JP2009062710A - コンクリート構造物の補強工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】既設のコンクリート構造物の既設鉄筋に干渉することなく、コンクリート構造物の側面部からフーチング部内部に渡って鉛直方向補強筋を埋設することが可能なコンクリート構造物の補強工法の提供。
【解決手段】コンクリート構造物のフーチング部1上の柱部2の側面部に特殊コアドリル20のスピンドル部22およびこのスピンドル部22に取り付けられるコアビット21が収納可能かつモータ部23が収容不可能な大きさの凹部6を切削し、この切削した凹部6内にはスピンドル部22がモータ部23からオフセットされた特殊コアドリル20のスピンドル部22およびコアビット21を収容して、フーチング部1内部に定着孔7を鉛直方向に削孔する。
【選択図】図5

Description

本発明は、既設のコンクリート橋脚などのコンクリート構造物に新たに補強筋を埋設固定させるコンクリート構造物の補強工法に関する。
橋梁のコンクリート橋脚は、地震時の水平耐力を満足することが重要であり、耐震性の確保が必要である。従来、コンクリート橋脚の耐震補強工法として、RC(Reinforced Concrete:鉄筋コンクリート)巻立て工法、鉄板巻立て工法、炭素繊維・アラミドシート補強工法やPC(Prestressed Concrete:プレストレストコンクリート)巻立て工法などが知られている。
この中でRC巻立て工法は、橋脚内部に配筋された主鉄筋と平行に鉛直方向筋を橋脚表面に固定し、この主鉄筋と直角方向に帯鉄筋を重ねて配筋固定した後、型枠を形成しコンクリートを打設することによって補強構造が施工される。また、このRC巻立てによる補強工法の他に、コンクリート橋脚表面に主鉄筋および帯鉄筋を配筋固定した後、ポリマーモルタルを被覆する補強構造も施工されている。
このようにRC巻立てによる補強構造またはポリマーモルタルによって被覆した補強構造であれば、コンクリートの巻立てまたはポリマーモルタルの被覆によって既設橋脚と橋軸方向に固定された鉄筋棒との一体化が強化され、その補強効果が長時間にわたって維持される。
ところが、これらの補強工法では、コンクリート橋脚表面に補強用鉄筋を固定した後、コンクリートの巻立てまたはポリマーモルタルの被覆を行うので、コンクリート橋脚の径がコンクリート巻立層またはポリマーモルタル被覆層によって著しく増大することになる。また、巻立て厚さが厚くなることによって橋脚重量も大幅に増大する。
そこで、このような問題点を解決するため、例えば、特許文献1には、被補強面に溝部を形成するとともに、この溝部と連続するように基部に孔部を穿設し、これらの溝部および孔部に亘って補強用ロッドを配置し、これらの溝部および孔部に接着剤を充填して補強用ロッドを固定するコンクリート構造物の補強工法が提案されている。また、特許文献1には、孔部の穿設は、通常、コンクリートコアドリルで行うが、孔部を被補強面に沿うように穿設しようとすると、ドリルが被補強部と干渉してしまうため、穿設方向に少し角度を与えて孔部を穿設すると記載されている。
図7は既設橋脚のフーチング部に削岩用ドリルを用いて斜め方向に定着孔を削孔する例を示している。図7に示すように、特許文献1に記載の工法では、削岩用ドリル50が被補強部51と干渉しないように斜め方向にフーチング部52に削孔している。ところが、このように削岩用ドリル50で削孔を行う場合、削岩用ドリル50を人手により保持して行うので、全ての定着孔を同じ角度で削孔することが困難となる。また、斜め方向に削孔した定着孔に補強筋を挿入するためには、特許文献1にも記載のように補強用ロッドをへの字型に加工する必要があるが、それぞれ角度が異なる定着孔に合わせて補強用ロッドを加工することは困難である。
また、本発明者は、特許文献2に記載のようにコンクリート構造物の補強工法を提案している。このコンクリート構造物の補強工法では、コアドリル(穿孔機)を用いてフーチング部に鉛直方向の定着孔を削孔するため、柱部の下部にコアドリルを収容して削孔作業を行うことが可能な大きさのコア削孔スペースを設けている。この工法によれば、被補強面に沿うように定着孔を形成することができ、真っ直ぐな補強用ロッドを用いて補強を行うことが可能となる。
特開2005−54532号公報 特許第3786938号公報
ところが、現在市販されているコアドリルを用いてフーチング部に鉛直方向の定着孔を削孔しようとする場合、コアドリルのスピンドル部と同軸上にあるモータ部までを完全に収容できるコア削孔スペースを設けることになり、このコア削孔スペースの奥行きは100mm以上必要となる。しかし、既設橋脚のコンクリートのかぶり厚さが100mm程しかない場合、コア削孔スペースが既設鉄筋に干渉してしまうことになるため、必要なコア削孔スペースを切削することができなくなるという問題が発生する。
そこで、本発明においては、既設のコンクリート構造物の既設鉄筋に干渉することなく、コンクリート構造物の側面部からフーチング部内部に渡って鉛直方向補強筋を埋設することが可能なコンクリート構造物の補強工法を提供することを目的とする。
本発明のコンクリート構造物の補強工法は、コンクリート構造物の側面部に鉛直方向に溝部を切削し、この溝部内に鉛直方向補強筋を埋設し、樹脂を注入して固定するコンクリート構造物の補強工法であって、コンクリート構造物のフーチング部上の側面部に、溝部に接続され、コアドリルのスピンドル部およびこのスピンドル部に取り付けられるコアビットが収容可能かつモータ部が収容不可能な大きさの凹部を切削する工程と、凹部内に、スピンドル部がモータ部からオフセットされたコアドリルのスピンドル部およびコアビットを収容して、フーチング部内部に定着孔を鉛直方向に削孔する工程と、溝部内から凹部および定着孔内に渡って鉛直方向補強筋を埋設し、樹脂を注入して固定する工程とを含む。
本発明のコンクリート構造物の補強工法によれば、コンクリート構造物のフーチング部内部にコアドリルを用いて定着孔を削孔するに際して、コンクリート構造物のフーチング部上の側面部にコアドリルのスピンドル部およびこのスピンドル部に取り付けられるコアビットが収納可能かつモータ部が収容不可能な大きさの凹部を切削し、この切削した凹部内にはスピンドル部がモータ部からオフセットされたコアドリルのスピンドル部およびコアビットを収容して、フーチング部内部に定着孔を鉛直方向に削孔するので、コンクリート構造物の側面部に切削する凹部の深さはコアドリルのスピンドル部およびこのスピンドル部に取り付けられるコアビットが収納可能な程度で良く、既設のコンクリート構造物の既設鉄筋に干渉することなく、フーチング部内部に定着孔を鉛直方向に削孔することができる。
ここで、凹部の深さは、50mm以下であることが望ましい。50mm以下であれば、既設のコンクリート構造物の既設鉄筋に干渉することはない。一方、50mmを超える場合、コンクリート構造物のコンクリートの被り厚さが一般的なものよりも薄い場合に既設鉄筋に干渉する可能性が出てくる。
また、本発明のコンクリート構造物の補強工法では、鉛直方向補強筋を埋設後、鉛直方向補強筋の上端部を、溝部を跨ぐ長さの帯板材によって溝部内に拘束し、樹脂を硬化させることが望ましい。これにより、凹部に埋設した鉛直方向補強筋の上端部が、樹脂の硬化時に垂れてくることを防止することができる。
(1)コンクリート構造物のフーチング部内部にコアドリルを用いて定着孔を削孔するに際して、コンクリート構造物のフーチング部上の側面部にコアドリルのスピンドル部およびこのスピンドル部に取り付けられるコアビットが収納可能かつモータ部が収容不可能な大きさの凹部を切削し、この切削した凹部内にはスピンドル部がモータ部からオフセットされたコアドリルのスピンドル部およびコアビットを収容して、フーチング部内部に定着孔を鉛直方向に削孔するので、コンクリート構造物の側面部に切削する凹部の深さはコアドリルのスピンドル部およびこのスピンドル部に取り付けられるコアビットが収納可能な程度で良く、既設のコンクリート構造物の既設鉄筋に干渉することなく、フーチング部内部に定着孔を鉛直方向に削孔することができ、コンクリート構造物の側面部からフーチング部内部に渡って鉛直方向補強筋を埋設することが可能となる。
(2)凹部の深さが、50mm以下であることにより、既設のコンクリート構造物の既設鉄筋に干渉する可能性を排除することができるため、凹部切削時に既設鉄筋への干渉を注意する必要がなくなり、凹部切削時の作業性が向上する。
(3)鉛直方向補強筋を埋設後、鉛直方向補強筋の上端部を、溝部を跨ぐ長さの帯板材によって溝部内に拘束し、樹脂を硬化させることにより、凹部に埋設した鉛直方向補強筋の上端部が、樹脂の硬化時に垂れてくることを防止することができ、樹脂硬化時の作業性が向上する。
図1の(a)は本発明の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法により施工した鉄筋コンクリート製の橋脚の部分平面断面図、(b)は部分側面断面図である。図1において、この橋脚は、鉄筋コンクリート製のフーチング部1上に、鉄筋コンクリート製の柱部2が形成されている。そして、柱部2の側面全面に、補強用被覆層3が形成されている。
柱部2の内部には、柱部2の軸方向すなわち鉛直方向に主筋4aが配置されている。この柱部2の側面部には、各主筋4aの外側であって主筋4aと同一方向に溝部5が形成されている。なお、図1において4bは帯筋である。また、フーチング部1上の柱部2の側面部には、後述する凹部6が形成されている。溝部5は凹部6に接続されている。さらに、この凹部6の下方のフーチング部1内部には定着孔7が形成されている。
前述の溝部5内部から凹部6および定着孔7に渡って、補強用の鉛直方向補強筋8が嵌め込まれ、埋設されている。鉛直方向補強筋8は、溝部5、凹部6および定着孔7の内部にエポキシ樹脂を素材とする樹脂9を充填し硬化させることによって、溝部5、凹部6および定着孔7の内部に固定されている。また、鉛直方向補強筋8の外側には、帯筋10がフレア溶接11によって施工され、その外側に補強用被覆層3が形成されている。
以上の構成において、鉛直方向補強筋8は柱部2の側面部に形成された溝部5内に嵌め込まれた状態で固定されている。しかも鉛直方向補強筋8と溝部5の間にはエポキシ樹脂を素材とする樹脂9を介在させているので、柱部2が地震時の水平荷重によって撓み変形するときでも、この柱部2の変形による歪み力は溝部5内の樹脂9を介して鉛直方向補強筋8に伝達される。
すなわち、鉛直方向補強筋8は柱部2の溝部5の中に封止されているので、柱部2が地震時の水平荷重によって撓みによる変位が発生した場合でも、鉛直方向補強筋8の弾性域の範囲内では変位を吸収することによって柱部2の表面全体が高い引っ張り応力を備えた構成となる。さらに、鉛直方向補強筋8は、溝部5内部に樹脂9によって拘束封止されているので溝部5から浮き上がることはない。
次に、図2のフロー図にしたがって、補強用被覆層3の施工手順について説明する。図2は本発明の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法のフロー図、図3は概略の施工手順を示す説明図である。
(S101)表面処理工
まず、補強する橋脚の柱部2(図3参照。)の表面前面をチッピングまたはサンドブラストにより粗面な状態にする。なお、ウォータージェットを用いても良い。
(S102)墨出工
次に、柱部2の側面の溝部5および凹部6を形成する位置に墨出しを行う。
(S103)コアスペース切削工
そして、図3の(a)に示すように、柱部2の下部のフーチング部1上の側面部に、フーチング部1に凹部6を形成する。図4は柱部に形成される凹部6の拡大斜視図、図5は特殊コアドリル20により定着孔7を削孔する状態を示す図であって、(a)は平面断面図、(b)は側面断面図である。この凹部6は、コア削孔を行うための削孔工具としての図5に示す特殊コアドリル(穿孔機)20を収容して削孔作業を行うためのコア削孔スペースである。
本実施形態において使用する特殊コアドリル20は、コアビットが取り付けられるスピンドル部とモータ部とが同軸上に配置された従来のコアドリルとは異なり、図5に示すようにコアビット21が取り付けられるスピンドル部22が、モータ部23から水平方向にオフセットされたものである。スピンドル部22とモータ部23とは、歯車やベルト等の回転伝達機構24により連結されており、モータ部23の回転駆動力は、回転伝達機構24およびスピンドル部22を介してコアビット21に伝達される。また、モータ部23、回転伝達機構24およびスピンドル部22は、支持部25により鉛直軸26に対して上下動可能に支持されている。
凹部6は、この特殊コアドリル20のスピンドル部22およびコアビット21が収容可能であり、かつモータ部23が収容不可能な大きさに形成される。すなわち、モータ部23を完全に収容しようとすれば凹部6の奥行きD(図4、図5参照。)を100mm以上としなければならないが、本実施形態において形成する凹部6の奥行きDは40mmであり、最大でも50mm以下である。なお、凹部6の幅Wは130mmであるが、これについては特に制限はなく、凹部6内にスピンドル部22およびコアビット21が収容可能な大きさであれば良い。また、凹部6の高さは1,000mmである。
(S104)コア削孔
このような凹部6に対して、図5に示すように、スピンドル部22およびコアビット21が収容されるように特殊コアドリル20を設置し、支持部25を鉛直下方向に下降させることにより、径60mm、深さ600mmの定着孔7を鉛直方向に削孔する。この工程に際しては、事前にフーチング部1の内部に配筋された鋼材(図示せず。)の位置を把握しておくことが望ましい。
(S105)埋設溝切削工
次いで、図3(a)に示すように、柱部2の側面部にコンクリートカッター(図示せず。)によって柱部2内部に配筋されている主筋4a(図1参照。)と平行方向(鉛直方向)に幅50mm、深さ50mm程度の切れ目を入れ、この切れ目内部のコンクリートを電動ピックによってはつり取り、溝部5を形成する。このあと、高圧洗浄などの方法で、柱部2の表面、溝部5、凹部6および定着孔7に付着したコンクリート粉塵を除去、清掃する。
(S106)鉄筋埋設定着工
次に、図3(a)に示すように定着孔7内に鉛直方向補強筋8を差し込み、鉛直方向補強筋8を溝部5内から凹部6および定着孔7内に渡って埋設する。図6(a)は柱部2の溝部5の上端部の拡大図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。ここで、図6(b)に示すように、鉛直方向補強筋8と溝部5との隙間に鉄製または木製などの楔12を打ち込み、鉛直方向補強筋8を拘束する。この楔12は、図6(a)に示すように、鉛直方向補強筋8と溝部5との隙間の両側に千鳥配置となるように設置する。また、ここで、図6(a)および(b)に示すように、鉛直方向補強筋8の上端部を、溝部5を跨ぐ長さの帯板材からなる仮固定金具13によって溝部5内に拘束する。仮固定金具13は、コンクリートアンカー14によって固定する。そして、溝部5と鉛直方向補強筋8との隙間および定着孔7内に、樹脂9を注入し、鉛直方向補強筋8を固定する。なお、楔12は、樹脂9の硬化後に抜き取るか、あるいは樹脂9により埋め殺す。また、仮固定金具13は、樹脂9の硬化後に取り外す。
(S107)帯鉄筋取付工
次いで、図3(b)に示すように、柱部2の側面部内部に鉛直方向に配筋した鉛直方向補強筋8と直角方向すなわち水平方向に帯筋10を取り付ける。取り付けは、事前に鉛直方向補強筋8に付けておいた結束線(図示せず。)で鉛直方向補強筋8と結束することにより行う。結束後、図1(b)に示すように、帯筋10の端部同士をフレア溶接11して連続筋とする。なお、帯筋10は従来使用されている異形鉄筋で良いが、表面に防錆処置を施すことが望ましい。また、結束線はステンレス材が望ましい。
(S108)保護被覆工
次いで、図3(c)に示すように、柱部2の表面に補強用被覆層3を形成する。補強用被覆層3の形成は、まず、防錆性能を持つポリマーペースト系の下地強化被覆材を塗布し、次にポリマーセメント系被覆材を塗布する。塗布方法は、下地強化被覆材についてはハケ塗りまたは吹き付けとし、ポリマーセメント系被覆材はコテ塗りまたは吹き付けとする。
(S109)仕上材塗布工
最後に、補強用被覆層3の上に仕上材を塗布する。
なお、補強用被覆層3は、上記被覆材のほかに、型枠を形成してセメントモルタルを巻き立てる方法により形成することも可能である。このとき、柱部2の表面はあらかじめチッピングなどで粗面にしておくことが望ましい。なお、補強用被覆層3をRC巻立工法により形成する場合は、型枠を形成した後、高流動コンクリートを打設する。
こうして形成した補強用被覆層3の柱部2表面に露出する厚みは、従来のRC巻立て工法の約1/8、ポリマーモルタル巻立て工法の約1/3となるため、建築限界や河積阻害の制限を受ける橋脚の補強が可能である。また、巻立て厚さを大幅に削減することができることから、被覆材の使用量も従来のポリマーモルタル巻立て工法よりも2/3ほど削減でき、施工費の大幅な削減が可能である。
以上のように、本実施形態における鉄筋コンクリート製の橋脚では、柱部2の表面部に鉛直方向補強筋8を嵌め込む溝部5を形成し、溝部5に鉛直方向補強筋8を嵌め込んで固定することにより、この鉛直方向補強筋8を含む補強層が柱部2に食い込んだ状態となり、柱部2が歪んだ場合にも、鉛直方向補強筋8がこの柱部2の変位に追従しながら引っ張り応力を発揮するので、補強層とコンクリートの間に隙間が生じることがない。
このため、鉛直方向補強筋8と柱部2とのより一層の一体化が図られ、長期に渡って補強効果が持続できる。また、鉛直方向補強筋8が柱部2の表面部の溝部5に嵌め込まれているため、補強用被覆層3の厚みを極めて薄くすることができ、材料使用量を減らすことができる。これにより、材料使用量を減らし、補強に伴う増加重量および施工費の軽減と工期の短縮を図ることができる。
また、本実施形態における補強工法では、橋脚のフーチング部1内部に定着孔7を削孔するに際して、フーチング部1上の側面部に特殊コアドリル20のスピンドル部22およびコアビット21が収納可能かつモータ部23が収容不可能な程度の大きさの凹部6を切削し、この切削した凹部6内には特殊コアドリル20のモータ部23を除くスピンドル部22およびコアビット21を収容して、フーチング部1内部に定着孔7を鉛直方向に削孔するので、既設のコンクリート構造物の既設鉄筋に干渉することがない。
特に、この補強工法では、凹部の深さが50mm以下であるため、既設のコンクリート構造物の既設鉄筋に干渉する可能性が排除され、凹部6の切削時に既設鉄筋への干渉を注意する必要がなくなり、凹部切削時の作業性が向上している。
また、この補強工法では、鉛直方向補強筋8を埋設後、鉛直方向補強筋8の上端部を、溝部5を跨ぐ長さの仮固定金具13によって溝部5内に拘束して、樹脂9を硬化させることにより、凹部に埋設した鉛直方向補強筋8の上端部が、樹脂9の硬化時に垂れたり、はみ出したりすることを防止することができ、樹脂硬化時の作業性が向上している。
また、溝部5に鉛直方向補強筋8を嵌め込んだ後、溝部5の内面と鉛直方向補強筋8との隙間に楔12を打ち込んで鉛直方向補強筋8を拘束して、隙間に樹脂9を注入して鉛直方向補強筋8を固定することによって、鉛直方向補強筋8と溝部5との嵌め合い寸法の精度にかかわらず、コンクリートに対する引張強度を効率よく発揮する補強層を形成することが可能である。また、柱部2と鉛直方向補強筋8との間に樹脂9を介在させることにより、鉛直方向補強筋8に対する剪断力が発生せず、剪断力破壊が生じない。さらに、この樹脂9は、柱部2に発生した亀裂の補修材としても作用するため、柱部2の補強効果が一層向上している。
本発明のコンクリート構造物の補強工法は、コンクリート製の橋脚に作用する地震時の水平荷重に対する耐震補強に止まらず、橋梁のコンクリート製桁下面の補強や、他のコンクリート構造物の補強に有用である。特に、巻立て厚さの増加に制限がある橋脚や増加重量の軽減が必要な橋脚の補強に好適である。
(a)は本発明の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法により施工した鉄筋コンクリート製の橋脚の部分平面断面図、(b)は部分側面断面図である。 本発明の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法のフロー図である。 本発明の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法の概略の施工手順を示す説明図である。 柱部に形成される凹部の拡大斜視図である。 特殊コアドリルにより定着孔を削孔する状態を示す図であって、(a)は平面断面図、(b)は側面断面図である。 (a)は柱部の溝部の上端部の拡大図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。 既設橋脚のフーチング部に削岩用ドリルを用いて斜め方向に定着孔を削孔する例を示す図である。
符号の説明
1 フーチング部
2 柱部
3 補強用被覆層
4a 主筋
4b 帯筋
5 溝部
6 凹部
7 定着孔
8 鉛直方向補強筋
9 樹脂
10 帯筋
11 フレア溶接
12 楔
13 仮固定金具
14 コンクリートアンカー
20 特殊コアドリル
21 コアビット
22 スピンドル部
23 モータ部
24 回転伝達機構
25 支持部
26 鉛直軸

Claims (3)

  1. コンクリート構造物の側面部に鉛直方向に溝部を切削し、この溝部内に鉛直方向補強筋を埋設し、樹脂を注入して固定するコンクリート構造物の補強工法であって、
    コンクリート構造物のフーチング部上の側面部に、前記溝部に接続され、コアドリルのスピンドル部およびこのスピンドル部に取り付けられるコアビットが収容可能かつモータ部が収容不可能な大きさの凹部を切削する工程と、
    前記凹部内に、スピンドル部がモータ部からオフセットされたコアドリルの前記スピンドル部およびコアビットを収容して、前記フーチング部内部に定着孔を鉛直方向に削孔する工程と、
    前記溝部内から前記凹部および前記定着孔内に渡って鉛直方向補強筋を埋設し、樹脂を注入して固定する工程と
    を含むコンクリート構造物の補強工法。
  2. 前記凹部の深さは、50mm以下である請求項1記載のコンクリート構造物の補強工法。
  3. 前記鉛直方向補強筋を埋設後、前記鉛直方向補強筋の上端部を、前記溝部を跨ぐ長さの帯板材によって前記溝部内に拘束し、前記樹脂を硬化させることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート構造物の補強工法。
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