JP2009043748A - 半導体装置および電気光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キンク効果などの発生を抑えて、安定した飽和特性を有する薄膜トランジスタを備えた半導体装置、および電気光学装置を提供すること。
【解決手段】半導体装置1において、薄膜トランジスタ10nは、下地絶縁層16の上層にバックゲート電極2n、第1ゲート絶縁層3、半導体層4n、第2ゲート絶縁層5、およびフロントゲート電極6nを備えている。半導体層4nにおいて、第1不純物導入領域41nおよび第2不純物導入領域42nは、チャネル領域40nに隣接する低濃度領域412n、422nと、この低濃度領域412n、422nに対してチャネル領域40nとは反対側に位置する高濃度領域411n、421nとを備えている。バックゲート電極2nは、フロントゲート電極6nと同一の電位に保持され、チャネル領域40nと対向する位置からに低濃度領域412n、422nと対向する位置まで延在している。
【選択図】図3
【解決手段】半導体装置1において、薄膜トランジスタ10nは、下地絶縁層16の上層にバックゲート電極2n、第1ゲート絶縁層3、半導体層4n、第2ゲート絶縁層5、およびフロントゲート電極6nを備えている。半導体層4nにおいて、第1不純物導入領域41nおよび第2不純物導入領域42nは、チャネル領域40nに隣接する低濃度領域412n、422nと、この低濃度領域412n、422nに対してチャネル領域40nとは反対側に位置する高濃度領域411n、421nとを備えている。バックゲート電極2nは、フロントゲート電極6nと同一の電位に保持され、チャネル領域40nと対向する位置からに低濃度領域412n、422nと対向する位置まで延在している。
【選択図】図3
Description
本発明は、絶縁層上に薄膜トランジスタを備えた半導体装置および電気光学装置に関するものである。
薄膜トランジスタは、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELという)装置において有機EL素子に対する駆動用トランジスタや、オペアンプなどに代表されるアナログ回路を同一基板上に内蔵した液晶装置の構成素子として用いられている。このような用途において、薄膜トランジスタはその飽和特性が利用されているが、薄膜トランジスタの飽和特性は、シリコン基板上に形成されたMOSトランジスタと比較して不完全であり、ドレイン電圧の変化に対してドレイン電流が増加する現象が認められている。このような現象を、図14に示す薄膜トランジスタの電流−電圧特性(飽和特性)を参照して説明する。なお、図14には、理想的な薄膜トランジスタの電流−電圧特性を実線L1で示し、従来の薄膜トランジスタの電流−電圧特性を実線L2で示し、実線L2において、キンク効果が顕著ではないと考えられる比較的ドレイン電圧が低い範囲におけるドレイン電流変化を延長した特性を点線L3で示してある。
まず、第1に、図14に実線L2で示すように、薄膜トランジスタは、ドレイン電圧が高い範囲ではキンク効果と呼ばれる現象によりドレイン電流が増大し、ドレイン電圧に対するドレイン電流の変化率が大きい。かかるキンク効果によって増加した電流は、図14に矢印L4で示される。かかる現象の発生原因は次のように考えられる。ドレイン電圧がピンチオフ点を超えるとドレイン端に比較的大きな電界が集中する。この電界が一定の電界強度を超えると、電界によって加速された電子によってインパクトイオン化が起こり、電子・正孔対が生成する。このため、本来のキャリアと逆極性のキャリアが生じ、逆極性のキャリアがドレイン電界によってチャネル領域に侵入する。このため、逆極性のキャリアによりチャネル領域のポテンシャルを引き下げられる結果、ドレイン電流が増加することとなる。なお、ドレイン端の電界集中を緩和することを目的に、図15(a)に示すように、チャネル領域40と隣接する位置に低濃度領域412を設けたLDD(Lightly Doped Drain)構造が採用されることがある。かかる低濃度領域を設けると、図15(b)に、低濃度領域の不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化(実線L7)、および電界効果移動度の変化(実線L8)を示すように、ソース−ドレイン耐圧は向上する。但し、低濃度領域の不純物濃度を低く設定すると、電界効果移動度が低下し、寄生抵抗が増大してしまうため、低濃度領域の不純物濃度を低下させるにも限界があって、LDD構造のみによって、キンク効果を完全に抑えることは難しい。なお、図15(b)において、不純物濃度はホール効果の測定に基づいて求められた実効的な不純物濃度である。また、ソース−ドレイン耐圧は、図14に矢印L4で示すキンク電流値が点線L3で示す値の10%に達した時のドレイン電圧として定義した。この時のゲート電圧は閾値電圧である。電界効果移動度はドレイン電圧を0.1Vとして線形領域の移動度を評価した。
第2に、図14に実線L2で示すように、薄膜トランジスタは、キンク効果が顕著ではないと考えられる比較的ドレイン電圧が低い範囲においても飽和特性は不十分であり、点線L3で示すように、電流は所定の傾きをもって増大する。
このような問題点は、薄膜トランジスタを用いて有機EL装置の駆動用トランジスタや、オペアンプなどに代表されるアナログ回路を構成した際、設計時に期待した動作と異なった動作を行なう原因となる。このため、薄膜トランジスタを有機EL装置の駆動用トランジスタに用いると、設定したガンマ特性と異なったデータ電圧輝度特性となる。特にデータ電圧が薄膜トランジスタの閾値に近い黒表示の時は、黒浮きが生じてコントラストが低下する。一方、薄膜トランジスタをオペアンプに用いると電圧ゲインが低下し、入力電圧と出力電圧にオフセットが生じるとともに、オフセット電圧にデータ電圧依存性が生じ、オフセット補正回路の動作も困難になる。さらに、薄膜トランジスタをソースフォロワ回路などのバッファアンプ回路に用いた場合、入力電圧と出力電圧の差が一定にならないため、やはり補正回路の動作が困難になる。
また、キンク効果が発生している状態で極めて大きなエネルギーを持ったキャリアが存在し、かかるホットキャリアは容易に絶縁膜中に注入され固定電荷を発生させて薄膜トランジスタ閾値を変化させる。また、ホットキャリアはポリシリコン中に欠陥準位を発生させ、移動度を低下させる。いずれの場合でも、キンク効果があらわれる状態で薄膜トランジスタを用いると、薄膜トランジスタの電圧電流特性の変化が激しく、所定の動作が得られなくなるので、データそのものを補正するなどの方法でこれらの回路動作を初期的に補正したとしても、問題の解決にならない。
一方、バックゲートおよびLDD構造を備えた薄膜トランジスタが提案されている(特許文献1、2)
特開2006−203241号公報
特開2006−237624号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術は、液晶装置の画素トランジスタに用いた薄膜トランジスタのオフ電流を小さくすることにあり、低濃度領域の不純物濃度と、飽和特性との関係は考慮されていない。また、特許文献1、2に記載の技術において、バックゲートも、閾値制御用端子に接続されているなど、あくまで閾値の制御用に用いられ、飽和特性を改善するための構成ではない。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、キンク効果などの発生を抑えて、安定した飽和特性を有する薄膜トランジスタを備えた半導体装置、および電気光学装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、絶縁層上に薄膜トランジスタを有する半導体装置において、前記薄膜トランジスタは、前記絶縁層上に形成されたバックゲート電極と、該バックゲート電極を覆う第1ゲート絶縁層と、該第1ゲート絶縁層の上層に形成された半導体層と、該半導体層を覆う第2ゲート絶縁層と、該第2ゲート絶縁層の上層に形成されたフロントゲート電極とを備え、前記半導体層は、チャネル領域に対してチャネル長方向の両側に、ソース領域およびドレイン領域のうちの一方とされる第1不純物導入領域と、ソース領域およびドレイン領域のうちの他方とされる第2不純物導入領域とを備え、前記第1不純物導入領域および前記第2不純物導入領域のうち、前記ドレイン領域とされる不純物導入領域は、前記チャネル領域に隣接する低濃度領域と、該低濃度領域に対して前記チャネル領域とは反対側に位置する高濃度領域とを備え、前記バックゲート電極は、チャネル長方向において、前記チャネル領域に対向する位置から前記低濃度領域の少なくとも一部に対向する位置まで延在していることを特徴とする。
本発明において、ドレイン領域とされる不純物導入領域は、チャネル領域に隣接する低濃度領域を備え、バックゲート電極は、チャネル長方向において、チャネル領域に対向する位置から低濃度領域の少なくとも一部に対向する位置まで延在しているため、低濃度領域の不純物濃度を下げた時と同様、低濃度領域に、キャリアの少ない部分が新たに生じ、この部分にソース−ドレイン間の電圧の一部がかかる。このため、低濃度領域においてゲート電極の端部と対峙する部分に集中していたソース−ドレイン電圧が分散されるので、ソース−ドレイン耐圧を向上することができる。また、ドレイン領域の電界がバックゲート電極によってシールドされているので、ドレイン電圧が低い範囲での飽和特性の劣化を防止することができ、理想的な飽和特性を備えた薄膜トランジスタを実現することができる。
本発明においては、例えば、前記バックゲート電極と前記フロントゲート電極とに同電位を印加する構成が採用される。
本発明において、前記第1不純物導入領域および前記第2不純物導入領域は、前記フロントゲート電極に対して自己整合的に形成されていることが好ましい。
本発明において、薄膜トランジスタにおいて電流が流れる方向が切り換わる場合、前記第1不純物導入領域および前記第2不純物導入領域の双方が、前記低濃度領域および前記高濃度領域を備えている構成を採用することが好ましい。
本発明において、薄膜トランジスタにおいて電流が流れる方向が一方方向に定まっている場合、前記第1不純物導入領域および前記第2不純物導入領域のうちの一方のみが、前記低濃度領域および前記高濃度領域を備えていることが好ましい。このように構成すると、低濃度領域が1箇所のみであるので、薄膜トランジスタの寄生抵抗を低減することができる。
本発明において、前記バックゲート電極は、チャネル長方向において、前記チャネル領域に対向する位置から前記低濃度領域の全体と対向する位置まで延在している構成を採用することができる。
この場合、前記低濃度領域の不純物濃度が7×1016atoms/cm3以上であることが好ましい。また、前記低濃度領域の不純物濃度が1.4×1017atoms/cm3以下であることが好ましい。かかる濃度範囲に設定すると、寄生抵抗の増大を防止しながら、ソース−ドレイン耐圧を向上することができる。
本発明において、前記バックゲート電極は、チャネル長方向において、前記チャネル領域に対向する位置から前記低濃度領域の一部のみに対向する位置まで延在していることが好ましい。このように構成すると、新たに生じた低キャリア濃度領域は、バックゲートの端の外側まで広がることができるため、低濃度領域においてゲート電極の端部と対峙する部分に集中していたソース−ドレイン電圧が分散でき、ソース−ドレイン耐圧を向上することができる。
この場合、前記低濃度領域の不純物濃度が4×1016atoms/cm3以上であることが好ましい。また、前記低濃度領域の不純物濃度が7×1016atoms/cm3以上であることがさらに好ましい。かかる構成を採用した場合も、前記低濃度領域の不純物濃度が1.4×1017atoms/cm3以下であることが好ましい。かかる濃度範囲に設定すると、寄生抵抗の増大を防止しながら、ソース−ドレイン耐圧を向上することができる。
本発明において、前記バックゲート電極が、チャネル長方向において、前記チャネル領域に対向する位置から前記低濃度領域の一部のみに対向する位置まで延在している場合、前記バックゲート電極と前記低濃度領域とのチャネル長方向における重なり寸法は、0.5〜1.3μmであることが好ましい。
本発明は、前記半導体層が多結晶シリコン膜である場合に適用すると効果的である。半導体層が多結晶シリコン膜である場合には、半導体層が単結晶シリコン層である場合に比較してキンク効果が発生しやすいので、本発明を適用すれば、半導体層が多結晶シリコン層である場合でもキンク効果の発生を防止することができる。
本発明を適用した半導体装置は、携帯電話機やモバイルコンピュータなどの電子機器に用いられる表示装置や、プリンタヘッドなどに使用される電気光学装置に用いることができ、この場合、前記半導体装置は、複数の画素が形成された素子基板である。このような電気光学装置において、本発明を適用した薄膜トランジスタは、各画素に構成された有機EL素子の駆動用や、液晶装置において素子基板上の駆動回路にオペアンプなどに代表されるアナログ回路を構成するのに用いられる。これらの用途のうち、有機EL素子の駆動用に用いると、黒表示時の電流リークが減少しコントラストが向上する。また、表示パネル内部の電源配線の抵抗による電源電圧の変動があっても駆動電流が変化しないため均一な表示が可能となり、より大容量・大型のディスプレイが可能となる。さらに、オペアンプのアナログ回路を構成する要素として用いると線形性がよくオフセットが小さな出力バッファを実現することができる。そのため、高品位の液晶表示装置を提供することができる。またオフセットがあると、それが原因で表示のちらつきや焼きつき現象が発生するが、本発明を適用すると、これらの問題も解決することができる。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明に用いた各図では、各層や各部材を図面上で認識可能とするため、各層や各部材毎に縮尺を相違させてある。また、以下の説明では、本発明を適用した薄膜トランジスタを備えた半導体装置として、有機EL装置の素子基板(半導体装置)において、有機EL装置(電気光学装置)において有機EL素子を駆動するための薄膜トランジスタなどに本発明を適用した例を説明する。また、本発明を適用した半導体装置では、同一の基板上に導電型の異なる薄膜トランジスタが形成されている場合があるので、以下の説明では、nチャネル型の薄膜トランジスタおよびpチャネル型の薄膜トランジスタが同一の基板上に形成されているものとして説明する。
[実施の形態1]
(有機EL装置100の全体構成)
図1は、本発明が適用される有機EL装置の電気的構成を示すブロック図、および電流制御用の薄膜トランジスタの等価回路図である。図1に示す有機EL装置100は、駆動電流が流れることによって発光する有機EL素子40を薄膜トランジスタで駆動制御する装置であり、このタイプの有機EL装置100では、有機EL素子40が自己発光するため、バックライトを必要とせず、また、視野角依存性が少ないなどの利点がある。
(有機EL装置100の全体構成)
図1は、本発明が適用される有機EL装置の電気的構成を示すブロック図、および電流制御用の薄膜トランジスタの等価回路図である。図1に示す有機EL装置100は、駆動電流が流れることによって発光する有機EL素子40を薄膜トランジスタで駆動制御する装置であり、このタイプの有機EL装置100では、有機EL素子40が自己発光するため、バックライトを必要とせず、また、視野角依存性が少ないなどの利点がある。
有機EL装置100では、素子基板13上に、複数の走査線120と、この走査線120の延設方向に対して交差する方向に延設された複数のデータ線110と、走査線120に並列する複数の共通給電線130と、データ線110と走査線120との交差点に対応する画素100aとが構成され、画素100aは、画像表示領域にマトリクス状に配置されている。素子基板13上には、データ線110に対して、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路(図示せず)が構成され、走査線120に対して、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査線駆動回路(図示せず)が構成されている。また、複数の画素100aの各々には、走査線120を介して走査信号がゲート電極に供給される画素スイッチング用の薄膜トランジスタ20と、この薄膜トランジスタ20を介してデータ線110から供給される画像信号を保持する保持容量30と、この保持容量30によって保持された画像信号がゲートに供給される電流制御用の薄膜トランジスタ10(駆動用薄膜トランジスタ)と、薄膜トランジスタ10を介して共通給電線130に電気的に接続したときに共通給電線130から駆動電流が流れ込む有機EL素子40とが構成されている。
(有機EL素子および素子基板の構成)
図2は、有機EL素子を備えた素子基板の断面図である。図2に示すように、素子基板13において、有機EL素子40は、例えば、陽極として機能する画素電極44と、この画素電極44からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層46と、有機EL物質からなる発光層47(有機機能層)と、電子を注入/輸送する電子注入層48と、陰極49とがこの順に積層された構造になっている。有機EL装置100が、発光層47で発光した光を画素電極44側から出射するボトムエミッション方式の場合には、素子基板13の基体側から発光光を取り出す。このため、素子基板13の基体としては、ガラス、石英、樹脂(プラスチック板、プラスチックフィルム)などの絶縁基板15が用いられ、絶縁基板15としては、ガラス基板が好適である。
図2は、有機EL素子を備えた素子基板の断面図である。図2に示すように、素子基板13において、有機EL素子40は、例えば、陽極として機能する画素電極44と、この画素電極44からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層46と、有機EL物質からなる発光層47(有機機能層)と、電子を注入/輸送する電子注入層48と、陰極49とがこの順に積層された構造になっている。有機EL装置100が、発光層47で発光した光を画素電極44側から出射するボトムエミッション方式の場合には、素子基板13の基体側から発光光を取り出す。このため、素子基板13の基体としては、ガラス、石英、樹脂(プラスチック板、プラスチックフィルム)などの絶縁基板15が用いられ、絶縁基板15としては、ガラス基板が好適である。
また、素子基板13上には、有機EL素子40の下層側に模式的に示すように、図1を参照して説明したデータ線110、走査線120、共通給電線130、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ106、保持容量133、電流制御用の薄膜トランジスタ107などを備えた回路部19が形成されている。
(電流制御用の薄膜トランジスタの構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置に構成された薄膜トランジスタの断面図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置に構成された薄膜トランジスタの断面図である。
本形態において、図3に示す半導体装置1は、同一の絶縁基板15上に、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nおよびpチャネル型の薄膜トランジスタ10pが構成されており、かかる薄膜トランジスタは、図1および図2を参照して説明した有機EL装置などにおいて、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nおよびpチャネル型の薄膜トランジスタ10pが各々、独立して回路に用いられることがあるとともに、CMOS回路を構成するように電気的に接続されて用いられることもある。
本形態の半導体装置1において、絶縁基板15の上には下地絶縁層16が形成されており、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nは、下地絶縁層16の上層に形成されたバックゲート電極2nと、このバックゲート電極2nを覆う第1ゲート絶縁層3と、この第1ゲート絶縁層3の上層に形成された多結晶シリコン膜からなる半導体層4nと、この半導体層4nを覆う第2ゲート絶縁層5と、この第2ゲート絶縁層5の上層に形成されたフロントゲート電極6nとを備えている。第1ゲート絶縁層3は、例えば、厚さが300nmのシリコン酸化膜で形成され、第2ゲート絶縁層5は、例えば、厚さが100nmのシリコン酸化膜で形成されており、第1ゲート絶縁層3は第2ゲート絶縁層5に比して厚い。なお、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nおよびpチャネル型の薄膜トランジスタ10pは、絶縁基板15の上に直接形成される場合があり、この場合、絶縁基板15自身が絶縁層に相当する。
半導体層4nは、第1ゲート絶縁層3および第2ゲート絶縁層5を介してバックゲート電極2nおよびフロントゲート電極6nに対向するチャネル領域40nに対してチャネル長方向の両側に、ソース領域およびドレイン領域のうちの一方とされるn型の第1不純物導入領域41nと、ソース領域およびドレイン領域のうちの他方とされるn型の第2不純物導入領域42nとを備えている。フロントゲート電極6nの上層には層間絶縁膜7が形成されている。層間絶縁膜7の上層には、ソース電極およびドレイン電極のうちの一方とされる第1電極81nと、ソース電極およびドレイン電極ののうちの他方とされる第2電極82nが形成されており、第1電極81nおよび第2電極82nは各々、層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホールを介して第1不純物導入領域41nおよび第2不純物導入領域42nに接続されている。
本形態において、第1不純物導入領域41nおよび第2不純物導入領域42nのうち、ドレイン領域とされる不純物導入領域は、チャネル領域40nに隣接する低濃度領域と、この低濃度領域に対してチャネル領域とは反対側に位置する高濃度領域とを備えており、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nはLDD構造を有している。本形態においては、薄膜トランジスタにおいて電流が流れる方向が切り換わるので、かかる電流が流れる方向の切り換わりによって、第1不純物導入領域41nと第2不純物導入領域42nとでは、ソース領域とドレイン領域と入れ替わる。従って、第1不純物導入領域41nおよび第2不純物導入領域42nの双方が、チャネル領域40nに隣接する低濃度領域412n、422nと、この低濃度領域412n、422nに対してチャネル領域40nとは反対側に位置する高濃度領域411n、421nとを備えている。
また、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nは、バックゲート電極2nおよびフロントゲート電極6nを備えたダブルゲート構造を有している。但し、バックゲート電極2nは、閾値制御用に構成されているものではない。本形態において、バックゲート電極2nおよびフロントゲート電極6nは同一の電位に保持される。かかる構成は、バックゲート電極2nおよびフロントゲート電極6nを電気的に接続した構成あるいはゲート線駆動回路からバックゲート電極2nおよびフロントゲート電極6nに同一のゲート電位を供給することにより実現できる。
このように構成したnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、低濃度領域412n、422nはフロントゲート電極6nに対して自己整合的に形成されている。これに対して、バックゲート電極2nは、チャネル長方向において、チャネル領域40nに対向する位置から低濃度領域412n、422nの少なくとも一部に対向する位置まで延在している。本形態において、バックゲート電極2nは、チャネル長方向において、チャネル領域40nに対向する位置から低濃度領域412n、422nの全体と対向する位置まで延在している。
本形態においては、後述する理由から、低濃度領域412n、422nにおけるリンなどの不純物濃度は7×1016atoms/cm3以上、1.4×1017atoms/cm3以下に設定されている。なお、高濃度領域411n、421nにおけるリンなどの不純物濃度は、概ね0.1×1020〜約10×1020atoms/cm3である。
pチャネル型の薄膜トランジスタ10pは、導電型が反対である他、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nと同一の構造を有しており、下地絶縁層16上に形成されたバックゲート電極2pと、このバックゲート電極2pを覆う第1ゲート絶縁層3と、この第1ゲート絶縁層3の上層に形成された半導体層4pと、この半導体層4pを覆う第2ゲート絶縁層5と、この第2ゲート絶縁層5の上層に形成されたフロントゲート電極6pとを備えている。半導体層4pは、第1ゲート絶縁層3および第2ゲート絶縁層5を介してバックゲート電極2pおよびフロントゲート電極6pに対向するチャネル領域40pに対してチャネル長方向の両側に、ソース領域およびドレイン領域のうちの一方とされるp型の第1不純物導入領域41pと、ソース領域およびドレイン領域のうちの他方とされるp型の第2不純物導入領域42pとを備えている。第1電極81pおよび第2電極82pは各々、層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホールを介して第1不純物導入領域41pおよび第2不純物導入領域42pに接続されている。
第1不純物導入領域41pおよび第2不純物導入領域42pはいずれも、チャネル領域40pに隣接する低濃度領域412p、422p、この低濃度領域412p、422pに対してチャネル領域40pとは反対側に位置する高濃度領域411p、421pとを備えている。かかる低濃度領域412p、422pのボロンなどの不純物濃度は7×1016atoms/cm3以上、1.4×1017atoms/cm3以下に設定されている。なお、高濃度領域411p、421pにおけるボロンなどの不純物濃度は、概ね0.1×1020〜約10×1020atoms/cm3である。
また、pチャネル型の薄膜トランジスタ10pも、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nと同様、バックゲート電極2pおよびフロントゲート電極6pを備えたダブルゲート構造を有している。バックゲート電極2pはソース電極81pに接続されている。また、。バックゲート電極2pは、nチャンネル型の薄膜トランジスタと同様、フロントゲート電極6pに接続してもよい。低濃度領域412p、422pはフロントゲート電極6pに対して自己整合的に形成されており、バックゲート電極2pは、チャネル長方向において、チャネル領域40pに対向する位置から低濃度領域412p、422pの全体と対向する位置まで延在している。
(本形態の主な効果)
図4および図5を参照して、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1の効果を説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定した結果を示すグラフであり、不純物濃度はホール効果の測定に基づいて求められた実効的な不純物濃度である。また、ソース−ドレイン耐圧は、図14に矢印L4で示すキンク電流値が点線L3で示す値の10%に達した時のドレイン電圧として定義した。この時のゲート電圧は閾値電圧である。図5(a)、(b)は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて低濃度領域412n、422nおよびバックゲート電極2nを設けたことによるキンク効果に対する改善効果を示す説明図、およびバックゲート電極2nを設けない場合に飽和特性が劣化する理由を示す説明図である。
図4および図5を参照して、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1の効果を説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定した結果を示すグラフであり、不純物濃度はホール効果の測定に基づいて求められた実効的な不純物濃度である。また、ソース−ドレイン耐圧は、図14に矢印L4で示すキンク電流値が点線L3で示す値の10%に達した時のドレイン電圧として定義した。この時のゲート電圧は閾値電圧である。図5(a)、(b)は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて低濃度領域412n、422nおよびバックゲート電極2nを設けたことによるキンク効果に対する改善効果を示す説明図、およびバックゲート電極2nを設けない場合に飽和特性が劣化する理由を示す説明図である。
本発明の実施の形態1に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nについて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定したところ、図4に実線L11で示す結果が得られた。なお、図4には、比較として、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタについて、低濃度領域の不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定した結果も図4に実線L7(図15(b)と同一のデータ)で示してある。
図4に実線L7で示すように、従来の薄膜トランジスタでは、低濃度領域の不純物濃度を高めていくと、ソース−ドレイン耐圧が低下していくのに対して、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nでは、実線L11で示すように、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を高めていくと、ソース−ドレイン耐圧が上昇していき、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が1.2×1017atoms/cm3を超えると、低下していく傾向にある。
このため、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が7×1016atoms/cm3未満では、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタに比較して、ソース−ドレイン耐圧が低いが、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が7×1016atoms/cm3以上では、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタに比較して、ソース−ドレイン耐圧が高い。また、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいては、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を高めていくと、ソース−ドレイン耐圧が上昇していき、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が1.2×1017atoms/cm3を超えると低下していくが、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が1.4×1017atoms/cm3までは、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタに比較して、ソース−ドレイン耐圧が高い。
それ故、本発明の実施の形態1に係る半導体装置1において、ソース−ドレイン耐圧を向上するという観点からすると、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nの低濃度領域412n、422nの不純物濃度は、7×1016atoms/cm3以上が好ましく、1.4×1017atoms/cm3以下が好ましい。さらに好ましくは、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を高めた際にソース−ドレイン耐圧が低下していく範囲を避けるという観点からすると、低濃度領域412n、422nの不純物濃度は、7×1016atoms/cm3以上が好ましく、1.2×1017atoms/cm3以下が好ましい。
かかる低濃度領域412n、422nの不純物濃度の範囲は、従来のLDD構造の薄膜トランジスタにおける低濃度領域の不純物濃度(5×1016atoms/cm3程度)と比較すると、不純物濃度が高いので、低濃度領域412n、422nを設けた場合でも、図15に実線L8で示すデータから分るように、電界効果移動度が高く、寄生抵抗の増大を無視することができる。
本形態のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、ソース−ドレイン耐圧が向上した理由は以下のように考えられる。まず、フロントゲート電極6nの電位をソース電位に近い電位に固定し、ソース−ドレイン間電圧を大きな値とする。このような状況はドレイン端に比較的大きな電界が集中し、キンク効果が最も顕著となる状況である。この時バックゲート電極2nはフロントゲート電極6nと接続されているため、ドレイン領域とバックゲート間に大きな電圧差が生じる。この時の電界は低濃度領域412n、422nの実効的なキャリア濃度を低下させるように働く。従って、LDD構造の薄膜トランジスタにおいて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を下げた時と同じ効果によってソース−ドレイン耐圧を向上することができる。より具体的には、図5(a)に示すように、高濃度領域411n、421nに近い低濃度領域412n、422nに(図5(a)に円A1で囲った領域内)、キャリアの少ない部分が新たに生じ、この部分にソース−ドレイン間の電圧の一部がかかる。このため、従来は、低濃度領域412n、422nにおいて、ゲート電極の端部と対峙する部分(図5(a)に円A2で囲った領域内)に集中していたソース−ドレイン電圧が、本形態では分散される。その際、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が適切でない時はこの効果は生じない。すなわち、不純物濃度が高すぎると、キャリアの少ない部分が新たに生じる前に、従来のゲート電極端でホットキャリアの発生が顕著となる。また、不純物濃度が低すぎる時は、先にキャリアの少ない領域が生じ、ソース−ドレイン電圧のほとんどが加わりホットキャリアの発生が顕著となる。従って、本形態のように、不純物濃度を適正な範囲に設定すると、ソース−ドレイン耐圧を向上することができる。
ここで、最大の効果が得られる低濃度領域412n、422nの不純物濃度は、図4に示すように、1.2×1017atoms/cm3である。かかる最良な条件は、第1ゲート絶縁層3の厚さ、第2ゲート絶縁層5の厚さ、低濃度領域412n、422nのチャネル長方向における寸法によって異なるが、第2ゲート絶縁層5の厚さを50〜150nmとし、第1ゲート絶縁層3の厚さを250〜600nmとし、低濃度領域412n、422nのチャネル長方向における寸法を0.3〜2.0μmに設定した場合において、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nの低濃度領域412n、422nの不純物濃度を7×1016〜1.4×1017atoms/cm3に設定するとソース−ドレイン耐圧を向上することが確認できた。
また、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、図5(b)に示すように、バックゲート電極2nがない場合には、矢印Eで示すように、ドレイン領域の電界が裏面の絶縁膜を介してチャネル領域の電位を変化させてしまい、キンク効果が顕著ではないと考えられる比較的ドレイン電圧が低い範囲において飽和特性が劣化させる。しかる本形態では、ドレイン領域の電界がバックゲート電極2nによってシールドされているので、ドレイン電圧が低い範囲での飽和特性の劣化を防止することができ、理想的な飽和特性を備えたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nを実現することができる。
なお、上記の作用、効果などは、pチャネル型の薄膜トランジスタ10pのバックゲート電極2pがソース電極81pに接続されているときでも、フロントゲート電極6pに接続されているときでも同様であるため、説明を省略する。
(製造方法)
次に、図6および図7を参照して、本形態の半導体装置1を製造する際の薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明する。図6および図7は、本形態の薄膜トランジスタの製造方法を示す工程断面図である。まず、図6(a)に示すように、超音波洗浄等により清浄化したガラス製等の絶縁基板15を準備した後、必要に応じて、基板温度が150〜450℃の温度条件下で、プラズマCVD法などの方法により、絶縁基板15の全面にシリコン酸化膜からなる下地絶縁層16を形成する。
次に、図6および図7を参照して、本形態の半導体装置1を製造する際の薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明する。図6および図7は、本形態の薄膜トランジスタの製造方法を示す工程断面図である。まず、図6(a)に示すように、超音波洗浄等により清浄化したガラス製等の絶縁基板15を準備した後、必要に応じて、基板温度が150〜450℃の温度条件下で、プラズマCVD法などの方法により、絶縁基板15の全面にシリコン酸化膜からなる下地絶縁層16を形成する。
次に、バックゲート電極形成工程において、下地絶縁層16の表面全体にモリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、あるいはそれらの積層膜などの金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、バックゲート電極2n、2pを形成する。
次に、図6(b)に示すように、CVD法などを用いて、下地絶縁層16の上層にシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層3を形成する。
次に、基板温度が150〜450℃の温度条件下で、第1ゲート絶縁層3の上層に、非晶質のシリコン膜をプラズマCVD法により、例えば、40〜50nmの厚さに形成した後、レーザアニール法や急速加熱法などにより、シリコン膜を多結晶化させる。次に、フォトリソグラフィ技術を用いてシリコン膜をパターニングし、図6(c)に示すように、島状の多結晶シリコン膜からなる半導体層4n、4pを形成する。
次に、図6(d)に示すように、CVD法などを用いて、半導体層4n、4pを覆うように、シリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層5を形成する。
次に、第1ゲート絶縁層3および第2ゲート絶縁層5を貫通するように、バックゲート電極2n、4pまで到達するコンタクトホール(図示せず)を形成する。次に、フロントゲート電極形成工程において、第2ゲート絶縁層5の上層にモリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、あるいはそれらの積層膜などの金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、図6(e)に示すように、フロントゲート電極6n、6pを形成する。かかるフロントゲート電極6n、6pは各々、第1ゲート絶縁層3および第2ゲート絶縁層5を貫通するコンタクトホール(図示せず)を介してバックゲート電極2n、4pに接続する。
次に、図7(a)に示す低濃度n型不純物導入工程においては、pチャネル型の薄膜トランジスタ10p用の半導体層4p側をレジストマスク91で覆った状態で、フロントゲート電極6nをマスクにして、低濃度n型の不純物イオン(リンイオン)をnチャネル型の薄膜トランジスタ10n用の半導体層4nに導入し、フロントゲート電極6nに対して自己整合的にn型の低濃度領域412n、422nを形成する。その結果、半導体層4nにおいて、フロントゲート電極6nで覆われていた領域にチャネル領域40nが形成される。
次に、図7(b)に示す低濃度p型不純物導入工程においては、nチャネル型の薄膜トランジスタ10n用の半導体層4n側をレジストマスク92で覆った状態で、フロントゲート電極6pをマスクにして、低濃度p型の不純物イオン(ボロンイオン)をpチャネル型の薄膜トランジスタ10p用の半導体層4pに導入し、フロントゲート電極6pに対して自己整合的にp型の低濃度領域412p、422pを形成する。その結果、半導体層4pにおいて、フロントゲート電極6pで覆われていた領域にチャネル領域40pが形成される。
次に、図7(c)に示す高濃度n型不純物導入工程において、半導体層4p側を覆うとともに、フロントゲート電極6nを広めに覆うレジストマスク93を形成した状態で、高濃度n型の不純物イオン(リンイオン)を半導体層4nに導入し、n型の高濃度領域411n、421nを形成する。その結果、半導体層4nにおいて、レジストマスク93で覆われていたチャネル領域近傍に低濃度領域412n、422nが残る。
次に、図7(d)に示す高濃度p型不純物導入工程において、半導体層4n側を覆うとともに、フロントゲート電極6pを広めに覆うレジストマスク94を形成した状態で、高濃度p型の不純物イオン(ボロンイオン)を半導体層4pに導入し、p型の高濃度領域411p、421pを形成する。その結果、半導体層4pにおいて、レジストマスク93で覆われていたチャネル領域近傍に低濃度領域412p、422pが残る。
次に、層間絶縁膜7形成工程において、CVD法などを用いて、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜7(図3参照)を形成した後、コンタクトホールを形成し、しかる後に、モリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、あるいはそれらの積層膜などの金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、図3に示すように、第1電極81n、81p、および第2電極82n、82pを形成する。その結果、nチャネル型の薄膜トランジスタ10n、およびnチャネル型の薄膜トランジスタ10nを備えた半導体装置1が完成する。なお、不純物を導入した後、加熱して、導入した不純物を活性化させてもよく、イオンシャワードーピングなどを利用して、半導体層4n、4pに水素イオンを導入して、半導体層4n、4pに存在していたダングリングボンドを終端化する工程を行ってもよい。また、図7(a)〜(d)に示した工程についてその順序を入れ替えてもよい。
[実施の形態1の変形例]
図8は、本発明の実施の形態1の変形例に係る半導体装置に構成された薄膜トランジスタの断面図である。なお、本例の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
図8は、本発明の実施の形態1の変形例に係る半導体装置に構成された薄膜トランジスタの断面図である。なお、本例の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
実施の形態1では、薄膜トランジスタにおいて電流が流れる方向が切り換わるので、第1不純物導入領域41n、41pおよび第2不純物導入領域42n、42pの双方が、チャネル領域40n、40pに隣接する低濃度領域412n、422n、412p、422pと、この低濃度領域412n、422n、412p、422pに対してチャネル領域40n、40pとは反対側に位置する高濃度領域411n、421n、411p、421pとを備えていたが、薄膜トランジスタにおいて、電流が流れる方向が定まっている場合、図8に示すように、第1不純物導入領域41n、41pおよび第2不純物導入領域42n、42pのうち、ドレイン領域となる第1不純物導入領域41n、41pのみが、低濃度領域412n、412pを備え、ソース領域となる第2不純物導入領域42n、42pに低濃度領域が形成されていない構成を採用することが好ましい。このように構成すると、低濃度領域を形成したことに起因する寄生抵抗の大幅な増大を回避することができる。
また、ソース領域となる第2不純物導入領域42n、42pについては、低濃度領域のチャネル長方向の寸法(LDD長)を、ドレイン領域となる第1不純物導入領域41n、41pに比して短くしてもよい。このように構成した場合も、低濃度領域を形成したことに起因する寄生抵抗の大幅な増大を回避することができる。
このような構成は、飽和領域の電流を用いて動作する有機EL装置の駆動用の薄膜トランジスタや、オペアンプなどに代表されるアナログ回路に用いられる薄膜トランジスタなど、電流が流れる方向が定まっている場合に有用である。
[実施の形態2]
(全体構成)
図9は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置に構成された薄膜トランジスタの断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
(全体構成)
図9は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置に構成された薄膜トランジスタの断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
図9に示すように、本形態の半導体装置1において、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nは、下地絶縁層16上に形成されたバックゲート電極2nと、このバックゲート電極2nを覆う第1ゲート絶縁層3と、この第1ゲート絶縁層3の上層に形成された多結晶シリコン膜からなる半導体層4nと、この半導体層4nを覆う第2ゲート絶縁層5と、この第2ゲート絶縁層5の上層に形成されたフロントゲート電極6nとを備えている。第1ゲート絶縁層3は、例えば、厚さが300nmのシリコン酸化膜で形成され、第2ゲート絶縁層5は、例えば、厚さが100nmのシリコン酸化膜で形成されており、第1ゲート絶縁層3は第2ゲート絶縁層5に比して厚い。
半導体層4nは、第1ゲート絶縁層3および第2ゲート絶縁層5を介してバックゲート電極2nおよびフロントゲート電極6nに対向するチャネル領域40nに対してチャネル長方向の両側に、ソース領域およびドレイン領域のうちの一方とされるn型の第1不純物導入領域41nと、ソース領域およびドレイン領域のうちの他方とされるn型の第2不純物導入領域42nとを備えている。
第1不純物導入領域41nおよび第2不純物導入領域42nはいずれも、チャネル領域40nに隣接する低濃度領域412n、422nと、この低濃度領域412n、422nに対してチャネル領域40nとは反対側に位置する高濃度領域411n、421nとを備えている。かかる低濃度領域412n、422nのリンなどの不純物濃度は4×1016atoms/cm3以上、1.4×1017atoms/cm3以下、好ましくは、7×1016atoms/cm3以上、1.4×1017atoms/cm3以下に設定されている。nチャネル型の薄膜トランジスタ10nは、同一の電位が印加されるバックゲート電極2nおよびフロントゲート電極6nを備えたダブルゲート構造を有している。低濃度領域412n、422nはフロントゲート電極6nに対して自己整合的に形成されている。
本形態において、バックゲート電極2nは、チャネル長方向において、チャネル領域40nに対向する位置から低濃度領域412n、422nの一部のみと対向する位置まで延在している。
pチャネル型の薄膜トランジスタ10pは、導電型が反対である他、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nと同一の構造を有しており、下地絶縁層16上に形成されたバックゲート電極2pと、このバックゲート電極2pを覆う第1ゲート絶縁層3と、この第1ゲート絶縁層3の上層に形成された半導体層4pと、この半導体層4pを覆う第2ゲート絶縁層5と、この第2ゲート絶縁層5の上層に形成されたフロントゲート電極6pとを備えている。半導体層4pは、第1ゲート絶縁層3および第2ゲート絶縁層5を介してバックゲート電極2pおよびフロントゲート電極6pに対向するチャネル領域40pに対してチャネル長方向の両側に、ソース領域およびドレイン領域のうちの一方とされるp型の第1不純物導入領域41pと、ソース領域およびドレイン領域のうちの他方とされるp型の第2不純物導入領域42pとを備えている。
第1不純物導入領域41pおよび第2不純物導入領域42pはいずれも、チャネル領域40pに隣接する低濃度領域412p、422pと、この低濃度領域412p、422pに対してチャネル領域40pとは反対側に位置する高濃度領域411p、421pとを備えている。かかる低濃度領域412p、422pのボロンなどの不純物濃度は4×1016atoms/cm3以上、1.4×1017atoms/cm3以下、好ましくは、7×1016atoms/cm3以上、1.4×1017atoms/cm3以下に設定されている。pチャネル型の薄膜トランジスタ10pも、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nと同様、バックゲート電極2pおよびフロントゲート電極6pを備えたダブルゲート構造を有している。バックゲート電極2pはソース電極81pに接続されている。また、バックゲート電極2pは、nチャンネル型の薄膜トランジスタと同様、フロントゲート電極6pに接続してもよい。低濃度領域412p、422pはフロントゲート電極6pに対して自己整合的に形成されている。
本形態において、バックゲート電極2pは、チャネル長方向において、チャネル領域に対向する位置から低濃度領域412p、422pの一部のみと対向する位置まで延在している。
(本形態の主な効果)
図10(a)、(b)および図11を参照して、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1の効果を説明する。図10(a)は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定した結果を示すグラフであり、不純物濃度はホール効果の測定に基づいて求められた実効的な不純物濃度である。図10(b)は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、バックゲート電極2nと低濃度領域412n、422nとの、チャネル長方向における重なり寸法と、ソース−ドレイン耐圧との関係を示すグラフである。なお、ソース−ドレイン耐圧は、図14に矢印L4で示すキンク電流値が点線L3で示す値の10%に達した時のドレイン電圧として定義した。この時のゲート電圧は閾値電圧である。図11は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて低濃度領域412n、422nおよびバックゲート電極2nを設けたことによるキンク効果に対する改善効果を示す説明図である。
図10(a)、(b)および図11を参照して、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1の効果を説明する。図10(a)は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定した結果を示すグラフであり、不純物濃度はホール効果の測定に基づいて求められた実効的な不純物濃度である。図10(b)は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、バックゲート電極2nと低濃度領域412n、422nとの、チャネル長方向における重なり寸法と、ソース−ドレイン耐圧との関係を示すグラフである。なお、ソース−ドレイン耐圧は、図14に矢印L4で示すキンク電流値が点線L3で示す値の10%に達した時のドレイン電圧として定義した。この時のゲート電圧は閾値電圧である。図11は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて低濃度領域412n、422nおよびバックゲート電極2nを設けたことによるキンク効果に対する改善効果を示す説明図である。
本発明の実施の形態2に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nについて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定したところ、図10(a)に実線L12で示す結果が得られた。なお、図10(a)には、比較として、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタについて、低濃度領域の不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定した結果も図10(a)に実線L7(図15(b)と同一のデータ)で示し、本発明の実施の形態1に係るnチャネル型の薄膜トランジスタについて、低濃度領域の不純物濃度を変化させた場合におけるソース−ドレイン耐圧の変化を測定した結果も図10(a)に実線L11(図4と同一のデータ)で示してある。
図10(a)に実線L12で示すように、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nでは、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を高めていくと、ソース−ドレイン耐圧が上昇していき、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が約1.2×1017atoms/cm3を超えると、低下していく傾向にある。
このため、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が4×1016atoms/cm3未満では、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタに比較して、ソース−ドレイン耐圧が低いが、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が4×1016atoms/cm3以上では、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタに比較して、ソース−ドレイン耐圧が高い。特に、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が7×1016atoms/cm3以上では、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタに比較して、ソース−ドレイン耐圧がかなり高く、12Vを超える。さらに、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nは、実施の形態1に係るnチャネル型の薄膜トランジスタに比較してさらにソース−ドレイン耐圧が高い。
また、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1のnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいては、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を高めていくと、ソース−ドレイン耐圧が上昇していき、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が約1.2×1017atoms/cm3を超えると低下していくが、低濃度領域412n、422nの不純物濃度が1.4×1017atoms/cm3までは、従来のnチャネル型の薄膜トランジスタに比較して、ソース−ドレイン耐圧が高い。
それ故、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1において、ソース−ドレイン耐圧を向上するという観点からすると、nチャネル型の薄膜トランジスタ10nの低濃度領域412n、422nの不純物濃度は、4×1016atoms/cm3以上が好ましく、1.4×1017atoms/cm3以下が好ましい。
また、低濃度領域412n、422nを設けた場合の寄生抵抗の増大を抑えるという観点からすると、低濃度領域412n、422nの不純物濃度は、7×1016atoms/cm3以上が好ましい。
さらに、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を高めた際にソース−ドレイン耐圧が低下していく範囲を避けるという観点からすると、低濃度領域412n、422nの不純物濃度は、1.2×1017atoms/cm3以下が好ましい。
なお、バックゲート電極2nが、チャネル長方向において、チャネル領域40nに対向する位置から低濃度領域412n、422nの一部のみと対向する位置まで延在している構成を採用した場合の効果については、図11に示すように、図511に円A3で囲った領域で新たに生じた低キャリア濃度領域は、バックゲート2nの端の外側まで広がることができるようになるためソース−ドレイン耐圧が向上したと考えられる。
また、本発明の実施の形態2に係る半導体装置1に用いたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nにおいて、低濃度領域412n、422nの不純物濃度を、0.95×1017atoms/cm3と、低濃度領域412n、422nのチャネル長方向における寸法(LDD長)を1.5μmとした場合において、チャネル長方向におけるバックゲート電極2nと低濃度領域412n、422nとの重なり寸法と、ソース−ドレイン耐圧との関係を測定したところ、図10(b)に示す結果が得られた。かかる結果によれば、バックゲート電極2nと低濃度領域412n、422nとのチャネル長方向における重なり寸法は、0.5〜1.3μmであることが好ましいことがわかる。
さらに、本形態では、ドレイン領域の電界がバックゲート電極2nによってシールドされているので、ドレイン電圧が低い範囲での飽和特性の劣化を防止することができ、理想的な飽和特性を備えたnチャネル型の薄膜トランジスタ10nを実現することができる。
なお、上記の作用、効果などは、pチャネル型の薄膜トランジスタ10pでも同様であるため、説明を省略する。
[実施の形態2の変形例]
図12は、本発明の実施の形態2の変形例に係る半導体装置に構成された薄膜トランジスタの断面図である。なお、本例の基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
図12は、本発明の実施の形態2の変形例に係る半導体装置に構成された薄膜トランジスタの断面図である。なお、本例の基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
実施の形態2では、薄膜トランジスタにおいて電流が流れる方向が切り換わるので、第1不純物導入領域41n、41pおよび第2不純物導入領域42n、42pの双方が、チャネル領域40n、40pに隣接する低濃度領域412n、422n、412p、422pと、この低濃度領域412n、422n、412p、422pに対してチャネル領域40n、40pとは反対側に位置する高濃度領域411n、421n、411p、421pとを備えていたが、薄膜トランジスタにおいて、電流が流れる方向が定まっている場合、図12に示すように、第1不純物導入領域41n、41pおよび第2不純物導入領域42n、42pのうち、ドレイン領域となる第1不純物導入領域41n、41pのみが、低濃度領域412n、412pを備え、ソース領域となる第2不純物導入領域42n、42pに低濃度領域が形成されていない構成を採用することが好ましい。このように構成すると、低濃度領域を形成したことに起因する寄生抵抗の大幅な増大を回避することができる。
また、図示を省略するが、ソース領域となる第2不純物導入領域42n、42pについては、低濃度領域のチャネル長方向の寸法(LDD長)を、ドレイン領域となる第1不純物導入領域41n、41pに比して短くしてもよい。このように構成した場合も、低濃度領域を形成したことに起因する寄生抵抗の大幅な増大を回避することができる。
このような構成は、飽和領域の電流を用いて動作する有機EL装置の駆動用の薄膜トランジスタや、オペアンプなどに代表されるアナログ回路に用いられる薄膜トランジスタなど、電流が流れる方向が定まっている場合に有用である。
[その他の実施の形態]
半導体装置として、有機EL素子40を用いた有機EL装置100の素子基板13を例に説明したが、液晶装置において素子基板上(半導体装置)の駆動回路には、図13に示すようなオペアンプなどに代表されるアナログ回路が構成される。従って、本発明を適用した薄膜トランジスタ10を用いて駆動トランジスタ、さらにはカレントミラー回路や出力回路を構成すれば、線形性がよくオフセットが小さな出力バッファを実現することができる。また、低い電源電圧のデジタル信号部分、高い電源電圧のデジタル回路部分、アナログ信号を扱う部分などそれぞれの回路要素に用いてもよい。
半導体装置として、有機EL素子40を用いた有機EL装置100の素子基板13を例に説明したが、液晶装置において素子基板上(半導体装置)の駆動回路には、図13に示すようなオペアンプなどに代表されるアナログ回路が構成される。従って、本発明を適用した薄膜トランジスタ10を用いて駆動トランジスタ、さらにはカレントミラー回路や出力回路を構成すれば、線形性がよくオフセットが小さな出力バッファを実現することができる。また、低い電源電圧のデジタル信号部分、高い電源電圧のデジタル回路部分、アナログ信号を扱う部分などそれぞれの回路要素に用いてもよい。
1・・半導体装置、2n、2p・・バックゲート電極、3・・第1ゲート絶縁層、4n、4p・・半導体層、5・・第2ゲート絶縁層、6n、6p・・フロントゲート電極、10n、10p・・薄膜トランジスタ、16・・下地絶縁層(絶縁層)、40n、40p・・チャネル領域、41n、41p・・第1不純物導入領域、42n、42p・・第2不純物導入領域、411n、421n、411p、421p・・高濃度領域、412n、422n、412p、422p・・低濃度領域
Claims (15)
- 絶縁層上に薄膜トランジスタを有する半導体装置において、
前記薄膜トランジスタは、前記絶縁層上に形成されたバックゲート電極と、該バックゲート電極を覆う第1ゲート絶縁層と、該第1ゲート絶縁層の上層に形成された半導体層と、該半導体層を覆う第2ゲート絶縁層と、該第2ゲート絶縁層の上層に形成されたフロントゲート電極とを備え、
前記半導体層は、チャネル領域に対してチャネル長方向の両側に、ソース領域およびドレイン領域のうちの一方とされる第1不純物導入領域と、ソース領域およびドレイン領域のうちの他方とされる第2不純物導入領域とを備え、
前記第1不純物導入領域および前記第2不純物導入領域のうち、前記ドレイン領域とされる不純物導入領域は、前記チャネル領域に隣接する低濃度領域と、該低濃度領域に対して前記チャネル領域とは反対側に位置する高濃度領域とを備え、
前記バックゲート電極は、チャネル長方向において、前記チャネル領域に対向する位置から前記低濃度領域の少なくとも一部に対向する位置まで延在していることを特徴とする半導体装置。 - 前記バックゲート電極と前記フロントゲート電極とは同電位が印加されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1不純物導入領域および前記第2不純物導入領域は、前記フロントゲート電極に対して自己整合的に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
- 前記第1不純物導入領域および前記第2不純物導入領域の双方が、前記低濃度領域および前記高濃度領域を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置。
- 前記第1不純物導入領域および前記第2不純物導入領域のうちの一方のみが、前記低濃度領域および前記高濃度領域を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置。
- 前記バックゲート電極は、チャネル長方向において、前記チャネル領域に対向する位置から前記低濃度領域の全体と対向する位置まで延在していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の半導体装置。
- 前記低濃度領域の不純物濃度が7×1016atoms/cm3以上であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
- 前記低濃度領域の不純物濃度が1.4×1017atoms/cm3以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の半導体装置。
- 前記バックゲート電極は、チャネル長方向において、前記チャネル領域に対向する位置から前記低濃度領域の一部のみに対向する位置まで延在していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の半導体装置。
- 前記低濃度領域の不純物濃度が4×1016atoms/cm3以上であることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
- 前記低濃度領域の不純物濃度が7×1016atoms/cm3以上であることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
- 前記低濃度領域の不純物濃度が1.4×1017atoms/cm3以下であることを特徴とする請求項9乃至11の何れか一項に記載の半導体装置。
- 前記バックゲート電極と前記低濃度領域とのチャネル長方向における重なり寸法は、0.5〜1.3μmであることを特徴とする請求項9乃至12の何れか一項に記載の半導体装置。
- 前記半導体層は、多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の半導体装置。
- 請求項1乃至13の何れか一項に記載の半導体装置を備えた電気光学装置であって、
前記半導体装置は、複数の画素が形成された素子基板であることを特徴とする電気光学装置。
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