続いて、本発明の一実施形態にかかる給湯装置1、並びに、中和装置7について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の位置関係は、特に断りのない限り、通常の設置状態を基準として説明する。
給湯装置1は、燃焼部2(燃焼手段)と、一次熱交換器20と、二次熱交換器25とを備えた、いわゆる潜熱回収型の湯水加熱装置である。給湯装置1は、燃焼部2の下方に燃焼ケース3と、排気集合部5とを有する。これらにより、給湯装置1には、燃焼ケース3から排気集合部5を経て後述する消音部6に至る、断面形状が略「U」字型となるように連通した空間が形成されている。また、燃焼部2の側方には、消音部6が設けられており、燃焼ケース3の下方には中和装置7が設けられている。燃焼ケース3および消音部6は、それぞれ給湯装置1の底側に設けられた排気集合部5に連通している。
図1に示すように、燃焼部2は、空気ケース8や燃料噴霧ノズル10、送風機11、燃焼筒12等を備えている。燃焼部2は、いわゆる逆燃焼式の燃焼装置により構成されており、下方に向けて火炎を形成可能とされている。すなわち、燃焼部2は、送風機11を作動させることによって空気ケース8内に燃焼用の空気を導入すると共に、図示しない燃料供給源から供給されてきた液体燃料を燃料噴霧ノズル10から下方に向けて噴霧し、燃焼筒12内において燃焼できる構成とされている。
燃焼ケース3は、燃焼部2に対して下方側に位置しており、燃焼部2における燃焼動作に伴って発生する高温の燃焼ガスが流れる部分であり、排気集合部5や消音部6と組み合わさって一連の燃焼ガス通路4を形成している。燃焼ケース3の内部には、一次熱交換器20および二次熱交換器25が設けられている。一次熱交換器20は、燃焼部2を流れる燃焼ガスの流れ方向上流側、すなわち図示状態において上方側に位置している。一方、二次熱交換器25は、燃焼部2を流れる燃焼ガスの流れ方向下流側、すなわち図示状態において下方側に位置している。
一次熱交換器20の入水口(図示せず)と、二次熱交換器25の出水口(図示せず)との間は図示しない配管によって接続されている。また、一次熱交換器20の出水口20aには、カランや浴槽といったような湯水の供給先となる所(給湯先)に繋がる配管が接続されている。また、二次熱交換器25の入水口25aには、外部から加熱対象となる湯水を供給するための入水配管26が接続されている。そのため、給湯先において給湯要求があり、外部の給水源から入水配管26を介して湯水が供給されると、この湯水は二次熱交換器25の入水口25aに供給される。入水口25aに供給された湯水は、二次熱交換器25を流れた後、一次熱交換器20内を流れることによって順次熱交換加熱され、その後一次熱交換器20の出水口20aから給湯先に向けて供給される。
排気集合部5は、燃焼ケース3の下方に配置され、燃焼ケース3に直接連通した部分である。排気集合部5は、給湯装置1の底側において給湯装置1の幅方向(図1において左右方向)に伸びる内部空間を有する。また、排気集合部5は、燃焼ケース3の側方に配された消音部6とも連通している。そのため、排気集合部5は、燃焼ケース3を下方に向けて流れる燃焼ガスを流入させるとともに、当該燃焼ガスを消音部6に向けて流出させる部分として機能する。すなわち、排気集合部5は、下方に向けて流れる燃焼ガスの流れ方向を上方に向けて折り返すための部分として機能する。
排気集合部5の底部には、ドレン排出口27が設けられている。ドレン排出口27は、二次熱交換器25側から落下してくるドレンを排気集合部5の外部に排出するための排出口として機能する。
排気集合部5の下方には、中和装置7が配されており、ドレン排出口27から排出されるドレンを受容し、中和して排出可能とされている。すなわち、中和装置7は、給湯装置1において発生するドレンを排出するためのドレン排出系統としての機能と、ドレンを中和するための中和器としての機能とを兼ね備えたものである。
図2や図3等に示すように、貯留容器30は、大別して3つの部分によって構成されている。具体的には、貯留容器30は、ドレンの流れ方向上流側、すなわち給湯装置1の組み立て状態においてドレン排出口27側に近い方から上流部31、中流部32、並びに、下流部33(中和剤収容部)の3つの部分に分類される。貯留容器30は、全体がブロー成型法により一体的に成型されている。
上流部31は、ドレン排出口27を介して排出されたドレンが先ず流入する部分であり、内部に中和剤Cが充填される部分である。図4等に示すように、上流部31は、第1仕切35によって内部空間が上流側第1槽36と上流側第2槽37とに分割されている。また、図4や図5等に示すように、第1仕切35は、貯留容器30の天面30a側から下方に向けて伸びる垂下部35aと、底面30b側から上方に向けて伸びる立設部35bとの組み合わせによって形成されている。第1仕切35は、垂下部35aおよび立設部35bがその大部分において隙間なく突き合わされた状態となっており、ドレン等が通過できない壁面を構成している。
一方、図5に示すように、第1仕切35は、貯留容器30の背面30c(壁面C)側に偏在した位置において垂下部35aと立設部35bとの間にスリット状の第1・2中和槽連通孔35cを有する。また、第1・2中和槽連通孔35cは、貯留容器30の底面30b側に偏在しており、底面30bに沿う方向に伸びるように開口している。本実施形態において、第1・2中和槽連通孔35cは、貯留容器30の高さに対して底面30b側から1/3〜1/2程度の高さに、貯留容器30の背面30c側から正面30d(壁面D)側に向けて伸びている。第1・2中和槽連通孔35cは、上流側第1槽36に充填される中和剤Cが通過できない大きさとされている。
図2や図3等に示すように、上流側第1槽36は、正面30d側であって天面30a側の部分に貯留容器30の外側に向けて膨出した膨出部38(水位検知部)を有する。膨出部38には、天面30a側から水位電極40,41が挿通され、取り付けられている。また、膨出部38には、入水側接続部43が設けられている。入水側接続部43は、天面30aに対して垂直上方に向けて突出しており、上記した排気集合部5のドレン排出口27に対して配管接続可能とされている。
本実施形態で採用されている貯留容器30では、正面30d側に偏在した位置に設けた膨出部38に水位電極40,41やドレン等の入口として機能する入水側接続部43が設けられている。また、図5に示すように、膨出部38の底面38aは、上流側第1槽36の内側に向かってなだらかに下がるように傾斜している。
上流側第1槽36において、天面30aであって正面30d側に近い位置には、上流側第1槽36に中和剤Cを充填するための中和剤充填部45が設けられている。中和剤充填部45は、貯留容器30の天面30aから上方に突出するように設けられており、膨出部38に対して背面30c側に隣接した位置に設けられている。中和剤充填部45には、必要に応じて取り外し可能なように蓋46が取り付けられている。
図2や図3(a),(b)等に示すように、上流側第2槽37には、排水部50(構成部)が設けられている。排水部50は、上流側第2槽37の正面30d側であって底面30b側に偏在した位置に設けられており、上流側第2槽37の外側に向けて膨出している。排水部50は、いわゆる水抜き等を行うために貯留容器30内にあるドレン等を排出するために使用されるものである。排水部50には、図示しないドレン排出用の配管を接続するための配管接続口51が設けられている。
図2や図5〜図6に示すように、排水部50は、接続部53を介して上流側第2槽37に繋がっている。図6(b)に示すように、接続部53は、正面30d側から断面視すると外形が横長となっている。また、接続部53は、スリット状の排水用連通孔55を有している。排水用連通孔55の断面形状は、略波形とされている。そのため、上流側第2槽37と排水部50との間においてドレン等がスムーズに行き来できると共に、接続部53の強度が高い。
図2〜図4に示すように、上記した上流部31に対してドレン等の流れ方向下流側に隣接する位置には、中流部32が設けられている。中流部32は、ドレン等と燃料とを分離する、いわゆる油水分離機能を発揮するために設けられている。すなわち、中流部32は、通液用連通孔71を底面30b側に有しており、比重の小さな液体燃料に対して下方に存在することとなるドレンや水を優先的に下流部33側に流出させることができるようになっている。また、中流部32は、燃料漏れを検知するために設けられた部屋(空間)でもある。中流部32は、オイルセンサ75を設置するため、中和剤Cが充填されない。
図4に示すように、上流部31の上流側第2槽37と中流部32との間には第2仕切60が設けられており、これにより上流側第2槽37と中流部32とが隔てられている。また、中流部32は、第2仕切60に対向する位置に設けられた第3仕切70(壁面A)によって下流部33と隔てられている。
図4や図6(a)に示すように、第2仕切60は、貯留容器30の底面30b側から略垂直上方に向かって立ち上がった壁面であり、その大部分が貯留容器30の天面30aにまで到達している。図4のように、第2仕切60は、断面形状が山形であり、天面30a側に近づくにつれて先細りになっている。一方、図6(a)に示すように、第2仕切60は、貯留容器30の正面30d側であって天面30a側の位置に上・中流部間連通孔61を有する。上・中流部間連通孔61は、上記した第1・2中和槽連通孔35cに対して上流側第2槽37の内部空間を介して斜交いの位置関係にある。すなわち、上流側第2槽37において、第1・2中和槽連通孔35cに対して最も離れた位置に上・中流部間連通孔61が設けられている。
第3仕切70は、上記した第2仕切60に対向する位置に設けられている。第3仕切70も、第2仕切60と同様に貯留容器30の底面30b側から略垂直上方に向かって立ち上がり、断面形状が略山形の壁面である。すなわち、第3仕切70は、天面30aに近づくにつれて先細りとなっている。
図7に示すように、第3仕切70は、貯留容器30の底面30b側であって、背面30c側の位置に通液用連通孔71(流入口)を有する。通液用連通孔71は、主として中流部32と下流部33との間でドレン等を行き来させるために設けられた連通孔である。また、第3仕切70は、貯留容器30の天面30a側であって、正面30d側の位置に通気用連通孔72(連通口)を有する。すなわち、通気用連通孔72は、第3仕切70上において通液用連通孔71に対して斜交いの位置関係にある。通気用連通孔72は、主として中流部32と下流部33との間での空気の行き来を許容するために設けられたものであり、中流部32上方におけるエア溜まりによるドレン排水性能の低下の防止を主目的として設けられている。
図2〜図4に示すように、中流部32には、オイルセンサ75が取り付けられている。図4に示すように、オイルセンサ75は、天面30aに対して略垂直であって、その先端部分にある検知部75aが中流部32の内側に向けて突出するように取り付けられている。オイルセンサ75は、上記した通気用連通孔72が設けられた位置を通る水平面よりも下方に検知部75aが到来するように取り付けられている。
図2〜図4に示すように、下流部33は、中流部32に対してドレンの流れ方向下流側に隣接した部分である。下流部33は、ドレンを中和するために設けられた部分であり、上流部31と同様に中和剤Cが充填される部分である。下流部33は、中流部32との境にある第3仕切70(壁面A)と、これに対向する下流部側面78(壁面B)と、天面30a、底面30b、背面30c(壁面C)、並びに、正面30d(壁面D)によって囲まれた空間である。第3仕切70に設けられた通液用連通孔71は、下流部33に対するドレン等の液体の入口として機能する。
一方、図8に示すように、下流部側面78には、下流部33においてドレン等の出口となる下流部ドレン排出孔83と、下流部通気口84とが設けられている。下流部ドレン排出孔83は、下流部側面78において、底面30b側であって、背面30c側に偏在した位置に設けられている。そのため、図9に示すように、通液用連通孔71と下流部ドレン排出孔83とを結ぶ直線Lを想定した場合、この直線Lは底面30bおよび背面30cに沿って貯留容器30の長手方向に伸びている。この直線Lは、後に詳述する第4仕切80と交差している。
また、上記したように、主として下流部33と中流部32との間における通気用に設けられた通気用連通孔72は、貯留容器30の正面30d側であって、天面30a側に偏在した位置に設けられている。すなわち、通気用連通孔72と下流部ドレン排出孔83とは、下流部33内の空間を挟んで斜交いの位置関係にある。具体的には、図9に示すように、通気用連通孔72と下流部ドレン排出孔83とを結ぶ直線N(仮想線)を想定した場合、この直線Nは、下流部33の内部空間を斜めに横切っている。
図8に示すように、下流部通気口84は、下流部側面78において、天面30a側であって、正面30d側に偏在した位置に設けられている。すなわち、通液用連通孔71と下流部通気口84とは、下流部33内の空間を挟んで斜交いの位置関係にある。具体的には、図9に示すように、通液用連通孔71と下流部通気口84とを結ぶ直線Mを想定した場合、この直線Mは、貯留容器30の背面30c側であって底面30b側の位置から下流部33の内部空間を横切り、正面30d側であって天面30a側の位置に向かって伸びている。また、下流部ドレン排出孔83は、下流部側面78上において下流部通気口84と斜交いの位置関係にある。
下流部33は、内部に第4仕切80を有し、これを境として下流部第1槽81および下流部第2槽82の2つの空間に分かれている。第4仕切80は、下流部33内において底面30bから上方に向けて立ち上がった、断面形状が略山状のものである。図9や図10に示すように、第4仕切80は、底面30bおよび背面30cに連続しており、これらとの間に隙間がない。すなわち、第4仕切80は、底面30bおよび背面30cを基端として下流部33の内側に向けて突出している。そのため、上記したように通液用連通孔71と下流部ドレン排出孔83とを結ぶ直線Lを想定した場合、第4仕切80は、この直線Lを遮っている。
一方、第4仕切80は、その頂部80aと天面30aとの間が大きく開いていると共に、その側部80bと正面30dとの間も間隔が開いている。また、第4仕切80の高さは、後に詳述する下流部33からドレン等を排出するために設けられたドレン排出部90の接続口91よりも低くなるように調整されている。そのため、下流部33内には、下流側第1,2槽81,82間で第4仕切80の頂部80aを超えてドレン等が流れる経路(以下、第1ドレン通過経路85とも称す)と、第4仕切80の側部80bを超えてドレン等が迂回して流れる経路(以下、第2ドレン通過経路86とも称す)とが形成される。
図9や図10に示すように、第4仕切80の高さは、その頂部80aが下流部33の高さ、すなわち天面30aと底面30bとの間隔に対して約半分から約1/3程度とされている。また、頂部80aは、背面30c側に近い部分は、天面30aに対して略平行であるが、その幅方向略中央部分から正面30d側に近づくにつれてなだらかに底面30b側に向けて傾斜あるいは湾曲した形状とされている。
下流部33の天面30aには、中和剤Cを下流部33に充填するための中和剤充填部87(充填口)が設けられている。中和剤充填部87は、上流部30に設けられた中和剤充填部45と同様に、天面30a側であって、正面30d側に偏在した位置に設けられている。すなわち、上記した下流部33と中流部32とを連通している通気用連通孔72と同様に、中和剤充填部87は、正面30d側に偏在した位置に設けられている。中和剤充填部87には、蓋88が必要に応じて着脱自在なように取り付けられている。
図2や図4、図11等に示すように、下流部33を構成する下流部側面78には、ドレン排出部90が一体化されている。ドレン排出部90は、下流部側面78に設けられた下流部ドレン排出孔83や下流部通気口84を介して下流部33の内部空間と連通している。図2や図4に示すように、ドレン排出部90は、下流部33の外側に隣接した位置にある。図11に示すように、ドレン排出部90は、ドレン等を給湯装置1の外に排出するための配管(図示せず)を接続するための接続口91と、水抜き用の水抜口92とを有する。
図11に示すように、ドレン排出部90は、貯留容器30を外側から見た状態において略S字型に屈曲しており、中間部分が下流部側面78を斜めに横切るように伸びている。また、ドレン排出部90は、その両端部分が中間部分に対して屈曲し、天面30aや底面30bに沿うように伸びている。接続口91は、貯留容器30の天面30a側であって、正面30d側の位置に設けられている。すなわち、接続口91は、下流部33とドレン排出部90とを仕切る下流部側面78に設けられた下流部通気口84に対向する位置に設けられている。また、水抜口92は、貯留容器30の底面30b側であって、背面30c側の位置に設けられている。すなわち、水抜口92は、下流部側面78に設けられた下流部ドレン排出孔83に対向する位置に設けられている。
水抜口92は、貯留容器30から水抜きを行うために使用されるものであり、常時は閉止されている。そのため、常時は、下流部ドレン排出孔83を介して下流部33からドレン排出部90にドレン等が流入すると、ドレン等は、ドレン排出部90の中間部分を通って天面30a側に上昇した後、接続口91から貯留容器30の外部に排出される。
図1に示すように、消音部6は、四方を囲まれた、上下方向に連通した筒状の空間6bを有する。消音部6内の空間6bは、下端側において排気集合部5と連通している。また、消音部6は、上端側に排気口6cを有し、これを介して空間6bが外部雰囲気と連通している。
続いて、給湯装置1の動作について説明する。給湯装置1において、例えば入水配管26の中途に備えられた流量センサ(図示せず)から流量検知信号が入力されることにより、燃焼部2が燃焼作動を開始する。燃焼部2における燃焼作動に伴って燃焼筒12内で発生した燃焼ガスは、燃焼ケース3内を下方に向けて流れる。その後、燃焼ガスは、給湯装置1の底側に設けられた排気集合部5内に流入する。
排気集合部5内に流入した燃焼ガスは、排気集合部5内を横方向、すなわち消音部6と接続されている側(図1において右方向)に向けて流れる。その後、燃焼ガスは、排気集合部5の上方に接続されている消音部6に向けて流れる。すなわち、燃焼部2で発生し、燃焼ケース3内を下方に向けて流れていた燃焼ガスは、排気集合部5においてその流れ方向を変換し、消音部6を上方に向けて流れた後、排気口6cから外部に排出される。
一方、入水配管26を介して外部から供給されてきた湯水は、二次熱交換器25の入水口25aを介して二次熱交換器25に流入する。二次熱交換器25に流入した湯水は、主として燃焼ガス中に含まれている潜熱を回収し、これにより加熱される。これに伴い、燃焼ガス中に含まれている水分が凝集され、二次熱交換器25の表面等においてドレンが発生する。
二次熱交換器25で加熱された湯水は、二次熱交換器25の出水口(図示せず)を出て一次熱交換器20の入水口(図示せず)から一次熱交換器20内に流入する。一次熱交換器20に流入した湯水は、燃焼部2での燃料の燃焼に伴って発生した燃焼ガスとの熱交換により加熱される。一次熱交換器20では、主として燃焼ガス中に含まれている顕熱が回収される。このようにして一次熱交換器20において加熱された湯水は、一次熱交換器20の出水口20aから流出し、給湯先となるカランや浴槽等に向けて供給される。
上記したように、給湯装置1では、二次熱交換器25における熱交換に伴ってドレンが発生する。ここで発生したドレンは、燃焼ケース3内を落下し、排気集合部5に集まる。その後、このドレンは、排気集合部5の底部に設けられたドレン排出口27を介して排気集合部5の下方に設けられた中和装置7の貯留容器30に流入し、これに収容されている中和剤Cによって中和される。
さらに詳細に説明すると、ドレン排出口27を介して排出されたドレンは、これに配管接続された入水側接続部43から貯留容器30の上流部31の第1中和槽36内に流入する。このドレンは、第1中和槽36内に充填されている中和剤Cとの反応により中和される。
第1中和槽36に貯留されているドレン等の液位が、第1仕切35において貯留容器30の背面30c側に設けられているスリット状の第1・2中和槽連通孔35cが設けられている高さ(以下、水封基準液位Xとも称す)を超えている場合は、ドレン等が第1・2中和槽連通孔35cを通って第2中和槽37側に流入する。また、ドレン等の液位が、水封基準液位Xを超えている場合は、第1・2中和槽連通孔35cがドレン等で封止された状態(水封状態)になる。これにより、仮に第1中和槽36に排気集合部5から燃焼ガスが中和装置7側に流入してきたとしても、これが中和装置7を介して漏洩するのを防止できる状態になる。
上記した状態からさらにドレン等が貯留容器30内に流入すると、第1,2中和槽36,37内の液位が上昇していき、やがて第2仕切60に設けられた上・中流部間連通孔61の下端を通る液位(以下、上・中流間基準液位Yとも称す)に達する。そして、貯留容器30内にあるドレン等の液位がドレン上・中流間基準液位Yを超えると、上流部31の第2中和槽37側から中流部32側に流入する。
中流部32側に流入したドレンは、下流部33との境界部分にある第3仕切70において、底面30b側であって、背面30c側に偏在した位置に設けられた通液用連通孔71を介して下流部33側に流出する。すなわち、中流部32においては、ドレンが底面30b側から優先的に下流部33側に向けて流出する。
ここで、本実施形態の給湯装置1は、液体燃料を燃焼部2で燃焼して湯水を加熱するものである。そのため、何らかの理由で燃焼部2において漏洩した液体燃料が貯留容器30内に流入してしまう可能性がある。燃焼部2から中和装置7内へ漏洩した液体燃料が微量である場合は、これを第1仕切35で捕捉することができる。一方、燃焼部2から中和装置7内へ漏洩した液体燃料の量が多い場合は、この液体燃料が中流部32側にも流入することがある。
ここで、燃焼部2は、灯油のような水よりも比重の小さな液体燃料を燃焼するものである。そのため、前記したような液体燃料の漏洩が起こった場合は、液体燃料が中流部32内においてドレン等の上方に分離した状態で層状に溜まることとなる。本実施形態では、中流部32に流入したドレン等を底面30b側から優先的に下流部33側に排出する構成であるため、液体燃料が漏洩していたとしてもこれが下流部33側に流出する可能性を最小限に抑制できる。
また、中流部32には、オイルセンサ75が天面30a側から下方に向けて突出するように取り付けられている。そのため、中流部32に液体燃料が流入してきた場合は、これをオイルセンサ75によって検知できる。本実施形態の給湯装置1では、オイルセンサ75により液体燃料が検知されることを条件として燃焼部2に対する燃料系統を遮断し、燃料漏れに伴う不具合の発生を防止している。
上記したようにして下流部33側にドレン等が流入すると、このドレン等が下流部33内に充填されている中和剤Cと反応し、中和される。下流部33で中和されたドレン等は、下流部側面78において底面30b側に設けられた下流部ドレン排出孔83からドレン排出部90側に向けて排出される。ドレン排出部90内に排出されたドレンは、その傾斜に沿って徐々にドレン排出部90内を上昇する。そして、ドレン排出部90の上端側に設けられた接続口91から排出される。
一方、具体的には中流部32と下流部33とを隔てる第3仕切70にドレン等の通過用に設けられた通液用連通孔71に異物が噛み込む等して、通液用連通孔71を介してドレン等がほとんど通過できない状態(ドレン詰まり)になる可能性がある。しかし、このような状態になって中流部32におけるドレン等の水位が上昇し、やがて水位が通気用連通孔72が設けられた高さに到達すると、通気用連通孔72を介して中流部32から下流部33側に向けてドレン等が流出する。
ここで、上記したように、通気用連通孔72は、下流部33からドレン等を排出するための下流部ドレン排出孔83に対して、下流部33内の空間を介して斜交いの位置関係にある。そのため、通気用連通孔72を介して中流部32から下流部33側にドレン等が流れてきた場合であっても、下流部33においてドレン等が流れる経路、並びに、ドレン等の滞留時間が長い。従って、通気用連通孔72から下流部33内にドレン等が流入してきた場合であっても、通液用連通孔71を介してドレン等が下流部33側に流入してきた場合と同様にドレン等が十分中和された状態になって排出される。
上記したように、本実施形態で採用した中和装置7では、下流部33に対するドレン等の流入口となる通液用連通孔71と、下流部33に貯留されているドレンの排出口となる下流部ドレン排出孔83とを結ぶ直線Lを遮るように第4仕切80が設けられている。さらに、下流部33は、第4仕切80によって仕切られた下流側第1,2槽81,82間で第4仕切80の頂部80aを超えてドレン等が流れる経路(第1ドレン通過経路85)と、第4仕切80の側部80bの側方を迂回してドレン等が流れる経路(第2ドレン通過経路86)とを有する。そのため、中和装置7では、第4仕切80に対して下流側に存在する中和剤Cに、少なくとも2方向からドレン等が接触することとなり、略球状の中和剤Cが全周にわたって略均一に消耗していく。
さらに、下流部33におけるドレン等の流れが第4仕切80に沿って少なくとも2方向に分かれることとなるため、第4仕切80に対して上流側に位置する下流部第1槽81内におけるドレン等の流れも比較的ランダムになる。そのため、中和装置7では、下流部第1槽81内にある中和剤Cについても、ドレン等が中和剤Cの一部に偏ることなく全周にわたって略均一に接触することとなり、下流側第1,2槽81,82内にある中和剤Cが、全周にわたって略均一に消耗していく。従って、中和装置7では、中和剤Cの特性(中和性能)のバラツキが生じたり、中和剤Cによるドレンの流通阻害といったような不具合が起こりにくい。
本実施形態の中和装置7では、貯留容器において第4仕切80が下流部33へのドレン等の導入口となる通液用連通孔71と、下流部33からドレン等を排出するための流出口となる下流部ドレン排出孔83とを繋ぐ直線Lを遮るように設けられている。そのため、本実施形態の中和装置7では、下流部第1槽81に通液用連通孔71から流入したドレン等が、第4仕切80によってその流れを偏向されて第1,2ドレン通過経路85,86を流れた後に下流部第2槽82から排出される。従って、中和装置7では、下流部33におけるドレン等の滞留時間が長くなり、十分中和された状態で排出される。
上記したように、第4仕切80の高さは、貯留容器30の高さに対して1/3〜1/2程度の高さとされているため、貯留容器30内を流れるドレン等に対して作用する流路抵抗が小さい。そのため、例えば突発的に大量の雨水が中和装置7内に流入する等した場合であっても、これを効率よく排出することができ、水位電極40,41によりむやみにドレン等のオーバーフローが検出されてしまうのを防止できる。
さらに、中和装置7は、上記したように、貯留容器30の高さに対し、第4仕切80の高さが低い。また、第4仕切80は、貯留容器30の正面30d側、すなわち側部80b側に近づくにつれて高さが低くなる形状とされている。そのため、中和装置7は、下流部33に対して中和剤Cを充填しやすい。
また、上記したように、本実施形態の中和装置7では、上流部31をなす第1中和槽36へのドレン等の流入口である入水側接続部43が天面30a側かつ正面30d側の位置に配される一方、流出口たる第1・2中和槽連通孔35cが底面30b側かつ背面30c側に偏在した位置に設けられている。そのため、中和装置7では、上流部31においても第1中和槽36に流入したドレン等が長期にわたって滞留することとなり、第1中和槽36に充填されている中和剤Cによって十分中和されることとなる。
上記実施形態で例示した第4仕切80は、底面30bおよび背面30cを基端として下流部33の内側に向けて突出したものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第4仕切80は、底面30bや背面30c等、下流部33を構成する一つの面を基端として立ち上がったものとしてもよい。さらに具体的には、第4仕切80を天面30a側から垂下するような形状として下端部分と底面30b側との間をドレン等が通過可能な構成としたり、第4仕切80と背面30c側との間にもドレン等が通過可能な隙間を設けた構成としてもよい。また、第4仕切80は、その幅方向(正面30dから背面30cに向かう方向)の中途に不連続部分をもつ形状とし、不連続部分をドレン等が通過できるような構成としてもよい。すなわち、貯留容器30は、上記したように第4仕切80の頂部80aを超えてドレン等が流れる第1ドレン通過経路85や、第4仕切80の側部80bを超えてドレン等が流れる第2ドレン通過経路86を設ける代わりに、あるいは、これに加えてドレン等を流すための別の経路を設けた構成としてもよい。
本実施形態の中和装置7は、中流部32および下流部33を構成する槽同士が第3仕切70に設けられた通液用連通孔71および通気用連通孔72を介して連通している。また、通気用連通孔72は、通液用連通孔71に対して貯留容器30の天面30a側に外れた位置に設けられている。そのため、中和装置7は、仮に通液用連通孔71が目詰まり等してしまっても、通気用連通孔72を介してドレン等を中流部32側から下流部33側へと通過させることができる。
本実施形態の中和装置7は、通気用連通孔72を介してドレンが下流部33側に流れることとなった場合であっても、ドレンは、少なくとも下流部33内の空間を斜めに横切って流れることとなる。そのため、本実施形態の中和装置7では、通気用連通孔72を介してドレンが下流部33側に流れることとなった場合であっても、下流部33におけるドレンの滞留時間が長くなり、中和剤Cとの反応時間が十分確保される。よって、本実施形態の中和装置7によれば、仮に通気用連通孔72を介してドレンが下流部33側に流れざるを得ない状態になっても、ドレンを十分中和した上で排出することができる。
また、上記実施形態では、通気用連通孔72が、下流部33に対して中和剤Cを充填するために設けられた中和剤充填部87と同様に正面30d側に偏在している。そのため、中和装置7は、正面30d側が斜め上方に向き、背面30c側が斜め下方に向く姿勢とすることにより、中和剤Cの充填作業を効率的に行え、中和剤Cが通気用連通孔72を介して中流部32側に誤充填されてしまうのを容易かつ確実に防止できる。また、このようにして中流部32側に中和剤Cが入ってしまうのを防止すれば、中和装置7の運搬時や設置時に中和剤Cが中流部32内で転がってオイルセンサ75に衝撃が加わったり、オイルセンサ75が故障する等の不具合の発生を防止することも可能である。
なお、上記実施形態では、充填剤Cの充填作業の容易さ等を考慮して通気用連通孔72を中和剤充填部87と同じ側(本実施形態では正面30d側)に設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、異なる部位に通気用連通孔72を設けた構成としてもよい。
上記した中和装置7で採用されている貯留容器30では、上流部31の第2中和槽37と排水部50とを繋ぐ接続部53の断面形状を波形としたため、接続部53の強度が高い。そのため、中和装置7は、給湯装置1への組み付けや運搬、配管接続口51に配管を接続する際等に破損してしまう可能性が低い。
上記実施形態では、第2中和槽37と配管接続口51との接続部53の断面形状を波形にした構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、断面形状が平坦なものであってもよい。また、中和装置7は、接続部53の断面形状のみが波形であるものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、貯留容器30を構成する各構成部同士の接続部分、具体的には下流部33とドレン排出部90との接続部分等についても同様の構成としてもよい。
中和装置7は、貯留容器30の上流部31内に第1・2中和槽連通孔35cを超える高さまでドレン等が貯留された状態になると第1,2中和槽36,37間で燃焼ガス等の気体が行き来できない、いわゆる水封状態とすることができる。また、燃焼作動時に発生する燃焼ガスが貯留容器30内に流入する等して貯留されているドレン等に動圧が作用し、第1,2中和槽36,37内の液位が変動することを考慮し、このような液位変動があっても水封状態とすることができる液位までドレン等を貯留可能なように第2仕切60の上・中流間連通孔61の高さが調整されている。そのため、上記した構成によれば、中和装置7を介して燃焼ガスが漏洩するのを防止することができる。従って、中和装置7は、例えば給湯装置1が屋内設置型である場合のように、中和装置7を介して燃焼ガスが漏洩すると不都合を招来するようなものについて好適に採用することができる。
なお、上記したように中和装置7を介して燃焼ガスが漏洩するのをより一層確実に防止したい場合は、第1,2中和槽36,37にドレン等が十分たまっていない場合であっても水封状態を形成可能なように、第1,2中和槽36,37に湯水等を補充可能な構成とすることが望ましい。かかる構成とすることにより、例えば給湯装置1を設置して使用を開始した直後や、中和装置7から水抜きを行った後のような状況下であっても、第1,2中和槽36,37に湯水を補充することにより水封状態を形成し、中和装置7を介して燃焼ガスが漏洩するのを防止できる。
上記したように、貯留容器30は、ブロー成型法によって各構成部を一体的に形成したものであるため、生産性に優れている。なお、貯留容器30は、必ずしもブロー成型法によって製作する必要はなく、例えば貯留容器30を複数の部分に分割して作成し、これらを配管等で接続した構成としてもよい。
上記実施形態で示した貯留容器30は、排水部50やドレン排出部90の水抜口92から水抜きを行う際に、中和剤Cが充填されている上流部31の第1中和槽36や下流部33を通って貯留容器30内にあるドレン等が排出される構成とされている。すなわち、水抜用の排水部50やドレン排出部90が、中和剤Cが充填されている槽である第1中和槽36や下流部33に対して水抜きを行う際のドレンの流れ方向下流側に配されている。そのため、中和装置7は、水抜きを行う際にも内部に残存しているドレン等を中和して排出することができる。なお、上記実施形態では、水抜きの際に中和剤Cが充填された槽をドレン等が通過するように排水部50やドレン排出部90を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の場所に排水部50やドレン排出部90を設けた構成としてもよい。
上記したように、本実施形態の中和装置7では、第2仕切60の上・中流部間連通孔61が高い(天面30aに近い)位置に設けられており、燃焼ガスが貯留容器30内に流入する等しても水封状態とすることができる液位までドレン等を貯留可能な構造となっている。一方、第2仕切60に対してドレン等の流れ方向上流側および下流側に隣接する位置に排水部50および水抜口92を設けている。そのため、中和装置7は、貯留容器30の水抜きを迅速かつ確実に実施することができる。
中和装置7は、上流部31に設けられた膨出部38に水位検知用の水位電極40,41が設けられている。そのため、給湯装置1は、中和装置7に設けられた水位電極40,41によって検知される情報に基づき、ドレン等の液位が貯留容器30からオーバーフローするのが懸念されるレベルに達していないかを確認し、オーバーフローを防止するために適切な処置を行うことができる。
本実施形態の給湯装置1は、上記した中和装置7を備えているため、中和剤Cの一部だけが局所的に溶解したり、これに伴って中和性能のバラツキやドレンの流通阻害といったような不具合が起こりにくい。
上記した中和装置7では、水位を検知するための構成として水位電極40,41を採用した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、水位電極40,41からなる水位検知手段に代わって、従来公知のフロートセンサやボールタップ、圧力センサ、光センサ等を用いた構成としてもよい。
上記実施形態で示した給湯装置1は、いわゆる逆燃焼方式の燃焼部2を備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、正燃式の燃焼部を備えたものであってもよい。また、従来公知の気化式の燃焼装置のように、液体燃料を気化したものを燃焼するタイプや、ガスを燃焼するタイプの燃焼装置等、いかなる燃焼形態を採用したものであってもよい。さらに、給湯装置1は、いわゆる一般給湯機能のみを備えたタイプのものに限らず、一般給湯機能に代えて風呂追い焚き機能、温水暖房機能を備えたものや、これらの機能を複数備えた複合機であってもよい。