JP6427045B2 - 既設コンクリート構造物の補強構造及び補強方法 - Google Patents

既設コンクリート構造物の補強構造及び補強方法 Download PDF

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本発明は、既設のコンクリート構造物の補強構造及び補強方法に関する。特に、橋脚や橋台の曲げ荷重に対する補強構造及び補強方法に関する。
橋脚の耐震補強工法として、鋼板巻き立て工法が知られている(例えば、特許文献1)。この工法は、既設の橋脚に鋼板を巻き付けることにより、橋脚のせん断耐力及びじん性を向上させるとともに、鋼板をフーチングに定着させることにより、曲げ耐力を向上させる。鋼板に代えて、炭素繊維又はアラミド繊維等の連続繊維シートが用いられる場合もある(例えば、特許文献2)。
また、鋼板や連続繊維シートではなく、コンクリートを巻き立てる工法も知られている。図5及び図6は、従来のコンクリート巻き立て工法により補強された橋脚の模式的な縦断面図及び横断面図を示す。既設の橋梁の下部工102は、地盤に定着したフーチング104と、フーチング104から柱状に延出した橋脚106とを備える。下部工102に対する耐震補強は次のように行われる。すなわち、フーチング104及び橋脚106は、内部に既設鉄筋108を含む。フーチング104に複数の建て込み用孔110が設けられ、建て込み用孔110に樹脂アンカーが挿入され、さらに建て込み用孔110に補強のための軸方向鉄筋112の下端側が建て込まれることにより、軸方向鉄筋112はフーチング104に定着される。その後、帯鉄筋114が配置され、軸方向鉄筋112及び帯鉄筋114を埋め込むように、橋脚106の外周に巻き立てコンクリート116が打設される。
特開平9−158127号公報 特許第2994365号公報
コンクリート巻き立て工法は、多くの場合、鋼板や連続繊維シートの巻き立て工法よりも、コストを抑えることができるという利点を有する。コンクリート巻き立て工法による橋脚の基部の補強において、じん性補強のみでは橋脚に大きな残留変位が発生する場合等は、フーチングに軸方向鉄筋を定着させて曲げ耐力の向上が図られる。しかしながら、従来のコンクリート巻き立て工法では、軸方向鉄筋がフーチングに設けた建て込み用孔に直接挿入されて定着されていたため、フーチングの既設鉄筋との位置関係が問題であった。補強のために新たに設置される軸方向鉄筋が、フーチングの既設鉄筋と干渉する位置に配置される場合や、既設鉄筋の位置が設計位置からずれている場合等に、既設鉄筋を切断するとフーチングの耐力が減少するおそれがあった。一方、干渉する軸方向鉄筋の位置をずらし、又は、干渉する軸方向鉄筋をフーチングに設けた建て込み用孔に入れずにフーチングに定着させないと、十分な補強効果が得られないおそれがあった。
本発明は、このような問題に鑑み、既設鉄筋との位置関係の問題を起こさずに、補強のための軸方向鉄筋をフーチング等の基体に定着できる既設コンクリート構造物の補強構造を提供することを目的とする。
本発明のある側面は、基体(4)及び前記基体から延出する構造物本体(6,32,52)を備えた既設コンクリート構造物(2)の補強構造であって、前記構造物本体の延出方向に延在し、かつ前記構造物本体の外面に沿って配置された軸方向鉄筋(12,38,58)と、前記基体に設けられた複数の建て込み用孔(22)に係着され、かつ該建て込み用孔から延出する延出部分(16a)を有する結合用部材(16,40,60)と、前記結合用部材の前記延出部分を内包し、かつ前記構造物本体の前記基体に隣接する部分の外面及びそれに隣接する前記基体の表面に渡って打設された根巻きコンクリート(14,34,54)と、前記軸方向鉄筋を埋め込み、かつ前記根巻きコンクリートと一体化するように、前記構造物本体の外面に打設された巻き立てコンクリート(20,35,55)とを備え、前記軸方向鉄筋の一端側が、前記根巻きコンクリートに埋め込まれており、前記建て込み用孔を前記基体に含まれる既設鉄筋を切断する必要がない位置に設けることを可能にするべく、前記構造物本体の外面から外側に向かう方向において、前記根巻きコンクリートは、前記巻き立てコンクリートよりも厚いことを特徴とする。
この構成によれば、軸方向鉄筋は、基体に設けた孔に直接建て込まれずとも、根巻きコンクリート及び結合用部材を介して基体に定着され、構造物本体の曲げ耐力を向上させることができる。結合用部材は、根巻きコンクリートを基体に定着させるが、軸方向鉄筋に比べて配置の自由度が高いため、結合用部材を建て込むための建て込み用孔は、基体に含まれる既設鉄筋を切断する必要がない位置に設けることができ、コンクリート構造物の既設部分の強度が保たれる。
本発明の他の側面は、上記構成において、前記結合用部材が、PC緊張材からなることを特徴とする。
この構成によれば、プレストレスによって根巻きコンクリートを基体に押し付けることにより、根巻きコンクリートを強固に基体に定着させることができる。軸方向鉄筋は、その一端が根巻きコンクリートに埋め込まれているため、軸方向鉄筋の根巻きコンクリート及び結合用部材を介した基体への定着も強固になり、曲げ耐力を向上させることができる。
本発明の他の側面は、上記構成において、前記根巻きコンクリート内に配置され、前記根巻きコンクリートを前記構造物本体に押し付ける緊張力が付与された横締めPC緊張材(18,42,62)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、横締めPC緊張材によって根巻きコンクリートにプレストレスが加えられるため、根巻きコンクリートの曲げ耐力及びせん断耐力を向上させることができる。そのため、根巻きコンクリートを小さくすることができ、最小土被りや河川阻害率等の制約がある場合に好適である。
本発明の他の側面は、上記構成において、前記基体がフーチングであり、前記構造物本体が橋脚であることを特徴とする。
この構成によれば、上部工から大きな荷重を受ける橋梁の下部工の補強を、低コストで行うことができる。
本発明のある側面は、基体(4)及び前記基体から延出する構造物本体(6,32,52)を備えた既設コンクリート構造物(2)の補強方法であって、前記基体を削孔して複数の建て込み用孔(22)を設けるステップと、前記建て込み用孔に、前記基体から延出する延出部分(16a)を含む結合用部材(16,40,60)を建て込むステップと、前記構造物本体の延出方向に延在するように、前記構造物本体の外面に沿って軸方向鉄筋(12,38,58)を配置するステップと、前記結合用部材の前記延出部分を内包するように、前記構造物本体の前記基体に隣接する部分の外面及びそれに隣接する前記基体の表面に渡って根巻きコンクリート(14,34,54)を打設するステップと、前記軸方向鉄筋を埋め込み、かつ前記根巻きコンクリートと一体化するように、前記構造物本体の外面に巻き立てコンクリート(20,35,55)を打設するステップとを備え、前記軸方向鉄筋を配置するステップにおいて、前記軸方向鉄筋の一端側は前記根巻きコンクリートに埋め込まれるように配置され、前記建て込み用孔を前記基体に含まれる既設鉄筋を切断する必要がない位置に設けることを可能にするべく、前記構造物本体の外面から外側に向かう方向において、前記根巻きコンクリートは、前記巻き立てコンクリートよりも厚いことを特徴とする。
また、本発明の他の側面は、上記構成において、前記結合用部材がPC緊張材からなり、前記根巻きコンクリートが打設された後に緊張力を付与するステップをさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の他の側面は、上記構成において、前記根巻きコンクリートが打設される位置に、横締めPC緊張材(18,42,62)を配置するステップと、前記根巻きコンクリートが打設された後に、前記根巻きコンクリートを前記構造物本体に押し付けるように、前記横締めPC緊張材に緊張力を付与するステップとをさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の他の側面は、上記構成において、前記基体がフーチングであり、前記構造物本体が橋脚であることを特徴とする。
これらの構成を備えた方法によれば、それぞれ対応する上述の構造及びその作用効果を有する補強構造を提供することができる。
本発明によれば、軸方向鉄筋は、基体に設けた孔に直接建て込まれずとも、根巻きコンクリート及び結合用部材を介して基体に定着され、構造物本体の曲げ耐力を向上させることができる。結合用部材は、根巻きコンクリートを基体に定着させるが、軸方向鉄筋に比べて配置の自由度が高いため、結合用部材を建て込むための建て込み用孔は、基体に含まれる既設鉄筋を切断する必要がない位置に設けることができ、コンクリート構造物の既設部分の強度が保たれる。
実施形態に係る補強構造の模式的縦断面図(図2のI−I断面) 図1のII−II断面の模式的横断面図 変形実施形態に係る補強構造の橋脚基部を通る断面の模式的横断面図 他の変形実施形態に係る補強構造の橋脚基部を通る断面の模式的横断面図 従来の補強構造の模式的縦断面図(図6のV−V断面) 図6のVI−VI断面の模式的横断面図
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1及び図2は、本発明を橋梁の下部工2に適用した実施形態を示す。
既設のコンクリート構造物である橋梁の下部工2は、地盤に定着した基体となるフーチング4と、フーチング4の上面から上方に延出して構造物本体となる柱状の橋脚6とを備える。フーチング4は基礎杭(図示せず)を介して地盤に定着していてもよい。橋脚6は、その上部に側方に延出する梁(図示せず)が形成されていてもよく、支承を介して橋梁の上部工を支持する。フーチング4及び橋脚6には、既設鉄筋8が含まれる。既設鉄筋8は、フーチング4から橋脚6に渡って概ね鉛直方向に延在し、下端側が水平方向に屈曲した既設軸方向鉄筋8a、既設軸方向鉄筋8aに直交して概ね水平方向に延在する既設帯鉄筋8b、並びにフーチング4の主鉄筋及びスターラップ等を含む既設フーチング鉄筋8c等を含む。
補強構造10は、補強のために新たに設置された軸方向鉄筋12と、軸方向鉄筋12の下端側を埋め込み、かつ橋脚6の基部の外面を取り囲むように打設された根巻きコンクリート14と、根巻きコンクリート14をフーチング4に固定するPC鋼棒からなる結合用部材16と、根巻きコンクリート14を補強するPC鋼より線からなる横締めPC緊張材18と、根巻きコンクリート14と一体化され、軸方向鉄筋12の残りの部分を埋め込み、かつ橋脚6の外面を取り囲むように打設された巻き立てコンクリート20とを備える。図2では、図の横断面の上方に設けられた巻き立てコンクリート20の輪郭を想像線(二点鎖線)で示している。以下、施工手順に沿って、この補強構造10を説明する。
必要に応じて土留工又は仮締切工が行われた後、フーチング4の上面を露出させるように地面が掘削され、足場が架設される。補強のために新たに打設されるコンクリートとの一体性を確保するために、ブラスト又はチッピングにより、既設のフーチング4及び橋脚6の表面に凹凸が設けられる。
次に、橋脚6の基部の近傍のフーチング4の上面が削孔され、アンカー部材を建て込むための複数の建て込み用孔22が設けられる。複数の建て込み用孔22は、橋脚6の基部の外周に沿った2重の環形を形成するように配置される。各環形を形成する複数の建て込み用孔22は略等間隔に配置される。複数の建て込み用孔22は、1重又は3重以上の環形を形成してもよい。事前調査又は実際の削孔により、削孔位置が既設フーチング鉄筋8cに重なる場合は、既設フーチング鉄筋8cに重ならないように削孔位置がずらされて建て込み用孔22が形成される。このように削孔位置がずらされた建て込み用孔22は、隣接する建て込み用孔22と等間隔ではなく、環形配置からずれる場合もあるが、そのずれは許容される。
次に、根巻きコンクリート14をフーチング4に結合させるためのアンカー部材、すなわちPC鋼棒からなる結合用部材16が、建て込み用孔22に建て込まれる。結合用部材16は、下側が建て込み用孔22に受容され、上側の延出部分16aがフーチング4から延出するように設置される。その後、充填材が建て込み用孔22に注入され、結合用部材16がフーチング4に定着する。充填材には、エポキシ樹脂等の樹脂や、モルタル等を使用することができるが、クリープの影響がない無収縮モルタルを使用することが好ましい。
次に、アンカー用シース(図示せず。結合用部材16と同軸に配置される)、横締めPC緊張材用シース(図示せず。横締めPC緊張材18と同軸に配置される)、軸方向鉄筋12及び帯鉄筋24が配置される。アンカー用シースは、結合用部材16の延出部分16aが貫通するように配置され、後に打設される根巻きコンクリート14が結合用部材16に直接的に付着することを防止する。横締めPC緊張材用シースは、根巻きコンクリート14の打設予定範囲内で橋脚6を取り囲むように配置され、略水平方向に延在する。図2に示すように、根巻きコンクリート14が平面視で略長方形の形状に打設される場合は、4つの横締めPC緊張材用シースが、その長方形形状の4つの辺に沿って配置される。
軸方向鉄筋12は、その主要部が、既設軸方向鉄筋8aと略平行な橋脚6の軸方向、すなわち略鉛直方向に延在し、かつ橋脚6の外面に沿って配置される。軸方向鉄筋12は複数配置されるが、全体として橋脚6の外周を取り囲むように互いに略等しい間隔をおいて、結合用部材16よりも橋脚6に近接して配置される。軸方向鉄筋12の下端側は、略直角に屈折しており、端部が橋脚6に対して外側を向くように配置される。軸方向鉄筋12の下端側及びその近傍は、根巻きコンクリート14の打設予定範囲内に位置し、残りの部分は、巻き立てコンクリート20の打設予定範囲内に位置する。帯鉄筋24は、複数の軸方向鉄筋12に略直交するように当接し、橋脚6を取り囲むように配置される。帯鉄筋24は複数配置され、互いに鉛直方向にずれた位置に略等しい間隔をおいて配置される。
次に、根巻きコンクリート14用の型枠が設置され、根巻きコンクリート14が打設される。根巻きコンクリート14は、橋脚6の基部、すなわちフーチング4側の端部の外周を覆うように、フーチング4の上面の所定の範囲に打設され、橋脚6の基部及びフーチング4の上面に付着している。根巻きコンクリート14は、橋脚6の基部の外面から外側に向けて所定の厚さを有し、本実施形態では、平面視で長方形形状の橋脚6に対して、内側が橋脚6に付着し、外側が橋脚6を拡幅するような長方形形状を呈する。根巻きコンクリート14には、軸方向鉄筋12の下端側、軸方向鉄筋12の下端側に巻かれた帯鉄筋24、アンカー用シース、及び横締めPC緊張材用シースが埋め込まれる。根巻きコンクリート14が硬化した後、型枠は取り外される。ここで、結合用部材16の緊張作業、及び横締めPC緊張材18の挿入及び緊張作業が行えるように、アンカー用シースの上端、及び横締めPC緊張材用シースの両端は、打設された根巻きコンクリート14に埋まっていない。
次に、横締めPC緊張材18が、横締めPC緊張材用シースに挿入されて緊張力が付与される。また、結合用部材16にも緊張力が付与される。横締めPC緊張材18は、PC鋼より線からなる。横締めPC緊張材18及び結合用部材16は、クサビ方式やねじ方式等の公知の定着具によって、緊張力が付与された状態で定着される。緊張力が付与された後、横締めPC緊張材用シースと横締めPC緊張材18との間、及びアンカー用シースと結合用部材16との間にグラウトが注入される。また、横締めPC緊張材18及び結合用部材16の定着具は、コンクリート又はモルタルによって跡埋めされる。
次に、巻き立てコンクリート20用の型枠が設置され、巻き立てコンクリート20が打設される。巻き立てコンクリート20は、橋脚6の外周を覆うように橋脚6の外面に付着し、下端で根巻きコンクリート14に当接して一体化している。橋脚6の外面から外側に向かう方向において、巻き立てコンクリート20は、根巻きコンクリート14よりも薄い。巻き立てコンクリート20は、本実施形態では、平面視で長方形形状の橋脚6に対して、内側が橋脚6に付着し、外側が橋脚6を拡幅するような長方形形状を呈する。巻き立てコンクリート20には、軸方向鉄筋12及び帯鉄筋24の内、根巻きコンクリート14に埋め込まれた部分以外が埋め込まれる。巻き立てコンクリート20が硬化した後、型枠は取り外される。
その後、足場が撤去され、フーチング4が埋め戻され、土留工又は仮締切工が実施されていた場合は、これらを撤去する。
本実施形態の作用効果について説明する。
軸方向鉄筋12と一体になった巻き立てコンクリート20は、橋脚6に付着しているため、橋脚6のじん性及びせん断耐力を向上させている。さらに、軸方向鉄筋12が、根巻きコンクリート14及び結合用部材16を介してフーチング4に定着しているため、橋脚6の曲げ耐力を向上させている。
結合用部材16は、軸方向鉄筋12よりも本数が少なくかつ配置される間隔を広くすることができる。そのため、フーチング4に対する削孔が少なくなり、既設の下部工2の躯体への負荷を減少させることができる。
また、結合用部材16は、根巻きコンクリート14内に配置すればよいので、その配置の自由度が高い。従って、結合用部材16の本数が多くても施工が容易であるとともに、既設フーチング鉄筋8cを切断しないように建て込み用孔22を設けることができ、フーチング4の既設部分の耐力を減退させないことができる。軸方向鉄筋12に独立して建て込み用孔22を設けることができるため、この補強構造10は、大きな補強耐力が必要な場合、すなわち、軸方向鉄筋12の数量が多く、径が大きい場合に好適である。
また、結合用部材16に緊張力を導入することで、結合用部材16の本数を減らしても、確実に根巻きコンクリート14をフーチング4に定着できる。従って、根巻きコンクリート14及び結合用部材16を介してフーチング4に定着している軸方向鉄筋12は、フーチング4に確実に定着して、橋脚6の曲げ耐力を向上させる。
また、根巻きコンクリート14を横締めPC緊張材18で補強することにより、既設の橋脚6の基部及び根巻きコンクリート14の曲げ耐力及びせん断耐力が向上するため、根巻きコンクリート14の高さ及び厚さを抑えることができ、根巻きコンクリート14を小型化できる。特に、河川に設けられる橋梁の下部工2において、フーチング4に対する最小土被りや橋脚6の河川阻害率の制限がある場合に、横締めPC緊張材18による緊張力の付与は好適である。
次に、図3を参照して、本発明の変形実施形態について説明する。説明に当たって、上記実施形態と共通する構成は、その説明を省略し同一の符号を付す。図3は、横断面形状が円形の橋脚32の根巻きコンクリート34部分の模式的横断面図である。図3では、この横断面の上方に設けられた巻き立てコンクリート35の輪郭を想像線(二点鎖線)で示している。橋脚32には、既設軸方向鉄筋36aが埋め込まれている。根巻きコンクリート34は、内面が橋脚32に付着し、外面が平面視で円形の円環状を呈する。補強のための軸方向鉄筋38及び結合用部材40は、橋脚32の外面に沿った円周上に略等間隔で配置される点を除いて、上記実施形態と共通の構成を備える。2本の半円状の横締めPC緊張材42が、組み合わさって、円環状の根巻きコンクリート34の内部にその外周に沿って配置されている。巻き立てコンクリート35は、内面が橋脚32に付着し、外面が平面視で円形の円環状を呈し、その径方向の厚さは根巻きコンクリート34よりも小さい。
図4は、他の変形実施形態を示す。図4は、横断面形状が小判型の橋脚52の根巻きコンクリート54部分の模式的横断面図である。図4では、この横断面の上方に設けられた巻き立てコンクリート55の輪郭を想像線(二点鎖線)で示している。橋脚52には、既設軸方向鉄筋56aが埋め込まれている。根巻きコンクリート54は、内面が橋脚52に付着し、外面が平面視で小判型の環状を呈する。補強のための軸方向鉄筋58及び結合用部材60は、橋脚52の外面に沿った小判型の環形上に略等間隔で配置される点を除いて、上記実施形態と共通の構成を備える。2本の長円の半円状の横締めPC緊張材62が、組み合わさって、小判型の環状の根巻きコンクリート54の内部にその外周に沿って配置されている。巻き立てコンクリート55は、内面が橋脚52に付着し、外面が平面視で小判型の環状を呈し、その径方向の厚さは根巻きコンクリート54よりも小さい。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。本発明の補強構造が適用される構造物本体は、橋台でもよい。また、例えば、既設コンクリート構造物は、覆道(洞門)や貯水槽のように、構造物本体として柱、壁又は梁等を備えるコンクリート構造物でもよい。また、補強構造は、構造物本体の全周を覆わなくてもよく、構造物本体の一部の壁面に沿ってのみ設けられてもよい。結合用部材は、PC鋼棒に代えて他のPC緊張材に代えてもよく、例えば、PC鋼より線、又は、炭素繊維若しくはガラス繊維等の繊維強化プラスチックを用いてもよい。また、結合用部材として、PC緊張材ではなく、異形鋼棒等の鉄筋を用いてもよく、この場合アンカー用シースは設置されず、結合用部材としての鉄筋の延出部分が直接根巻きコンクリートに付着する。横締めPC緊張材は、PC鋼より線に代えて、PC鋼棒又は炭素繊維若しくはアラミド繊維等の繊維強化プラスチックとしてもよい。また、図3及び図4における横締めPC緊張材は、2本ではなく、1本や3本以上で円形や小判型にしてもよい。また、巻き立てコンクリートの打設は、横締めPC緊張材又は結合用部材の緊張前に行ってもよく、横締めPC緊張材と結合用部材の緊張作業は、どちらを先に行ってもよい。また、軸方向鉄筋の各々は、複数の鉄筋が継ぎ手されたものでもよく、軸方向鉄筋の下端側は、その屈折した方向の向きは適宜変更してもよく、その形状を変更してもよい。
2...下部工(コンクリート構造物)、4...フーチング(基体)、6,32,52...橋脚(構造物本体)、12,38,58...軸方向鉄筋、14,34,54...根巻きコンクリート、16,40,60...結合用部材、18,42,62...横締めPC緊張材、20,35,55...巻き立てコンクリート、22...建て込み用孔

Claims (8)

  1. 基体及び前記基体から延出する構造物本体を備えた既設コンクリート構造物の補強構造であって、
    前記構造物本体の延出方向に延在し、かつ前記構造物本体の外面に沿って配置された軸方向鉄筋と、
    前記基体に設けられた複数の建て込み用孔に係着され、かつ該建て込み用孔から延出する延出部分を有する結合用部材と、
    前記結合用部材の前記延出部分を内包し、かつ前記構造物本体の前記基体に隣接する部分の外面及びそれに隣接する前記基体の表面に渡って打設された根巻きコンクリートと、
    前記軸方向鉄筋を埋め込み、かつ前記根巻きコンクリートと一体化するように、前記構造物本体の外面に打設された巻き立てコンクリートとを備え、
    前記軸方向鉄筋の一端側が、前記根巻きコンクリートに埋め込まれており、
    前記建て込み用孔を前記基体に含まれる既設鉄筋を切断する必要がない位置に設けることを可能にするべく、前記構造物本体の外面から外側に向かう方向において、前記根巻きコンクリートは、前記巻き立てコンクリートよりも厚いことを特徴とする補強構造。
  2. 前記結合用部材が、PC緊張材からなることを特徴とする請求項1に記載の補強構造。
  3. 前記根巻きコンクリート内に配置され、前記根巻きコンクリートを前記構造物本体に押し付ける緊張力が付与された横締めPC緊張材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の補強構造。
  4. 前記基体がフーチングであり、前記構造物本体が橋脚であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の補強構造。
  5. 基体及び前記基体から延出する構造物本体を備えた既設コンクリート構造物の補強方法であって、
    前記基体を削孔して複数の建て込み用孔を設けるステップと、
    前記建て込み用孔に、前記基体から延出する延出部分を含む結合用部材を建て込むステップと、
    前記構造物本体の延出方向に延在するように、前記構造物本体の外面に沿って軸方向鉄筋を配置するステップと、
    前記結合用部材の前記延出部分を内包するように、前記構造物本体の前記基体に隣接する部分の外面及びそれに隣接する前記基体の表面に渡って根巻きコンクリートを打設するステップと、
    前記軸方向鉄筋を埋め込み、かつ前記根巻きコンクリートと一体化するように、前記構造物本体の外面に巻き立てコンクリートを打設するステップとを備え、
    前記軸方向鉄筋を配置するステップにおいて、前記軸方向鉄筋の一端側は前記根巻きコンクリートに埋め込まれるように配置され
    前記建て込み用孔を前記基体に含まれる既設鉄筋を切断する必要がない位置に設けることを可能にするべく、前記構造物本体の外面から外側に向かう方向において、前記根巻きコンクリートは、前記巻き立てコンクリートよりも厚いことを特徴とする補強方法。
  6. 前記結合用部材がPC緊張材からなり、前記根巻きコンクリートが打設された後に緊張力を付与するステップをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の補強方法。
  7. 前記根巻きコンクリートが打設される位置に、横締めPC緊張材を配置するステップと、
    前記根巻きコンクリートが打設された後に、前記根巻きコンクリートを前記構造物本体に押し付けるように、前記横締めPC緊張材に緊張力を付与するステップとをさらに備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の補強方法。
  8. 前記基体がフーチングであり、前記構造物本体が橋脚であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の補強方法。
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