JP2009042124A - 原子間力顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検物とカンチレバーとの相対変位を計測する原子間力顕微鏡において、ステージ上に被検物が載置されていなくてもカンチレバーの変位を計測可能な原子間力顕微鏡を提供する。
【解決手段】光源21からの光をローションプリズム28によってS偏光とP偏光に分離して、被検物1とカンチレバー12との相対変位を計測する原子間力顕微鏡において、参照ミラー63を計測基準としてカンチレバー変位を計測する機能を設ける。参照ミラー63を干渉縞の計測基準とすることで、被検物1の計測前の準備段階における調整作業を可能とする。また、被検物1をステージに搭載して面形状を計測するときに、参照ミラー63からの反射光を遮光可能なシャッター62と、光の偏光状態を変更する波長板24を備え、カンチレバー変位を計測する2種類の光学系を使い分ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子間力を利用した走査型のプローブ顕微鏡である原子間力顕微鏡に関するものである。
原子間力顕微鏡は、微細な探針を備えた片持ち梁(カンチレバー)を被検物表面に沿って走査させ、探針と被検物との間に作用する原子間力によるカンチレバーの変位量を検出することで被検物表面の微細構造を計測することができる装置である。その原理は、特許文献1に開示されている。特許文献1ではトンネル電流を検知することでカンチレバーの変位量を検出しているが、光テコ法や光干渉法を利用した方法も提案されている。
しかしながら、一般的な原子間力顕微鏡では、カンチレバー変位を測定する際、被検物の変位情報を取得していない。特許文献1に開示されている原子間力顕微鏡も同様であり、振動や温度変化等の外乱によりカンチレバーと被検物との相対位置が変動した場合、その変動量が計測結果に重畳されてしまう問題があった。例えば、カンチレバーを共振周波数付近で振動させながら計測を行なうACモードでは、探針と被検物間の距離によって変化する原子間力を振幅変化により検出する。このとき探針と被検物間の距離は被検物の表面形状により変化することを仮定しているが、カンチレバーと被検物との相対位置変動が発生すれば、仮定が成り立たず誤差が発生することになる。
カンチレバーと被検物との相対位置変動の影響を軽減可能な原子間力顕微鏡としては、特許文献2が提案されている。特許文献2では、二重焦点レンズを含む光学系を利用した光ヘテロダイン法によりカンチレバーの変位量を検出しており、その構成は図5に示す通りである。
この装置では、偏波面が直交し、周波数がわずかに異なる2種類の直線偏光を含むレーザー光を出力可能なレーザー光源装置110を使用している。レーザー光源装置110から出力された2種類の直線偏光は二重焦点レンズ122に入射し、一方の直線偏光は平行光となり、被検物130の比較的広い範囲に照射される。他方の直線偏光は集束光となってカンチレバー126の背面へと集光される。カンチレバー背面からの反射光と被検物表面からの反射光は、計測用光センサ136へと入射する。ここで、カンチレバー背面からの反射光は、原子間力によるカンチレバー126の変位量に伴って光路長が変化するため、周波数変化を受ける。従って、計測用光センサ136で検出された光干渉のビート信号からカンチレバー126の変位量を算出することができる。
特許文献2にACモードによる計測を適用した場合、被検物表面を基準としてカンチレバー変位の極大値と極小値を計測し振幅を求めることになる。従ってカンチレバーと被検物との相対位置変動が発生した場合でも、カンチレバー変位の極大値と極小値が相対位置変動分だけ等しく変化し、振幅計測結果に影響を与えない。このため、カンチレバーと被検物との相対位置変動の影響を軽減することが可能となる。
特開昭62−130302号公報 特許第2998333号公報
しかしながら、特許文献2で開示されている原子間力顕微鏡の場合、カンチレバーと被検物との相対位置変動の影響を軽減することはできるが、被検物がカンチレバーに対して理想的にアライメントされていなければカンチレバー変位を計測することができない。すなわち、計測を実施する状態になって初めてカンチレバー変位を計測可能となる。このため、カンチレバー装着やカンチレバータッチダウン動作など、カンチレバー変位量を計測しながら調整を行なう計測準備作業に支障をきたし実用上問題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、被検物を計測基準としてカンチレバー変位を計測する原子間力顕微鏡において、被検物の状態に関わらずカンチレバー変位を計測可能な原子間力顕微鏡を提供することを目的とする。
本発明の原子間力顕微鏡は、探針を備えるカンチレバーを被検物に接近させ、前記探針と前記被検物の間に発生する原子間力を検出し、前記原子間力を一定に保ちつつ走査することにより、前記被検物の面形状を計測する原子間力顕微鏡において、光源と、前記光源からの光を第1及び第2の光ビームに分割する分割手段と、前記第1の光ビームを前記被検物及び前記カンチレバーに照射させ、それぞれ反射させて得られる第1の干渉縞から前記カンチレバーの変位を検出するための第1の光学系と、参照ミラーと、前記第1及び前記第2の光ビームをそれぞれ前記カンチレバー及び前記参照ミラーに照射させ、それぞれ反射させて得られる第2の干渉縞から前記カンチレバーの変位を検出するための第2の光学系と、を有することを特徴とする。
上記構成により、被検物を計測基準として第1の光学系によりカンチレバー変位を計測するとともに、参照ミラーを計測基準として第2の光学系によりカンチレバー変位を計測することも可能になる。このため、カンチレバー装着やカンチレバータッチダウンといった計測準備段階であっても、第2の光学系によるカンチレバー変位の計測結果を用いて調整作業を実施することができる。
また、第1の光学系において、偏光光学素子により光路を分割し、偏光光の一方をカンチレバー先端部に設けた反射面に照射させるとともに、他方の偏光光を被検物表面に照射させる。これに、波長板を回転させ光の偏光状態を操作する機構を組み合わせることで、被検物には偏光光が入射せず、カンチレバー先端部のみに第1の光ビームが入射する状態を作ることができる。このため、被検物の有無に関わらず参照ミラーを計測基準としてカンチレバー変位を計測することができる。
さらに、シャッターにより参照ミラーへ入射する光(第2の光ビーム)を遮光する機構を備えることで、被検物基準でカンチレバー変位を計測する場合はシャッターを閉じて参照ミラーからの反射光を遮り、不要な干渉縞の発生を回避することができる。
このように波長板の回転機構とシャッターにより干渉させる光を選択することで、作業内容に応じたカンチレバー変位情報を適切に取得することができ、計測前の準備段階から実測定まで滞りなく実施可能な原子間力顕微鏡を実現することができる。
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施例1による原子間力顕微鏡の構成を示す。この装置は、針状の探針の原子と被検物1の表面の原子間に発生する原子間力を検出し、前記原子間力を一定に保ちつつ走査するもので、除振台2aを介して地面に固定されたベース2に、XYZステージ3とティップティルトステージ4を備えている。ティップティルトステージ4には被検物1が固定されており、XYZステージ3にはハウジング6が固定されている。ハウジング6には各種光学部品やセンサ類が内蔵されており、さらにXY方向の微動機構としてXYスキャナ7が固定されている。また、XYスキャナ7にはZ方向の微動機構としてチューブスキャナ8が固定されている。チューブスキャナ8には、カンチレバーユニット取り付けブロック9、加振用ピエゾアクチュエータ10、カンチレバーホルダー11を介して、前記探針を有するカンチレバー12が取り付けられている。カンチレバー12の先端部の背面には反射面が形成されている。
以上説明した各種駆動機構を用いた計測動作を説明する。まず、被検物1をティップティルトステージ4に固定し、XYZステージ3とティップティルトステージ4を用いて被検物1とカンチレバー12との相対位置関係を調節する。その後チューブスキャナ8を用いて、被検物1とカンチレバー先端に設けた探針(不図示)との間に原子間力が働く程度までカンチレバー12を被検物1へと接近させる。そして原子間力を一定に保ちながらXYスキャナ7を用いてカンチレバー12を走査し、被検物1の表面の面形状を計測する。原子間力を一定に保つために、本実施例では光干渉を利用してカンチレバー先端の変位を計測している。なお、本実施例では加振用ピエゾアクチュエータ10を備えており、ACモードによる計測も可能である。
次に、本実施例における原子間力顕微鏡の第1の光学系(面形状計測用の光学系)と、この光学系によるカンチレバー先端変位の計測方法について説明する。
光源21から出力された光は、光ファイバ22を通ってハウジング6の内部へと導かれ、コリメータ23により平行光へと変換される。このとき射出される平行光は、直線偏光となるように調節されている。その後2分の1波長板24及びハーフミラー26を透過した光(第1の光ビーム)は、ダイクロイックミラー27で反射して、偏光光学素子であるローションプリズム28へと入射する。ローションプリズム28は複屈折材料(例えば方解石)でできており、入射光を直交した2種類の直線偏光(S偏光とP偏光)に分離した上で異なる方向へと射出する。S偏光は集光レンズ29によってカンチレバー12の背面に設けられた反射面へ集光され、頂点反射する。その後は入射光路と同一光路を通りローションプリズム28へ再入射する。一方P偏光は被検物1の表面へ集光され、頂点反射する。その反射光は同一光路を通りローションプリズム28に再入射する。ローションプリズム28を透過したS偏光とP偏光はともに平行光として共通光路を通り、ダイクロイックミラー27及びハーフミラー26で反射する。そして4分の1波長板30、2分の1波長板31、ハーフミラー33、ハーフミラー34を透過し、偏光ビームスプリッタ35へ到達する。偏光ビームスプリッタ35において再びS偏光とP偏光に分割され、フォトディテクタ36とフォトディテクタ37へと入射する。2つのフォトディテクタでは光の強度情報が取得され演算装置38へと伝達される。演算装置38では2種類の強度情報を解析し、第1の干渉縞によるカンチレバー変位量を算出する。
演算装置38における解析内容についてさらに詳細を説明する。フォトディテクタ36で取得された光情報をA1とし、フォトディテクタ37で取得された光情報をA2とすると、次式のように表すことができる。
Figure 2009042124
Figure 2009042124
ここで、Aは光情報の大きさを定義する定数であり、λは使用している光の波長、ΔLはカンチレバー12と被検物1の間の相対的な変位情報、αはローションプリズム28で分離したS偏光とP偏光の光路長差から決まる初期位相である。Vは位相変化に対する光情報変化の感度を表す感度係数であり、0以上1以下の値をとる。また、Φは2分の1波長板31を回転させる回転機構32の回転角度に応じて変化する位相である。
演算装置38内において、これら2種類の信号を以下のように処理し、変位情報Sを得る。
Figure 2009042124
ここでΦがαを打ち消すように2分の1波長板31の回転角度を調整し、かつ、ΔLは非常に微小量であるとすると、変位情報Sは次式のように近似できる。
Figure 2009042124
このようにして求められた変位情報Sを用いると、次式が得られる。
Figure 2009042124
上式よりカンチレバー12と被検物1との間の相対的な変位情報を得ることができる。上式に含まれる感度係数Vは、S偏光とP偏光の重ね具合の良し悪しにより変化する値である。干渉縞がいわゆる縞一色状態であり、かつ高コントラストであれば、干渉縞の感度係数Vは1に近づく。
後述するように、本実施例は、干渉縞の感度係数Vを1に近づけるための調整機構を備えているが、高精度な測定のためには干渉縞の感度係数Vを正確に実測し、それを用いて変位情報を計算することが望ましい。
干渉縞の感度係数Vの正確な値を得るため、2分の1波長板31を回転機構32により回転させながらフォトディテクタ36の強度情報を取得する。2分の1波長板31を回転させることにより、強度情報を表す次式に含まれる位相αが変化する。
Figure 2009042124
位相Φの変化に伴って強度情報が強弱し、最小強度Aminと最大強度Amaxを知ることができる。最低強度Aminと最大強度Amaxの値を用いると、干渉縞の感度係数Vは次式で求めることができる。
Figure 2009042124
上式により求めた感度係数Vの実測値を用いて変位情報Sを計算することで、カンチレバー12の変位を高精度に計測することができる。なお、感度係数Vの計測はフォトディテクタ37より得られる強度情報により実施してもよい。
次に、高精度計測を行なうために必要な各種調整機能について説明する。
本実施例において高精度計測を行なうためには、フォトディテクタ36及びフォトディテクタ37において検出される干渉縞が、いわゆる縞一色状態であることが望ましい。フォトディテクタ37において検出される干渉縞は、フォトディテクタ36で検出される干渉縞に対し位相が180度ずれた状態であるため、いずれか一方を縞一色状態とすれば他方も縞一色状態となる。
そこで本実施例では、干渉縞を縞一色状態に調整するためのセンサとしてCCDセンサ53を備えている。CCDセンサ53には、ハーフミラー34で分割され、偏光ビームスプリッタ51を透過し、ビームエクスパンダ52により拡大された光が入射する。従ってCCDセンサ53により観察される干渉縞は、フォトディテクタ36により検出される干渉縞と同じになる。このため、CCDセンサ53により観察される干渉縞が縞一色状態となるようにティップティルトステージ4を調整することで、フォトディテクタ36及びフォトディテクタ37において検出される干渉縞を縞一色状態とすることができる。
ただし、被検物1が大きく傾いて固定された場合には、CCDセンサ53において干渉縞を観察できない可能性がある。そこで本実施例では、ポジションセンサ55を備えている。ポジションセンサ55には、ハーフミラー33により分割された光が入射する。従ってポジションセンサ55には、カンチレバー12からの反射光と被検物1からの反射光が入射することになる。そして、ポジションセンサ55において観察される2つの輝点が重なるようにティップティルトステージ4を調整する。これにより、カンチレバー12からの反射光と被検物1からの反射光が、ほぼ共通光路を取るように調整することができる。このため、CCDセンサ53において干渉縞が観察できる状態となり、干渉縞が縞一色状態となるように調整することができるようになる。
また、本実施例はカメラ56を備えており、カンチレバー先端部分の様子を観察することができる。このカメラ56を用いることで、集光レンズ29により集光された光がカンチレバー背面の所定の場所に照射されるように調整することが可能となる。
このように被検物1を計測基準としてカンチレバー変位を計測することで、カンチレバー12と被検物1との相対位置変動の影響を軽減することができるが、被検物1が理想的にアライメントされなければカンチレバー変位を計測することはできない。
そこで本実施例では、各種調整用の参照ミラー63を備え、参照ミラー63を計測基準とする第2の干渉縞からカンチレバー12の変位を検出するための第2の光学系を有する。
参照ミラー63には、分割手段であるハーフミラー26で反射し、第1の光学系に入射する光(第1の光ビーム)から分離されて、4分の1波長板61及びシャッター62を透過した光(第2の光ビーム)が入射する。そして、参照ミラー63で反射した反射光はシャッター62、4分の1波長板61、ハーフミラー26を透過し、フォトディテクタ36及びフォトディテクタ37へ到達するように構成されている。
さらに本実施例では、2分の1波長板24を光軸周りに回転させることができる回転機構25を備えており、2分の1波長板24より射出される直線偏光の偏光方向を自由に操作することができる。
ここで、2分の1波長板24より射出される直線偏光がS偏光となるように調整した場合を考える。このとき、ハーフミラー26を透過してローションプリズム28に到達する第1の光ビームであるS偏光は、全てカンチレバー12の背面上へと入射し被検物1へは入射しない。このため最終的にフォトディテクタ36及びフォトディテクタ37へと到達する光はカンチレバー12からの反射光のみとなる。一方ハーフミラー26で反射した第2の光ビームである光は、参照ミラー63で反射して再度ハーフミラー26へ入射するが、その間4分の1波長板61を2度透過するためP偏光へと変換される。そして最終的にフォトディテクタ36及びフォトディテクタ37へと到達し、演算装置38により第2の干渉縞を用いた光路長差が計算される。このようにして、参照ミラー63を計測基準としたカンチレバー変位を検出することができる。
次に、2分の1波長板24より射出される直線偏光がS偏光成分とP偏光成分の両方を含む場合を考える。このとき、ハーフミラー26を透過してローションプリズム28に到達した光(第1の光ビーム)は、S偏光成分がカンチレバー12の背面上へと入射し、P偏光成分が被検物1へと入射する。そしてカンチレバー12の背面で反射した光と被検物1で反射した光がフォトディテクタ36及びフォトディテクタ37へと到達する。しかしながらハーフミラー26で反射し、参照ミラー63で反射した光(第2の光ビーム)もまたフォトディテクタ36及びフォトディテクタ37へと到達する。従って、フォトディテクタ36及びフォトディテクタ37では3種類の光が互いに干渉してしまい、光路長差を計算できなくなってしまう。
そこで本実施例では、駆動手段によって開閉駆動されるシャッター62を備え、シャッター62を閉じることで参照ミラー63への光路を遮光する。これによって、参照ミラー63からの反射光がフォトディテクタ36及びフォトディテクタ37に到達しなくなり、被検物1に対するカンチレバー12の変位を計測することが可能となる。
以上説明した第2の光学系を使用したカンチレバータッチダウンシーケンスの一例について、図2のフローチャートを用いて説明する。
タッチダウンコマンドが発行されたら(ステップS01)、まずシャッター62を開いて参照ミラー63へ光が入射する状態にする(ステップS02)。さらに2分の1波長板24を回転させ、直線偏光の偏光方向をS偏光に変更する(ステップS03)。このとき、フォトディテクタ36及びフォトディテクタ37では、カンチレバー12からの反射光と参照ミラー63からの反射光との干渉縞(第2の干渉縞)が検出される。
次に2分の1波長板31を回転させて変位出力をゼロとすることで初期位相を打ち消す(ステップS04)。さらに2分の1波長板31を回転させることで(ステップS05)、位相変化に対するフォトディテクタ36及びフォトディテクタ37の感度係数Vを確認する(ステップS06)。ここで感度係数Vが低く、カンチレバー変位に対するフォトディテクタ感度が不十分な場合は、タッチダウンプロセスを中止し、カンチレバー12や参照ミラー63を調整して感度を確保する必要がある(ステップS07)。
感度確認が完了したら、被検物1の測定ポイント上方にカンチレバー12が配置されるようにXYZステージ3を調整する。さらに集光レンズ29により集光される偏光光の主光線が被検物1に垂直入射するようにティップティルトステージ4を調整する。このときの調整は被検物1の設計値情報に基づいて行なう(ステップS08)。
ステージ位置を調整したらZ軸を降下させ(ステップS09)、被検物1にカンチレバー12をタッチダウンさせる(ステップS10)。カンチレバー12がタッチダウンしたかどうかは、カンチレバー12の変位を計測することで判断することができる。
カンチレバー12がタッチダウンしたら、被検物1を計測基準としてカンチレバー12の変位を計測する構成(第1の光学系)へと変更する。すなわち、シャッター62を閉じて参照ミラー63からの反射光を遮り(ステップS11)、2分の1波長板24を回転させてP偏光成分とS偏光成分がともに射出されるように調整する(ステップS12)。このとき、P偏光成分とS偏光成分の割合を被検物1とカンチレバー12の反射率に応じて決定することが望ましい。具体的には、被検物1で反射したP偏光の光量とカンチレバー12で反射したS偏光の光量がほぼ等しくなるように調整することが望ましい。このように調整することで、フォトディテクタ36及びフォトディテクタ37で検出される干渉縞のコントラストが高くなり、高精度な計測を行なうことができる。
計測系の光学系を変更した後、ポジションセンサ55で検出される輝点の位置を確認する(ステップS13)。ポジションセンサ55には、被検物1からの反射光とカンチレバー12からの反射光が入射しており、2つの輝点の位置が一致していればフォトディテクタ36及びフォトディテクタ37において干渉縞を検出することができる。2つの輝点が一致していない場合は、被検物1からカンチレバー12をいったん離脱させ、ティップティルトステージ4を用いて被検物1の傾きを調整することで2つの輝点を一致させる(ステップS19)。調整後はシャッター62を開き(ステップS20)、2分の1波長板24を回転させて直線偏光の偏光方向をS偏光に変換することで(ステップS21)、参照ミラー63を計測基準としてカンチレバー12の変位を計測する第2の光学系とする。そして再びタッチダウンさせることで、被検物1の位置調整が完了する。
被検物1にカンチレバー12がタッチダウンし、ポジションセンサ55で検出される2つの輝点の位置が一致したら、2分の1波長板31を回転させ変位出力をゼロとすることで初期位相を打ち消す(ステップS14)。さらに2分の1波長板31を回転させることで、位相変化に対するフォトディテクタ36及びフォトディテクタ37の感度を確認する(ステップS15)。ここで感度係数Vが低く、カンチレバー変位に対するフォトディテクタ感度が不十分な場合は(ステップS16)、タッチダウンプロセスを中止し(ステップS17)、被検物1を調整して感度を確保する必要がある。感度が良好であればタッチダウンプロセスは完了となり(ステップS18)、被検物1の面形状を計測するための準備が整ったことになる。
本実施例によれば、被検物の有無に関わらず参照ミラーを計測基準としてカンチレバー変位を計測することができ、計測前の準備段階から実測定まで滞りなく実施可能な原子間力顕微鏡を実現することができる。
なお、本実施例では偏光光学素子としてローションプリズムを用いているが、代わりにウォラストンプリズムを使用しても同様の効果を得ることができる。また、本実施例ではS偏光をカンチレバー背面に照射させP偏光を被検物に照射させるとしているが、S偏光とP偏光を逆にしてもよい。この場合、2分の1波長板24より射出される直線偏光をP偏光とすることで、参照ミラー63を計測基準としてカンチレバー変位を計測することが可能となる。
図3は、実施例2による原子間力顕微鏡の構成を示す図である。実施例1と異なる点は、4分の1波長板30及び2分の1波長板31の位置と、ハーフミラー33の位置が逆転し、さらに、ハーフミラー33とポジションセンサ55との間に、偏光ビームスプリッタ54を挿入している点である。ポジションセンサ55には被検物1からの反射光のみが入射し、カンチレバー12からの反射光は入射しない構成となる。そして観察される1つの輝点の位置情報を用いて、干渉縞が縞一色状態となるようにティップティルトステージ4を調整する。すなわち、干渉縞が縞一色状態となる輝点の理想位置を予め把握しておき、理想位置に輝点が移動するようにティップティルトステージ4を調整する。
本実施例の特徴は、ポジションセンサ55において検出される輝点がひとつしかないため、計算機による演算で輝点位置をより正確に算出可能な点である。このため、被検物1のアライメント状態を計算機のみで精度よく求めることができ、自動測定に適した形態である。
図4は、実施例3による原子間力顕微鏡の構成を示す図である。実施例1、2と異なる点は、干渉縞検出用のフォトディテクタを1つに減らした点である。この場合の演算装置38における解析内容について説明する。フォトディテクタ36で取得された光情報をA1とすると、実施例1において説明したように次式で表される。
Figure 2009042124
ここで、Aは光情報の大きさを定義する定数であり、λは使用している光の波長、ΔLはカンチレバー12と被検物1の間の相対的な変位情報、αはローションプリズム28で分離したS偏光とP偏光の光路長差から決まる初期位相である。Vは干渉縞の感度係数であり0以上1以下の値をとる。また、Φは2分の1波長板31を回転させる回転機構32の回転角度に応じて変化する位相である。
ここでΦがαを打ち消すように2分の1波長板31の回転角度を調整し、かつ、ΔLは非常に微小量であるとすると、光情報A1は次式のように近似できる。
Figure 2009042124
このようにして求められた光情報A1を用いると、次式が得られる。
Figure 2009042124
上式より、カンチレバー12と被検物1との間の相対的な変位情報を得ることができる。上式に含まれる光情報の大きさAと干渉縞の感度係数Vは、2分の1波長板31を回転機構32により回転させながらフォトディテクタ36の強度情報を取得し、最小強度Aminと最大強度Amaxを求めることで次式のように計算することができる。
Figure 2009042124
Figure 2009042124
なお、本実施例の場合、カンチレバー変位の符号がわからない欠点がある。しかしながら、カンチレバーの振幅情報を用いて計測を行なうACモードではカンチレバー変位の符号情報を必要としないため、本実施例を適用することができる。
実施例1による原子間力顕微鏡の構成を示す模式図である。 カンチレバータッチダウンプロセスを説明するフローチャートである。 実施例2による原子間力顕微鏡の構成を示す模式図である。 実施例3による原子間力顕微鏡の構成を示す模式図である。 一従来例を示す模式図である。
符号の説明
1 被検物
2 ベース
3 XYZステージ
4 ティップティルトステージ
6 ハウジング
7 XYスキャナ
8 チューブスキャナ
9 カンチレバー取り付けブロック
10 加振用ピエゾアクチュエータ
11 カンチレバーホルダー
12 カンチレバー
21 光源
22 光ファイバ
23 コリメータ
24 2分の1波長板
25 回転機構
26 ハーフミラー
27 ダイクロイックミラー
28 ローションプリズム
29 集光レンズ
30 4分の1波長板
31 2分の1波長板
32 回転機構
33 ハーフミラー
34 ハーフミラー
35 偏光ビームスプリッタ
36 フォトディテクタ
37 フォトディテクタ
51 偏光ビームスプリッタ
52 ビームエクスパンダ
53 CCDセンサ
54 偏光ビームスプリッタ
55 ポジションセンサ
56 カメラ
61 4分の1波長板
62 シャッター
63 参照ミラー

Claims (3)

  1. 探針を備えるカンチレバーを被検物に接近させ、前記探針と前記被検物の間に発生する原子間力を検出し、前記原子間力を一定に保ちつつ走査することにより、前記被検物の面形状を計測する原子間力顕微鏡において、
    光源と、
    前記光源からの光を第1及び第2の光ビームに分割する分割手段と、
    前記第1の光ビームを前記被検物及び前記カンチレバーに照射させ、それぞれ反射させて得られる第1の干渉縞から前記カンチレバーの変位を検出するための第1の光学系と、
    参照ミラーと、
    前記第1及び前記第2の光ビームをそれぞれ前記カンチレバー及び前記参照ミラーに照射させ、それぞれ反射させて得られる第2の干渉縞から前記カンチレバーの変位を検出するための第2の光学系と、を有することを特徴とする原子間力顕微鏡。
  2. 前記光源からの光の偏光方向を変更する波長板と、
    前記光の光軸まわりに前記波長板を回転させる回転機構と、
    前記第1の光ビームを2種類の偏光光に分割する偏光光学素子と、を有し、
    前記第1の光学系は、前記偏光光学素子によって分割された前記2種類の偏光光のうちの一方を前記カンチレバーに照射させるとともに、他方の偏光光を前記被検物に集光させ、それぞれ反射させて前記第1の干渉縞を得ることを特徴とする請求項1記載の原子間力顕微鏡。
  3. 前記参照ミラーに入射する前記第2の光ビームを遮光するためのシャッターと、
    前記シャッターを開閉駆動する手段と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の原子間力顕微鏡。
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