続いて、本発明の一実施形態にかかる潜熱回収式給湯装置(以下、給湯装置1と称す)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、上下左右の位置関係は、特に断りのない限り、通常の設置状態を基準として説明する。
図1や図2に示すように、給湯装置1は、燃焼部2(燃焼手段)と、一次熱交換器20と、二次熱交換器25とを備えた、いわゆる潜熱回収式給湯装置である。給湯装置1は、燃焼部2の下方に燃焼ケース3と、排気集合部5とを有する。これらにより、給湯装置1には、燃焼ケース3から排気集合部5を経て後述する消音部6に至る、断面形状が略「U」字型となるように連通した空間が形成されている。また、燃焼部2の側方には、消音部6が設けられており、燃焼ケース3の下方には中和装置7が設けられている。燃焼ケース3および消音部6は、それぞれ給湯装置1の底側に設けられた排気集合部5に連通している。
図1に示すように、燃焼部2は、空気ケース8や燃料噴霧ノズル10、送風機11、燃焼筒12等を備えている。燃焼部2は、いわゆる逆燃焼式の燃焼装置により構成されており、下方に向けて火炎を形成可能とされている。具体的には、燃焼部2は、送風機11を作動させることによって空気ケース8内に燃焼用の空気を導入すると共に、図示しない燃料供給源から供給されてきた液体燃料を燃料噴霧ノズル10から下方に向けて噴霧し、燃焼筒12内において燃焼できる構成とされている。
燃焼ケース3は、燃焼部2に対して下方側に位置しており、燃焼部2における燃焼動作に伴って発生する高温の燃焼ガスが流れる部分である。燃焼ケース3は、排気集合部5や消音部6と組み合わさって一連の燃焼ガス通路4を形成している。燃焼ケース3の内部には、一次熱交換器20および二次熱交換器25が設けられている。図2に示すように、本実施形態では、一次熱交換器20と二次熱交換器25が一体化され、熱交換手段9を形成している。燃焼部2を流れる燃焼ガスが先ず一次熱交換器20で熱交換した後、二次熱交換器25側に流れる構成とされている。
図2に示すように、熱交換手段9には、入水用ヘッダー9aと出湯用ヘッダー9bとが設けられている。入水用ヘッダー9aには、二次熱交換器25の入水口25aが設けられており、出湯用ヘッダー9bには、一次熱交換器20の出水口20aが設けられている。そして、後に詳述するように、出水口20aには、カランや浴槽といったような湯水の供給先となる熱負荷(本実施形態ではカラン28a)に繋がる給湯配管28が接続されている。また、入水口25aには、外部から加熱対象となる湯水を供給するための入水配管26(給水管路)が接続されている。そのため、給湯先(カラン28a)において給湯要求があり、外部の給水源から入水配管26を介して湯水が供給されると、この湯水は二次熱交換器25の入水口25aに供給される。入水口25aに供給された湯水は、二次熱交換器25を流れた後、一次熱交換器20内を流れることによって順次熱交換加熱され、その後一次熱交換器20の出水口20aから給湯配管28を介して給湯先に向けて供給される。
排気集合部5は、燃焼ケース3の下方に配置され、燃焼ケース3に直接連通した部分である。排気集合部5は、給湯装置1の底側において給湯装置1の幅方向(図1において左右方向)に伸びる内部空間を有する。また、排気集合部5は、燃焼ケース3の側方に配された消音部6とも連通している。そのため、排気集合部5は、燃焼ケース3を下方に向けて流れる燃焼ガスを流入させるとともに、当該燃焼ガスが消音部6に向けて流出させる部分として機能する。すなわち、排気集合部5は、下方に向けて流れる燃焼ガスの流れ方向を上方に向けて折り返すための部分として機能する。
排気集合部5の底部には、ドレン排出口27が設けられている。ドレン排出口27は、二次熱交換器25側から落下してくるドレンを排気集合部5の外部に排出するための排出口として機能する。
排気集合部5の下方には、中和装置7が配されており、ドレン排出口27から排出されるドレンを受容し、中和して排出可能とされている。すなわち、中和装置7は、給湯装置1において発生するドレンを排出するためのドレン排出系統としての機能と、ドレンを中和するための中和器としての機能を兼ね備えたものである。これに加えて、中和装置7は、燃焼ガスの通過を阻止する水封装置としての機能も兼ね備えている。
図1に示すように、中和装置7は、ドレンを貯留可能な貯留容器30と、貯留容器30に対して外部から湯水を補充可能な注水手段40とを備えている。貯留容器30は、大別して2つの槽に分類され、互いにドレンや湯水が行き来可能なように連通している。具体的には、貯留容器30は、流入槽31(第1槽)と、排出槽32(第2槽)とを有しており、両者の間が隔壁33によって隔てられている。また、排出槽32に隣接する位置には排出部34が設けられており、排出槽32の上方側の位置において両者が連通している。
流入槽31は、排気集合部5側から流れてくるドレンの流入側、すなわちドレンの流れ方向上流側に位置する槽である。本実施形態では、流入槽31は、排気集合部5のドレン排出口27に接続されている。排出槽32は、貯留容器30に流入したドレンの排出側、すなわち排気集合部5から、ドレン排出系統をなす中和装置7を通って排出されるドレンの流れを想定した場合に、流入槽31に対してドレンの流れ方向下流側に存在している槽である。本実施形態では、排出槽32は、流入槽31に対して隣接する位置に設けられている。
流入槽31と排出槽32との間に配された隔壁33は、貯留容器30の上方から下方に向けて伸びている。貯留容器30にドレンや湯水等の液体が貯留された状態において、隔壁33は、流入槽31および排出槽32の間において、両者の水面を隔離する。一方、貯留容器30は、隔壁33の下方側の位置(以下、連通部35とも称す)において流入槽31と排出槽32とが連通した状態となっている。すなわち、隔壁33は、貯留容器30の底面30aには到達しておらず、隔壁33の下端部と底面30aとの間には流入槽31と排出槽32との間でドレンや湯水の行き来を阻止するものは存在していない。
流入槽31には、グラウンド電極36と、水位を検知するための3本の水位電極37(以下、それぞれを37a,37b,37cと称す)とが設けられている。グラウンド電極36および水位電極37a〜37cは、給湯装置1の動作を司るために設けられた制御手段50に電気的に接続されている。
グラウンド電極36および水位電極37aは、それぞれ流入槽31において、貯留容器30の天面30b側から底面30a側に向けて略垂下している。また、グラウンド電極36および水位電極37aは、それぞれ隔壁33の下端部分、換言すれば連通部35の上端部分に相当する位置に到達している。グラウンド電極36と水位電極37aとの間で導通があることが検知された場合は、流入槽31における液面が少なくとも水位電極37aの下端、すなわち連通部35の上端部に相当する位置以上の位置にあり、連通部35がドレンや湯水で封止された状態(以下、この状態を水封状態と称す)になっている。
水位電極37bは、水位電極37aと略平行であり、貯留容器30の流入槽31において天面30b側から下方に向けて略垂下するように取り付けられた電極である。水位電極37bの下端部は、水位電極37aの下端部よりも高い位置(天面30b側の位置)、すなわち貯留容器30にドレン等が流入した際に液面が上昇する側の位置に存在している。
水位電極37bの取り付け位置は、燃焼ガス通路4を燃焼部2で発生した燃焼ガスや消音部6を介して逆流してきた外気の影響によって流入槽31内の液面に想定される範囲内で最大の圧力が作用し、流入槽31内の液面が低下する状況下であっても水封状態を維持可能な量のドレン等が溜まっているか否かを検知可能な位置に取り付けられている。さらに詳細に説明すると、燃焼部2が最大燃焼量で燃焼している場合は、燃焼ガスの発生量も最大限に達する。また、流入槽31は、燃焼ガスが流動する燃焼ガス通路4と連通しているため、燃焼ガスの流動に伴って流入槽31内の液面に燃焼ガスの流動量に相応する圧力が作用する。そのため、燃焼部2が最大燃焼量で燃焼する場合は、燃焼ガスの流動に起因する流入槽31内の液面低下量も最大限に達するものと想定される。
また、給湯装置1が強風にさらされている場合は、消音部6を介して外気が逆流してくることがある。この場合は、排気集合部5およびドレン排出口27を介して流入槽31に流入した外気によって流入槽31側の水面に下方に向けて圧力が作用し、液面が低下する。給湯装置1に作用する逆風の風速が燃焼作動を行うのに適さない程度に大きい場合は、その分だけ流入槽31における水面も大きく低下することが想定される。
そこで、これらの状況を想定すると、燃焼部2において燃焼作動を行ってもよい範囲で最大限の逆風に給湯装置1がさらされた状況において、燃焼部2が燃焼作動を行った際に流入槽31内の液面に圧力が作用して流入槽31内で液面低下が起こっても水封状態を維持するために燃焼待機時に貯留容器30内に貯留しておくべきドレン等の水位(以下、注水基準水位Lcとも称す)が定まる。さらに詳細には、燃焼部2が最大燃焼排ガス圧で燃焼作動している場合であって、かつ、許容される範囲の最大逆風圧がかかっている状態において流入槽31内の液面低下が起こっても、水封状態を維持可能なように注水基準水位Lcが決定されている。そこで、本実施形態では、貯留容器30内にあるドレン等の水位が注水基準水位Lcに達しているか否かを検知可能な位置に水位電極37bが取り付けられている。
水位電極37cは、上記した水位電極37a,37bと同様に、貯留容器30の天面30b側から下方に向けて略垂下するように取り付けられている。水位電極37cは、貯留容器30が満水状態、すなわち貯留容器30において排出口34a以外からのドレン溢れの可能性がある状態であるか否かを検知するために設けられたものであり、その下端部は上記した水位電極37a,37bよりも高い位置(天面30b側の位置)にある。
排出槽32には、水位電極37dが設けられている。水位電極37dは、グラウンド電極36との間における導通の有無により水の有無を検知可能なものである。水位電極37dは、流入槽31側に設けられた水位電極37bと同様に、排出槽32に貯留されているドレン等の水位が注水基準水位Lcに達しているか否かを検知可能な位置に設けられている。
排出槽32は、上記した流入槽31よりもその容積が大きい。貯留容器30は、排出槽32側の底面に水抜き口38を有する。また、図1に示すように、排水槽32内には、2つの仕切り32a,32bが設けられている。排出槽32内の空間は、仕切り32a,32bにより、流入槽31側の空間、排出部34側の空間、並びに、前記両空間の中間にある空間からなる3つの空間に分割されている。
仕切り32a,32bは、排出槽32内において上下方向に伸びるように設けられており、その下端部と貯留容器30の底面30aとの間には存在していない。そのため、仕切り32a,32bによって排出槽32内の空間を区切って形成された3つの空間は、それぞれ互いに連通した状態になっている。一方、図1に示すように仕切り32a,32bの上端部は、排出槽32と排出部34とを連通している排出口39の下端部よりもやや上方に突き出ている。すなわち、仕切り32a,32bの上端は、排出槽32側から排出部34側にドレンや湯水等の液体があふれ出す際の液面位置よりも僅かに上方に突き出した位置にある。
排出部34は、排出槽32の側方に付属した部分であり、排出槽32の上端側、すなわち貯留容器30の天面30b側に偏在した位置に設けられた排出口39を介して排出槽32に連通している。排出部34の下部には、排出口39を介して排出槽32からあふれ出してきたドレン等を排出するための排出口34aが設けられている。
図1や図2に示すように、注水手段40は、注水管路41と弁42とを備えた構成とされている。注水管路41は、上記した二次熱交換器25の入水口25aに接続されている入水配管26の途中で分岐された配管であり、外部から供給される湯水を貯留容器30に向けて供給することができる。注水管路41は、貯留容器30のうち排出槽32側の天面30bに接続されており、排出槽32側に注水できる構造とされている。また、弁42は、注水管路41の中途に設けられている。
上記した貯留容器30内には、ドレンを中和するための中和剤Cが収容されている。図1に示すように、本実施形態では、中和剤Cは、水位電極37dの保護や水位電極37dによる水位の誤検知を防止する観点から、排出槽32のうち、電極37dが設けられた領域を除く部分(図1に示す状態では、仕切り32aよりも左側の領域)に収容されている。
図1に示すように、消音部6は、四方を囲まれた、上下方向に連通した筒状の空間6bを有する。消音部6内の空間6bは、下端側において排気集合部5と連通している。また、消音部6は、上端部に排気口6cを有する。消音部6は、排気口6cあるいはこれに接続された煙突(図示せず)等を介して空間6bが外部雰囲気と連通している。
上記したように、熱交換手段9には、入水配管26や給湯配管28が接続されている。図2に示すように、入水配管26の中途には、上記した注水管路41に加え、バイパス流路48が接続されている。バイパス流路48は、入水配管26と給湯配管28との間をバイパスする流路である。バイパス流路48の一端側は、入水配管26の中途に設けられた水量センサ47aや温度センサ47bよりも入水配管26において湯水の流れ方向上流側であって、注水配管41との接続位置よりも湯水の流れ方向下流側に外れた位置に接続されている。一方、バイパス流路48の他端側は、給湯配管28の中途に設けられた給湯量調整弁49aや、温度センサ49bよりも湯水の流れ方向下流側に外れた位置に接続されている。また、バイパス流路48の中途には、バイパス水量センサ48aとバイパス水量調整弁48bとが設けられている。バイパス水量調整弁48bを開度調整することにより入水配管26側から給湯配管28側に流れ込む湯水の流量を調整し、熱交換手段9側から流れてくる湯水の流量(缶体側流量)と、バイパス流路48を介して供給される湯水の流量(バイパス側流量)との比率を調整することができる。
図2に示すように、給湯装置1はリモコン60を有する。リモコン60は、制御手段50に対して電気的に接続されている。リモコン60には運転スイッチ65(加熱運転スイッチ)や、運転状況等を表示するための表示手段66(報知手段)、スピーカー67(報知手段)等が設けられている。給湯装置1は、運転スイッチ65がオンであり、貯留容器30が水封状態であることを条件として燃焼部2が燃焼作動可能な状態になる。
続いて、給湯装置1の動作について説明する。なお、給湯装置1は、中和装置7を構成する貯留容器30における水漏れや、注水手段40の故障、燃料漏れ等の不具合の有無を判定する異常判定を実施する点に特徴を有するが、以下の説明では先ず給湯装置1の一般的な動作について説明した後、給湯装置1に特有の動作について説明する。
カラン28aの開栓に伴い、給湯装置1に対して外部の給水源から水が供給されてくると、入水配管26の中途であって、注水管路41の下流側に備えられた水量センサ47aから流量検知信号が発信される。制御手段50は、水量センサ47aから所定量以上の湯水が流れた旨の流量検知信号を受信すると給湯要求があったものと判断し、燃焼部2において燃焼作動を開始させる。燃焼部2における燃焼作動に伴って燃焼筒12内で発生した燃焼ガスは、燃焼ケース3内を下方に向けて流れる。その後、燃焼ガスは、給湯装置1の底側に設けられた排気集合部5内に流入する。
排気集合部5内に流入した燃焼ガスは、排気集合部5内を横方向、すなわち消音部6と接続されている側(図1において右方向)に向けて流れる。その後、燃焼ガスは、排気集合部5の上方に接続されている消音部6に向けて流れる。すなわち、燃焼部2で発生し、燃焼ケース3内を下方に向けて流れていた燃焼ガスは、排気集合部5においてその流れ方向を変換し、消音部6を上方に向けて流れた後、排気口6cから外部に排出される。
一方、入水配管26を介して外部から供給されてきた湯水は、二次熱交換器25の入水口25aを介して二次熱交換器25に流入する。二次熱交換器25に流入した湯水は、主として燃焼ガス中に含まれている潜熱を回収し、これにより加熱される。これに伴い、燃焼ガス中に含まれている水分が凝集され、二次熱交換器25の表面等においてドレンが発生する。
二次熱交換器25で加熱された湯水は、二次熱交換器25の出水口(図示せず)を出て一次熱交換器20の入水口(図示せず)から一次熱交換器20内に流入する。一次熱交換器20に流入した湯水は、燃焼部2での燃料の燃焼に伴って発生した燃焼ガスとの熱交換により加熱される。一次熱交換器20では、主として燃焼ガス中に含まれている顕熱が回収される。このようにして一次熱交換器20において加熱された湯水は、一次熱交換器20の出水口20aから流出し、給湯先となるカランや浴槽等に向けて供給される。
上記したように、給湯装置1では、二次熱交換器25における熱交換に伴ってドレンが発生する。ここで発生したドレンは、燃焼ケース3内を落下し、排気集合部5に集まる。その後、このドレンは、排気集合部5の底部に設けられたドレン排出口27を介して排気集合部5の下方に設けられた中和装置7を構成する貯留容器30の流入槽31に流入する。流入槽31に流入したドレンは、貯留容器30内に収容されている中和剤によって中和される。
続いて、注水手段40の故障、図示しない給水源の断水といったような注水手段40に関する不具合や、貯留容器30における水漏れ等の不具合(以下、これらを総称して注水不良とも称す)や、燃料漏れ等の不具合を検知する異常判定の実施方法について、図3に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。給湯装置1は、先ずステップ1において水位検知を行う。ここで行う水位検知は、流入槽31に設けられた水位電極37bとグラウンド電極36との間で導通があるか確認することにより行われる。その後、制御フローがステップ2に移行すると、制御手段50により、貯留容器30内に注水基準水位Lc以上の水位までドレンや湯水が溜まっているか否かが確認される。ここで、水位が注水基準水位Lcに達していることが確認された場合は、燃焼作動を実施したり、消音部6を介して外気が逆流してくる等して貯留容器30内の水面が想定されるうちで最大限低下したとしても水封状態を維持し、燃焼ガスの通過を阻止可能である。すなわち、水位が注水基準水位Lcに達している場合は、燃焼部2が最大燃焼排ガス圧で燃焼作動している場合であって、かつ、許容される範囲の最大逆風圧がかかっている状態において流入槽31内の液面低下が起こっても水封状態を維持できる。そのため、ステップ2で流入槽31内の水位が注水基準水位Lc以上であることが確認された場合は、上記した注水不良や、燃料漏れ等の不具合がないものと想定されるため、図3に示す一連の制御フローを完了し、燃焼作動に備える。一方、ステップ2で流入槽31内の水位が注水基準水位Lc未満であることが確認された場合は、制御フローがステップ3に移行し、貯留容器30への注水が自動的に開始される。
ステップ3で貯留容器30への注水が開始されると、制御フローがステップ4に移行する。ステップ4では、水位電極37bとグラウンド電極36との間の通電の有無に基づき、流入槽31内の水位が注水基準水位Lcに達しているか否かが確認される。ここで、流入槽31内の水位が既に注水基準水位Lc以上になっている場合は、上記したのと同様に貯留容器30における水漏れや注水手段40の故障、給水源の断水といった注水不良や、燃料漏れ等の不具合がないものと想定される。そのため、この場合は図3に示す一連の制御フローを完了し、燃焼作動に備える。一方、ステップ4で流入槽31内の水位が注水基準水位Lc未満である場合は、制御フローがステップ5に移行する。ステップ5では、排出槽32側に設けられた水位電極37dとグラウンド電極36との間の通電の有無に基づき、排出槽32側の水位が注水基準水位Lcに達しているか否かが確認される。
ここで、ステップ5で排出槽32内の水位が注水基準水位Lcに達していると検知された場合は、流入槽31側の水位が低いにもかかわらず、排出槽32側の水位が高いこととなる。また、本実施形態では、水位電極37bや水位電極37dは、いずれもグラウンド電極36との間の通電の有無に基づいて水位を検知するものであり、液体燃料が存在していてもこれを検知しない。さらに、ドレンや貯留容器30に補充する水の比重が1[g/cm3]程度であるのに対し、液体燃料の比重はこれよりも低く、本実施形態で採用している灯油の比重は0.8[g/cm3]程度である。そのため、燃料漏れに伴って流入槽31側に液体燃料が流入した場合は、図4(a)に示すように流入槽31側において水の層Wの上に液体燃料の層Fが浮かんだ状態になり、流入槽31側の水面が、流入槽31側にある液体燃料が存在する分だけ排出槽32側の水面よりも低くなる。従って、ステップ5で排出槽32内の水位が注水基準水位Lcに達していると検知された場合は、図4(a)に示すように、燃焼部2等における燃料漏れに伴って液体燃料が流入槽31に流入し、水の層Wの上に液体燃料の層Fが浮かんでいる可能性が高い。そこで、この場合は、制御フローがステップ6に進められ、燃料漏れである旨の判定がなされると共に、ステップ7において燃料漏れの発生が報知される。その後、制御フローがステップ8に移行して燃焼作動が禁止された状態になり、一連の制御フローが完了する。
一方、上記したステップ5で排出槽31側の水位が未だ注水基準水位Lcに達していないと判断された場合は、制御フローがステップ9に進められる。ステップ9では、注水動作を開始してから貯留容器30に対して供給された水量(注水量)が所定量Qに達しているか否かが確認される。ここで、前記した所定量Qは、貯留容器30内に注水基準水位Lcまで水を貯留するのに必要十分な量に設定されている。
ステップ9で貯留容器30への注水量が所定量Q未満である場合は、未だ十分な量の水が貯留容器30に補充されていないものと想定される。そこで、この場合は、制御フローがステップ3に戻され、引き続き貯留容器30への注水動作が継続される。一方、ステップ9において貯留容器30への注水量が所定量Q以上である場合は、図4(b)に示すように、必要十分な量の水を貯留容器30に補充しても流入槽31および排出槽32のいずれにも水封状態を維持するのに必要な量の水が貯留されていないこととなる。そのため、この場合は、貯留容器30における水漏れや、注水手段40の動作不良、給水源の断水等の注水不良が起こっているものと想定される。そこで、この場合は、制御フローがステップ10に進められ、制御手段50により注水不良が起こっている旨の判定がなされると共に、ステップ11において注水不良が報知される。このように、注水不良が起こっている場合は、貯留容器30を介して燃焼ガスが漏洩する可能性がある。そこで、ステップ11で注水不良であることが報知された場合は、制御フローがステップ8に進められて燃焼作動が禁止され、一連の制御フローが完了する。
本実施形態の給湯装置1は、中和装置7において貯留容器30の流入槽31および排出槽32のそれぞれに設けられた水位電極37b,37dにより、貯留容器30の流入槽31および排出槽32内の水位が注水基準水位Lcに達しているか否かをそれぞれ独立的に検知することができる。そして、液体燃料が漏れて流入槽31に流入してきた場合に、図4(a)のように液体燃料の層Fが存在することによって流入槽31内の水面が排出槽32内の水面よりも低くなる現象を利用し、燃料漏れを検知することとしている。そのため、本実施形態の給湯装置1では、燃料漏れの有無を的確に判定し報知することができる。
また、本実施形態の給湯装置1では、貯留容器30における水漏れや、注水手段40の動作不良、給水源の断水といったような注水不良が起こった場合に、上記した燃料漏れの場合とは異なり貯留容器30に対して注水を行っても流入槽31および排出槽32内の水位が共に所定のレベルに達しないことに着目して注水不良の発生を判定し報知することとしている。具体的には、貯留容器30に所定量Q以上の水を注水しても流入槽31および排出槽32内の水位が注水基準水位Lcに達しないことを条件として注水不良が発生したものと判定され、報知される。そのため、本実施形態の給湯装置1では、注水不良の発生についても的確に判定し、報知することができる。さらに、本実施形態の給湯装置1では、上記したようにして燃料漏れによる不具合と、注水不良による不具合とをそれぞれ区別して検知できるため、万が一燃料漏れが起こるようなことがあったとしても、これに対して適切な処置を施すことができる。
上記実施形態では、水位電極37a〜37dとグラウンド電極36との間での導通状態に基づいて水の有無を検知可能なものを採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の検知手段によって構成されることが望ましい。なお、水位電極37a〜37dに相当するものとは異なるものを採用する場合であっても、特に水位電極37bに相当するものには、水の存在と液体燃料の存在とを区別して検知できるものとすることが望ましい。
上記実施形態では、図3に示すフローチャートのステップ9において注水量がQ以上になったタイミングで注水不良の有無を判定する構成を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ステップ3で注水動作を開始した後、水位が注水基準水位Lcに到達するのに要すると想定される期間が経過した時点以後のタイミングで注水不良の有無を判定するものであればいかなるものであってもよい。具体的には、貯留容器30に向けて流れる水量や注水管路41の中途に設けられた弁42の開度などと、注水動作を開始後の時間との関係に基づいて注水基準水位Lcに到達するのに要すると想定されるタイミングを設定し、このタイミング以降に注水不良の有無を判定する構成としてもよい。
また、給湯装置1は、いかなるタイミングにおいて図3に示す制御フローに従って異常判定を行うものであっても良いが、入水配管26を介して外部の給水源から熱交換手段に向けて給水される水量を水量センサ47aで検知し、この水量が所定量を超えることを条件として制御手段50によって異常判定が実施されることとしてもよい。また、給湯装置1の主電源が投入されたタイミングや、運転スイッチ65がオン状態になったタイミングで貯留容器30内の水位を確認し、必要に応じて補液動作を行うこととしてもよい。運転スイッチ65がオン状態になったタイミングで貯留容器30内の水位を確認する構成とした場合は、給湯装置1の電源コンセントを電源に接続して主電源が投入された状態のまま、運転スイッチ65がオフ状態で長期間放置され、貯留容器30内のドレンや水が蒸発した場合であっても、不要な注水動作が行われてしまうといった不具合の発生を防止することができる。
図3に示した制御フローでは、ステップ9で貯留容器30への注水量の総量が所定量Qに達しているにもかかわらず流入槽31の水位が注水基準水位Lcに達していない場合に、注水不良に伴う不具合が起こったものと判定することとしており、その原因が注水手段40の故障や、貯留容器30からの水漏れといった給湯装置1側の原因に起因するものなのか否かを判別できるものではなかった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、注水不良の原因をさらに詳細に判定する構成とすることも可能である。具体的には、ステップ9で貯留容器30への注水量の総量が所定量Qに達していることが確認された場合に、入水配管26に設けられた水量センサ47aの検知履歴に基づいて入水配管26を介した通水の実績があったか否かを確認することとしてもよい。この場合、水量センサ47aやバイパス水量センサ48aによって通水が検知された実績があれば、注水不良の原因が給水源の断水によるものではないものと想定される。そのため、前記したように、通水の実績を加味した上で注水不良の判定を行うこととすれば、注水不良の原因として想定されるものから、給水源の断水による原因を排除し、注水手段40の故障や、貯留容器30からの水漏れが起こっているのか否かを的確に判定することができる。
上記実施形態で示した給湯装置1は、リモコン60に設けられた表示手段66やスピーカー67が報知手段として機能し、異常判定により異常が発生した旨の判定がなされた場合にこれをユーザーに報知できる構成とされている。そのため、上記した構成によれば、燃料漏れ等の不具合が起こった場合にこれをユーザーにいち早く知らせることができ、安全性に優れた給湯装置1を提供することができる。
上記実施形態では、中和装置7により、燃焼作動により発生したドレンを排出するためのドレン排出系統を形成したものを例示したが、中和装置7がドレン排出系統の一部のみを形成するものであってもよい。また、上記実施形態では、中和装置7が水封装置としての機能も兼ね備えたものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記した中和装置7において水封装置として機能する構成とは別に、中和装置として機能するものを別途設けた構成としてもよい。
上記実施形態で示した給湯装置1は、いわゆる逆燃焼方式の燃焼部2を備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば従来公知の気化式の燃焼装置のように、液体燃料を気化したものを燃焼するタイプの燃焼装置等、いかなる燃焼形態を採用したものであってもよい。また、給湯装置1は、いわゆる一般給湯機能のみを備えたタイプのものに限らず、一般給湯機能に代えて風呂追い焚き機能、温水暖房機能を備えたものや、これらの機能を複数備えた複合機であってもよい。
上記した給湯装置1は、燃焼ガスが中和装置7を通過して排出されるといった不具合が起こらない。そのため、給湯装置1は、屋内にも好適に設置できる。