JP2009046795A - 織物とそれを用いた衣服 - Google Patents
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Abstract
【課題】シャリ感を有し、かつハリ・コシに優れた高通気織物に関し、さらに詳しくは、外観、触感ともに清涼感があり、適度なふくらみ、シャリ感を併せ持ち、ドライタッチのある新規な風合と優れた仕立て映えを有する低コストで製造が可能な清涼織物を提供することにある。
【解決手段】単糸繊度が5.56〜22.22デシテックス(デニール換算で5〜20デニール)のマルチフィラメント仮撚加工糸を経および緯方向の少なくとも一方に使用した織物であって、且つ織物の経および緯方向のうち動摩擦係数の高い方の値が0.5〜2.0であり、且つ通気度が30〜150cm3/cm2/secあり、且つ経および緯方向の縫目ずれが共に3.0mm以下である織物。
【選択図】なし
【解決手段】単糸繊度が5.56〜22.22デシテックス(デニール換算で5〜20デニール)のマルチフィラメント仮撚加工糸を経および緯方向の少なくとも一方に使用した織物であって、且つ織物の経および緯方向のうち動摩擦係数の高い方の値が0.5〜2.0であり、且つ通気度が30〜150cm3/cm2/secあり、且つ経および緯方向の縫目ずれが共に3.0mm以下である織物。
【選択図】なし
Description
本発明は、清涼感に優れた織物に関するものである。
これまで衣料用繊維織編物は、シボ、ソフトさ、ハリ、コシなどの風合いや表情を付与すべく様々な検討が行われてきた。その中でも融着糸を利用したものとして、特許文献1が挙げられ、これは融点が異なる複数種のフィラメント糸が糸長手方向に互いに融着している複合マルチフィラメント糸からなる仮撚複合融着糸についての文献であり、融着糸は部分的に強撚融着部と逆方向の解撚非融着部(オーバー解撚部)があることで、織物はシャリ感と清涼感に優れる。しかし、融着糸の加工コストは高く、品質が安定した織編物を得ることが困難であった。
また、ジョーゼット織物に代表される強撚糸を用いた清涼織物が特許文献2に挙げられており、ここではシャリ感の向上を撚数を増やすことで達成させているが、撚数の増加は反対に織物の嵩高さを低くする。さらに異形断面糸を用いて単糸間に空隙を作り、嵩高さを出す試みもされているが、いずれにしても充分な清涼感と膨らみ感を併せ持つ清涼素材を得ることは困難であった。
本発明は、従来の清涼感織物の問題を改善した上に、優れたシャリ感と清涼感をもちながら、膨らみのある低コストで品質のコントロールしやすい織物を提供する。
極太糸を用いた清涼素材は、特許文献3に挙げられており、極太糸による曲げ剛性・曲げ戻り性に優れる高反発織物についての記載がある。しかしながら、極太糸を使用しただけでは得られる清涼感は大きいものではなく課題が残る。
また、極太糸を使用したオーガンジーはハリ・コシに優れるが、一般的にモノフィラメントが使用され、透け感や光沢に優れるファッション素材であり、本発明の清涼素材とは目的が異なる。
このように、市場では低コストで品質安定に優れる新規清涼素材の創出が望まれており、それを達成するための様々な研究がなされている。
特開平7−157931号公報
特開平11−350294号公報
特開平10−266041号公報
本発明は、従来の清涼感織物の問題を改善した上に、優れたシャリ感と清涼感、および通気性をもちながら、膨らみのある低コストで品質のコントロールしやすい織物を提供することを目的とする。
本発明は、前記した課題を解消するために、次の構成を有するものである。すなわち、
(1)単糸繊度が5.56〜22.22デシテックス(デニール換算で5〜20デニール)のマルチフィラメント仮撚加工糸を経および緯方向の少なくとも一方に使用した、且つ織物の経および緯方向のうち動摩擦係数の高い方の値が0.5〜2.0であり、且つ通気度が30〜150cm3/cm2/secあり、且つ経および緯方向の縫目ずれが共に3.0mm以下であることを特徴とする織物。
(1)単糸繊度が5.56〜22.22デシテックス(デニール換算で5〜20デニール)のマルチフィラメント仮撚加工糸を経および緯方向の少なくとも一方に使用した、且つ織物の経および緯方向のうち動摩擦係数の高い方の値が0.5〜2.0であり、且つ通気度が30〜150cm3/cm2/secあり、且つ経および緯方向の縫目ずれが共に3.0mm以下であることを特徴とする織物。
(2)マルチフィラメント仮撚加工糸のフィラメント数が2〜24本であり、且つトータル繊度が50〜200デシテックスであることを特徴とする(1)に記載の織物。
(3)以下の式で表される織物のカバーファクター(CF)が1500〜2700であることを特徴とする(1)に記載の織物。
CF=(DWp)1/2×MWp+(DWf)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(デシテックス)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(デシテックス)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
CF=(DWp)1/2×MWp+(DWf)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(デシテックス)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(デシテックス)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
(4)KES法による織物の経および緯方向の曲げ剛性の大きい方の値が0.15gf・cm2/cm以上であり、かつKES法のSUMMER SUIT用のSHARIのH.V.(ハンドバリュー)が5.0以上であることを特徴とする(1)に記載の織物。
(5)マルチフィラメント仮撚加工糸の原糸断面形状が非円形の型であることを特徴とする請求項(1)に記載の織物。
(6)マルチフィラメント仮撚加工糸の原糸断面形状の非円形の型が角を有する異形断面形状であることを特徴とする(5)に記載の織物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の織物を用いた衣服。
本発明によれば、低コストでシャリ感と通気性に優れる清涼織物を得ることができる。
本発明において、極太マルチフィラメントの原糸の種類になんら制限はないが、合成繊維が好ましく使用され、特にコスト面および品質面で安定的に生産が可能なポリエステル、ナイロン、ポリオレフィンに代表される合成繊維を用いた溶融紡糸フィラメントが挙げられる。また、レーヨンに代表される再生繊維を使用しても清涼素材としての性能を大きく低下させる訳ではない。
極太マルチフィラメントを織物の経および緯方向の一方に使用した場合、もう一方については吸汗吸湿または制電の観点から、公定水分率の大きな綿などの天然繊維を単独または混用して使用することも可能であり、また製織した生機に吸湿加工剤または制電加工剤またはその他の機能加工剤を用いた加工をすることが可能である。
極太マルチフィラメント仮撚加工糸の単糸繊度は5.56〜22.22デシテックス(デニール換算で5〜20デニール)であることが好ましく、より好ましくは8〜15デシテックス(デニール換算で7.20〜13.50デニール)である。この範囲内の極太加工糸を用いることで、織物にした時に特有の剛性・反発性が付与され、適度なシャリ感とハリ・コシのある清涼感に優れた織物となる。単糸繊度が5.56デシテックス(デニール換算で5デニール)未満になると、シャリ感が薄れ、へたりが大きくなり清涼素材の特徴が得られにくい。逆に、単糸繊度が22.22デシテックス(デニール換算で20デニール)を超えると、織物の剛性・反発性が強すぎるため着心地の優れない粗悪なものとなり、可縫性についても問題が生じることがある。
本発明においては、上記仮撚加工糸として、上記範囲の単糸繊度のものを経および緯方向の少なくとも一方に用いるものであり、経、緯両方に用いるよりは、いずれか一方に用いる方が、適度なハリ・コシが保たれ、清涼感のある風合いがあることから、好ましい。
動摩擦係数については、中国紡織工業部の基準FZ/T01054.2−1999に従うものであり、織物の経および緯方向のうち動摩擦係数の高い方の値が0.5〜2.0であることが好ましい。動摩擦係数が0.5未満になると織物表面が平滑になり着用時に清涼感が得られない。2.0を超える範囲では、織物の凹凸感が強すぎて着用時にかゆみを感じることがあるので好ましくない。
通気度については、JIS L1096−1999 A法(フラジール法)に従う測定法において、30〜150cm3/cm2/secであることが好ましく、30〜100cm3/cm2/secであることがより好ましい。通気度が30cm3/cm2/sec未満であると、風合いは問題ないが、織物の目が詰まり過ぎて清涼感が物足りない着心地となり、さらに防透性の観点からも好ましくない。通気度が150cm3/cm2/secを超えると清涼感としては問題ないが、織物の目ずれが発生し易く、さらに縫目における目ずれが容易に発生し、JIS L 1096(縫目強力)に従い測定される縫目ずれが3mmを超えることがあり、このとき縫製品としての品位が極端に低下する可能性があるため、好ましくない。
マルチフィラメント仮撚加工糸のフィラメント数は2〜24本で、且つトータル繊度が50〜200デシテックスであることが好ましい。フィラメント数は5〜12本がさらに好ましい。5本未満になると仮撚加工時に未解撚部が発生し、織物にしたときの嵩高さが低く、経筋などの品質低下に繋がる可能性がある。フィラメント数が24本を超えると織物の嵩高さは発現するが、単糸間の空隙がより小さくなり通気度の低下からムレ感を感じるようになり、清涼素材として適切ではなくなることがある。
また、マルチフィラメント仮撚加工糸のトータル繊度は50〜200デシテックスであることが好ましく、より好ましくは50〜150デシテックスであるが、理由は先述したフィラメント数の規定に関する理由と同一であり、清涼感素材とするためには、トータル繊度を小さくすると単糸繊度を大きくする必要があり、トータル繊度を大きくすると、逆に単糸繊度を小さくする必要があるからである。
単糸断面については、非円形の型のものが好ましく、さらに好ましくは角を有する異形断面糸である。例として星形5葉断面(図1参照)あるいは星形8葉断面(図1参照)が好適に用いられる。単糸断面を円形にしてもシャリ感などの清涼感に大きな変化は発生しないが、一方で、織物の光沢が強くなり、ギラツキ(いらつき)の発生原因となるため、見栄えの優れないものとなってしまう。異形断面糸を使用することで、このギラツキを抑えることが可能となり、また異形断面による毛細管現象が発現し、吸水性においても優れた効果を発揮する。
また、極太マルチフィラメントには仮撚り加工を施すことで単糸間に大きな空隙が形成され、毛細管効果による吸汗性向上だけでなく、糸の嵩高さによる低密度設計が容易となり、目ずれの発生しにくい高通気素材を得ることができる。仮撚加工糸ではなく未加工糸を使用する場合、織物の目ずれが発生しやすくなるため、密度を高くする必要がある。未加工糸は単糸間の空隙が小さく、さらに低密度設計が困難であるので高通気素材とすることが難しい。また仮撚り加工による嵩高さの増大は、極太糸の剛反発性に由来する程良いシャリ感を与える。仮撚り加工の条件は何ら限定されるものではなく公知の一般的な技術を利用することができる。加撚ツイスターとしてディスクフリクション仮撚装置、ベルトニップ型仮撚装置、マグネットスピンドル型仮撚装置等が挙げられ、均一な仮撚加工糸を得るためには、仮撚加工時のフィード率を0%以上5%以下の範囲にすることが好ましい。ここで言うフィード率とはフィードローラーとデリベリーローラーの速度比をいい、0%未満のアンダーフィードで加工すると、張力が高くなり、毛羽の発生、糸切れが多発しやすい。 他の仮撚加工の条件を挙げると、延伸倍率を1.1〜2.0倍として、仮撚ヒーター温度は100℃以上250℃以下が好ましく、さらには120℃以上210℃以下が最も好ましい。
織物のカバーファクター(CF)は以下の式で規定される。CFは1500〜2700であることが好ましく、より好ましくはCFが1700〜2500の範囲においてシャリ感および通気性に優れ、縫目ずれの発生が起こりにくい清涼感素材が得られる。さらに好ましくは、CFが1800〜2500の範囲において、さらにより縫目ずれの発生が起こりにくい清涼感素材が得られる。
CF=(DWp)1/2×MWp+(DWf)1/2×MWf
ここで、DWpは経糸総繊度(デシテックス)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(デシテックス)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
CF=(DWp)1/2×MWp+(DWf)1/2×MWf
ここで、DWpは経糸総繊度(デシテックス)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(デシテックス)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
ステープルや天然繊維などの紡績糸あるいは混紡糸を用いる時は、番手表記をデシテックスに換算してカバーファクター(CF)を算出するものとする。CFが1500未満になると高い防透け性が得られず、また織物の目ずれ、および縫い目ずれが極端に悪くなるため好ましくない。反対にCFが2700を超えると高い防透け性が得られ、縫い目ズレの問題も発生しないが、通気性が優れないためムレ感が強くなってしまう。
織物の組織として制限はないが、平織りまたは綾織りが好適に用いられる。朱子織のような糸の組織点が少ない織物では、糸の拘束力が弱くなるため、織物が低密度設計の場合は縫製品での縫い目ずれが大きくなる傾向がある。
本発明において、KES法のH.V.(ハンドバリュー)は、KES−FB1〜4までの各種特性を基に定められた方法で算出される値であり、SUMMER SUIT(夏用スーツ)用途では4項目「KOSHI」「SHARI」「FUKURAMI」「HIRI」から構成される。本発明においては、SUMMER SUIT(夏用スーツ)用途のSHARIのH.V.が5.0以上であれば清涼素材として満足なシャリ感が得られることを見いだした。KES法によるSUMMER SUIT(夏用スーツ)用途のH.V.「SHARI」との相関の強さは織物の「表面粗さ(平均偏差)」および「目付」および「曲げ剛性」との相関が強く、これらの寄与率が大きいほどにH.V.が高くなる傾向がある。
本発明における上記手段によって製造された織物は、KES法による織物の経および緯方向の曲げ剛性の大きい方の値が0.15gf・cm2/cm以上であり、かつKES法のSUMMER SUIT用のSHARIのH.V.値が5.0以上であれば、肌触りの良いシャリ感を有し、ハリ・コシに優れた織物が得られる。曲げ剛性が0.15gf・cm2/cm未満になるとハリ・コシが低下するため、へたりが強くなり着用時の衣服のまとわりつきが起こりやすくなるため清涼感が得られにくい。曲げ剛性は高いほどハリ・コシが強く清涼感が向上するが、曲げ剛性が高すぎると、織物の凸凹が強くなり過ぎるため、着用時にかゆみが出たり、また、縫製時に取扱いが困難になる場合がある。一般的には、曲げ剛性が0.15〜1.00gf・cm2/cmの範囲において、着用快適性に優れた清涼衣服となる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、本発明における各種測定法は下記の通りである。
[動摩擦係数の測定方法]
中国紡織工業部の基準FZ/T01054.2−1999に従って測定した。測定機はFJ552.1−85『織物風合い試験方法 総則』5章目の規則を満足するものである。
測定法の詳細
1.織物から経、緯方向にそれぞれ30mm×105mmの試験片を各5枚採取する。
2.さらにその試験片を2つに分けて2枚のサンプルとして採取する(それぞれ30mm×77mm、30mm×28mm)。大きい方のサンプルと小さい方のサンプルが互いに重なるように摩擦台にセットする。
3.摩擦滑り台の速度48±2mm/min、圧力112cNで2枚のサンプルの生地表同士を互いに摩擦させた時の動摩擦係数を測定する。
4.摩擦機においては自動的に動摩擦係数が計算される。5回の相加平均を算出し、小数点以下第2位を四捨五入して数値を小数点第1位に丸めた。データは、織物の経または緯方向の大きい方の値を採用した。
[KESシステムの織物特性測定方法]
KES−FB1〜4(カトーテック(株)製)の測定機を用い、糸目を通した20cm×20cmの試験片を20℃、65%温調下で24時間以上調湿したサンプルについて、を同環境下にて以下の特性を測定した。各特性の測定条件はすべてKESシステムで定められた標準測定条件に基づいている。
1.引張特性−自動化引張り試験機(KES−FB1−AUTO−A)
引張り速度0.2mm/secとして、最大引張り荷重10kg(500gf/cm)になるまでの引張特性を測定することにより、自動的に引張特性の直線性LTおよび引張仕事量WT(gf・cm/cm2)および引張レジリエンスRT(%)が求まる。これを経および緯方向それぞれについて測定を行う。
2.せん断特性−自動化せん断試験機(KES−FB1−AUTO−A)
最大せん断ずり量±8°、せん断ずり速度0.5°/sec、引張張力200g(10gf/cm)として、単位幅当たりのせん断力をせん断角で除した値であるせん断剛性G(gf/cm・degree)、およびせん断角0.5°、5°それぞれのときのヒステリシス2HGおよび2HG5(gf/cm)が自動的に求まる。これを経および緯方向それぞれで測定を行う。
3.曲げ特性−自動化純曲げ試験機(KES−FB2−AUTO−A)
最大曲率±2.5cm−1の条件下で曲げたときの曲率が±0.5cm−1の単位幅当たりの曲げモーメント(g・cm/cm)の変化分を曲率(cm−1)で除した値、つまり曲げ剛性B(g・cm2/cm)が求まる。さらに回復時のヒステリシス幅2HB(gf・cm/cm)も自動で求まる。これを経および緯方向それぞれについて測定を行う。
4.圧縮特性−自動化圧縮試験機(KES−FB3−AUTO−A)
面積2cm2の円形平面をもつ綱板間で織物を圧縮速度0.02mm/secで圧縮させることにより、圧縮最大荷重が50gf・cm2となったときの圧縮エネルギーWC(gf・cm/cm2)と圧縮かたさLC(圧縮荷重―圧縮ひずみ曲線の直線性)および0.5gf/cm2時の織物厚みT、さらに回復過程での回復性RC(%)が自動的に求まる。
5.表面特性―自動化表面試験機(KES−FB4−AUTO−A)
サンプルの経および緯方向のいずれか一方向に20gf/cmの張力を掛け、その張力を掛けた方向について、0.5mmΦのピアノ線10本を5×5mmの面積を有する固定面上に固定してなる接触子を用いて、50gfでサンプルに圧着させ、0.1cm/秒の一定速度でピアノ線の側面方向をサンプルの張力が掛かっている方向に水平に移動させたときの平均摩擦係数MIUおよび摩擦係数平均偏差MMDが自動的に求まる。さらに、同様にサンプルに20gf/cmの張力をかけ、0.5mmΦのピアノ線を5mm幅に1本折り曲げた接触子に10gfで試料に圧着させ0.1cm/秒の一定速度で水平に移動させたときの織物表面粗さの平均偏差SMDが自動的に求まる。これを経および緯方向それぞれについて測定を行う。
[KESシステムによる風合い値H.V.(ハンドバリュー)の求め方]
H.V.はKESシステムにより求めた織物の各特性から総合的に算出されるものであり、一般的には組み込まれたシステムにより自動的に算出される。求め方としては、以下の通りである。
SUMMER SUIT用途「SHARI」のH.V.の求め方
表1の数値を下記の式に当てはめることによって算出される。
H.V.[SHARI]=Ba+Bb[{Ab−Cb}/Db]+Bc[{Ac−Cc}/Dc]+Bd[{Ad−Cd}/Dd]+Be[{Ae−Ce}/De]+・・・+Bp[{Ap−Cp}/Dp]+Bq[{Aq−Cq}/Dq]
[動摩擦係数の測定方法]
中国紡織工業部の基準FZ/T01054.2−1999に従って測定した。測定機はFJ552.1−85『織物風合い試験方法 総則』5章目の規則を満足するものである。
測定法の詳細
1.織物から経、緯方向にそれぞれ30mm×105mmの試験片を各5枚採取する。
2.さらにその試験片を2つに分けて2枚のサンプルとして採取する(それぞれ30mm×77mm、30mm×28mm)。大きい方のサンプルと小さい方のサンプルが互いに重なるように摩擦台にセットする。
3.摩擦滑り台の速度48±2mm/min、圧力112cNで2枚のサンプルの生地表同士を互いに摩擦させた時の動摩擦係数を測定する。
4.摩擦機においては自動的に動摩擦係数が計算される。5回の相加平均を算出し、小数点以下第2位を四捨五入して数値を小数点第1位に丸めた。データは、織物の経または緯方向の大きい方の値を採用した。
[KESシステムの織物特性測定方法]
KES−FB1〜4(カトーテック(株)製)の測定機を用い、糸目を通した20cm×20cmの試験片を20℃、65%温調下で24時間以上調湿したサンプルについて、を同環境下にて以下の特性を測定した。各特性の測定条件はすべてKESシステムで定められた標準測定条件に基づいている。
1.引張特性−自動化引張り試験機(KES−FB1−AUTO−A)
引張り速度0.2mm/secとして、最大引張り荷重10kg(500gf/cm)になるまでの引張特性を測定することにより、自動的に引張特性の直線性LTおよび引張仕事量WT(gf・cm/cm2)および引張レジリエンスRT(%)が求まる。これを経および緯方向それぞれについて測定を行う。
2.せん断特性−自動化せん断試験機(KES−FB1−AUTO−A)
最大せん断ずり量±8°、せん断ずり速度0.5°/sec、引張張力200g(10gf/cm)として、単位幅当たりのせん断力をせん断角で除した値であるせん断剛性G(gf/cm・degree)、およびせん断角0.5°、5°それぞれのときのヒステリシス2HGおよび2HG5(gf/cm)が自動的に求まる。これを経および緯方向それぞれで測定を行う。
3.曲げ特性−自動化純曲げ試験機(KES−FB2−AUTO−A)
最大曲率±2.5cm−1の条件下で曲げたときの曲率が±0.5cm−1の単位幅当たりの曲げモーメント(g・cm/cm)の変化分を曲率(cm−1)で除した値、つまり曲げ剛性B(g・cm2/cm)が求まる。さらに回復時のヒステリシス幅2HB(gf・cm/cm)も自動で求まる。これを経および緯方向それぞれについて測定を行う。
4.圧縮特性−自動化圧縮試験機(KES−FB3−AUTO−A)
面積2cm2の円形平面をもつ綱板間で織物を圧縮速度0.02mm/secで圧縮させることにより、圧縮最大荷重が50gf・cm2となったときの圧縮エネルギーWC(gf・cm/cm2)と圧縮かたさLC(圧縮荷重―圧縮ひずみ曲線の直線性)および0.5gf/cm2時の織物厚みT、さらに回復過程での回復性RC(%)が自動的に求まる。
5.表面特性―自動化表面試験機(KES−FB4−AUTO−A)
サンプルの経および緯方向のいずれか一方向に20gf/cmの張力を掛け、その張力を掛けた方向について、0.5mmΦのピアノ線10本を5×5mmの面積を有する固定面上に固定してなる接触子を用いて、50gfでサンプルに圧着させ、0.1cm/秒の一定速度でピアノ線の側面方向をサンプルの張力が掛かっている方向に水平に移動させたときの平均摩擦係数MIUおよび摩擦係数平均偏差MMDが自動的に求まる。さらに、同様にサンプルに20gf/cmの張力をかけ、0.5mmΦのピアノ線を5mm幅に1本折り曲げた接触子に10gfで試料に圧着させ0.1cm/秒の一定速度で水平に移動させたときの織物表面粗さの平均偏差SMDが自動的に求まる。これを経および緯方向それぞれについて測定を行う。
[KESシステムによる風合い値H.V.(ハンドバリュー)の求め方]
H.V.はKESシステムにより求めた織物の各特性から総合的に算出されるものであり、一般的には組み込まれたシステムにより自動的に算出される。求め方としては、以下の通りである。
SUMMER SUIT用途「SHARI」のH.V.の求め方
表1の数値を下記の式に当てはめることによって算出される。
H.V.[SHARI]=Ba+Bb[{Ab−Cb}/Db]+Bc[{Ac−Cc}/Dc]+Bd[{Ad−Cd}/Dd]+Be[{Ae−Ce}/De]+・・・+Bp[{Ap−Cp}/Dp]+Bq[{Aq−Cq}/Dq]
式中の各項のアルファベット(例えば、BaやBbやAbなど)は全て表1の縦と横の軸の組合せのことを意味する。つまり、「Ab」とは表1でA列とb行が交差する項目の値であり、数値「0.4260」のことである。A列のXiとは、上記の各特性での計測(経および緯方向の平均)値であり、Wとは布帛の目付(mg/cm2)を意味している。
[通気度の測定方法]
JIS L 1096−1999 A記載の通気測定法(フラジール)に従い、125paの圧力下での通気量を測定し、5回の測定から得られた測定値の相加平均(cm3/cm2・sec)を採った。
[カバーファクター(CF)の算出方法]
織物におけるランダムに選定される3ヶ所の密度平均を測定し、下記計算式からCFを得た。
CF=(DWp)1/2×MWp+(DWf)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
[縫目ずれ測定方法]
JIS L1096−1999(縫目強さ)法に従い、グラブ法で測定した。
引張速度は30cm/minとして縫目ずれを測定し、5枚の値の相加平均(mm)として求めた。
(実施例1)
上部から星形5葉断面口金が配置されている紡糸ヘッド部、冷却装置、油剤給油部、ゴデッドローラー、巻き取り装置からなる紡糸機で極限粘度0.75のポリエステルポリマーを紡糸温度300℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、122.22デシテックス(110デニール)−5フィラメントの高配向未延伸糸を得た。この高配向未延伸糸2本を引き揃えて244.44デシテックス(220デニール)−10フィラメントとし、ローラー間の延伸倍率を1.83倍、加工速度を1000m/分、熱処理ヒーターの温度を220℃、仮撚装置として3軸ディスクフリクション型の摩擦仮撚装置を用いて仮撚加工し、133.33デシテックス(120デニール)−10フィラメントの捲縮仮撚加工糸を得た。また、重量比がポリエステル/綿=65/35(T/65C)の混紡糸130デシテックス2本双糸として260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸を得た。
経糸:極太ポリエステル糸:133.33デシテックス(120デニール)−10フィラメント−DTYの2本双糸、単繊維繊度:13.33デシテックス(12デニール)、5葉断面糸
緯糸:45S/2 T/65C
組織は片マットを選び、エアージェットルームで製織する。一般的な染色仕上げ方法で加工後のカバーファクターは2042(75%)であった。該織物は高い通気性及び優れた清涼感がある。経および緯方向の中で高い方の動摩擦係数が0.8〜1.5、通気度が40〜80cm3/cm2/sec、経および緯方向の縫目ずれは0.5〜1.5mmであった。得られた織物はギラツキが無く、清涼素材としての性能的にも充分満足し得るものに仕上がった。結果を表2、3に示す。該糸を使うことにより、経編或は緯編で優れる清涼感の編物も得られるものであった。
(実施例2)
上部から星形8葉断面口金が配置されている紡糸ヘッド部、冷却装置、油剤給油部、ゴデッドローラー、巻き取り装置からなる紡糸機で極限粘度0.75のポリエステルポリマーを紡糸温度300℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、122.22デシテックス(110デニール)−5フィラメントの高配向未延伸糸を得た。この高配向未延伸糸2本を引き揃えて244.44デシテックス(220デニール)−10フィラメントとし、ローラー間の延伸倍率を1.47倍、加工速度を1000m/分、熱処理ヒーターの温度を220℃、仮撚装置として3軸ディスクフリクション型の摩擦仮撚装置を用いて仮撚加工し、166.67デシテックス(150デニール)−15フィラメントの捲縮仮撚加工糸を得た。
[通気度の測定方法]
JIS L 1096−1999 A記載の通気測定法(フラジール)に従い、125paの圧力下での通気量を測定し、5回の測定から得られた測定値の相加平均(cm3/cm2・sec)を採った。
[カバーファクター(CF)の算出方法]
織物におけるランダムに選定される3ヶ所の密度平均を測定し、下記計算式からCFを得た。
CF=(DWp)1/2×MWp+(DWf)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
[縫目ずれ測定方法]
JIS L1096−1999(縫目強さ)法に従い、グラブ法で測定した。
引張速度は30cm/minとして縫目ずれを測定し、5枚の値の相加平均(mm)として求めた。
(実施例1)
上部から星形5葉断面口金が配置されている紡糸ヘッド部、冷却装置、油剤給油部、ゴデッドローラー、巻き取り装置からなる紡糸機で極限粘度0.75のポリエステルポリマーを紡糸温度300℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、122.22デシテックス(110デニール)−5フィラメントの高配向未延伸糸を得た。この高配向未延伸糸2本を引き揃えて244.44デシテックス(220デニール)−10フィラメントとし、ローラー間の延伸倍率を1.83倍、加工速度を1000m/分、熱処理ヒーターの温度を220℃、仮撚装置として3軸ディスクフリクション型の摩擦仮撚装置を用いて仮撚加工し、133.33デシテックス(120デニール)−10フィラメントの捲縮仮撚加工糸を得た。また、重量比がポリエステル/綿=65/35(T/65C)の混紡糸130デシテックス2本双糸として260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸を得た。
経糸:極太ポリエステル糸:133.33デシテックス(120デニール)−10フィラメント−DTYの2本双糸、単繊維繊度:13.33デシテックス(12デニール)、5葉断面糸
緯糸:45S/2 T/65C
組織は片マットを選び、エアージェットルームで製織する。一般的な染色仕上げ方法で加工後のカバーファクターは2042(75%)であった。該織物は高い通気性及び優れた清涼感がある。経および緯方向の中で高い方の動摩擦係数が0.8〜1.5、通気度が40〜80cm3/cm2/sec、経および緯方向の縫目ずれは0.5〜1.5mmであった。得られた織物はギラツキが無く、清涼素材としての性能的にも充分満足し得るものに仕上がった。結果を表2、3に示す。該糸を使うことにより、経編或は緯編で優れる清涼感の編物も得られるものであった。
(実施例2)
上部から星形8葉断面口金が配置されている紡糸ヘッド部、冷却装置、油剤給油部、ゴデッドローラー、巻き取り装置からなる紡糸機で極限粘度0.75のポリエステルポリマーを紡糸温度300℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、122.22デシテックス(110デニール)−5フィラメントの高配向未延伸糸を得た。この高配向未延伸糸2本を引き揃えて244.44デシテックス(220デニール)−10フィラメントとし、ローラー間の延伸倍率を1.47倍、加工速度を1000m/分、熱処理ヒーターの温度を220℃、仮撚装置として3軸ディスクフリクション型の摩擦仮撚装置を用いて仮撚加工し、166.67デシテックス(150デニール)−15フィラメントの捲縮仮撚加工糸を得た。
また、極限粘度〔η〕=0.64のポリエチレンテレフタレートを丸孔18穴と凹部を有する断面形状として8葉孔18穴を配した口金を用いて、3000m/分の引取速度で通常の溶融紡糸方法により紡糸し引揃えた後巻取り、それぞれ288.89デシテックス(260デニール)−36フィラメントの未延伸糸を得た。この未延伸糸を、引伸し速度640m/分、加熱ローラー温度85℃、熱セット引伸ローラー106℃、引伸し倍率1.73の条件で引伸し熱セット後、引き取り、さらにボビンに巻き取り、166.67デシテックス(150デニール)−36フィラメント−DTY混繊複合糸(吸水速乾糸)を得た。
経糸:極太ポリエステル糸:166.67デシテックス(150デニール)−15フィラメント−DTY、単糸繊度:11.11デシテックス(10デニール)、8葉断面糸
緯糸:166.67デシテックス(150デニール)−36フィラメント−DTY(吸水速乾)
組織は2/2ツイルを選び、エアージェットルームで製織する。該生機を用い、定法によって、精練、中間セット、アルカリ減量、染色を施した後、仕上げセットを実施し、カバーファクターは2339(83%)の染色加工布を得た。該織物はギラツキが無く、適度な清涼感、吸水特性を有し、尚且つ縫製品にした際の取扱性、一般特性にも優れる。経および緯方向の中で高い方の動摩擦係数は0.5〜1.4、通気度は30〜150cm3/cm2/sec、経および緯方向の縫目ずれは0.7mmであった。結果を表2、3に示す。該糸を使うことにより、経編或はヨコ編で優れる清涼感の編物も得られるものであった。
(実施例3)
上部から星形8葉断面口金が配置されている紡糸ヘッド部、冷却装置、油剤給油部、ゴデッドローラ、巻き取り装置からなる紡糸機で極限粘度0.75のポリエステルポリマーを紡糸温度300℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、120デシテックス−5フィラメントの高配向未延伸糸を得た。この高配向未延伸糸2本を引き揃えて240デシテックス−10フィラメントとし、ローラー間の延伸倍率を1.85倍、加工速度を1000m/分、熱処理ヒーターの温度を220℃、仮撚装置として3軸ディスクフリクション型の摩擦仮撚装置を用いて仮撚加工し、130デシテックス−10フィラメントの捲縮仮撚加工糸を得た。また、重量比がポリエステル/綿=65/35の混紡糸130デシテックス2本双糸として260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸を得た。経糸を捲縮仮撚加工糸に、緯糸を諸撚糸としてエアージェットルームによる製織で経密度が114本/2.54cm、緯密度が58本/2.54cmの平組織の生機を作製した。この生機を常法に従い精練、中間セット、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が108本/2.54cm、緯密度が54本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。
(実施例4)
実施例3で得た加工糸を用い、経糸を130デシテックス−10フィラメント−DTYの2本双糸として、緯糸を260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸として織組織を片マットでエアージェットルームによる製織を行った。経密度が114本/2.54cm、緯密度が58本/2.54cmの片マット組織の生機を作製した。この生機を常法に従って処理を行い、中間セット後の織物を減量率8%として処理した。その後も同様に定法に従い、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が124本/2.54cm、緯密度が57本/2.54cmの織物を得た。また減量後の極太糸の単糸繊度は11デシテックスであった。結果を表2、3に示す。
(実施例5)
実施例3に記載の糸使いの織物で、経糸を130デシテックス−10フィラメント−DTYとして、緯糸を260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸として織組織を2/1ツイルでエアージェットルームによる製織を行った。この生機を常法に従い精練、中間セット、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が132本/2.54cm、緯密度が54本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。
(比較例1)
実施例3に記載の同様の紡糸法および仮撚加工法で、130デシテックス(117.00デニール)−36フィラメント−DTYを作成した。これを極太異形断面糸を経糸に使用し、緯糸は実施例1に記載の260デシテックス(234.00デニール)の混紡糸を使用し、経糸を2本双糸にして織組織を片マットで生機を作製した。この生機を常法に従い精練、中間セット、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が128本/2.54cm、緯密度が56本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。得られた織物は、曲げ剛性が小さく、通気度が低いものであった。
(比較例2)
綿糸75デシテックス(英国式番手で80番手)2本双糸として150デシテックスの諸撚糸を得た。この諸撚糸を緯糸とし、経糸は実施例3に記載の捲縮仮撚加工糸で経密度が72本/2.54cm、緯密度が50本/2.54cmの平組織の生機を作製した。この生機を常法に従い精精練、中間セット、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が76本/2.54cm、緯密度が51本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。得られた織物は、カバーファクターが小さく、縫い目ずれが大きなものであった。
(比較例3)
実施例3の経糸に使用する極太糸の紡糸口金を丸断面にし、240デシテックス−10フィラメントのポリエステル半延伸糸を1.85倍とする延伸を行い、仮撚り加工を施していない130デシテックス−10フィラメントの延伸糸(DT)を得た。この延伸糸を経糸として、緯糸として実施例3で得た重量比がポリエステル/綿=65/35の混紡糸260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸を用いて、平組織の生機を作製した。その他は同一条件にてファイナルセットまで行い、仕上経密度が98本/2.54cm、緯密度が60本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。得られた織物には縫い目ずれが発生し、また、丸断面糸によるギラツキが発生した。
経糸:極太ポリエステル糸:166.67デシテックス(150デニール)−15フィラメント−DTY、単糸繊度:11.11デシテックス(10デニール)、8葉断面糸
緯糸:166.67デシテックス(150デニール)−36フィラメント−DTY(吸水速乾)
組織は2/2ツイルを選び、エアージェットルームで製織する。該生機を用い、定法によって、精練、中間セット、アルカリ減量、染色を施した後、仕上げセットを実施し、カバーファクターは2339(83%)の染色加工布を得た。該織物はギラツキが無く、適度な清涼感、吸水特性を有し、尚且つ縫製品にした際の取扱性、一般特性にも優れる。経および緯方向の中で高い方の動摩擦係数は0.5〜1.4、通気度は30〜150cm3/cm2/sec、経および緯方向の縫目ずれは0.7mmであった。結果を表2、3に示す。該糸を使うことにより、経編或はヨコ編で優れる清涼感の編物も得られるものであった。
(実施例3)
上部から星形8葉断面口金が配置されている紡糸ヘッド部、冷却装置、油剤給油部、ゴデッドローラ、巻き取り装置からなる紡糸機で極限粘度0.75のポリエステルポリマーを紡糸温度300℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、120デシテックス−5フィラメントの高配向未延伸糸を得た。この高配向未延伸糸2本を引き揃えて240デシテックス−10フィラメントとし、ローラー間の延伸倍率を1.85倍、加工速度を1000m/分、熱処理ヒーターの温度を220℃、仮撚装置として3軸ディスクフリクション型の摩擦仮撚装置を用いて仮撚加工し、130デシテックス−10フィラメントの捲縮仮撚加工糸を得た。また、重量比がポリエステル/綿=65/35の混紡糸130デシテックス2本双糸として260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸を得た。経糸を捲縮仮撚加工糸に、緯糸を諸撚糸としてエアージェットルームによる製織で経密度が114本/2.54cm、緯密度が58本/2.54cmの平組織の生機を作製した。この生機を常法に従い精練、中間セット、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が108本/2.54cm、緯密度が54本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。
(実施例4)
実施例3で得た加工糸を用い、経糸を130デシテックス−10フィラメント−DTYの2本双糸として、緯糸を260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸として織組織を片マットでエアージェットルームによる製織を行った。経密度が114本/2.54cm、緯密度が58本/2.54cmの片マット組織の生機を作製した。この生機を常法に従って処理を行い、中間セット後の織物を減量率8%として処理した。その後も同様に定法に従い、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が124本/2.54cm、緯密度が57本/2.54cmの織物を得た。また減量後の極太糸の単糸繊度は11デシテックスであった。結果を表2、3に示す。
(実施例5)
実施例3に記載の糸使いの織物で、経糸を130デシテックス−10フィラメント−DTYとして、緯糸を260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸として織組織を2/1ツイルでエアージェットルームによる製織を行った。この生機を常法に従い精練、中間セット、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が132本/2.54cm、緯密度が54本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。
(比較例1)
実施例3に記載の同様の紡糸法および仮撚加工法で、130デシテックス(117.00デニール)−36フィラメント−DTYを作成した。これを極太異形断面糸を経糸に使用し、緯糸は実施例1に記載の260デシテックス(234.00デニール)の混紡糸を使用し、経糸を2本双糸にして織組織を片マットで生機を作製した。この生機を常法に従い精練、中間セット、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が128本/2.54cm、緯密度が56本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。得られた織物は、曲げ剛性が小さく、通気度が低いものであった。
(比較例2)
綿糸75デシテックス(英国式番手で80番手)2本双糸として150デシテックスの諸撚糸を得た。この諸撚糸を緯糸とし、経糸は実施例3に記載の捲縮仮撚加工糸で経密度が72本/2.54cm、緯密度が50本/2.54cmの平組織の生機を作製した。この生機を常法に従い精精練、中間セット、毛焼、染色、吸水加工、ファイナルセットを行い、仕上経密度が76本/2.54cm、緯密度が51本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。得られた織物は、カバーファクターが小さく、縫い目ずれが大きなものであった。
(比較例3)
実施例3の経糸に使用する極太糸の紡糸口金を丸断面にし、240デシテックス−10フィラメントのポリエステル半延伸糸を1.85倍とする延伸を行い、仮撚り加工を施していない130デシテックス−10フィラメントの延伸糸(DT)を得た。この延伸糸を経糸として、緯糸として実施例3で得た重量比がポリエステル/綿=65/35の混紡糸260デシテックス(英国式番手表記で45S/2)の諸撚糸を用いて、平組織の生機を作製した。その他は同一条件にてファイナルセットまで行い、仕上経密度が98本/2.54cm、緯密度が60本/2.54cmの織物を得た。結果を表2、3に示す。得られた織物には縫い目ずれが発生し、また、丸断面糸によるギラツキが発生した。
Claims (7)
- 単糸繊度が5.56〜22.22デシテックス(デニール換算で5〜20デニール)のマルチフィラメント仮撚加工糸を経および緯方向の少なくとも一方に使用した、且つ織物の経および緯方向のうち動摩擦係数の高い方の値が0.5〜2.0であり、且つ通気度が30〜150cm3/cm2/secあり、且つ経および緯方向の縫目ずれが共に3.0mm以下であることを特徴とする織物。
- マルチフィラメント仮撚加工糸のフィラメント数が2〜24本であり、且つトータル繊度が50〜200デシテックスであることを特徴とする請求項1に記載の織物。
- 以下の式で表される織物のカバーファクター(CF)が1500〜2700であることを特徴とする請求項1に記載の織物。
CF=(DWp)1/2×MWp+(DWf)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(デシテックス)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(デシテックス)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。 - KES法による織物の経および緯方向の曲げ剛性の大きい方の値が0.15gf・cm2/cm以上であり、かつKES法のSUMMER SUIT用のSHARIのH.V.(ハンドバリュー)が5.0以上であることを特徴とする請求項1に記載の織物。
- マルチフィラメント仮撚加工糸の原糸断面形状が非円形の型であることを特徴とする請求項1に記載の織物。
- マルチフィラメント仮撚加工糸の原糸断面形状の非円形の型が角を有する異形断面形状であることを特徴とする請求項5に記載の織物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の織物を用いた衣服。
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