JP2009058000A - 車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストンの作動遅れを抑制して応答性を向上させる車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置を提供する。
【解決手段】ピストン92を前進させるための作動油に対応するクラッチ圧PC1と、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油に対応する第2ライン圧PL2とを、選択的にピストン室96へ供給するための選択供給装置102を備えたものであることから、クラッチC1の非作動時(非係合時)において、キャンセル室98に供給される作動油PL2と等価な作動油をピストン室96にも供給できるように構成することで、それらピストン室96及びキャンセル室98相互間の油圧バランスを好適に保持することができ、ピストン92の作動遅れを抑制して応答性を向上させることができる。
【選択図】図4
【解決手段】ピストン92を前進させるための作動油に対応するクラッチ圧PC1と、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油に対応する第2ライン圧PL2とを、選択的にピストン室96へ供給するための選択供給装置102を備えたものであることから、クラッチC1の非作動時(非係合時)において、キャンセル室98に供給される作動油PL2と等価な作動油をピストン室96にも供給できるように構成することで、それらピストン室96及びキャンセル室98相互間の油圧バランスを好適に保持することができ、ピストン92の作動遅れを抑制して応答性を向上させることができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両用自動変速機等に適用される油圧式摩擦係合装置の制御装置に関し、特に、その応答性を向上させるための改良に関する。
共通の軸心まわりに相対的な回転可能に設けられた第1の部材及び第2の部材と、それら第1の部材及び第2の部材の間に備えられて、ピストンにより押圧されることでそれら第1の部材及び第2の部材の相対的な回転を抑制する係合要素とを、備えた車両用油圧式摩擦係合装置が、各種車両の自動変速機等に広く用いられている。斯かる油圧式摩擦係合装置は、複数の部材が共通の軸心まわりに回転させられるように構成されており、その回転に起因して遠心力による遠心油圧が発生して、クラッチの引きずり等の不具合を生じさせることが指摘されていた。そこで、斯かる不具合を解消するための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された回転クラッチがその一例である。斯かる技術によれば、上記係合要素を押圧するために前記ピストンを前進させるための作動油を収容するピストン室と、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油を収容するキャンセル室とを、備えていることで、上記ピストン室内に発生する遠心油圧を確実にキャンセルしてクラッチの引きずり等の不具合を好適に防止できるとされている。
しかし、前記従来の技術では、エンジン始動直後等の所定条件下において、前記ピストン室に作動油が十分に供給されていない場合に、前記キャンセラ室の遠心油圧が上回ることで、ピストンの作動が狙いに対して遅れるおそれがあった。このため、油圧式摩擦係合装置におけるピストンの作動遅れを抑制して応答性を向上させる技術の開発が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ピストンの作動遅れを抑制して応答性を向上させる車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、共通の軸心まわりに相対的な回転可能に設けられた第1の部材及び第2の部材と、それら第1の部材及び第2の部材の間に備えられて、ピストンにより押圧されることでそれら第1の部材及び第2の部材の相対的な回転を抑制する係合要素と、その係合要素を押圧するために前記ピストンを前進させるための作動油を収容するピストン室と、前記ピストンを挟んでそのピストン室に隣接して設けられ、遠心力によりそのピストン室内に発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油を収容するキャンセル室とを、備えた車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置であって、前記ピストンを前進させるための作動油と、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油とを、選択的に前記ピストン室へ供給するための選択供給装置を備えたことを特徴とするものである。
このようにすれば、共通の軸心まわりに相対的な回転可能に設けられた第1の部材及び第2の部材と、それら第1の部材及び第2の部材の間に備えられて、ピストンにより押圧されることでそれら第1の部材及び第2の部材の相対的な回転を抑制する係合要素と、その係合要素を押圧するために前記ピストンを前進させるための作動油を収容するピストン室と、前記ピストンを挟んでそのピストン室に隣接して設けられ、遠心力によりそのピストン室内に発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油を収容するキャンセル室とを、備えた車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置において、前記ピストンを前進させるための作動油と、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油とを、選択的に前記ピストン室へ供給するための選択供給装置を備えたものであることから、前記油圧式摩擦係合装置の非作動時(非係合時)において、前記キャンセル室に供給される作動油と等価な作動油を前記ピストン室にも供給できるように構成することで、それらピストン室及びキャンセル室相互間の油圧バランスを好適に保持することができる。すなわち、ピストンの作動遅れを抑制して応答性を向上させる車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置を提供することができる。
ここで、好適には、前記選択供給装置は、前記ピストンを前進させるための作動油が前記ピストン室へ供給されている場合には、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油のそのピストン室への供給を遮断する一方、前記ピストンを前進させるための作動油が前記ピストン室へ供給されていない場合には、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油をそのピストン室へ供給する切換弁装置である。このようにすれば、前記油圧式摩擦係合装置の非作動時において、前記切換弁装置により前記キャンセル室に供給される作動油と等価な作動油を前記ピストン室にも供給することで、それらピストン室及びキャンセル室相互間の油圧バランスを実用的な態様で好適に保持することができる。
また、好適には、前記選択供給装置は、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油の前記ピストン室への供給又は遮断を制御電流に応じて切り替えるオンオフソレノイド弁である。このようにすれば、前記油圧式摩擦係合装置の非作動時において、前記オンオフソレノイド弁により前記キャンセル室に供給される作動油と等価な作動油を前記ピストン室にも供給することで、それらピストン室及びキャンセル室相互間の油圧バランスを実用的な態様で好適に保持することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用される車両用自動変速機10の骨子図である。また、図2は、図1の自動変速機10において複数の変速段を成立させる際の摩擦係合要素すなわち摩擦係合装置の作動状態を説明する作動表である。この自動変速機10は、車両の左右方向(横置き)に搭載されるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に好適に用いられるものであって、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース26内において、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成された第1変速部14と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置16及びシングルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体としてラビニヨ型に構成された第2変速部20とを、共通の軸心C上に有し、入力軸22の回転を変速して出力回転部材24から出力する形式の変速機である。上記入力軸22は、入力部材に相当するものであり、本実施例では走行用の駆動力源であるエンジン30によって回転駆動されるトルクコンバータ32のタービン軸である。また、上記出力回転部材24は、上記自動変速機10の出力部材に相当するものであり、後述する図3に示す差動歯車装置40に動力を伝達するためにそのデフドリブンギヤ(大径歯車)42と噛み合う出力歯車すなわちデフドライブギヤとして機能している。上記エンジン30の出力は、トルクコンバータ32、自動変速機10、差動歯車装置40、及び左右一対の車軸44を介して左右一対の駆動輪46へ伝達されるようになっている(図3を参照)。なお、この自動変速機10やトルクコンバータ32は中心線(軸心)Cに対して略対称的に構成されており、図1の骨子図ではその中心線Cの下半分を省略して示している。
上記エンジン30は、例えば、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ32は、例えば、上記エンジン30のクランク軸に連結されたポンプ翼車と、上記自動変速機10の入力軸に連結されたタービン翼車と、一方向クラッチを介して上記トランスミッションケース26に固定されたステータ翼車とを、備えており、上記ポンプ翼車とタービン翼車との間で流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。上記ポンプ翼車には、機械式の油圧ポンプ28が備えられており、上記エンジン30によるポンプ翼車の回転駆動に応じてその油圧ポンプ28から所定の油圧(元圧)が発生させられるようになっている。また、上記トルクコンバータ32は、上記エンジン30から出力される動力を流体を介することなく上記入力軸22に直接伝達するためのロックアップ機構としてのロックアップクラッチ34を備えている。このロックアップクラッチ34は、係合側油室36内の油圧と解放側油室38内の油圧との差圧ΔPにより摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチであり、そのロックアップクラッチ34が完全係合(ロックアップオン)させられることにより上記エンジン30の動力が上記入力軸22に直接伝達される。また、所定のスリップ状態で係合するように差圧ΔPすなわちトルク容量がフィードバック制御されることにより、車両の駆動(パワーオン)時には例えば50rpm程度の所定のスリップ量でタービン軸を上記エンジン30の出力回転部材に対して追従回転させる一方、車両の非駆動(パワーオフ)時には例えば−50rpm程度の所定のスリップ量で上記エンジン30の出力回転部材をタービン軸に対して追従回転させられる。
前記自動変速機10は、クラッチC1、C2(以下、特に区別しない場合には単にクラッチCという)、及びブレーキB1、B2、B3(以下、特に区別しない場合には単にブレーキBという)を選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるものであり、後述する図2の作動表から明らかなように、クラッチC及びブレーキBのうち何れか2つを掴み替える所謂クラッチツウクラッチにより各変速段の変速を行うことができるように構成されている。上記クラッチC及びブレーキBは、例えば、多板式のクラッチやブレーキ等、油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、後述する油圧制御回路50に備えられたリニアソレノイドバルブSL1乃至SL5の励磁/非励磁に応じてその係合状態が切り換えられると共に、係合/解放時の過渡油圧等が制御される。例えば、図3に示すリニアソレノイドバルブSL1により前記クラッチC1の係合状態を制御するための油圧PC1が、リニアソレノイドバルブSL2により前記クラッチC2の係合状態を制御するための油圧PC2が、リニアソレノイドバルブSL3により前記ブレーキB1の係合状態を制御するための油圧PB1が、リニアソレノイドバルブSL4により前記ブレーキB2の係合状態を制御するための油圧PB2が、リニアソレノイドバルブSL5により前記ブレーキB3の係合状態を制御するための油圧PB3が、後述する電子制御装置48から各リニアソレノイドバルブに供給される制御電流に応じてそれぞれ個別に制御される。
図2は、前記自動変速機10の各変速段とクラッチC及びブレーキBの作動状態との関係をまとめた表であり、「○」は係合、「◎」はエンジンブレーキ時のみ係合を表している。ここで、各変速段の変速比は、前記第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、及び第3遊星歯車装置18の各ギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。また、第1変速段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)にはクラッチC1のみが係合させられ、エンジンブレーキを作用させるときにはクラッチC1及びブレーキB2が係合させられる。
図2に示すように、前記自動変速機10では、前記クラッチC及びブレーキBの係合状態の組み合わせに応じて、前記第1変速部14及び第2変速部20の各回転要素(サンギヤS1乃至S3、キャリアCA1乃至CA3、リングギヤR1乃至R3)の連結状態が変化させられ、それに従って前進変速段としての第1変速段「1st」乃至第6変速段「6th」の6つの前進変速段(前進ギヤ段)、及び後進変速段(後進ギヤ段)「R」が選択的に成立させられる。すなわち、前進変速段では、クラッチC1及びブレーキB2の係合により第1速ギヤ段が成立させられる。また、クラッチC1及びブレーキB1の係合により第2速ギヤ段が成立させられる。また、クラッチC1及びブレーキB3の係合により第3速ギヤ段が成立させられる。また、クラッチC1及びクラッチC2の係合により第4速ギヤ段が成立させられる。また、クラッチC2及びブレーキB3の係合により第5速ギヤ段が成立させられる。また、クラッチC2及びブレーキB1の係合により第6速ギヤ段が成立させられる。更に、ブレーキB2及びブレーキB3の係合により後進ギヤ段が成立させられ、クラッチC及びブレーキBの何れもが解放されることによりニュートラル状態となるように構成されている。
図3は、前記自動変速機10等を制御するために車両に設けられた制御系統の要部及び前記エンジン30から駆動輪46までの動力伝達系の概略構成を説明するブロック線図である。この図3に示す電子制御装置48は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにより信号処理を行うことで、前記自動変速機10の変速制御、前記エンジン30の出力制御、前記ロックアップクラッチ34の係合制御等を実行するようになっている。なお、この電子制御装置48は、必要に応じて前記エンジン30の駆動を制御するエンジン制御装置、リニアソレノイドバルブSL1乃至SL5等を介して前記自動変速機10の変速動作を制御する変速制御装置、及びリニアソレノイドバルブSLU及びソレノイドバルブSLを介して前記ロックアップクラッチ34の係合状態を制御するロックアップクラッチ制御装置等に分けて構成される。
図3に示すように、上記電子制御装置48には、各種センサにより検出された信号が供給されるようになっている。すなわち、アクセル開度センサ54により検出されたアクセルペダル52の操作量であるアクセル開度Accを表すアクセル開度信号、エンジン回転速度センサ56により検出された前記エンジン30の回転速度であるエンジン回転速度NEを表す信号、冷却水温センサ58により検出された前記エンジン30の冷却水温TWを表す信号、吸入空気量センサ60により検出された前記エンジン30の吸入空気量Qを表す信号、スロットル弁開度センサ64により検出された電子スロットル弁62の開度θTHを表すスロットル弁開度信号、車速センサ66により検出された前記出力回転部材24の回転速度NOUTすなわち車速Vに対応する車速信号、ブレーキスイッチ70により検出された常用ブレーキであるフットブレーキ(ホイールブレーキ)の作動中(踏込操作中)を示すフットブレーキペダル68の操作(オン)BONを表す信号、レバーポジションセンサ74により検出されたシフトレバー72のレバーポジション(操作位置、シフトポジション)PSHを表す信号、タービン回転速度センサ76により検出されたタービン回転速度NT(=入力軸22の回転速度すなわち自動変速機10の入力回転速度NIN)を表す信号、及びAT油温センサ78により検出された油圧制御回路50内の作動油の温度であるAT油温TOIL表す信号等がそれぞれ上記電子制御装置48に供給されるようになっている。
また、図3に示すように、各種機器の動作を制御するための信号が上記電子制御装置48からそれらの機器へ出力されるようになっている。すなわち、上記電子スロットル弁62の開度θTHを操作するスロットルアクチュエータ80への駆動信号、前記エンジン30の点火時期を指令する点火信号、前記エンジン30の吸気管または筒内に燃料を供給し或いは停止する燃料噴射装置82によるそのエンジン30への燃料供給量を制御する燃料供給量信号、シフトインジケータを作動させるためのレバーポジションPSH表示信号、前記自動変速機10の変速段を切り換えるために前記油圧制御回路50内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号及びライン圧を制御するリニヤソレノイド弁を駆動するための指令信号、前記ロックアップクラッチ34の係合、解放、スリップ量を制御するリニヤソレノイド弁を駆動するための指令信号等が前記電子制御装置48からそれぞれ出力されるようになっている。
図4は、前記油圧制御回路50における前記クラッチC1の係合動作に関する部分を説明する油圧回路図である。なお、以下の説明では、本発明が油圧式摩擦係合装置としての前記クラッチC1に適用された例について説明するが、前記クラッチC2、或いはブレーキBにも本発明は同様に適用され得る。
図4に示すように、前記油圧制御回路50には、前記油圧ポンプ28から出力される元圧から所定の第1ライン圧PL1を調圧するプライマリレギュレータバルブ(第1ライン圧調圧弁)84と、そのプライマリレギュレータバルブ84から出力される第1ライン圧PL1から所定の第2ライン圧PL2を調圧するセカンダリレギュレータバルブ(第2ライン圧調圧弁)86と、前記クラッチC1の係合状態を制御するための油圧PC1を調圧するリニアソレノイドバルブSL1とを、備えて構成されている。上記セカンダリレギュレータバルブ86により調圧される第2ライン圧PL2は、例えば前記自動変速機10の潤滑油路に供給され、その自動変速機10の潤滑のために用いられるものである。
また、図4に示すように、前記クラッチC1は、共通の軸心(図1にCで示す)まわりに相対的な回転可能に設けられた第1の部材88及び第2の部材90と、それら第1の部材88及び第2の部材90の間に備えられて、ピストン92により押圧(挟圧)されることでそれら第1の部材88及び第2の部材90の相対的な回転を抑制する係合要素としての複数のクラッチプレート94と、それらクラッチプレート94を押圧するために前記ピストン92を前進させるための作動油すなわち上記リニアソレノイドバルブSL1により調圧される油圧PC1を収容するピストン室96と、前記ピストン92を挟んでそのピストン室96に隣接して設けられ、上記セカンダリレギュレータバルブ86により調圧される第2ライン圧PL2を収容するキャンセル室98とを、備えて構成されている。上記ピストン室96及びキャンセル室98は、何れも上記第1の部材88とピストン92との間に所定の空間として形成されたものである。また、上記キャンセル室98は、前記自動変速機10の駆動に伴い各部分が共通の軸心Cまわりに回転することにより生じる遠心力により上記ピストン室96内に発生する遠心油圧をキャンセルするために形成されたものであり、本実施例においては、上記セカンダリレギュレータバルブ86により調圧される第2ライン圧PL2が上記ピストン室96内に発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油に相当する。ここで、上記第1の部材88は前記入力軸22に、上記第2の部材90は前記第3遊星歯車装置18のサンギヤS3にそれぞれ連結され、図1に示す軸心Cまわりにそれらの部材と一体的に回転させられるように構成されている。また、図4に示すように、上記キャンセル室98内には、上記ピストン92をピストン室96に向かって付勢するためのスプリング100が配設されている。
本実施例の油圧制御回路50には、図4に示すように、上記ピストン92を上記キャンセル室98側(クラッチプレート94を挟圧する側)へ前進させるための作動油すなわち前記リニアソレノイドバルブSL1により調圧される油圧PC1と、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油すなわち上記セカンダリレギュレータバルブ86により調圧される第2ライン圧PL2とを、選択的に上記ピストン室96へ供給するための選択供給装置102が設けられている。この選択供給装置102は、好適には、上記ピストン92を前進させるための作動油すなわち前記リニアソレノイドバルブSL1により調圧される油圧PC1が上記ピストン室96へ供給されている場合には、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油すなわち前記セカンダリレギュレータバルブ86により調圧される第2ライン圧PL2のそのピストン室96への供給を遮断する一方、上記ピストン92を前進させるための作動油PC1が上記ピストン室96へ供給されていない場合には、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油PL2をそのピストン室96へ供給する切換弁装置(3ポート切換弁)である。
以上のように構成された油圧制御回路50では、前記ピストン92を前進させるための作動油すなわち前記リニアソレノイドバルブSL1により調圧される油圧PC1が上記ピストン室96へ供給されていない場合には、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油すなわち前記セカンダリレギュレータバルブ86により調圧される第2ライン圧PL2がそのピストン室96へ供給される。これにより、例えば車両発進直後等、前記クラッチC1の非作動時(未作動時)において、前記キャンセル室98に供給される油圧と等価な油圧が前記ピストン室96にも供給され、前記ピストン92を前進させるための作動油すなわち前記リニアソレノイドバルブSL1により調圧される油圧PC1が出力された際に前記ピストン92を応答性よく前進させることができる。一方、前記ピストン92を前進させるための作動油すなわち前記リニアソレノイドバルブSL1により調圧される油圧PC1が上記ピストン室96へ供給されている場合には、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油すなわち前記セカンダリレギュレータバルブ86により調圧される第2ライン圧PL2のそのピストン室96への供給が遮断される。これにより、前記キャンセル室98のみにキャンセルのための油圧PL2が供給されることで、前記自動変速機10の作動に伴う遠心力により前記ピストン室96内に発生する遠心油圧を好適にキャンセルすることができる。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図5は、前記油圧制御回路50における前記クラッチC1の係合動作に関する部分の他の一例を説明する油圧回路図である。この図5に示す構成では、前記ピストン92を前進させるための作動油に対応する油圧PC1と、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油に対応する油圧PL2とを、選択的に前記ピストン室96へ供給するために、その遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油PL2の前記ピストン室96への供給又は遮断を前記電子制御装置48から供給される制御電流に応じて切り替えるオンオフソレノイド弁としての選択供給装置104が設けられている。前記電子制御装置48は、前記ピストン92を前進させるための作動油が上記ピストン室96へ供給されている場合すなわち油圧PC1を出力させるために前記リニアソレノイドバルブSL1への制御電流が出力されている場合には、前記セカンダリレギュレータバルブ86から出力される第2ライン圧PL2の前記ピストン室96への供給を遮断するように上記選択供給装置104を制御する一方、前記ピストン92を前進させるための作動油が上記ピストン室96へ供給されていない場合すなわち油圧PC1を出力させるために前記リニアソレノイドバルブSL1への制御電流が出力されていない場合には、前記セカンダリレギュレータバルブ86から出力される第2ライン圧PL2が前記ピストン室96へ供給されるように上記選択供給装置104を制御する。斯かる構成によっても、前述した図4に示す構成と同様の効果が得られる。
このように、本実施例によれば、共通の軸心Cまわりに相対的な回転可能に設けられた第1の部材88及び第2の部材90と、それら第1の部材88及び第2の部材90の間に備えられて、ピストン92により押圧されることでそれら第1の部材88及び第2の部材90の相対的な回転を抑制する係合要素としてのクラッチプレート94と、そのクラッチプレート94を押圧するために前記ピストン92を前進させるための作動油PC1を収容するピストン室96と、前記ピストン92を挟んでそのピストン室96に隣接して設けられ、遠心力によりそのピストン室96内に発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油PL2を収容するキャンセル室98とを、備えた車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置において、前記ピストン92を前進させるための作動油に対応するクラッチ圧PC1と、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油に対応する第2ライン圧PL2とを、選択的に前記ピストン室96へ供給するための選択供給装置102を備えたものであることから、油圧式摩擦係合装置であるクラッチC1の非作動時(非係合時)において、前記キャンセル室98に供給される作動油PL2と等価な作動油を前記ピストン室96にも供給できるように構成することで、それらピストン室96及びキャンセル室98相互間の油圧バランスを好適に保持することができる。すなわち、ピストン92の作動遅れを抑制して応答性を向上させる車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置を提供することができる。
また、前記選択供給装置102は、前記ピストン92を前進させるための作動油PC1が前記ピストン室96へ供給されている場合には、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油PL2のそのピストン室96への供給を遮断する一方、前記ピストン92を前進させるための作動油PC1が前記ピストン室96へ供給されていない場合には、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油PL2をそのピストン室96へ供給する切換弁装置(3ポート切換弁)であるため、前記クラッチC1の非作動時において、前記選択供給装置102により前記キャンセル室98に供給される作動油PL2と等価な作動油を前記ピストン室96にも供給することで、それらピストン室96及びキャンセル室98相互間の油圧バランスを実用的な態様で好適に保持することができる。
また、前記選択供給装置104は、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油PL2の前記ピストン室96への供給又は遮断を制御電流に応じて切り替えるオンオフソレノイド弁であるため、前記クラッチC1の非作動時において、前記選択供給装置104により前記キャンセル室98に供給される作動油PL2と等価な作動油を前記ピストン室96にも供給することで、それらピストン室96及びキャンセル室98相互間の油圧バランスを実用的な態様で好適に保持することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例では、前記自動変速機10に備えられた油圧式摩擦係合装置の制御に本発明が適用された例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記トルクコンバータ14に備えられたロックアップクラッチ34や、図示しないプロペラシャフトと直立に設けられた前後輪駆動力配分装置等に適用されたものであってもよい。すなわち、遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための構成を備えた車両用油圧式摩擦係合装置の制御に広く適用され得るものである。
また、図4及び図5に示す油圧制御回路50は、あくまで本発明の一実施例であり、選択供給装置としては3ポート切換弁やオンオフソレノイド弁の他にも種々の装置が用いられ得る。また、前記ピストン92を前進させるための作動油と、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油とを、選択的に前記ピストン室96へ供給し得る構成であれば、油圧制御回路の構成も図4及び図5に示したものには限られない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
88:第1の部材
90:第2の部材
92:ピストン
94:クラッチプレート(係合要素)
96:ピストン室
98:キャンセル室
102:選択供給装置(切換弁装置)
106:選択供給装置(オンオフソレノイド弁)
C:軸心
C1、C2:クラッチ(油圧式摩擦係合装置)
B1、B2、B3:ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)
90:第2の部材
92:ピストン
94:クラッチプレート(係合要素)
96:ピストン室
98:キャンセル室
102:選択供給装置(切換弁装置)
106:選択供給装置(オンオフソレノイド弁)
C:軸心
C1、C2:クラッチ(油圧式摩擦係合装置)
B1、B2、B3:ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)
Claims (3)
- 共通の軸心まわりに相対的な回転可能に設けられた第1の部材及び第2の部材と、それら第1の部材及び第2の部材の間に備えられて、ピストンにより押圧されることでそれら第1の部材及び第2の部材の相対的な回転を抑制する係合要素と、その係合要素を押圧するために前記ピストンを前進させるための作動油を収容するピストン室と、前記ピストンを挟んで該ピストン室に隣接して設けられ、遠心力により該ピストン室内に発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油を収容するキャンセル室とを、備えた車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置であって、
前記ピストンを前進させるための作動油と、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油とを、選択的に前記ピストン室へ供給するための選択供給装置を備えたものであることを特徴とする車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置。 - 前記選択供給装置は、前記ピストンを前進させるための作動油が前記ピストン室へ供給されている場合には、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油の該ピストン室への供給を遮断する一方、前記ピストンを前進させるための作動油が前記ピストン室へ供給されていない場合には、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油を該ピストン室へ供給する切換弁装置である請求項1に記載の車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置。
- 前記選択供給装置は、前記遠心力により発生する遠心油圧をキャンセルするための作動油の前記ピストン室への供給又は遮断を制御電流に応じて切り替えるオンオフソレノイド弁である請求項2に記載の車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007223998A JP2009058000A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | 車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007223998A JP2009058000A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | 車両用油圧式摩擦係合装置の制御装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013140696A1 (ja) * | 2012-03-23 | 2013-09-26 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | ハイブリッド車両用自動変速機の制御装置 |
JP2014061832A (ja) * | 2012-09-24 | 2014-04-10 | Aisin Seiki Co Ltd | ハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ制御装置 |
US11097738B2 (en) | 2019-06-14 | 2021-08-24 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control apparatus for vehicle |
-
2007
- 2007-08-30 JP JP2007223998A patent/JP2009058000A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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