[実施例5]in vivo カゼイン特異的分泌型IgA産生試験
飼料摂取を開始してから14日目にのみ糞便を回収し、凍結乾燥後、糞便中のカゼイン特異的IgA量をELISA法にて測定したこと以外は、実施例4のin vivo 分泌型IgA産生試験と同じ方法で試験を行った。測定されたカゼイン特異的IgA抗体価を405nmでの吸光値として表8に示す。得られたデータについて、統計学的処理により試験群と対照群との差の有意性を検定した。さらに表8の結果を、図5にグラフとして示した。
Figure 0004712289
表8及び図5に示される通り、試験群における糞便中のカゼイン特異的IgA量は、対照群のカゼイン特異的IgA量と比較して有意に高かった(p<0.05)。このように、本発明の組成物Bを継続的に経口摂取することにより、食物抗原のカゼイン(これについては食物アレルギー反応を引き起こす危険性が知られている)に対して特異的な分泌型IgAの産生が増強されたことから、本発明の組成物Bの投与によって食物アレルギー反応を予防できることが示唆された。
本発明の組成物は、哺乳動物における免疫の効果的な促進、特に細胞傷害活性及び/又は分泌型IgA産生の効果的な増強を目的とした食品、飼料又は製剤に含有させて使用することができる。より詳細には、病原体感染若しくは細胞の癌化のリスクが高いか、又は病原体感染若しくは癌細胞が認められる哺乳動物に摂取させて、病原体感染若しくは細胞の癌化を予防するか又は病原体感染若しくは癌を治療するために使用する、細胞傷害活性増強用の食品、飼料又は製剤を、本発明の組成物を用いて製造することができる。また、免疫機能が低下しているか又は低下しやすい哺乳動物に摂取させて、腸管における病原体の生育を抑制し、また腸管での病原体の感染を予防するとともに、全身の粘膜免疫をも促進するために使用する、分泌型IgA産生増強用の食品、飼料又は製剤を、本発明の組成物を用いて製造することができる。さらには、食物アレルギー反応を示したことがあるか又は食物アレルギー反応を示すリスクの高い哺乳動物に摂取させて、食物抗原によるアレルギー反応を阻止するために使用する、食物アレルギー反応の予防用の食品、飼料又は製剤も、本発明の組成物を用いて製造することができる。本発明の組成物は、簡便な経口摂取によって効果的に免疫を促進することができ、しかも副作用の心配が非常に少ない免疫促進用食品、飼料又は製剤を製造する上で非常に有用である。
本発明の組成物を含有する食品、飼料又は製剤は、感染症予防用又は治療用、例えば、インフルエンザウイルス感染の予防用、インフルエンザの治療用、緑濃菌やカンジダ菌などによる日和見感染症の予防用、日和見感染症の治療用; 食中毒菌の感染予防用; 毒素(例えば、細菌毒素)の中和用; 癌の予防用又は治療用(例えば、白血病、胃癌若しくは骨肉腫などの予防用又は治療用など); アレルギー反応予防用、例えば、花粉症予防用、ダニアレルギー反応予防用、ハウスダストアレルギー反応予防用、食物アレルギー反応予防用(例えば、牛乳アレルギー反応予防用、卵アレルギー反応予防用、大豆アレルギー反応予防用など)を含む様々な免疫促進用途に、好適に使用することができる。
図1は、末梢血リンパ球と標的細胞とを[6.25:1]又は[12.5:1]の割合で混合培養したときにそれぞれの標的細胞が受けた傷害度(細胞傷害指数)を示したグラフである。縦軸は細胞傷害指数(%)、横軸は末梢血リンパ球とYAC−1細胞との混合比を示す。 図2は、末梢血リンパ球と標的細胞とを、[12.5:1]の割合で培養したときの細胞傷害指数(表1)を、対照群と試験群とで比較したグラフである。 図3は、組成物Bで刺激されたパイエル板細胞におけるIgA産生応答の増加を示すグラフである。 図4は、組成物Bを摂取したマウスの糞便中に含まれるIgA量の経時的変化を示すグラフである。 図5は、組成物Bを摂取したマウスにおける、糞便中のカゼイン特異的IgA量の増加を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 下記(a)〜(d)の群について各群ごとに乳酸菌及びサッカロミセス・セレビシエを大豆熱水抽出物を含む培地中で混合培養し、得られた群ごとの混合培養物をさらに1つに混合して培養することにより得られる乳酸菌とサッカロミセス・セレビシエとの混合培養物の培養上清を含有する組成物を有効成分として含有する、分泌型IgA産生の増強のための、免疫促進用製剤。
    (a) ラクトバチルス・デルブルエキイ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトコッカス・ラクティス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;
    (b) ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトコッカス・ラクティス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;
    (c) ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・カゼイ、ストレプトコッカス・サーモフィラス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群;並びに
    (d) ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ラムノーサス、ストレプトコッカス・サーモフィラス、及びサッカロミセス・セレビシエからなる群
  2. 前記組成物が凍結乾燥物又は噴霧乾燥物である、請求項記載の免疫促進用製剤。
  3. 食物アレルギー反応の予防のための、請求項1又は2記載の免疫促進用製剤。
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