JP2009051800A - フェニルエステル及びリチウム二次電池用非水電解液並びにそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物、および非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、カルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物を非水電解液に対して0.01〜10重量%含有することを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液、並びに該非水電解液を含むことを特徴とするリチウム二次電池である。
【選択図】 なし
Description
リチウム二次電池の負極としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵および放出可能な金属化合物(金属単体、酸化物、リチウムとの合金など)、炭素材料が知られている。特に、炭素材料のうち、例えばコークス、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)等のリチウムを吸蔵・放出することが可能な炭素材料を用いた非水系電解液二次電池が広く実用化されている。中でも、天然黒鉛や人造黒鉛等の高結晶化した炭素材料を用いたリチウム二次電池は、非水電解液溶媒として用いられているECやPCなどが、充放電を繰り返す間に負極表面で一部電気化学的還元分解を生じて、電池性能の低下をもたらすことが知られている。
更に、リチウム金属,炭素材料以外の負極材料として、スズあるいはケイ素などを用いた負極が検討されている。しかしながら、リチウムを吸蔵したスズ合金あるいはケイ素合金は活性が高いため、電解液中の炭酸エステルが分解されてしまい、しかも吸蔵されたリチウムが不活性化されてしまうという問題があった。
一方、正極として、例えばLiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiFePO4等を用いたリチウム二次電池は、リチウム基準でのリチウムイオンの挿入・脱離に伴う電圧が3.5V以上と高いため、高エネルギー密度の電池が得られる。反面、電圧が高いために、非水電解液中の溶媒が充電状態で高温になった場合に、局部的に一部酸化分解することにより、該分解物が電池性能の低下をもたらす。これは正極材料と非水電解液との界面における電気化学的酸化分解反応に起因するものと考えられる。
上記のとおり、正極や負極上で電解液が分解するとガスが発生し、電池が膨れたり、電解液の分解物が電極に付着することにより、サイクル特性をはじめとする電池性能を低下させる一因となる。
そのような状況下、リチウム二次電池が搭載されている電子機器では、電力消費量が増大し、高容量化の一途をたどっており、ますます電解液にとっては分解が起こり易くなる環境にあり、サイクル特性などの電池特性が悪化してしまう問題があった。
すなわち本発明は、下記の(1)〜(3)を提供するものである。
(2)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、カルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物を非水電解液に対して0.01〜10重量%含有することを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
(3)正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池において、該非水電解液中にカルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物を非水電解液に対して0.01〜10重量%含有することを特徴とするリチウム二次電池。
〔カルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物〕
本発明のカルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物は特に限定されないが、具体的には、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、酢酸2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、酢酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、酢酸2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、プロピオン酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、プロピオン酸2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、プロピオン酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、プロピオン酸2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、トリフルオロ酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、トリフルオロ酢酸2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、トリフルオロ酢酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、トリフルオロ酢酸2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、安息香酸2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、安息香酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、安息香酸2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、2−メチル安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、2−メチル安息香酸2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、2−メチル安息香酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、2−メチル安息香酸2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、3−メチル安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、3−メチル安息香酸2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、3−メチル安息香酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、3−メチル安息香酸2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、4−メチル安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、4−メチル安息香酸2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、4−メチル安息香酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、4−メチル安息香酸2,5−ジ−tert−ブチルフェニルが好ましい。
アルキルスルホン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物またはアリールスルホン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物のアルキル基またはアリール基としては、メチル基、エチル基、フェニル基、p−トリル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
アルキルスルホン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物またはアリールスルホン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物の2つのtert−ブチル基の置換位置の組み合わせのうち、2,4位、2,6位、3,5位が特に好ましく、2,4位、2,6位が最も好ましい。
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、カルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物を該非水電解液の重量に対して0.01〜10重量%添加されていることを特徴とする。
非水電解液中にカルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物を0.01重量%以上10重量%以下添加すると、負極上に適切な厚みの保護被膜を形成し、非水電解液中の溶媒の電気化学的還元分解を抑制する。一方、正極上にも保護被膜を形成し、非水電解液中の溶媒の電気化学的酸化分解も抑制しているものと推察される。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類、アミド類、リン酸エステル類、スルホン類、ラクトン類、ニトリル類等が挙げられる。
環状カーボネート類としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)等が挙げられる。特に環状カーボネートとして、高誘電率を有するECおよびPCの少なくとも1種を使用することが、電解液の電導度を向上させることができ好ましく、さらにVC、VEC、FECの少なくとも1種と併用するとサイクル特性が向上するので好ましい。これらの溶媒は1種類で使用してもよいが、2種類〜4種類組み合わせるとサイクル特性が向上するので好ましい。環状カーボネートの含有量は、非水溶媒の総容量に対して、10容量%〜40容量%の範囲で用いるのが好ましい。含有量が10容量%未満であると電解液の電気伝導度が低下し、サイクル特性が低下する傾向があり、40容量%を超えると電解液の粘度が上昇し、サイクル特性が低下する傾向があるので上記範囲であることが好ましい。
鎖状カーボネート類としては、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等の対称鎖状カーボネートが挙げられ、特に非対称カーボネートを含むとサイクル特性が向上するので好ましい。これらの溶媒は1種類で使用してもよく、また2種類以上を組み合わせて使用した場合は、サイクル特性が向上するので好ましい。
鎖状カーボネートの含有量は、非水溶媒の総容量に対して、60容量%〜90容量%の範囲で用いるのが好ましい。含有量が60容量%未満であると電解液の粘度が上昇し、サイクル特性が低下する傾向がある。また、90容量%を超えると電解液の電気伝導度が低下し、サイクル特性が低下する傾向があるので上記範囲であることが好ましい。
また、鎖状エステル類としては、プロピオン酸メチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸ブチル、ピバリン酸ヘキシル、ピバリン酸オクチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸エチルメチル、シュウ酸ジエチル等が挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等が挙げられる。アミド類として、ジメチルホルムアミド等、リン酸エステル類としてはリン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル等、スルホン類としてはスルホラン等、ラクトン類としてはγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α−アンゲリカラクトン等、ニトリル類としてはアセトニトリル、スクシノニトリル、アジポニトリル等、S=O結合化合物として、1,3−プロパンスルトン(PS)、エチレンサルファイト、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネート、1,3−ブタンジオールジメタンスルホネート、ジビニルスルホン等を適宜、併用することができる。
環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の割合は、環状カーボネート類:鎖状カーボネート類(容量比)が10:90〜40:60が好ましく、15:85〜35:65がより好ましく、20:80〜30:70が特に好ましい。上記の割合で使用することにより、サイクル特性が向上する。
本発明に使用される電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4などのLi塩、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のアルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のアルキレン鎖を含有するリチウム塩が挙げられる。これらの中でも、特に好ましい電解質塩は、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2である。これらの電解質塩は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら全電解質塩が溶解されて使用される濃度は、前記の非水溶媒に対して、通常0.3M以上が好ましく、0.5M以上がより好ましく、0.7M以上が最も好ましい。またその上限は、2.5M以下が好ましく、2.0M以下がより好ましく、1.5M以下が最も好ましい。
本発明の非水電解液には、芳香族化合物を含有させることにより、過充電時の電池の安全性を確保することができる。かかる芳香族化合物としては、例えば、シクロヘキシルベンゼン、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物(1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン)、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、1,3−ジ−tert−ブチルベンゼン、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、ジフェニルエーテル、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン(o−、m−、p−体)、2,4−ジフルオロアニソール、ターフェニルの部分水素化物(1,2−ジシクロヘキシルベンゼン、2−フェニルビシクロヘキシル、1,2−ジフェニルシクロヘキサン、o−シクロヘキシルビフェニル)が好ましく、該非水電解液の重量に対して0.1〜10重量%添加されていることが好ましい。これらの化合物は、1種類で使用してもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩および該非水電解液の重量に対して0.01〜10重量%のカルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物を溶解することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、正極活物質としては、コバルト、マンガン、ニッケルを含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1−xNixO2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi1/2Mn3/2O4、LiCo0.98Mg0.02O2等が挙げられる。また、LiCoO2とLiMn2O4、LiCoO2とLiNiO2、LiMn2O4とLiNiO2のように併用してもよい。
また、リチウム複合酸化物の一部は他元素で置換してもよく、コバルト、マンガン、ニッケルの一部をSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cu、Bi、Mo、La等の少なくとも1種以上の元素で置換したり、Oの一部をSやFで置換したり、あるいは、これらの他元素を含有する化合物を被覆することもできる。
リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記段落〔0019〕に示した正極活物質と混合して用いることもできる。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵・放出能力において高結晶性の炭素材料を使用することが好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。また、高結晶性の炭素材料は低結晶材料によって被膜されていてもよい。高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において電解液と反応しやすいが、本発明に係るリチウム二次電池では反応を抑制することができる。
スズ、スズ化合物、ケイ素、ケイ素化合物は電池を高容量化できるので好ましい。
負極は、上記の正極の作製と同様な導電剤、結着剤、高沸点溶剤を用いて混練して負極合剤とした後、この負極合剤を集電体の銅箔等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
ジ−tert−ブチルフェノールを溶媒中または無溶媒で、カルボン酸と酸触媒、もしくは塩基触媒、もしくは脱水剤存在下、縮合させる方法。
〔方法2〕
ジ−tert−ブチルフェノールを溶媒中または無溶媒で、酸触媒、もしくは塩基触媒存在下、カルボン酸エステルとエステル交換させる方法。
〔方法3〕
ジ−tert−ブチルフェノールを溶媒中または無溶媒で、塩基存在下、カルボン酸ハライド、またはカルボン酸無水物とエステル化反応させる方法。
〔方法4〕
ジ−tert−ブチルフェノールを溶媒中または無溶媒で、アルカリ金属塩に変換させ、カルボン酸ハライドとエステル化反応させる方法。
また、カルボン酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水カプロン酸、トリフルオロ酢酸無水物、無水安息香酸、トルイル酸無水物などが挙げられる。
2,4−ジ−t−ブチルフェノール10.00g(0.0485mol)、ピリジン4.22g(0.0533mol)、トルエン100gを混合し、トリフルオロ酢酸無水物11.20g(0.0533mol)を6℃〜12℃にて30分かけて滴下した。滴下終了後、25℃にて1時間攪拌した後、ガスクロマトグラフィーにて分析し、2,4−ジ−t−ブチルフェノールの消失を確認した。反応液に水を100mL加え、有機層を分離後、水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、MgSO4乾燥後、濃縮した。得られた残渣を蒸留精製(3torr、88℃)し、トリフルオロ酢酸2,4−ジ−t−ブチルフェニル(無色透明の液体)を7.72g(53%収率)得た。
得られたトリフルオロ酢酸2,4−ジ−t−ブチルフェニルについて、1H−NMR、IR及び質量分析の測定を行い、その構造を確認した。
結果を以下に示す。
(1)1H−NMR(300 MHz, CDCl3):δ=7.5-6.9(m, 3 H), 1.4(s, 9 H), 1.3(s, 9 H)
(2)IR(液膜法): 2966, 1799, 1496, 1365, 1354, 1226, 1182, 1157, 1133, 1118, 880 cm-1
(3)質量分析: MS(EI) m/z(%) = 302(16) [M+], 287(100), 69(16), 57(78), 41(22)
〔実施例1〕
〔電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、さらに添加化合物として酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを非水電解液に対して0.1重量%加え非水電解液を調製した。
LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(正極活物質)を93重量%、アセチレンブラック(導電剤)を3重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を4重量%の割合で混合し、これに1−メチル2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔集電体上に塗布し、乾燥、加圧処理し、16mmφに打ち抜いて正極シートを作製した。人造黒鉛(負極活物質)を95重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、これに1−メチル2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものを銅箔集電体上に塗布し、乾燥、加圧処理し、16mmφに打ち抜いて負極シートを作製した。そして、正極シート、微孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、これを2032型のコイン電池缶内に収め、調整した電解液を注入し、ポリプロピレン製のガスケットを介して蓋をし、かしめて電池を作製した。
得られたコイン電池を用いて、室温(25℃)下、3mAの定電流及び定電圧で、終止電圧4.2Vまで5時間充電し、次に3mAの定電流下、終止電圧2.7Vまで放電し、更に、この充放電を100サイクル繰り返した。100サイクル目の放電容量を測定し、初期放電容量を100%としたときの100サイクル放電容量維持率(%)を下記の式より求めた。容量維持率は88%であった。
容量維持率(%)=(100サイクル後の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを非水電解液に対してそれぞれ1重量%、5重量%、10重量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを添加する代わりにプロピオン酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを非水電解液に対して1重量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを添加する代わりにトリフルオロ酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを非水電解液に対して1重量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを添加する代わりに安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを非水電解液に対して1重量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを添加する代わりに4−メチル安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを非水電解液に対して1重量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを加えなかったことの他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを添加する代わりにp−クレジルアセテートを非水電解液に対して1重量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを添加する代わりに酢酸2,4−ジ−メチルフェニルを非水電解液に対して1重量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを添加する代わりに、それぞれ酢酸2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、酢酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、酢酸2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、を非水電解液に対してそれぞれ1重量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表2に示す。
実施例1において、負極活物質を人造黒鉛に替えてSiを用い、Si(負極活物質)を75質量%、人造黒鉛(導電剤)を10質量%、アセチレンブラック(導電剤)10質量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5質量%の割合で混合し、これに1−メチル2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものを銅箔集電体上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の負極シートを作製したこと、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiBF4を0.05Mの濃度になるように溶解し、さらに酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを非水電解液に対して2質量%加えた他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表23に示す。
実施例12において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiBF4を0.05Mの濃度になるように溶解し、さらに酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを加えなかった他は、実施例12と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表3に示す。
実施例1において、正極活物質をLiCoO2に替えてLiFePO4を用い、LiFePO4(正極活物質)を90質量%、アセチレンブラック(導電剤)5質量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5質量%の割合で混合し、これに1−メチル2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔集電体上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製したこと、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、さらに酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを非水電解液に対して2重量%加えたこと、得られたコイン電池を用いて、室温(25℃)下、2mAの定電流及び定電圧で、終止電圧3.8Vまで5時間充電し、次に2mAの定電流下、終止電圧2.0Vまで放電し、更に、この充放電を100サイクル繰り返した他は、実施例1と同様に非水電解液を調製してコイン電池を作製し、電池特性を測定した。結果を表4に示す。
実施例13において、エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)(容量比)=(28:2:35:35)に調製した非水溶媒に、LiPF6を0.95M、LiN(SO2CF3)2を0.05Mの濃度になるように溶解し、さらに酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルを加えなかったことの他は、実施例13と同様に非水電解液を調製して円筒型電池を作製し、電池特性およびガス発生量を測定した。結果を表4に示す。
また、実施例12と比較例4の対比、実施例13と比較例5の対比から、正極にリチウム含有オリビン型リン酸鉄塩を用いた場合や、負極にSiを用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
Claims (3)
- カルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物として、酢酸3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、トリフルオロ酢酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル。
- 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、カルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物を非水電解液に対して0.01〜10重量%含有することを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
- 正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池において、該非水電解液中にカルボン酸ジ−tert−ブチルフェニル化合物を非水電解液に対して0.01〜10重量%含有することを特徴とするリチウム二次電池。
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