JP2009065082A - 化合物半導体基板 - Google Patents

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純 小宮山
Akira Yoshida
晃 吉田
Koji Oishi
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Yoshihisa Abe
芳久 阿部
Shunichi Suzuki
俊一 鈴木
Hideo Nakanishi
秀夫 中西
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【課題】化合物半導体単結晶層に残留するキャリアを抑制することによって、高速および高耐電圧デバイスに好適な窒化物半導体単結晶層を有する化合物半導体基板を提供する。
【解決手段】Si単結晶基板1上に、B,Al,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜2μmの3C−SiC単結晶バッファー層2と、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜5μmのGaN単結晶層3とが順次積層された構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、高速および高効率半導体デバイス等に用いられる3C−SiC(立方晶炭化ケイ素)と、GaN(六方晶窒化ガリウム)およびAlN(六方晶窒化アルミニウム)に代表される窒化物等の化合物半導体単結晶層とからなる化合物半導体基板に関する。
化合物半導体は、Siよりも電子移動速度がはるかに速いため、高速信号処理に優れ、低電圧で動作したり、光に反応したり、マイクロ波を出したりと優れた特性を備えている。このような優れた物性から、化合物半導体を用いたデバイスは、現在主流である半導体Siによるデバイスの物性限界を凌駕するものとして期待されている。
従来、化合物半導体デバイスとしては、Si単結晶基板上に化合物半導体単結晶バッファー層および化合物半導体単結晶等を積層させた構成が一般的であるが、このようなデバイスは、エネルギー損失の低減化、破壊電圧の向上等の様々な課題を有していた。
これらの課題に対しては、例えば、化合物半導体単結晶からなるバッファー層のキャリア濃度を高くして、抵抗を低くすることにより、デバイスにおけるエネルギー損失を抑制し、破壊電圧を高くする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−216576号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているようにバッファー層の抵抗が低くなると、むしろ、デバイス応答の高速化および耐電圧性の向上を阻害する場合がある。
本発明者らは、このような高速性および耐電圧性を阻害している原因を追究したところ、デバイス活性層以外の化合物半導体単結晶層に残留しているキャリアに原因があることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいて、化合物半導体単結晶層に残留するキャリアを抑制することによって、高速および高耐電圧デバイスに好適な窒化物半導体単結晶層を有する化合物半導体基板を提供することを目的とするものである。
本発明に係る化合物半導体基板は、Si単結晶基板上に、B,Al,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜2μmの3C−SiC単結晶バッファー層と、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜5μmのGaN単結晶層とが順次積層されていることを特徴する。
このように、3C−SiC単結晶バッファー層およびGaN単結晶層に、所定の不純物を所定量添加することによって、該不純物が残留したキャリアを捕獲し、3C−SiC単結晶バッファー層およびGaN単結晶層を高抵抗化させることができ、デバイス応答の高速化および耐電圧性の向上が図られる。
前記化合物半導体基板においては、3C−SiC単結晶バッファー層とGaN単結晶層との間に、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜2μmのGaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)が挿入形成されていることが好ましい。
3C−SiC単結晶バッファー層とGaN単結晶層との間に、所定の不純物が所定量添加されたGaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)を、さらに挿入形成することにより、GaN単結晶層をより高抵抗化させやすくなり、また、キャリアの発生原因となるミスフィット転位の発生を抑制することもできる。
前記GaxAl1-xN単結晶バッファー層において、組成構成制御、転位との観点から、GaxAl1-xNがAlN(x=0)であることが好ましい。
また、前記Si単結晶基板と3C−SiC単結晶バッファー層との間には、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜2μmのc−BP単結晶バッファー層が挿入形成されていることが好ましい。
Si単結晶基板と3C−SiC単結晶バッファー層との間に、所定の不純物が所定量添加された高抵抗のc−BP単結晶バッファー層を挿入形成することによって、3C−SiCバッファー層およびGaN単結晶層をより高抵抗化させやすくなり、また、キャリアの発生原因となるミスフィット転位の発生を抑制することもできる。
上述したとおり、本発明に係る化合物半導体基板によれば、化合物半導体単結晶層に残留するキャリアを抑制することができ、デバイス応答の高速化および耐電圧性の向上を図ることができる。
したがって、本発明に係る化合物半導体基板は、パワーデバイスや高周波デバイス用HEMT(High Electron Mobility Transistor)等に好適に用いることができる。
以下、本発明について、図面を参照して、より詳細に説明する。
図1に、本発明に係る第1の態様の化合物半導体基板の層構成の概略を示す。
図1に示す第1の態様の化合物半導体基板は、Si単結晶基板1上に、3C−SiC単結晶バッファー層2を介して、窒化物半導体であるGaN単結晶層3が形成されている化合物半導体基板であり、前記3C−SiC単結晶バッファー層2およびGaN単結晶層3の両層には、所定の不純物が添加されているものである。
前記3C−SiC単結晶バッファー層2は、Si単結晶基板1とGaN単結晶層3との間に挿入形成され、両者の格子不整合を緩和する役割を果たす。この3C−SiC単結晶バッファー層2には、B,Al,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素が1014〜1021/cm3添加される。
この不純物の添加によって、該不純物が層内の残留したキャリアを捕獲するため、3C−SiC単結晶バッファー層2の高抵抗化を図ることができる。このようにキャリアを捕獲して高抵抗化を図る観点から、不純物元素は、上記に列挙した元素のうちから選択されたものとし、また、不純物濃度は、上記範囲内で添加されることが好ましい。
前記不純物濃度が1014/cm3未満である場合、残留したキャリアの捕獲不足のため高抵抗化を図ることが困難である。
一方、前記不純物濃度が1021/cm3を超える場合は、結晶構造が変わり、もはや、異なる物質になる。
また、3C−SiC単結晶バッファー層2に添加する不純物は、コストや汚染等を考慮した実用性の観点から、上述した元素のうち、B,Al,V,Ni,Fe,Mgのうちの少なくともいずれか1種であることがより好ましい。
3C−SiC単結晶バッファー層2の厚さは、実用性の観点から、0.05〜2μmであることが好ましい。
前記厚さが0.05μm未満である場合、バッファー(緩衝)効果が不十分となる。
一方、前記厚さが2μmを超えると、3C−SiC単結晶バッファー層2形成の際、ミスフィット転位が発生する等により、好ましくない。
前記3C−SiC単結晶バッファー層2の厚さは、0.1〜1μmであることがより好ましい。
前記3C−SiC単結晶バッファー層2上に形成されるGaN単結晶層3には、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素が1014〜1021/cm3添加される。
このGaN単結晶層3においても、3C−SiC単結晶バッファー層2の場合と同様に、不純物の添加によって、該不純物が層内の残留したキャリアを捕獲するため、GaN単結晶層3の高抵抗化を図ることができる。このような観点から、不純物元素は、上記に列挙した元素のうちから選択されたものとし、また、不純物濃度は、上記範囲内で添加されることが好ましい。
前記GaN単結晶層3も、前記3C−SiC単結晶バッファー層2と同様に、前記不純物濃度が1014/cm3未満である場合は、残留したキャリアの捕獲不足のため、高抵抗化を図ることが困難である。
一方、前記不純物濃度が1021/cm3を超える場合は、結晶構造が変わり、もはや異なる物質になる。
また、前記GaN単結晶層3に添加する不純物は、コスト、汚染等を考慮した実用性の観点から、上述した元素のうち、C,V,Ni,Fe,Mgの少なくともいずれか1種であることがより好ましい。
また、前記GaN単結晶層3の厚さは、実用性の観点から、0.05〜5μmであることが好ましい。
前記GaN単結晶層3の厚さが0.05μm未満である場合、デバイスの耐電圧性の向上を十分に図ることができない。
一方、前記厚さが5μmを超えると、GaN単結晶層3形成の際、ミスフィット転位が発生する等により、好ましくない。
前記GaN単結晶層3の厚さは、0.5〜4μmであることがより好ましい。
前記3C−SiC単結晶バッファー層2またはGaN単結晶層3のいずれかの一方の層のみに、上記のように不純物を添加した場合には、その後、GaN単結晶層3上に作製されるデバイスの高速性および耐電圧性の向上効果は見られないが、これら両層に不純物を添加すると、相乗効果によって、デバイスの高速性および耐電圧性を、不純物未添加の従来品に比べて、約2倍に向上させることができる。
なお、前記3C−SiC単結晶バッファー層2およびGaN単結晶層3の抵抗値は、1000Ω・cm以上と非常に高いため、例えば、ホール効果測定法等の周知の方法では、測定できない。
そのため、本発明においては、抵抗値に代えて、各層の不純物濃度を規定する。これらの不純物濃度は、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)により測定することができる。具体的には、CsおよびO等の一次イオンを分析試料に衝突させ、該分析試料から飛び出してきた二次イオンの質量分析により、不純物濃度測定を行う。
以上のように、本発明に係る第1の態様の化合物半導体基板は、3C−SiC単結晶バッファー層およびGaN単結晶層の両層に、所定の不純物を所定量添加することにより、該不純物が各層内に残留したキャリアを捕獲し、3C−SiCバッファー層およびGaN単結晶層を高抵抗化することができるため、デバイス活性層のデバイス応答の高速化および耐電圧性の向上が図られる。
図2に、本発明に係る第2の態様の化合物半導体基板の層構成の概略を示す。
図2に示す第2の態様の化合物半導体基板は、Si単結晶基板1上に、3C−SiC単結晶バッファー層2と、GaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)4と、GaN単結晶層3とを順次積層させた化合物半導体基板であって、各層に所定の不純物が添加されているものである。
すなわち、第2の態様の化合物半導体基板は、上記の第1の態様の化合物半導体基板において、3C−SiC単結晶バッファー層2とGaN単結晶層3との間に、所定の不純物を含む高抵抗のGaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)4が挿入形成されているものである。GaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)4が挿入形成されている点以外は、第1の態様と同様であるため、説明を省略する。
前記GaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)4は、3C−SiC単結晶バッファー層2とGaN単結晶層3との間に挿入形成され、両層の格子不整合を緩和する役割を果たす。
このGaxAl1-xN単結晶バッファー層4には、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素が1014〜1021/cm3添加される。
この不純物の添加によって、該不純物が層内の残留したキャリアを捕獲することができ、GaxAl1-xN単結晶バッファー層4の高抵抗化を図ることができる。このようにキャリアを捕獲して高抵抗化を図る観点から、不純物元素は、上記に列挙した元素のうちから選択されたものとし、また、不純物濃度は、上記範囲内で添加されることが好ましい。
前記不純物濃度が1014/cm3未満である場合は、残留したキャリアの捕獲不足のため、高抵抗化を図ることが困難である。
一方、前記不純物濃度が1021/cm3を超える場合は、結晶構造が変わり、もはや、異なる物質になる。
前記GaxAl1-xN単結晶バッファー層4に添加する不純物は、コスト、汚染等を考慮した実用性の観点からは、上述した元素のうち、C,V,Ni,Fe,Mgのうちの少なくともいずれか1種であることがより好ましい。
また、GaxAl1-xN単結晶バッファー層4の厚さは、実用性の観点から、0.05〜2μmであることが好ましい。
前記厚さが0.05μm未満である場合、バッファー(緩衝)効果が不十分となる。
一方、前記厚さが2μmを超えると、GaxAl1-xN単結晶バッファー層4形成の際、ミスフィット転位が発生する等により、好ましくない。
前記GaxAl1-xN単結晶バッファー層4の厚さは、0.1〜1μmであることがより好ましい。
なお、前記GaxAl1-xN単結晶バッファー層4の抵抗値は、3C−SiC単結晶バッファー層2およびGaN単結晶層3と同様に、1000Ω・cm以上と非常に高いため、例えば、ホール効果測定法等の周知の方法では、測定できない。
そのため、本発明においては、抵抗値に代えて、各層の不純物濃度を規定する。
以上のように、本発明に係る第2の態様の化合物半導体基板は、高抵抗のGaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)を、さらに挿入形成することにより、その上に形成されるGaN単結晶層3をより高抵抗化させることができる。
また、GaxAl1-xNは、3C−SiCおよびGaNのいずれとも、格子整合性が良好であるため、キャリアの発生原因となるミスフィット転位の発生を抑制することができる。
このような構成を備えることにより、デバイスの高速性および耐電圧性を、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品に比べて、約3倍に向上させることができる。
前記GaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)において、xの値、すなわち、GaAlN組成は、要求されるデバイス特性に応じて、層厚さとともに、上記範囲内において適宜設定される。
特に、AlN単結晶バッファー層(x=0)の場合には、各層の組成構成制御が容易であり、多層単結晶層によるミスフィット転位を効率的に低減させることができる。従って、GaxAl1-xN単結晶バッファー層は、AlN単結晶バッファー層であることが好ましい。
図3に、本発明に係る第3の態様の化合物半導体基板の層構成の概略を示す。
図3に示す第3の態様の化合物半導体基板は、Si単結晶基板1上に、c−BP単結晶バッファー層5と、3C−SiC単結晶バッファー層2と、GaN単結晶層3とを順次積層させた化合物半導体基板であって、各層に所定の不純物が添加されているものである。
すなわち、上記の第1の態様の化合物半導体基板において、Si単結晶基板1と3C−SiC単結晶バッファー層2との間に、所定の不純物を含む高抵抗のc−BP単結晶バッファー層5が挿入形成されているものである。c−BP単結晶バッファー層5が挿入形成されている点以外は、第1の態様と同様の層構成であるため、説明を省略する。
前記c−BP単結晶バッファー層5は、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素が1014〜1021/cm3添加される。
この不純物の添加によって、該不純物が層内の残留したキャリアを捕獲するため、c−BP単結晶バッファー層5の高抵抗を図ることができる。このようにキャリアを捕獲して高抵抗化を図る観点から、不純物元素は、上記に列挙した元素のうちから選択されたものとし、また、不純物濃度は、上記範囲内で添加されることが好ましい。
前記不純物濃度が1014/cm3未満である場合は、残留したキャリアの捕獲不足のため、高抵抗化を図ることが困難である。
一方、前記不純物濃度が1021/cm3を超える場合は、結晶構造が変わり、もはや、異なる物質になる。
また、前記c−BP単結晶バッファー層5に添加する不純物は、コスト、汚染等を考慮した実用性の観点からは、上述した元素のうち、C,V,Ni,Fe,Mgのうちの少なくともいずれか1種であることがより好ましい。
また、前記c−BP単結晶バッファー層5の厚さは、実用性の観点から、0.05〜2μmであることが好ましい。
前記厚さが0.05μm未満である場合、デバイスの耐電圧性の向上を十分に図ることができない。
一方、前記厚さが2μmを超えると、c−BP単結晶バッファー層5形成の際、ミスフィット転位が発生する等により、好ましくない。
前記c−BP単結晶バッファー層5の厚さは、0.1〜1μmであることがより好ましい。
なお、c−BP単結晶バッファー層5の抵抗値は、3C−SiC単結晶バッファー層2およびGaN単結晶層3と同様に、1000Ω・cm以上と非常に高いため、例えば、ホール効果測定法等の周知の方法では、測定できない。
そのため、本発明においては、抵抗値に代えて、各層の不純物濃度を規定する。
以上のように、本発明に係る第3の態様の化合物半導体基板は、高抵抗のc−BP単結晶バッファー層を挿入形成することにより、その上に形成される3C−SiC単結晶バッファー層2、さらに、それに乗じて、3C−SiC単結晶バッファー層2上に形成されるGaN単結晶層3を、それぞれ高抵抗化させることができる。
また、c−BPは、Siおよび3C−SiCのいずれとも格子整合性が良好であるため、キャリアの発生原因となるミスフィット転位の発生を抑制することができる。
これにより、デバイスの高速性および耐電圧性を、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品に比べて、約3倍に向上させることができる。
このようなc−BP単結晶バッファー層5の挿入形成は、前記第2の態様の化合物半導体基板に適用してもよい。すなわち、Si単結晶基板1上に、c−BP単結晶バッファー層5と、3C−SiCバッファー層2と、GaxAl1-xN単結晶バッファー層4(0≦x<1)と、GaN単結晶層3とを順次積層させた構成とすることもできる。
この場合も、GaN単結晶層3上に形成されるデバイスの高速性および耐電圧性を、より向上させる効果が得られる。
なお、本発明において用いられるSi単結晶基板は、チョクラルスキー(CZ)法により製造されたものに限られず、フローティングゾーン(FZ)法により製造されたもの、および、これらのSi単結晶基板に気相成長によりSi単結晶層をエピタキシャル成長させたもの(エピタキシャルSi基板)であってもよい。
前記Si単結晶基板の厚さは、100〜1000μmであることが好ましく、200〜800μmであることがより好ましい。
Si単結晶基板の厚さが100μm未満である場合、機械的強度不足となる。
一方、前記厚さが1000μmを超えると、原料コストが高くなり、それに見合うほどの効果は得られない。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
厚さ525μmのSi単結晶基板上を、C38ガス雰囲気下、1000℃で熱処理した後、原料ガスとしてSiH4ガスおよびC38ガスを用い、不純物を含む材料ガスとしてジボランを導入し、1000℃での気相成長により、不純物としてB(ホウ素)を1017/cm3含む厚さ1μmの3C−SiC単結晶バッファー層を積層させた。
次に、原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)ガスおよびNH3ガスを用い、不純物を含む材料ガスとしてC38を導入し、1000℃での気相成長により、前記3C−SiC単結晶バッファー層上に、不純物としてC(炭素)を1017/cm3含む、厚さ1μmのGaN単結晶層を積層させ、図1に示すような層構成の化合物半導体基板を作製した。
なお、気相成長により形成した各層の厚さおよび不純物濃度の調整は、ガス流量および供給時間の調整により行った。
上記により得られた化合物半導体基板に、Alの真空蒸着により裏面電極を、Niの真空蒸着により表面電極を形成して作製したデバイスについて評価を行ったところ、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品に比べて、高速性および耐電圧特性が約2倍向上していることが認められた。
[実施例2]
厚さ525μmのSi単結晶基板上を、C38ガス雰囲気下、1000℃で熱処理した後、原料ガスとしてSiH4ガスおよびC38ガスを用い、不純物を含む材料ガスとしてジボランを導入し、1000℃での気相成長により、不純物としてB(ホウ素)1017/cm3を含む、厚さ1μmの3C−SiC単結晶バッファー層を積層させた。
次に、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(TMA)ガスおよびNH3ガスを用い、不純物を含む材料ガスとしてC38ガスを導入し、1000℃での気相成長により、前記3C−SiC単結晶層バッファー層上に、不純物としてC(炭素)を1017/cm3含む、厚さ0.1μmのAlN層を積層させた。
さらに、原料ガスとしてTMGガスおよびNH3ガスを用い、不純物を含む材料ガスとしてC38ガスを導入し、1000℃での気相成長により、前記AlN層上に、不純物としてC(炭素)を1017/cm3含む、厚さ1μmのGaN単結晶層を積層させ、図2に示すような層構成の化合物半導体基板を作製した。
なお、気相成長により形成した各層の厚さおよび不純物濃度の調整は、ガス流量および供給時間の調整により行った。
上記により得られた化合物半導体基板に、Alの真空蒸着により裏面電極を、Niの真空蒸着により表面電極を形成して作製したデバイスについて評価を行ったところ、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品に比べて、高速性および耐電圧特性が約3倍程度、また、実施例1に比べて1.5倍程度向上していることが認められた。
[実施例3]
厚さ525μmのSi単結晶基板上を、H2ガス雰囲気下、1000℃で熱処理した後、原料ガスとしてジボランおよびフォスフィンを用い、不純物を含む材料ガスとしてC38ガスを導入し、1000℃での気相成長により、不純物としてC(炭素)を1017/cm3含む、厚さ1μmのc−BP単結晶バッファー層を積層させた。
次に、前記c−BP単結晶バッファー層上に、実施例1と同様にして、3C−SiC単結晶バッファー層およびGaN単結晶層とを順次積層させ、図3に示すような層構成の化合物半導体基板を作製した。
なお、気相成長により形成したc−BP単結晶バッファー層の厚さおよび不純物濃度の調整も、ガス流量および供給時間の調整により行った。
上記により得られた化合物半導体基板に、Alの真空蒸着により裏面電極を、Niの真空蒸着により表面電極を形成して作製したデバイスについて評価を行ったところ、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品に比べて、高速性および耐電圧特性が約4倍向上、また、実施例1に比べて2倍程度向上していることが認められた。
[比較例1]
厚さ525μmのSi単結晶基板上を、C38ガス雰囲気下、1000℃で熱処理した後、原料ガスとしてSiH4ガスおよびC38ガスを用い、1000℃での気相成長により、不純物を含まない、厚さ1μmの3C−SiC単結晶バッファー層を積層させた。
次に、前記3C−SiC単結晶バッファー層上に、実施例1と同様にして、GaN単結晶層を積層させ、化合物半導体基板を作製した。
上記により得られた化合物半導体基板に、Alの真空蒸着により裏面電極を、Niの真空蒸着により表面電極を形成して作製したデバイスについて評価を行ったところ、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品と比べて、高速性および耐電圧特性の向上は見られなかった。
[比較例2]
厚さ1μm、不純物を含まないGaN単結晶層とが順次積層された化合物半導体基板を作製した。
実施例1と同様にして、Si単結晶基板上に、不純物としてB(ホウ素)を濃度1017/cm3含む、厚さ1μmの3C−SiC単結晶バッファー層を積層させた。
次に、原料ガスとしてTMGガスおよびNH3ガスを用い、1000℃での気相成長により、前記3C−SiC単結晶バッファー層上に、不純物を含まない、厚さ1μmのGaN単結晶層を積層させ、化合物半導体基板を作製した。
上記により得られた化合物半導体基板に、Alの真空蒸着により裏面電極を、Niの真空蒸着により表面電極を形成して作製したデバイスについて評価を行ったところ、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品と比べて、高速性および耐電圧特性の向上は見られなかった。
[実施例4]
Si単結晶基板上に、不純物としてAl(アルミニウム),V(バナジウム),Ni(ニッケル),Fe(鉄),Mg(マグネシウム),Pt(白金),Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タングステン),Ta(タンタル),Nb(ニオブ),Sc(スカンジウム),Ti(チタン),Au(金),Co(コバルト),Cu(銅)のうちのいずれかを1017/cm3含む、厚さ1μmの3C−SiC単結晶バッファー層と、厚さ1μm、不純物としてC(炭素)を濃度1017/cm3含む、厚さ1μmのGaN単結晶層とが順次積層された化合物半導体基板を、実施例1に準じた方法により、それぞれ作製した。
各不純物の添加は、それぞれ、以下の方法により行った。
3C−SiC単結晶バッファー層に、Alを添加するためには、不純物を含む材料ガスとしてTMAを、バブラーを用いて導入した。
Vを添加するためには、同様の方法で、VCl4を導入し、Niを添加するためには、ビスシクロペンタジエニルニッケルを導入し、Feを添加するためには、ビスシクロペンタジエニル鉄を導入し、Mgを添加するためには、ビスシクロペンタジエニルマグネシウムを導入した。
Ptを添加するためには、不純物を含む材料ガスとして固体Ptを加熱気化して導入し、また、Crを添加するためには、固体Crを加熱気化して導入した。
Moを添加するためには、MoCl5を導入し、Wを添加するためには、WCl6を導入し、Taを添加するためには、TaCl5を導入した。
Nbを添加するためには、固体Nbを加熱気化して導入し、Scを添加するためには、固体Scを加熱気化して導入した。
Tiを添加するためには、TiCl4を導入した。
Auを添加するためには、固体Auを加熱気化して導入し、Coを添加するためには、固体Coを加熱気化して導入し、Cuを添加するためには、固体Cuを加熱気化して導入した。
上記により得られた各化合物半導体基板に、Alの真空蒸着により裏面電極を、Niの真空蒸着により表面電極を形成して作製したデバイスについて評価を行ったところ、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品に比べて、高速性および耐電圧特性が約2倍向上していることが認められた。
[実施例5]
Si単結晶基板上に、不純物としてB(ホウ素)を1017/cm3含む、厚さ1μmの3C−SiC単結晶バッファー層と、不純物としてV,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちのいずれかを1017/cm3含む、厚さ1μmのGaN単結晶層とが順次積層された化合物半導体基板を実施例1,4に準じた方法により、それぞれ作製した。
上記により得られた各化合物半導体基板に、Alの真空蒸着により裏面電極を、Niの真空蒸着により表面電極を形成して作製したデバイスについて評価を行ったところ、バッファー層が不純物未添加の3C−SiC層のみの従来品に比べて、高速性および耐電圧特性が約2倍向上していることが認められた。
本発明に係る第1の態様の化合物半導体基板の概略断面図である。 本発明に係る第2の態様の化合物半導体基板の概略断面図である。 本発明に係る第3の態様の化合物半導体基板の概略断面図である。
符号の説明
1 Si単結晶基板
2 3C−SiC単結晶バッファー層
3 GaN単結晶層
4 GaxAl1-xN単結晶バッファー層
5 c−BP単結晶バッファー層

Claims (4)

  1. Si単結晶基板上に、B,Al,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜2μmの3C−SiC単結晶バッファー層と、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜5μmのGaN単結晶層とが順次積層されていることを特徴する化合物半導体基板。
  2. 前記3C−SiC単結晶バッファー層とGaN単結晶層との間に、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜2μmのGaxAl1-xN単結晶バッファー層(0≦x<1)が挿入形成されていることを特徴とする請求項1記載の化合物半導体基板。
  3. 前記GaxAl1-xN単結晶バッファー層において、GaxAl1-xNがAlN(x=0)であることを特徴とする請求項2記載の化合物半導体基板。
  4. 前記Si単結晶基板と3C−SiC単結晶バッファー層との間に、C,V,Ni,Fe,Mg,Pt,Cr,Mo,W,Ta,Nb,Sc,Ti,Au,Co,Cuのうちの少なくともいずれか1種の不純物元素を1014〜1021/cm3含む、厚さ0.05〜2μmのc−BP単結晶バッファー層が挿入形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物半導体基板。
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