JP2009056637A - ローラの製造方法 - Google Patents

ローラの製造方法

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晴康 木本
Hideaki Abiru
秀昭 安蒜
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Abstract

【課題】薄肉円筒体の外周に弾性材料層を被覆形成してローラを製造する際に、薄肉円筒体の真円度を確保して弾性材料層の肉厚を一定にする。
【解決手段】薄肉円筒体12を内面側から支持する中子16として、円筒状のばね体を用いる。このばね体を薄肉円筒体の内径よりも小径となるように絞った状態で薄肉円筒体12に挿入し、その後に該ばね体の絞りを解除して、該ばね体をその弾性復元力によって薄肉円筒体の内面に圧接させることにより、薄肉円筒体を内面側から支持するようにした。その状態で薄肉円筒体の外面に弾性材料層を被覆形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、プリンタ装置、複写機、ファクシミリ等に使用されるローラの製造方法に関し、特に薄肉円筒体の外面に弾性材料層を被覆形成してなる薄肉ローラの製造方法に係るものである。
プリンタや電子写真複写機など様々な装置において、定着ローラ、加熱ローラ、加圧ローラ、搬送ローラ等の各種のローラが使用されている。一般にこれらのローラは芯金の外面にゴムや樹脂を被覆して形成されるが、例えば定着ローラなどでは熱伝導性を高めるために芯金を薄肉の円筒体で構成した薄肉ローラとしている。
図1に薄肉ローラの断面構造を示す。この薄肉ローラ10は、例えばステンレスやアルミニウム等の金属製の薄肉円筒体12の外周面にシリコーンゴム等よりなる弾性材料層14を被覆形成して構成される。さらに用途によっては、弾性材料層14の外周面にフッ素系樹脂からなる剥離層(図示せず)が形成される。
従来、この薄肉ローラの製造方法としては、例えば下記の特許文献1に記載のように、薄肉円筒体の内部に、この薄肉円筒体を内面側から支持する中子を挿入し、その状態で薄肉円筒体の外面に弾性材料層を被覆形成し、その後に薄肉円筒体から中子を抜き取るようにした方法が提案されている。
そして、この特許文献1の図4においては、薄肉円筒体の径寸法のバラツキを吸収するため、中子を3分割して形成し、この中子を薄肉円筒体に挿入した後にその端部に対し凸状くさび部材を挿入して、中子の仮想円周を大きくすることで、中子を薄肉円筒体の内面に圧接させるようにした方法が開示されている。
特開平9?212027号公報
しかしながら、この方法では、中子の円周の曲率自体は変化しないので、中子の仮想円周が大きくなっても薄肉円筒体の内周の曲率と一致しないため、薄肉円筒体の真円度を確保することが難しく、その結果、弾性材料層の肉厚が一定にならず品質が低下するという問題があった。
本発明はこのような問題点を解決することを目的としてなされたものである。
上記目的を達成するために、本発明は、薄肉円筒体の内部に、この薄肉円筒体を内面側から支持する中子を挿入し、その状態で薄肉円筒体の外面に弾性材料層を被覆形成し、その後に薄肉円筒体から中子を抜き取るようにしたローラの製造方法において、前記中子として、円筒状のばね体を用い、該ばね体を前記薄肉円筒体の内径よりも小径となるように絞った状態で前記薄肉円筒体に挿入し、その後に該ばね体の絞りを解除して、該ばね体をその弾性復元力によって前記薄肉円筒体の内面に圧接させることにより、前記薄肉円筒体を内面側から支持するようにした。
中子として用いる円筒状のばね体は、絞りを解除した通常の状態においてその外径が薄肉円筒体の内径よりも僅かに大きくなるようにし、適度な圧力を薄肉円筒体の内面に加えられるようにする。中子を円筒状のばね体とすることにより、ばね体の絞り加減に従って円周の曲率が連続的に変化するので、薄肉円筒体の内面の曲率に一致した曲率にて該内面に圧接させることができる。
円筒状のばね体としては、絞ることで外径が小さくなり、絞りを解除するとその弾性復元力で元の外径に戻るものであれば任意の形態のものが使用できるが、支持性能、作業性等に優れた密着コイルばねを用いるのが好ましい。密着コイルばねは絞りを解除した状態でコイルが密着して外面が一様な円筒面を形成するので、薄肉円筒体の内面を全面的に支持でき、また端部を捩る又は軸方向に引っ張ることにより容易に外径を小さく絞ることができるので薄肉円筒体への挿入及び抜き取り作業が簡単である。
薄肉円筒体の材質は用途に応じて適宜選択できるが、一般には例えばステンレス、アルミニウム、鉄、ニッケル等の金属が用いられ、場合によってはポリイミド、PTFE(四フッ化エチレン樹脂 )等の樹脂も用いることができる。
弾性材料層の材質としては、限定するものではないが例えばシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられ、適宜設けられる離型層の材質としては、例えばPTFE、PFA(四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂 )、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂 )等のフッ素樹脂が挙げられる。また、弾性材料層は用途に応じて単層又は複層にできる。
以上の如く本発明のローラの製造方法によれば、中子として円筒状のばね体を用いているので、薄肉円筒体の径寸法のバラツキを効果的に吸収して薄肉円筒体を安定して支持することができ、さらに薄肉円筒体の真円度を確保した状態で薄肉円筒体の外面に弾性材料層を被覆形成できるので、弾性材料層の肉厚が一定の高品質のローラを製造することができる。特に、円筒状のばね体として、密着コイルばねを用いると、薄肉円筒体の内面を全体的に圧接できると共に、両端を捩る又は引っ張ることで容易に絞ることができて薄肉円筒体への挿入及び抜き取り作業が簡単である。
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
本発明は、薄肉円筒体12の内部に、この薄肉円筒体12を内面側から支持する中子16を挿入し、その状態で薄肉円筒体12の外面に弾性材料層14を被覆形成し、その後に薄肉円筒体12から中子16を抜き取るようにしたローラ10の製造方法において、中子16として円筒状のばね体16を用いたものである。
このばね体16の形状例を図2に示す。本例では、ばね体16として密着コイルばね16が用いられている。この密着コイルばね16は、通常の状態では薄肉円筒体12の内径よりもやや大きい径を有し、かつその周面が隙間なく連続する円周面に形成されるもので、この密着コイルばね16を、その両側の端部16aを捻る(または引っ張る)ことによって薄肉円筒体12の内径よりも小径となるように絞り、その状態で薄肉円筒体12に挿入する。
その後、密着コイルばね16の絞りを解除し、この密着コイルばね16をその弾性復元力によって薄肉円筒体12の内面に圧接させることにより、薄肉円筒体12を内面側から支持するようにする(図3)。
この場合、薄肉円筒体12の径寸法にバラツキがあっても、それに追従して密着コイルばね16はその径が変化して薄肉円筒体12の内面に全面的に圧接し、これによって薄肉円筒体12は、径寸法のバラツキが吸収され、かつ真円度が確保された状態で安定して支持される。
特に本例では密着コイルばね16を用いているので、この密着コイルばね16によって薄肉円筒体12は密に支持されて、より安定した状態で支持されることになる。
そして、この密着コイルばね16によって支持された薄肉円筒体12を、図4に示すような金型18にセットし、それから金型内に未加硫のシリコーンゴム等の弾性材料を注入した後、これを加硫硬化させることにより、薄肉円筒体12の外面に弾性材料層14を被覆形成してローラ10を成型する。
この成型においては、上記の如く、薄肉円筒体12は密着コイルばね16によって真円度が確保された状態で安定して支持されているため、その外面に被覆形成される弾性材料層14の肉厚は一定となる。
成型完了後、金型18からローラ10を取り出し、最後に再び密着コイルばね16を絞り、これを薄肉円筒体10から抜き取ることにより、図1に示すようなローラ10が完成する。
図4では金型成型で弾性材料層14を被覆形成する方法を示しているが、押出成形やスプレー塗装法など他の任意の方法で弾性材料層を被覆形成することもできる。
なお、本例においては、中子を構成する円筒状のばね体として密着コイルばねを用いているが、密着コイルばねに限ることなく一般的なコイルばねを用いてもよい。また、図5に示すように、例えば金属薄板を円筒状に巻いたもの16’をばね体として用いることも可能である。
本発明は定着ローラ等の特定のローラに限定されるものではなく、薄肉円筒体の外面に弾性材料層を被覆形成する構造ならば、例えば加圧ローラ、搬送ローラなどどんな種類のローラにも適用できる。
薄肉ローラの断面図である。 本発明で中子として用いる密着コイルばねと薄肉円筒体の斜視図である。 密着コイルばねを薄肉円筒体に挿入した状態を示す斜視図である。 密着コイルばねが挿入された薄肉円筒体を成型用の金型にセットした状態を示す断面図である。 中子として用いる円筒状のばね体の別の例を示す。
符号の説明
10 ローラ
12 薄肉円筒体
14 弾性材料層
16 中子(密着コイルばね)
18 金型

Claims (2)

  1. 薄肉円筒体の内部に、この薄肉円筒体を内面側から支持する中子を挿入し、その状態で薄肉円筒体の外面に弾性材料層を被覆形成し、その後に薄肉円筒体から中子を抜き取るようにしたローラの製造方法において、
    前記中子として、円筒状のばね体を用い、該ばね体を前記薄肉円筒体の内径よりも小径となるように絞った状態で前記薄肉円筒体に挿入し、その後に該ばね体の絞りを解除して、該ばね体をその弾性復元力によって前記薄肉円筒体の内面に圧接させることにより、前記薄肉円筒体を内面側から支持するようにしたことを特徴とするローラの製造方法。
  2. 前記ばね体として、密着コイルばねを用いたことを特徴とする請求項1に記載のローラの製造方法。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08207134A (ja) * 1995-02-02 1996-08-13 Fujio Sakamoto 成型金型および成型方法
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JP2000158529A (ja) * 1998-11-25 2000-06-13 Fujikura Ltd プラスチックパイプの曲げ加工方法およびプラスチックパイプ曲げ加工用の中子

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