JP2009067030A - オフセット印刷機及びその運転制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】版胴7は、ゴム胴6及び着けローラ12に対して同時に外接して印刷状態となる印刷ポジションと、ゴム胴6及び着けローラ12から同時に離反して非印刷状態でアイドル回転するアイドリングポジションとに移動可能とし、給水装置11の水ローラ13はアイドリングポジションの版胴7にも外接すべく版胴7の移動に追随可能に設けた。
【選択図】図1
Description
このように複数の胴を具備して被印刷物へ印刷を行う印刷機の多くは、非印刷時において、メンテナンスなどのためにインキ供給装置及び給水装置を、共に版胴から離反させる機構を具備している。インキ供給装置及び給水装置を離反させる方法として、版胴の軸方向に沿って離反させるもの(例えば、特許文献1等参照)と、版胴の径方向へ離反させるもの(例えば、特許文献2等参照)とが知られている。
また、版胴へのインキ供給を停止させることが目的で版胴からインキ供給装置を離反させるとき、同時に給水装置も版胴から離反することになり、版胴への水分供給ができなくなる。そのため、版胴に付着したインキが乾燥してしまい、次回、印刷を再開するときに乾燥したインキの除去、清掃に時間を要するという問題があった。
即ち、本発明に係るオフセット印刷機1は、被印刷物Wの供給ラインを挟持する配置で圧胴5とゴム胴6とが設けられ、ゴム胴6に版胴7が外接され、インキ供給装置10の着けローラ12と給水装置11の水ローラ13とが版胴7に外接して設けられたものであって、版胴7は、ゴム胴6及び着けローラ12に対して同時に外接して印刷状態となる印刷ポジションと、ゴム胴6及び着けローラ12から同時に離反して非印刷状態でアイドル回転するアイドリングポジションとに移動可能とされており、前記給水装置11の水ローラ13はアイドリングポジションの版胴7にも外接すべく版胴7の移動に追随可能に設けられている。
しかも、版胴7がアイドリングポジション(インキ供給装置10の着けローラ12から離反した状態)へ移動後も、給水装置11の水ローラ13が版胴7との外接状態を保持すべく追随移動するので、版胴7は常に適度な湿潤状態を保てるようになっている。そのため、版胴7に付着しているインキがアイドリング中に乾燥してしまうということがなく、次回の印刷再開が容易且つ迅速に行える利点がある。
このような構成を採用すると、構造のコンパクト化及び簡潔化を図れることになり、好適となる。
版胴7の回転軸7aを回転自在に保持する軸受ケース21が装置フレーム22に設けられたケースハウジング23に対して回転自在に内嵌保持されており、前記版胴7のポジション移動を可能にすべく、版胴7の回転軸7aとケースハウジング23に対する軸受ケース21の回転軸心P2とが互いに偏心された構成とするのが好適である。
一方、本発明に係る運転制御方法は、圧胴5とゴム胴6との間に被印刷物Wを供給しつつ、ゴム胴6に外接する版胴7に対して、インキ供給装置10の着けローラ12からインキを、給水装置11の水ローラ13から水をそれぞれ供給して、被印刷物Wを印刷するオフセット印刷機に関するものであって、非印刷時には版胴7をゴム胴6及び着けローラ12から同時に離反させると共にこの離反状態のままアイドル回転させ、このアイドル回転中の版胴7に給水装置11の水ローラ13を外接させて水を供給するものである。
版胴7を非印刷時に印刷時の回転数に比して低速でアイドル回転させ、非印刷状態から印刷状態に変更するときに、版胴7をゴム胴6及び着けローラ12に同時に外接させながらアイドル回転より高速で空運転させるように制御すればよい。
図1乃至図8は、本発明に係るオフセット印刷機1の一実施形態を示している。このオフセット印刷機1は、被印刷物Wを供給する際に、前進だけでなく、停止、バックもできるようにした、いわゆる小型の間欠オフセット印刷機と称されるものであり、例えば図2に示すように被印刷物Wの供給ラインに沿って複数台を設置し、それぞれ別色を割り当てて多色刷り工程を構成させたり、1台だけ設置して単色刷り工程を構成させたりして使用する。
圧胴5、版胴7及びゴム胴6は、それらの回転軸5a,6a,7aが互いに平行し、版胴7とゴム胴6とが互いに逆回転関係となり、ゴム胴6と圧胴5とが互いに逆回転関係となるように、それぞれ連動して回転駆動されるようになっている。
版胴7の外周面には、画線部(印刷面となる部分)と、画線部相互間にできる非画線部(インキを載せない部分)とを有する版が設けられ、ゴム胴6の外周面には皮やゴム等により形成されたブランケットが設けられている。
なお、中間ローラ14は流体圧シリンダ等の駆動具(図示略)により水ローラ13及び着けローラ12に対する軸間距離を調節可能になっており、これにより着けローラ12への供給水量の調節(外接圧)や、給水のオンオフ切替ができるようになっている。
軸受ケース21は、外ケース26内で内ケース27が回転自在で且つ軸移動自在な状態に内嵌された二重ケース構造に形成されており、外ケース26の外周面がケースハウジング23の内周面に、また内ケース27の内周面が軸受20の外周面に、それぞれ摺接するようになっている。
版胴7の回転軸7aが軸受ケース21(内ケース27)に対して保持される回転軸心P1と、ケースハウジング23に対して軸受ケース21(外ケース26)が保持される回転軸心P2とは、互いに偏心した関係とされている。
なお、一方の軸受ケース21(図5側)には、内ケース27に対して軸移動調整ボルト30が相対回転自在な状態で連結されており、この軸移動調整ボルト30は、装置フレーム22に固定された調整受台31の雌ねじ部32に螺合により貫通されている。この軸移動調整ボルト30の軸心は、軸受ケース21(外ケース26)の回転軸心P2と同心とされている。
版胴7の一方側で突出する回転軸7a(図6側)に従動ギヤ37が一体回転可能に取り付けられており、ゴム胴6の回転軸6a及び圧胴5の回転軸5aに対してそれぞれ同じ側に取り付けられた従動ギヤ(図示略)を介して、原動モータ38(図3にのみ示す)から回転動力が伝えられるようになっている。
版胴7を保持する一対の軸受ケース21にフランジ部40が設けられているのと同様に、ゴム胴6にはその回転軸6aを回転自在に保持するための一対の軸受ケース45が設けられ、この軸受ケース45にフランジ部46が設けられている。
この軸受ケース45のフランジ部46には、その外周部から所定角度で径方向外方へ突出するブラケット47が取り付けられており、このブラケット47に、上記連結ロッド42の他端部42bが連結されている。更にこのフランジ部46には、ブラケット47とは異なる外周部に、部分円弧状の第3ギヤ48が設けられている。
この軸受ケース50のフランジ部51には、ゴム胴6側の第3ギヤ48と噛合する位置に、部分円弧状の第2ギヤ52が設けられていると共に、この第2ギヤ52とは異なる外周部に、円弧状の第1ギヤ53が設けられている。
すなわち、回転駆動機56を所定角度で正転回動又は逆転回動させると、原動ギヤ55から中間ギヤ54を介して第1ギヤ53に駆動が伝わり、圧胴5の軸受ケース50が所定角度、回動する。すると第2ギヤ52から第3ギヤ48に駆動が伝わり、ゴム胴6の軸受ケース45が所定角度、回動する。
圧胴5の回転軸心P5とその軸受ケース50の回転軸心P6とが偏心し、ゴム胴6の回転軸心P3とその軸受ケース45の回転軸心P4とが偏心し、版胴7の回転軸心P1とその軸受ケース21の回転軸心P2とが偏心がしているため、上記のように軸受ケース50、軸受ケース45、軸受ケース21が連動してそれぞれ所定角度の回動を行うとき、圧胴5は回転軸心P6のまわりでポジション移動を起こし、ゴム胴6は回転軸心P4のまわりでポジション移動を起こし、版胴7は回転軸心P2のまわりでポジション移動を起こすようになる。
これに対して図1は回転駆動機56の回動後であって、圧胴5とゴム胴6とが離反していると共に、版胴7がゴム胴6及び着けローラ12から同時に離反しており、各胴のアイドル回転が可能(非印刷状態)な状態である。すなわち、圧胴5、ゴム胴6、版胴7がいずれもアイドルポジションに配置されている。
第1、第2水供給元ローラ61,62は金属製ローラとされ、絞りローラ63及び水ローラ13はゴム製ローラとされている。
これに対し、絞りローラ63及び第1水供給元ローラ61は、第1水供給元ローラ61に設けられた駆動用モータ(図示略)から動力を得て回転駆動されるようになっている。この第1水供給元ローラ61に設けられた駆動用モータは、手動により回転速度の調節が可能となっている。
またこの給水装置11は、水ローラ13を第2水供給元ローラ62の周囲で移動させて、版胴7が印刷ポジションとアイドリングポジションとに移動しても外接状態を維持させるようにするための追随手段65を有している。
なお、本実施形態では、弾発具67としてコイルスプリングを圧縮バネとして採用しているが、第2水供給元ローラ62の回転軸まわりにリングバネを取り付けるようにしてもよい。またその他の構造でも、水ローラ13に対して版胴7へ押し付けるバネ力を生じさせることは可能であるし、場合によってはバネ力を伴わせない構造を採用することも可能である。
例えば清掃時やメンテナンス時などにこの強制止水装置70を作動させることで、確動カム68が支持アーム66を弾発具67のバネ力に抗する方向へ押し退けるように揺動させ、水ローラ13を強制的に版胴7から離反させるというものである。
上記絞りローラ63は、図8に示すように第1水供給元ローラ61から第2水供給元ローラ62へ供給する水量を調整するための水量調節装置73を形成している。
これにより揺動アーム80には揺動駆動成分が与えられるが、絞りローラ63が第1、第2水供給元ローラ61,62に外接していることに伴って、第1スリップ輪79の外周面、及び第2スリップ輪81の外周面で、それぞれ揺動アーム80との間にスリップが生じるようになり、結果、絞りローラ63は、第1、第2水供給元ローラ61,62に対する軸間距離(外接圧)を調節されるようになり、これによって第1水供給元ローラ61から第2水供給元ローラ62へと伝わる水量が調節されることになる。
図4に示すように、圧胴5とゴム胴6との間に被印刷物Wを供給しつつ、ゴム胴6に外接する版胴7に対して、インキ供給装置10の着けローラ12からインキを、給水装置11の水ローラ13から水をそれぞれ供給して、被印刷物Wを印刷する。
メンテナンス時や休憩時などの非印刷時には、まずインキ供給装置10によるインキ供給を停止させ、そのうえで図1に示すように、回転駆動機56を反時計回り方向へ所定角度だけ回動させる。すると原動ギヤ55から中間ギヤ54を介して第1ギヤ53に駆動が伝わり、圧胴5の軸受ケース50が反時計まわりに所定角度、回動する。
従って、これら軸受ケース50,45,21の回動に伴い、圧胴5は回転軸心P6のまわりでポジション移動(外周面で約2mm)を起こし、ゴム胴6は回転軸心P4のまわりでポジション移動(外周面で約1.5mm)を起こし、版胴7は回転軸心P2のまわりでポジション移動(外周面で約1mm)を起こすようになる。
このとき給水装置11では、図7に示すように、追随手段65が水ローラ13を第2水供給元ローラ62の周囲で移動させて、版胴7への外接状態を維持させるようにしている。そのため、版胴7はこの非印刷時も、常に適度な湿潤状態を保てるようになっている。
ここで原動モータ38を制御し、版胴7を印刷時の回転数に比して低速でアイドル回転させる。このようにすると、版胴7と外接する水ローラ13の回転も低速になるため、水ローラ13から版胴7への水供給量が必要最小限に抑制されることになる。
なお、必要に応じて水量調節装置73(図8参照)の調節ハンドル75を操作し、絞りローラ63と第1、第2水供給元ローラ61,62との軸間距離(外接圧)を調節したり、或いは第1水供給元ローラ61を回転駆動させている駆動用モータ(図示略)を減速制御したりすることで、第1水供給元ローラ61から第2水供給元ローラ62へと伝わる水量を調節してもよい。
その後、圧胴5とゴム胴6との間に被印刷物Wを供給して印刷を開始すればよい。非印刷時(アイドリング中)において版胴7は適度な湿潤状態に保たれていたため、版胴7に付着しているインキが乾燥してしまうということはなく、印刷再開は容易且つ迅速に行える。
5 圧胴
6 ゴム胴
7 版胴
7a 回転軸
10 インキ供給装置
11 給水装置
12 着けローラ
13 水ローラ
21 軸受ケース
22 装置フレーム
23 ケースハウジング
62 水供給元ローラ
65 追随手段
W 被印刷物
Claims (5)
- 被印刷物(W)の供給ラインを挟持する配置で圧胴(5)とゴム胴(6)とが設けられ、ゴム胴(6)に版胴(7)が外接され、インキ供給装置(10)の着けローラ(12)と給水装置(11)の水ローラ(13)とが版胴(7)に外接して設けられたオフセット印刷機において、
版胴(7)は、ゴム胴(6)及び着けローラ(12)に対して同時に外接して印刷状態となる印刷ポジションと、ゴム胴(6)及び着けローラ(12)から同時に離反して非印刷状態でアイドル回転するアイドリングポジションとに移動可能とされており、
前記給水装置(11)の水ローラ(13)はアイドリングポジションの版胴(7)にも外接すべく版胴(7)の移動に追随可能に設けられていることを特徴とするオフセット印刷機。 - 前記給水装置(11)には、水ローラ(13)に水を供給する水供給元ローラ(62)と、
水ローラ(13)をこの水供給元ローラ(62)の周囲で移動させて前記印刷ポジションとアイドリングポジションとに位置する版胴(7)に外接させる追随手段(65)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷機。 - 前記版胴(7)の回転軸(7a)を回転自在に保持する軸受ケース(21)が装置フレーム(22)に設けられたケースハウジング(23)に対して回転自在に内嵌保持されており、
前記版胴(7)のポジション移動を可能にすべく、版胴(7)の回転軸(7a)とケースハウジング(23)に対する軸受ケース(21)の回転軸心(P2)とが互いに偏心されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のオフセット印刷機。 - 圧胴(5)とゴム胴(6)との間に被印刷物(W)を供給しつつ、ゴム胴(6)に外接する版胴(7)に対して、インキ供給装置(10)の着けローラ(12)からインキを、給水装置(11)の水ローラ(13)から水をそれぞれ供給して、被印刷物(W)を印刷するオフセット印刷機につき運転制御する方法において、
非印刷時には版胴(7)をゴム胴(6)及び着けローラ(12)から同時に離反させると共にこの離反状態のままアイドル回転させ、
このアイドル回転中の版胴(7)に給水装置(11)の水ローラ(13)を外接させて水を供給することを特徴とするオフセット印刷機の運転制御方法。 - 前記版胴(7)を非印刷時に印刷時の回転数に比して低速でアイドル回転させ、
非印刷状態から印刷状態に変更するときに、版胴(7)をゴム胴(6)及び着けローラ(12)に同時に外接させながらアイドル回転より高速で空運転させることを特徴とする請求項4記載のオフセット印刷機の運転制御方法。
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