JP2009047202A - 車両用変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンと変速機とを搭載し、シフトマップを用いて変速機制御を行う車両において、シフトアップの変速時の変速ショックを防止して運転フィーリングの悪化を防ぎ、かつ、シフトマップの作成を容易とする。
【解決手段】変速機制御装置の変速段決定手段では、車両の車速とエンジンのアクセル開度とに対応して設定されたシフトマップを用いて変速段を決定する(S2)。変速機制御装置は、変速許可範囲マップを備えており、変速段決定手段で決定された目標変速段が現在の変速段よりも高速段である場合は、車両の加速度を検出し加速度の絶対値が小さいときにシフトアップの変速を実行する(S7〜S9)。シフトアップは、車両加速度が小さく動力伝達系の伝達トルクが小さい時点で実行されるため、変速の際に急激な減速や変速ショックが発生せず、運転フィーリングの悪化を回避することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の変速段を有する変速機を搭載した車両において、車両走行状態に応じて変速段を自動的に制御する変速制御装置に関するものである。
最近の車両では各種の装置の自動化が進展しており、動力伝達装置についても、車両の運転の容易化さらには運転者の疲労軽減のため、種々の自動的な車両用動力伝達装置が開発されている。トルクコンバータと遊星歯車機構を組み合わせた自動変速機がその代表的なものであり、いわゆるオートマ車(AT車)の動力伝達装置として広く普及している。自動変速機以外にも、いわゆるマニュアル車(MT車)と同様な平行軸歯車機構式変速機を使用して、これと自動操作クラッチとを組み合わせ、電子制御装置により車両の走行状態に応じて自動的に変速段を切り換える動力伝達装置が存在する。平行軸歯車機構式変速機を使用して自動的に変速を行う変速装置はAMTと呼ばれることがあり、以下では、この変速装置を「自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機」という。
自動変速機のトルクコンバータには伝達損失が存在し、また、遊星歯車機構及びその制御装置は複雑で高価なものである。自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機は、自動操作クラッチと組み合わされたものでトルクコンバータの介在に伴う伝達損失がないから、自動変速機よりも車両の燃料経済性の面では優れており、変速機構の構成や制御も自動変速機に比べ簡易かつ信頼性の高いものとなる。したがって、積載重量が大きく燃料経済性を重視するトラックなどでは、アクチュエータにより自動的な変速操作を行う自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機を用いる場合が多い。
自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機が搭載された車両の動力伝達装置の概要及び各機器の制御装置の全体的な関連を、図5によって説明する。
図5に示す車両には、動力伝達装置として、エンジン1、変速機(T/M)2が搭載され両者の間にクラッチ3が配置してある。この例のエンジン1は、燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンであり、運転者の操作するアクセルペダルの踏み込み量等に応じて燃料噴射ポンプを制御し、燃料供給量を変更するエンジン制御装置(エンジンECU)11を有している。また、この例の変速機2は、自動変速制御の平行軸歯車機構式の多段変速機であり、変速機制御装置(TMECU)21で制御され変速段を切り換えるギヤシフトユニット(アクチュエータ)22を備えている。変速機2の出力軸は最終的には車輪に連結され、連結軸にはその回転数により車速を検出する車速センサ4が設置される。変速機2の前方に配置されたクラッチ3は、変速段の切り換え時にクラッチを自動的に断接するクラッチアクチュエータ31を有する。
変速機制御装置21は、車両走行状態に対応して変速段を決定する変速段決定手段を備えており、変速段決定手段には、車速とエンジンのアクセル開度(運転者のアクセルペダルの踏み込み量)とにより変速段を決定する、図6に示すようなシフトマップが格納されている。シフトマップは、車速とアクセル開度とに対応する変速段の領域を定めたものであり、車両の走行状態がシフトマップにおける変速点ラインを越えて別の変速段の領域に移行したときは、変速段決定手段が変速指令を出力し、変速機制御装置21は、ギヤシフトユニット22を操作して変速段を変更する。車両走行時における最適な変速点は、低速段から高速段に変更するシフトアップの場合と、高速段から低速段に変更するシフトダウンの場合とでは異なるため、シフトマップには、シフトアップとシフトダウンのそれぞれに対応する変速点ラインが書き込んである。換言すれば、車速とエンジンのアクセル開度とにより決定される目標の変速段の領域は、シフトアップの場合とシフトダウンの場合とで相違するものとなっている。
なお、図5の動力伝達装置は、運転者の操作によるマニュアル運転も可能なように構成されており、マニュアル運転時には、運転者の操作に対応した変速機チェンジレバーの信号が変速機制御装置21に入力され、これに応じて変速機制御装置21がギヤシフトユニット22に指令を出力する。
シフトマップを使用する変速段決定手段は、図5に示すような自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機に限らず、自動変速機でも採用されるものである。例えば、特開昭63−167162号公報には平行軸歯車機構式変速機をシフトマップにより制御する変速制御装置が、また、特開2005−308096号公報には自動変速機をシフトマップにより制御する変速制御装置が開示されている。
特開昭63−167162号公報 特開2005−308096号公報
車両走行中に変速が行われると、エンジンから車輪に到る動力伝達系のギヤ比が変化しトルク変動が発生するので、運転者にトルク変動による変速ショックを与える。自動変速機は、遊星歯車機構に設置された湿式多板クラッチの断続によって変速段を切り換えるものであり、また、動力伝達系に介在するトルクコンバータのトルク増幅作用によりトルク変動がある程度吸収されるので、変速ショックはそれほど大きなものではない。しかし、自動変速機のトルクコンバータは、燃料経済性の向上のため、一定の走行条件に達すると直結(ロックアップ)されてその機能が解除され、この状態では、トルク変動に伴う運転フィーリングの悪化や運転者の違和感が強くなる。
一方、自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機では、変速時の変速ショックが自動変速機よりも大きい傾向にある。平行軸歯車機構式変速機は、よく知られているように、平行に配置された主軸とカウンタ軸に複数の歯車列と噛み合いクラッチとが設けられており、噛み合いクラッチの係合及びその解除により変速段を切り換えるものであって、その際には、エンジンと変速機との間のクラッチが切断され、短時間、エンジン動力の伝達が遮断される。エンジン動力の遮断により車両は減速され、変速後には再加速が行われるため、こうした変速時の挙動は、運転者にいわゆるもたつき感や変速ショックを与え、運転フィーリングの悪化をもたらす。殊に、シフトアップの変速時では運転者はアクセルペダルを踏込んで車両を加速させている場合が多く、シフトアップにおける減速は、運転者により一層のもたつき感等を与える結果となる。このような運転感覚の悪化は「加速抜け(トルク抜け)」と称されている。
前述のシフトマップの変速点は、変速段の切り換えにおける運転フィーリングの悪化を回避することも考慮しながら、車速とエンジンのアクセル開度とにより決定されるものである。例えば、シフトアップの場合の変速点は、変速ショックを防ぐと同時に加速抜けを防ぐようにエンジンのアクセル開度との関係を定めている。しかし、貨物の積載状態によって車両重量が大きく変動するトラックなどでは、車両の加速、減速の様相が車両重量に応じて変化するので、シフトマップの変速点の設定が困難である。変速点を定める作業は多数の実験等を要する作業となり、シフトマップの作成には多大な時間と労力を必要とする。また、車両重量により車両の加速状況が変わるとともに個々の車両には多少なりとも個体差が存在するため、変速ショックを防止する最適な変速点は、シフトマップにおける変速点と必ずしも一致せず、シフトマップを用いた変速制御装置では、運転フィーリングの悪化を回避するのは困難な面がある。
また、シフトマップを使用して変速段を制御する変速機では、運転者の意図に反してシフトアップが実行され、エンジンブレーキによる車両の減速効果が減殺されてしまうことがある。例えば、図6において、アクセルペダルを踏み込んで加速し2速のA点の走行状態にある車両が、カーブに差し掛かったとき減速のために運転者がアクセルペダルから足を離して急激にアクセル開度を低下させた場合には、車両の走行状態が、車速が元のままでアクセル開度が0%であるB点に移る。この過程で2速から3速への変速点ラインを通過するから、変速機制御装置は変速段を3速にシフトアップするが、エンジンブレーキによる減速効果は、車輪からエンジンを逆に駆動するときの抵抗に由来するものであって、3速におけるエンジンブレーキによる制動力は2速のときよりも小さい。その結果、車両の減速が遅れ、運転者の期待する減速効果が得られないこととなる。
本発明は、シフトマップを利用する変速機制御装置において、特に、シフトアップの変速時の変速ショックや加速抜けを防止して運転フィーリングの悪化を防ぎ、かつ、シフトマップの作成を容易とすることを主な課題とする。さらには、運転者の意図に反するようなシフトアップを回避してエンジンブレーキによる制動力を確保することも課題とするものである。
上記の課題に鑑み、本発明は、シフトマップにより変速段を切り換える変速機制御装置において、車両の加速度を検出し加速度が小さい場合にシフトアップの変速を許可するようにして、加速抜け等による運転感覚の悪化を防ぐものである。すなわち、本発明は、
「車両に搭載された変速機の変速段を制御する変速機制御装置であって、
前記変速機制御装置は、前記車両の車速と前記車両に搭載されたエンジンのアクセル開度とに対応して変速段を決定する変速段決定手段を有し、さらに、
前記変速機制御装置は、前記車両の加速度と前記エンジンのアクセル開度とに対応して変速許可範囲を設定する変速許可範囲設定手段を有し、前記変速許可範囲における前記車両の加速度は所定値以下に設定されており、
前記変速段決定手段により決定された変速段が現在の変速段よりも高速段である場合は、前記車両の走行状態が前記変速許可範囲設定手段により設定された前記変速許可範囲内にあるときに、高速段への変速を行う」
ことを特徴とする変速機制御装置となっている。
さらに、請求項2に記載のように、前記車両の走行状態が所定時間以上連続して前記変速許可範囲内にあるときに、高速段への変速を行うようにすることが好ましい。
請求項3に記載のように、前記変速許可範囲においては、変速が行われる前記車両の加速度が、前記エンジンのアクセル開度の増大に応じて増加するように設定することができる。
請求項4に記載のように、本発明は、前記変速機制御装置により変速段の制御を行う平行軸歯車機構式変速機に好適なものである。
本発明の変速機制御装置は、車両の車速とエンジンのアクセル開度とに対応して変速段を決定する変速段決定手段、つまりシフトマップによって変速段を決める変速段決定手段を備え、車両走行時の変速段は、基本的には車速とアクセル開度とに応じて決定される。そして、本発明の変速機制御装置には変速許可範囲を設定する変速許可範囲設定手段が設けられており、変速段決定手段により決定された変速段が現在の変速段よりも高速段である場合は、変速許可範囲であることを条件としてシフトアップの変速を行うようにしている。変速許可範囲は、車両の加速度とアクセル開度とに対応し、かつ、車両の加速度が所定値以下の小さい範囲となるよう設定されているから、運転者がアクセルペダルを踏み込み車両に所定値以上の加速度が生じているときは変速が禁止される。すなわち、シフトアップは、車両加速度が小さく動力伝達系における伝達トルクが小さい時点で実行されるため、変速の際に急激な減速が起こらず、運転者に加速抜けの感覚が生じることはない。エンジン動力の遮断に伴う変速ショックも小さくなるため、運転フィーリングの悪化を回避することができる。
また、本発明の変速機制御装置では、シフトマップを用いて決定された変速段がシフトアップを要するものであっても、実際の変速は、車両の加速度が小さいときに実行されるから、運転フィーリングの悪化防止の観点からシフトマップの変速点を調整する必要はない。そのため、シフトマップの変速点を決定する作業は簡略化され、シフトマップ作成に要する時間と労力が節減可能となる。実際の変速が加速度の小さい時点で実行されることから、車両の個体差あるいは車両重量の変化があったとしても、変速の際の変速ショック等には殆ど影響を与えることはなく、運転フィーリングは悪化しない。
請求項2の発明は、車両の走行状態が所定時間以上連続して変速許可範囲内にあるときに、高速段への変速を行うようにしたものであり、このようにすると、アクセルペダルを急激に開放して車両の走行状態が一時的にシフトアップの領域に移行したときに、運転者の意図しないシフトアップの実行が禁止され、エンジンブレーキの制動効果を確保することが可能である。つまり、アクセルペダルの開放により車両の加速度は瞬時に0となり、その後減速状態(マイナスの加速度)に移るが、加速度が0近傍である期間はごく短く、車両が所定時間以上連続して変速許可範囲内の状態に止まることはない。その結果、車両はアクセルペダルを開放する前の低速段の状態を保ち、十分なエンジンブレーキの制動力により車両の速度は迅速に減少することとなる。
加速度等が所定時間以上連続して変速許可範囲内であることをシフトアップの条件に加えると、検出信号のノイズに起因する不測の変速を防止することもできる。請求項1の本発明の変速機制御装置では、例えば、加速度の検出信号に何らかの原因でノイズが混入し誤って変速許可範囲内であると判断されたときは、加速度が大きい時点で変速が実行される虞れがある。請求項2の発明であれば、ノイズは短時間で消滅して所定時間以上連続することはないから、シフトアップは回避される。
請求項3の発明は、変速許可範囲においては、変速が行われる車両の加速度が、エンジンのアクセル開度の増大に応じて増加するように設定するものである。運転者がアクセルペダルを大きく踏み込んでいる場合は、一般的に、運転者が迅速なシフトアップと車両の加速を望んでいることが多い。請求項3の発明のように、アクセル開度の増大に応じて変速が許可される加速度の範囲を広げると、アクセルペダルの踏み込み量が大きいときに、早めのシフトアップが可能となる。
前述したように、本発明は、シフトマップによって変速段を決める変速段決定手段を備えた変速機制御装置において、車両加速度が小さく車両駆動トルクが小さい時点でシフトアップを実行させるもので、自動変速機にも適用可能であり、この場合にも変速ショックを小さくして運転フィーリングの阻害を防ぐ作用効果を達成できる。また、請求項4の発明のように、本発明を自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機に適用したときは、エンジン動力の遮断に伴う加速抜けによる運転フィーリングの阻害も防止することができる。
以下、図面に基づいて本発明の変速機制御装置の実施例について記述するが、この実施例は、本発明を自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機に適用したものであって、車両の動力伝達装置の基本的な構成及び各機器の作動は、図5に示した従来のものと変わりはない。すなわち、本発明の変速機制御装置は、車両の車速センサ4からの信号とエンジンのアクセル開度(運転者のアクセルペダルの踏み込み量)の信号が入力され、車速とアクセル開度とに対応するシフトマップにより変速段を決定する。変速機制御装置21から変速段の切り換え信号が出力されると、それに応じてギヤシフトユニット22が変速段を変更する。
本発明の変速機制御装置は、シフトアップ時における運転フィーリングの悪化防止等のために、車両加速度等に関し変速許可範囲を設定するものであり、変速機制御装置の構成及び作動について図1のフローチャートにより説明する。
図1において、変速段を決定するフローがスタートすると、ステップS1では、車速センサにより検出される車速Vとアクセルセンサにより検出されるアクセル開度Aとの読み込みが行われる。次いで、ステップS2においては、制御装置に格納されたシフトマップを用い、読み込まれた車速Vとアクセル開度Aとに対応して目標とする変速段が決定される。本発明で使用するシフトマップは、従来の変速機制御装置で使用されるシフトマップと同様なマップであって、シフトアップの変速点ラインとシフトダウンの変速点ラインとが書き込まれている(図3にシフトアップ用のものを示す)。目標とする変速段の領域は、シフトアップ用のシフトマップとシフトダウン用のシフトマップとでは異なるものとなるため、ステップS2では、シフトアップ用の目標変速段Ndとシフトダウン用の目標変速段Nd’とがそれぞれ決定される。ステップS1及びステップS2は、本発明の変速段決定手段を構成するものとなっている。
ステップS3では、車両走行中の実際のギヤ段である現在の変速段Nrが読み込まれ、ステップS4及びステップS5において、変速段決定手段で決定された目標変速段Nd及びNd’と現在の変速段Nrとが比較される。ステップS4では、シフトアップ用の目標変速段Ndが現在の変速段Nrよりも大きいか否か、つまり車両走行状態がシフトアップを要するものか否かが判断される。ステップS4の判断が否である場合には、ステップS5でシフトダウン用の目標変速段Nd’がNrよりも小さいか否かが判断され、Nd’がNrより小さいときはステップS6に進んで変速機制御装置はシフトダウンの指令を出力する。ステップS5の判断が否である場合には、現在の変速段がシフトアップもシフトダウンも必要ない状態にあるので、変速指令を出力せずにフローを終了する。なお、シフトダウンについて許可条件を設定するステップを追加し、それが満足されたときにシフトダウンの指令を発するようにしてもよい。
ステップS4の判断がYesであり、車速Vとアクセル開度Aとに対応して決定されたシフトアップ用の目標変速段Ndが現在の変速段Nrよりも高速段である場合には、本発明の変速機制御装置においては、車両の走行状態がシフトアップの変速に適正な変速許可範囲にあるかどうかを判断する。そのため、ステップS7において、車速センサからの車速信号の微分演算を行い、車両の前後方向の加速度αを求める。ステップS8では、演算された加速度αとステップS1で読み込まれたアクセル開度Aとを用いて、車両の走行状態が変速許可範囲内にあるか否かの判断を実行する。
この実施例における変速許可範囲は、加速度αとアクセル開度Aとに対応した図2に示すような許可範囲マップとして設定されている。シフトアップが許可される範囲は、図2の斜線部分であって、加速度αの値がほぼ0.4m/ss以下で−0.2m/ss以上というような、その絶対値が所定値よりも小さい値の範囲である。車両の走行状態がこの変速許可範囲にある場合はステップS9に進み、変速機制御装置がシフトアップの指令を出力して、変速段は目標変速段Ndに切り換えられる。変速許可範囲にない場合には、シフトアップの指令を出力することなくフローが終了するが、このフローは短い周期で繰り返されるものであり、一定時間後に車両の走行状態が変速許可範囲に入ったときは、その時点でシフトアップが実行されることとなる。
図2に示すとおり、シフトアップが許可される範囲は、加速度αの絶対値が小さい値の範囲であり、車両の速度が殆ど変化しない走行状態に限定される。このような状態では、動力伝達系における車両駆動のための伝達トルクが小さく、シフトアップの際に動力伝達状況が変化しても変速ショックは非常に小さい。したがって、シフトアップに伴う運転フィーリングの悪化が生じることはない。特に、クラッチを切断してシフトアップを実行する自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機においては、エンジン動力が遮断されても急激な減速感が生じることはなく、運転者に加速抜けの感覚は与えない。そして、図2の変速許可範囲は、アクセル開度が一定値を超えたときは、アクセル開度の増大につれてシフトアップが許可される加速度(正の部分)の値が大きくなるよう設定されている。運転者のアクセルペダルの踏み込み量が大きい場合は、運転者が迅速な加速とシフトアップを意図していると判断されるので、シフトアップが許可される加速度の範囲を広げることにより違和感のない運転感覚を実現できる。
また、本発明の変速機制御装置は、シフトマップを用いて変速段を決定するものではあるが、実際の変速は、車両の加速度が小さい範囲で行うものであり、シフトマップのみによってシフトアップが実行されるわけではない。したがって、車両の個体差あるいは車両重量の変化があったとしても、変速の際の変速ショック等には殆ど影響を与えることはなく、運転フィーリングの悪化は生じない。
図3は、本発明の上記実施例で使用されるシフトマップについて、そのシフトアップの変速点ラインを示すものである。変速点ラインは、従来の図6のシフトマップ(図3では従来のシフトアップのラインを2点鎖線で表す)と比較すると、シフトアップを早めに行うもの、つまりシフトアップの変速点が車速の小さい方向に移動したものとなっている。これは、シフトマップにより決定された目標の変速段がシフトアップに相当する場合であっても、実際の変速が変速ショックの少ないときに行われるから、シフトアップを早めても運転フィーリングが悪化しないことを考慮したものである。このように、本発明では、シフトマップの変速点を定めるときに運転フィーリングの悪化防止の観点を重視する必要がないことから、シフトマップ作成に要する時間と労力が節減可能となる。
ところで、シフトマップを使用して変速段を制御する変速機では、減速のために運転者がアクセルペダルから足を離したときにシフトアップが実行され、エンジンブレーキによる車両の減速効果が減殺されてしまう場合がある。図4には、運転者の意図に反するようなシフトアップを回避してエンジンブレーキによる制動力を確保し、かつ、何らかの原因で制御系に混入したノイズに起因する誤操作を防止する制御フローを示す。
図4のフローは、図1のフローのステップS8とS9との間にタイマー回路を設けたものである。このフローでは、ステップS8で変速許可範囲内であると判断されたときは、ステップS81に移行してタイマーを1周期時間だけ進行させ、ステップS82に進む。ステップS82では、タイマーが所定時間(例えば1秒)進行したか否かをチェックし、進行していない場合は処理を終え、所定時間が経過したときにステップS91に進んでシフトアップの指令を出力する。そして、ステップS8において変速許可範囲ではないと判断された場合には、ステップS83に移行してタイマーをクリアする。
図4のフローにより運転者の意図に反するようなシフトアップが回避され、エンジンブレーキによる制動力が確保される点について、図3に基づいて説明する。アクセルペダルを踏み込んで加速し2速のa点の走行状態にある車両が、カーブの手前等で減速のために運転者がアクセルペダルから足を急激に離した場合には、車両の加速度は瞬時に0となり、車両の走行状態は、車速が元のままでアクセル開度が0%であるb点に移る。この過程では、変速許可範囲内であるためステップS8の判断はYesであるが、図4のフローではシフトアップは直ちには実行されない。そして、アクセルペダルの開放により車両は減速を開始し、ステップS82で設定された所定時間が経過する前にその加速度の絶対値が変速許可範囲から外れることになる。そのため、b点が3速の領域にあってもシフトアップの変速は行われず、車両は2速の状態を保ち、十分なエンジンブレーキの制動力により車両の速度は迅速に減少する。
また、図4のフローでは、ノイズの混入に起因してステップS8で変速許可範囲内であると判断されたとしても、ノイズはごく短時間で消滅するからシフトアップが指令されることはなく、加速度の大きい時点等における不測のシフトアップが防止される。
以上詳述したように、本発明は、シフトマップにより変速段を切り換える変速機制御装置において、加速度とエンジンのアクセル開度とに対応して変速許可範囲を設定し、加速度が小さい場合にシフトアップの変速を許可するようにして、加速抜け等による運転感覚の悪化を防ぐものである。よって、本発明の変速機制御装置が、シフトマップを利用する制御装置であれば、自動変速機あるいは自動変速制御の平行軸歯車機構式変速機を問わず適用できることはいうまでもない。また、上記実施例では、変速の許可範囲を図2のように設定しているが、例えば、許可範囲の数値を変更したり、あるいは変速段に対応して複数の許可範囲のマップを使用するなど、上記実施例に対し各種の変更が可能であることは明らかである。
本発明の変速機制御装置の作動を示すフローチャートである。 本発明の変速機制御装置で用いる変速許可範囲のマップを表す図である。 本発明の変速機制御装置で用いるシフトマップを示す図である。 図1のフローチャートの変形例である。 車両における動力伝達装置とその制御装置を示す図である。 従来の変速機制御装置のシフトマップを示す図である。
符号の説明
1 エンジン
2 変速機
21 変速機制御装置
3 クラッチ
31 クラッチ制御装置
4 車速センサ
S1〜S9 制御フローの各ステップ

Claims (4)

  1. 車両に搭載された変速機の変速段を制御する変速機制御装置であって、
    前記変速機制御装置は、前記車両の車速と前記車両に搭載されたエンジンのアクセル開度とに対応して変速段を決定する変速段決定手段を有し、さらに、
    前記変速機制御装置は、前記車両の加速度と前記エンジンのアクセル開度とに対応して変速許可範囲を設定する変速許可範囲設定手段を有し、前記変速許可範囲における前記車両の加速度の絶対値は所定値以下に設定されており、
    前記変速段決定手段により決定された変速段が現在の変速段よりも高速段である場合は、前記車両の走行状態が前記変速許可範囲設定手段により設定された前記変速許可範囲内にあるときに、高速段への変速を行うことを特徴とする変速機制御装置。
  2. 前記変速機制御装置は、前記車両の走行状態が所定時間以上連続して前記変速許可範囲内にあるときに、高速段への変速を行う請求項1に記載の変速機制御装置。
  3. 前記変速許可範囲においては、変速が行われる前記車両の加速度が、前記エンジンのアクセル開度の増大に応じて増加するよう設定された請求項1又は請求項2に記載の変速機制御装置。
  4. 前記変速機が、前記変速機制御装置により変速段の制御を行う平行軸歯車機構式変速機である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の変速機制御装置。
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