JP2009045970A - エアバッグドア - Google Patents
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Abstract
【課題】エアバッグの膨張・展開時にエアバッグドアの基材と表皮が同調した好適な部位別破断順序で破断するエアバッグドアを提供する。
【解決手段】基材裏面にエアバッグドア形状に形成したティア溝のセンターラインの基材残厚を他の部位より小さくすると共に、センターライン部分及びサイドライン/センターライン会合部の近傍には選択的に表皮破断用の針孔を設けたエアバッグドア。
【選択図】図1
【解決手段】基材裏面にエアバッグドア形状に形成したティア溝のセンターラインの基材残厚を他の部位より小さくすると共に、センターライン部分及びサイドライン/センターライン会合部の近傍には選択的に表皮破断用の針孔を設けたエアバッグドア。
【選択図】図1
Description
本発明は基材上に表皮を備える各種車両内装材に形成されるエアバッグドアに関し、更に詳しくは、エアバッグの膨張・展開時において基材と表皮が互いに同調した好適な部位別破断順序で破断するように、基材破断用のティア加工と表皮破断用のティア加工とを施したエアバッグドアに関する。
例えば自動車の助手席用に設けるエアバッグ装置は、一般的には車両内装材であるインストルメントパネルの裏側に配設される。この場合、通常は、インストルメントパネルの該当部分におけるパネル基材の裏面に、1次的ティア加工としてエアバッグドア形状の連続したティア溝を形成する。このティア溝は1対の扉からなる両開き式のエアバッグドアの形状に形成する場合が多い。そしてティア溝の底部には更に2次的ティア加工を行う。これらのティア加工により、エアバッグ展開時の膨出圧力に基づいてエアバッグドアが迅速に破断・開扉するように構成する。
インストルメントパネル等の各種の車両内装材は、基材上に、通常は発泡材層を介して、表皮を備える積層構造体とすることが一般的である。このような積層構造体のティア加工としては、破断抵抗が極めて小さい発泡材層は別として、基材と表皮とを破断できるティア加工を必要とする。前記ティア溝の形成は基材破断用のティア加工に属する。これらのティア加工には、その加工自体や加工の痕跡が、いわゆる熱歪によっても車両内装材の表面外観に現れないというインビジブル性が要求される。
ところで、本願発明者の研究によれば、表皮を伴う車両内装材に形成したエアバッグドア用ティアラインにおいては、ティアラインの各部分におけるティア加工の内容次第で、エアバッグ展開時におけるエアバッグドアの破断パターンが大きく変化する。そしてエアバッグドアの破断・開扉時において、基材と表皮とがそれぞれ好ましい部位別の破断順序で、かつ互いに同調して破断することが重要である。
基材と表皮とが好ましいパターンで破断しない場合、次のような不具合を招く恐れがある。
(1)エアバッグドアの正しい破断・開扉に基づくエアバッグの迅速で十分な展開モードを確保し難い場合がある。
(2)基材がクリアーに破断されず、その破断部にバリ等が形成されて、展開したエアバッグを傷付ける可能性がある。
(3)表皮の適正な破断を確保できない場合、その表皮の過剰な拘束によって基材の一定部分の破断が阻害される可能性がある。
(1)エアバッグドアの正しい破断・開扉に基づくエアバッグの迅速で十分な展開モードを確保し難い場合がある。
(2)基材がクリアーに破断されず、その破断部にバリ等が形成されて、展開したエアバッグを傷付ける可能性がある。
(3)表皮の適正な破断を確保できない場合、その表皮の過剰な拘束によって基材の一定部分の破断が阻害される可能性がある。
このような見地からすれば、前記の特許文献1及び特許文献2では、表皮を伴うインストルメントパネルに基材破断用のティア加工と表皮破断用のティア加工とを併せて行う技術を開示するものの、これらのティア加工によって基材と表皮の部位別の破断順序を規制しようとする技術的思想や、更に基材と表皮の破断順序を同調させようとする技術的思想は見られない。特許文献3及び特許文献4では、エアバッグドア形状の溝の深さを部位ごとに調節して基材の部位別の破断順序を規制する技術が認められるものの、表皮のティア加工に関する開示はないし、当然ながら基材の部位別破断順序と同調した表皮の部位別破断順序を規制する手段を全く開示しない。基材の破断順序の規制と表皮の破断順序の規制とでは、そのティア加工の形態やティアライン全体における加工部位の分布が大きく異なるため、基材の部位別破断順序の規制手段からの類推で表皮の部位別破断順序の好適な規制手段を着想することは困難である。基材の部位別破断順序と同調した表皮の部位別破断順序を規制する手段を着想することは、更に困難である。特許文献5でも、基材と表皮との部位別の破断順序を規制しようとする技術的思想は認められない。
次に、従来のエアバッグ装置では、エアバッグドアはヒンジ動作以外に特別の拘束を受けない状態で開扉する。そのため、膨出するエアバッグはエアバッグドアによって干渉されることなく、通常はエアバッグ収納部の壁面に対する略垂直方向へ展開される。
エアバッグ装置を設定した壁部のロケーションと、その壁面の傾きとが車両の乗員に対して好適な空間的位置関係にある場合、上記のように展開したエアバッグが乗員保護に最適な方向へ展開されるので問題がない。しかし、例えばエアバッグ装置をインストルメントパネルに設ける場合、他の各種の取付け部品とのレイアウト上の制約があるため、エアバッグ装置をインストルメントパネルの上側面あるいはそれに近い部位に設定せざるを得ない場合が多い。このような場合、エアバッグは基本的に上方へ向かって展開され、これは必ずしも乗員保護のために最適な展開方向ではない。インストルメントパネル以外の、例えば自動車等の車両の天井部、フロントシート後面部、自動車のリアデッキ部等にエアバッグ装置を設ける際にも、エアバッグの展開方向を最適な方向へガイドしたい場合が多々予想される。
そこで本発明は、基材上に表皮を備える車両内装材に形成され、エアバッグの膨張・展開時において基材と表皮が互いに同調した好適な部位別破断順序で良好に破断するエアバッグドアを提供すること、更に好ましくは、膨出するエアバッグを最適な方向に展開するようにガイドすることができるエアバッグドアを提供することを目的とする。
これらの目的を達成するためのエアバッグドアにおいて、いわゆるインビジブル性の考慮から、表皮破断用のティア加工として「車両内装材の基材を貫通し表皮に達するが、表皮を貫通しないドット状ティア孔」を間隔をおいて形成することは、合理的な手段と考えられる。本願の出願人は、特願2006−208067号、特願2006−208705号、特願2006−326970号及び特願2007−140013号の明細書等に開示したエアバッグドアの発明において、このようなドット状ティア孔を、表皮破断用のティア加工として採用している。
しかしながら更に研究を進めたところ、上記のドット状ティア孔の形成は、「(薄皮状の材料である)表皮に達するが、表皮を貫通しない」という加工技術の精度が十分でない場合、例えば表皮における複数のドット状ティア孔の深さが均一でない場合には、インビジブル性に幾分の問題を生じる可能性のあることが分かった。このような問題を生じる理由は、加工技術の精度や、ドット状ティア孔の孔径の大小にも関連するが、より本質的には、ドット状ティア孔がエンドミル等によって材料の排除を伴う切削加工により形成される孔である点にあると考えられる。本発明は、この問題の解消をも目的とする。
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、表皮付き車両内装材の基材の裏面に1対の扉からなるエアバッグドア形状の連続したティア溝を形成し、ティア溝の底部には基材を貫通するドット状下孔及び該ドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を、間隔をおいて形成したエアバッグドアであって、
前記ティア溝においては溝深さの調節によりエアバッグドアのセンターラインの溝部の基材残厚を他の部位より小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔は、前記センターラインの溝部と、前記エアバッグドアの1対のサイドラインがセンターラインと会合する会合部の近傍の溝部とに選択的に形成した、エアバッグドアである。
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、表皮付き車両内装材の基材の裏面に1対の扉からなるエアバッグドア形状の連続したティア溝を形成し、ティア溝の底部には基材を貫通するドット状下孔及び該ドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を、間隔をおいて形成したエアバッグドアであって、
前記ティア溝においては溝深さの調節によりエアバッグドアのセンターラインの溝部の基材残厚を他の部位より小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔は、前記センターラインの溝部と、前記エアバッグドアの1対のサイドラインがセンターラインと会合する会合部の近傍の溝部とに選択的に形成した、エアバッグドアである。
針孔が「ドット状下孔と対向して」とは、換言すれば、針孔の軸線がドット状下孔を通過すること、更に好ましくは、針孔の軸線がドット状下孔の軸線と略一致することをいう。
第1発明のエアバッグドアにおいては、エアバッグドア形状に連続して形成した基材破断用のティア溝を形成しているため、基材の破断が確保される。
又、ティア溝の底部には、表皮破断用のドット状下孔及び針孔を形成しているため、表皮の破断が確保される。よほど大径の刺針を使用しない限り、針孔が表皮を貫通しても、その針孔の痕跡を車両内装材の表面において肉眼的に認識することができず、熱歪の負荷を与えた後も同様であることが分かった。従って、表皮を貫通する針孔を形成してもティアラインのインビジブル性を確保できる。その理由は、針孔が表皮を刺針で刺し通して形成されるものであって、表皮の切削加工により形成されるものではない点にあると考えられる。針孔の形成にあたり、表皮に対して刺針を表面側から刺し通しても、裏面側(基材側)から刺し通しても、ティアラインのインビジブル性は確保される。
又、エアバッグドアのセンターラインの溝部において、基材破断用ティア加工の一部であるティア溝の深さを大きくし、言い換えれば、その部分の基材残厚を他の部位より小さく設定している。更に、表皮破断用のドット状下孔及び針孔も、センターラインの溝部に選択的に形成している。そのため、エアバッグドアのセンターライン部分から基材と表皮が同調して破断を開始するという正しい破断順序が確保される。
一方、エアバッグドアのサイドライン部分における基材の破断に対しては、表皮が重要な影響を与えるという事実が経験的に分かっている。サイドライン部分で表皮が全く破断しない場合、基材のサイドライン部分の破断が表皮の過剰な拘束(突っ張り抵抗)によって阻害される。反面、仮にサイドラインの全体にドット状下孔及び針孔を配設した場合、表皮がサイドライン沿いに無抵抗に破断されるため、基材の破断に対する表皮の制御が効かなくなる。この場合にも、エアバッグドアの正しい破断が確保されないことが判明している。
第1発明においては、エアバッグドアのサイドラインがセンターラインと会合する会合部の近傍の溝部にもドット状下孔及び針孔を選択的に形成している。この場合、エアバッグドアの破断がセンターラインからサイドラインに転換される際に、表皮のサイドライン部分も会合部において破断される。そのため、サイドライン部分の基材の破断が表皮の過剰な拘束によって阻害される恐れがなく、同時に、サイドライン部分での基材の破断に対する表皮の制御効果も維持される。
以上のように、第1発明のエアバッグドアにおいては、エアバッグの膨張・展開時において基材と表皮が互いに同調した好適な部位別破断順序で良好に破断する。その結果、エアバッグの迅速かつ確実な展開モードを確保でき、両側のサイドラインでの基材の破断も確保され、かつ基材がクリアーに破断されて、展開したエアバッグに干渉し得るバリ等も形成されない。
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、表皮付き車両内装材の基材の裏面に1対の扉からなるエアバッグドア形状の連続したティア溝を形成し、ティア溝の底部からは基材を貫通し表皮に達しない長孔状ティア孔を間隔をおいて形成し、かつ、長孔状ティア孔の底部に、及び長孔状ティア孔が形成されていない部分においては基材を貫通するドット状下孔を形成してそのドット状下孔の底部に、これら長孔状ティア孔及びドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を、間隔をおいて形成したエアバッグドアであって、
前記ティア溝においては溝深さの調節によりエアバッグドアのセンターラインの溝部の基材残厚を他の部位より小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔は、前記センターラインの溝部と、前記エアバッグドアの1対のサイドラインがセンターラインと会合する会合部の近傍の溝部とに選択的に形成した、エアバッグドアである。
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、表皮付き車両内装材の基材の裏面に1対の扉からなるエアバッグドア形状の連続したティア溝を形成し、ティア溝の底部からは基材を貫通し表皮に達しない長孔状ティア孔を間隔をおいて形成し、かつ、長孔状ティア孔の底部に、及び長孔状ティア孔が形成されていない部分においては基材を貫通するドット状下孔を形成してそのドット状下孔の底部に、これら長孔状ティア孔及びドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を、間隔をおいて形成したエアバッグドアであって、
前記ティア溝においては溝深さの調節によりエアバッグドアのセンターラインの溝部の基材残厚を他の部位より小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔は、前記センターラインの溝部と、前記エアバッグドアの1対のサイドラインがセンターラインと会合する会合部の近傍の溝部とに選択的に形成した、エアバッグドアである。
なお、「長孔状ティア孔」とは、幅の狭い長孔状あるいは線状にカットしたティア加工部分をいう。針孔は、長孔状ティア孔が形成されていない部分においては、基材を貫通するドット状下孔を形成してそのドット状下孔の底部にドット状下孔と対向して表皮を貫通する。
以上の第2発明によれば、ティア溝に形成した長孔状ティア孔によって基材の破断が一層良好に確保される。基材の破断を良好に確保するためには、長孔状ティア孔を形成することに代えて、ティア溝の基準の深さを相対的に大きくすることもできる。又、第2発明によれば、長孔状ティア孔の底部に、及び長孔状ティア孔が形成されていない部分においては基材を貫通するドット状下孔を形成してそのドット状下孔の底部に、これら長孔状ティア孔及びドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を間隔をおいて形成するので、針孔による表皮の破断効果は第1発明と同様に確保される。
その他、第2発明のエアバッグドアにおいては、前記第1発明と同様の作用・効果を奏する。
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係るセンターラインの溝部の基材残厚をセンターラインの中央部において特に小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔を、センターラインの中央部の溝部と、前記会合部の近傍の溝部とに特に高密度に形成した、エアバッグドアである。
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係るセンターラインの溝部の基材残厚をセンターラインの中央部において特に小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔を、センターラインの中央部の溝部と、前記会合部の近傍の溝部とに特に高密度に形成した、エアバッグドアである。
第3発明によれば、前記したエアバッグドアの部位別破断順序が、より確実かつスムーズに確保される。即ち、
(1)特に破断し易いセンターラインの中央部が最初に破断し、次いで
(2)センターライン全体が両端に到るまで一直線に破断し、更に
(3)上記の(2)に続いてあるいは(2)と同時に、1対のサイドラインが破断する。
(1)特に破断し易いセンターラインの中央部が最初に破断し、次いで
(2)センターライン全体が両端に到るまで一直線に破断し、更に
(3)上記の(2)に続いてあるいは(2)と同時に、1対のサイドラインが破断する。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明ないし第3発明に係る車両内装材が基材上に発泡材層を介して表皮を備えるものである、エアバッグドアである。
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明ないし第3発明に係る車両内装材が基材上に発泡材層を介して表皮を備えるものである、エアバッグドアである。
エアバッグドアを形成する車両内装材としては、限定はされないが、基材上に発泡材層を介して表皮を備えるものが好ましい。この場合には、長孔状ティア孔及びドット状下孔は基材を貫通して発泡材層に達するように設けることができ、針孔は発泡材層及び表皮を貫通する。発泡材層は極めて破断し易いので、発泡材層の存在によって基材と表皮の破断が影響を受けることはない。
(第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第1発明ないし第4発明のいずれかに係るセンターラインの両端部からは、会合部よりも更に外側へ、間隔をおいて形成した基材を貫通するドット状下孔及び該ドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔により構成される延長ティアラインを延設した、エアバッグドアである。
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第1発明ないし第4発明のいずれかに係るセンターラインの両端部からは、会合部よりも更に外側へ、間隔をおいて形成した基材を貫通するドット状下孔及び該ドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔により構成される延長ティアラインを延設した、エアバッグドアである。
この延長ティアラインは、エアバッグドア用ティアラインにおけるセンターラインの延長部として形成されるものであるが、ドット状下孔及び針孔のみにより構成され、ティア溝も、長孔状ティア孔も伴わない。
第1発明に関して前記したように、エアバッグドアの破断・開扉にあたり、サイドライン部分における基材の良好な破断を確保することが重要である。サイドライン部分の基材が良好に破断しなければ、エアバッグドアの1対の扉が十分に開かない恐れがあり、エアバッグの十分な展開に支障を来たし得る。
第5発明では、第1発明のように会合部の近傍部分にドット状下孔及び針孔を選択的に形成することに加え、センターラインの両端部から外側へ延長ティアラインを延設する。従って、延長ティアライン沿いに表皮が更に破断する。その結果、サイドライン部分における基材の破断に対する表皮の過剰な拘束(表皮の過剰な突っ張り抵抗)を一層良好に抑制することができる。従って、サイドラインの破断を一層良好に確保することができる。延長ティアラインの部分においては、表皮破断のみが起こり、基材は破断しない。
(第6発明)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第5発明に係る延長ティアラインを、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴ってセンターラインの両端部から外側へ延設した、エアバッグドアである。
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第5発明に係る延長ティアラインを、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴ってセンターラインの両端部から外側へ延設した、エアバッグドアである。
第6発明に係る延長ティアラインを設けた場合、上記第5発明の作用・効果に加え、以下の作用・効果が得られる。
即ち、エアバッグドアのセンターライン部とサイドライン部が破断され1対の扉体が開扉しようとするとき、延長ティアラインの部分では、表皮のみが屈折を伴う線状に破断する。このような形状に表皮が破断する場合、1対の扉体のうち延長ティアラインが屈折する方向に位置する扉体(前者の扉体)は表皮の突っ張り抵抗をほとんど受けず、十分に大きな開き角度まで開扉する。逆に、他方の扉体(後者の扉体)は表皮の突っ張り抵抗を受け、小さな開き角度までしか開扉できない。その結果、エアバッグの展開方向は、後者の扉体の規制により、延長ティアラインの屈折角度方向へガイドされる。
例えばエアバッグ装置をインストルメントパネルに設ける場合、他の各種の取付け部品とのレイアウトの関係やインストルメントパネル自体の表面形状の関係から、エアバッグドアをパネルの上側面等に設定せざるを得ない場合が多い。このような場合、エアバッグは基本的に上方へ向かって展開されることになり、必ずしも乗員保護のために最適な方向へ展開されるとは言えない。
しかし、第6発明によれば、エアバッグの膨出時の展開方向を、インストルメントパネルから後方(助手席方向)へ向けて斜め上方という、最適な方向へガイドすることができる。この場合に限らず、一般的に、エアバッグの膨出時の展開方向を、乗員保護のために最適な方向へガイドできる。
本発明によって、基材上に表皮を備える車両内装材にインビジブルに形成され、エアバッグの膨張・展開時において基材と表皮が互いに同調した好適な部位別破断順序で良好に破断するエアバッグドアを提供することができる。
次に、本発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
〔エアバッグドア〕
本発明に係るエアバッグドアは、表皮付きの車両内装材に形成される。車両内装材の種類は限定されないが、自動車用の内装材が好ましく例示され、より具体的には自動車用のインストルメントパネル、天井材、フロントシート後面材、リアデッキ材、ピラーガーニッシュ等が例示される。表皮付きの車両内装材としては、車両内装材の基材上に直接に表皮を形成したものの他、より好ましくは基材上に中間層、例えば発泡材層を介して表皮を形成したものが挙げられる。基材と発泡材層との間に、接着材層を介在させることもできる。
本発明に係るエアバッグドアは、表皮付きの車両内装材に形成される。車両内装材の種類は限定されないが、自動車用の内装材が好ましく例示され、より具体的には自動車用のインストルメントパネル、天井材、フロントシート後面材、リアデッキ材、ピラーガーニッシュ等が例示される。表皮付きの車両内装材としては、車両内装材の基材上に直接に表皮を形成したものの他、より好ましくは基材上に中間層、例えば発泡材層を介して表皮を形成したものが挙げられる。基材と発泡材層との間に、接着材層を介在させることもできる。
基材、発泡材層及び表皮の構成材料は適宜に選択することができる。例えば、基材の構成材料にはポリプロピレン等の適宜な熱可塑性樹脂を用い、発泡材層の構成材料には発泡ポリプロピレンや発泡ポリウレタン等を用い、表皮の構成材料には適宜な種類のポリオレフィンを用いることができる。
基材上に発泡材層を介して表皮を有する車両内装材は、例えば、裏面に発泡材層を積層した表皮を真空成形すると同時にこれを基材へ圧着成形するというプロセスの凹引き真空成形法によって、有利に製造することができる。この場合、工程上の理由から、ティア溝だけでなく、長孔状ティア孔やドット状下孔も、積層体の形成後に基材側(車両内装材の裏側)から形成することになる。ティア溝、長孔状ティア孔、ドット状下孔の加工を行うためには、この種の加工における公知の各種の加工手段、例えばエンドミル加工、レーザー加工等を任意に採用することができるが、実施例において後述する理由から、特にエンドミル加工が好ましい。
針孔は、基材側からでも、表皮側からでも、刺針を刺し通して形成することができる。その際、所望の配列パターンで複数ないし多数の刺針を列状に配置した適宜な治具を用いて、複数ないし多数の針孔を同時に形成することが、加工の工数面で有利である。
エアバッグドアの形状は、基材の裏面に形成する連続したティア溝によって規定されるが、好ましくは、1対の扉体からなる両開き式のエアバッグドアとされる。単一の扉体からなる片開き式のエアバッグドアとすることも可能である。扉体は、裏面側で、公知のエアバッグ取付用のリテーナをヒンジ部材を介して連結することができる。
〔ティア溝〕
表皮付き車両内装材の基材の裏面には、エアバッグドア形状の連続したティア溝を形成する。ティア溝の底部には、必要な部位において基材を貫通するドット状下孔及び該ドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を間隔をおいて設け、好ましくは、更にティア溝の底部全体にわたり長孔状ティア孔を間隔をおいて設ける。ティア溝の全体形状は、形成されるエアバッグドアの形状に対応して任意であるが、例えば両開き式のエアバッグドアにおいては、1対の扉体に対応して、漢字である「日」の字の形状や、アルファベットの「H」の字の形状とされる。
表皮付き車両内装材の基材の裏面には、エアバッグドア形状の連続したティア溝を形成する。ティア溝の底部には、必要な部位において基材を貫通するドット状下孔及び該ドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を間隔をおいて設け、好ましくは、更にティア溝の底部全体にわたり長孔状ティア孔を間隔をおいて設ける。ティア溝の全体形状は、形成されるエアバッグドアの形状に対応して任意であるが、例えば両開き式のエアバッグドアにおいては、1対の扉体に対応して、漢字である「日」の字の形状や、アルファベットの「H」の字の形状とされる。
各溝部での基材の残厚は、その部位でのティア溝の深さにより規定される。ティア溝は、全体としては一定の基準の深さに形成される。基準の深さは必要に応じて任意に決定することができるが、例えば、基材の厚さの半分程度(ハーフカット)とすることができる。但し、ティア溝は、エアバッグドアのセンターラインの溝部ではより深く形成され、更に好ましくはセンターライン中央部の溝部でとりわけ深く形成される。一例として、基材の厚さをAとしたとき、溝部での基本的な基材残厚BをB=0.5〜0.7A程度とし、センターラインの溝部での基材残厚BをB=0.3A〜0.5A程度とし、更に、センターライン中央部の溝部での基材残厚BをB=0.2〜0.3A程度とすることができる。これらの基材残厚の差が、基材の溝部における部位別の破断の起こり易さを規定する。
〔長孔状ティア孔〕
長孔状ティア孔は、ティア溝の形成方向に沿って、ティア溝の底部から、基材を貫通し表皮に達しない深さに形成される。「基材を貫通し表皮に達しない」とは、基材上に表皮が形成されている場合にも、基材上に発泡材層等を介して表皮が形成されている場合にも、「基材を貫通するが、表皮を穿孔するに至らない」状態をいう。発泡材層等が介在する場合、通常、長孔状ティア孔は発泡材層等に達する深さに形成される。
長孔状ティア孔は、ティア溝の形成方向に沿って、ティア溝の底部から、基材を貫通し表皮に達しない深さに形成される。「基材を貫通し表皮に達しない」とは、基材上に表皮が形成されている場合にも、基材上に発泡材層等を介して表皮が形成されている場合にも、「基材を貫通するが、表皮を穿孔するに至らない」状態をいう。発泡材層等が介在する場合、通常、長孔状ティア孔は発泡材層等に達する深さに形成される。
ティア溝における長孔状ティア孔の設定部位と設定頻度は、エアバッグドアを構成する基材の破断・開扉を確保でき、かつ本発明の効果を阻害しない範囲で、特段に限定されない。好ましくは、ティア溝の全部位にわたり一定の間隔で一定の長径を持つ長孔状ティア孔を形成することができる。この場合、長孔状ティア孔の長径Pdと、ティア溝において長孔状ティア孔が形成されていない部分の長さ(長孔状ティア孔の間隔)Pnとの比率は限定されないが、例えばPd:Pn=4:6程度とすることができる。
[ドット状下孔及び針孔]
ドット状下孔は、針孔を形成すべき部位に基材が存在する場合に、予め基材を貫通するように設けられる孔である。針孔は、表皮に刺針を刺し通すことにより形成される点列状に配列した孔であって、表皮を貫通する。基材と表皮との間に発泡材層が介在する場合には、発泡材層も貫通する。ドット状下孔及び針孔は、ティア溝の所定の部位の底部と、後述する延長ティアラインとにおいて、適宜な間隔をおいて形成される。
ドット状下孔は、針孔を形成すべき部位に基材が存在する場合に、予め基材を貫通するように設けられる孔である。針孔は、表皮に刺針を刺し通すことにより形成される点列状に配列した孔であって、表皮を貫通する。基材と表皮との間に発泡材層が介在する場合には、発泡材層も貫通する。ドット状下孔及び針孔は、ティア溝の所定の部位の底部と、後述する延長ティアラインとにおいて、適宜な間隔をおいて形成される。
ティア溝の底部においては、ドット状下孔及び針孔は、センターラインの溝部と、前記エアバッグドアの1対のサイドラインがセンターラインと会合する会合部の近傍の溝部とに選択的に設けられる。より好ましくは、センターライン中央部の溝部と、前記会合部の近傍の溝部とに特に高密度に設けられる。ここにおいて、「会合部の近傍の溝部」とは、センターラインとサイドラインとがT字状に会合する部分の近傍のセンターライン溝部とサイドライン溝部とをいう。
針孔は表皮を貫通するため、少なくとも肉眼的には認識できないというインビジブル性を備えることが好ましい。一方、針孔には表皮に対する破断性能が要求される。これらのインビジブル性と表皮破断性能には、点列状に配列した針孔のピッチと、個々の針孔の孔径とが関係するが、これらの要求を満足できる針孔のピッチと孔径は、表皮を構成する合成樹脂材料の種類等によっても異なるため、数値を以て一律に限定することは困難である。
但し、インビジブル性と表皮破断性能を両立できる針孔のピッチ及び孔径の一例を示せば、針孔のピッチは2mmないし5mmの範囲内であり、針孔の孔径は0.1mmないし0.3mmの範囲内である。
針孔は長孔状ティア孔の底部に設けても良く、ティア溝において長孔状ティア孔が形成されていない部分においては基材を貫通するドット状下孔の底部に設けても良い。いずれに設けても、表皮破断用ティア加工としての効果に差はない。
[延長ティアライン]
延長ティアラインは、両開き式の扉体からなるエアバッグドアにおいて、そのセンターラインの両端部から、前記した会合部よりも更に外側へ延設されるティアラインである。このティアラインではドット状下孔及び針孔のみを形成し、ティア溝も長孔状ティア孔も形成しない。
延長ティアラインは、両開き式の扉体からなるエアバッグドアにおいて、そのセンターラインの両端部から、前記した会合部よりも更に外側へ延設されるティアラインである。このティアラインではドット状下孔及び針孔のみを形成し、ティア溝も長孔状ティア孔も形成しない。
延長ティアラインの延設形状は限定されないが、好ましくは、センターラインから屈折せずに直線的に延設され、さらに好ましくは、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴って直線的に延設される。「直線的」とは、実質的に直線的であれば足りる。上記の屈折角度は設計諸元上の要求に応じて任意に決定すれば良いが、好ましくは30°程度とすることができる。延長ティアライン全体の長さは特段に限定されず、設計上の必要に応じて任意に決定されるが、例えば50mmないし150mm程度とすることができる。
次に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本発明の技術的範囲は、以下の実施例によって限定されない。
[実施例1]
(実施例1におけるエアバッグドア)
本実施例のエアバッグドア1は自動車のインストルメントパネルに形成される。インストルメントパネルの裏面側から見たエアバッグドア1を図1に示し、図1のA−A線に沿う断面図を図2に示す。
(実施例1におけるエアバッグドア)
本実施例のエアバッグドア1は自動車のインストルメントパネルに形成される。インストルメントパネルの裏面側から見たエアバッグドア1を図1に示し、図1のA−A線に沿う断面図を図2に示す。
図2から分かるように、インストルメントパネルは、基材2上に発泡材層3、表皮4を形成した積層構造体である。インストルメントパネルの裏面を構成する基材2は、ポリプロピレン製で3mmの厚さを持つ。発泡材層3は基材2に接し、発泡ポリプロピレン製で、厚さ約2mmの層である。発泡材層3に接する表皮4はインストルメントパネルの表面を構成し、ポリオレフィン製で、厚さ約0.6mmである。
図1に示すように、基材2の裏面には漢字の「日」の字の形状にティア溝5を連続して設けることにより、両開き式の1対の扉体6からなるエアバッグドア1を形成している。ティア溝5の幅は1mmである。図2のように、インストルメントパネルの裏面には、エアバッグドア1に対応する位置にエアバッグ取付用のリテーナ7が振動溶着により取付けられており、該リテーナ7と1対の扉体6は、それぞれリテーナ7に一体に形成されたヒンジ部材を介して連結されている。これにより、エアバッグ展開時におけるエアバッグドア1の飛散が防止される。図1ではリテーナ7の図示を省略している。
ティア溝5は、1対の扉体6の境界線であるセンターライン8と、これらの扉体6の両側端部に相当する両側のサイドライン9と、エアバッグドア1の上下端部に相当しセンターライン8に対して平行な上下の横ライン10とからなる。ティア溝5では、部位別に溝の深さ(基材2の残厚)に差異を設けている。
ティア溝5におけるサイドライン9と横ライン10との部位では、基材2の残厚Bは2.0mmである。この残厚Bを図3(a)によって示す。図3(a)は、横ライン10の部位におけるティア溝5の溝方向沿いの断面図である。なお、図3(b)はこの部位におけるティア溝5の平面図である。
ティア溝5におけるセンターライン8の部位では溝を相対的に深く形成し、基材2の残厚Bを小さくしている。即ちセンターライン8の部位において、その中央部11の両側方に隣接する側方部12の部位では、図示は省略するが、基材2の残厚Bは1.3mmである。センターライン8の中央部11では、この部位におけるティア溝5の溝方向沿いの断面図である図4によって示すように、基材2の残厚Bは更に小さく、1.0mmである。
図1においてティア溝5に沿って付した破線で示すように、ティア溝5の全ての部位で、その底部からは、基材2を貫通し発泡材層3に達する長孔状ティア孔13を、一定の間隔で間欠的に設けている。図3に基づいて長孔状ティア孔13を説明する。長孔状ティア孔13の短径は、ティア溝5の幅と一致する1mmである。又、長孔状ティア孔13の長径は一律に4mmであり、これが形成されていない部分即ち長孔状ティア孔13の間隔14は一律に6mmである。
次に、ティア溝5の底部には、下記の所定の部位において、基材2を貫通するドット状下孔19及び該ドット状下孔19と対向して発泡材層3及び表皮4を貫通する針孔15も併せ設けている。ドット状下孔19の孔径は1mmである。針孔15は太さ0.5mmの刺針Zを、図4(a)に示すようにティア溝5の底部方向から刺し通して、又は表皮4方向から刺し通して形成したものである。刺針Zを抜いた後の孔径の縮みのため、実際に形成される針孔15の孔径は0.3mmである。この針孔15は、センターライン8の部位と、サイドライン9がセンターライン8とT字状に会合する会合部近傍16の部位とに選択的に設け、かつ、センターライン8の中央部11と会合部近傍16では特に高密度に設ける。
図4(a)はセンターライン8の中央部11におけるティア溝5の溝方向沿いの断面図であり、図4(b)はこの部位におけるティア溝5の平面図である。図4に示すように、センターライン8の中央部11においては、孔径が0.3mmの針孔15を2.0mmのピッチで設けるため、長孔状ティア孔13の底部に、及び長孔状ティア孔13が形成されていない部分14においては基材2を貫通するドット状下孔19を形成してそのドット状下孔19の底部に、針孔15を設ける結果となる。会合部近傍16の部位においても、これと同程度の密度でドット状下孔19及び針孔15を設けている。センターライン8の側方部12では、これよりやや粗い密度でドット状下孔19及び針孔15を設けている。
以上に述べたティア溝5の幅、長孔状ティア孔13の短径及びドット状下孔19の孔径は、いずれも等しく1mmであるため、例えば同じエンドミルを用いて同一工程で連続的に形成することができる。
図1に示すように、エアバッグドア1には更に延長ティアライン17を設けている。延長ティアライン17は、前記したセンターライン8の両端部からサイドライン9との会合部よりも更に外側へ延設された形状を有し、かつ、矢印D方向へ約30°の屈折角度を伴って直線的に延設されている。図5(a)はこの部分の延長ティアライン17に沿う方向の断面図であり、図5(b)はこの部位の平面図である。図5に示すように、延長ティアライン17はドット状下孔19及び針孔15の配列のみによって形成され、ティア溝5も長孔状ティア孔13も伴わない。ドット状下孔19及び針孔15を設ける密度は比較的高いことが好ましく、本実施例では、図4に示すセンターライン8の中央部11と同等の密度としている。
針孔の配列がインビジブルであることを示す写真を図7として示す。この写真は、実施例1に従ってインストルメントパネルにエアバッグドアを形成し、そのティアラインの一部に該当する部分の表皮を約50倍の拡大倍率で写したものである。この拡大倍率でも、黒色の矢印で示す針孔はほとんど目立たないことが分かる。この表面部分において、針孔も、その配列も、肉眼的には全くインビジブルであった。熱負荷を与えた後も同様であった。
(実施例1の作用・効果)
本実施例のエアバッグドア1は以上のように構成したので、次の作用・効果が得られる。即ち、エアバッグの膨出・展開時において、基材2と表皮4の破断強度が最も弱いセンターライン8の中央部11において破断を開始する。次に、その破断の勢いが比較的破断強度の弱いセンターライン8全体に及び、センターライン8の全体が一気に破断する。
本実施例のエアバッグドア1は以上のように構成したので、次の作用・効果が得られる。即ち、エアバッグの膨出・展開時において、基材2と表皮4の破断強度が最も弱いセンターライン8の中央部11において破断を開始する。次に、その破断の勢いが比較的破断強度の弱いセンターライン8全体に及び、センターライン8の全体が一気に破断する。
次に、センターライン8方向の破断動作が、ほぼ同期して、これとは略直角に交差する方向のサイドライン9の破断動作へと滑らかに転換される。サイドライン9では、会合部近傍16を除き針孔15を設けていないので主に基材2のみが破断し、1対の扉体6の開扉動作へとつながる。但し、会合部近傍16に高い密度で設けた針孔15により、扉体6の開扉動作に対する表皮4の過剰な拘束(過剰な突っ張り抵抗)は回避される。
このように、本実施例のエアバッグドア1では、エアバッグの膨張・展開時において、基材2と表皮4とが互いに同調した好適な部位別破断順序で良好に破断する。
更に、延長ティアライン17がセンターライン8の両端部から約30°の屈折角度を伴って直線的に延設されているため、以下の作用・効果も確保される。
即ち、図6(a)に示すように、エアバッグドア1の1対の扉体6が開扉しようとするとき、延長ティアライン17の部分では表皮4のみが矢印D方向への屈折を伴う線状に破断する。そのため、矢印D方向に位置する扉体6(図の右側の扉体)は表皮4の突っ張り抵抗をほとんど受けず大きく開扉するのに対し、図の左側の扉体6は表皮4の突っ張り抵抗を受け、小さな開き角度までしか開扉できない。その結果、図6(b)に示すように、エアバッグ18の展開方向は図の左側の扉体6によって規制され、延長ティアライン17の屈折角度方向へガイドされる。これにより、エアバッグ18の展開方向を乗員保護のために最適な方向へガイドすることができる。
(実施例2)
本実施例においては、図1に示す延長ティアライン17がセンターライン8から屈折せずに一直線状に延設されている点を除き、実施例1と同じ構成である。実施例2の作用・効果は、前記の図6(a)及び図6(b)に示す作用・効果を奏しない点を除き、実施例1と同様である。
本実施例においては、図1に示す延長ティアライン17がセンターライン8から屈折せずに一直線状に延設されている点を除き、実施例1と同じ構成である。実施例2の作用・効果は、前記の図6(a)及び図6(b)に示す作用・効果を奏しない点を除き、実施例1と同様である。
本発明によって、エアバッグの膨張・展開時に基材と表皮が同調した好適な部位別破断順序で破断するエアバッグドアが提供される。
1 エアバッグドア
2 基材
3 発泡材層
4 表皮
5 ティア溝
6 扉体
8 センターライン
9 サイドライン
10 横ライン
11 中央部
12 側方部
13 長孔状ティア孔
15 針孔
16 会合部近傍
17 延長ティアライン
18 エアバッグ
19 ドット状下孔
Z 刺針
2 基材
3 発泡材層
4 表皮
5 ティア溝
6 扉体
8 センターライン
9 サイドライン
10 横ライン
11 中央部
12 側方部
13 長孔状ティア孔
15 針孔
16 会合部近傍
17 延長ティアライン
18 エアバッグ
19 ドット状下孔
Z 刺針
Claims (6)
- 表皮付き車両内装材の基材の裏面に1対の扉からなるエアバッグドア形状の連続したティア溝を形成し、ティア溝の底部には基材を貫通するドット状下孔及び該ドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を、間隔をおいて形成したエアバッグドアであって、
前記ティア溝においては溝深さの調節によりエアバッグドアのセンターラインの溝部の基材残厚を他の部位より小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔は、前記センターラインの溝部と、前記エアバッグドアの1対のサイドラインがセンターラインと会合する会合部の近傍の溝部とに選択的に形成したことを特徴とするエアバッグドア。 - 表皮付き車両内装材の基材の裏面に1対の扉からなるエアバッグドア形状の連続したティア溝を形成し、ティア溝の底部からは基材を貫通し表皮に達しない長孔状ティア孔を間隔をおいて形成し、かつ、長孔状ティア孔の底部に、及び長孔状ティア孔が形成されていない部分においては基材を貫通するドット状下孔を形成してそのドット状下孔の底部に、これら長孔状ティア孔及びドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔を、間隔をおいて形成したエアバッグドアであって、
前記ティア溝においては溝深さの調節によりエアバッグドアのセンターラインの溝部の基材残厚を他の部位より小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔は、前記センターラインの溝部と、前記エアバッグドアの1対のサイドラインがセンターラインと会合する会合部の近傍の溝部とに選択的に形成したことを特徴とするエアバッグドア。 - 前記センターラインの溝部の基材残厚をセンターラインの中央部において特に小さく設定すると共に、前記ドット状下孔及び針孔を、センターラインの中央部の溝部と、前記会合部の近傍の溝部とに特に高密度に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアバッグドア。
- 前記車両内装材が基材上に発泡材層を介して表皮を備えるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエアバッグドア。
- 前記センターラインの両端部からは、会合部よりも更に外側へ、間隔をおいて形成した基材を貫通するドット状下孔及び該ドット状下孔と対向して表皮を貫通する針孔により構成される延長ティアラインを延設したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のエアバッグドア。
- 前記延長ティアラインを、エアバッグの膨出時の展開方向をガイドしたい方向への屈折角度を伴ってセンターラインの両端部から外側へ延設したことを特徴とする請求項5に記載のエアバッグドア。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007211663A JP2009045970A (ja) | 2007-08-15 | 2007-08-15 | エアバッグドア |
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Family Applications (1)
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JP2007211663A Pending JP2009045970A (ja) | 2007-08-15 | 2007-08-15 | エアバッグドア |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010285021A (ja) * | 2009-06-10 | 2010-12-24 | Toyota Motor Corp | 車両用エアバッグ装置 |
CN109367509A (zh) * | 2018-11-16 | 2019-02-22 | 北京长城华冠汽车科技股份有限公司 | 一种汽车的气囊盖 |
JP2022051067A (ja) * | 2020-09-18 | 2022-03-31 | 豊田合成株式会社 | エアバッグ装置 |
WO2023200005A1 (ja) * | 2022-04-15 | 2023-10-19 | テイ・エス テック株式会社 | 車両用内装材 |
-
2007
- 2007-08-15 JP JP2007211663A patent/JP2009045970A/ja active Pending
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