JP2009047220A - オートテンショナ - Google Patents

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Tomoyoshi Izutsu
智善 井筒
Tadahisa Tanaka
唯久 田中
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NTN Corp
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Abstract

【課題】部品点数が少なく、ダンピング性能が安定したオートテンショナを提供する。
【解決手段】シリンダ10内に作動油を溜め、シリンダ10の底9に形成したスリーブ嵌合凹部12にスリーブ11の下部外周を嵌め合わせ、スリーブ11内にロッド13を摺動可能に挿入してシリンダ10内を圧力室14とリザーバ室15に区画し、スリーブ11とロッド13の摺動面間に形成されるリーク隙間23を介して圧力室14とリザーバ室15を連通し、圧力室14の容積を拡大する方向にロッド13を付勢するリターンスプリング17を設け、スリーブ嵌合凹部12とスリーブ11の嵌合面間に油通路24を形成し、シールリング28をスリーブ11の下部内周に軸方向に摺動可能に設け、そのシールリング28で油通路24の圧力室14側の端部を開閉可能とし、シールリング28の内周に、周方向に間隔をおいて多数の切欠き32を形成した構成をオートテンショナに採用する。
【選択図】図2

Description

この発明は、オルタネータ等の自動車補機を駆動するベルトの張力保持に用いられるオートテンショナに関する。
自動車の補機、たとえばオルタネータやカーエアコンやウォータポンプなどは、その回転軸がエンジンのクランクシャフトにベルトで連結されており、そのベルトを介してエンジンで駆動される。このベルトの張力を適正範囲に保つために、一般に、支点軸を中心として揺動可能に設けたプーリアームと、そのプーリアームに回転可能に取り付けたテンションプーリと、そのテンションプーリをベルトに押さえ付ける方向にプーリアームを付勢するオートテンショナとからなる張力調整装置が使用される。
この張力調整装置に組み込まれるオートテンショナとして、下部に底を有するシリンダ内に作動油を溜め、そのシリンダの底に形成したスリーブ嵌合凹部にスリーブの下部外周を嵌め合わせ、そのスリーブ内にロッドを軸方向に摺動可能に挿入してシリンダ内を圧力室とリザーバ室に区画し、そのロッドを、前記圧力室の容積を拡大する方向にリターンスプリングで付勢したものが知られている(特許文献1)。
このオートテンショナは、リターンスプリングの付勢力がベルトの張力とつり合う位置までロッドが移動することにより、ベルトの張力変動を吸収し、ベルトの張力を適正範囲に保つ。
また、圧力室とリザーバ室は、スリーブとロッドの摺動面間に形成されるリーク隙間を介して連通しており、圧力室の容積が縮小する方向にロッドが移動すると、圧力室内の作動油がリーク隙間を通って流出する。このとき、リーク隙間を流れる作動油の流量が制限されてダンピング効果が生じるので、ロッドがゆっくりと移動し、ベルトを安定した状態に保つ。
また、このオートテンショナは、スリーブ嵌合凹部とスリーブの嵌合面間に、圧力室の下部とリザーバ室の下部を連通する油通路が形成されており、スリーブの下部に、油通路のリザーバ室側から圧力室側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブが組み込まれている。そのため、このオートテンショナは、圧力室の容積が拡大する方向にはロッドが速やかに移動し、ベルトの弛みを迅速に吸収する。
特表2000−504395号公報
しかし、このオートテンショナは、前記チェックバルブが、スリーブの下部内周に圧入したバルブシートと、そのバルブシートの上面に形成された弁孔を閉鎖可能なチェックボールと、そのチェックボールの上方への移動範囲を規制するリテーナと、チェックボールをバルブシートに向けて付勢するバルブスプリングとからなり、チェックバルブの部品点数が多い。
そこで、この発明の発明者は、チェックバルブの部品点数を抑えるため、周方向に対向する合い口を有するシールリングを前記スリーブの下部内周に軸方向に摺動可能に設け、そのシールリングで前記油通路の圧力室側の端部を開閉するようにしたオートテンショナを考案した。
このオートテンショナは、圧力室の圧力がリザーバ室の圧力よりも低くなると、その圧力差によりシールリングが上方に移動して、前記油通路の圧力室側の端部を開放し、一方、圧力室の圧力がリザーバ室の圧力よりも高くなると、その圧力差によりシールリングが下方に移動して、前記油通路の圧力室側の端部を閉鎖する。このように、このオートテンショナは、シールリングがチェックバルブの弁体として機能し、そのシールリングで油通路の圧力室側の端部を直接閉鎖するので、バルブシートに相当する部品をスリーブの下部に組み込む必要がなく、部品点数が少ない。
また、このオートテンショナは、合い口の隙間変化によってシールリングが拡径可能となっており、シールリングが油通路の圧力室側の端部を閉鎖したときに、圧力室の圧力によりシールリングが拡径してスリーブの内周に密着し、シールリングとスリーブの摺動面間をシールするようになっている。
このシールを確実に行なうには、シールリングを小さい圧力で拡径するようにすればよく、その方法として、柔らかい材料でシールリングを形成することが考えられる。しかし、柔らかい材料でシールリングを形成すると、圧力室の圧力が高圧になったときに、シールリングが軸方向にも変形して、油通路を完全に閉鎖することができなくなり、オートテンショナのダンピング性能が不安定となるおそれがある。
この発明が解決しようとする課題は、部品点数が少なく、ダンピング性能が安定したオートテンショナを提供することである。
上記の課題を解決するために、上記シールリングの内周に、周方向に間隔をおいて多数の切欠きを形成した。
このオートテンショナは、次の構成を加えることができる。
1)前記シールリングの周方向に対向する合い口のうちの一方の合い口は、合い口の外径側上部を、合い口の内径側部分よりも周方向に突出した凸状とし、合い口の外径側下部を、合い口の内径側部分よりも周方向に後退した凹状とし、他方の合い口は、前記一方の合い口と組み合うように、合い口の外径側上部を、合い口の内径側部分よりも周方向に後退した凹状とし、合い口の外径側下部を、合い口の内径側部分よりも周方向に突出した凸状とする。
2)前記シールリングを樹脂の射出成形により形成する。
3)前記各切欠きを周方向に一定の間隔をおいて設ける。
4)前記シールリングがポリエーテルエーテルケトンからなる。
5)前記シールリングがフッ素系樹脂からなる。
この発明のオートテンショナは、シールリングの内周に、周方向に間隔をおいて多数の切欠きを形成しているので、硬い材料でシールリングを形成した場合にも、シールリングを小さい圧力で拡径させることができる。そのため、このオートテンショナは、圧力室の圧力が高圧になったときに、確実に油通路を閉鎖することができ、安定したダンピング性能を示す。
図1、図2に、自動車補機を駆動するベルトの張力調整装置を示す。この張力調整装置は、ベルト1に接触するテンションプーリ2と、テンションプーリ2を回転可能に支持するプーリアーム3とを有し、プーリアーム3は、図2に示すエンジンブロック4に固定した支点軸5に揺動可能に支持されている。
プーリアーム3には、この発明の実施形態に係るオートテンショナ6の一端が連結軸7を中心として回転可能に連結され、オートテンショナ6の他端は、エンジンブロック4に固定した連結軸8に回転可能に連結されている。オートテンショナ6は、プーリアーム3を付勢してテンションプーリ2をベルト1に押さえ付けている。
図2に示すように、オートテンショナ6は、下部に底9を有するシリンダ10内に作動油が溜められている。シリンダ10内には、シリンダ10と同軸にスリーブ11が挿入され、シリンダ10の底9に形成されたスリーブ嵌合凹部12にスリーブ11の下部外周が嵌め合わされている。スリーブ11内には、ロッド13が軸方向に摺動可能に挿入されており、スリーブ11とロッド13によって、シリンダ10内が圧力室14とリザーバ室15に区画されている。
ロッド13の上部には、ばね座16が固定されている。ばね座16とシリンダ10の底9との間にはリターンスプリング17が組み込まれ、リターンスプリング17は、圧力室14の容積を拡大する方向にロッド13を付勢している。ばね座16には、シリンダ10の上部内周に設けた環状のシール部材18に摺動可能に接触する筒状のスカート19が設けられ、これにより、シリンダ10内の作動油が密封されている。
ロッド13の下部外周には、周方向に連続する溝20が形成され、その溝20に、C形リング状の止め輪21が嵌め込まれている。また、スリーブ11の内周には、リザーバ室15側を小径とする段部22が形成されており、圧力室14の容積を拡大する方向にロッド13が移動したときに止め輪21が段部22に係止し、その係止によって、ロッド13がスリーブ11から抜け止めされるようになっている。
スリーブ11とロッド13の摺動面間には、圧力室14とリザーバ室15を連通するリーク隙間23が形成されている。
スリーブ嵌合凹部12とスリーブ11の嵌合面間には、図3、図4に示すように圧力室14の下部とリザーバ室15の下部を連通する油通路24が形成されている。油通路24は、スリーブ嵌合凹部12に形成された柱状突起25の外周とスリーブ11の内周との間に形成された円環状の隙間26と、スリーブ嵌合凹部12の内周に形成された軸方向の溝27とからなり、油通路24の圧力室14側の端部は、スリーブ11の内周に沿って円環状に開口している。
スリーブ11の下部内周には、シールリング28が軸方向に摺動可能に設けられており、そのシールリング28で、油通路24の圧力室14側の端部を開閉可能となっている。また、スリーブ11の内周には、下側を大径とする段部29が形成されており、その段部29によって、シールリング28の上方への移動範囲を規制するようになっている。
シールリング28は、図6に示すように、周方向に対向する合い口30,31を有し、その合い口30,31の隙間変化によって拡径可能となっている。合い口30は、合い口30の外径側上部30aが、合い口30の内径側部分30cよりも周方向に突出した凸状となっており、合い口30の外径側下部30bが、合い口30の内径側部分30cよりも周方向に後退した凹状となっている。また、他方の合い口31は、合い口30と組み合うように、合い口31の外径側上部31aが、合い口31の内径側部分31cよりも周方向に後退した凹状なっており、合い口31の外径側下部31bが、合い口31の内径側部分31cよりも周方向に突出した凸状となっている。また、シールリング28の内周には、周方向に一定の間隔をおいて多数の切欠き32が形成されている。
シールリング28は、樹脂の射出成形によって形成されており、切欠き32は、その射出成形によって形成されている。シールリング28を形成する樹脂は、例えば、ポリエーテルエーテルケトンやフッ素系樹脂を用いることができる。
次に、このオートテンショナ6の動作例を説明する。
ベルト1の張力が大きくなると、その張力が、テンションプーリ2、プーリアーム3、ばね座16を介してロッド13に伝達し、圧力室14の圧力が高まる。圧力室14の圧力がリザーバ室15の圧力よりも高くなると、作動油がリーク隙間23を圧力室14側からリザーバ室15側に流れる。このとき、図3に示すように、圧力室14とリザーバ室15の圧力差によって、シールリング28が下方に移動して油通路24の圧力室14側の端部を閉じるので、油通路24を作動油は流れない。また、圧力室14の圧力によりシールリング28が拡径してスリーブ11の内周に密着し、シールリング28とスリーブ11の摺動面間がシールされる。
このようにして、作動油がリーク隙間23を流れることによりロッド13が下方に移動し、ベルト1の張力とリターンスプリング17の付勢力とがつり合う位置までテンションプーリ2が移動する。このとき、リーク隙間23を流れる作動油の流量が制限されてダンピング効果が生じるので、テンションプーリ2はゆっくりと移動し、ベルト1を安定した状態に保ちながらその緊張を吸収する。
一方、ベルト1の張力が小さくなると、リターンスプリング17の付勢力によってロッド13が上方に移動し、圧力室14の容積が拡大することで、圧力室14の圧力が低くなる。圧力室14の圧力がリザーバ室15の圧力よりも低くなると、図5に示すように、圧力室14とリザーバ室15の圧力差によって、シールリング28が上方に移動して油通路24の圧力室14側の端部を開き、作動油が油通路24をリザーバ室15側から圧力室14側に流れる。このとき、テンションプーリ2は、ベルト1の張力とリターンスプリング17の付勢力とがつり合う位置まで速やかに移動し、ベルト1の弛みを迅速に吸収する。
このオートテンショナ6は、シールリング28が、油通路24のリザーバ室15側から圧力室14側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブの弁体として機能し、そのシールリング28で油通路24の圧力室14側の端部を直接閉鎖するので、バルブシートに相当する部品をスリーブ11の下部に組み込む必要がなく、部品点数が少ない。
また、このオートテンショナ6は、シールリング28の内周に、周方向に間隔をおいて多数の切欠き32を形成しているので、シールリング28が径方向の柔軟性を有し、小さい圧力でシールリング28が拡径する。さらに、このオートテンショナ6は、図6に示すように、シールリング28が切欠き32内に周方向の対向面33,33を有し、その対向面33,33で圧力室14の圧力を受けるので、その圧力によってもシールリング28が拡径する。そのため、このオートテンショナ6は、圧力室14の圧力が高圧になったときに、シールリング28とスリーブ11の摺動面間が確実にシールされ、安定したダンピング性能を示す。
シールリング28の切欠き32は、周方向の間隔が不揃いとなるように設けてもよいが、上記実施形態に示すように、図4に示すように、周方向に一定の間隔をおいて設けると好ましい。このようにすると、シールリング28が均一に拡径するので、シールリング28の外周がスリーブ11の内周に均一に密着し、シールリング28とスリーブ11の摺動面間をより確実にシールすることができる。
この発明の実施形態のオートテンショナを組み込んだ張力調整装置を示す正面図 図1のII−II線に沿った拡大断面図 図2のスリーブの下部近傍の拡大断面図 図3のIV−IV線に沿った断面図 図3のロッドが圧力室の容積を拡大する方向に移動する過程を示す拡大断面図 図3に示すシールリングの斜視図
符号の説明
9 底
10 シリンダ
11 スリーブ
12 スリーブ嵌合凹部
13 ロッド
14 圧力室
15 リザーバ室
17 リターンスプリング
23 リーク隙間
24 油通路
28 シールリング
30 合い口
30a 合い口の外径側上部
30b 合い口の外径側下部
30c 合い口の内径側部分
31 合い口
31a 合い口の外径側上部
31b 合い口の外径側下部
31c 合い口の内径側部分
32 切欠き

Claims (6)

  1. 下部に底(9)を有するシリンダ(10)内に作動油を溜め、そのシリンダ(10)の底(9)に形成したスリーブ嵌合凹部(12)にスリーブ(11)の下部外周を嵌め合わせ、そのスリーブ(11)内にロッド(13)を軸方向に摺動可能に挿入してシリンダ(10)内を圧力室(14)とリザーバ室(15)に区画し、前記スリーブ(11)と前記ロッド(13)の摺動面間に形成されるリーク隙間(23)を介して前記圧力室(14)と前記リザーバ室(15)を連通し、前記圧力室(14)の容積を拡大する方向に前記ロッド(13)を付勢するリターンスプリング(17)を設け、前記スリーブ嵌合凹部(12)と前記スリーブ(11)の嵌合面間に圧力室(14)の下部とリザーバ室(15)の下部を連通する油通路(24)を形成し、周方向に対向する合い口(30,31)を有するシールリング(28)を前記スリーブ(11)の下部内周に軸方向に摺動可能に設け、そのシールリング(28)で前記油通路(24)の圧力室(14)側の端部を開閉可能とし、そのシールリング(28)の内周に、周方向に間隔をおいて多数の切欠き(32)を形成したオートテンショナ。
  2. 前記シールリング(28)の周方向に対向する合い口(30,31)のうちの一方の合い口(30)は、合い口(30)の外径側上部(30a)を、合い口(30)の内径側部分(30c)よりも周方向に突出した凸状とし、合い口(30)の外径側下部(30b)を、合い口(30)の内径側部分(30c)よりも周方向に後退した凹状とし、他方の合い口(31)は、前記一方の合い口(30)と組み合うように、合い口(31)の外径側上部(31a)を、合い口(31)の内径側部分(31c)よりも周方向に後退した凹状とし、合い口(31)の外径側下部(31b)を、合い口(31)の内径側部分(31c)よりも周方向に突出した凸状とした請求項1に記載のオートテンショナ。
  3. 前記シールリング(28)を樹脂の射出成形により形成した請求項1または2に記載のオートテンショナ。
  4. 前記各切欠き(32)を周方向に一定の間隔をおいて設けた請求項1から3のいずれかに記載のオートテンショナ。
  5. 前記シールリング(28)がポリエーテルエーテルケトンからなる請求項1から4のいずれかに記載のオートテンショナ。
  6. 前記シールリング(28)がフッ素系樹脂からなる請求項1から4のいずれかに記載のオートテンショナ。
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