JP2003254426A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JP2003254426A JP2003095505A JP2003095505A JP2003254426A JP 2003254426 A JP2003254426 A JP 2003254426A JP 2003095505 A JP2003095505 A JP 2003095505A JP 2003095505 A JP2003095505 A JP 2003095505A JP 2003254426 A JP2003254426 A JP 2003254426A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 減速度に応じた先読み車速に基づく変速を行
う場合において、エンジンブレーキ用摩擦要素の解放遅
れによる変速用摩擦要素の締結ショックを防止する。 【解決手段】 31〜33において、Dレンジで、車速VS
Pが所定値VSPS 未満で、且つ、減速時変速制御条件
が揃っていると判定する時、36で車速検出値VSPより
も、減速度に応じた低車速側の先読み車速VSPINC
チェックして通常減速を判定する。通常減速時なら37に
おいて、Dレンジ用変速線をもとにVSP INC から変速
判断を行うと共に、38においてエンジンブレーキ用摩擦
要素の締結・解放判定を同じくVSPINCにより行う。
つまり先読み車速VSPINCによって変速判断を行う減
速時は、エンジンブレーキ用摩擦要素の締結・解放判定
も先読み車速によって行うため、先読み車速によって変
速判断が早期になされる車両減速時は、エンジンブレー
キ用摩擦要素の締結・解放判定も先読み車速によって同
じく早期になされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機の変速
制御装置に関し、特に、車両の減速時における変速制御
技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機は、例えば日産自動車(株)
が昭和62年3月に発行した「NISSAN RE4R
01A型 フルレンジ電子制御オートマチックトランス
ミッション整備要領書」(A261C07)に記載のよ
うに、運転者がシフトレバーによりマニュアルバルブを
自動変速(D)レンジや、2速エンジンブレーキ(I
I)レンジや、1速エンジンブレーキ(I)レンジのよ
うな前進走行レンジにしている間、クラッチや、ブレー
キ等の複数の変速用摩擦要素を選択的に締結させること
により歯車伝動系の動力伝達経路(変速段)を決定し
て、当該選択変速段で入力軸から出力軸への動力伝達が
可能な状態となり、また、締結する摩擦要素を切り換え
ることにより他の変速段への変速を行うよう構成する。
【0003】ここで選択すべき変速段を決定するに当た
っては通常、上記の文献にも記載されているが、図4〜
図6に例示するような、少なくとも車速VSP(通常
は、これとスロットル開度TVOの組み合わせ)を条件
として予めレンジごとに設定された変速パターン(実線
がアップシフト変速線、破線がダウンシフト変速線)に
基づく変速判断により、選択すべき変速段を決定するの
が常套である。
【0004】ところで、かようにして決定された変速段
への変速に際しては、複数のシフトバルブをストローク
させて油路を切り換え、これにより締結する摩擦要素を
変更することで当該決定変速段への変速を行うことか
ら、変速判断により選択すべき変速段を決定して実際に
この変速段への変速が行われるまでの間に変速応答遅れ
が発生するのを免れない。従って、変速判断は変速線に
より定めた通りのスケジュールでなされるものの、比較
的急な加速や減速を行っている間においては実際の変速
が変速線により定めた車速で行われ得ず当該加減速の状
態により様々に異なってしまい、実際の変速は変速線に
より定めたスケジュール通りに発生せず、運転者に違和
感を与える。
【0005】この傾向は、車速の時間変化割合を大きく
なし得る急減速中において特に顕著となり、上記の違和
感が許容できないほどのものとなる。そこで従来、特開
平3−103661号公報に記載のごとく車両の減速時
は、実車速よりも車両減速度に応じた低車速側の先読み
車速を求め、この先読み車速によって上記の変速線に基
づく変速判断を行うようにした変速制御技術が提案され
た。この変速制御によれば、減速時に変速応答遅れを見
込んで早期に変速判断がなされることとなり、減速に伴
う実際のダウンシフトが、変速線で定めたスケジュール
よりも低車速において発生するのを防止することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで自動変速機
は、エンジンブレーキが必要な時は前記変速用摩擦要素
とは別のエンジンブレーキ用摩擦要素を締結させ、これ
により選択変速段でのエンジンブレーキが得られるよう
にする。そして、当該エンジンブレーキが必要な時の変
速に当たっては、ショック対策上、先ずエンジンブレー
キ用摩擦要素を解放し、その後に変速が行われるよう変
速制御するが、ダウンシフトの時も例外ではない。
【0007】しかして、当該変速時も前記先読み車速に
よる変速判断を行うと、減速に伴うダウンシフトが早期
に行われることから、エンジンブレーキ用摩擦要素が解
放される前に当該ダウンシフトのための変速用摩擦要素
が締結されて、変速ショックが大きくなる可能性があ
る。
【0008】なお特開平9−137883号公報には、
車両の急減速時にエンジンブレーキ用摩擦要素の締結車
速を高める技術が提案されており、かかる従来技術を適
用して、先読み車速による変速判断に基づくダウンシフ
トを行う場合の問題、つまり、エンジンブレーキ用摩擦
要素が解放される前にダウンシフト変速用摩擦要素が締
結されて変速ショックが大きくなるという問題の解消を
図ることが考えられる。
【0009】しかしこの解決策では減速時に、実車速か
ら先読み車速を求める車速の補正が必要である他に、エ
ンジンブレーキ用摩擦要素の締結車速を高めるための補
正操作も別途必要となり、2重の補正が不可欠になって
制御が煩雑になるだけでなく、制御に長時間を要すると
いった問題を生じ、実際的でない。
【0010】請求項1に記載の第1発明は、上記2重の
補正に関する問題を解消した自動変速機の変速制御装置
を提案することを目的とする。
【0011】請求項2に記載の第2発明は、第1発明に
おいて、先読み車速に基づく従来通りの変速判断を可能
にした自動変速機の変速制御装置を提案することを目的
とする。
【0012】請求項3に記載の第3発明は、先読み車速
が許容範囲を超えて低下する弊害をなくした自動変速機
の変速制御装置を提案することを目的とする。
【0013】請求項4に記載の第4発明は、ダウンシフ
ト変速線が高車速側にずれたレンジで先読み車速に基づ
く変速判断を行った場合におけるエンジンの過回転を防
止し得るようにした自動変速機の変速制御装置を提案す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】これら目的のため、先ず
第1発明による自動変速機の変速制御装置は、少なくと
も車速を条件として予め設定された変速線に基づく変速
判断により変速を行うと共に、少なくとも車速を条件と
して予め設定された締結領域マップに基づく締結・解放
判定によりエンジンブレーキ用摩擦要素を適宜締結させ
るようにした自動変速機に用いられ、車両の減速時は、
実車速よりも低車速側の先読み車速によって前記変速線
に基づく変速判断を行うようにした自動変速機の変速制
御装置において、前記先読み車速によって変速判断を行
う減速時は、前記エンジンブレーキ用摩擦要素の締結・
解放判定も先読み車速によって行うよう構成したことを
特徴とするものである。
【0015】更に第2発明による自動変速機の変速制御
装置は、第1発明において、前記先読み車速を車両減速
度に応じて求め、この先読み車速が、実車速から設定値
を差し引いて求めた限界車速以上である通常減速時は、
前記先読み車速に基づいて前記変速判断を行うよう構成
したことを特徴とするものである。
【0016】第3発明による自動変速機の変速制御装置
は、第2発明において、前記車両減速度に応じて求めた
先読み車速が、実車速から設定値を差し引いた限界車速
未満になる急減速時は、実車速から、前記設定値よりも
小さな一定車速を差し引いて求めた先読み車速許容下限
値を前記先読み車速とするよう構成したことを特徴とす
るものである。
【0017】第4発明による自動変速機の変速制御装置
は、第1発明〜第3発明のいずれかにおいて、前記レン
ジのうち、ダウンシフト変速線が高車速側にずれたレン
ジでは、減速時でも前記先読み車速によらず、実車速に
より前記変速判断を行うよう構成したことを特徴とする
ものである。
【0018】
【発明の効果】第1発明において自動変速機は、少なく
とも車速を条件として予め設定された変速線に基づく変
速判断により変速を行うと共に、少なくとも車速を条件
として予め設定された締結領域マップに基づく締結・解
放判定によりエンジンブレーキ用摩擦要素を適宜締結さ
せて選択変速段でのエンジンブレーキを可能し、車両の
減速時は、実車速よりも低車速側の先読み車速によって
上前記変速線に基づく変速判断を行う。
【0019】よって、減速時は変速応答遅れを見込んで
早期に変速判断がなされることとなり、減速に伴う実際
のダウンシフトが、変速線で定めたスケジュールよりも
低車速において発生するのを防止することができる。こ
れがため、車両減速度の如何にかかわらず実際の変速を
常時、変速線により定めたスケジュール通りの車速で変
速を行わせることができ、車両の減速時にその減速程度
に応じ実際の変速が種々の車速で生起するという問題を
回避することができる。
【0020】そして第1発明においては特に、前記先読
み車速によって変速判断を行う減速時は、前記エンジン
ブレーキ用摩擦要素の締結・解放判定も先読み車速によ
って行う。このため、先読み車速によって変速判断が早
期になされる車両減速時は、エンジンブレーキ用摩擦要
素の締結・解放判定も先読み車速によって同じく早期に
なされることとなり、減速に伴うダウンシフトのための
変速用摩擦要素の締結が、当該変速時に変速ショック対
策のために解放すべきエンジンブレーキ用摩擦要素の解
放よりも先に行われ、変速ショックが大きくなる可能性
を減ずることができる。しかも当該作用効果を、実車速
から先読み車速を求める車速の補正のみにより達成する
ことができ、前記した従来技術を適用した場合における
2重の補正は不要であって、制御を簡単化し得るととも
に、制御に要する時間の短縮を図ることができる。
【0021】第2発明においては、上記先読み車速を車
両減速度に応じて求め、この先読み車速が、実車速から
設定値を差し引いて求めた限界車速以上である通常減速
時は、先読み車速に基づいて前記変速判断を行うため、
第1発明にもかかわらず、先読み車速に基づく変速判断
を従来通りにおこなうことができる。
【0022】第3発明においては、上記車両減速度に応
じて求めた先読み車速が、実車速から設定値を差し引い
た限界車速未満になる急減速時は、実車速から、前記設
定値よりも小さな一定車速を差し引いて求めた先読み車
速許容下限値を前記先読み車速とするため、先読み車速
が先読み車速許容下限値を超えて低下することがなくな
り、変速判断やエンジンブレーキ用摩擦要素の締結・解
放判定が過度に早くなって、変速が不自然になるのを防
止することができる。
【0023】第4発明においては、前記レンジのうち、
ダウンシフト変速線が高車速側にずれたレンジでは、減
速時でも前記先読み車速によらず、実車速により前記変
速判断を行うため、当該レンジで先読み車速に基づく変
速判断を行った場合、以下の理由からエンジンの過回転
が発生するが、第4発明においてはかかるエンジンの過
回転を生じなくすることができる。
【0024】IIレンジや、Iレンジではそれぞれ図5
および図6に示すように、図4に示すDレンジ(OD禁
止状態も含む)用の変速パターンとの比較から明らかな
ごとく、ダウンシフト(3→2,2→1)変速線をDレ
ンジの対応するダウンシフト変速線よりも高車速側にず
らしてエンジンブレーキ用変速段(第2速、第1速)が
できるだけ長く選択されるよう変速パターンを設定す
る。しかして、ダウンシフト(3→2,2→1)変速線
を高車速側にずらすと必然的にエンジン回転数が上昇す
ることとなり、従って、IIレンジや、Iレンジのダウ
ンシフト(3→2,2→1)変速線を高車速側にずらす
に際しては、これらをエンジンの過回転が生じない範囲
でぎりぎりまで高車速側にずらすのが普通である。
【0025】これがため、IIレンジや、Iレンジでも
前記先読み車速による変速判断を行うと、ダウンシフト
変速線をエンジンの過回転が生じない範囲でぎりぎりま
で高車速側にずらしているにもかかわらず、先読み車速
による変速判断でダウンシフトが早期に(車速が高い時
に)実行されることとなり、それだけエンジンの過回転
を生ずる可能性が高くなるという問題が有った。
【0026】ところで第4発明においては特に、IIレ
ンジや、Iレンジのようにダウンシフト変速線が高車速
側にずれたレンジの場合、減速時でも前記先読み車速に
よらず、実車速により前記変速判断を行うことから、当
該レンジでの減速時に先読み車速による変速判断を行う
と、上記したごとく減速に伴うダウンシフトが早期に発
生し、当該レンジではダウンシフト変速線をエンジンの
過回転が生じない範囲でぎりぎりまで高車速側にずらす
のが常套であることもあって、絶対に避けたいエンジン
の過回転が生じ易いところながら、第4発明においては
当該レンジでの減速時における変速判断を実車速に基づ
き行うことにより、上記エンジンの過回転を確実に皆無
にすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形
態になる変速制御装置を具えた自動変速機を示し、1は
エンジン、2はトルクコンバータ、3は自動変速機であ
り、エンジン回転はトルクコンバータ2を経て自動変速
機の入力軸4に伝達するものとする。
【0028】自動変速機3は、基本的には前記した日産
自動車(株)発行「RE4R01A型オートマチックト
ランスミッション整備要領書」(A261C07)に記
載されたと同様なものとし、同軸突き合わせ関係に配置
した入出力軸4,5上にフロントプラネタリギヤ組6お
よびリヤプラネタリギヤ組7を載置して具える。
【0029】そして、変速用摩擦要素としてフォワード
クラッチF/C、ハイクラッチH/C、バンドブレーキ
B/B、ローワンウエイクラッチL/OWC、フォワー
ドワンウエイクラッチF/OWC、およびリバースクラ
ッチR/Cを具え、更にローワンウエイクラッチL/O
WCに対し並列的に設けたローリバースブレーキLR/
B、およびフォワードワンウエイクラッチF/OWCに
対し並列的に設けたオーバーランクラッチOR/Cを具
え、これら摩擦要素を選択的に、図2(b)に○印で示
す組み合わせで締結させることにより前進第1速〜第4
速と、後退の変速段を選択し得るものとする。
【0030】なお、ローリバースブレーキLR/Bおよ
びオーバーランクラッチOR/Cに関する図2(b)の
(○)は、第1速〜第3速でエンジンブレーキが必要な
時に(運転者が後述するOD禁止スイッチ13により3
速エンジンブレーキを指令したり、詳しくは後述するシ
フトレバー15を介した図示しないマニュアルバルブの
IIレンジまたはIレンジ選択により2速エンジンブレ
ーキまたは1速エンジンブレーキを指令している時に)
締結させることを示し、これらローリバースブレーキL
R/BおよびオーバーランクラッチOR/Cがそれぞれ
エンジンブレーキ用摩擦要素を構成する。ちなみに第4
速は、図1の場合エンジンブレーキが効くギヤトレーン
であり、第4速のためのエンジンブレーキ用摩擦要素は
存在しない。
【0031】また上記摩擦要素の選択的作動(締結)を
実行するために本実施の形態においては特に、自動変速
機3のコントロールバルブ8に挿置して、シフトソレノ
イドAおよびBと、オーバーランクラッチソレノイド1
0とを設け、コントロールバルブ8には更に、自動変速
機の上記各摩擦要素を締結作動させるための油圧である
ライン圧を制御するためにライン圧ソレノイド11を挿
置して設ける。そして自動変速機3は、シフトソレノイ
ドAおよびBを図2(a)に示すON(ソレノイド圧発
生),OFF(ソレノイド圧消失)の組み合わせとなる
よう制御することにより、対応する前進第1速〜第4速
が選択されるよう図2(b)の締結論理に従って、摩擦
要素F/C,H/C,B/Bを選択的に締結させるもの
とする。
【0032】なお、ローリバースブレーキLR/Bおよ
びリバースクラッチR/Cはそれぞれ、運転者がシフト
レバー15を1速エンジンブレーキ(I)レンジ位置
や、後退走行(R)レンジ位置にする時、これに連動す
るマニュアルバルブ(図示せず)のポートより作動油圧
の供給を受けて所定通りに締結され、第1速でのエンジ
ンブレーキを、ローリバースブレーキLR/Bの締結
と、後述するオーバーランクラッチOR/Cの締結とで
可能にしたり、後退変速段の選択を、ローリバースブレ
ーキLR/BおよびリバースクラッチR/Cの締結で可
能にするものとする。ここでオーバーランクラッチOR
/Cは、上記オーバーランクラッチソレノイド10のO
FF(ソレノイド圧消失)で締結され、オーバーランク
ラッチソレノイド10のON(ソレノイド圧発生)で解
放されるものとする。
【0033】またライン圧ソレノイド11は、ONデュ
ーティの増大により自動変速機のライン圧を上昇させる
ものとする。
【0034】ソレノイドA,B,10のON,OFFお
よびソレノイド11の駆動デューティはコントローラ1
4により決定し、該コントローラには、運転者がシフト
レバー15により選んだ選択レンジ、およびOD(第4
速)禁止スイッチ13からの3速エンジンブレーキ指令
を検知するレンジセンサ16からの信号と、エンジン1
のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度セン
サ17からの信号と、車速VSPを検出する車速センサ
18からの信号と、車両の加速度(負値が減速度を表
す)Gを検出する加速度センサ19からの信号と、アク
セルペダルの釈放時にONとなるアイドルスイッチから
の信号と、ブレーキペダルの踏み込み時ONとなるブレ
ーキスイッチ21からの信号とをそれぞれ入力する。
【0035】シフトレバー15およびレンジセンサ16
について補足説明するに、シフトレバー15は前記文献
にも記載の通り周知の、駐車(P)レンジ位置と、後退
走行(R)レンジ位置と、中立(N)レンジ位置と、前
進自動変速(D)レンジ位置と、2速エンジンブレーキ
(II)レンジ位置と、1速エンジンブレーキ(I)レ
ンジ位置とを一直線上に配置されて有する他、Dレンジ
においてOD(第4速)禁止スイッチ13をONする
時、4速への変速を禁止して3速でのエンジンブレーキ
が得られるようにしたものとする。
【0036】レンジセンサ16は、シフトレバー15が
これらレンジ位置のどこに操作されているかを示す信号
をコントローラ14に出力すると共に、OD(第4速)
禁止スイッチ13からの3速エンジンブレーキ指令をコ
ントローラ14に出力するものとする。
【0037】コントローラ14は前進走行中、上記の入
力情報をもとに図3の制御プログラムを実行して本発明
が狙いとする以下の、エンジンブレーキ用摩擦要素(オ
ーバーランクラッチOR/C)の変速時締結・解放制御
を含む変速制御を行うものとする。先ずステップ31に
おいて、レンジセンサ16からの信号をもとに、OD
(第4速)禁止状態を含むDレンジか、それ以外のIレ
ンジまたはIIレンジかを判定する。
【0038】Dレンジならステップ32において、本発
明が狙いとする減速時変速制御を行うべき車速域か否か
を、つまり車速VSPが所定車速VSPS 未満か否かを
判定し、次いでステップ33において、その他の減速時
変速制御を行うべき条件が揃っているか否かを判定す
る。ここでその他の減速時変速制御条件とは、アクセル
ペダルの釈放でアイドルスイッチ20がONされてお
り、且つ、ブレーキペダルが踏み込まれてブレーキスイ
ッチ21がONされており、さらに加えて、センサ19
により検出した車両加速度Gが減速度を表す負値である
ことの3条件を意味し、これら3条件が揃った時に減速
時変速制御を行うこととする。
【0039】ステップ32の車速条件が整わない場合
や、ステップ33の3条件が揃わない時は、ステップ3
4において当該Dレンジ用の図4に例示する変速マップ
中の対応するアップシフト変速線およびダウンシフト変
速線をもとに、車速検出値VSPからアップシフトすべ
きか、ダウンシフトすべきかを決定し、これらアップシ
フト変速判断、およびダウンシフト変速判断に符合する
変速が実行されるよう、つまり図2(b)の締結論理に
もとづき当該変速のための摩擦要素の締結、解放切換え
が行われるよう、図2(a)の論理に基づきソレノイド
A,BのON,OFF切り換えを行う。ただし、OD
(第4速)禁止スイッチ13のONにより3速エンジン
ブレーキ指令を受けている場合、第4速への変速が生じ
ないように変速制御される。
【0040】次いで、当該3速エンジンブレーキ指令が
あればステップ35において、エンジンブレーキ用摩擦
要素(オーバーランクラッチOR/C)の図示せざる締
結領域マップをもとに、車速検出値VSPから当該摩擦
要素の締結・解放判定を行い、判定結果に応じて適宜エ
ンジンブレーキ用摩擦要素(オーバーランクラッチOR
/C)を締結・解放すべくオーバーランクラッチソレノ
イド10をOFF,ON制御することで3速エンジンブ
レーキが得られるようにする。
【0041】ステップ33で減速時変速制御条件が揃っ
ていると判定した場合、ステップ36において、前記し
た特開平3−103661号公報に記載されていると同
じ要領で求め得る、車速検出値VSPよりも車両減速度
Gに応じた低車速側の先読み車速VSPINC をチェック
する。この先読み車速VSPINC が、車速検出値VSP
から設定値ΔVSPL を差し引いた限界車速(VSP−
ΔVSPL )以上である場合(VSP−ΔVSPL ≦V
SPINC <VSP)、つまり通常程度の減速度を生ずる
通常減速時であれば、ステップ37において当該Dレン
ジ用の図4に例示する変速マップ中の対応するアップシ
フト変速線およびダウンシフト変速線をもとに、先読み
車速VSPINCからアップシフトすべきか、ダウンシフ
トすべきかを決定し、これらアップシフト変速判断、お
よびダウンシフト変速判断に符合する変速が実行される
よう、つまり図2(b)の締結論理にもとづき当該変速
のための摩擦要素の締結、解放切換えが行われるよう、
図2(a)の論理に基づきソレノイドA,BのON,O
FF切り換えを行う。
【0042】次いでステップ38において、エンジンブ
レーキ用摩擦要素(オーバーランクラッチOR/C)の
図示せざる締結領域マップをもとに、先読み車速VSP
INCから当該摩擦要素の締結・解放判定を行い、判定結
果に応じて適宜エンジンブレーキ用摩擦要素(オーバー
ランクラッチOR/C)を締結・解放すべくオーバーラ
ンクラッチソレノイド10をOFF,ON制御すること
で選択変速段のエンジンブレーキが得られるようにす
る。
【0043】ところで本実施の形態ではステップ37に
おけるように車両の通常減速時に、実車速VSPよりも
車両減速度Gに応じた低車速側の先読み車速VSPINC
によって変速線に基づく変速判断を行うことから、当該
通常減速時は変速応答遅れを見込んで早期に変速判断が
なされることとなり、減速に伴う実際のダウンシフト
が、変速線で定めたスケジュールよりも低車速において
発生するのを防止することができる。これがため、車両
減速度Gの如何にかかわらず実際の変速を常時、変速線
により定めたスケジュール通りの車速で変速を行わせる
ことができ、車両の減速時にその減速程度に応じ実際の
変速が種々の車速で生起するという問題を回避すること
ができる。
【0044】また本実施の形態では、上記のごとく先読
み車速VSPINC によって変速判断を行う通常減速の場
合、ステップ38におけるようにエンジンブレーキ用摩
擦要素(オーバーランクラッチOR/C)の締結・解放
判定も先読み車速車速VSP INC によって行うため、先
読み車速VSPINC によって変速判断が早期になされる
車両の通常減速時は、エンジンブレーキ用摩擦要素の締
結・解放判定も先読み車速車速VSPINC によって同じ
く早期になされることとなり、減速に伴うダウンシフト
のための変速用摩擦要素の締結が、当該変速時に変速シ
ョック対策のために解放すべきエンジンブレーキ用摩擦
要素(オーバーランクラッチOR/C)の解放よりも先
に行われ、変速ショックが大きくなる可能性を減ずるこ
とができる。
【0045】しかも当該作用効果を、実車速VSPから
先読み車速VSPINC を求める車速の補正のみにより達
成することができ、前記した従来技術を適用した場合に
おける2重の補正は不要であって、制御を簡単化し得る
とともに、制御に要する時間の短縮を図ることができ
る。
【0046】ステップ36における先読み車速VSP
INC の判定結果がVSPINC <VSP−ΔVSPL とな
る車両の急減速時は、ステップ39でシフトソレノイド
A,BのON,OFFから判定した選択変速段が第1速
または第2速である場合、ステップ40において車速検
出値VSPから上記のΔVSPL よりも小さな第1速ま
たは第2速用の一定車速ΔVSPC1を差し引いて求めた
先読み車速許容下限値(VSP−ΔVSPC1)を先読み
車速とし、これをもとにステップ37におけると同様な
変速判断および変速を行わせる。
【0047】次いでステップ41において、同じ先読み
車速許容下限値(VSP−ΔVSP C1)を先読み車速と
して、これをもとにステップ38におけると同様なエン
ジンブレーキ用摩擦要素(オーバーランクラッチOR/
C)の締結・解放判定および判定結果に基づく締結・解
放を行わせる。
【0048】なおステップ39で判定した選択変速段が
第3速または第4速である場合、ステップ42において
車速検出値VSPから上記のΔVSPL よりも小さな第
3速または第4速用の一定車速ΔVSPC2を差し引いて
求めた先読み車速許容下限値(VSP−ΔVSPC2)を
先読み車速とし、これをもとにステップ37におけると
同様な変速判断および変速を行わせる。次いでステップ
43において、同じ先読み車速許容下限値(VSP−Δ
VSP C2)を先読み車速として、これをもとにステップ
38におけると同様なエンジンブレーキ用摩擦要素(オ
ーバーランクラッチOR/C)の締結・解放判定および
判定結果に基づく締結・解放を行わせる。
【0049】本実施の形態においては、先読み車速VS
INC が(VSP−ΔVSPL )よりも小さくなる急減
速の場合、ステップ40,42におけるように、実車速
VSPから設定値ΔVSPL よりも小さな一定車速ΔV
SPC1,ΔVSPC2を差し引いて求めた先読み車速許容
下限値を先読み車速として変速判断およびエンジンブレ
ーキ用摩擦要素の締結・解放判断に資するから、先読み
車速が上記の先読み車速許容下限値を超えて低下するこ
とがなくなり、変速判断やエンジンブレーキ用摩擦要素
の締結・解放判定が過度に早くなって、変速が不自然に
なるのを防止することができる。
【0050】また、上記の一定車速ΔVSPC1,ΔVS
C2を選択変速段ごとに(第1速および第2速と、第3
速および第4速とで)異ならせるから、先読み車速許容
下限値を変速段ごとに好適値にすることができ、如何な
る変速段においても上記の作用効果を確実に達成するこ
とができる。
【0051】ステップ36における先読み車速VSP
INC の判定結果がVSPINC ≧VSPである場合、車両
が定速走行または加速走行中であって減速時変速制御の
対象外であるから、制御をステップ34,35に進める
ことは勿論である。
【0052】ステップ31において、図5および図6に
破線で示すごとくダウンシフト変速線を図4のDレンジ
用のダウンシフト変速線よりも高車速側にずらしてある
IIレンジおよびIレンジが選択されていると判定する
場合、制御をステップ34,35に進めて、減速時であ
るか否かを問わず、従って減速時でも先読み車速VSP
INC による代わりに、車速検出値VSPによって、図5
および図6の変速パターンに基づく変速判断や、エンジ
ンブレーキ用摩擦要素の締結・解放判定を行うこととす
る。
【0053】ここで、ダウンシフト変速線が高車速側に
ずれたIIレンジおよびIレンジでの減速時に先読み車
速VSPINC による変速判断を行うと、前記したごとく
減速に伴うダウンシフトが早期に発生し、当該レンジで
はダウンシフト変速線をエンジンの過回転が生じない範
囲でぎりぎりまで高車速側にずらすのが常套であること
もあって、絶対に避けたいエンジンの過回転が生じ易く
なるのを免れない。
【0054】しかして本実施の形態においては、IIレ
ンジおよびIレンジで図5および図6の変速パターンに
基づく変速判断を行うに際し、減速時といえども先読み
車速VSPINC によらず、実車速VSPにより変速判断
を行うことから、減速に伴うダウンシフトが早期に発生
しなくすることができ、従って上記した絶対に避けたい
エンジンの過回転を確実に皆無にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる変速制御装置を
具えた自動変速機の変速制御システム図である。
【図2】 同自動変速機の動作論理図で、(a)は、シ
フトソレノイドのON,OFFと選択変速段との関係を
示す図面、(b)は、選択変速段と摩擦要素の締結との
関係を示す図面である。
【図3】 同自動変速機においてコントローラが実行す
る変速圧制御を示すフローチャートである。
【図4】 Dレンジ用のアップシフト変速線およびダウ
ンシフト変速線を例示する変速パターン図である。
【図5】 IIレンジ用のアップシフト変速線およびダ
ウンシフト変速線を例示する変速パターン図である。
【図6】 Iレンジ用のアップシフト変速線およびダウ
ンシフト変速線を例示する変速パターン図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トルクコンバータ 3 自動変速機 4 入力軸 5 出力軸 6 フロントプラネタリギヤ組 7 リヤプラネタリギヤ組 8 コントロールバルブ A シフトソレノイド B シフトソレノイド 10 オーバーランクラッチソレノイド 11 ライン圧ソレノイド 13 OD禁止スイッチ 14 コントローラ 15 シフトレバー 16 レンジセンサ 17 スロットル開度センサ 18 車速センサ 19 加速度センサ 20 アイドルスイッチ 21 ブレーキスイッチ F/C フォワードクラッチ(変速用摩擦要素) H/C ハイクラッチ(変速用摩擦要素) B/B バンドブレーキ(変速用摩擦要素) LR/B ローリバースブレーキ OR/C オーバーランクラッチ(エンジンブレーキ用摩擦
要素) L/OWC ローワンウエイクラッチ F/OWC フォワードワンウエイクラッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J552 MA02 MA12 MA17 NA01 NB01 PA02 RB18 SA05 VA62W VB01W VB04W

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも車速を条件として予め設定さ
    れた変速線に基づく変速判断により変速を行うと共に、
    少なくとも車速を条件として予め設定された締結領域マ
    ップに基づく締結・解放判定によりエンジンブレーキ用
    摩擦要素を適宜締結させるようにした自動変速機に用い
    られ、 車両の減速時は、実車速よりも低車速側の先読み車速に
    よって前記変速線に基づく変速判断を行うようにした自
    動変速機の変速制御装置において、 前記先読み車速によって変速判断を行う減速時は、前記
    エンジンブレーキ用摩擦要素の締結・解放判定も先読み
    車速によって行うよう構成したことを特徴とする自動変
    速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記先読み車速を車
    両減速度に応じて求め、この先読み車速が、実車速から
    設定値を差し引いて求めた限界車速以上である通常減速
    時は、前記先読み車速に基づいて前記変速判断を行うよ
    う構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記車両減速度に応
    じて求めた先読み車速が、実車速から設定値を差し引い
    た限界車速未満になる急減速時は、実車速から、前記設
    定値よりも小さな一定車速を差し引いて求めた先読み車
    速許容下限値を前記先読み車速とするよう構成したこと
    を特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、前記レンジのうち、ダウンシフト変速線が高車速側
    にずれたレンジでは、減速時でも前記先読み車速によら
    ず、実車速により前記変速判断を行うよう構成したこと
    を特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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