JPH09212027A - 薄肉ローラの製造方法 - Google Patents

薄肉ローラの製造方法

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JPH09212027A
JPH09212027A JP3424096A JP3424096A JPH09212027A JP H09212027 A JPH09212027 A JP H09212027A JP 3424096 A JP3424096 A JP 3424096A JP 3424096 A JP3424096 A JP 3424096A JP H09212027 A JPH09212027 A JP H09212027A
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cylindrical body
core
thin
manufacturing
walled
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JP3424096A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Kusumoto
保浩 楠本
Yasuhiro Uehara
康博 上原
Yoshio Kanazawa
祥雄 金澤
Makoto Komata
誠 小俣
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円筒体自体の厚みを増すことなく、円筒体を
薄肉のものとしても、当該円筒体外面への樹脂やゴムを
被覆できるようにする薄肉ローラの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 電子写真複写機の定着ローラの利用に適
する薄肉ローラの製造方法は、円筒の内径が全長にわた
って略均一な薄肉円筒体の内部に当接して該円筒体を内
面側から支持する中子を挿入し、該円筒体外面に高分子
材料を形成し、該高分子材料が円筒体外面に形成された
後に前記中子を抜取する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉ローラの製造
方法に関し、特に、薄肉の円筒体で構成されるローラ、
例えば、金属製のローラ,プラスチックフィルムまたは
金属製フィルム等の薄肉で剛性の弱い材質の円筒体で構
成されるローラに対し、その外面に樹脂やゴムを被覆す
る薄肉ローラの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ローラとする円筒体に樹脂や
ゴムを被覆する方法としては、射出成型,プレス成型,
押し出し成型,あるいはスプレーやディッピングによる
コーティング法により行われることがよく知られてい
る。
【0003】ところで、スプレーやディッピングによる
コーティング法の場合、薄肉の円筒体、例えば、金属製
のローラ,プラスチックフィルム,金属製フィルム等へ
の場合、薄肉であるがゆえに、剛性が足りず、例えば、
スプレーコーティングにおいては、スプレー圧力に抗し
きれず、円筒体自体が屈してしまい、コーティングの上
で、液だれが生じたり、あるいは、円筒体自体が変形し
たり、製造上の歩留りが悪化したり、製品の公差が悪化
することは否めなかった。
【0004】また、円筒体の端部支持によるディップコ
ートによる場合も剛性が足りず、円筒体を塗布剤に浸漬
する際、塗布剤の界面抵抗に抗しきれず、円筒体自体が
屈し塗布がうまくできないばかりか、円筒体本体も破壊
してしまう恐れがある。このため、製造上の歩留りが悪
化したり、製品の公差が悪化してしまう懸念をはらんで
いた。従って、これらを満足させるために、円筒体の本
体部分の剛性が必要となることから必然的にある程度の
厚さが必要となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電子写真複
写機の定着用ローラとして、フッ素樹脂(PFA:四フ
ッ化エチレンパーフロロアルキルビニルエーテル共重合
体樹脂,PTFE:四フッ化エチレン樹脂,FEP:四
フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体樹脂等)
や、HTVシリコーンゴム(High Tempert
ure Vulcanization Silicon
e Rubber)ないしRTVシリコーンゴム(Ro
om Temperture Vulcanizati
on Silicone Rubber)等ゴムを被覆
した円筒体を使用する場合があるが、この場合、熱伝導
を考慮すれば、薄肉であればあるほど、定着設定温度へ
の立ち上がりが速くなるばかりか、省エネルギーの観点
からも望ましいので、円筒体を薄肉化することが望まれ
る。
【0006】しかしながら、円筒体の本体部分の厚みを
とること、つまり、薄肉化することは、上述したよう
に、製造上の問題点があり、これを克服するため、ある
程度の円筒体自体の厚さが必要となる。従って、電子写
真複写機の定着用ローラとしては、ある程度の肉厚のあ
る円筒体で定着用ローラを構成せざるを得ず、電子写真
複写機の性能向上を阻害する要因となっていた。
【0007】また、電子写真複写機の定着用ローラとし
ては、円筒体に樹脂やゴムを被覆するため、更には円筒
体自体のコストも薄肉にできないために厚さを要する分
だけ嵩むこととなり、コストダウンを阻害する要因とも
なっていた。
【0008】更に、電子写真複写機の定着用ローラを製
造する場合に、薄肉タイプの円筒体を用いたとすると、
例えば、薄肉円筒体にコーティングする時の円筒体の支
持方法では、円筒体の端部を直接に掴むため、円筒体の
端部を傷つけたり、また、コーティング時の圧力に抗し
きれず、塗布液の液だれ、円筒体のへこみ等も発生しや
すかった。このため、歩留まりの低下につながった。
【0009】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、本発明の目的は、円筒体自
体の厚みを増すことなく、円筒体を薄肉のものとして
も、当該円筒体外面への樹脂やゴムを被覆できるように
した薄肉ローラの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するため、本発明による薄肉ローラの製造方法では、円
筒の内径が全長にわたって略均一な薄肉円筒体の内部に
当接して該円筒体を内面側から支持する中子を挿入し、
該円筒体外面に高分子材料を形成し、該高分子材料が円
筒体外面に形成された後に前記中子を抜取することを特
徴とする。
【0011】つまり、薄肉ローラの本体部分となる円筒
体の内部に当該円筒体を内面側から支持するための中子
を入れ、この中子により当該円筒体外面への高分子材料
の樹脂やゴムを被覆する際の薄肉円筒体の剛性を高くし
て、円筒体が屈することを防止して、薄肉ローラの製造
を容易にする。
【0012】このように、本発明の薄肉ローラの製造方
法によれば、薄肉ローラの本体部分となる円筒体の内部
に中子を挿入して、内面側より支持するため、当該円筒
体は薄肉であるにもかかわらず、あたかも厚肉の円筒体
のごとく扱えるようになる。このため、高分子材料をコ
ーティングする際、スプレーの塗布液突出圧力あるい
は、ディッピング時の抵抗に負けることなく、リジッド
な状態を保持でき、コーティングミスもなくなる。ま
た、円筒体の本体部自体が折れ曲がったりしない。この
ため、例えば、定着ローラとして使用する薄肉ローラの
製品の仕上がり状態が格段によくなり、また、製造の歩
留りも画期的に良くなる。
【0013】更に、中子は、円筒体内径よりも中子の外
径を僅かに小さくし、円筒体の内部に挿入する際に挿入
しやすくするともに、抜取する際にも、円筒体内径と中
子外径との隙間により中子を抜き取りやすくするが、そ
の場合の円筒体内径と中子外径の径差の隙間は、50μ
m以上が望ましい。
【0014】しかし、前述のとおり、円筒体が薄肉であ
るため、高分子材料をコーティングする際は、円筒体と
中子の間に隙間があれば、スプレーコート時の塗布液突
出圧力あるいはディップコート時の圧力によって、局部
的に凹みが発生し、塗布液の塗りむらが発生して、製品
の仕上がり品質が落ちるので、この点を考慮して、円筒
体内径と中子外径の径差の上限が定められる。この場
合、製品の品質が低下しない許容限度は、250μm以
下であることが好ましい。
【0015】また、このような問題を回避するため、円
筒体と中子の間に隙間をなくし、塗布時には中子の仮想
外径を大きくして、円筒体内面側から圧力をかける状態
となるようにしても良い。このため、本発明による薄肉
ローラの製造方法の1つの態様では、円筒体の中に中子
を挿入した後、中子の少なくとも1端に対し、凸状くさ
び部材を挿入して、中子のいわゆる仮想円周を大きくす
る。これにより、薄肉円筒体の内面側から適度な圧力を
加えられるようにすることができ、薄肉円筒体は円筒体
自体が薄肉であるにもかかわらず、あたかも厚肉の部材
であるかのごとく剛性が高くなる。このため、高分子材
料をコーティングする際にスプレー時の塗布液突出圧力
や、ディップコート時における塗布液の抵抗に屈するこ
となく、理想的な塗布条件のもとに均一で、安定した塗
布が可能となる。
【0016】この場合の中子へ挿入する凸状くさび部材
形状の底周面の外径は、中子を円筒体内部へ挿入して、
圧力を円筒体内面側から円筒体へ付与するため、中子の
仮想外径が大きくなるが、この場合において、当該凸状
くさび部材形状の底周面の外径は、この状態の仮想外径
と同径かそれ以上の大きさに調整する。これにより、円
筒体の支持部材としての中子の扱い勝手が良くなる。
【0017】また、中子の少なくとも一端の端部を円筒
体よりも外部へ長くすることで、この部分をいわゆる握
り手として利用できるようにする。握り手としての中子
を支持す幣部分を設けることで塗布は飛躍的に容易とな
る。更に、円筒体に塗布した塗布液を乾燥させたり、あ
るいは、高分子材料の塗布物質がゴムの場合、加硫させ
るため加熱したり、樹脂の場合には、加熱焼成するが、
中子の端部を握り手として使えるので、加工の作業性は
容易なものとなる。
【0018】続いて、高分子材料の塗布液が乾燥した
後、すなわち、製品として高分子材料のコーティングが
終了した段階で中子は不要になるが、この際は、先述し
た凸状楔部材を抜取すれば、中子の仮想外径は必然的に
小さくなるので、円筒体内面と中子との間に隙間があ
き、容易に中子は抜取しやすくなる。
【0019】なお、中子を抜取する段階は、例えば、コ
ーティングした高分子材料を研磨する工程があれば、研
磨後でも良いし、円筒体端部の加工があるのであれば、
中子同士の隙間を利用した状態で加工し、その後、抜取
してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施する場合の形
態について、具体的に図面を参照して説明する。また、
以下に説明する実施例においては、本発明の薄肉ローラ
の製造方法を電子写真複写機用の定着ローラの製造方法
として説明するが、本発明は、この分野に限らず、薄肉
円筒体に高分子材料を塗布する必要のある分野において
広く利用できる。
【0021】次に、本発明のローラ製造方法を電子写真
複写機の定着部の定着ローラの製造に適用した実施例
を、図1〜図5を参照して説明する。
【0022】(第1の実施例)図1は、定着ローラとな
る薄肉円筒体および当該薄肉円筒体の内部に挿入する中
子を示す斜視図である。電子写真複写機の定着部の定着
ローラとする薄肉円筒体1は、材質としては、ポリイミ
ド,ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂製のものや、
ステンレス,鉄,アルミニウム,ニッケル等の金属製の
ものを用いる。ここでは、ステンレス製のものを使用す
る。この薄肉円筒体1として用いるステンレス材は、厚
さが80μmであり、軸方向の長さが320mmであ
り、円筒外径が70mmのものである。
【0023】この薄肉円筒体(以下、単に円筒体と称す
る)1に、中子2として用いるステンレス製中空棒を挿
入する。ここで用いる中子2は、中実のものでも良い
が、中子2の製造コストが高くなる点,重量が重くなる
点,およびハンドリングしにくくなる点を考慮して、こ
のようなステンレス製中空棒を用いる。円筒体1に中子
2を挿入した状態は、図2に示すようになる。
【0024】なお、中子2の材質は、ここではステンレ
ス製のものを用いたが、少なくとも当該円筒体1よりも
剛性のあるものであれば、特に限定されるものではな
い。もし、塗布する高分子材料の樹脂あるいはゴムを、
後述するように、加熱環境にさらす場合には、この環境
に耐えられるものであれば良い。
【0025】図2は、薄肉円筒体に中子を挿入した状態
を示す斜視図である。図2に示すように、円筒体1に挿
入された中子2は、軸方向の長さが400mmであり、
円筒体1の軸方向の長さが320mmなので、中子2の
両端部が40mmずつ円筒体1の端部より外部へはみだ
した状態となる。この露出部を握り手6として、各作業
工程で利用する。これにより、各作業工程で直接に円筒
体1に触れることがなくなるので、製品の仕上がり品質
は格段によくなる。
【0026】図2に示すような状態で、高分子物質であ
るフッ素ゴムを塗布するため、円筒体1の外面の脱脂処
理を行い、プライマー塗布処理を行った後、室温にて、
未加硫の液状フッ素ゴム槽へ、中子2の端部の握り手6
においてグリップしながら軸方向へ浸漬し、平均20μ
mの膜厚となるべく調整し、取り上げた後、温度200
℃において4時間、オーブンで加硫硬化させた。
【0027】また、スプレーコート法によるコーティン
グを行う場合においても、円筒体1に対する中子2の装
着法は、前述した方法とかわらず、その後、同様に円筒
体1の表面を脱脂処理し、プライマー塗布処理の後、液
状のフッ素ゴムをスプレーによりコーティング処理し、
前述の場合と同様にして、加硫硬化させる。
【0028】ところで、円筒体1の内部に中子2を挿入
するためには、中子2の外径は円筒体1の内径より小さ
ければ良いが、その径差があまりに小さいと、中子2の
円筒体1への挿入および抜取が困難となり、あまりに大
きいと、中子2を円筒体1に止める際に困難となる。ま
た、円筒体1と中子2の隙間が大きくなると、コーティ
ングの際、材料の塗り垂れや、円筒体のへこみが発生
し、製品の歩留りも悪化する。
【0029】この時の隙間の大きさの影響を調べるた
め、円筒体へのディップコーティングを20本ずつ試
み、その影響具合を見た。その実験結果を図3に示す。
コーティングの際の円筒体と中子の間の隙間の大きさの
影響を調ベた実験結果によれば、図3の表に示すよう
に、中子の有無で、作業性、製品の仕上がり具合で大き
な差があることがわかる。また、円筒体と中子の隙間は
概ね40〜250μmで良好であり、特に、100〜2
00μmでまったく問題はなかった。
【0030】そして、コーティングした高分子材料の硬
化後、最初に#500の番手の粗さの研磨紙で粗研磨の
後に、更に#1000の番手の粗さの研磨紙で精研磨を
行った。なお、この一連の作業行程において、中子2は
円筒体1に挿入されたままであり、全ての作業の終了の
後に、中子2を抜き取る。
【0031】このようにして製造された円筒体1を熱定
着方式の定着ローラとして、電子写真定着装置に実装
し、その定着性能、用紙剥離性能のテストを行ったが、
これらにまったく問題はなかった。
【0032】また、製造工程の違いによる影響を調べる
ため、ディップコート法(浸漬塗布法)の円筒体とスプ
レーコート法の円筒体の2種類の定着用円筒体を定着ロ
ーラとして用いて、製造工程の違いによる定着ローラ径
の“ばらつき”と回転時におけるローラの“振れ”につ
いて実験を行った。この結果、ディップコート法の定着
ローラもスプレーコート法の定着ローラも研磨工程があ
るため、0.05mmのロール振れがあり、この振れに
よるニップ幅の変動は±0.1mm以下の変化となっ
た。この振れによっては、紙皺、装置の振動、紙の送行
性に影響はないことが判明した。
【0033】(第2の実施例)次に、中子の形状を改良
して、塗布時には中子の仮想外径を大きくして、円筒体
と中子の間に隙間をなくし、更に、円筒体内面側から圧
力をかける状態となるようにする実施例を、第2の実施
例として説明する。第2の実施例では、円筒体の中に挿
入する中子の形状を3分割して、円筒体の中に中子を挿
入した後に、中子の少なくとも1端に対し、凸状くさび
部材を挿入して、中子のいわゆる仮想円周を大きくでき
るようにする。これにより、薄肉円筒体の内面側から適
度な圧力を加えることができ、薄肉円筒体は円筒体自体
は薄肉であるにもかかわらず、あたかも厚肉の部材であ
るかのごとく剛性を高くできる。
【0034】図4は、改良した中子により円筒体を支持
する様子を説明する図であり、図5は、改良した中子の
仮想外径を大きくする様子を説明する図である。図4お
よび図5に示すように、改良された中子4は、軸方向に
略平行に3分割されており、3分割された中子4が、円
筒体1の中に挿入される。そして、円筒体1の中に中子
4を挿入した後に、中子4の両端から凸状くさび部材3
を入れて、3分割された中子4の各部材が押し広げられ
るようにする。これにより、中子4のいわゆる仮想円周
を大きくする。
【0035】もちろん、円筒体1の中に挿入する中子
は、分割されていなくても、図3の表に示したように、
中子2を用いない場合に比較して、格段にコーティング
のしやすさは向上し、製品としての品質も向上するので
あるが、分割されていない時と分割されている時とを比
較した場合、分割された中子4は、分割されていない中
子2に比べて、その円筒体1に対する中子の挿入と抜取
のしやすさが向上する。
【0036】また、中子の仮想外径を大きくする意味で
は、分割は2分割以上であれば、特に問題はない。円筒
体1に挿入された中子4は、第1の実施例の場合と同様
に、軸方向の長さが400mmとするので、両端部が4
0mmずつ円筒体1の端部より外部側へはみだした状態
となる。このはみだした露出部を握り手6として、前述
の場合と同様に、各作業工程で利用すれば、コーティン
グする際に、直接に円筒体1に触れることがなく、製品
の仕上がり品質は格段によくなる。
【0037】改良された中子4は、図5に示すように、
断面形状として、いわゆる割形がはいっている状態とな
っている。円筒体1に挿入と抜取時には、図5の上部側
に示すように、分割された中子4の各部材5を束ねた形
状で行うため、中子4の外径が小さくなり、その時の作
業性はよい。また、一旦、円筒体1に中子4を挿入した
後、高分子材料を円筒体1にコーティングする際は、凸
状くさび部材3を入れて、図5の下部側に示すように、
わずかに隙間8を空けて仮想外径7を大きくする。この
時は、当然ながら仮想外径は、円筒体1の内径と同等と
なる。
【0038】すなわち、円筒体1の内径より中子4の外
形が小さいままでは、前述したように、塗布時の圧力に
より円筒体にへこみが生じたり、ぬりむらが生じる原因
となるので、そこで、第2の実施例では、図4および図
5に示すように、中子4の軸中央部の中空状態となって
いる部分に対して、ここに外部から凸状くさび部材3入
れる(挿入する)ことにより、中子4の仮想外径を大き
くする。これにより、円筒体1には内面から適度な圧力
がかかり、しっかりと保持されることから、外部からの
高分子材料の塗布作業の向上が可能となる。
【0039】なお、このとき、円筒体1の挿入時の中子
4の仮想外径7は、円筒体1の内径よりも2mm小さい
状態である。その後、凸状くさび部材3を挿入し、仮想
外径7を大きくした時は、当然ながら、円筒体内径とほ
ぼ同じとなる。
【0040】このようにして、中子4により円筒体1の
剛性を高めた状態で、円筒体1の外周面に高分子材料の
物質の四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエ
ーテル樹脂(以下、PFAと称する)を塗布する。前述
の第1の実施例の場合と同様に、円筒体1の外面を脱脂
処理を行い、プライマー(商品名:902BN、デュポ
ン社製)塗布し、焼成処理(100℃で15分間)を行
った後、室温にて、PFAエナメル(商品名:500C
L、デュポン社製)を、スプレーコート法により円筒体
1の外面に塗布した。この際、膜厚は平均20μmとな
るべく、コーティングを調整した。
【0041】その後、温度300℃で10分間、更に、
380℃で20分間、オーブンで加熱焼成させた。な
お、一連のコーティングの作業工程においては、円筒体
1に中子4は挿入されたままとし、全ての作業が終了し
た後、端部に支持されている凸状くさび部材3を抜き、
中子4の仮想外径を小さくした後に、中子4そのものを
抜き取る。
【0042】このようにして製造された円筒体1を熱定
着方式の定着ローラとして、電子写真定着装置に実装
し、その定着性能、用紙剥離性能のテストを行ったがこ
れらにまったく問題はなかった。
【0043】また、第1の実施例の場合と同様にして、
製造工程の違いによる影響を調べるため、ここでもディ
ップコート法(浸漬塗布法)の円筒体とスプレーコート
法の円筒体の2種類の定着用円筒体を定着ローラとして
用いて、製造工程の違いによる定着ローラ径の“ばらつ
き”と回転時におけるローラの“振れ”について実験を
行った。この結果、ディップコート法の定着ローラもス
プレーコート法の定着ローラも、研磨行程があるため、
0.05mmのロール振れがあり、この振れによるニッ
プ幅の変動は±0.1mm以下の変化となった。この振
れによって、紙皺、装置の振動、紙の送行性に影響はな
いことが判明した。
【0044】また、例えば、第1の実施例で説明したフ
ッ素ゴムをディップコート法によりコーティングする際
の中子2を、この第2の実施例で説明した方法の中子4
に替えて、上記と同様な方法により装着し、薄肉円筒体
への塗布を行ったが、製造工程、製品仕上がりには、問
題はまったくなかった。
【0045】なお、このようにして製造された円筒体の
ローラは、定着ローラとして使用されるだけではなく、
加圧ローラあるいは用紙搬送ローラ、その他の弾性体ロ
ーラとしても使用され得るものである。また、被覆層が
単層のみならず、複数層の例えば2層のシリコーンゴム
やフッ素ゴムとシリコーンゴム、PFAチューブとシリ
コーンゴムなどの構成のローラ製造法にも適用される。
【0046】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の薄肉ロ
ーラの製造方法によれば、高分子材料をコーティングす
る際にスプレー時の塗布液突出圧力や、ディップコート
時における塗布液の抵抗に屈することなく、理想的な塗
布条件のもとに均一で、安定した塗布が可能となる。ま
た、薄肉の円筒体へ高分子材料が容易にしかも精度よく
塗布できるようになり、例えば、製造された薄肉ローラ
を電子写真複写機の定着用ローラとして利用した場合、
熱伝導性の高いものが提供できることから、省エネルギ
ー型のものとなり、また、定着性能、画質も安定したも
電子写真複写機を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は定着ローラとなる薄肉円筒体および当
該薄肉円筒体の内部に挿入する中子を示す斜視図、
【図2】 図2は薄肉円筒体に中子を挿入した状態を示
す斜視図、
【図3】 図3はコーティングの際の円筒体と中子の間
の隙間の大きさの影響を調ベた実験結果を示す図、
【図4】 図4は改良した中子により円筒体を支持する
様子を説明する図、
【図5】 図5は改良した中子の仮想外径を大きくする
様子を説明するである。
【符号の説明】
1は薄肉円筒体、2は中子、3は凸状くさび部材、4は
改良された中子、5は中子各部材、6は端部の握り手、
7は仮想外径、8は隙間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小俣 誠 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒の内径が全長にわたって略均一な薄
    肉円筒体の内部に当接して該円筒体を内面側から支持す
    る中子を挿入し、 該円筒体外面に高分子材料を形成し、 該高分子材料が円筒体外面に形成された後に前記中子を
    抜取することを特徴とする薄肉ローラの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の薄肉ローラの製造方法
    において、 前記円筒体に挿入する中子の外面と当該円筒体の内面と
    の最大間隙は、40μm〜250μmであることを特徴
    とする薄肉ローラの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の薄肉ローラの製造方法
    において、 前記円筒体を内面側から支持する中子を挿入した状態で
    当該円筒体の外面に高分子材料をスプレーコーティング
    し、 該高分子材料が硬化した後に中子を抜取することを特徴
    とする薄肉ローラの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の薄肉ローラの製造方法
    において、 前記円筒体を内面側から支持する中子を挿入した状態で
    当該円筒体の外面に高分子材料をディップコーティング
    し、 該高分子材料が硬化した後に中子を抜取することを特徴
    とする薄肉ローラの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の薄肉ローラの製造方法
    において、 前記中子は、中空状で軸方向に略平行に2分割以上に分
    かれた部材であり、 前記円筒体の内部に前記中子を挿入の後に当該中子の軸
    方向中心部の中空の端部の穴部から凸状くさび部材を挿
    入し、中子の仮想円周を大きくして前記円筒体に内部か
    ら圧力を与え、前記円筒体を内面側から支持することを
    特徴とする薄肉ローラの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の薄肉ローラの製造方法
    において、 前記中子は薄肉円筒体の軸長より長く、少なくとも一方
    の軸端部により薄肉円筒体を支持できる支持部材である
    ことを特徴とした薄肉ローラの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009056637A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Arai Pump Mfg Co Ltd ローラの製造方法
US20220128131A1 (en) * 2018-12-04 2022-04-28 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Damper device for a wrap-around means of a wrap-around transmission

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