JP2009049681A - スキュー調整回路 - Google Patents

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淳 河野
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Abstract

【課題】リセット動作時に大きな雑音を発生する可変遅延回路を用いたスキュー調整回路において、他の可変遅延回路のリセット動作時の雑音干渉による遅延時間の変動を防ぎ、高集積、低消費電力、高分解能、高精度なスキュー調整回路を実現すること。
【解決手段】リセット動作時に大きな雑音を発生する可変遅延回路を用いたスキュー調整回路において、全ての可変遅延回路の遅延発生動作が終了してから全ての可変遅延回路のリセット動作を行うことを特徴とするもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スキュー調整回路に関し、詳しくは、LSIテストシステムなどで分配伝送される複数系統の信号間におけるタイミング調整に関するものである。
半導体デバイスを被検査デバイス(以下DUTという)として所定の検査信号を与えて検査を行うLSIテストシステムでは、図6に示すように、1つの信号発生器SGから複数のDUTに向けて信号を分配するシェアード構成をとることがある。
このようなLSIテストシステムにおいて、分配信号の最終出力端である各DUTへの分配信号の伝送に注目すると、伝送路TLの物理的な長さの違いなどによる伝送遅延時間の相違が発生して、スキュー(各分配信号間のタイミング差)が生じることがある。このスキューは検査で行う各種処理のタイミング誤差の原因となり正確な検査の妨げとなるため、最終出力端のDUTにおける各分配信号間のタイミングを揃えることが望ましい。そこで、分配信号系統毎に可変遅延回路DLを挿入し、スキューの調整を行っている。
図7は、図6の各部におけるタイミングチャートである。(A)に示す信号発生器SGの出力信号aは、分配信号系統毎に設けられた可変遅延回路DLに分岐入力される。各可変遅延回路DLは、スキューを補正するために分配系毎に設定された所定の遅延時間経過後に、(b)〜(e)に示すようなタイミング関係にある信号b1〜bnを出力する。これにより、最終出力端のDUTには、(f)〜(h)に示すようにタイミングが揃った信号c1〜cnが与えられることになる。
ところで、代表的な可変遅延回路DLとしては、ゲート(バッファ)の遅延時間を利用するものと、ランプ波形を発生してアナログ的に遅延を発生するものとがある。ランプ波形発生方式はゲート遅延方式と比較すると、回路規模が小さく高集積化が可能、遅延発生時に動作する部分が少ないため低消費電力化が可能、遅延設定分解能を微小にでき高分解能化が可能、リニアリティ精度が良いなどの特長がある一方で、ランプ波形への雑音干渉に弱いという弱点もある。
図8はランプ波形発生方式の可変遅延回路DLの一例を示す回路図である。演算増幅器OPはコンパレータとして動作するものであり、反転入力端子には切換スイッチSWを介して初期電圧源Esとディスチャージ電流源Idが接続されるとともに、遅延発生容量Cを介して共通電位点に接続されている。非反転入力端子にはスレッショルド電圧源Ethが接続され、出力端子はフリップフロップFFのリセット端子Rに接続されている。フリップフロップFFのセット端子Sには伝送信号が入力され、フリップフロップFFの出力信号は切換スイッチSWに制御信号として入力されている。伝送信号は、演算増幅器OPの出力端子から出力される。なお、以下の説明では、演算増幅器OPの反転入力端子と遅延発生容量Cと切換スイッチSWの可動接点aとの接続点を「遅延ノード」という。
図9は図8の動作説明図である。切換スイッチSWの可動接点aは、フリップフロップFFのセット端子Sに伝送信号が入力されていない状態では固定接点bに接続され、遅延ノードには初期電圧源Esの出力電圧(初期電圧)が与えられている。
この状態でフリップフロップFFのセット端子Sに伝送信号が入力されると、切換スイッチSWの可動接点aはフリップフロップFFの出力信号に基づいて固定接点cに切り換え接続される。これにより、遅延ノードにディスチャージ電流源Idが接続されて、ランプ波形が発生する。
遅延ノードの電圧がランプ波形にしたがって低下しスレッショルド電圧Ethに到達すると、演算増幅器OPの出力端子には入力信号に対して設定された遅延時間経過後に出力信号が発生する。この出力信号はフリップフロップFFのリセット端子Rに入力される。これにより、切換スイッチSWの可動接点aは再び固定接点bに切り換え接続されて、次の信号入力・遅延発生に備えるため、遅延ノードの電圧を初期電圧に戻すリセット動作を行う。なお、遅延時間の調整には、スレッショルド電圧を調整するものの他、ランプ波形の傾きを調整するものやランプ波形の初期電圧を変更するものなどがある。
たとえば特許文献1に記載された半導体試験装置では、微調整用のデスキュー回路と直列に粗調整用の遅延時間調整回路を挿入し、微調整用のデスキュー回路では調整できない粗レベルの伝播遅延時間を調整するために、粗調整用の遅延時間調整回路の可変遅延量の単位時間を大きく設定している。
特許文献1の半導体試験装置では、デスキューに先立って時間測定器で伝播遅延時間が最も遅いピンを探し、その遅延時間と他のピンの遅延時間とを比較して、他のピンの遅延時間を最も遅いピンの遅延時間に合わせ込む粗調整を行っている。そして、その後デスキューによる微調整を行っている。
特開2000−206212号公報(図1)
図10は、図8の可変遅延回路DLを図6の各可変遅延回路として用いる場合の簡略回路図であり、可変遅延回路A,Bを例示している。これら可変遅延回路A,Bのリセット動作は、次の信号入力時までに遅延ノードを初期電圧値に戻しておく必要があるため、高速に行われる。
前述のように遅延ノードにはランプ波形を発生させるために比較的大きな遅延発生容量Cが接続されているので、リセット動作はこの遅延発生容量Cの端子電圧を瞬時に変化させて大きな微分電流を発生させ、電源やグランド配線などに大きな雑音を発生させることになる。
しかし、図10における各可変遅延回路A,Bの遅延時間の設定は異なるため、遅延ノードのリセット動作は必ずしも同時には起こらない。この結果、たとえば図11のタイミングチャートに示すように、遅延設定が小さい可変遅延回路Aのリセット動作は、遅延設定が大きい可変遅延回路Bが遅延ノードでランプ波形Bを発生している最中、すなわち遅延時間発生中に起こることになる。
ランプ波形は遅延発生容量Cのチャージあるいはディスチャージにより発生するため、遅延発生容量Cに雑音電荷が印加されたり、チャージあるいはディスチャージ用の電流源Idに雑音が印加されると、ランプ波形が変化して遅延時間が変動してしまう。前述したように可変遅延回路のリセット動作は大きな雑音を発生するため、図11に示すように可変遅延回路Bのランプ波形B発生中に可変遅延回路Aがリセット動作を起こすと、その雑音により可変遅延回路Bのランプ波形Bが変化し、可変遅延回路Bの遅延時間が変動してしまうことになる。
本発明は、このような従来の問題点に着目したものであって、その目的は、ランプ波形発生方式のようなリセット動作時に大きな雑音を発生する可変遅延回路を用いたスキュー調整回路において、他の可変遅延回路のリセット動作時の雑音干渉による遅延時間の変動を防ぎ、高集積、低消費電力、高分解能、高精度なスキュー調整回路を実現することにある。
このような課題を達成する請求項1の発明は、リセット動作時に大きな雑音を発生する可変遅延回路を用いたスキュー調整回路において、全ての可変遅延回路の遅延発生動作が終了してから全ての可変遅延回路のリセット動作を行うことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載のスキュー調整回路において、前記全ての可変遅延回路出力の論理積を前記リセット動作のリセット信号とすることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載のスキュー調整回路において、遅延設定の最も大きい可変遅延回路の出力を前記リセット動作のリセット信号とすることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のスキュー調整回路において、前記可変遅延回路は、ランプ波形電圧が所定のスレッショルド電圧に到達することにより遅延信号を出力するランプ波形発生方式で構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4記載のスキュー調整回路において、前記スレッショルド電圧を変化させて遅延時間を変化させることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5記載のスキュー調整回路において、遅延発生用コンパレータとリセット用コンパレータを設け、リセット用コンパレータのスレッショルド電圧を全ての可変遅延回路の遅延設定最大値以上の遅延時間となるように設定することを特徴とする。
これらにより、リセット動作時に大きな雑音を発生する可変遅延回路を用いたスキュー調整回路において、他の可変遅延回路のリセット動作時の雑音干渉による遅延時間の変動を防ぎ、高集積、低消費電力、高分解能、高精度なスキュー調整回路を実現できる。
以下、本発明について、図面を用いて説明する。図1は本発明に基づくスキュー調整回路の具体例を示す回路図であり、図10と共通する部分には同一の符号を付けている。図1と図10の相違点は、各可変遅延回路A,Bをリセット動作させるためのリセット信号系統にある。すなわち、図10では各可変遅延回路A,Bをリセット動作させるためのリセット信号として、それぞれの遅延信号出力をそれぞれのフリップフロップのリセット端子Rに帰還入力している。これに対し、図1では、各可変遅延回路A,Bを含む全ての可変遅延回路の遅延信号出力が入力されているアンドゲートANDの論理積出力を前記リセット動作のリセット信号として、それぞれのフリップフロップのリセット端子Rに共通に帰還入力している。
図2は図1の動作説明図である。各可変遅延回路A,Bのフリップフロップのセット端子Sに伝送信号が入力されることにより、各可変遅延回路A,Bのランプ波形発生器はそれぞれランプ波形A,Bを発生する。これらランプ波形A,Bの電圧が各可変遅延回路A,Bに設定されているスレッショルド電圧EthA,EthBに到達することにより、各可変遅延回路A,Bのコンパレータから出力信号が出力される。
すなわち、可変遅延回路Aの出力信号は可変遅延回路Aのランプ波形Aが可変遅延回路Aのスレッショルド電圧EthAに到達することにより出力され、可変遅延回路Bの出力信号は可変遅延回路Bのランプ波形Bが可変遅延回路Bのスレッショルド電圧EthBに到達することにより出力される。これにより、可変遅延回路Aの出力信号はスレッショルド電圧EthAに対応した遅延時間経過後に出力され、可変遅延回路Bの出力信号はスレッショルド電圧EthBに対応した遅延時間経過後に出力されることになる。図2の例では、可変遅延回路Aの遅延時間は可変遅延回路Bの遅延時間よりも短く設定されている。
これら可変遅延回路A,Bの出力信号は、それぞれのフリップフロップのリセット端子Rにリセット信号が入力されるまで保持される。図1の構成では、リセット信号として、各可変遅延回路A,Bを含む全ての可変遅延回路の遅延信号出力が入力されるアンドゲートANDの論理積出力を用いている。すなわち、全ての可変遅延回路の出力信号が出揃ってから、全ての可変遅延回路に対して同時にリセット動作が行われることになる。
したがって、リセット動作の雑音は設定されている遅延時間の経過後に発生することになり、他の可変遅延回路のリセット動作時の雑音干渉によって遅延時間が変動することはなく、高集積、低消費電力、高分解能、高精度なスキュー調整回路を実現できる。
図3は本発明の他の実施例を示す回路図であり、図1のアンドゲートANDの代わりにマルチプレクサMUXを使用している。マルチプレクサMUXは、全可変遅延回路の中から設定遅延時間の最も大きい可変遅延回路の出力を選択し、全可変遅延回路のリセット信号としてそれぞれのフリップフロップのリセット端子Rに共通に帰還入力している。これにより、図1の構成と同様の効果を得ることができる
図4も本発明の他の実施例を示す回路図であり、各可変遅延回路A,Bを含む全ての可変遅延回路に、遅延発生用コンパレータとリセット用コンパレータを設けたものである。
図5は図4の動作説明図である。各可変遅延回路A,Bの遅延時間の設定にあたり、所望の遅延時間になるようにそれぞれの遅延発生用コンパレータのスレッショルド電圧を調整する。リセット信号の設定にあたっては、各可変遅延回路A,Bのリセット用コンパレータのスレッショルド電圧を、全可変遅延回路の遅延設定最大値以上の遅延時間となるように設定する。これにより、図1や図3と同様の効果を得ることができる
なお、上記実施例では、可変遅延回路がランプ波形発生方式で構成されている例について説明したが、本発明はリセット動作時に大きな雑音を発生する他の方式を用いた可変遅延回路にも適用することにより、リセット動作時の雑音干渉を防止できる。
以上説明したように、本発明によれば、リセット動作時に大きな雑音を発生する可変遅延回路を用いたスキュー調整回路において、他の可変遅延回路のリセット動作時の雑音干渉による遅延時間の変動を防ぎ、高集積、低消費電力、高分解能、高精度なスキュー調整回路を実現でき、LSIテストシステムなどで分配伝送される複数系統の信号間におけるタイミング調整に好適である。
本発明に基づくスキュー調整回路の具体例を示す回路図である。 図1の動作説明図である。 本発明の他の実施例を示す回路図である。 本発明の他の実施例を示す回路図である。 図4の動作説明図である。 従来のLSIテストシステムにおける複数のDUTへの信号分配例を示すブロック図である。 図6の各部におけるタイミングチャートである。 ランプ波形発生方式の可変遅延回路DLの一例を示す回路図である。 図8の動作説明図である。 図8の可変遅延回路DLを図6の各可変遅延回路として用いる場合の簡略回路図である。 図10の動作説明図である。
符号の説明
DL 可変遅延回路
OP 演算増幅器
SW 切換スイッチ
C 遅延発生容量
Id ディスチャージ電流源
FF フリップフロップ
Es 初期電圧源
Eth スレッショルド電圧源

Claims (6)

  1. リセット動作時に大きな雑音を発生する可変遅延回路を用いたスキュー調整回路において、
    全ての可変遅延回路の遅延発生動作が終了してから全ての可変遅延回路のリセット動作を行うことを特徴とするスキュー調整回路。
  2. 前記全ての可変遅延回路出力の論理積を前記リセット動作のリセット信号とすることを特徴とする請求項1記載のスキュー調整回路。
  3. 遅延設定の最も大きい可変遅延回路の出力を前記リセット動作のリセット信号とすることを特徴とする請求項1記載のスキュー調整回路。
  4. 前記可変遅延回路は、ランプ波形電圧が所定のスレッショルド電圧に到達することにより遅延信号を出力するランプ波形発生方式で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスキュー調整回路。
  5. 前記スレッショルド電圧を変化させて遅延時間を変化させることを特徴とする請求項4記載のスキュー調整回路。
  6. 遅延発生用コンパレータとリセット用コンパレータを設け、リセット用コンパレータのスレッショルド電圧を全ての可変遅延回路の遅延設定最大値以上の遅延時間となるように設定することを特徴とする請求項5記載のスキュー調整回路。
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