JP2009062494A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】成形加工性、引張特性、引裂特性及び柔軟性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその成形品を提供する。
【解決手段】アクリル系重合体(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)及び可塑剤(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物及びその成形品。アクリル系重合体(A)の質量平均分子量は、10万〜200万であることが好ましく、更に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを測定して得られるクロマトグラムが、分子量5万〜35万と分子量40万〜200万の両方にピークを持つことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形加工性、引張特性、引裂特性及び柔軟性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその成形品に関する。
軟質材料は様々な産業分野で用いられており、従来、その主流となる材料はポリ塩化ビニル樹脂を可塑剤によって可塑化した、いわゆる軟質ポリ塩化ビニル樹脂であった。軟質材料に対する社会的ニーズは今後も伸びていくと予想される。しかしながら、近年、軟質材料として、環境保護の観点からポリ塩化ビニル樹脂から非ハロゲン系樹脂への代替が求められている。
このような背景から、アクリル系樹脂を可塑剤により可塑化させた材料が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この技術では、得られる材料の引張特性や引裂特性等の機械的特性が十分ではなく、更なる改良が望まれている。
一方、機械的特性に優れた軟質材料として熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。しかしながら、熱可塑性ポリウレタンは、成形加工温度が高い場合、粘着性が強くなり、且つ、溶融粘度が低下するため、成形加工時の離型性が悪くなり、カレンダー成形性が低下する。成形加工温度が低い場合、熱可塑性ポリウレタンの溶融が困難となる。
熱可塑性ポリウレタンは、成形加工可能な温度幅が狭く、成形加工性について更なる改良が望まれている。
国際公開第2005/012425号パンフレット
本発明の目的は、成形加工性、引張特性、引裂特性及び柔軟性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその成形品を提供することである。
本発明者らは上記課題に対して鋭意検討を行なった結果、アクリル系重合体に対して可塑剤を配合することで成形加工性及び柔軟性を向上させ、更に、熱可塑性ポリウレタンを配合することで引張特性及び引裂特性を向上させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、アクリル系重合体(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)及び可塑剤(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。熱可塑性樹脂組成物は、アクリル系重合体(A)100質量部、熱可塑性ポリウレタン(B)40〜1000質量部((A)100質量部に対して)、及び可塑剤(C)20〜100質量部((A)100質量部に対して)を含有することが好ましい。
また、本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品に関する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性に優れていることから、成形加工可能な温度幅が広く、特にカレンダー成形性に優れる。
本発明の成形品は、引張特性、引裂特性及び柔軟性に優れていることから、合成樹脂レザー、テープ、電線、シート、ガスケット、ホース等の各種用途に広く使用することができる。
本発明のアクリル系重合体(A)は、可塑剤(C)を良好に保持するためのものとして機能する。可塑剤(C)を良好に保持することにより、得られる熱可塑性樹脂組成物に柔軟性を付与することができる。
アクリル系重合体(A)の質量平均分子量は10万〜200万が好ましい。
アクリル系重合体(A)の質量平均分子量が10万以上であれば、可塑剤(C)の保持性が良好となり、得られる成形品に十分な柔軟性を付与することができ、質量平均分子量が200万以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の成形加工時の流動性が低下せず、成形加工性が良好となる。
本発明において、アクリル系重合体(A)は、得られる成形品の機械的特性と、熱可塑性樹脂組成物の成形加工時の流動性を向上させるため、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを測定して得られるクロマトグラムが、分子量5万〜35万の低分子量領域と、分子量40万〜200万の高分子量領域の両方にピークを持つものがより好ましい。
アクリル系重合体(A)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定する。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを測定して得られたクロマトグラムが明確に2つのピークに分かれていない場合には、波形分離処理を行なって2つのピークに分離し、各ピークの分子量を求めることができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを測定して得られるクロマトグラムが、分子量5万〜35万の低分子量領域と、分子量40万〜200万の高分子量領域の両方にピークを持つ重合体を得る方法としては、例えば、低分子量の重合体と高分子量の重合体をブレンドする方法、及び多段重合等により低分子量の重合体と高分子量の重合体を有する重合体を得る方法が挙げられる。
アクリル系重合体(A)を得るための原料として使用される単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、本発明において(メタ)アクリレートの表示はメタクリレート又はアクリレートを表す。
本発明において、アクリル系重合体(A)は、ゴム重合体5〜60質量%を含有することが好ましい。アクリル系重合体(A)にゴム重合体を含有させることにより、後述する可塑剤(C)と同様にアクリル系重合体(A)を軟質化することができ、可塑剤(C)の添加量を低減することができる。その結果、得られる成形品からの可塑剤(C)の浸出を抑制することができる。
また、アクリル系重合体(A)にゴム重合体を含有させることにより、得られる成形品の低温特性(低温での伸び、柔軟性等)を向上させることができる。
本発明において、ゴム重合体とはアクリル系ゴム重合体であり、20℃以下のガラス転移温度を有するアクリル系重合体を意味する。ゴム重合体のガラス転移温度は、ポリマーハンドブック(POLYMER HANDBOOK(J.BRANDRUP,INTERSCIENCE 1989))に記載されている単独重合体のガラス転移温度を用いて、FOXの式から算出することができる。
ゴム重合体を得るための原料として使用される単量体としては、例えば、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びオクチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ゴム重合体を得るための原料として使用される単量体には、必要に応じて、架橋剤を用いることができる。架橋剤としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びアリルメタクリレートが挙げられる。
アクリル系重合体(A)中のゴム重合体の含有率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、アクリル系重合体(A)中のゴム重合体の含有率は、60質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
アクリル系重合体(A)中のゴム重合体の含有率が5質量%以上であれば、得られる成形品の低温特性が良好となり、60質量%以下であれば、得られる成形品の機械的特性(特に引裂特性)が良好となる。
本発明において、アクリル系重合体(A)の構造としては特に限定されないが、重合体に種々の性能を付与できる点で粒子構造を有するものが好適である。また、アクリル系重合体(A)の粒子構造も特に限定されるものではない。
アクリル系重合体(A)の低分子量成分、高分子量成分又はゴム重合体が独立した別個の粒子の混合状態で存在してもよく、また単一の粒子の内部に何らかの構造を持って存在しても良い。粒子の内部に構造を持つ例としてはコアシェル構造(多層構造)が挙げられる。例えば、コアとして高分子量成分及びシェルとして低分子量成分を有するコアシェル構造が挙げられる。また、第1段目としてゴム重合体を、第2段目として高分子量成分を、及び第3段目として低分子量成分を有する多段重合粒子が挙げられる。
アクリル系重合体(A)の重合方法としては公知の重合方法が挙げられる。しかしながら、後述する熱可塑性ポリウレタン(B)及び可塑剤(C)との均一混合の点で粉体状又は顆粒状の形態で得られるものが好ましいことから、アクリル系(A)の重合方法としては乳化重合法、ソープフリー重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法、分散重合法等が好ましい。
アクリル系重合体(A)の粒子としてコアシェル構造の粒子又は多段重合粒子とする場合、アクリル系重合体(A)の重合方法としては、例えば、各層又は各段における重合体成分を構成するために使用される単量体又は単量体混合物を順次滴下しながら重合する公知の方法が挙げられる。
また、乳化重合法等で得られるアクリル系重合体(A)のラテックスを粉体化する方法としては、凝固法及びスプレードライ法が挙げられるが、生産性よく安価に製造できることからスプレードライ法が好ましい。
本発明の熱可塑性ポリウレタン(B)は、公知の熱可塑性ポリウレタンであり、ジイソシアネート化合物と、活性水素を持つ官能基を2個以上有する化合物とを反応させて得ることができる。活性水素を持つ官能基としては、例えば、ヒドロキシル基が挙げられる。
熱可塑性ポリウレタン(B)としては、ジイソシアネート化合物、長鎖ポリオール、鎖伸長剤から構成された、いわゆるソフトセグメントとハードセグメントからなるポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)が好ましく使用できる。
熱可塑性ポリウレタンを合成するためのジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが挙げられる。
長鎖ポリオールとしては、例えば、アジピン酸、フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコールとの縮合反応物であるポリエステル系ポリオール;エチレンカーボネート等のカーボネートとグリコールとの反応物であるポリカーボネート系ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系ポリオールが挙げられる。
鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の低分子多価アルコール;ジアミン化合物;水が挙げられる。
本発明の可塑剤(C)は、公知の可塑剤を用いることができる。
可塑剤(C)としては、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸ジアルキル;フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸アルキルベンジル;フタル酸アルキルアリール;フタル酸ジベンジル;フタル酸ジアリール;燐酸トリクレジル等の燐酸トリアリール;燐酸トリアルキル;燐酸アルキルアリール;アジピン酸エステル;ポリプロピレングリコール等のエーテル系化合物;ポリエステル系化合物;エポキシ化大豆油等の大豆油系化合物;アクリル系オリゴマーが挙げられる。
これらの可塑剤は、それぞれが有する特性により適宜選択して配合することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの可塑剤の中では、工業的に安価で入手が容易であること、作業性、低毒性等の点から、フタル酸ジアルキル、フタル酸アルキルベンジル等のフタル酸エステル系化合物が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、アクリル系重合体(A)100質量部、熱可塑性ポリウレタン(B)40〜1000質量部((A)100質量部に対して)、及び可塑剤(C)20〜100質量部((A)100質量部に対して)を含有することが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性ポリウレタン(B)の含有量が、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、40質量部以上であれば、引張特性及び引裂特性が十分に発現し、1000質量部以下であれば、成形加工性が低下しない。
熱可塑性樹脂組成物中の可塑剤(C)の含有量が、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、20質量部以上であれば、成形加工性及び柔軟性が良好となり、100質量部以下であれば、引張特性及び引裂特性が低下しない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述したアクリル系重合体(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)及び可塑剤(C)分を配合して得られる。
配合方法は特に限定されず、成形加工時に同時に配合する、又は成形加工に先立って事前に配合しておくことができるが、可塑剤(C)の配合量が多い場合には事前に配合する方法が作業性の点で好ましい。事前に配合する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー及びバンバリーミキサーによる配合が挙げられる。
また本発明において、熱可塑性樹組成物には必要に応じて、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク等の充填材;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料;消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、加工助剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤、艶消し剤、酸化防止剤、帯電防止剤、他の熱可塑性樹脂及び有機顔料等の各種添加剤を配合することができる。
本発明の成形品は上記の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、例えば、カレンダー成形法、射出成形法、Tダイ押出成形法、異型押出成形法、ブロー成形法、真空成形法及びインフレーション成形法が挙げられる。これらの中では、カレンダー成形法が好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
また、アクリル系重合体の質量平均分子量及びクロマトグラム、並びに熱可塑性樹脂組成物の成形加工性及び得られた成形品の各種評価を以下に示す方法により実施した。
(1)質量平均分子量及びクロマトグラム
アクリル系重合体の質量平均分子量は、アクリル系重合体のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
GPCの測定条件は以下の通りで、標準ポリスチレンによる検量線から質量平均分子量を求めた。
装置 :HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
カラム :TSKgel SuperHZM−M(内径4.6mm) ×4本
(東ソー(株)製)
溶離液 :テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35ml/分
測定温度 :40℃
試料注入量:10μl (試料濃度:0.1%)
検出器 :RI
GPCを測定して得られたクロマトグラムに2つのピークが検出された際には、それぞれのピークについて分子量を求めた。
(2)カレンダー成形性
カレンダー成形性を評価するため、二本ロールのテストロール成形機を用いて評価を実施した。テストロール成形において、熱可塑性樹脂組成物が溶融してロールに巻付き、ロール間でバンクを形成する一番低い温度を下限温度とした。また、溶融した熱可塑性樹脂組成物がロールから剥がせる一番高い温度を上限温度とした。下限温度と上限温度の差を温度幅として、以下の基準で評価した。
◎:温度幅が25℃以上
○:温度幅が10℃以上 25℃未満
×:温度幅が10℃未満
(3)引張特性
上記テストロール成形で得られたシート(幅200mm×長さ200mm×厚さ1mm)を、テストロール成形と同じ温度でプレス成形を行ない、厚さ0.5mmのシートを得た。テストロール成形は、上記カレンダー成形性の下限温度と上限温度の中間((下限温度+上限温度)/2)の温度で実施した。
得られた厚さ0.5mmのシートを、JIS K6251に準拠して、ダンベル状2号形の金型で打ち抜き、引張試験片を作成した。
引張試験機で引張速度:200mm/分、チャック間距離:50mmで測定を行なった。得られた引張強度から、以下の基準で引張特性を評価した。
◎:引張強度が30MPa以上
○:引張強度が20MPa以上 30MPa未満
×:引張強度が20MPa未満
(4)引裂特性
上記引張特性と同様にして、厚さ0.5mmのシートを得た。得られた厚さ0.5mmのシートを、JIS K6252に準拠して、切り込み無しアングル形の金型で打ち抜き、引裂試験片を作製した。
引張試験機で引張速度:500mm/分、チャック間距離:50mmで測定を行なった。得られた引裂強度から、以下の基準で引裂特性を評価した。
◎:引裂強度が70N/mm以上
○:引裂強度が40N/mm以上 70N/mm未満
×:引裂強度が40N/mm未満
(5)柔軟性
上記テストロール成形で得られたシート(幅200mm×長さ200mm×厚さ1mm)を7枚重ね、テストロール成形と同じ温度でプレス成形を行ない、厚さ6mmのシートを得た。
得られた厚さ6mmのシートを、JIS K7215に準拠して、タイプAデュロメータにより硬度を測定した。得られた硬度から、以下の基準で柔軟性を評価した。
◎:硬度が75以下
○:硬度が75を超えて 85未満
×:硬度が85以上
[製造例1]アクリル系重合体(A1)の製造
温度計、窒素導入管、攪拌機、滴下漏斗及び冷却管を装備した300mlの4つ口フラスコに、下記の原料を仕込んだ。
200rpmで攪拌しながら、窒素を30分間通気し、フラスコ内を窒素で置換した。
脱イオン水 80部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.1部
(商品名:ペレックスOT−P、花王(株)製)
窒素の通気を停止した後、下記のシード用単量体混合物を投入し、80℃に昇温した。
シード用単量体混合物:
メチルメタクリレート 5.14部
n−ブチルメタクリレート 4.86部
フラスコの内温が80℃で安定した後、下記の開始剤水溶液を投入した。発熱ピークを確認して、シード粒子を形成した。
開始剤水溶液:
過硫酸カリウム 0.1部
脱イオン水 5部
下記の原料を混合して、ホモディスパーを用いて強制乳化し、単量体乳化液を得た。
メチルメタクリレート 46.26部
n−ブチルメタクリレート 43.74部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.5部
脱イオン水 50部
得られた単量体乳化液を、4.7時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下中は、フラスコの内温が80℃となるように温度を制御した。滴下終了後、加熱攪拌を80℃で1時間継続し、アクリル系重合体(A1)ラテックスを得た。
得られたアクリル系重合体(A1)ラテックスを#100メッシュナイロン濾布で濾過した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)製、商品名:L−8型)を用いて噴霧乾燥して粉体化し、アクリル系重合体(A1)を得た。
アクリル系重合体(A1)の質量平均分子量は76.0万であり、分子量93.0万にピークを1つ有するものであった。
尚、スプレードライヤーのアトマイザーは回転ディスク式とし、回転数は22,000rpmとした。また、乾燥用ガスの入口温度は190℃、乾燥用ガスの出口温度は90℃とした。
[製造例2]アクリル系重合体(A2)の製造
用いる原料を表1に記載した種類及び量とし、それ以外は製造例1と同様にしてアクリル系重合体(A2)を得た。
アクリル系重合体(A2)の質量平均分子量及び分子量ピークを表1に示す。
[製造例3]アクリル系重合体(A3)の製造
温度計、窒素導入管、攪拌機、滴下漏斗及び冷却管を装備した300mlの4つ口フラスコに、下記の脱イオン水を仕込んだ。
200rpmで攪拌しながら、窒素を30分間通気し、フラスコ内を窒素で置換した。
脱イオン水 80部
窒素の通気を停止した後、下記のシード用単量体混合物を投入し、80℃に昇温した。
シード用単量体混合物:
メチルメタクリレート 3.1部
n−ブチルメタクリレート 2.4部
フラスコの内温が80℃で安定した後、下記の開始剤の水溶液を投入した。発熱ピークを確認して、シード粒子を形成した。
開始剤水溶液:
過硫酸カリウム 0.05部
脱イオン水 5部
下記の原料を混合して、ホモディスパーを用いて強制乳化し、第1単量体乳化液を得た。
メチルメタクリレート 3.7部
n−ブチルアクリレート 11.8部
スチレン 2.83部
エチレングリコールジメタクリレート 0.63部
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.2部
(商品名:V−65、和光純薬工業(株)製)
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.2部
脱イオン水 10部
得られた第1単量体乳化液を、1時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下中は、フラスコの内温が80℃となるように温度を制御した。滴下終了後、加熱攪拌を80℃で30分間継続した。
尚、第1単量体乳化液を重合して得られる重合体はゴム重合体であり、そのガラス転移温度は、FOXの式から−4℃と算出された。
下記の原料を混合して、ホモディスパーを用いて強制乳化し、第2単量体乳化液を得た。
メチルメタクリレート 21.4部
n−ブチルメタクリレート 16.4部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.1部
脱イオン水 20部
得られた第2単量体乳化液を、2時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下中は、フラスコの内温が80℃となるように温度を制御した。滴下終了後、加熱攪拌を80℃で30分間継続した。
下記の原料を混合して、ホモディスパーを用いて強制乳化し、第3単量体乳化液を得た。
メチルメタクリレート 36.7部
n−ブチルアクリレート 1.04部
n−オクチルメルカプタン 0.08部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.2部
脱イオン水 20部
得られた第3単量体乳化液を、2時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下中は、フラスコの内温が80℃となるように温度を制御した。滴下終了後、加熱攪拌を80℃で1時間継続し、アクリル系重合体(A3)ラテックスを得た。
アクリル系重合体(A3)ラテックスを製造例1と同様にして噴霧乾燥して粉体化し、アクリル系重合体(A3)を得た。アクリル系重合体(A3)の質量平均分子量及び分子量ピークを表1に示す。
Figure 2009062494
表中の略号は下記の通り。
MMA :メチルメタクリレート
nBMA:n−ブチルメタクリレート
nBA :n−ブチルアクリレート
St :スチレン
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
nOM :n−オクチルメルカプタン
OT−P:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
KPS :過硫酸カリウム
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
[実施例1〜10、比較例1及び2]
(A)成分としてアクリル系重合体(A1)〜(A3)、(B)成分として熱可塑性ポリウレタン(商品名:ミラクトランE785PNAT、ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン、日本ミラクトラン(株)製)、(C)成分としてフタル酸ジイソノニル(商品名:DINP、(株)ジェイ・プラス製)、ポリエステル系可塑剤(商品名:ポリサイザーW−230S、大日本インキ化学工業(株)製)、又はアクリル系オリゴマー(商品名:ARUFON UP1021、東亜合成(株)製)を、表2に示す割合で配合した。その際、(A)成分と(C)成分をあらかじめヘンシェルミキサーにて攪拌混合して、その後(B)成分を混合し配合物を得た。
得られた配合物を、6インチテストロール成形機(商品名:ラボラトリーミル、関西ロール(株)製)を用いて混練し、シートを作製した。カレンダー成形性の評価結果及び得られたシートの評価結果を表3に示す。
実施例8ではアクリル系重合体(A1)とアクリル系重合体(A2)を50部/50部で配合したものを(A)成分として用いた。アクリル系重合体(A1)とアクリル系重合体(A2)の配合物の、質量平均分子量及び分子量ピークを表1に示した。
Figure 2009062494
表中の略号は下記の通り。
TPU :熱可塑性ポリウレタン
DINP :フタル酸ジイソノニル
W230S:ポリエステル系可塑剤
Figure 2009062494
表3から明らかなように、実施例1及び2では、(B)成分の配合量が多いため、実施例4に比べてカレンダー成形性及び柔軟性が若干低いものの、引張特性及び引裂特性はいずれも良好であった。
実施例3〜7では、カレンダー成形性、引張特性、引裂特性及び柔軟性がいずれも良好であった。
実施例8では、ゴム重合体を含有しない(A)成分を用いているため、実施例4に比べて柔軟性が若干低いものの、カレンダー成形性、引張特性及び引裂特性はいずれも良好であった。
実施例9では、低分子量の重合体及びゴム重合体を含有しない(A)成分を用いているため、実施例4に比べてカレンダー成形性の下限温度が若干高く、柔軟性が若干低いものの、引張特性及び引裂特性はいずれも良好であった。
実施例10では、(B)成分の配合量が少ないため、引張強度及び引裂強度が若干低いものの、カレンダー成形性及び柔軟性はいずれも良好であった。
比較例1では、(A)成分及び(C)成分を含まないため、引張特性及び引裂特性は良好なものの、カレンダー成形性及び柔軟性は不良であった。
比較例2では、(B)成分を含まないため、カレンダー成形性及び柔軟性は良好なものの、引張特性及び引裂特性は不良であった。

Claims (6)

  1. アクリル系重合体(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)及び可塑剤(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物。
  2. アクリル系重合体(A)100質量部、熱可塑性ポリウレタン(B)40〜1000質量部((A)100質量部に対して)、及び可塑剤(C)20〜100質量部((A)100質量部に対して)を含有する、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. アクリル系重合体(A)の質量平均分子量が10万〜200万である、請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. アクリル系重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーを測定して得られるクロマトグラムが、分子量5万〜35万と分子量40万〜200万の両方にピークを持つ、請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. アクリル系重合体(A)が、ゴム重合体5〜60質量%を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
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