JP2009061992A - フロアマット - Google Patents

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Abstract

【課題】通気性に優れており、特に自動車に敷設されているフロアカーペット上に載置した際に、このフロアカーペットが有する本来の吸音特性を損なうことがなく、滑り止め性にも優れるフロアマットを提供する。
【解決手段】本発明のフロアマット1は、(A)不織布により構成され、且つ裏面側に複数の滑り止め突起21を備える基体2と、(B)基体2の表面側に積層された表皮層3と、を備えるものであって、前記滑り止め突起21は、前記不織布に含まれる繊維の一部がニードルパンチ法により突き出された後に、焼成されて形成されたものであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明はフロアマットに関する。更に詳しくは、通気性に優れており、特に自動車に敷設されているフロアカーペット上に載置した際に、このフロアカーペットが有する本来の吸音特性を損なうことがなく、滑り止め性にも優れるフロアマットに関する。
自動車等に用いられているフロアカーペットの上に載置して用いられる車両用等のフロアマットには、安全性を確保するために、滑り止め性を有していることが必要である。そのため、このような車両用フロアマットとしては、エラストマー及びゴム等からなるバッキング層と、このバッキング層の一面に積層された繊維層等からなる表皮層とを備える形態のものが知られている。このマットは、通常、バッキング層の一面側に多数の突起が設けられており、優れた滑り止め性を有する。
また、自動車等に用いられているフロアカーペットには吸音特性が必要とされており、このフロアカーペットの上に敷いて用いる車両用フロアマットには、フロアカーペットが有する本来の吸音特性を損なわないことが要求されているのが現状である。
しかし、前述した従来の車両用フロアマットを用いた場合には、バッキング層によって音が室内側に反射されてしまうため、フロアカーペット本来の吸音特性を生かせないという問題がある。そこで、バッキング層に通気性を持たせて室内側の音をフロアカーペットに吸音させるためにバッキング層に複数の貫通孔を形成したマットが開発されているが、十分な吸音特性を得られていないのが現状である。また、不織布からなる吸音層を備えるマットも用いられているが、このようなマットは吸音特性には優れているものの、滑り止め性に劣るため、滑り止めのためのラテックス層等を付設する必要がある。しかし、これによって得られる滑り止め性も十分と言えるものではなく、更なる改良が必要とされている。
マットの吸音特性を向上させるため、マット基材の下面側に熱可塑性のシート部材と不織布とを積層し、このシート部材と不織布とを貫通してマット基材に達する吸音孔を多数設けた吸音マットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この吸音マットでは、吸音孔の入側の口径を出側の口径より大きくして、吸音孔の内面がテーパー状になるように形成することで、特に優れた吸音特性を有する吸音マットとすることができると説明されている。また、マットの滑り止め性を向上させるため、裏打ち材に、基台突起と、この基台突起の頂面部から突出した複数の小突起とを備える置敷カーペットマットが知られている(例えば、特許文献2参照。)。更に、バッキング層に通気性を持たせるために複数の貫通孔を形成したマットが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、不織布からなる吸音材と、この吸音材等を貫通する吸音孔を備える特許文献1に記載の吸音マットは、優れた吸音特性を有するが、吸音材には滑り止めのための突起が全く設けられていない。また、裏打ち材に、基台突起と複数の小突起とを備える特許文献2に記載の置敷カーペットマットは、一般には優れた滑り止め性を有するものの、前記裏打ち材により音が反射されてしまい、フロアカーペット本来の吸音特性を生かせていない。更に、バッキング層に通気性を持たせるために複数の貫通孔を形成した特許文献3に記載のマットは、開孔面積を大きくすることが困難であり、通気性が不十分である。
特開2003−241762号公報 登録実用新案第3026350号公報 特開2005−313387号公報
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、通気性に優れており、特に自動車に敷設されているフロアカーペット上に載置した際に、このフロアカーペットが有する本来の吸音特性を損なうことがなく、滑り止め性にも優れるフロアマットを提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
[1](A)不織布により構成され、且つ裏面側に複数の滑り止め突起を備える基体と、(B)該基体の表面側に積層された表皮層と、を備えるフロアマットであって、前記滑り止め突起は、前記不織布に含まれる繊維の一部がニードルパンチ法により突き出された後に、焼成されて形成されたものであることを特徴とするフロアマット。
[2]前記不織布が、融点の異なる2種以上の繊維を含む前記[1]に記載のフロアマット。
[3]前記基体の裏面側の密度が、その表面側の密度よりも高密度である前記[1]又は[2]に記載のフロアマット。
本発明のフロアマットは、基体を不織布により構成しているため、通気性に優れており、特に自動車に敷設されているフロアカーペット上に載置した際に、このフロアカーペットが有する本来の吸音特性を損なうことがない。また、前記基体の裏面側には、複数の滑り止め突起が形成されているため、優れた滑り止め性も有している。
また、前記基体を構成する不織布が、融点の異なる2種以上の繊維を含む場合には、滑り止め突起を容易に形成することができる。
更に、前記基体の裏面側の密度が、その表面側の密度よりも高密度である場合には、吸音特性に優れるフロアマットとすることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のフロアマットは、(A)不織布により構成され、且つ裏面側に複数の滑り止め突起を備える基体と、(B)該基体の表面側に積層された表皮層とを備える。
(A)基体
前記「基体」は、不織布により構成されている。この「不織布」を構成する繊維は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ウール繊維等を挙げることができる。更には、これらの繊維によって形成される芯鞘構造繊維を挙げることもできる。これらの繊維は1種のみ用いられていてもよいし、2種以上混合されていてもよい。特に、本発明においては、融点の異なる繊維を2種以上用いることが好ましい。具体的には、ポリプロピレン繊維とポリエステル繊維との組み合わせ、ポリエチレン繊維とポリエステル繊維との組み合わせ、ポリアミド繊維とポリエステル繊維との組み合わせ等が好ましい。
また、融点の異なる繊維を2種以上用いた場合には、繊維の合計を100質量%とした場合に、最も融点の低い繊維の含有割合が、20〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜50質量%、更に好ましくは40〜50質量%である。この含有割合が、20〜50質量%である場合には、後述の滑り止め突起を容易に形成することができる。
また、前記基体が2種以上の繊維からなる場合、予め繊維を混合し、混合繊維から不織布を形成してもよいし、単一繊維によるウェブ体を予め形成しておき、後工程で接合することによって不織布を形成してもよい。
後者の成形方法を用いた場合には、(1)表面側が低融点繊維から構成されており、裏面側が高融点繊維から構成された不織布、及び(2)表面側が高融点繊維から構成されており、裏面側が低融点繊維から構成された不織布等とすることができる。このような場合には、後述の滑り止め突起に含まれる低融点繊維や高融点繊維の含有割合を容易に調整することができる。
また、本発明においては、前記基体の構造を異密度構造とすることができる。具体的には、(1)基体の表面側よりも裏面側の密度の方が高い構造、(2)基体の表面側からその裏面側にかけて密度が次第に高くなっている構造、(3)基体の裏面側よりも表面側の密度の方が高い構造、及び(4)基体の裏面側からその表面側にかけて密度が次第に高くなっている構造等が挙げられる。このような異密度構造である場合、優れた吸音特性を有するフロアマットとすることができる。尚、このような異密度構造は、不織布を構成する繊維の種類、繊維長及び繊維径等を適宜調整することで得ることができる。また、前記基体を、繊維密度の異なる2層以上のウェブ体を積層して接合することによっても得ることができる。
また、前記「滑り止め突起」は、前記基体の裏面側に複数形成されており、前記基体を構成している不織布に含まれる繊維の一部がニードルパンチ法により突き出された後、焼成・硬化されて形成されたものである。この滑り止め突起を形成する際、滑り止め突起部に他の部位よりも融点の低い繊維が多く含まれる場合には、滑り止め突起をより容易に形成することができる。
尚、前記焼成条件は、前記基体を構成する不織布に含まれる繊維の種類や融点に応じて適宜調整される。また、前記不織布が融点の異なる2種以上の繊維により構成されている場合には、最も融点が低い繊維の融点付近から、最も融点が高い繊維の融点までの温度範囲で焼成を行うことが好ましい。この場合、滑り止め突起を容易且つ確実に形成することができる。
また、前記滑り止め突起の高さ、形成位置、硬度等は、本発明のフロアマットが載置される部位の材質等に応じて適宜調整することができる。特に、自動車のフロアカーペットに載置される場合には、このフロアカーペットのパイルハイト、目付け量及び材質等に応じて適宜調整される。
(B)表皮層
前記「表皮層」は、前記基体の表面側に積層されている。この表皮層の構造は特に限定されず、例えば、繊維層や発泡層等により形成されたものが挙げられる。特に、本発明のフロアマットを、自動車のフロアカーペット上に載置して用いる場合には、通気性を有する表皮層が用いられる。この場合、滑り止め突起が裏面側に形成された前記基体も十分な通気性を持っているため、滑り止め性だけでなく通気性にも優れたフロアマットとすることができ、自動車に予め配設されているフロアカーペットが有する吸音特性を阻害することがない。
前記繊維層としては、例えば、公知のパイルカーペットや非パイルカーペットからなるカーペット層を挙げることができる。具体的なカーペットとしては、タフテッドカーペット、フックドラグカーペット、ニードルパンチカーペット、段通カーペット等が挙げられる。
尚、これらのカーペット層に用いられる繊維の種類は、フロアマットの用途に応じて適宜調整することができる。また、これらのカーペット層の裏面側(基体側)には、樹脂等による裏打ち材が形成されていてもよい。
また、前記発泡層としては、発泡ポリウレタン層や、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等の発泡ポリオレフィン等からなるものが挙げられる。この発泡層の構造は、連泡構造であってもよいし、独泡構造であってもよいが、通気性が必要となる場合には、連泡構造のものが用いられる。
前記表皮層と前記滑り止め突起を備える基体とを接合する方法は、十分な接合強度が得られる限り特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、接着剤を用いたり、熱溶着したりすることで接合することができる。また、ニードルパンチ法によっても接合することができる。
また、表皮層と基体との接合強度等を向上させる目的で、表皮層と基体との間に、不織布層や発泡層を更に介在させてもよい。
以下、図面に基づいて実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本実施例では、本発明に係るフロアマットとして、高級自動車に多用されるタフト調フロアカーペット上に載置されるフロアマットを例示する。
(1)フロアマットの構成
本実施例に係るフロアマット1は、図1〜3に示すように、複数の滑り止め突起21が裏面側に形成された基体2と、この基体2の表面側に積層された表皮層3と、を備えている。尚、前記滑り止め突起21が形成されている側が、フロアマット1を載置した際に、前記タフト調フロアカーペット側となる。
滑り止め突起21を裏面側に備える基体2は、不織布により構成されており、この不織布は、融点の異なる2種類の繊維(低融点繊維及び高融点繊維)を用いて、ニードルパンチ法により形成したものである。
また、図3に示すように、基体2においては、表面側[図3における(a)参照]の繊維密度が、裏面側[図3における(b)参照]の繊維密度よりも低密度となっている。即ち、基体2は、表皮層側が低密度であり、その反対面側が高密度である異密度構造となっている。
前記滑り止め突起21は、前記基体2を構成する不織布の繊維の一部を、ニードルパンチ法によって裏面側に突き出した後、突き出された突起部を焼成して、低融点繊維を溶融することによって突起部を硬化させたものである。尚、図2に示すように、滑り止め突起21はフロアマット1の裏面側に均一に形成されている。
前記表皮層3は、十分な通気性を有するカーペット層(タフテッドカーペット層)により構成されている。
尚、基体2と、表皮層3とは、ニードルパンチ法又は熱溶着樹脂を溶融することによって接合されており、十分な通気性が確保されている。
ここで、滑り止め突起21を備える基体2の製造手順を、図4を用いて説明する。
まず、図4の(A)に示すように、低融点繊維(ポリプロピレン繊維、繊維長;76mm、繊度;17dtex、融点;170℃)及び高融点繊維(種類;ポリエステル繊維、繊維長;76mm、繊度;17dtex、融点;260℃)の2種類の繊維を混合する。尚、繊維の合計を100質量%とした場合の各繊維の含有割合(低融点繊維/高融点繊維)は、48/52(質量%)である。
次いで、図4の(B)に示すように、繊維をウェブ化した後、ニードルパンチ法によって、不織布により構成された基体2を形成した。
その後、図4の(C)に示すように、基体2を構成する不織布の繊維の一部を、ニードルパンチ法によって裏面側に突き出し、次いで、突き出された突起部を160℃で焼成し、突起部に含まれる低融点繊維を溶融させた後、硬化させて、基体2の裏面側に複数の滑り止め突起21を形成した。
(2)実施例の効果
本実施例のフロアマット1は、複数の滑り止め突起21が裏面側に形成された基体2を備えているため、優れた滑り止め性を有している。また、このフロアマット1における基体2は不織布により構成されており、且つ通気性のある表皮層3を備えているため、全体を通して多孔質な構造となっており、優れた通気性も兼ね備えている。そのため、様々な分野のフロアマットとして幅広く利用することができる。特に、車両用フロアマットとして、自動車に配設されているフロアカーペット上に載置した場合には、このフロアカーペットが有する本来の吸音特性を阻害することなく、最大限の吸音特性を発揮させることができると共に、優れた滑り止め性を得ることができる。また、前記フロアカーペットが、高級自動車に使用されることが多い毛足の長いタフト(調)フロアカーペットであっても、本フロアマットを載置した際には、優れた滑り止め性を得ることができる。
更には、基体2の裏面側の密度が、その表面側の密度よりも高密度であるため、吸音特性にも優れている。
尚、本発明においては、前記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、前記実施例においては、滑り止め突起21をフロアマット1の裏面側に均一に配置されるように形成しているが、例えば、滑り止め突起21の形成位置を変更することで、図柄(文字、記号を含む)を表現することもできる。この図柄としては、例えば、自動車メーカー名、車種名及びそれらのロゴマーク等を挙げることができる。この場合、フロアマットの意匠性を高めて商品価値を上げることができる。また、フロアマットだけを見た際に、どの車種のフロアマットであるかを容易に認識できる効果もある。
フロアマットを説明するための模式図である。 フロアマット(裏面側)を説明するための模式図である。 滑り止め突起を備える基体を説明するための模式図である。 滑り止め突起を備える基体の製造手順を説明するための模式図である。
符号の説明
1;フロアマット、2;基体、21;滑り止め突起、3;表皮層。

Claims (3)

  1. (A)不織布により構成され、且つ裏面側に複数の滑り止め突起を備える基体と、
    (B)該基体の表面側に積層された表皮層と、を備えるフロアマットであって、
    前記滑り止め突起は、前記不織布に含まれる繊維の一部がニードルパンチ法により突き出された後に、焼成されて形成されたものであることを特徴とするフロアマット。
  2. 前記不織布が、融点の異なる2種以上の繊維を含む請求項1に記載のフロアマット。
  3. 前記基体の裏面側の密度が、その表面側の密度よりも高密度である請求項1又は2に記載のフロアマット。
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