JP2009062297A - カリックスアレーンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造工程を簡素化することができ、安価で、環境に優しい、カリックスアレーンの製造方法が望まれている。
【解決手段】このカリックスアレーンの製造方法は、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーンを、ジルコニアを担体とする固体超強酸触媒、および電子供与性基を有するベンゼン誘導体の存在下で加熱して、カリックス[4]アレーンを得ることを特徴としている。固体超強酸触媒が硫酸化ジルコニアであり、電子供与性基を有するベンゼン誘導体がトルエンであってもよい。p-tert-ブチルカリックス[4]アレーンのNMRスペクトルを図1の(a)に示し、カリックス[4]アレーンのNMRスペクトルを図1の(b)に示す。
【選択図】図1

Description

本発明は、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーンを脱ターシャリーブチル化して、分子認識材料、機能性材料などのファインケミカル材料となるカリックス[4]アレーンを製造する方法に関するものである。
一般に、カリックスアレーンは、複数のフェノールがメチレンで架橋された環状化合物、すなわち環状4量体のカリックス[4]アレーン、環状6量体のカリックス[6]アレーン、環状8量体のカリックス[8]アレーンなどに代表される、分子認識物質・機能材料創製の有用な物質として知られている。このようなカリックスアレーンは、p-tert-ブチルカリックスアレーンからターシャリーブチル基を除去することにより、除去した位置に機能性基を導入することができ、期待する性質を有する化合物の合成が可能となる。
前記のような脱ターシャルブチル化によりカリックスアレーンを合成する方法に関して、アメリカのC. D.Gutscheらは、酸触媒として無水塩化アルミニウムを用い、反応溶媒としてトルエンを用いている(非特許文献1)。
このような、ルイス酸触媒である無水塩化アルミニウムを用いる製法では、反応後に触媒を回収できないため、塩化アルミニウムに水を加え水酸化アルミニウムとして廃棄処分しなければならない。また、分離・精製工程において塩酸や塩化アルミニウムを含む大量の廃液が発生するという問題もある。
一方で、近年、化学物質の製造において、原料から製品に至るまで環境への負荷を低減する、いわゆる環境に優しい化学(グリーンケミストリー)が求められており、上記のようなカリックスアレーンの製造においても、省エネルギー、省溶媒、高収率化、製造時間短縮が望まれている。
他方で、強酸性タイプのイオン交換樹脂を用いて、脱ターシャリーブチル化反応によりカリックスアレーンを製造する方法が知られている(特許文献1)。このようなイオン交換樹脂を用いた製法は廃液を出さないという利点がある。しかしながら、合成用イオン交換樹脂は高価であるうえ、耐熱性が低いことから反応時の熱により劣化が早いという問題もある。
ところで、アレーン環を構成するフェノールの数によって、疎水溶媒に対するカリックスアレーンの溶解性が異なっている。例えば、トルエンやキシレンに対し、p-tert-ブチルカリックス[6]が最も解けやすく、次いでp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンが解けやすいが、p-tert-ブチルカリックス[8]アレーンは不溶である。これらは、カリックスアレーンの分子内水素結合によるフォーメーションに関係しているためであると思われる。また、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーンは、p-tert-ブチルカリックス[6]アレーンやp-tert-ブチルカリックス[8]アレーンと比べて、フェノール間が密であるために、ターシャリーブチル基同士が関与する立体障害によって、フェノール間のメチレン基が分断されにくく脱ターシャリーブチル化反応が起こりやすいという性質を有している。
特開2001−172215号公報 C. D.Gutsche, et al., Org. Chem., 50, 5802(1985).
本発明は、前記の点に着目してなされたものであって、製造工程を簡素化することができ、安価で、環境に優しい製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、反応触媒としてジルコニアを担体とする固体超強酸触媒に、反応溶媒として電子供与性基を有するベンゼン誘導体にそれぞれ着目し、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の請求項1に記載のカリックスアレーンの製造方法は、下記の一般式(I);
Figure 2009062297
で示されるp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンを、ジルコニアを担体とする固体超強酸触媒、および電子供与性基を有するベンゼン誘導体の存在下で加熱して、下記の一般式(II);
Figure 2009062297
で示されるカリックス[4]アレーンを得ることを特徴とするものである。
斯かる本発明の反応式を次の式(III)に示す。この場合、電子供与性基を有するベンゼン誘導体は、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーンを溶解して脱ターシャリーブチル化反応に供するとともに、反応により離脱したターシャリーブチル基と反応してこれを取り込む性質を有している。
Figure 2009062297
また、本発明は、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン1重量部に対し、2重量部以上8重量部以下の固体超強酸触媒を用いることを特徴とするものである。
そして、本発明は、固体超強酸触媒が、反応で使用された固体超強酸触媒を洗浄したのちに加熱乾燥して得られた再生触媒であることを特徴とするものである。
また、本発明は、固体超強酸触媒が硫酸化ジルコニアであり、電子供与性基を有するベンゼン誘導体がトルエンであることを特徴とするものである。
本発明に用いる固体超強酸触媒としては、脱ターシャリーブチル化反応の触媒となり得、ジルコニアを担体とするものであれば特に限定されない。斯かる固体超強酸触媒としては、ジルコニアに硫酸を担持させた硫酸化ジルコニア、タングステン酸を担持させたタングステン酸ジルコニア、ホウ酸を担持させたホウ酸ジルコニア、モリブデン酸を担持させたモリブデン酸ジルコニアなどが挙げられる。特に、硫酸化ジルコニアは安価で入手しやすい。さらに、硫酸化ジルコニアを用いると、簡単に再生できるという利点がある。
本発明の反応に用いる電子供与性基を有するベンゼン誘導体は、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーンを溶解させる反応溶媒の機能と、反応により離脱したターシャリーブチル基と反応してこれを分子に取り込む機能を有していて、これらの機能を創出するものであれば、特に限定されない。前記した電子供与性基を有するベンゼン誘導体として、具体的には例えば、トルエン、キシレン、クメン、メシチレン、シメン、アニソールなどが挙げられる。
本発明において、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン1重量部に対する固体超強酸触媒の使用量は、脱ターシャリーブチル化反応を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは2重量部以上8重量部以下である。このように2重量部以上8重量部以下の範囲内で固体超強酸触媒を使用すれば、現実的に効率よく脱ターシャリーブチル化反応を行なって、カリックス[4]アレーンを収率よく製造することができる。
本発明の反応温度は、脱ターシャリーブチル化反応に際してカリックス[4]アレーンの基本骨格(アレーン環)を開裂させない温度であれば特に限定されない。原料であるp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンに対する固体超強酸触媒の使用量とも関係するが、反応温度は常圧下で70℃以上110℃以下とするのが好ましい。反応温度が70℃を下回ると、固体超強酸触媒の使用量が少ない場合に反応完了までに極めて長時間必要となる。反応温度が110℃を上回ると、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーンのアレーン環が開裂して目的生成物が得られなくなる。反応系を加熱する手段は特に限定されず、電気抵抗、スチーム、マイクロ波エネルギーなどを用いることができ、反応容器はバッチ式でも連続流通式でも構わない。また、本発明の反応は常圧下で進行するが、加圧下で反応させることも可能である。
反応終了後は、固体超強酸触媒をろ別し、ろ過して反応液にメタノールなどを加えて目的生成物を析出させ、この析出物をろ別・洗浄し、乾燥することにより、100%に近い純度でカリックス[4]アレーンが得られる。すなわち、加熱とろ過と濃縮の操作だけで、高純度のカリックス[4]アレーンを収率よく得ることができる。
本発明の反応に使用した固体超強酸触媒は、再生により次回の反応に再利用することができる。固体超強酸触媒の再生は、触媒表面の活性点を洗浄液(例えば、硫酸化ジルコニアの場合は硫酸)で洗浄して活性化させ、洗浄液を水などで洗い流したのちに、500℃程度で加熱乾燥させることで実現される。
本発明に係る製造方法は、上記した通り、ジルコニアを担体とする固体超強酸触媒と、電子供与性基を有するベンゼン誘導体の存在下で脱ターシャリーブチル化反応を行なうので、電子供与性基を有するベンゼン誘導体がp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンを溶解し、固体超強酸触媒が脱ターシャリーブチル化反応を高効率に進行させる。そのうえ、電子供与性基を有するベンゼン誘導体の一部が、反応の際に離脱したターシャリーブチル基と結合してこれを捕捉する。これらに起因して、本発明製法はカリックス[4]アレーンを収率よく製造できる。
また、本発明に係る製造方法は、従来の無水塩化アルミニウムを用いた反応と比べて、有毒ガスの発生がなく、反応後の触媒に対する水洗工程が不要であり、少なくともろ過と濃縮で目的生成物を得ることができる。従って、反応後の目的生成物の分離・精製に水が不要、すなわち廃液がほとんど発生しないので、環境にやさしい製法を提供することができる。
一方、固体超強酸触媒は、無水塩化アルミニウムよりは高価で、強酸性型イオン交換樹脂よりは安価である。しかしながら、無水塩化アルミニウムは1回の反応にしか使用できない。また、前記イオン交換樹脂は再生可能であるが反応使用時の熱劣化が早いことから、再生をする毎に触媒活性が低下していくために多数回の再生使用ができない。これに対し、固体超強酸触媒は、反応使用後の洗浄、加熱乾燥により再生が可能であり、多数回の再生によっても触媒活性が低下せず目的生成物を高収率で得ることができる。すなわち、固体超強酸触媒を多数回繰り返し使用すると、総合的に割安となる。
以上述べたように、本発明によれば、カリックス[4]アレーンの高収率の製造を達成しつつ、製造工程を簡素化できるとともに、安価で環境に優しいカリックス[4]アレーンの製造方法を提供できるのである。
以下、この発明の実施の形態を実施例によって具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものでない。
まず、実施例1から実施例10において最適な反応条件を模索した。
p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン0.5g、ペレット状に成型された硫酸化ジルコニア(S04/ZrO2;和光純薬工業社製;品番コード268−01762)1gおよびトルエン5mlをナスフラスコに入れ、110℃で還流下5時間反応させた。次に、反応液を冷却した後にペレット状の硫酸化ジルコニアをろ別し、ろ過して得た反応液を60℃に保持したロータリーエバポレータに入れトルエンを留去して1〜3mlに濃縮した。続いて、この濃縮液にメタノールを加えて不溶成分を析出させた後、不溶成分をろ取して乾燥させることにより、白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収量214mg、収率65%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
尚、参考までに、実施例1で得られた1H NMRスペクトルを図1に示す。図1(a)は原料のp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンのNMRスペクトルであり、図1(b)は目的生成物のカリックス[4]アレーンのNMRスペクトルである。また、脱ターシャリーブチル化反応開始後30分経過時における反応液のガスクロマトグラムとマススペクトルを図2に示し、同反応開始後180分経過時における反応液のガスクロマトグラムとマススペクトルを図3に示す。
斯かる実施例の反応を下記の反応式(IV)に示す。この反応式(IV)に示されるように、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーンから離脱したターシャリーブチル基は、一部のトルエンと結合してtert-ブチルメチルベンゼンとなる。
Figure 2009062297
実施例1において使用したトルエン5mlを10mlとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行ない、230mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率70%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例1において使用したトルエン5mlを20mlとし、反応時間5時間を6時間としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行ない、250mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率76%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例1において使用した硫酸化ジルコニア1gを2gとし、トルエン5mlを20mlとし、反応時間5時間を2時間としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行ない、150mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率46%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例4における反応時間2時間を5時間としたこと以外は、実施例4と同様の操作を行ない、131mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率40%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例4において使用した硫酸化ジルコニア2gを4gとし、反応時間2時間を1時間としたこと以外は、実施例4と同様の操作を行ない、147mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率45%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例6における反応時間1時間を4時間としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行ない、46mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率14%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例7における反応温度110℃を100℃としたこと以外は、実施例7と同様の操作を行ない、122mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率37%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例7における反応温度110℃を90℃としたこと以外は、実施例7と同様の操作を行ない、184mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率56%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例7における反応温度110℃を80℃としたこと以外は、実施例7と同様の操作を行ない、194mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率59%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
上記した実施例1から実施例10までの反応条件、カリックス[4]アレーンの収量および収率を下記の表1にまとめた。実施例1〜10の結果は図4〜6にも示してある。図4は硫酸化ジルコニアの使用量と反応時間による収率の変化を示したグラフ、図5は反応温度と反応時間による収率の変化を示したグラフ、図6は溶媒使用量と反応時間による収率の変化を示したグラフである。尚、図4において示した硫酸化ジルコニアの使用量は、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン、硫酸化ジルコニア、およびトルエンの合計重量に対する硫酸化ジルコニアの重量を百分率(%w/w)で表わしている。
Figure 2009062297
表1によると、実施例1〜10のうちで、収率が最も良い条件は実施例3であった。また、表1および図4〜6から明らかなように、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン0.5gに対し、硫酸化ジルコニアが1gから4g、反応溶媒であるトルエンが10mlから20ml、反応温度が110℃から80℃の範囲で、反応を効率よく行えることが判る。これらの範囲を超えて、硫酸化ジルコニアを増量したり、トルエンを減量したりすると、カリックス[4]アレーンの基本骨格が分解して収率低下につながる。逆に、硫酸化ジルコニアを減量し、反応温度を低くし、またはトルエンを増量した場合、反応時間が6時間をはるかに超えて長くなり、多くの手間とエネルギーコストを必要とする。
続く、実施例11,12は、使用済みの硫酸化ジルコニアを再生して脱ターシャリーブチル化反応に再利用した例を示している。
実施例11では、一回使用済みのペレット状の硫酸化ジルコニア1gを2N H2SO4、水、アセトンで洗浄し、電気炉500℃で1時間加熱乾燥させたものと、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン0.5gと、トルエン10mlをナスフラスコに入れ、実施例2と同様の操作を行った結果、230mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率70%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例11で使用した(2回使用済み)のペレット状の硫酸化ジルコニア1gを実施例11と同様に操作して再生し反応に使用した。このような反応及び再生の操作を繰り返して、累計5回使用済み再生後の硫酸化ジルコニアを得た。この5回使用済みのペレット状の硫酸化ジルコニアを用いて実施例11と同様に反応操作を行なった。その結果、6回目の反応も230mgの白色粉末が生成物として得られた。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率70%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
[比較例1]
実施例2において使用した硫酸化ジルコニア1gの替わりにナフィオンSAC13 (強酸性タイプのイオン交換樹脂)1gを用いたこと以外は、実施例2と同様の操作を行ない、240mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化カリックス[4]アレーン(収率73%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
[比較例2]
比較例1で用いた一回使用済みのナフィオンSAC13(1g)を2N H2SO4、水、アセトンで洗浄し、110℃で2時間乾燥したもの、p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン0.5g、およびトルエン10mlをナスフラスコに入れ、実施例4と同様の操作を行った結果、190mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率58%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
[比較例3]
ナフィオンSAC13についても比較例2と同様の操作を行なって、その反応および再生を5回繰り返した。その都度、得られた目的生成物(白色粉末)の量は、150mg(2回使用済み再生後のナフィオンSAC13を用いた場合)、120mg(3回使用済み再生後のナフィオンSAC13を用いた場合)、98mg(4回使用済み再生後のナフィオンSAC13を用いた場合)、80mg(5回使用済み再生後のナフィオンSAC13を用いた場合;収率24%)と順次減少した。
前記したように、ナフィオンSAC13は反応および再生を繰り返すたびに反応収率が低下していき、6回目の使用では目的生成物の収率が24%と低くなっていた。これに対し、5回反応および再生を繰り返した硫酸化ジルコニアを6回目の反応に使用した実施例12は、下記の表2に示すように、目的生成物の収率が1回目の反応使用時(実施例2、70%)と変わらず高い値であった。すなわち、本発明の実施例に用いた硫酸化ジルコニアは、かなりの再生回数を経た再生品であっても高収率で目的生成物を得られることがわかる。
Figure 2009062297
実施例3において使用したトルエン20mlをキシレン20mlに替えたこと以外は、実施例3と同様の操作を行ない、100mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率30%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
実施例3において使用した硫酸化ジルコニア1gを、ペレット状に成型されたタングステン酸ジルコニア(WO3/ZrO2;和光純薬工業社製;品番コード267−01771)1gに替えたこと以外は、実施例3と同様の操作を行なって、250mgの白色粉末を生成物として得た。得られた生成物をNMRで分析したところ、脱ターシャリーブチル化されたカリックス[4]アレーン(収率76%)のみが検出され、その他の生成物は認められなかった。
[比較例4]
実施例13においてp-tert-ブチルカリックス[4]アレーン0.5gをp-tert-ブチルカリックス[6]アレーン0.5gに替えたこと以外は、実施例13と同様の操作を行なって反応させた。しかしながら、脱ターシャリーブチル化と同時にアレーン環の分解が速く進み、p-tert-ブチルカリックス[6]アレーンは分解してフェノールとなり、目的物は得られなかった。
[比較例5]
p-tert-ブチルカリックス[8]アレーン0.5g、ペレット状の硫酸化ジルコニア1g、およびトルエン20mlを110℃で6時間還流したが、p-tert-ブチルカリックス[8]アレーンはトルエンにほとんど溶解しておらず、脱ターシャリーブチル化反応を行なえなかった。
本発明に係る製造方法により得られるカリックス[4]アレーンは、各フェノール単位の4位に様々な置換基を導入することができる。こうした修飾によって包接能力を変化し得るため、カリックス[4]アレーンは超分子化学において重要なホスト分子となり得る。
実施例で得られたNMRスペクトルを示し、(a)は原料のp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンのNMRスペクトルを示す図であり、(b)は目的生成物のカリックス[4]アレーンのNMRスペクトルを示す図である。 脱ターシャリーブチル化反応開始後30分経過時における反応液のガスクロマトグラムとマススペクトルを示す図である。 脱ターシャリーブチル化反応開始後180分経過時における反応液のガスクロマトグラムとマススペクトルを示す図である。 硫酸化ジルコニアの使用量と反応時間によるカリックス[4]アレーンの収率の変化を示したグラフである。 反応温度と反応時間によるカリックス[4]アレーンの収率の変化を示したグラフである。 溶媒使用量と反応時間によるカリックス[4]アレーンの収率の変化を示したグラフである。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(I);
    Figure 2009062297
    で示されるp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンを、ジルコニアを担体とする固体超強酸触媒、および電子供与性基を有するベンゼン誘導体の存在下で加熱して、下記の一般式(II);
    Figure 2009062297
    で示されるカリックス[4]アレーンを得ることを特徴とするカリックスアレーンの製造方法。
  2. p-tert-ブチルカリックス[4]アレーン1重量部に対し、2重量部以上8重量部以下の固体超強酸触媒を用いることを特徴とする請求項1に記載のカリックスアレーンの製造方法。
  3. 固体超強酸触媒が、反応で使用された固体超強酸触媒を洗浄したのちに加熱乾燥して得られた再生触媒であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカリックスアレーンの製造方法。
  4. 固体超強酸触媒が硫酸化ジルコニアであり、電子供与性基を有するベンゼン誘導体がトルエンである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカリックスアレーンの製造方法。
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